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公開年:2009年
公開国:日本
時 間:87分
監 督:ジェームズ・ウォン
出 演:ジャスティン・チャットウィン、エミー・ロッサム、ジェームズ・マースターズ、ジェイミー・チャン、田村英里子、パク・ジュンヒョン、チョウ・ユンファ、ランダル・ダク・キム、アーニー・ハドソン、シェヴォン・カークシー 他
自分の武道の能力を隠して高校生活をおくる孫悟空だったが、誕生日の夜、一緒に暮らす祖父・悟天が何者かに殺害され、さらに、家に隠してあったドラゴンボールも奪われてしまう。同じくドラゴンボールを奪われたという天才少女ブルマと出会い、2人は協力してドラゴンボール探すことになるが、まず、悟天の生前の言いつけに従い、「ピッコロが戻ってきた」というメッセージを伝えるために亀仙人を探すのだったが…というストーリー。
昨日の『AKIRA』同様、海外における日本アニメの代表格といえばドラゴンボールということで、本作を鑑賞。
『AKIRA』で原作者・大友克洋が監督をやったのは原作のイメージを損ねないためだと思うが(もちろん本人がやりたかったのだろうが)、本作では原作者の鳥山明は製作総指揮として名を連ねているもの、参加している理由は大きく異なると思われる。おそらく、鳥山明はイメージを損なわれることにはあまり執着がなく、むしろドラゴンボールを世界の公共財として自由に扱ってもらうことをよしと考えており、むしろ自分では思いもよらない発展のしかたに期待をしたものと思われる。もちろん著作権を放棄するわけはないものの、最低限のタガをハメるためだけに参加しており、よっぽどヒドくならなければ、あとはクリエイターの方にお任せしますというスタンスなのだろう。この姿勢は評価したい。ただ、“EVOLUTION”として、あくまで実写化したものは進化系なのだということは明記してほしいということである。
しかしそれが“進化”だったのかむやみな“発散”だったのか。結果として、興行収入が振るわなかったのは(特に日本では)、原作とイメージが違ったからではなく、純粋につまらないからである。
年齢設定をはじめ、根本的なキャラクターの性格も完全に異質なものになってしまったのは、仕方がない。アメリカで実写化すると決まった時点で、あきらめなかればいけない点である。逆に、原作どおりに作ったら、それはそれで陳腐なコスプレ映画になってしまい、後世のお笑い種になっていたに違いない。大体にして、実写化する意味がない(アニメで十分っていう文句のオンパレードになるにきまっている)。
では、なんで面白くないのか。少年ジャンプの基本である“努力”“友情”“勝利”が完全に存在しないからである。悟天からの修行はもちろん、亀仙人からの修行もさほどハードでもなければユニークでもない。本作中に“努力”による成長はみられず、実は大猿なので、元々覚醒さえすればめちゃくちゃ強いという設定である。クリリンに相当する人物も登場せず、ヤムチャと悟空が心を通わすこともないため“友情”というファクターは皆無である。で、それらの過程を経ることもなく、ラスボスと対戦して勝ちはするものの、それは少年漫画でえられる“勝利”のカタルシスではないのだ。つまり、肝心な要素がすべてかけているということ。
なんで、それらを欠いた物足りない状態なのに、90分未満なのか。製作陣がドラゴンボールのツボを理解できていないのか、作っているうちに何がなんだかわからなくなって迷走してしまったかのどちらかである。さらに三部作を予定してるので、シナリオに締まりがない。ピッコロとの対決なんて、何を愉しめばいいのかわからないくらいあっさりと終わり、ボールもあっさり集まり、陳腐な願いごとでオチとなる。そして、普通に布団で寝るピッコロの馬鹿らしさ。せめて技術的にはハイクオリティなものを期待するのだが、なぜかCGが安っぽいというオマケ付き。
本作の製作いよって『AKIRA』の実写版の製作が止まったという噂もあるが、もし本当なら、実に罪な作品である。
個人的には続編は作らなくてよいと思われる。いや、むしろ、つらっと何も無かったように、別のスタッフで“DRAGONBALL TRANSFER”とか作ってしまう図太さを見せてほしいとは思うが…。とにかく、娯楽作品としても、今一歩どころか今三歩くらいで、お薦めはしかねる。
#田村英里子の努力はわかるのだが、逆に英語さえ喋れれば、日本俳優のニーズは相当あるということの裏づけともいえる。ラストに登場の関めぐみも、しっかり英語を覚えて続編ではがっちり登場できればいいのにね。それから、主題歌は浜崎あゆみより、TM Revolutionのほうがよかったと思うよ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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