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image1346.png公開年:2008年
公開国:日本
時 間:108分
監 督:万田邦敏
出 演:小池栄子、豊川悦司、仲村トオル、篠田三郎、大西武士、馬場有加、佐藤貢三、宮田亜紀、杉山彦々、青山恵子、菅原大吉、平栗里美、美月まどか、八波一起、諏訪部仁、竹本和正、鳥木元博、岡部務、由地慶伍、高野三枝、伴藤武、篠崎誠、吉岡睦雄、中津川南美、熊島一樹、河崎早春、須賀友之、粕谷直子、櫻井勝、太田悦史、権藤俊輔、沖田弘二、比佐廉、小宮山ますみ、鈴木隆之介、柏原優 他
受 賞:【2008年/第18回日本映画プロフェッショナル大賞】作品賞、主演女優賞(小池栄子)、ベスト10(第1位)
コピー: この愛は理解されなくてもいい。やっとあなたという人に巡り会えたのです。
究極の愛が行き着いた、衝撃の結末。

幼い頃から人付き合いが苦手だった遠藤京子は、淡々と事務職をこなす孤独な日々を送ってきた。ある日彼女は、無縁な親子3人を撲殺した坂口秋生の逮捕劇をTVで目にする。京子は、カメラに向かって微笑んだ坂口の表情を見て、彼が自分と同じように孤独の中にいる人間だと確信。そこから事件記事のスクラップを始め、坂口に関する情報を狂ったように集めるのだった。公判が始まると、弁護士の長谷川と接触し、坂口へ差し入れを持っていって欲しいと依頼するまでになり…というストーリー。

映画を観ているはずなんだけど、小さい小屋で小劇団がやってたらさぞ話題になるだろうな…なんてことが、ずっと頭の片隅に。なんでそう思うかというと、“映画”ならではという表現がまったくといっていいほど使われいないから。別に、中島哲也監督のような奇抜さなんかを求めていっているのではない。映画ならではというフォーカスの当て方や、場面の移り変わりなど、効果的な手法を使ってしかるべきだと思うのだ。はっきりいって絵コンテのセンスや編集のセンスが不足。

小池栄子の演技に関しては、何の文句もなし。バラエティの印象が強すぎるのが非常に残念だが、致し方ない。満島ひかりが『ウルトラマンマックス』で三池崇史監督と出会ったような、そういう運命が彼女のは無かったということ。あきらめるしかない。

本作の最大の問題ポイントは、タイトルでもあるラストの“接吻”だろう。いわゆる映画の玄人筋にはウケがよかったと思う。だけど、一般の観客の7割は“はぁ?”だったんじゃなかろうか。私も、観ているリアルタイムの間は、意味がわからなかった。観終わった後に、振り返ったり撒き戻したりして、熟考した上で、「ああ、もしかしてこういうこと?」と結論が見えてきた。私が鈍いのか?いや、多分違うと思う。

(以下、ネタバレ注意)
遠藤京子は、坂口にシンパシーを感じてどっぷりと傾倒していく。自分はいままでの人生の中で、周囲の人間からぞんざいな扱いしか受けてこなかったと思っているし、きっと自分は他者とは違う感覚なんだろう…と。だって、どうやら周りの人が感じているらしいことはピンとこないし、自分が気にかかることや大事に思っていることを周囲の人はそう思っていないようだし。きっと自分はこのまま孤立して生きていくんだろう…すっと理解されないんだろう…と思っているところに、同じように他者からはみ出すべくしてはみ出した人間が出現する。

で、ストーリーも彼女の一途な行動をずっと追っていく。ラストでその一途さは、坂口から裏切られた…というか、このまま二人は染み込んで一つになってしまうんじゃないかと思っていたくらいなのに、突然突き放された絶望感で、極端な行動として現れるわけだ。ああ、こういう燃え上がりで終わるんだ…と思ったところで“接吻”なわけだ。

私は、これは、絶対的に他者と違うと思っていた(思い込んでいた)京子が、自分の中に普通の人間(というか生き物)が欲する感情や欲望が顔を出したのだ。そう、京子は表層の意識では坂口を愛し長谷川を憎悪していたのに、無意識下では長谷川を欲していた(ある意味、ノーマルな私がいた…)ということに、自分も気づかされたという瞬間なのだ。
理性と本能の乖離。自分が自分を作り上げていただけなのか。やはり坂口や長谷川が言うように、自分と坂口は別物なのか。それとも逃げ出したいけど、引っ込みが付かなくなった私がそこにいるのか。え?何?何?私って何?
あの“接吻”の瞬間に、こういう考えや思いが、ぞわーーーーっと津波のように襲ってくる。そしてそれに気付きつつも、我に返った京子は、刑務官に引っ張られながら長谷川を拒絶しながら消えていくわけだ。もしかすると、最後の拒絶は、今まで長谷川を拒絶していた理由とは違って、今度は長谷川に迷惑をかけたくないという愛に変わっているのかもしれない。

そう、本当は、観ている時にリアルタイムで、この“ぞわーーーーー”を感じられる演出をしないとだめなの。これをリアルタイムで共有できたら、本作は間違いなく名作となり得た。これができなかった以上は、地味だけど佳作どまり。もし、小池栄子のがんばりがなかったら凡作。

#坂口が致命傷を負ってもあまり痛みを感じていなさそうな演出は、地味に秀逸だったと思う。シリアルキラーとか暴力犯罪を繰り返す人は、物理的な痛みに鈍感な人が実際多いからね。


負けるな日本

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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