[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
公開国:日本
時 間:93分
監 督:阪本順治
出 演:原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、松たか子、佐藤浩市、冨浦智嗣、瑛太、石橋蓮司、小野武彦、小倉一郎、でんでん、加藤虎ノ介、三國連太郎 他
受 賞:【2011年/第35回日本アカデミー賞】主演男優賞(原田芳雄)
長野県の大鹿村。小さなく寂れているが、300年以上の歴史を持つ村歌舞伎が自慢の山村。善さんは、その歌舞伎の主演役者。彼は、18年前に妻・孝子と親友・治に駆け落ちされてしまったため、それ以来“ディアイーター”という鹿肉料理の食堂を一人で営んでた。そんな寂しい一人暮らしを、歌舞伎への情熱が支えているのだった。しかし、村人たちはリニア新幹線の誘致話で紛糾してしまい、本番の5日前だというのに稽古が全然進まず、善さんはイライラしていた。そんな中、不審な男女が村を訪れる。それは何と貴子と治。貴子は認知症を患ってしまい治を善さんと呼ぶ始末。何と、面倒を見切れなくなった治が善に返すと言うのだ。善さんは激昂し治を殴りつけるのだが、結局二人を家に泊めてしまい…というストーリー。
原田芳雄の遺作なのだが、遺作だから日本アカデミー賞主演男優賞…ってわけじゃない。観始めて10分で納得できる。もう毛穴の中から演じきってる原田芳雄を観て、惹き込まれてしまった。
果たして自分が死ぬことを認識していたのかどうかはわからないけれど、冒頭の原田芳雄と、ラスト近くの布団で妻の手を握って寝ている原田芳雄の顔は明らかに異なる。急激に病状が進行したんだな…と思う(まあ、撮影の順番がどうだったのかはわからないんだけどさ)。
原田芳雄はもちろん、大楠道代、岸部一徳、石橋蓮司、三國連太郎と錚々たるたるメンバーがフルスロットルの演技を見せてくれていて、佐藤浩市、松たか子、瑛太たちがチョイ役なんだもん。もう船酔いならぬ役者酔いしそうな勢い。人妻を親友から奪って駆け落ちしたクソ男、それも女がボケちゃったから旦那の元に返そうとか、そんなダメ人間、岸部一徳にしか演じられないわ。これだけの手練揃いなら、阪本順治監督はお任せ状態だったんだろうな…と思ったんだけど、それが案外しっかり仕事をしている。
性同一障害の子は必要ないんじゃない?って思ったんだけど、後々使い道が出てくる。村のAさんに何か話したら、次の日にはBさんはその内容は知っているような状態で、みんなマイペースな動きしかしないけど、その子はうまいこと善さんの指示で都合よく動いてくれていた。
もう60過ぎちゃって、情愛だとかそういう次元を超えているもんだから、みんな恥じも外聞もないところからスタートしてるのが面白い。“達観”という舞台に立った上での“騒動記”というのが実に新鮮だ。
“戦争の苦痛”“認知症”“性同一性障害”と、もう食あたりくらい盛りだくさんな材料なのに、サラッと包含。性同一障害のくだりなんか何か問いかけるとか質問するとかもしないし、不自然に無視するでもないもんな。年を重ねるとはこういうことなんだな…と、変に納得してしまうくらい。
劇中劇なんかがあると、妙にストーリーと劇をリンクさせたりとか、劇の内容が端折られたりするもんだけど、本作はけっこうどっぷり長く続く。でも、飽きない。各サブキャラの味はすべて生きてるし、それまでの話の流れが途切れることもなく、展開し続けるのもすごい。私が観た2011年の邦画ではズバ抜けて№1。是非とも観てほしい作品。とても愉しんだ。
最後の「あれ?」だけが、もうちょっとでいいから明確な意図を出してほしかったかも。記憶がしっかりしてきたと思ったのに戻っちゃった…って意味の「あれ?」なのか。もしかしてこの女わかってやってたんじゃないのか…って意味の「あれ?」なのか。この最後だけピシっときまれば、日本映画史に残る大名作になったと思う。
私は本作とか『しゃべれどもしゃべれども』とか、日本の庶民の生活に近い芸能を扱った映画に、しっかり外国語字幕をつけて、海外発信すべきだと思うな。変な観光誘致キャンペーンよりも有意義だと思うな。うん。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |