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公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:フレデリック・デュショ
出 演:ヘイデン・パネッティーア、ブルース・グリーンウッド、M・エメット・ウォルシュ、ウェンディ・マリック、フランキー・ムニッズ、マンディ・ムーア、マイケル・クラーク・ダンカン、ジェフ・フォックスワーシー、ジョシュア・ジャクソン、ジョー・パントリアーノ、マイケル・ローゼンバウム、スティーヴ・ハーヴェイ、デヴィッド・スペード、スヌープ・ドッグ、フレッド・ダルトン・トンプソン、ウーピー・ゴールドバーグ、ダスティン・ホフマン 他
コピー:競走馬を目指すシマウマと、心優しい牧場の仲間たちがレース場に奇跡を起こす!
なりたいキミに、なればいい!
嵐の中、移動を急ぐサーカス団に置き去りにされたシマウマの赤ちゃんは、幸い偶然通りかかった農場主のノーランに助けられる。娘のチャニングにストライプスと名付けられ、農場の動物たちに囲まれて成長していく。自分を“馬”と思い込んでいるストライプスは、隣の牧場のサラブレッドを目の当たりにし、自分も競走馬になりたいとの思いを強くするのだが…というストーリー。
小学生中学年までの子供がいるご家庭ならば、喜ばれることでしょう。他人とは違う運命を背負った子供が逆境に負けずに成長していく姿は、勇気が湧きますね…といいたいところだが、残念ながら、この世にはすでに『ベイブ』という映画が存在する。
『ベイブ』は1995年の映画で、本作より10年前の映画だが、目を見張るような技術の進歩がないのが悲しい(動物の口がセリフに合わせて動く技術は当時の段階ですでに確立されている)。ペリカンやハエなど、明らさまにCG的な動きをするのだが、実に興醒め。仲間の動物がレースに協力してしまうのは、どう贔屓目に見ても反則なので興醒め。『ベイブ』は偏見に負けない力を見せてくれたが、本作はほとんどイジメ状態なのも興醒め。ポニーの思い、父親の思い、それに何よりもストライプスの思い(というか彼らの悔しさ)をもっと感じさせてほしいのだが、中途半端で興醒め。
別におもしろくないわけではないのだが、すべてが中途半端で、観ている側のほうがやりきれない思いになってしまう。“シマウマが競馬に挑戦する”という思いつきはいいとしても、結局、『ベイブ』の焼き直しみたいになってしまったら、一旦立ち止まって、考え直さなければいけません。どういう事情があったにせよ、このように自分の作品を客観的に眺めることができないような監督や脚本家は作り手として失格(このレベルの作品を世に出してしまった人に、次のオファーはないだろう)。
お薦めはしないが、彼女やいい大人の友達と観て楽しめる映画ではない。子供と見るといってもあまり小さすぎると逆につまらなく感じるだろう。6歳から11歳くらいまでの子供と観るか、エグい作品ばかり観続けて少しハートがヤラレてしまった人は観ればいいだろう。でも、『ベイブ』を観ていないならば、『ベイブ』を観ればよい。
#『ベイブ』はかなり好きな映画の一つなので、そのせいでちょっと辛口になってしまったな…。
公開年:2008年
公開国:日本
時 間:98分
監 督:河崎実
出 演:加藤夏希、加藤和樹、渡部又兵衛、松下アキラ、福本ヒデ、なべやかん、井上純一、森下悠里、和崎俊哉、堀内正美、きくち英一、中田博久、黒部進、古谷敏、夏木陽介、ビートたけし、みうらじゅん、リリー・フランキー、水野晴郎 他
コピー:この夏、人類滅亡の危機
世界の命運は“タケ魔人”に託された。
洞爺湖サミットが開催される中、大怪獣ギララが宇宙から札幌に飛来。サミットの中止が検討されるが、首脳たちは大怪獣に立ち向かうことを決定。一方、サミット取材にやって来た東スポ女性記者・隅田川すみれは、湖畔の神社に残された伝説にある“タケ魔人”がこの危機を救ってくれると確信するのだが…というストーリー。
特撮は好きなので、ある意味伝説の松竹製怪獣“ギララ”のことは知っていたが、なにやらコメディらしいので、観る気はまったくおきず。しかし、100円レンタル対象だったので、なんとなく借りてみた。が、100円すらもったいないと思うほどの出来。
河崎実監督といえば、『日本以外全部沈没』の人だが、本作も同じノリ。ただ、『日本以外全部沈没』の場合、筒井康隆の原作なので、そこそこ観られる作品だったのだが、本作はあまりにもヒドい。おふざけをしたいならば真剣にふざけて欲しい。思いつきのような小ネタ。それも、“ユーモア”とか“ウィット”とは対極の半分酔っ払って書いたようなシナリオにはウンザリ。半分をすぎたところで、観る気も失せて、別のことをやってながら見していた(ながら見でもムカついてきたんだけど)。
べつにこういう作品をダメだといっているわけではない。とにかく、本作からは作り手の一生懸命さやまじめに作ろうという意思がつたわってこなくて、観ている側がバカにされたような気分になる。もう、これ以上書きたくないので、やめる。観るだけ時間の無駄である。こっちが100円貰って観て、それでも時間を無駄したと思うか思わないかの線だと思う。まあ、まともな映画と同列に考えるほうが悪いのか…。
#加藤夏希も加藤和樹も仮面ライダー経験者ですけれど、特撮に対するリスペクトはないのだろうか。ムカッ。
公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:ブルース・A・エヴァンス
出 演:ケヴィン・コスナー、デミ・ムーア、デイン・クック、ウィリアム・ハート、マージ・ヘルゲンバーガー、ダニエル・パナベイカー、レイコ・エイルスワース、ルーベン・サンチャゴ=ハドソン、アイシャ・ハインズ、リンゼイ・クローズ、ジェイソン・ルイス、マット・シュル 他
コピー:富も名声も手にいれた男
彼が殺人鬼であることは、誰も知らない
ある日、若いカップルの全裸死体が発見され、女性刑事アトウッドは、しばらく鳴りを潜めていた“指紋の殺人鬼”と呼ばれる連続殺人犯が再び動き出したことを知る。実は、その殺人鬼の正体は、地元の名士である実業家ブルックス。表の顔は家族思いの好人物、裏では衝動を抑えられず残忍な殺しを繰り返していた。しかし、カップル殺害の様子が一人の男に隠し撮りされており、これまで順調だった彼の二重生活に綻びが生じて…というストーリー。
シリアル・キラー物は好きな題材。今も日々、米ドラ『クリミナル・マインド』鑑賞中である。しかし、どうも本作は、私が好きなシリアル・キラー物の条件にはあてはまっていないというか…。
よく狙撃犯なんかの発言で、頭の中で別の誰かが…とかいうのがあるけれど、本作に登場する、主人公にしか見えていないアノ男はどういうモノなのだろう。人格が入れ替わるわけではないのだから、二重人格ではないだろう。内なる衝動を比喩的に人格化したわけでもなさそう。実際に主人公には見えているとすると、こんな状態になるシリアルキラーの症例は存在するのだろうか?私は知らない(私がそういう症例を知らないだけかもしれないので、無碍に批判するのもどうかとは思いつつも、『クリミナル・マインド』のように考証をしっかりしようという意思の強い作品を観ているせいか、本作はウソくさく見えて仕方が無い)。実際のシリアル・キラーたちを賞賛する気はもちろん無いので誤解しないでほしいが、連続殺人についてのこれまでの研究・調査・捜査してきた人がバカにされているような気になってしまったのだが、考えすぎか?
