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image1951.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:129分
監 督:園子温
出 演:染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、諏訪太朗、川屋せっちん、吹越満、神楽坂恵、田村圭子、光石研、渡辺真起子、モト冬樹、黒沢あすか、堀部圭亮、でんでん、村上淳、窪塚洋介、吉高由里子、西島隆弘、鈴木杏、手塚とおる、清水優、清水智史、 新井浩文、永岡佑、小林ユウキチ、麻美、今村美乃、遠藤雄弥、深水元基、玄覺悠子、矢柴俊博、新納敏正、ペ・ジョンミョン、翁長誠、吉田エマ、石川ゆうや、岸田茜、姉吉祐樹、大堀こういち、石垣光代、斎藤嘉樹、内田慈、木野花、小久保寿人、宮台真司、永井まどか 他
受 賞:【2011年/第68回マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)】二階堂ふみ、染谷将太

15歳の少年・住田祐一は、貸しボート屋を営む母親と暮らしている。しかし、母親からの愛情を感じることなく成長した祐一は、人生に夢を抱くことができず、誰にも迷惑をかけず普通の大人になることだけが望みだった。祐一は高校進学を考えておらず、卒業後は貸しボート屋を手伝って生きようと考えていた。そんな貸しボート屋の主意には、震災で家をなくした人が何人か集っており、ずっと年下の祐一と楽しく生活していた。祐一の同級生・茶沢景子は、他の男子とは雰囲気の違う祐一に惹かれており、彼に猛アプローチするが、祐一はそれを疎ましく思い忌避していたが、それでも少しでも距離が縮まっていくことに喜びを感じる景子だった。そんなある日、借金をつくって蒸発していた祐一の父親が戻ってくる。彼は金を無心しながら、祐一を激しく殴りつづけるのだった。やがて、祐一の母は別の男と駆け落ち。祐一は一人で生きていかねばならなくなるのだったが…というストーリー。

わざわざアクション監督をつけているくらいなので、たしかにアクションシーンは臨場感があった。でも、暴力シーンを観せられれば、だれでも血圧があがる。それが理不尽であればあるほど、その内容や質がどうであれ、人は反応してしまう。申し訳ないが、その血圧の乱高下は、演出のすばらしさのせいではなく、単なる人間の低レベルの生理反応である。本作はそんなシーンのオンパレード。まさかとは思うが、その単なる生理反応を、演出で観客の心を動かしたを思っているならば、大きな勘違いだと思う。簡単にいえば、血圧は上がっているけど心に響いてるわけじゃないよ…そう声を大にしていいたい。そんな気持ちになる映画。

原作では、震災は出てこないとのこと(というか震災前の作品)。さて、わざわざ、震災に見舞われた直後に、実際の被災地を撮影し、被災者をキャラクターとしたことに、どういう意味があるのか、どういう効果があるのか、そういう訴えかけがあるのか、私は非常に注視させてもらった。そりゃ、どういう使われ方をしているのか、注視して当然すしてるでしょ。現在進行形のことで、苦しんでいる人もいるわけだからね。

冒頭に担任が、“一つだけの花”という表現を引き合いにだし、主人公を励ますが、主人公はそれに抵抗する。ナンバーワンじゃなくオンリーワンってどっちも一緒でしょ、平凡でなんでいけないわけ?これが主人公・祐一の主張だ。そりゃ、生物としての存在意義を否定され続けるような環境で育ったら、とりあえず、ひっそり普通にいきることで精一杯だろう。それ以上を望んだら、内部的にも外部的にも、ロクでもないことになるだろう…という見識なのだ。
ただ、救いは、祐一が“平凡でないこと”=“人の役nたつこと”だと思っている点だろう。自分にはそんな大それたことはできない。そういう次元で僕は平凡でございます、何がいけないんでしょうか…といっている。まあ、途中で景子が指摘するように、自分で自分の枠を決めて苦しんでいるとはそういう意味だろう。

ラストシーンでは、のっぴきならない状況になった彼を、彼をずっと見つめつづけてきた彼女が、“一つだけの花”だからがんばれと励まし、彼もそれに泣きながら応える。
人間は、その成長の過程で無条件の無償の愛を受けなければならない(というか、受ける必要がある)。悲しいかな、そうでない人は相当数いるし、そういう人は自分の子供にも愛を傾けることは難しい。そんな負の連鎖があるのは事実。彼女が同じ匂いを感じ取ったんだろうが、彼にどんだけ邪険にされても近づいていく。最後は、その無償の愛にに応える。それだけが唯一の立ち直る方法だと…、それは判る。
でも、ラストで急に、まるで園子温が自己批判を始めたように思えて、気持ち悪くなってしまった。こんな殊勝なことをいう監督だったか?この人。

それと、ナンバーワンやらオンリーワンやらの価値観と何の関係が?
もっと、釈然としないのは、被災地が必要だったか?ということ。私は被災者じゃないのでわかりはしないのだが、なんか、被災者に失礼な気がしてしようがない。少なくとも、被災者・被災地を持ち出す意味があったとは感じられない。別に渡辺哲演じる元社長は、津波で資産を失う設定じゃなければ、話が成立しないということはない。普通に世の中にある、大きな事故や、不幸なできごとでも問題はない。
大体にしてこの舞台になっている土地はどこなんだ?被災者が野宿しているような場所が関東ってことはあるまい。石巻の被災者ってことは、それほど遠くない近隣の町ってことでいいのか?でも、誰一人、東北訛りの人はいないぞ。そんな馬鹿なことはあるまい。あえて標準語のみという演出か?でも、そうだとしてどういう効果を狙っている?不明。
被災者が、ボート屋を経営してるってどういうことだ?ん?もしかすると、主人公は被災者じゃないのか?被災地を歩いているシーンは想像なのか?もう、なんだかわからない。無理やり震災を絡めて、破綻してるじゃないか。
これで元気付けられた被災者がいるとは思えないし、ましてや最後の茶沢のはげましが、被災者への励ましになっているとは到底思えず…。本作は震災の描写がなければ、それなりの良作だったと思うのだがなぁ。

こういう、必要のない被災地をさしこみ、自分の主張の材料にするのって関心しない。もしかして園子温って、世の中の“バカサヨク”っていわれるような人間と、おんなじ思考の人なのかな?はっきり不快だ!と感じるよりも、もっと気持ち悪い何かが沈殿物としに残る感じ。

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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