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公開年:2008年
公開国:イスラエル、フランス、ドイツ、アメリカ
時 間:90分
監 督:アリー・フォルマン
出 演:アリー・フォルマン 他
受 賞:【2008年/第43回全米批評家協会賞】作品賞
【2008年/第34回LA批評家協会賞】アニメーション賞
【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】外国語映画賞
【2008年/第21回ヨーロッパ映画賞】音楽賞(マックス・リヒター)
【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】外国語映画賞
【2008年/第34回セザール賞】外国映画賞(アリ・フォルマン)
コピー:過去が、語り始める
フォルマン監督は、再会した旧友がレバノン内戦での経験と関連すると思われる悪夢に悩まされていることを聞き、なぜか自分が戦争中のできことを思い出せないことに気付く。友人の心理学者から、記憶を取り戻すために、同時期に従軍していた戦友から話を聞くよう勧められ、彼らを訪ね歩くフォルマン。彼らと重ねた会話によって、自分の記憶に迫っていく…というストーリー。
アニメ自体のキレイさが評価されているようだが、『スキャナー・ダークリー』とさほど変わりはない。海外コミックにコンピューター彩色という手法が加われば、丁寧につくればこのような感じになるのは、当然の帰結かと。申し訳ないが、技法的に特筆して評価すべき点はない。
本作は、1982年に発生した、親イスラエル派のキリスト教マロン派の右派民兵ファラジストがパレスチナ難民を大量虐殺した事件(実話)がベースになっており、実際にアリ・フォルマンが経験したことが元になっている。そして、アリ・フォルマンが事件の記憶を喪失していたというのも事実らしい(らしいとしか言いようがない)。状況的には、ベイルート郊外のパレスチナ難民キャンプをイスラエル軍が包囲する中で行われた虐殺なので、イスラエルも一緒に虐殺したに等しい。
記憶を無くすほど凄惨な出来事であったというのは判った。で、それを映画にすることで、何を伝えたいのだろうか。
監督はあの時のことを思い出したい…と、あの時はこうだった、そこにいた、だ、とにかくべらべらしゃべり続ける。画面から目をはずしていても、とにかく状況やら感情やらべらべらとしゃべり続けるので、別に画面を見ていなくても内容は理解できる。ますます映画にする意味がわからない。
で、結局、自分もあの虐殺に関わっていたのだという(だれもが想像したとおりの)オチになる。思い出した瞬間から実写という技法も、さほどセンスがいいともいえないし、効果もない。
事件のときは、殺るか殺られるかの極限状態だったし、虐殺があまりにショックで記憶を失くしてしまったんだ。イスラエル人は、あの難民虐殺事件を悔いているんだ。この映画はその贖罪のために作ったのだ…とでもいうことだろうか。私には陳腐な言い訳にしか見えない。こんな映画をつくるくらいなら、一言“ごめんなさい”と誤ったほうがよっぽどよい。自分の先祖がやったという距離感なら、こういう手法はわからないでもない。でも当事者なんでしょ?
この映画を観たからといって、多くのイスラエルは良識のある人々なのだなぁ…と私は決して思わない。世の人は、この映画の何を賞賛しているのか。懺悔するのはよいだろう。お互い苦しみ続ける中で許すことは一つの進展になるとは思う。だけど、懺悔したからといって、今度は、逆に褒めて持ち上げなければいけないのか?そこは、そっとしておくのが、良識のある行動だと思うが、賞賛までするのはやりすぎじゃないかな。私も人を殺したら、真っ先に懺悔しよう。そうしたらみんな褒めてくれるんだよね。いつこら、こんなアホな世の中になったのか。むなしい。
監督が悔やんでいること、謝罪の気持ちがあること、については、作品の全体から読み取れというかもしれない。しかし、本作については、最後に、その気持ちを推測させるのではなく言葉で表現すべきだと思う。まだ、芸術作品にしてしまえるほど、冷静になれる事件ではない。よって、最終的に“だから何?”という言葉しか、私の心には残らなかった(なんと言われようが、そうなのだから仕方が無い)。
未だ、世の中ではこういう事件がおこっていると、気を引き締めることはできるが、それ以上の意味も効能もない。お薦めはしない。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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