それに、主人公ともう一人の自分の人格に、さほど差が見られないのもピンとこない。はじめは、もう一人の方が犯罪傾向が強く、主人公はそういう衝動がほぼ無いのかと思っていたら、主人公だって実際は殺人中毒で、犯行に及んでしまえば違いはない。何でこの二つの人格が会話するのか、それにどういう演出的意味があるのか、私にはさっぱりわからない。後始末のときに主人公が苦悩するのを、もう一人が見ているところなんか、それが何だというのやら。なんとなく連続殺人鬼モノをつくりたくなって、雰囲気で作っているのではないかと、疑いたくすらなる。
以下、ネタバレ注意。
デミ・ムーア演じる女刑事と盗撮男との件を解決する流れの他に、血を受け継いでしまった娘に対して、シリアルキラーが苦悩するという、今まであるようでなかった要素を加えた点については、なかなかの慧眼といえる。しかし、その二本の線は、特に絡まりあうこともなく、ただ併走してだけに私には見える。娘のために主義に合わない犯行を犯していくのなんか、充分に絡んでいるじゃないか、、、という意見もあるだろうが、それは単に、表の顔を保持するための方便であって、娘への苦悩から発露した行動ではなかろう。もうすこし、ストーリーを練り上げれば(別の脚本家に協力を仰ぐとかすれば)、なかなかの作品になった可能性はあると思うのだが、ケヴィン・コスナーが製作に加わっているような状態だし、仲間うちで都合のいいようにやってた結果なのかもしれない。
とにかく、あのもう一人の自分みたいな演出は不要。それ無しで、その分、ストーリーを練り上げるほうにパワーを向けるべきだったろう。映画的に、この演出から何もいいことは生まれておらず、無駄なギミックだと思う。
『スタンド・バイ・ミー』の監督・脚本コンビなのだが、イマイチ、ピリっとしない。映像面も気に喰わない部分が多い。画質もカット割もイマイチ映画っぽくなく、なにやらTVのスペシャルドラマを見せられているような感じで安っぽい。おまけに。最後なんて夢オチではないか(まあ、あれが夢でなくて事実だとしても、つまらないのだけど)。こういういろいろな悪い要素が集合して、どうも観終わった後に、ムカつくような感情が胸に残る。お薦めしない。
公開年:2002年
公開国:アメリカ
時 間:119分
監 督:チャールズ・ストーン三世
出 演:ニック・キャノン、ゾーイ・サルダナ、オーランド・ジョーンズ、レナード・ロバーツ、GQ、ジェイソン・ウィーヴァー、アール・C・ポインター 他
ノミネート:【2003年/第12回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(ニック・キャノン、ゾーイ・サルダナ)
コピー:未体験のビート、驚異のマーチング・バトル!
