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image2168.png公開年:2010年
公開国:アメリカ、アラブ首長国連邦、ポーランド
時 間:134分
監 督:ピーター・ウィアー
出 演:ジム・スタージェス、エド・ハリス、シアーシャ・ローナン、コリン・ファレル、マーク・ストロング、グスタフ・スカルスガルド、アレクサンドル・ポトチェアン、ゼバスティアン・ウルツェンドウスキ、ドラゴス・ブクル 他
コピー:生きるために 歩く。
シベリアからインドまで6500kmを踏破した男達の真実の物語

1940年、スターリン体制下のソ連。ポーランド人兵士のヤヌシュ・ヴィスチェックは、スターリン批判をしたことと、スパイ容疑で逮捕される。無実だったが、ヤヌシュの妻が拷問された末に行った供述を元に、懲役20年を言い渡され、シベリアの収容所に送られた。寒さと飢えと重労働によって、死亡するものが続出。ヤヌシュは、収容所で親しくなったロシア人俳優のカバロフから、脱出する方法があると聞き、希望を持った。しかし、脱走したとしても、500kmも離れたバイカル湖に沿ってさらに南下し、モンゴルに脱出する必要がある。しかし、このまま収容所にいても生き残るのは難しいと考えたヤヌシュと他の6人は、脱出を決行。すぐにロシア兵に発見されるが、猛吹雪に助けられ、追っ手を巻くことに成功する。しかし、満足な食料も装備も持たない彼らは、早々に困窮し…というストーリー。

歩いて帰るっていう内容なので、タイトルは間違っていない。でも地味なので副題をつけたくなる気持ちもわかる。でも、“-脱出6500km-”はいくらなんでもダサいかな。
正直、コリン・ファレルを見て、ダメ映画かな?なんて、ちょっといやな予感がした。でも、案外マッチしてる良い役だったし、ほどよい途中退場具合。キャスティングのセンスを感じた。うん、邦題以外は、悪くない。アドベンチャー物としてはなかなか楽しめた。

あまりに過酷な状況で、普通なら絶対に挫けてしまうのだが、ロシア兵というか共産主義の波がどんどん迫ってくる恐怖が、彼らの背中を押す。しかし、ギャングまがいのヴァルカや、菓子職人に絵描きや地下鉄技師など、こんな特殊な状況でなければ、一緒に行動することはなかったであろう面々。誰かが裏切るのでは?という疑心暗鬼も相まって、緊迫感はさらに増す。そして、案の定力尽きる者が徐々に出てくる。

途中で合流するイリーナ役のシアーシャ・ローナンは、『ラブリーボーン』(2009)とか『ハンナ』(2011)の人。なんか、女が一人というシチュエーションにキナ臭いものを感じたが、そういう展開はなし(まあ、あったらかなりヒくが…)。でも、彼女の薄幸そうな容姿から、予想がつくと思うが、そういう展開になる。でも、衰弱する様子はなかなか説得力があった。
説得力という意味では、アメリカ人地下鉄技師ミスター・スミス役のエド・ハリスもなかなか。元々、頬もコケてるし、死にそうな感じはなかなかリアルだった。

軽くお薦めしたいところなのだが、ちょっと補足しておく。本作はまるで実話のような感じがする。実際、原作がある模様。でも、その原作の内容自体が、事実か否かかなり怪しいものだとWikipediaには書いてありますな(笑)。そう考えると、確かに、ちょっとあり得ない内容のオンパレードだ。

北海道のブリザードを歩いたことがある人間なら、ビバークでもしなけりゃすぐに凍死するし、歩けるような雪の深さではないことくらいわかるだろう(せめてカンジキくらいは自作しないとさ)。それに、真冬に食い物は本当にない。数週間歩き続けるのは無理だろう。
一番、私が疑問に思ったのは、砂漠を歩くところ。砂漠=暑いという発想なのか、まるでサハラ砂漠を歩いているような描写なんだけど、モンゴルの砂漠なんてそれほど暑くないと思うんだよね。また、ちょっと考えればわかると思うのだが、昼は砂をほって影とつくって睡眠し、夜に移動が上策だろう。なんで彼らは昼にあるこうとするのだろう…。

ミスター・スミスはチベットから中国に入り、アメリカ軍に合流すると言っている。中国と日本は戦争中。敵の敵は味方…という理屈はわかるが、別にアメリカ軍と中国軍がうまくやっていたわけでもなかろう。無理だと思うんだよね…。

いや、みんな、考えるな、感じろ。私が上に書いたことは忘れるんだ。そうすれば、楽しく観れる。あ、言い忘れたけど、ものすごく音楽が良い。

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