忍者ブログ
[1426]  [1425]  [1424]  [1423]  [1422]  [1421]  [1420]  [1419]  [1418]  [1417]  [1416
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

image2186.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:145分
監 督:犬童一心、樋口真嗣
出 演:野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充、上地雄輔、山田孝之、平岳大、前田吟、中尾明慶、尾野真千子、芦田愛菜、ピエール瀧、和田聰宏、谷川昭一朗、ちすん、米原幸佑、中村靖日、黒田大輔、古村隼人、チョロ松、水野駿太朗、笠原紳司、村本明久、西村雅彦、中原丈雄、鈴木保奈美、平泉成、夏八木勲、市村正親、佐藤浩市 他
受 賞:【2012年/第36回日本アカデミー賞】美術賞(近藤成之、磯田典宏)
コピー:この男の奇策、とんでもないッ!

戦国時代末期。天下統一を目前した豊臣秀吉は、最後の敵、北条家に総攻撃をかける。小田原城を包囲するとともに、支城を次々を陥落していく秀吉軍。秀吉は、周囲を湖で囲まれ“浮き城”の異名を持つ“忍城”を、2万の軍勢で落とすよう石田三成に命じる。忍城の城主・成田氏長は小田原城の援軍に向わねばならなかったが、本心では秀吉勢と対峙するつもりはなく、秀吉と密かに内通し安全を確保するので、秀吉軍が攻めてきたら開城するように、叔父の成田泰季に言い含めていた。しかし、成田泰季は直後に病に臥してしまう。代わって城を任されたのは泰季の息子・長親。いつも農民や子供たちと楽しそうに戯れているばかりで、“でくのぼう”を意味する“のぼう様”の愛称でよばれるほどで、武士たちからは嘲笑される存在。いよいよ忍城は包囲され、使者として長束正家が登城し、戦か開城かを迫ったきた。しかし、長束正家の秀吉の威を借りた不遜な態度に、気分を害した長親は、とっさに戦うと宣言。はじめは驚く家臣たちだったが、領民たちを護るという長親の強い意思に導かれ…というストーリー。

コピーにあるような、主人公・長親の奇策とやらが、それほどに感じられなかった。いや、歴史上の事実であることを考えれば、なかなかすごい行動であることは間違いないのだが、コピーが無駄にハードルを上げてしまったんだろう。配給会社が客との距離感をつかめていないってことなんでしょうな。
この無用なハードル上げがなければ、部下ばっかり活躍して、長親、城でドキドキしてるだけじゃん!出て行ったと思ったら踊っただけじゃん!っていうツッコミをすることもなかっただろう。

とはいえ、素直におもしろかったのは事実。私が感じた難点は次の3つだけ。

一つ目。秀吉が高松城を水攻めするシーン。大量の水についてはCGを使うのは問題はない。ヒキの絵の時はしかたがないと思うが、普通に本物の水をバシャっとやったほうが臨場感が出たであろうカットがある。「ああ、CGだな…」という違和感で気持ちが削がれた。石田三成が自分もやってみたいとゾクゾクするほどのシーンなんだから、きちんとつくるべきだったと思う。「あ、そこ、CG使うから、水しぶきが上がってるていで…」なんていう監督の指示が聞こえてきそう。そんな労力を惜しんで、客の心を離してしまっては、意味がない。こういう情熱を失った手抜きは嫌い。

二つ目。冒頭から43分ほど、宣戦布告するシーンまでが長い。なんとか25~30分にまとめられなかったものか。いや、後々を考えれば、大事なことばかりなのはわかる。長親はでくのぼうだが愛されているという描写。赤ん坊をあやすシーン。血気盛んな部下たち。甲斐姫のキャラ設定。秀吉や三成の性格設定。農家の若い夫婦のエピソード。全部、後半に繋がりはある。
原作を読んだら(私は読んでないけど)、きっと全部が大事な要素で、削れなくなったんだろう。わからんではない。でも、2時間程度の作品として魅せるためには、テンポは大事だよ。
原作と異なっても、いくつか削るべきだったと思う。私だったら、靭負が甲斐姫に恋しているという設定は切る。台詞まわしとかポジションを考えると、狂言回し的な使い方をしたかったのかもしれないが、できていない。冒頭と最後以外に甲斐姫に恋しているという描写はなく、それ以外で生きていない設定。無駄。
中尾明慶演じる農民が過去に妻を侍に手篭めにされた恨みをもっている…という設定も切る。元々侍が嫌いから長親も嫌いという単純な考え方だったのに、長うが撃たれたのを見るとゲリラ活動を始める。口では田畑を荒らしたからといっているが、水攻めしたら田畑が荒れるのはわかっているし、水攻めで妻子が死んだ可能性もあるのに動揺もしていない不自然さ。アンビバレントなキャラ設定ですっきりしない。
堤をつくらされてはいるが、水攻めに使うなんてことが、馬鹿すぎて気付かなかったという設定にして、いざ水攻めは始まって愕然。三成軍が、長親の踊りに注目している間に工作開始…という流れでよかろう。よって、戦にはならないと聞いていたのに戦にしてしまい、約束が破られたことに対して村を出た人間が少なからずいて、そいつらが堤を壊す…で問題なし。
長親が親には唯一頭が上がらないという設定はわかるが、開戦に至るまでのすったもんだは、いらなかった。倒れた後にすぐに死んで、長親に任せざるを得ないという設定に変更してよかったのではなかろうか。

三つ目。甲斐姫のオチ。歴史的に秀吉のお側に置かれるのは事実なので変えようが無い。いくらそういう時代だから仕方が無いとはいえ、ツンデレキャラにしておいて、あれは救いがないだろう。あの終わり方だと、長親はけっこうな人非人だよ。
こういうオチにしたいなら…戦国の世の常としてそうなる覚悟はできている、だからこの戦ではおもいっきりお転婆を発揮して、とことんまでやりつくす。やるだけやるけど、結果的に長親と甲斐姫の二人が領民のために身を切ることになる。実際に結ばれることのなかった二人だが、身を切った二人というシンパシーにより、夫婦以上の結びつきを胸に、その後も二人は生きていく。こうじゃいかんのか。

ここまで言うとお気づきかも知れないが、無駄に名前のあるキャストが使われている。正直邪魔。尾野真千子、芦田愛菜、市村正親は不要だったな。

長々と書いちゃったけど、難点はこのあたりだけで、概ねおもしろく観ることができた。歴史的に、本作にあったように水攻めに固執したのが三成だったか否かは怪しいところ。そこを無理やりくさいけど、たのしい味付けに仕上がっているのは見事。おそらく、良質の原作なんだろうね。
#ロケ地は苫小牧とのこと。たしかにそういわれれば北海道らしい雰囲気である。

 

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
リンク
カウンター
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
最新コメント
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[04/28 ETCマンツーマン英会話]
[10/07 絶太]
最新トラックバック
Copyright © 2009-2014 クボタカユキ All rights reserved.
忍者ブログ [PR]