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公開国:日本
時 間:108分
監 督:今村昌平
出 演:長門裕之、吉村実子、三島雅夫、小沢昭一、丹波哲郎、山内明、加藤武、殿山泰司、西村晃、南田洋子、中原早苗 他
受 賞:【1961年/ブルーリボン賞】作品賞
横須賀にアメリカの軍艦が入ると、米兵相手のキャバレーや飲み屋が活気付く通称・ドブ板通り。そこで、売春稼業で一儲けしていたヤクザの日森一家だったが、当局の取り締まりを受けてしまい商売ができなくなってしまう。そこで、米軍基地から出る残飯で養豚をすることを思いつく。基地の残飯処理の担当であることハワイ出身の日系アメリカ人サキヤマに賄賂を渡し、なんとか畜産業を軌道に乗せるのだった。日森一家のチンピラ欣太は、豚の飼育係を任されたる。彼は、この仕事を成功させて、恋人春子と所帯を持つことを夢見ていた。そんなある日の早朝、欣太は兄貴分の鉄次にたたき起こされる。鉄次は流れやくざの春駒の死体を処分するのを手伝えと命ずる。万一の場合は兄貴の身代わりに服役しろ、そうすれば幹部だ…と言われ、単純な欣太は安請け合いしてしまうのだったが…というストーリー。
今村昌平監督作品自体、あまり観たことがないが、やはり名監督といわれる人は、初期作品でも一味違うもんだな…と。喜劇にカテゴライズされてる場合があるが、“コメディ”とはちょっと違う。浅はかで愚かな人たちだけど、一生懸命生きている様子が滑稽だということ。直球で喜劇をやってるのは、鉄次役の丹波哲郎だけ。もう、晩年はバラエティ番組でイジられてばかりの人だったけど、先日の『日本沈没』も本作も役者として良い仕事をしているね。
野村芳太郎のコメディが面白かったので、戦後のこの手の作品にちょっとハマりぎみなのかも。
戦後の混乱の中、米軍のおこぼれで生きる人々。それが悪いというわけではなく、そうしないと生きられない人もいるし、ちょっとした日本人とのプライドを捨てるだけで少し裕福な生活ができるという現実がそこにある。そのプライドの川を越えるか越えないか。
米軍のおこぼれで生活し、それに多大に依存している生活。なんとかうまくやっているようにみえて、実はアメリカに首根っこを掴まれているような生活でいいのか?という問いかけ。男は残飯を貰い、女はオンリーになり、ちょっと生活が豊かになる。で、豊かになるだけならいいとしても、そういうおこぼれ生活をしていない人を見下し始める。見下されたほうも、うらやましがったりする。そんな状況を俯瞰で観て、なんか滑稽だな…と。”軍艦”がアメリカのことであるのは間違いないのだが、“豚”にはそういう色んな意味が含まれる。そういう視点の作品。
ラストの春子の旅立ちのシーンは、印象的だし感慨深かった。ただ、今でも米軍基地があるところでは、多かれ少なかれ、似たような状況であるというのが、笑えないわな。沖縄とか。
ウィキペディアを見たら、春子役の吉村実子は芳村真理の妹とか。まあ、似てなくもないか。凛としたイメージがドブみたいな世界の中で光る。でも、パッと輝くような晴れやかなイメージじゃなくって、若いのに鈍い色を放っているような感じ。デビュー作なのに、すんごくいい味を出してるんだけど、いきなりこういう汚れ役をやると、当時の映画界を考えると、路線の変更は難しかったろうね。
ドブをのた打ち回る“豚”たちの生き様を愉しんでほしい。軽くおすすめ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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