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image1242.png公開年:1926年 
公開国:ドイツ
時 間:104分
監 督:フリッツ・ラング
出 演:アルフレート・アーベル、ブリギッテ・ヘルム、グスタフ・フレーリッヒ、フリッツ・ラスプ、ルドルフ・クライン=ロッゲ 他





労働者達は地下深くでの生活を強いられ、家畜同然の労働をさせられている。一方資本家たちは、地上で楽園のような生活をおくっている。ある日、偶然にも社長の息子が地下に降りて、労働者たちの悲惨な生活を見てしまう。そこでは、労働者の娘マリアが、労働者と資本家の間に、人間らしい心の絆が必要であることを説き、目覚めた労働者たちのストライキの気運が醸成されていた。それを察知した社長はマリアを監禁し、彼女そっくりの人造人間を地下に送り込み、労働者達をコントロールしようと考えるのだが…というストーリー。

淀川長治総監修の世界クラシック名画100選集のうちの1本に本作が入っているのだが、その収録時間は94分ほど。BSで放送されるのは2時間ほどで、違う版なのか?と思い、見せていただいた。

さて、このBSで放送されたのは何版か。放送の冒頭では、“現存する部分を編集し原版に近づけたものである”とある。さらに“オリジナルの字幕に加え、紛失した部分を原作で補い、物語の助けとした 映像の欠損部分は黒いフィルムを挿入してある”とのこと。
完全版に近い2008年の150分版ではもちろんない。2002年に新発見フィルムを再編集した版というのが123分なので、これだろうか(しかし放映時間が正味二時間未満だったので、微妙に違うような)。もちろん、1984年のジョルジオ・モロダー版ではない(ウィキペディアで調べると、ロック調の音楽で一部カラー版とあるので)。DVDは字幕が英語だからアメリカ版か?でも最後、社長と労働者は握手してるぞ。あれ?根本的に淀川長治総監修のDVDは何版だよ?!う~ん。結局、どういう版なのか全部わからなくなる始末(笑)。ご存知の方がいたら教えて欲しい。
#ちなみのDVDの音楽はジャズ調で、BS放送はクラシック調。で、両方観たのだが、明確にどのシーンが追加されたのか良く判らなかった。短い方がテンポが良くてまとまりがいいかもしれない。

ただBSで放送されたものは、なんといっても、DVD(おそらくパブリックドメインになったフィルムをそのままDVDにしたもの)よりも、格段に画質が良かった。DVDでは、評価の高い美術部分がぼんやりしてさっぱりわからないのだが、BS放送ではクッキリはっきりで、「こんな綺麗だったのか!!!!」といたく感動。『砂の惑星』に劣らない、直線と曲線の美学の素晴らしさよ。いやあ、良いモノを観た。
#DVDは観続けるのがつらくなるほど画質が汚い。

『戦艦ポチョムキン』と同様で、当時の資本主義と共産主義の対立構造をテーマにした作品で、同時の社会情勢がよくわかる一本。いささか抽象的な表現が過ぎる気もするが、無声にもかかわらずストーリー構成もわかりやすく、あまり説明を読まなくてもスッと入ってくる点は秀逸。
どちらかといえば共産主義を良しとしているように見え、これからナチスによる国家社会主義に向かおうとする国でつくられた映画というのが、興味深い。別に明示的にナチスや共産主義を賛美しているわけではないが、こういう視点の作品がヒットする土壌というのが、全体主義の悪魔に付け入る隙を与えるのだな…と。単なる身近な生活の不満を体制の責任と断罪し、体制を倒すぞ!と息巻いて無法を働く民衆というのは、悪魔にとってはおいしいエサということだ。
#さてさて、昨今のエジプトには、どんな悪魔が寄って来ることやら。

現在の状況への不満だけで政権交代をさせて、「やってやった!」感まるだしだったここ数年の多くの日本人も、似たようなものか。子供手当て以上に増税されることなど、初めからわかっていたのに、いまになって平気の平左で「話が違う」とブーブー言っている姿が滑稽でならない。おめでたい人ばかり。
まあ、そういう人々にはいくら正論をいっても無駄なことはわかったし、大衆とはそういうものなんだ…と勉強になったと、思い込むことにしている。
本作を観ていると、多分、日本でも悪魔がペロペロ舌なめずりしているんだろうな…と。いまだに大連立の話が出るものね。いまや各界で主導権を握る“学生運動からの転向組”の眠っていた遺伝子が発動しはじめるのかもしれない。

なにか、今の社会情勢を踏まえて改めてみると、妙に感慨深い作品。軽くお薦め。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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