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公開年:1986年
公開国:イギリス
時 間:125分
監 督:ローランド・ジョフィ
出 演: ロバート・デ・ニーロ、ジェレミー・アイアンズ、レイ・マカナリー、エイダン・クイン、シェリー・ルンギ 他
受 賞:【1986年/第59回アカデミー賞】撮影賞(クリス・メンゲス)
【1986年/第39回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ローランド・ジョフィ)、フランス映画高等技術委員会賞(ローランド・ジョフィ)
【1986年/第12回LA批評家協会賞】撮影賞(クリス・メンゲス)
【1986年/第44回ゴールデン・グローブ】脚本賞(ロバート・ボルト)、音楽賞(エンニオ・モリコーネ)
【1986年/第40回英国アカデミー賞】助演男優賞(レイ・マカナリー)、作曲賞(エンニオ・モリコーネ)、編集賞
1750年、イエズス会の神父ガブリエルは、インディオ達に神の教えを伝道するため、南米イグアスの滝の上まで訪れ、苦労の末、深い信頼を得る。一方、インディオ達を捕獲しては売買を繰り返してしていた奴隷商人メンドーサは、諍いの末に弟を殺した罪に苦しんでいたが、ガブリエルの元で伝道の道に入り、インディオ達と和解、心静かな生活を送るに至った。しかしポルトガル政府がその地の征服を企て、大量の軍を送り込み、神父側との壮絶な戦いが始まってしまう…というストーリー。
まあ、華々しい受賞歴なのだが、キリスト教社会の人にとっては随喜の涙を流すほど感動する作品なんでしょう。私にはさっぱりです。
というか、まるでキリスト教の教えに反して、政府が残虐行為をしたみたいな書き方になっていること自体が逃げに見えてしかたがない。南米における虐殺にあたって侵略した人たちは、その欲望に任せていきなり虐殺したわけではなく、大概が教会に御伺いを立てている。「この原住民は“人間”か?」と。侵略者だって人の子なので、同じ人を殺すのは罪だと思っているので、確認するわけである。で、結果は、(若干御幣はあるかもしれないが)大抵は「原住民は聖書でいうところの“人間ではない”」という回答の元、心置きなく虐殺されているのである。
ジェノサイドは、聖書を読めば普通に見られる行為で、同じ人間でなければ別に罪でもなんでもない。だから、現在の価値観をむりやり当時の状況にあてはめている本作の内容は、実にご都合主義だと私には映った。
また、土着的な信仰を持っているインディオに一方的にキリスト教を教えて、それが“ミッション(使命)”という考え方に、欧米の人たちは一抹の懐疑も抱いていないことが、この受賞歴からよくわかる。イエズス会は世界中でこれをやってきた。日本人なら、それってどうなの?と思う人が多数いるだろう。
若干脱線するが、中国の人が、日本を訪れた感想の中に、“民度が高い”という表現がある。何を指しているかというと実は単純で、道で痰を吐かないとか、どこにでもごみを捨てないとか、公共の場で大声で話さないとか、赤信号を守るとか、そのレベルの話をしているのだ(まあ、日本だって40年くらい前は、できていなかったことなのだが)。で、彼らは“民度が高い”という表現をするだけで、なんでそうなるかがわかっていない。なぜか。“自分がいやだと思うことは他人にしない”という意識が根付いているからだ。
なんで、この話をしたかというと、人間には、ある2つのルールがある。一つは今挙げた“自分がいやだと思うことは他人にしない”。もう一つは“自分がいいということは他人もいいと思うはずだからしてあげる”というルールだ。日本人は圧倒的に前者の下に行動するが、欧米の人間は、圧倒的に後者なのだ。だから自分が良いと思うキリスト教を他者に押し付けることは、良い事をしたとは思っても、もしかして自分の勝手な思い込みなのでは?など、微塵にも髪の毛ほども思わない。結局、この発想は、今のシーシェパードの論理と同じ。自分が鯨やイルカがかわいそうと思えば、それは他人だって同じことだから、押し付けてなにが問題があろうか!そういうロジックなのだ。相手の文化なんかお構いなし。要するに、植民地時代の思想の原点は今になっても何一つ変わっていないという証拠で、自分達の根底に流れるロジックに気付きもしないで、本作を評価している様は、私からみると滑稽でならないのだ。
だから、映画の質云々とは、別の意味で、私にとっては実にムカつく映画だった。だから、モリコーネのすてきな音楽など耳に入らず、その点はもったいなかったかもしれない。
最後の30分は、正直言って宗教的な感慨は何一つもないので、つまらないだけだった。歴史的な事実の確認としてもわかりきった話で改めて参考にするような点もないと思うので、お薦めはしない。
#20年以上前の作品で、文化の圧倒的な隔たりを痛感させられるとは…。私にとっては心が沈む作品だったよ。
公開年:2009年
公開国:日本
時 間:120分
監 督:三木聡
出 演:麻生久美子、風間杜夫、加瀬亮、相田翔子、笹野高史、ふせえり、白石美帆、松岡俊介、温水洋一、宮藤官九郎、渡辺哲、村松利史、松重豊、森下能幸、岩松了、松坂慶子 他
コピー:ひらけ、ぬま。
出版社を退職した人生ドロ沼状態の沈丁花ハナメは、母の事故をきっかけに自分の知らない実父の存在を知ることに。真偽を確かめるため、その男を訪ねたハナメだったが、そこにいたのは“電球”と名乗る怪しい風貌の骨董屋でがっかり。それでも電球の変なアドバイスでちょっとだけ光が差し込んできたハナメは、いつしか骨董の魅力にハマり出すのだが…というストーリー。
