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image1661.png公開年:1980年 
公開国:イギリス
時 間:119分
監 督:スタンリー・キューブリック
出 演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザース、バリー・ネルソン、フィリップ・ストーン、ジョー・ターケル、アン・ジャクソン 他
ノミネート:【1980年/第1回ラジー賞】ワースト主演女優賞(シェリー・デュヴァル)、ワースト監督賞(スタンリー・キューブリック)



コロラド州のロッキー山脈にあるオーバールック・ホテルの冬季管理人の求人に応募した、小説家志望のジャック・トランス一家。支配人は、過去に冬季管理人が家族を惨殺した過去があることを語ったが、ジャックは気にも留めなかった。いよいよホテルが閉鎖される日、キッチン担当のハロランは、妻のウェンディと息子のダニーにホテル設備の説明をするが、その時に、ダニーが自分と同じ超常的な能力の持ち主であることに気付き、「このホテルには何かが存在する」と警告するのだった。かくして、豪雪により隔離されたホテルでの家族3人の暮らしが始まるのだったが…というストーリー。

原作者のキングがキューブリックへ批判を繰り返したのは有名。後に、本作に文句は言わないからってことで、自らドラマ版を作成した…という経緯らしいのだが、実は私、そのTVドラマは観ていたが、キューブリックの映画版を観ていないという状況。
はっきりいってキング版は、ダラダラと長くてあくびが出るほどつまらないし、何をどう表現したかったのかさっぱりわからず、次は映画版を観ようと決めていた心が萎えるほどつまらなかったのだ。

モダン・ホラーという言葉はよく使われるが、私はモダン・ホラーの定義がよくわからん。でも、本作はものすごくおもしろいじゃないか。

やっぱりキングが自ら自作品を映像化すると、びっくりするぐらいつまらない。餅は餅屋。文章で読んだら秀逸でもそのまま映像化したら陳腐…なんてことはざらにあることで、別に不思議でもなけりゃ恥ずかしいことでもない。なんでそんなことに躍起になるのかさっぱりわからない。邪悪な存在に超能力、キングがこだわる部分は、読んで想像するから生きるのであって、はっきりと目や耳からはいってくると途端に興醒めしちゃうんだよ。分をわきまえて余計なことしなきゃいいのにね。

なんとも表現しにくいのだが、ものすごく“空気”の存在を感じざるを得ない画質。でも、そこに間違いなく気体が存在するという感覚。夢の中で走ろうとしても泥の中を歩くようにうまく進めないあの感覚に近い。これってどこから生じているのか。黒澤明が、いろんな角度を計算して照明を当て影を消したのとは逆で、自然光によってできた影がはっきり映りこんでいるからかな。
ある程度の方向性にリードするだけで、あとは「これってなんだろう…?って考えさせる」、人の想像力を喚起することで怖さを演出するセンスは、白眉だと思う。

『ツイン・ピークス』を彷彿とさせるカット割や編集が多い気がする。最後の写真が示唆する、闇の存在に取り込まれちゃった的な感じもそれだよね。

これだけ商業的にも成功し、世界最高のホラーという人までいる作品なのに、受賞歴がさみしいのは何故か。最高のホラーを評価されることもある本作が、受賞歴がなくてラジー賞にノミネートされるだけだったということに、ちょっぴり驚き。そして、この作品をノミネートするという、レベルの低さを第1回目から露呈してしまったラジー賞(やっぱり、他人の作品をけなすだけの能力が無い、存在価値のない賞なんじゃないのかな)。

そうか、この様式美みたいなものがモダンホラーなんだな。いいものを観た。お薦め。

#“APOLLO USA”のセーターがものすごくカワイイ。

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