天才的なドラム・テクニックを持つニューヨーク・ハーレム育ちのデヴォンは、その才能が認められてアトランタのA&T大学に奨学金を得て入学し、名門マーチング・バンドに入る。A&T大学はライバル校モーリス・ブラウン大学との優勝を賭けたバンド対決を控えていた。入部早々鮮やかなテクニックで周囲を圧倒するデヴォンだったが、驕った言動から他のメンバーや監督との間で軋轢を生んでいき…というストーリー。
日本でもスポーツ競技のハーフタイムで、マーチングバンドやチアは登場するが、ここまでバンド自体の競技色が強いことはないでしょう。完全スポーツ競技だ。アメリカではどこでもこんな具合なのかはわからないけれど、なんでもかんでも競技にして鼻息を荒くして争うなんて、実にアメリカらしい。まあ、本作のようなのは、争いが良い意味で昇華しているいい例だが。
残念ながら、若者の成長物語としては、実に平板で薄い内容。誰一人、脱落するわけもないし、抗うことができないような運命を受け入れざるを得ない人が登場するでもない。傲慢な主人公が、それを思い知らされて変わっていくのかと思いきや、ヘコみこそすれど、たいして成長するわけでもない。主人公に限らずキャラクターのバックボーンが見えないから感情移入もできない。主人公の父親のくだりなんて、あってもなくてもどうでもいいんじゃないだろうか。素人もどきの脚本と言い切ってもいいかもしれない。そのくせ2時間近い上映時間(1時間20分くらいでちょうどいいようなきがする)。
しかし、それとは裏腹に、マーチング・バンドのシーンは、燃える。純粋にとにかくかっこいいと思う。楽器を始めたばかりの子に見せたら、かなり興味をもつに違いない。要するに、ただ、そこを観せたい映画なのだね(そういう意味でなら成功しているといえるのだろう)。
でも、やっぱり、ただただ、それだけしか無い。最後の勝負だって、なにがどうで勝利したのか、さっぱりわからないから、達成感なし。
本作は特にお薦めはしない。観ても時間の無駄だとはいわないけれど、わざわざレンタル代を払ってまで観るべき作品ではない。TV放映してたり、友達が持っていたら借りればいい…くらいの内容。
#エンドロールのデザインはちょっと格好いいかな。
公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
出 演:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、アビゲイル・ブレスリン、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン 他
受 賞:【2006年/第79回アカデミー賞】助演男優賞(アラン・アーキン)、脚本賞(マイケル・アーント)
【2006年/第32回LA批評家協会賞】ニュー・ジェネレーション賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス、マイケル・アーント
【2006年/第60回英国アカデミー賞】助演男優賞(アラン・アーキン)、オリジナル脚本賞(マイケル・アーント)
【2006年/第22回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、監督賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス)、助演男優賞(アラン・アーキン、ポール・ダノ)、新人脚本賞(マイケル・アーント)
【2006年/第12回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞、脚本賞(マイケル・アーント)、若手男優賞(ポール・ダノ)、若手女優賞(アビゲイル・ブレスリン)
【2006年/第19回東京国際映画祭】最優秀監督賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス)、最優秀女優賞(アビゲイル・ブレスリン)
【2006年/第32回セザール賞】国映画賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス)
コピー:夢と希望を乗せて、黄色いバスは行く
アリゾナ州に住むフーヴァー一家は、問題を抱えた人間揃い。父親リチャードは人を見下した人生成功理論を振りかざし、それを出版して一儲けを目論む。長男は、そんな父親に反抗して無言の行を続け、9歳の妹オリーヴは無謀にもミスコン優勝を夢見る。ヘロイン常習の祖父は好き勝手を言いたい放題。そこへゲイで自殺未遂をした伯父が加わり、ますます混沌とした状態に。母親はそんな彼らをなんとか取り持とうとするが一向にバラバラのまま。そんな時、オリーヴ念願の美少女コンテスト出場のチャンスが訪れるが、旅費節約のため、壊れかけのミニバスに家族全員で乗り込んで、開催地のカリフォルニアを目指すことになるのだが…というストーリー。
昨日の『ダック・シーズン』のがっかりを、一気に挽回させてくれた、傑作ロード・ムービーだ。
特徴的なキャラを設定して、あとは旅にでも出してみて、さてどうなるかな…的な感じの作り方で、もしかすると結果オーライ、偶然うまいこと仕上がったってことなのかもしれないのだが(監督にしても脚本家にしても、その後、活発に作品に参加しているわけでもないようだし)、仮にラッキーパンチだったとしても、喰らってみる価値のあるパンチだと思う。
むかついてくるくらいのダメ男ばかりのメンバーだし、旅程でのエピソードも突飛に見えるのだけど、冷静になって考えれば、言うほど常軌を逸しているわけでもないのだ(それが証拠に、始めは唯一のまともなキャラに見えた母親も、話がすすむにつれて、他のキャラと変わらなくみえてくる)。その絶妙加減が、“ゆるさ”に繋がって、なんともいえない雰囲気を作り出して、私は引き込まれた。
ミスコン出場をやめさせようとする家族の意見は、一昔前の日本で流行った「ナンバーワンじゃなくオンリーワン」的な考え方と捉える人がいるかもしれないが、私はそうじゃないと思う。だから、本作は勝利至上主義批判をしたい作品でもないと思う。だって、オンリーワンは、ある意味、負けを負けと認めない姿勢だけど、本作は負けは負けとしてまず受けきる…っていうプロレス的な姿勢でしょ。全然違う。
だから、壊れた家族がどうやって修復されていくか…ということを描いた物語だとも思わない。負けない人生なんて人生じゃないんだから、目を背けるなよ!っていうメッセージを、私は受け取った。だって全員負け犬で、その負けていることを認められないが故に、奇行に至っている人ばかりだものね。オリーブを守ろうとして、家族全員で揃って負けて、全員でその負けを正面切って受け切って、全員が飄々として笑ってるんだもん。こっちまで清清しくなってくるよ。
それにしても、幼女のミスコンなんざが各地で開催されているアメリカって所は、頭がおかしいよ。
あのミスコンを台無しにした家族のほうに嫌悪感をいだく人がいるのではないかと、私は、想像している(そういう輩は絶対いる)。趣味や考え方の相違なのでとやかく言うつもりはないが、そう思うような人とは、ちょっと友達にはなれませんな。単純に気色悪いでしょう。幼女に大人のまねごとをさせるのなんて。させるほうも、それを見て喜ぶほうも、性的倒錯者だよ。だから、オリーブが、ストリッパーまがいのダンスを披露したのには、拍手喝采。溜飲が下がるよ。なんでオリーブの踊りを見て、他の大人たちが嫌悪を抱いたかって、それは、一皮剥いた自分をみさせられたから。それでも、それが自分の姿であることに気付かないアメリカ人。救いがないね。
とにかく、傑作。引き合いにだして申し訳ないけれど、同じロードムービーの『僕の大事なコレクション』の2倍くらい面白い。強くお薦めする。
公開年:2004年
公開国:メキシコ
時 間:90分
監 督:フェルナンド・エインビッ
出 演:ダニエル・ミランダ、エンリケ・アレオーラ、ディエゴ・カターニョ・エリソンド、ダニー・ペレア、ディエゴ・カターニョ 他
ノミネート:【2005年/第21回インディペンデント・スピリット賞】外国映画賞
コピー:アヒルだって空を飛ぶ。
日曜日の昼、留守番を頼まれた男の子のフラマは、大親友のモコとTVゲームで時間をつぶすことに。そこへ、隣の部屋に住む年上の女の子リタが、オーブンを使わせてほしいと押しかけてくる。フラマとモコはピザを頼むが、しかし11秒遅かったと言いがかりをつけて支払いを拒否。すると宅配人のウリセスは金を受け取るまで動かない、と玄関に座り込んでしまい、四人の不思議な昼下がりが始まる…というストーリー。
他にも色々な映画祭で受賞しているようなのだけど、よく知らないので記載していない。特にヨーロッパでは高い評価を得ている模様。しかし、メキシコのアカデミー賞を総ナメ状態だったらしいのだが、私には「何が?どこが?」という感じ。
本作についてのコメントや紹介文をよむと、とても好意的であることが多いのだが、私にはピンとこなかった。さらには本作を“コメディ”と分類しているところもあるのだが、私は、一箇所たりともクスりともしなかった。“普通の昼下がりを淡々と表現しつつも、笑わせたりホロリと泣かせたりしてくれる…”とかいうご意見には、まったく共感できず。一生懸命良さを見つけようとしたが、どうも私とは合わないようで、お奨めしようがない。
別に、特段悪い作品だとは思わないのだが、ある日、こういうことがありました…。ああ、そうですか…。でおしまいな感じ。ホラー系の映画を3本連続で観せられた後に観たら、確かにほっと心温まるかもしれないけど…。
もうしわけない、本作についてはこれで勘弁して欲しい。毒の無さ加減が、まったく私の好みとズレていた…ということで。
公開年:1982年
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:ジョージ・ロイ・ヒル
出 演:ロビン・ウィリアムズ、メアリー・ベス・ハート、グレン・クローズ、ジョン・リスゴー、ヒューム・クローニン、ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ 他
受 賞:【1982年/第48回NY批評家協会賞】助演男優賞(ジョン・リスゴー)
【1982年/第8回LA批評家協会賞】助演男優賞(ジョン・リスゴー)、助演女優賞(グレン・クローズ)
子供は欲しいが夫は欲しくないというポリシーの看護婦のジェニーは、意識不明の傷病兵と一方的にセックスし妊娠。生まれた子供はガープと名づけられ、ジェニーはその子をひとりで育て、高校に通わせる。やがてガープは作家になり、レスリング部のコーチの娘と結婚し、よき父親となる。一方、ジェニーは 『性の容疑者』という題名の自伝を書いてベストセラー作家になり、一躍フェミニストたちの憧れの的になる。彼らは幸せな人生を送るかに見えたが…というストーリー。
アメリカでは1980年あたりに大ベストセラーになった小説が原作らしいのだが、本作を観た限りで言わせてもらうと、原作の面白さをそのまま映像作品にすることには失敗したようだ。
おそらく原作は、当時の時代の空気を、ジョン・アーヴィングの口から毛穴から取り込んで、すべてを指先に集めて書いたような、作品なんだろうなと、なんとなく匂いは感じる。しかし本作は、動いている時代の波のようなものが一切感じられず、そこには、周囲の人間や社会を気遣っているようなことを口ではいうが、決定的に他者に共感する能力が欠けている人間ばかりが登場する。私はいささか気分が悪くなってしまった。
ネタバレにもなってしまうが、、、、見るに耐えないようなくだらな事故で、子供一人を殺し、もう一人の子供の体に瑕疵をつくるようなことをしているのに、周囲の大人が一番に気にしているのは、バカな大人を救うことである。胸クソ悪い話にもほどがある。
137分もあるのに、脚本の構成がものすごく悪いせいか、メリハリがない。質のいい原作におんぶに抱っこで、とりあえずなぞりさえすれば何とか成立するとでも思っていたのではなかろうか。絶対にこんなレベルの内容がベストセラーになるわけがないとは思うので、原作はもっと違うと信じたいのだが、だからといって原作を読んでみる気をおこさせない。そんなレベルの映画だと、私は思う。好みは別れるところだが、私はお薦めしない。
#DVDに日本語吹替え音声がないところを見ると、TV放映は無かったんだろうな。まあ、感動させるわけでもないし、かといって深く考えさせたり、尖った表現があるわけでもないし、微妙な作品だもの。私がTV局の人間なら放映権は買わないもんなぁ。
公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:122分
監 督:マイケル・ムーア
出 演:マイケル・ムーア、ジョージ・W・ブッシュ 他
受 賞:【2004年/第57回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(マイケル・ムーア)
【2004年/第71回NY批評家協会賞】ドキュメンタリー賞
【2004年/第10回放送映画批評家協会賞】ドキュメンタリー賞
