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image1964.png公開年:1964年
公開国:日本
時 間:90分
監 督:野村芳太郎
出 演:渥美清、山本圭、壺井文子、長門裕之、横山道代、原知佐子、宮城まり子 他






元漫才師だった角丸は、師匠鶴松の葬式の場で、もう一度芸人として生きて行こうと心に決める。角丸の元相方が、ムーランという芸名で妻のルージュと組んだ時事漫才“拝啓総理大臣様”が大当たりして、売れっ子のテレビタレントになっていたので、彼を頼って上京することに。東京についた角丸は、ムーランに会いに行くが、彼は妻ルージュに浮気の尻尾を捕まれ大騒動中。昔のよしみで芸能事務所の紹介状を書いてもらったものの、結局紹介された仕事は、ヘルスセンターのボイラー焚きの仕事。どうしても芸人の仕事がしたい角丸は、ふてくされてヤケ酒の日々。そんな中、黒人と日本人のハーフのアヤ子と出会い…というストーリー。

『砂の器』や『八つ墓村』の野村芳太郎のコメディ。たしかに野村芳太郎らしいマットな色合いだし、しゃがんだり背伸びできる範囲からのカメラアングルという、まるで自分がそこにいるような感覚になる画角は特徴的。ヌケの力のある監督だと思う。

この作品の前に『拝啓天皇陛下様』『続・拝啓天皇陛下様』という渥美清主演の作品があり、三部作とのこと。観る順番を間違えたか。
まるで渥美清が総理大臣に物申すみたいなジャケット写真だけど、そういう感じではない。渥美清演じる角丸の元相方がそういうネタをやっていて、すごく人気があるっている設定。わざわざそれを映画の題名にするほどストーリー上重要ではない。前作の『拝啓天皇陛下様』の流れってことなんだろう。

当時の通天閣近辺の様子、そして羽田近辺の町工場とドヤ街の中間みたいな街並みはとても新鮮。通天閣以外に高い建物は皆無である。今の通天閣も夕方になると人間動物園みたいになるけど、さすがに50年の時の流れと栄えっぷりには感慨深くなる。

角丸やアヤ子たちのような底辺の人間が、はいつくばって、血ヘドを吐きながらのし上がっていく…的な話ではないのが、興味深い。彼らは、高度成長の恩恵は受けておらず、疎外感を感じている。世の中の流れに抗って無理なことをするようなことはなく、分をわきまえているけれども、同時にしたたかに生きているという感じ。人間としての尊厳がどうのこのとか高尚なことは言わない。

角丸は豊かになる世の中にあっても、自分が社会に貢献できる程度は知れていることを痛感している。野犬の処分くらいしか就ける仕事はないのだ。持たないものは、逆に強い。彼はどうしても芸の世界で生きていこうと邁進するが、目先の成功に目がくらんで、ムーランとのコンビで世に出ようと、アヤ子を捨てる。さて、どうなるか。

豪流の川にもまれているんだけど、無用にもがけば溺れる。足もつかない。なんとか顔を水面の上にだして死なないように生きている。そんな庶民の様子、総理大臣様はどうご覧になりますか?と、そういう視点なんだろうね。

コメディとして、それほど面白いとは思わなかったが、味のある作品。他の野村芳太郎&渥美清コンビの作品も観てみようと思った。渥美清が実に生き生きしている。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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