これを、面白いと思う人の範囲は狭いんじゃないかねぇ。とりあえずDVDパッケージのアオリはよくない。コメディとして傑作みたいなことが書いてあるから、それを期待して借りた人のうち半分くらいが気を悪くするんじゃなかろうか。私は幸いなことに、微塵も期待していないかったので、怒りはしなかったけど。
正直なところ前半のノリのままでまとめてくれれば、なかなかの評価ができたと思うんだが、急に最後、ジブリテイストなのがねえ(どこがジブリだ…っていわれそうだけど、ネタバレになるからさ)。
前半だけなら、元気な麻生久美子の魅力で、日本版『アメリ』?ってなノリで、個人的にはなかなか好きだったんだけど、後半がねえ。この監督(脚本も手掛けてる)は、まとめ方を事前に考えないで乗りで書き始めるタイプなのかな。
本当に、麻生久美子がいなかったらクソだよ。この映画。ちょっと他人には薦められない。『時効警察』とかが好きな人でも、本作の後半はダメでしょ。100円レンタルでかつ誰かが返却しに行ってくれるなら、許すレベル。これを観た後に自分の足で返しにいくのは腹立つかも(なんとなく本作のレベルが伝わるかな)。
#麻生久美子という人の魅力の半分は“声”ですな。必要以上のセクシーさが無く子供の声に近いかも。それに特段美人というわけでもない風貌が加わって、こういうパターンは猛烈な高感度を得るわけだが、それにおんぶに抱っこしてるこの監督は、ちょっとタチが悪いですな。
麻生久美子以外の演者さんが、誰も得してないのもかわいそうだし。もう、この監督は、少なくとも映画に関わるのはやめたほうがいいのではないかな。誰も得しないよ。TVでやっていけてるんだから、そこにいればいいじゃない。お帰りよ。
公開年:2001年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:バズ・ラーマン
出 演:ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロードベント、リチャード・ロクスバーグ 他
受 賞:【2001年/第74回アカデミー賞】美術賞(Brigitte Broch:舞台、キャサリン・マーティン:美術)、衣裳デザイン賞(キャサリン・マーティン、アンガス・ストラティー)
コピー:ふたりの愛、ひとつの運命。
パリ、1899年この街で、最も愛された一人の女…彼女の名はサティーン
1899年、パリのナイトクラブ“ムーラン・ルージュ”は経営難。オーナーのジドラーは、資産家の公爵に目を付け、サティーンをあてがうことで資金を引き出そうとか画策。それをきっかけにムーラン・ルージュの抜け出して女優になりたいサティーンもその案に乗る。しかし、サティーンは青年舞台作家クリスチャンを公爵と勘違いしてしまい、おまけに二人は互いに愛し合うようになる。公爵から資金を得るために、決して知られなように女優と作家という関係を装わねばならなかったのだが…というストーリー。
毎度言うことだが、ミュージカル映画というのは、それだけで“苦”を背負っていると私は思う。まず、タモリが昔から言っていることだけど、演技の途中で突然歌いだす不自然さに興醒めするという点。通常の作品は、目の前で実際に繰り広げられている世界に没頭していくわけで、没頭させるために演者さんたちは不自然ではない演技力を磨くわけである。しかしミュージカルは、それを真っ向から壊して突然歌いだすのだから、当然、観ている側の意識は、すぅ~っと俯瞰にならざるを得ない。
もう1点は、ミュージカルを見て感動するのは、目の前の舞台でリアルタイムで演じられているからである。本作の評価で、ニコール・キッドマンもユアン・マクレガーも予想以上に歌がうまくてびっくりというものがあるのだが、それも何十テイクも採った奇跡のワンテイクを使ってるのかもしれないし、世の中のミュージカル俳優の技術を比べられちゃあこまるでしょ。そういう点でも、純粋に感動できないわけである。
では、本作には良いところがないのか?といえば、ある。それは、全編、ポピュラーミュージックのアレンジ曲で占められていること。ストーリはありがちで単純なので興醒めしそうなところを、曲のノリで引き止めてくれる。いい手法である(まあ、この作品がはじめて使う手法でないのは承知だが)。しかし、残念なのは、その要素足りないこと。もっとしつこいくらいに、これでもかこれでもかとポピュラーミュージックで押してくれれば、楽しめたし、何度か見返したくなる作品になったと思う(まあ、映画というよりもPV的な意味でだけど)。
そんなにミュージカル映画に厳しいなら観なきゃいいのに…といわれそうだが、決してミュージカルという手法が嫌いなわけではない。舞台自体が非日常である『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』や、精神内の表現にミュージカルを使用した『ダンサー・イン・ザ・ダーク』など、ミュージカル映画というのは、映画の世界においてまだまだその手法について模索がつづいている分野の一つだと思うので、いつも興味深くウォッチしているのですよ。
本作はそういうミュージカル映画の“苦”を背負っている割には及第点だと思うので、それほど拒否反応のない人にはお薦めする。が、ストレス解消系でも涙をさそう悲恋系でもなく、ストーリーとしては凡庸であることは指摘しておく。ただ、基本的にDVDは吹替で観るのだが、日本語吹替の声優さんの声質が似ていて非常にびっくりした。ワタシ的には、この点だけでも、観る価値はあったかなと。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ネヴェルダイン、テイラー