【2004年/第25回ラジー賞】ワースト主演男優賞(ジョージ・W・ブッシュ)、ワースト助演男優賞(ラムズフェルド国防長官)、ワースト助演女優賞(ブリトニー・スピアーズ、ライス大統領補佐官)、ワースト・スクリーン・カップル賞(ジョージ・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュ&ライス大統領補佐官、もしくはジョージ・W・ブッシュ&“彼の”『Pet Goat』)
コピー:それは自由が燃える温度。
2000年の大統領選挙にて混乱の末にブッシュがアメリカ合衆国大統領に就任。そして2001年9月11日、アメリカのニューヨークとワシントンをハイジャックされた旅客機が襲うという前代未聞のテロ事件が起きる。やがてテロの実行組織がオサマ・ビン・ラディン率いるアルカイダと判明し、アルカイダが潜伏するアフガニスタンを攻撃する。しかし一向に彼らを捕えられないまま、なぜか戦場はイラクへと移る。一連のブッシュ政権の行動に疑問を抱いたマイケル・ムーアは、様々な角度からその真相を明らかにしていく…というドキュメンタリー。
本作は非常にすばらしい作品である。数十年後にますます評価が高まる作品であると断言しよう。
なぜこんなすばらしい作品を撮る監督が、いまいち好かれていないのか?(特に本国で)。そりゃあ、真実をえぐりだすようなジャーナリストはいつも嫌われるものだよ…という人がいるかもしれないが、若干違う。それは、彼が手がけていたTVシリーズに原因がある。日本でも『マイケル・ムーアの“恐るべき真実” アホでマヌケなアメリカ白人』というタイトルでレンタルされているので観てみるとよい。「わかるんだけどさぁ。そのやりかたってどうなの?」のオンパレードなのだ(本作でもその片鱗はちょこちょこ見えるが)。正直、私はマイケル・ムーアという人間は大嫌いである。でも、それはそれとして、本作はよくできている。
ちょっと話は違うが…、中国は歴史教といってもいいくらい歴史を残すことに命をかけている。細かいことを言えば色々記述や描写の誤りはあるが、『史記』の司馬遷から歴史家としての姿勢は脈々と貫かれている。そんな中国でも、易姓革命が起こり皇帝の血筋が変わったからといって、すぐに前の代の歴史書はつくられない。なぜかといえば当事者がいる間は、感情的なバイアスが公正な目を曇らせるから(だから“清史”だって、まだ完成していない)。
だから、私は、数十年経った後に、ジョージ・ブッシュは、ヒトラーと並列で扱われると思っている。いくらなんでもそこまでは思う人がいるかもしれないが、わたしは予言する。絶対にそうである。
その理由はなにか。ヒトラーは全権委任法の成立によってワイマール憲法を殺した(憲法は他の法律とちがって、法を廃止しなくても執行する唯一の法律である)。私は社会科の教員免許をもっているが、自分の生きている間に、このような稀有な事件を遭遇することはないと思っていた。しかし、それはおこったのだ。それもなんと自由と民主主義の旗手であるアメリカで。「愛国者法」の成立はそのくらいの意味を持つのだ。残念ながら現在、アメリカの憲法は死んでいる(後世の歴史家が分析してくれることだろう)。
私はある自論ゆえに、本作を非常に興味深く観た。それは何かというと…。私は、現在の日本の議院内閣制は制度的(というか運用的)に疲弊してしまっていて、三権分立のカウンターバランスが効いていないと見ており、行政の長を大統領という形で選出することを考える時期にきていると考えている。ここまで話すと、「そうそう、私も首相公選制にすべきだと思うんですよ~」という輩が口を挟んでくる。私はそういう輩に、必ず質問するのだ。「あなたは、アメリカ大領領が、国民の直接選挙で選ばれていると思っているのか?」と。もちろんアメリカ大統領は直接選挙では選ばれていない。選挙人を選出し、彼らが投票する。それも1年以上の日数と膨大ない費用をかけて。なんでこんな面倒くさいことしているのか考えないのだろうか。これは、アメリカが誇れる発明である。答えを聞けば「なーんだ」と思うかもしれない。一つは衆愚政治を防ぐため。数ヶ月の選挙戦で投票になってしまったら、その時の雰囲気で簡単に誤った方向に倒れる可能性がある。1年以上選挙戦をやれば、否が応でもじっくり考えざるを得ないのだ。そしてもう一つは、立候補者のあら捜しだ。人間は完璧ではない。だれでも多かれ少なかれ脛に傷はある。短い選挙戦だと、それが隠し通せてしまうが、1年もやれば、ぽろぽろと漏れてくる。はじめは偉そうなこといっていた立候補者だって、私は過去にこんな過ちを犯したことがあるが、悔い改めてがんばりますと、謙虚になるのだ。こうやって、アメリカは“皇帝”の出現を防ぐ方法を発明したのだ。素晴らしい。
私は、これに習うべきだと常々考えていたのだが、本作を観て、考えを修正しなければならなくなったと考えている。残念ながら、立候補者に対するあら捜しはうまく機能せずに、ブッシュのような愚か者が選出されてしまい(本作だって、当選した後につくられたのだからその役目ははたしていない)、さらに「愛国者法」なるものまで生み、権利の簒奪を許した。これは、ジャーナリズムは機能しなかったことが大きいのだが、それは現在の日本でも同じことである。
現在の日本の首相も、行政の長がどういう立場を取るべきか、わかっているのかいないか甚だ怪しいことからわかるように、三権分立をより明確にする必要はあるのだが、そのためには憲法も変えねばいけないが、あまりにもあまりにも硬性憲法がすぎる。さてさてどうしたものかと思案を巡らせる日々である(って、私は何様なんだか…)。
とにかく本作は一見に値するので見て欲しいし、アメリカがどういう国かを理解する一助になると思う。特に、いまのトヨタ問題が、なにか怪しいなと感じるだろう(アメリカ政府はアメリカ自動車産業の大株主だしね。もっといろいろあるんだろうけど)。しかし残念ながら、またしてもイラク戦争と同じ結末になることを予言しておこう。日本がぐうの音も出ないように仕掛けたつもりだろうけど、結局日本が成長する材料を与えてしまっていることに彼らは気付かない。アメリカ政府はイソップ童話を読んで、感じるものが無いらしい。
まあ、今はだまって反論しないでいたほうがいい。ジャイアンが暴れているときに刃向かったって殴られるだけだから。しばらくすると、こっちのほうが有利になってるのだ。それに映画の時のジャイアンは役にたつからね。面倒くさいやつはうまく利用するに限るのだ。そのくらいのしたたかさというか小ズルさが、いまの日本政府に欲しいですな。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:126分
