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公開年:2002年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:ポール・トーマス・アンダーソン
出 演:アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、ルイス・ガスマン、フィリップ・シーモア・ホフマン、メアリー・リン・ライスカブ、ジェイソン・アンドリュース、ドン・マクマナス 他
受 賞:【2002年/第55回カンヌ国際映画祭】監督賞(ポール・トーマス・アンダーソン)
コピー:それは目が眩むほど、パンチのきいたラブ・ストーリー やがて衝撃は、陶酔にかわる
ロサンゼルス。バリー・イーガンは、トイレの詰まりを取るための吸盤器具を販売する会社を経営しているが、精神的に不安定で、突然キレたり泣き出したり。そんな彼の最近の関心事は、食品会社のマイレージキャンペーンを利用してマイルを貯め込み、好きなだけ飛行機で旅行すること。ある早朝、会社の隣の修理工場に車を預けに女性がやってくる。実は彼女はバリーの姉の同僚リナ。バリーの写真を見て一目惚れしてしまい、車の修理を口実に顔を見に来たのだった。やがて2人の仲は親密になっていくのだが…というストーリー。
『マグノリア』のように性的にいささか倒錯したキャラもいるし、突飛な出来事も(CGを使って)次々発生するなど、これまでのPTA作品との共通点はもちろんある。けれど、決定的に群像劇色が薄い。
『マグノリア』公開前に父上を亡くされているらしいが、その影響だろうか。本作はいささか精神に問題を抱えて悩む青年を軸に展開する。次作の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』も強烈な個性ながらもアンバランスな人物を扱っていた。何やら興味の対象というか意識の向きどころが、俯瞰目線から個(もしくは自分の内面)に変わったのかもしれない。
主人公バリーのイライラは観ている側に伝染してくる。7人の姉をはじめカチンとくる登場人物たちの行動に、こっちもイライラしてくるのだが、それは監督の演出の妙技のおかげで、すっかり共感してしまっているということに違いない。
『ブギーナイツ』や『マグノリア』もこのように異常な状況が展開され、それらは時間が進むにつれて増幅していったが、本作でも同様に膨らんで膨らんで最後にパチンとはじけてくれるのかと予測していたのだが、趣が違った。
不思議なことに、時間が経つにつれ、異常な人物たちや理不尽な状況が、ちょっと考えてみたら現実社会もこんなもんだよな…って思いはじめて、むしろリアル社会の投影に思えてくるという、不思議な感覚に。往々にして、むちゃくちゃな状況の中で、ある一つのことだけは死守しようと、そんな生き方をしてる場合って多いよなぁ…、みたいな変な共感が。
“パンチドランク・ラブ”っていうのは、強烈な一目ぼれ状態を指していると思うが、バリー→リナのことなのかリナ→バリーなのか、はたまた両方のことなのか良く判らず。プリンのマイレージのくだりだって、別にストーリーの主要素じゃない。そんなふわっふわしたものの寄せ集めなんだけど、そのふわふわが渦を形成するような稀有な映画である。
フィリップ・シーモア・ホフマンはもちろん主演のアダム・サンドラーも、他作品とは様子の違う感じ。ぼーっとみ別人と思う人がいてもおかしくないくらい。役者の中の別面を引き出すのがうまいのもPTAの妙技。
でも、通ぶるわけじゃないけれど、おそらく6割くらいの人は、いまいちだと思うだろうね。万人ウケは絶対にしない作品。これがカンヌ作品?って。繰り返し見ようとは思わないけど、脳の片隅に焼きつく作品ではある。もやっと頭に霧がかかったような時に鑑賞してみてはいかがか。ますます霧は濃くなるけど、何か別のものに見えてくる。そんな感じ。妙作としてお薦め。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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