出 演:ジェイソン・ステイサム、エイミー・スマート、クリフトン・コリンズ・Jr、エフレン・ラミレッツ、バイ・リン、デヴィッド・キャラダイン、ドワイト・ヨーカム、ジュラン・チディ・ヒル、レノ・ウィルソン、キーオニー・ヤング、アート・シュー、ジョセフ・ジュリアン・ソリア、コリー・ハイム、ジェリ・ハリウェル、ビリー・アンガー 他
コピー:充電しないと、即停止。
パラシュートなしの空中落下で一巻の終わりと思われた殺し屋チェリオスは、手術台の上で目を覚ます。危機を察して逃げ出すが、すでに彼の心臓は粗悪な人工心臓に交換、老ギャングのドンが自分の移植のために奪ったのだった。知り合いのヤブ医者マイルズから充電が必要だと知らされたチェリオスは、充電を繰り返しては自分の心臓を追って街中を駆け回る…というストーリー。
連日のシリーズもの。
本作は、前作の完全な続き。登場人物も状況も続きなので、前作を覚えてないといけませんな。私は前作の内容をほとんど忘れていたので、いろんなところで“???”状態。でも、観なおす気にはならず、そのまま流した。だって、別にどうでもいいような内容なんだもの。
前作は、中国製の薬のせいで常に興奮していないと死んでしまうという、酔っ払った時に思いついたようなアイデアをそのまま映画にしちゃった感じだったけれど、本作も同じ。お下劣さも同じ。コメディ要素の程度も同じ。同じじゃだめでしょ。すこしスケールアップしないとさ。
でも、元々そういうノリだけの映画なので、これでOKなんでしょう。こういう映画が許されるのも、映画市場が熟成している証拠。結構結構。頭を使いたくない時は本作はアリでしょう。でも1作目を観てないならそちらを。また、2作連続で観ると同じような内容なので飽きること必至なので、1作づつどうぞ。
#くれぐれも子供と一緒に観ないように。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:パトリック・タトポロス
出 演:マイケル・シーン、ビル・ナイ、ローナ・ミトラ、スティーヴン・マッキントッシュ、ケヴィン・グレイヴォー、シェーン・ブローリー、ケイト・ベッキンセイル 他
コピー:すべては、ここから始まった。
1000年以上昔に、双子の兄弟マーカスとウィリアムによって、ヴァンパイア族と狼男族が誕生する。以来、能力で優るヴァンパイア族が狼男族を支配していたのだが、人間・獣と自在に姿を変える新たな種族“ライカン”が誕生することで、主従関係に変化が生まれる。ヴァンパイア族の長老ビクターは、その存在に警戒しながらも奴隷扱いし続けたが、ビクターの娘ソーニャと密かにライカン族ルシアンが禁断の関係を結ぶことで、ヴァンパイアとライカンの泥沼の戦いの発端となってしまう…というストーリー。
『アンダーワールド』の1・2を観てきたので、とりあえず今回も借りたが、特段好きなわけではない。キャンペーンで安かったので、何気に手に取ってみただけである。
『アンダーワールド』シリーズのよいところは、ケイト・ベッキンセイルがとにかく美しく撮れていること、そして全編薄暗い世界の中に、スタイリッシュな造型やアクションが映えるところ。海外では、ヴァンパイアと狼男というモチーフが好まれるようで、おそらく日本よりも本作は評価されているのだろう。そうでなければ、ここまでシリーズは続かない。
しかし、まず本作には、良さの一つであるケイト・ベッキンセイルは出てこない(厳密には一瞬出るけど)。ソーニャ役のローナ・ミトラには悪いが、ケイトの一瞬で惹きつけるような緊張感漂う美しさは彼女には無かった。それを補うように、中世の雰囲気が、話に重厚さを加えてくれている。様式美ともいえる重厚さなのだが、“スタイリッシュ”とは違って、これまでのシリーズの良さとは、いくらか趣が違うので、これはこれでありと感じるか、やぼったくなってしまったと感じるかは、趣味の分かれるところだろう。
私は、根本的にこのシリーズの世界観に魅せられていないので、正直いって、観終わっても「ふーん」って感じで、感動も感心もしなかった。“正統なビギニングもの”という意味では、かなりしっかり作られていることだけは評価できるので、このシリーズを愛する人には重要な一本になっているとは思うが。本作が、ケイトがビクターに殺されなかった理由の説明になっている点も、それが許容できるか否かは、このシリーズを愛すか否かの差である。まあ、とりあえず90分で納まっている点はよい(というか救い)だろう。さほど手の込んだプロットではないので、これ以上長かったら、駄作のレッテルを貼るところだ。
結局、前作・前々作を観て、良いと思った人のための作品なので、そういう人はお薦めしなくても観てるよね。それ以外の人には特別お薦めしないし、観るのなら1からでしょ(当たり前か)。
公開年:1986年
公開国:アメリカ
時 間:88分
監 督:ロブ・ライナー
出 演:ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、キーファー・サザーランド、ジョン・キューザック、リチャード・ドレイファス、フランシス・リー・マッケイン 他
受 賞:【1986年/第61回アカデミー賞】脚色賞(レイノルド・ギデオン、ブルース・A・エヴァンス)
【1986年/第44回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、監督賞(ロブ・ライナー)
【1986年/第2回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、監督賞(ロブ・ライナー)、脚本賞(ブルース・A・エヴァンス、ロブ・ライナー)
ゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人は秘密小屋の中に集まっては、喫煙したりカードをしたり、いつも一緒に遊んでいた。ある日、行方不明になっている少年が、30キロ先の森の奥で列車にはねられ、死体が野ざらしになっているという場所があるという事を兄から盗み聞きしたバーンは、ゴーディたちにそれを話す。死体を見つけて有名になろうとした4人は、死体探しの旅に出かけるのだが…というストーリー。
またもや、“いまさらながら、この名作観てませんけど、何か問題でも?”シリーズ(笑)。
スティーブン・キング原作といえば、精神を病んだ犯罪者か、超能力者か、宇宙人か、って感じなのだけど、本作にはどれもないですな(キングらしくないとはいえ、唯一、パイ大食い大会の惨劇の悪趣味さだけは、それらしかったけど)。
ものすごくここが面白いとか、ここが独特とか、そういう所は無いんだけど、何とも目が離せなかった作品。どこか自分の経験の記憶とダブったり、環境や立場にシンパシーを感じたりしてるからかもしれない。程度の差はあれ、面白いと感じている人は、そういう感覚なんじゃなかろうか。でも、全然面白くないという人がいるのも事実なんだよね。私なんかは、面白さについて理屈を考える前に、脳内の中に何かに直結してしまう感じなんだけど、本作の4人みたいな経験をしたことない人なんかは、この感覚は無いんだろうな。
#もしかして、男にしかわからなかったりする?どうなんだろ。
ストーリー展開的には、かなり薄いと思うんだけど、かえってそれが郷愁を誘う。ラストに進むにつれて、何ともいえない匂いが漂う、稀有な作品だと思う。正直いって、今の今まで、きちんと観なかったことをちょっと悔やんでいる。男性ので本作を観ていない方。観よう。
#これを観ての感想って、どういう子供時代を過ごしたかの、一つの判断材料かもしれないね。
それにしても、リヴァー・フェニックスはもったいないですな。ドラッグ撲滅!
公開年:2002年
公開国:イギリス、アメリカ、ドイツ
時 間:112分
監 督:グリンダ・チャーダ
出 演:パーミンダ・ナーグラ、キーラ・ナイトレイ、ジョナサン・リス=マイヤーズ、アヌパム・カー、アーチー・パンジャビ、シャズネ・ルイス、フランク・ハーパー、ジュリエット・スティーヴンソン、シャヒーン・カーン、アミート・チャーナ、プージャ・シャー、デヴィッド・ベッカム 他
受 賞:【2003年/第61回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]
【2002年/第56回英国アカデミー賞】英国作品賞[アレキサンダー・コルダ賞]
【2002年/第15回ヨーロッパ映画賞】作品賞
コピー:負けるもんか!
インド系イギリス人のジェスはサッカーとベッカムが大好き。しかし、彼女の家は伝統と習慣を重んじており、家族に秘密でサッカーを楽しまなければいけないほど。そんな彼女はある日、男子に混じってサッカーを楽しんでいるところを、地元の女子サッカーチームに所属するジュールズに勧誘される。ジェスは戸惑いながらも内緒でチームに参加し、才能を発揮するが、ある時、練習帰りのユニフォーム姿を母に見られてしまい…というストーリー。
ベッカムがアキレス腱断裂というニュースを聞いて、そういえば、本作を観ていなかったなぁと思い、手にとった次第だ。
カルチャーギャップに焦点を当てた話なのか、女の子のがんばりムービーなのか、どっちつかず、、、と言ってしまうと、それって別に共存可能なのでは?という指摘を受けそうなのだが、片や『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』的な要素だし、片や『クールランニング』的な要素だし、面白さのポイントというか切り口には差がある。原題の『BEND IT LIKE BECKHAM』の“BEND”は曲げるって意味だから、ベッカムみたいにカーブをかけたシュートを打ちたいって意味と、インドの伝統的な風習を“曲げたい”っていうダブル・ミーニングだから、この観かたは間違ってないと思うけど、その二つがうまいこと混ざっていればいいのだが、あくまで並存しているだけのように見える。
もしかすると、女性は前者の目線で、男性は後者の目線で見てしまうのかもしれない。
イギリスとインドの関係、さらにインド内の宗教対立や階級の違いなど、私には掴みきれない要素が多々あるのだろうが、本作での主人公一家を含むインド人コミュニティには、違和感を感じてしまった。ユーロ圏では移民との軋轢が問題になることが多いが、このように自文化の様式を崩すことなく、他国で生活すれば、それはウマくやっていくことに困難が付きまとうだろう。いろいろ事情があるのだろうから、軽々しく「じゃあなんでイギリスにいるの?」とは言えないけれど、他国に永住していながら、自分の子供がその国の人と結婚するなんてもってのほか!みたいな姿勢で、コミュニティ内で閉じているなんてのは、いくら宗教的な違いとはいえ問題があるように見える。どこかで折り合いをつけないと。
中国人や韓国人が自国で犬を食べることについて私は文句は言わないが、日本でそれをやられるのはご勘弁ねがいたいし、日本人が他国の領海内で捕鯨したら、それはやめたほうがいいと私も思う。本作のインド人一家(シーク教徒だけど)は、イギリス人にも他宗教の人(イスラム系)にも敵意に近い感情しかない。製作者側にそういう意図はないのかもしれないが、結局、シーク教徒の偏狭さが浮きだってしまっているのはどうなのかしら(実際、そんな感じなのか?)
