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image0100.png公開年:2004年 
公開国:イギリス、フランス、ニュージーランド
時 間:124分
監 督:マイク・リー
出 演:イメルダ・スタウントン、フィル・デイビス、ジム・ブロードベント、ピーター・ワイト、ヘザー・クラニー、ダニエル・メイズ、アレックス・ケリー、サリー・ホーキンス、エディ・マーサン、ルース・シーン、ヘレン・コーカー、マーティン・サヴェッジ、アラン・コーデュナー、レスリー・シャープ、ジム・ブロードベント、フェネラ・ウールガー、リチャード・グレアム、シネイド・マシューズ、サンドラ・ヴォー 他
受 賞:【2004年/第61回ヴェネチア国際映画祭】金獅子賞(マイク・リー)、女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第39回全米批評家協会賞】主演女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第71回NY批評家協会賞】女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第30回LA批評家協会賞】女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第58回英国アカデミー賞】主演女優賞(イメルダ・スタウントン)、監督賞[デヴィッド・リーン賞](マイク・リー)、衣装デザイン賞(ジャクリーヌ・デュラン)、衣装デザイン賞(ジャクリーヌ・デュラン)
【2004年/第17回ヨーロッパ映画賞】女優賞(イメルダ・スタウントン)
コピー:すべてを赦す。それが、愛
ヴェラ・ドレイク、彼女には誰にも言えない秘密があった。

1950年、ロンドン。夫と2人の子どもとの貧しい生活を送る主婦ヴェラ。家政婦として働きながら、近所で困っている人がいれば、甲斐甲斐しく世話をするほどの彼女には、家族にすら打ち明けられないある秘密がある。彼女は望まない妊娠で困っている女性たちに、堕胎の手助けをしていたのだ。しかし、ある日、処置をした若い娘の容態が急変し…というストーリー。

とにかく、重い重い内容で、息が詰まるようなのだが、びっくりするくらいスムーズに感じる。ヘタな監督ならば、とても苦しくて観ていられなかったに違いない。それは、場面の繋ぎや編集がものすごくうまいおかげ。増長な台詞や演技を極力排除していて、ダラダラと続ける必要はない所はスパっと切って、後は観ている側の想像にまかせている。妙技の域。
イメルダ・スタウントンが多くの受賞をしていて、確かし、役ではなく、まるで本物のヴェラを観ている気に、誰もがなったに違いない。しかし、ワタシ個人としては、監督のマイク・リーや編集のジム・クラークの方を強く評価したい。いくらイメルダ・スタウントンの演技がすごくても、彼らの力なくしては、彼女の演技も生きはしなかっただろうから。是非この編集の技を味わって欲しい。稀に見る職人技だと思う。

ストーリーの話に移る。

欧米社会、特にキリスト教社会では中絶問題は社会的に重大なファクターである。もちろん日本だとて諸手を挙げて肯定されることはないが、キリスト教社会では、その重みはまるで違う。
困っている人がいるからと、深く考えずに惰性で堕胎している彼女は、ただの浅はかなおばさんに見えなくもない。たしかに泣き崩れる彼女は困った人の為だったと言っているし、代金ももらっていないし、自分は悪かったと宣言もしている。でも、彼女は完全なる確信犯。警察に見つかるまでは、微塵も自分の行いを悪いと思っていなかったと思う。捕まった当初は子供には知られたくないと繰り返し、ある意味自分の行いの重さよりも、自分勝手な価値観を振り回していることからも、それが伺える。

しかし、刑務所のほかの受刑者との会話で、他の受刑者が出所した後にも同じ行いを(おそらく商売として)繰り返していることを知り、そして自分の行いが、表面的には同じ行為であることを認識する。その悪魔的な罪の重さと、天使のような無垢さの共存。そんな彼女が刑務所の中をふらふらと歩く姿に、なんとも言えぬ答えのない鉛のような重さを感じる。でも、最終的に、観る側に考えさせる、ある意味投げっぱなしの終わり方をしており、よくいえば考える余白を残しているといえるが、中絶問題の是非を正面切って問いたいののか?といわれると、そうではないのかも…と思わせる。
それよりも、最後の固まった家族の食卓の長回しが象徴するように、家族が突然犯罪者となってしまったら、残された家族は?という視点のほうが強いのかもしれない。

#いずれにせよ、この日本の配給会社は付けたコピーはずれているかな。

いずれにせよ、作品として、観ている側に思想やモラルの押し付けは何も無い。しかし、もう一度言うが、あまりのストーリー展開と演技のうまさのせいで、まるで実世界を覗いているような気分となる。重い題材ゆえに避ける人もいるとは思うし、何度も繰り返し観られる作品ではないが(そういう私もその一人だったが)、強くお薦めする。
 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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