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image1481.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:120分
監 督:是枝裕和
出 演:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里、丸山智己、奈良木未羽、柄本佑、寺島進、山中崇、ペ・ジョンミョン、桜井聖、オダギリジョー、富司純子 他
受 賞:【2009年/第19回日本映画プロフェッショナル大賞】主演女優賞(ぺ・ドゥナ)、ベスト10第3位
コピー:私は「心」を持ってしまいました。持ってはいけない「心」を持ってしまいました。
あなたの息で、私の カラダを 満たして…

ファミレスで働く冴えない中年・秀雄は、空気人形のラブドールとの生活が唯一のやすらぎ。ある朝、その空気人形は心を持ってしまい、秀雄が仕事に出かけると外の世界へ。やがてレンタルビデオ店で、店員の純一とめぐり会いひと目惚れ。以来、その店でアルバイトをするようになり、純一や店長から色々なことを学んでいく空気人形だったが…というストーリー。

本作を観る前に原作を読んでおきたかったのだが、本屋を数件巡ったが発見できず。原作が短編マンガなのは知っていたので、それをどう膨らませたのか?というの点は、評価する上で大事だと思ったからなのだが、かといってネットで購入するほどのこだわりでもなかったので、諦めておとなしく鑑賞。

PG15+なので、まちがってもお子様に見せてはいけない作品…というのはラブドールという性的な要素のせいか…とおもったが、最後まで観ればそれだけが理由でないことは明白。
性の道具としてのエグいギミックを除けば、大人のファンタジーを言い切っても、まったく過言ではない。ペ・ドゥナの透き通るような表情や細かい演技がそれを実現している。この雰囲気とこの演技力を併せ持っている俳優さんは、ちょっと日本ではいないでしょう。日本アカデミー賞は彼女のあげたかったなと、個人的には思う次第。

それにしても画質というかカメラワークが素晴らしいなぁ…と感心していたのだが、リー・ピンビンという台湾のカメラマンだそうで。ちょっと勉強不足で彼のこれれまで撮った作品を観たことは無いのだが、対象物とその他の構造物の間の空気を意識させてくれるというか、ある意味緊張感の漂う画になっており、とても感心。日本のカメラマンさんたちのは申し訳ないけれど、韓国や台湾のカメラマンさんに劣っている場合が多いなと、やはり思うのである。

まあ、その大人のファンタジーも終盤になると、のっぴきならない緊張感に押し流されちゃうんだけど。
ストーリー的には、細かい抑揚は多々あれど、基本的にそうそうドラスティックに展開するわけではないので、語りすぎるとネタバレになってしまう。だからほどほどにするけれど、2箇所で吐き気を感じるシーンがある。気持ち悪いという単純な感覚ではなく、胃がすり潰されるような、エグさとせつなさの混合した不思議な感覚。

一つ目は、秀雄が別の人形を愛でるのを見て、空気人形が嫉妬ともやきもちともつかない文句を言うシーン。性の道具としての扱いを嫌がっていながら、いざ自分がお払い箱になった時に彼女が見せた感情。嫌悪と愛着と惰性という理性ではとても整理できない感情のまだら模様が、ものすごく吐き気をもよおした。
二つ目は、純一が空気を抜いてみたいを言った時。それまでは、なにかが欠けた登場人物たちの中で、そこそこまともだった彼が、その一言を発した瞬間に、幼児体験での死と性の混在が未整理なまま大人になった人格であることが、白日となるシーン。もちろんその後の悲劇に繋がるわけだが、このセリフをいった時点で、あの結末になるのは決まっていたようなもの。エロスとタナトス。空気人形もエロスとタナトスに共感してしまい、その共感故の行為が、例の行為に繋がる。私には決して純一が死に抗おうとしているようには見えなかったのだが、おそらくその見方は正しいのではないかな。その微妙な感じを演じられる今の若手俳優は、たしかにARATAくらいかも。いいキャスティングである。

まあ、哲学の臭い漂う業田義家の原作と、死から生を浮き彫りにする是枝監督の合体だから、このデキになるのはもっともなこと。私は満足のいく内容だったと感じているけど、いかんせん体力がないと、負けちゃいそうな感じかな。変なアドバイスだけど、体調の悪い時とか、心がやられてるときは、観ないことをお薦めする。彼氏や彼女と一緒に観るのもお薦めしない。でも、観て。途中で空気人形に共感するかもしれないけど、観終わると、なぜか自分の中にある“生”を感じられる映画。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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