監 督:J・J・エイブラムス
出 演:クリス・パイン、ザカリー・クイント、エリック・バナ、ウィノナ・ライダー、ゾーイ・サルダナ、カール・アーバン、ブルース・グリーンウッド、ジョン・チョー、サイモン・ペッグ、アントン・イェルチン、ベン・クロス、レナード・ニモイ、クリス・ヘムズワース、ジェニファー・モリソン、ジミー・ベネット、ヤコブ・コーガン、ファラン・タヒール、レイチェル・ニコルズ、クリフトン・コリンズ・Jr、グレッグ・エリス、ケルヴィン・ユー、アマンダ・フォアマン 他
ノミネート:【2009年/第82回アカデミー賞】メイクアップ賞(Barney Burman、Mindy Hall、Joel Harlow)、視覚効果賞(ロジャー・ガイエット、Russell Earl、Paul Kavanagh、Burt Dalton)、音響賞[編集](Mark P. Stoeckinger、Alan Rankin)、音響賞[調整](Anna Behlmer、Andy Nelson、Peter J. Devlin)
【2009年/第63回英国アカデミー賞】音響賞、特殊視覚効果賞(ロジャー・ガイエット、Russell Earl、Paul Kavanagh、Burt Dalton)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞、メイクアップ賞、視覚効果賞、音響賞、アクション映画賞
コピー:「LOST」『クローバーフィールド/HAKAISHA』のJ.J.エイブラムスが、次に何を仕掛けるのか──。
惑星連邦軍戦艦USSケルヴィンは突然の非常事態に見舞われ、キャプテン代理だったカークの父は自らが犠牲となって800人の船員を救った。カークはそのさなか生を受ける。22年後、カークは無軌道な青春時代を送っていたが、父の壮絶な最期を知る新型艦USSエンタープライズの初代キャプテンパイクから“父親を超える男になれ”と言われ、艦隊に志願する。それから3年、成績は優秀ながらもトラブルが絶えず士官になれずにいた。緊急事態が発生し同期隊員が出動していく中でも、謹慎処分を受けていたために待機を命ぜられた。しかし、友人の機転でUSSエンタープライズに潜り込むことに成功。そこには、サブ・リーダーとして搭乗しているバルカン人と地球人の混血・スポックがいたが、論理的な彼と直感で行動する男カークは対立してしまい…というストーリー。
私は根本的に“スター・トレック”というものをまともに見たことがない。夜中に再放送をやっている時に、「ああ、やってるんだぁ」程度。新しいTVシリーズになると、まったくついていける気配すら感じず。ということで、本作もおもしろいと思えるかどうか、甚だ不安だったのだが、“ビギニング”ものっぽかったので、おそらく大丈夫だろうということでレンタルしてみた。
展開にめまぐるしさは感じるものの、付いていけるレベル。知らないことが逆に功を奏しているのか、案外悪くないかも。スター・トレックを知らない人にも楽しんでもらえるように注力したことがよく判る。結論からいうと、青春SF作品として純粋に楽しめたので、そこそこお薦めしたい。観たことが無いからって除外している人には、杞憂だと言いたい。
#逆に、スター・トレックマニア(トレッキーっていうんだっけ?)にとってはどうなのかな?と思わなくはないけど。
所々で色んなキャラが、ドヤ顔っぽい感じでセリフをいっているカットがあるんだけど、おそらくTVシリーズを知っている人ならニヤリとするところなんだろうね。残念ながら、ミスター・スポックとミスター・かトーくらいしかしらないし。
以下、ネタバレ注意。
ビギニングものだと思い込んで観ていたのだが、これってパラレルワールドものだよね?多分、TVシリーズの世界とは違う時間の流れの作品?TVシリーズを知らない人が楽しめるようにしたこととトレードオフで、これまでのシリーズと辻褄が合わない部分が生じて、それについてファンから、ああだこうだと誹りを受けることを回避するためだろうか。とにかくこれは、“正史”じゃないんだろうなぁ。“ビギニング”と正面切って称していない理由は、これなんだね。
まあ、いずれにせよ、これを観たからといって、スター・トレックシリーズに足を踏み入れるか…というと、私はそうはならないかな。逆に、このパラレルワールドの続編が見たい。パラレルワールド・スタートレックのシリーズ化希望。
#ウィノナライダーは久々にみたけど、彼女をスポックの母役にする理由はなかったかな。例の事件が頭をよぎって、ちょっと邪魔くさい。
公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:ミシェル・ゴンドリー
出 演:ジャック・ブラック、モス・デフ、ダニー・グローヴァー、ミア・ファロー、メロニー・ディアス、シガーニー・ウィーヴァー、アージェイ・スミス、マーカス・カール・フランクリン、キシュー・チャンド、P・J・バーン、チャンドラー・パーカー、クィントン・アーロン 他
コピー:はっぴいえんどにリメイク中
マイクは、潰れかけのおんぼろレンタルビデオ店“ビー・カインド・リワインド”で働いているが、再開発の波が押し寄せ立ち退きをを迫られている。そんなある日、マイクは店長に留守を任されるが、友人のジェリーのせいで、商品のビデオテープが全てダメになってしまう。あわてた2人は、ビデオカメラ片手にダンボールや廃材を使ってリメイクし急場をしのぐ。ところが、そのチープな手作りビデオが何故か評判を呼び、2人は町の住人たちを巻き込み様々なハリウッドの名作、ヒット作を次々と勝手にリメイクし始めるのだったが…というストーリー。
昨日コメントした『ほぼ300』と同じで、アメリカだからできる映画だと思う。他国なら、素人が思いつきでリメイクして、それなりに面白くなるようなユニークな作品が、大量にあるなんてことはないから。
とはいえ、本作でリメイクされている作品の半分くらい、観てないなぁ(なんとなく判っちゃうんだけどね)。
でも、ダニー・グローヴァーは、まじめに演じているけどシチュエーション的におもしろい…みたいな、『リーサルウェポン』みたいなのはいいだけど、本作みたいな正面切ってのコメディー作品は向いてないねぇ。とはいえ、一番笑ったのは、『ドライビングMissデイジー』をリメイクしているところだったけどね(観てくれればわかる)。
それもそうなんだけど、ジャック・ブラック以外だと成立しない映画かもしれないんだろうな。他の役者がやれてるところを想像できない。
