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公開年:1972年
公開国:日本
時 間:93分
監 督:伊藤俊也
出 演:梶芽衣子、白石加代子、荒砂ゆき、伊佐山ひろ子、八並映子、賀川雪絵、石井くに子、渡辺文雄、室田日出男、堀田真三、小松方正、佐藤京一、安藤三男、阿藤海、久地明、林宏、宮地謙吉、五野上力、田中筆子、相馬剛三、高月忠、小林稔侍、伊達弘、笠原玲子、河野ミサ、戸浦六宏、三浦忍、園かおる 他




女性刑務所の地下独房に、食事も満足に与えられずに拘束されている松島ナミは、スプーンをコンクリートの床で研いでナイフを作製し、復讐の隙を狙う。ある日、法務省の役人が視察に訪れ、式典に並ぶために久々に地上のだされたナミは、刑務所長郷田のスプーンでつくったナイフで目元を狙う。間一髪で失明を免れた所長は激昂。石切り場の重労働に加え、看守たちに命じてナミを輪姦させるのだった。その後、他の女囚と一緒に移送される時、一瞬の隙をついて看守を殺害し脱走に成功する。ナミと一緒に脱走した面々も曲者ぞろいで、ボス格の大場は、亭主の浮気に立腹して幼い子供と、腹の中の子供を殺したという犯歴の持ち主。大場はナミを毛嫌いしていたが、脱走という共通の目的のために行動を共にする。途中で発見した山小屋で一休みする一行だったが、女囚の一人・及川が、抜け出してしまう。実は近所に我が家があり、子供会いたさに独断で行動したのだ。しかし、看守たちはその行動を予測して待ち伏せており及川を捕縛。看守たちは、及川を脅して彼女たちが潜む山小屋へ案内させるのだったが…というストーリー。

劇画原作特有の訳のわからなさと、サイケとエログロを履き違えたようなセンスで、独特の質感だった『女囚701号/さそり』。公開同年中に続編が作製されていることからも、当時の人気が伺えるというもの。本作は2作目。話は繋がっていて、所長の右目は前作でさそりに刺されていて、きちんと傷も残っている。逆に言えば前作の経緯を知らないと、わからない部分が多いということだ。

梶芽衣子の美しさはいうまでもないが、暴行シーン、輪姦シーンなどおかまいなしで、当時どういう扱いだったのか、どういう売り方をしようとしていたのか、よくわかる。そういうお色気アリの女優を時代は求めていたのに、風当たりは強いという、いびつな時代だったんだと思う。正直、辞めたかったんじゃなかろうか。

前作は、恋仲だった刑事に裏切られたパーソナルな怨念が、さそりの行動の源泉だったが、本作では自分に牙を向くすべての者に対して、分け隔てなく仇をなしている漢字。若干さそりが“神格化”しているような感じが漂いはじめており、シリーズ化するのも納得できる。個人的には前作よりもかなり好きかも。

なんといっても、MVPは白石加代子だろう。お得意のアングラ演技…というか、むしろアングラ演技以外に何もできなんじゃないのか?と思わされるほどのインパクト。彼女の狂気が、“さそり”という非凡な胆力のキャラクターを孤立させないことに成功している。松島ナミだけだと、あまりに超人すぎて、そんな超人ならどんなピンチでも切り抜けられるでしょ?と思っちゃうけど、それに張り合うようなクレイジー人間を登場させることで、うまくバランスが取れていると思う。

一方で、看守連中の間抜けっぷりがスゴイ。シナリオ的に、もうバレバレなのになんでストッキングを被って襲うのか、意味がわからない。仕事とはいえお父さんがあんな抜けな死に方していたらイヤだろうなぁ。小松方正だって室田日出男だって、別に好んでこんな役はやりたくはなかっただろうけど、しっかり全うしているのがすごいよ。
この、看守サイドを馬鹿にする演出は最後まで続き、女囚にだまされて、もう人質はいないと判断して銃撃、結果的に一般市民を警察が殺してしまう構図になる。慰安旅行のサラリーマンも本作ではターゲットで、いわゆる“社畜”も政府の犬だといわんばかり。あいかわらず権威・役人に対する憎悪が各所に見られるのだが、もう、四方八方、手当たりしだい噛み付き始めている。学生運動、革命思想をこじらせちゃって、ここに極まれりという感じ。そして、それが本気でやってるのか、ネタとしてやっているのか微妙なラインだというのが、本作の魅力だったりする。

白石加代子演じる大場とも、渡辺文雄演じる所長とも、しっかり決着をつけて終了しており、脚本としてもなかなか収まりがよい。前作と本作でワンセットお薦め。次作を観るかは未定。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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