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公開年:2009年
公開国:日本
時 間:134分
監 督:水田伸生
出 演:阿部サダヲ、瑛太、竹内結子、塚本高史、皆川猿時、片桐はいり、鈴木砂羽、カンニング竹山、高橋ジョージ、陣内孝則、藤村俊二、小倉一郎、光石研、伊原剛志、いしだあゆみ 他
コピー:これは“泣ける喜劇”か!? “笑える悲劇”か!?
放蕩な父親のせいで、幼いころに生き別れた兄弟の兄・祐太は、東京の下町の惣菜屋に身を寄せ、今ではその店を継ぎ、ハムカツが名物の超人気店“山ちゃん”として成功している。一方、弟・祐介はつらい境遇を乗り切る術として笑いを身につけ、金城大介という男とコンビを組み、兄弟漫才師“金城ブラザーズ”として人気芸人になっていた。そんなある日、10年以上音信不通だった初代店主の一人娘・デブでブスだった徹子が大変貌を遂げ美人になって突然帰ってくる。いささか引っかかりを覚えつつも、祐太は徹子を温かく迎え入れ、ほどなく2人は結婚することに。そして、婚姻届提出のために確認した戸籍の内容から、“金城ブラザーズ”の祐介が実の弟であることが判明し…というストーリー。
基本的に、宮藤官九郎脚本の作品は、琴線に触れない。あまりおもしろいと思ったことがない。おもしろいと思っていないのだから、それほど多くのクドカン作品を観ているわけでもないので、いささか恐縮ではあるが、好みに合わないものは仕様が無い。
どういう点がおもしろく感じないか。いかにも舞台劇だな…という点について指摘する人は多いが、その点は気にならない。特異なキャラクター設定を重ね、特に性的に倒錯したキャラが多く、それらがひたすら悪ノリを繰り返すというパターン。そういうキャラばかりなので、とにかく演者さんたちもハジける以外に方法がないという状況。そして悪ノリをやりきった演者だけが評価される状態。笑いをとる場面も、チョケかたが気持ち悪い。そういう諸々の感じがどうもなじめない。
いや、それが悪いということではないのだが、どうも私は観ていて冷めるのである。
ただ、宮藤官九郎本人が気づいているのかいないのかはわからないが、本作については、私の嫌いな悪ノリは押さえ気味だし、ちょっぴり考えさせられる人情劇になっている気がする。
自分の境遇と社会とのバランス関係。人間の行動ってその場その場でどっちの行動をとるか、選択の繰り返しで、その積み重ねが他者から見たパーソナリティになる。でもそれは外部要因によって形成された自分であって、内面の自分とは違うことが多い。往々にして、融合してくか、うまく切り替えるなどして解決を図るわけだが、本作の山ちゃんの場合は、折り合いをつけることが許されない立場で、極端な八方美人に徹することを選択しているわけである。程度の差はあれ、このように折り合いがつけられない人は、たくさんいると思われ、奇抜な阿部サダヲの演技でぼやかされるが、共感しなくもない…と感じる人は多いと思う。
そんな感じで好意的に見ていたのだが、“エコ”がらみの件で、やっぱりチョケはじめる。いや、沖縄の件に続けたいのだろうから、削除すべきとまでは言わない。でも、この監督がいつものクドカンの映画と同じノリで演出しちゃったから、残念な結果に。
この作品は、後にクドカンのターニングポイントっていわれるような作品になれたような気がするのだが、どうも、監督も演者もそうは感じていなかったようで…。
従来のクドカン作品のファンには、いまいちを思われるのかもしれないけれど、そうでも無い人は、逆に案外、心に響いてしまう作品かと。少なくとも『舞妓 Haaaan!!!』とは一線を画しており、味わいは3倍はあると思うので、あえて軽くお薦めしてしまう。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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