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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:ニール・ブロムカンプ
出 演:マット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャールト・コプリー、アリシー・ブラガ、ディエゴ・ルナ、ワグネル・モウラ、ウィリアム・フィクトナー、ファラン・タヒール、ブランドン・オーレ、ジョシュ・ブラッカー、エマ・トレンブレイ、ホセ・パブロ・カンティージョ 他
コピー:彼の余命は、あと5日――。



2154年。人口増加と環境破壊で荒廃が進んだ地球では、富裕層だけが400キロ上空に浮かぶスペースコロニー“エリジウム”に移住していた。エリジウムは、完全管理された清浄な環境。さらに、あらゆる病気を正確に診断し瞬時に治療してしまう医療ポッドがあり、人々は快適で安全な生活を謳歌していた。一方、地上は人口過密がさらに進み、犯罪と貧困が蔓延していた。マックスは強盗の罪で収監されていたが、心を入れ替えてロボット工場アーマダイン社での過酷な勤務を続ける毎日だった。そんなある日、マックスは工場のラインで大量の放射線を浴びる事故に遭ってしまう。余命5日と宣告された彼は、エリジウムにあるという医療ポッドで治療を受けるために、かつて付き合いのあったレジスタンス組織と接触。エリジウム行きのチケットを要求。しかし、交換条件として提示されたのは、とある作戦を遂行する工作員となることだった…というストーリー。

主人公は元犯罪者で今も自分の命のために不法行為を犯そうとしている人間。だから感情移入できないとか野暮なことは言わない。相手もクソ組織だからね。ある意味、崩壊社会であがく、虐げられた階層民による立派なレジスタンス物として成立しているとは思う。『第9地区』の監督さんなだけあって、スラムの描き方は堂に入っている。

ただ、なんでもかんでもバックボーンを丁寧に説明するのが良いわけではないのだが、本作は表現不足が目立つと感じた。
悪い舞台設定ではないのが、医療ポッドを地球の人間が使えない理由がわからないのが、非常に難点だと思う。別に貧しい人がそれを使用したからといって、上の人間がこまることなどあるのだろか。ものすごくコストがかかるからなのか。たんなる嫌がらせなのか。前者ならばそのコストについて説明が必要だし、後者ならば、上の人間は不作為を装いながらも、地球のゴミ虫みたいな人間達を滅ぼそうとしているとか、完全な選民主義思想に支配さえているといった明確な描写が欲しいところ。地上の民はなにか搾取されていたのか?奴隷的労働力として扱われているという構造が、しっかり描かれていない。

製作側からすれば、きちんと表現してるのよね?と言いたいところかもしれないが、残念ながら薄い。差別構造だけが表現されていて、そのバックボーンに深みがないから、いささか説得力にかける設定になってしまっている。

誰しも死にたくないに決まっているのだが、かといってそこまでの生への執着がどっから生まれているのか、その根源がよくわからない。元々彼が成し遂げようと思っていること(彼が犯罪組織から距離を置いている理由)があるとか、何か守ろうとしているものがあるとか、そういう設定が必要だと思う。

ストーリーの肝である、脳にあるエリジウムの再起動データ。再起動データっていうのが、もっともらしいだけで何を指しているのかよくわからなかったりする。起動時のパラメータか?起動パスワードではなさそう。まあいいや。それはそれとして、頭かからデータを抜くとき、コピーじゃなくて移動しかできない模様。そして死ぬと消えるらしい。人なんだから、不慮の事故で死ぬこともあるだろう。死んだらデータ喪失しちゃう設定らしいのだが、そんなデータをバックアップもなしに人の頭に入れておくことが、あまりにもリアリティがない(というか、設定上の欠陥としか思えない)。

なんとなくの演出なんだとは思うが、服の上から器具をつけた意味もわからない。
限定クラウドって、劇中の意図だともうクラウドじゃねえな(笑)。クラウドって言いたいだけか。
屋内に梅が咲いている意味が不明(っていうか、桜のつもりかも)。

こういう設定上の馬鹿馬鹿しさに気付かなければ非常におもしろいお話ではある。また、兵器のギミックのセンスがものすごく良い。対象にくっつけて任意のタイミングで爆発させるやつとか、電子シールドとか、本当に面白い。本気で開発したくなるレベル。
また、エリジウムの法制度が、大日本国帝国憲法ばりの欠陥構造をもっており、軍に首根っこをつかまれやすいという点もおもしろい。

ジョディ・フォスターの扱いが、ある意味痛快。純粋に演技なのか、彼女の人間性からにじみ出ているものなのかはわからないけど、クソみたいな死に方をしたことは本心で快感だった。彼女の悪役演技はすばらしい。お似合いだ。この路線で進むべき。

最後の救世主要素もいまいち薄っぺらだった。おかげで幼馴染の子供のくだりも冗長に感じてしまったほど。やっぱり、デザインや映像は最高なのに、設定やシナリオがクソで、凡作に成り下がってしまっている残念な作品。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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