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公開年:2006年
公開国:アメリカ、スペイン
時 間:114分
監 督:ミロス・フォアマン
出 演:ハビエル・バルデム、ナタリー・ポートマン、ステラン・スカルスガルド、ランディ・クエイド、ミシェル・ロンズデール、ホセ・ルイス・ゴメス、マベル・リベラ、ブランカ・ポルティージョ、ウナクス・ウガルデ、フェルナンド・ティエルブ、デヴィッド・コールダー 他
コピー:それは、立ち入り禁止の、愛。
18世紀末、スペイン国王の宮廷画家フランシスコ・デ・ゴヤは、裕福な商人の娘で天使のように魅力的な少女イネスと、ロレンソ神父の肖像画を手がけていた。そんな中、カトリック教会は、ロレンソの提案によって異端審問を復活。そして、居酒屋で豚肉を嫌ったイネスは、ユダヤ教徒の嫌疑を懸けられ審問所へ収容されてしまう。イネスの父ビルバトゥアは友人ゴヤを介してロレンゾを家に招待し、娘を返してほしいと懇願するが…というストーリー。
美術に関する知識が乏しくて、ゴヤが活躍した時代すらピンときていない状態で鑑賞。タイトルから、家政婦は見た的な感じの宮廷スキャンダルものだと思っていたが全然違い(笑)、骨太の歴史ドラマだった。ナポレオン登場前後のスペインが舞台の映画は初めてで、当地の歴史にも詳しくないので、私にとっては興味深い教材である。所々に差し込まれるゴヤの作品を見て、美術の副読本の記憶が蘇る。
主役のゴヤは完全に狂言回し。王妃をブサイクなまま描き不評を買っても、なんで?という表情のゴヤ。この正眼ゆえに歴史を見つめる適任者ということだろう。
スペイン国王カルロス4世はフランス人。次にナポレオンが王を立て、続いてイギリスのウェリントン公が王を立て、その都度、解放を名目とする兵は民衆を虐殺・凌辱する。ロレンソはスペインを称して"売春婦"と言うが、次々と違う男が上にいる売春婦と一緒だっていう意味。それが証拠に、革命軍が上に立とうが、教会が上に立とうが、民衆は同じように熱狂する。さらに古くはイスラム教徒に支配されていた時代もあるし、ゴヤの絵にも中東系の顔立ちの人々がたくさんでてくる。近現代においても共和制時代やらファシズム体制時代と、不安定な政情が続くスペイン。その国としてのアイデンティティとは何か?歴史的には非常に難しい国。
侵略と殺戮の歴史が繰り返される不安定なヨーロッパでは、“普遍”を求める民の心の上に、一神教のキリスト教が君臨するのも致し方ないとは思うが、本作で見られるカトリックの所業には実にうんざりさせられる。昨日は書かなかったが、『81/2』では随所にカトリック批判表現が散見された。本作ではそれ以上に直接的にカトリックのダークな側面が描かれている。
演者で特筆すべきは、ナタリー・ポートマン。特殊メイクのおかげといってしまえばそれまでだが、痩せこけみすぼらしくなったイネス役は鬼気迫る熱演だった。配収も低調だったようだし、全然受賞もしていないのだが、作品自体の評価がもう少し高ければ、彼女もなんらかの賞レースにノミネートくらいはされていたと思う。
世に評価されてこそいないが、なかなかの良作。飽きることなく最後まで観終えることができ、そこそこお薦め。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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