内容的には、女の子のがんばりムービーとしては良質だと思う。クラブチームスポーツが活発なのも、うらやましい。しかし、カルチャーギャップムービーとしては、アメリカ留学できてよかったね、ちゃんちゃんでごまかされて終わったような気がして、その点は好感が持てない。まあ、気楽に軽い気持ちで楽しむ分にはいい作品なので、観ていない人はどうぞ。
キャッチーな既存の曲をBGMに使っているのは、『トレイン・スポッティング』と同じ、っていうかパクりくさい感じ。まあ、本作の雰囲気にはマッチしているし、なかなか効果的。
#パイレーツ・オブ・カリビアンの前年だけど、キーラ・ナイトレイのイメージが結構違って初々しい感じ。
公開国:アメリカ、ポーランド、フランス
時 間:180分
監 督:デヴィッド・リンチ
出 演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン、ジャスティン・セロー、カロリーナ・グルシュカ、スコット・コフィ、グレイス・ザブリスキー、ダイアン・ラッド、ジュリア・オーモンド、アマンダ・フォアマン、ジョーダン・ラッド、スタンリー・カメル、メアリー・スティーンバージェン、ローラ・ハリング、ナスターシャ・キンスキー、マイケル・パレ、ウィリアム・H・メイシー、裕木奈江、ピーター・J・ルーカス、クシシュトフ・マイフシャク、エリック・クレーリー、ナオミ・ワッツ 他
受 賞:【2006年/第41回全米批評家協会賞】実験的作品賞
コピー:わたしも、世界も、乱れていく。
『マルホランドドライブ』を観たときは、難解なため整合性をについて考えるのを放棄したくらいだったが、本作はさらに拍車がかかっている。何が何やら、私にはさっぱりわからない。『ツイン・ピークス』しかり、難解な表現は、独特のスタイルと受け止めることは可能だが、欠けたパズルピースやどうしてもはまらないピースが3・4個あるくらいなら、なんとかねじ込もうという気にもなるが、一つのパズルなのかどうかすら怪しく思えるようでは、解く気すら失せてしまう。
それに3時間ちかく、このノリでは、疲れてしまう。このレビューを書くために、我慢して観たのだが、放り投げる寸前だった。劇中の台詞「要点を言ってくれ」「もったいぶるなよ」をそのままデビット・リンチにお返ししたい気持ち。
ただ、観終わって一つの考えに到達した。ただ説明しにくいので、迂遠な表現になるがご勘弁を。
他人も同じように思っているんだろうな…という前提で社会生活をおくっているが、時々、ふと、回りの人が、実は頭の中では別の捉え方をしているかもしれない、自分と同じように感じている保証はない…と感じることがある。極端な例を言えば、私は、この色を赤だといい、彼も赤だといっているが、私が感じている赤と、彼の頭が
感じている赤は別かもしれない…ということ(わかってもらえないかもしれないなぁ)。
で、デビット・リンチは、あるタイプの人間が、感じている内容を、具現化してるのではないか?ということである。ピカソはあの二次元化した立体表現を、計算で表現していたわけではなく、あのように見えていたと指摘する人がいる。リンチは精神を病んでいる人(例えば統合失調症の人)の感じ方を映像化しているのかな?と、気づいた。そういえば『ツイン・ピークス』でも、悪だ何だと表現されていたが、結局は主人公は心のバランスを崩したわけで、本作も同じ延長線上なのは?と。
#精神を病んだ人たちが集う共通世界がある…ということかもしれないけれど、それはユング的で好きではないかな。
ということは、リンチは、統合失調症の感覚を理解できている?境界線上の精神状態ということか?もちろんそれを確認する術は私にはないのだが…。フロイトの症例報告が、実は自分の症例であったことは有名な話だが、リンチ作品も同じだったして…と想像するとともに、ますますエスカレートする難解さは、その境界がよりあっち側に寄っているのでは?と感じられて、ちょっと心配になってしまう。
ただ、少なくとも、『ツイン・ピークス』程度の難解さ加減に戻ることは、もうないんだろうな…とは、思うのだった。とりあえず、よほどのリンチファンで、「研究したい!」くらいの気持ちがある人以外は、観るべきではないと思う。少なくとも、これを観たあとに、3時間を費やす価値があった…と実感する人は、ごくわずかだと思う。
あ、そうそう。本作には裕木奈江が出ていたことが話題になっていたけれど、別に特筆すべき点はなし。英語の長台詞だったことを褒めている人もいるようだけど、別に褒めたくなるような要素はなし。特段気持ち悪さ爆発の演技だったわけでもないし、逆に可憐さや危うさが表現できていたわけでもない。ふやけた椿鬼奴みたいだった。
公開年:2009年
公開国:日本
時 間:115分
監 督:細田守