これまで、ミシェル・ゴンドリー監督の作品は『ヒューマンネイチュア』『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』と観てきて、全部好きだったんで、本作も期待してたんだけど、“映画をリメイクする”っていうアイデアだけだったことと、ジャック・ブラックの演技に頼りすぎたせいで、ラストの感動(になるはずの)シーンもいまいち盛り上がりに欠けてしまった。もう一つ二つ、別のキャラのサイドストーリーをからめて厚くするとよかったのかもしれない。
決して駄作ではないけれど、凡作の粋を超えようとして超えられなかった線だと思ってくれればいい。何も観たいのが見つけられないときにはいいかも。
邦題は、ぜんぜん内容とマッチしてないし、言葉の響きもイマイチだし、根本的に意味不明なんだけど、かといって本作に邦題をつけるのって、実は難しいよね。“ニュー・ビデオ・パラダイス”とか?(ダメだね)
案外、コピーが邦題でもよかったかもね。
#でも、モス・デフ演じるマイクが、『ドライビングMissデイジー』のリメイクを作るのを嫌がったのって、『ドライビングMissデイジー』が嫌いだったから?それとも逆に好きだったから??見直して確認する気なし。
公開国:アメリカ
時 間:87分
監 督:ジェイソン・フリードバーグ、アーロン・セルツァー
出 演:ショーン・マグワイア、カーメン・エレクトラ、ケン・ダヴィティアン、ケヴィン・ソーボ、ディードリック・ベーダー、メソッド・マン、ジャレブ・ドープレイズ、トラヴィス・ヴァン・ウィンクル、フィル・モリス、ジム・ピドック、ニコール・パーカー、アイク・バリンホルツ、クリスタ・フラナガン、ハンター・クラリー 他
300をメインに、色々な映画を下品にパロディーにしたコメディである。
あまりこういう種類の作品に対して、コメントはしたくはないのだが、あえて。コメントするかしないかは別として、私はこの手のパロディムービーはけっこう観る。大抵は下ネタとか芸能ゴシップネタばかりなのだが、たまに、デキのいいパロディがあるからね。
残念ながら、本作は日本未公開で、未公開なのも、さもありなんというレベル。映画のパロディとしてはまあまあ、わかりやすい元ネタを扱っているのだが、如何せん芸能ネタがいまいちピンとこない。
よくハリウッド映画に対して批判的な意見がある(似たような質の映画ばかり…とかね)。しかし、少なくともパロディ映画がコンスタントに製作されるということは、個性的な作品が目白押しの活発なマーケットだということの証だ。いくら批判しようが、他国ではまずありえない現象である。映画の質はマーケット規模とは無関係という人もいるだろうが、健全な競争が、良い作品が生む一つのエンジンであることは否定できない。
日本で、このようなパロディ映画はありえない。こんな個性的な元ネタになるような映画が、毎年毎年はないだろうから(あったとしても、過去の名作をひっぱりだしてこないと成立しない)。
それにパロディ映画、パロディ映画というが、おそらく、本作の制作費は、そこそこの日本映画のそれよりも高いに違いないしね。
で、それはそれとして本作はどうかというと、さほど面白くないので、わざわざ観なくてもよい。笑おうと思って借りても、裏切られる可能性が高い。100円レンタル期間なら、ギリギリセーフというところか…。
公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:92分
監 督:エリック・ブレヴィグ
出 演:ブレンダン・フレイザー、ジョシュ・ハッチャーソン、アニタ・ブリエム、セス・マイヤーズ、ジャン・ミシェル・パレ、ジェーン・ウィーラー、フランク・フォンテイン 他
トレバーは、10年前に行方不明となった兄の遺志を継ぎ、地質構造学教授として地球内部に関する研究を行っている。ある日、兄の息子ショーンを預かることになったトレバーは、ショーンの愛読書『地底旅行』の中に、兄が書き記したメモを発見。それが兄の失踪と関連があると考え、調査のためにショーンと共にアイスランドへと向かう。そして、現地の山岳ガイドのハンナを雇い、『地底旅行』に“地球の中心に繋がる入口がある”と書かれているスネフェルス山へ向かうのだが…というストーリー。
『キャプテンEO』の監督なので、ディズニーランドと関係があるのかと思い込んでいたが、ギャガ配給でディズニーとは関係無かった。でも、本作を観たら、久々にディズニー・リゾートに行きたい気分になってしまったよ(とはいえ、家族がジェットコースター系が嫌いなので、シーのアトラクションのセンター・オブ・ジ・アースは乗ったことがなんだけどね…)。
公開時は3D映画として、ちょっと高めの価格設定だったけど、DVDはもちろん2D。よく赤と青のめがねをかけてみるタイプならDVDでもあるんだけど、本作は特殊な3D用の偏光メガネだと思うので、家庭のモニタでは実現不可能(だろう)。おそらく、魚や蝶なんかが飛び出して見えたんだろうと思う。
残念ながら映画単体としては三流のデキで、3Dによる見世物小屋的要素があって、はじめて二流映画になる…ってレベルなのは残念なところ。ほんとうに、ストーリーやアクション要素にひねりや工夫がなくって…。
まあ、こういうレベルなのはわかっていたんだが、あえて観た理由は『アバター』大はやりだから。キャメロン監督は、今後3D映画以外は撮らないくらいのことを言っているみたいだけど、私は、そんなに3Dは楽しいか?という疑問を持っている。かつて、無声からトーキーに、白黒からカラーに…と、技術向上による革命はあった。そして、そのたびに、新しい技術に対する的外れな批判があった(味がないとかね)。私も昨今の3Dによる技術革命に対して、過去のみっともない批判と同じ轍を踏みたくは無いのだが、3Dに関してだけは否定的である。少なくとも、映画の主流が3Dになるとは思えないのだ。
まず、3Dの定義だが、本作のように、ただ飛び出すだけのものは、3Dと呼べないと、私は思う。本当の3Dというのは、例えば、人の顔が映っているとすると、観ている自分が右にずれると、正面から見えない耳の穴が見える…というものこそ3Dなのであって、今の3Dはただの飛び出す絵本なのだ。
さらに、本当に技術向上がなされたとして、角度によって見える画が変わることが、映画にとって必要か?見えてはいけないものが映っていないか、可能角度から全部観てチェックするのか?第一、観る人によって観る画が違うなんて、映画監督として我慢できるか?