出 演:神木隆之介、桜庭ななみ、谷村美月、斎藤歩、横川貴大、信澤三恵子、谷川清美、桐本琢也、佐々木睦、玉川紗己子、永井一郎、山像かおり、小林隆、田村たがめ、清水優、中村正、田中要次、金沢映子、中村橋弥、高久ちぐさ、板倉光隆、仲里依紗、安達直人、諸星すみれ、今井悠貴、太田力斗、皆川陽菜乃、富司純子 他
受 賞:【2009年/第33回日本アカデミー賞】最優秀アニメーション作品賞
コピー:「つながり」こそが、ボクらの武器
仮想世界OZが日常生活に深く浸透している近未来。健二は天才的な数学の才能の持ち主だが、内気な高校2年生。彼は憧れの先輩、夏希から夏休みのバイトを頼まれ、彼女の田舎、長野県に訪れる。そこでは、夏希の曾祖母で一族の長・栄の90歳の誕生日の祝いが、陣内家一族が集まり盛大に行われていた。その席で健二は夏希のフィアンセのフリをする、というバイトの内容を知ることに。そんな役割に困惑する中、その夜健二は謎の数字が書かれたメールを受信し解読を試みるのだが…というストーリー。
原田知世主演作の『時をかける少女』は、当時、原田知世のファンだったせいもあって、何度か見いて、劇中のセリフもけっこう覚えていたくらい。なので、当然、細田監督の前作『時をかける少女』も観た。若干女の子向けだったのだが、なんとも独特の質感に、とても感心したのを覚えている。
結果からいうと、前作以上に楽しめたのだが、それ以上に、本作に対するネット上の批判がバカバカしくて腹立たしく思っている。
例えば、クライアント側にスパコン使うのは変とか、暗号が手計算で解読できるわけがないとか、非常時になんで婆さんの電話は普通に繋がるのかとか、アバターを倒せばシステムの侵入者を退治したことになる意味がわからないとか。私も設定の詰めの甘さには厳しい方だが、そんなレベルのこといったら、世の中の物語なんかほとんど成立しないじゃないか。そういう整合性が取れていなければ興ざめするならば、ドキュメンタリー映画でも観ていればいいのだ。そんなくだらない批評は聞いていて不快である。
本作は“アニメファン”向けに作った映画ではなく、“映画ファン”向けにつくった映画。アニメ作品として面白いのではなく、純粋に映画としておもしろいと私は思う。従来のアニメ作品において編集作業は、時間あわせのために大まかなシーンカットが仕事だったと思うが、本作については(観た限りの印象だが)、実写映画のように作品全体の流れを作る仕事をしっかりしていると感じる。侘助が登場するまでの内容なんて、おおむね読めるのだから、ヘタな編集をすればイライラしてしまったに違いないのに、しっかり観ている側を惹きつけていた。
#侘助が、自分は開発しただけで責任はない…なんてセリフは、Winnyの開発者を揶揄してるのかしら。
日本アカデミー賞/最優秀アニメーション作品賞というのは当然だと思うが、アニメだからといって安易な賞を与えていないだろうか。普通に作品賞にノミネートされるべきレベルだろうに。みなまでは言わないが、本作より劣る作品がノミネートされているように、見受けられたと思うのだが。
#まあ、『しゃべれども、しゃべれども』がノミネートすらされていなかった賞だからね。私のセンスとは合わない賞なんだろう。
ブルーレイがかなり売れているみたい。確かに買って置きたい気持ちはよくわかる。1年に一回観返したくなるれべるの作品が誕生したのかも。今回の鑑賞は非常に満足。私の家族も満足だった模様。私が薦めなくても充分、皆さん観ていると思うのだが、普段アニメをみない人に、是非お薦めする。ご家族でどうぞ。
ラストのアメリカを揶揄した感じも大好き(アメリカは不快に思うだろうけど、知ったこっちゃない)。
#唯一、コピーがズレていてダサいけれど…。
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:ティム・イアコファーノ
出 演:テッシー・サンティアゴ、フランク・ホエーリー、クリス・ブルーノ、バート・ジョンソン、エリザベス・バロンデス、エイミー・ウォルデン、チャールズ・ハルフォード 他
犠牲者に対し心肺停止と蘇生を繰り返し、相手が殺してほしいと懇願するまで続けるという猟奇殺人犯カスプ。この凶行を阻止するため、カスプの最初の犠牲者だったマヤが投入される。彼女は、1年間の昏睡状態の後に他者の内面世界へ入り込む不思議な能力を身につけ、それを活用してFBIや保安官と共にカスプを追いつめるも、あと一歩のところで取り逃がしてしまう。やがて、再び犯行に及んだカスプは彼女へのヒントをわざと残していき、彼女はそれをもとにカスプに迫るのだったが…というストーリー。
????これは本当に続編か?前作は心理学者が主人公だったはずだし、とても斬新な映像センスだったことが強く印象に残ってるのだが(内容はさほどおもしろくなかったけど)、本作とは共通項が無いような…。
半分まで観て、どうも釈然としないので、調べてみたが、監督も脚本も別人だし、主人公の設定も別物。共通点は、人の精神に入るということだけか。
前作は、暗さと残酷さが共存して、実に幻想的な世界で目を惹いたのだが、その要素がまったく本作にはない。何が“2”なのか。これはサギに近い。面白いというなら許そうとも思うが、ヒドくつまらない。犯人はすぐ検討がつくし、謎解きのつもりでつくっているのだろうが、まともな謎解きになっていないし、残酷さも中途半端。1作目に失礼だから、せめて迷惑をかけないように別の映画として出してあげようよ。
もちろんお薦めしない。というか、100円レンタルの金額すら惜しい。これを観て、時間がもったいなかったと思う人間はいないはず。駄作警報発令。
#そりゃ、日本未公開だわ。
公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:145分
監 督:リドリー・スコット
出 演:オーランド・ブルーム、エヴァ・グリーン、ジェレミー・アイアンズ、デヴィッド・シューリス、ブレンダン・グリーソン、リーアム・ニーソン、エドワード・ノートン、マートン・ソーカス、ハッサン・マスード、アレクサンダー・シディグ、ヴェリボール・トピッチ、ジョン・フィンチ、イアン・グレン、マイケル・シーン、ブロンソン・ウェッブ 他
コピー:守りたいのは、父の夢。見つけたいのは、真の平和。
12世紀のフランス。妻子を失い悲しみに暮れる鍛冶屋の青年バリアンの前に、十字軍の騎士としてエルサレムへと赴く途中の騎士ゴッドフリーが現われ、バリアンが自分の息子であると告白し、バリアンに帯同を求める。一度は拒否するも結局参加したバリアンは、長い旅の道中でたくましい戦士へと成長し、幾多の困難を乗り越え、ついにエルサレムへ到着く。重い病のため常にマスクをしているエルサレム王と面会したバリアンは、その平和主義に感銘を受け、彼に忠誠を誓う。しかし、エルサレム王の妹シビラの夫で好戦的なギーは、サラディンへの挑発を繰り返し、微妙に保たれていた均衡を崩し交戦状態にしようと画策する。そんな中、バリアンはシビラと禁じられた恋に落ちるのだったが…というストーリー。
歴史の授業では、十字軍はイスラムに奪われた聖地エルサレムを奪回するために、欧州連合軍の形で出征した…と教えるわけだが、この映画を見るかぎりは、かなり様子が違う。十字軍の綺麗事意外の部分も描かれいて、逆にイスラム教徒の視点からも公平に聖地回復運動という十字軍の正義を問い正しているといえ、聖地エルサレムを巡って敵対するキリスト教とイスラム教という、中世から延々と続けられる構図を解りやすく観せてくれているのだが、いずれにしろ、この歴史背景とか宗教的感心の薄い部分なので、日本人にはわかりにくいはずである。
私は、どうも頭の中にある十字軍のイメージとズレていたので、すべてフィクションなのかなと思っていたが、バリアンが十字軍に参加するまでの前半がフィクションで、後半は、史実に沿っているらしい(つまりバリアンも実在の人物ということですな)。
雰囲気は『アラビアのロレンス』となぜか『サテリコン』をうっすら感じた。セット・戦闘シーンについては『グラディエータ』と同じく、感嘆すべきスケールで表現できているのだが、トータルで失敗作と感じさせてしまう理由はなんだろう。
最初はイスラム教徒の脅威からエルサレムを守るために生まれた十字軍が、次第に兵士の堕落や権力闘争によって崩壊する様子は、現在のアメリカに通じる。火玉が飛び交う戦闘シーンは、現代の湾岸戦争や諸々の中東での戦闘と重なる。宗教指導者のエゴ、権威主義、支配欲。戦争を止めない愚かな現代人に対する監督からのメッセージが滲み出ているといえるのだが、そのメッセージ性の割りに、映画的な見所はかなり希薄なことが理由かもしれない。
戦闘の勝利こそが真の勝利ではないという、もっともなのだが映画としてはカタルシスを感じない部分。バリアンのその前半フィクション部分に見られる非現実的キャラクター(簡単に強くなったり出世しちゃう)。さらに、オーランド・ブルームのいかんせん力不足な演技。引き算される部分が多々ありすぎるということだろう。
ただ、個人的には「時代のせいで正しい行いができませんでしたという言い訳は通用しない」とか、「私は先人の戦いを背負わされて何の恨みもない敵と闘うのだ」という端々のセリフには重いものを感じたので、やはりもったいないとしか言いようが無い。
強くお薦めはしないが、及第点といえる。テーマ的に興味を感じた人は見て欲しい。
#ただ、コピーは、歴史的センスのかけらもないなく且つインパクトもないという。苦笑するしかない。
公開年:2007年
公開国:日本
時 間:109分
監 督:平山秀幸
出 演:国分太一、香里奈、松重豊、八千草薫、伊東四朗、森永悠希、占部房子、外波山文明、建蔵、日向とめ吉、青木和代、下元史朗、水木薫、三田村周三、原金太郎、山本浩司、安倍照雄、中村靖日、飯田基祐、椎名泰三、五月晴子、織田優成、豊田達也、佐々木史朗、福岡芳穂、福島聡司、入船亭遊一、田中ふゆ、金山はる、金原亭馬吉、林家彦丸、堀越光貴、佐藤勇樹、広瀬ゆう、花原優香、伊瀬知悠、吉井克斗、立原誠崇、田村未奈美、桑畑幸菜 他