まあ、いまの技術は、2つのカメラで撮った映像を両眼別々に見せるだけで、そんなホログラムみたいなのじゃないんだけどね。まあ、始めはスポーツ中継とかで使われるとおもうけど、3Dとは言え、結局視点は強制的に固定させられるので、疲れますよ。
閑話休題。本作はローティーンの子供と一緒に観るぶんには楽しめると思う。ディズニーランドにいきたいよーといい始めても知らないけど。いい大人が観て楽しめるかどうかは、すこし疑問だけど。
公開年:1988年
公開国:アメリカ
時 間:126分
監 督:アラン・パーカー
出 演:ジーン・ハックマン、ウィレム・デフォー、ブラッド・ドゥーリフ、フランシス・マクドーマンド、R・リー・アーメイ、ゲイラード・サーテイン、スティーヴン・トボロウスキー、マイケル・ルーカー、プルイット・テイラー・ヴィンス、パーク・オーヴァーオール、ケヴィン・ダン、バディア・ジョーラ、トビン・ベル、リック・ウォッシュバーン、トム・メイソン 他
受 賞:【1988年/第61回アカデミー賞】撮影賞(ピーター・ビジウ)
【1989年/第39回ベルリン国際映画祭】男優賞(ジーン・ハックマン)
【1989年/第43回英国アカデミー賞】撮影賞(ピーター・ビジウ)、編集賞、音響賞
1964年の夏、ミシシッピー州ジュサップの町で、三人の公民権運動家が行方不明となる。その捜査のためにFBIは、元郡保安官でt叩き上げのルパートとハーバード大出のエリートであるアランを派遣する。しかし、町の人々はあからさまに敵意を示し、さらに少しでも彼らに協力的な態度を見せた人間は、家を焼かれたり、リンチにあうなどし、口を重く閉ざすことになるのだった。遅々として捜査は進まず苛立つアランに対し、ルパートは、保安官スタッキーの仲間たちが事件に関わっているという確信を抱くのだが…というストーリー。
三人の公民権運動家が殺害される事件は史実であるが、その時の捜査官の働きっぷりについてはフィクションのようである。ただ、当時の町の状況は本作どおりのようだ。
ジーン・ハックマン演じるルパートは「南部の白人が本当に憎んでいるのは黒人ではなく貧しさなんだ」と語るが、これはある意味、真実である。自論だが、この世の人間がとる行動には二種類がある。それは、自分が他人より優位に立ちたい場合に、自分の能力を高めようと努力するか、周りの人間を落としめて相対的に自分を上位にするかのいずれかである。あなたの周りにも、後者の行動をとっても、はずかしともなんとも思わない人間が必ずいるはずである。
人間は物事(特につらいこと)の理由を考えてしまう。何で私だけこんなにつらいのだろう…と。そして答えがみつからない場合は、容易な答えをさがしてきて納得しようとする。アメリカ南部の白人も、自分の貧しさの理由を、黒人のせいだと結びつけた(性格にはWASP以外だが)。その結びつけは、当初はおふざけのようなものだったかもしれないが、次第にもっともらしい理論形成をしていく。その中で子供が成長すると、その理屈の産まれた経緯は忘れらされ一人歩きする。もうこうなると止められない。産まれた理由は消失しているのだから、自然現象のようにそれが正しいと信じて疑いすらしない。他州の人間から非難されても、何を馬鹿なことを…という反応になるのは、もっともなのだ。
今では黒人の大統領が生まれ、本作の舞台であるフィラデルフィアにも黒人市長が生まれている。隔世の感はあるが、現在でもKKKは存在するし、人種差別という言葉が死語になったわけでもない。
人種差別は、無知や無慈悲さや不正な教育のせいで生まれると思う方もいると思うが、発端は自己顕示欲の間違った発露によっておこる。規模は小さいがいじめも同じロジックで発生すると私は思っている。
話は変わるが、そういえば、本作の元ネタである三人の公民権運動家殺害事件の容疑者(KKKのメンバー)が2005年になって逮捕されるというニュースがあったと思う。それも、死刑に時効がないからなのだが、最近の日本でも死刑の時効撤廃が考えられているところで、地味に結びつく。
もしかすると、本作は、今こそ観るべき映画なのかもしれない。ジーン・ハックマンの演技もものすごくよい(同じ刑事を演じた『フレンチ・コネクション』よりも、本作のほうが好きである)。未見の人は、是非観て欲しい作品だ。
公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:ウェス・クレイヴン
出 演:メリル・ストリープ、アンジェラ・バセット、グロリア・エステファン、エイダン・クイン、クロリス・リーチマン 他
ノミネート:【1999年/第72回アカデミー賞】主演女優賞(メリル・ストリープ)、主題歌賞(ダイアン・ウォーレン “Music of My Heart”)
コピー:いま 聞こえる―― 50人の子どもたちが弾く50挺のヴァイオリンの奇跡
夫と別居することになったロベルタは、友人の紹介でバイオリンの腕を活かしてハーレム地区の小学校でバイオリン・クラスの臨時教員となる。当初は真剣でなかった子供たちだが、彼女の熱心な指導でみるみる上達。やがて彼女のクラスは人気授業となっていった。しかし、10年後、彼女のクラスは市の予算削減のため打ち切られることになる。彼女はクラス存続の資金集めのためコンサートを企画するが…というストーリー。
『陽のあたる教室』のようの音楽モノだけど、実話ベースの物語なので、作為的な盛り上げエピソードは無くって、悪く言えば淡々と流れる内容なのだが、抑えめの感じが逆によい結果に(フィクションなら、引っ越したインド系の女の子は、舞台に立ちそうだものね)。
ラストのほうで母親が、「今日があるのは彼(元夫)が出て行ったおかげよ、、」というセリフがとてもよい。私は、人ってそういうことを感じるために生きていると信じているから。
ラストのバイオリンの音色にもかなりグっときてしまった。若造のころはバイオリンの音なんてなんとも感じなかったのだけどなぁ…。年を重ねるとモスキート音が聞こえなくなるというけれど、高音域がカットされて心地よい音に感じられるようになったのだろうか。
ということで、メリル・ストリープの一人舞台って感じはしないでもないんだけど、本作はグっときてばかり。好き嫌いは別れると思うが、泣かせられたくはないけど、ほんわかしたい気分には浸りたいってときには、お薦めする。
#もし、自分に孫ができて、楽器を弾くようなことがあったら、私が死ぬまでにカーネギーにつれていってくれ…と言って見たい。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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