コピー:みんな、何とかしたいと思ってる このままじゃ、だめだから
二つ目の落語家・今昔亭三つ葉は、古典しか演じず普段から着物で通す。落語への情熱は人一倍だが腕は上がらず真打になれずじまい。ある日、成り行きで落語を使った話し方教室を始めることになってしまったが、集まったのは、美人だが無愛想で口下手な十河、大阪から引っ越してきたがクラスに馴染めず悩む少年・村林、コワ面であがり症のプロ野球解説者の湯河原。いつも言い争いばかりだったが、何とか教室を続けていく…というストーリー。
まだ、残念映画が続いたダメージを癒すために、前にみた映画の中で、よかったものを観なおしているよ。今回で二回目だ。ここのところ落語関係の芸能ニュースも続いていたので、ふと思い出した。
それにしても、本作、まったく受賞歴がないのだが、なんでこんなに評価されていないのか、よくわからない。ネットで検索してみても、あまり評価が高くない。
国分太一と香里奈の演技力に否定的な意見もあるが、不器用な男と無愛想な女の役なのだからこれでいいのだ。逆にキャスティングの妙といってもいいじゃないか。それに、彼らとの対比で周りのベテラン演者さんたちの演技はとても映えているし。こんな緩めの内容なのに、飽きさせることなく最後まで楽しめた。物足りないという意見もあるが、これ以上何か加えたらかえってバランスが崩れると思う。
う~ん。本作については、なぜか多くの人と感じ方が違うようだ。私、邦画でベスト10本選べといわれたら、間違いなく本作を入れる。ワタクシ的には、まったく穴のない映画。これまで色々な映画に散々文句をつけてきたが、本作についてはストーリー展開に無駄はないし、編集もカット割りも文句は無い。
共感してもらえなくてもいいが、登場人物すべての人が愛おしいと感じられるし、彼らを通して元気づけられもする。作中の下町の空気感がものすごち心地良い。日々の雑務の中に吹いた、清涼な風。落語なんて笑点でしか知らないという人も、楽しそうだなって思えるに違いない。
本当に良質の映画。ものすごくものすごくお薦めする。
公開国:日本
時 間:102分
監 督:吉川惣司
出 演:山田康雄、小林清志、増山江威子、井上真樹夫、納谷悟郎、大平透、富田耕生、柴田秀勝、飯塚昭三、村越伊知郎、嶋俊介、宮下勝、西村晃、三波春夫、赤塚不二夫、梶原一騎 他
不二子に頼まれ、ピラミッドから“賢者の石”を盗み出したルパン。不二子はその石の入手をマモーと名乗る男から依頼されていたのだが、マモーはルパンを使って不老不死に関する品物を集めていた。しかし、ルパンが渡した石は偽物だったため、マモーに狙われることとなる…とうストーリー。
もう、何度も何度も観ているが、ここのところ残念な作品続きでウンザリだったので、確実に気分転換できること請け合いの本作に手が伸びた。
これぞ正にルパン三世!という作品。アバンギャルドなストーリー展開に、お洒落なデザイン。冷戦時代の怪しい時代の空気感を表現していながら、普遍的なテーマを扱っているので、30年以上前の作品にもかかわらず、色あせない魅力。日本アニメのすばらしさは、ここにある。
つまらない映画ばかりでウンザリしたら、皆さんもこれに戻るといいよ。なんか理由はわからないけど、安心しちゃった。
『カリオストロの城』も名作だろうが、本作のほうが、ルパンらしいのはもちろん、映画としては上だと私は思っている。
三作目の『風魔一族の陰謀』からどんどんとクオリティが急降下して、ここ数年のTVスペシャルなど観る価値もないのだが、ちょっと前にリリースされたオリジナルビデオの『ルパン三世 GREEN vs RED』がなかなか面白かったことを受けて、提案させていただきたい。
ルパン三世は、今の声優陣によるシリーズは続けるのはかまわないとして、それとは別に、新声優でかつ本作のテイストに近い原点回帰の新シリーズを製作してほしい。もう、現声優の皆様も声に年齢を感じるようになって非常に聞いていてツライものがあるので、ここはあえてドラスティックに新シリーズに踏み出すべきである…と。日テレがダメなら他局でもいいじゃないか。
#別に栗田貫一で引っ張ってまで、現声優陣にこだわる必要はないだろうに。
公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:ピーター・カソヴィッツ
出 演:ロビン・ウィリアムズ、ボブ・バラバン、ハナ・テイラー・ゴードン、アーミン・ミューラー=スタール、リーヴ・シュレイバー 他
コピー:笑ってごらん、命をかけて。
第2次大戦中、ナチス占領下のポーランド・ゲットー。ある夜、元パン屋のジェイコブは、ドイツ軍司令部のにて、ソ連軍が400キロ先まで迫ってきているというラジオニュースを耳にする。翌日、この朗報をうっかり友人に教えてしまうと、またたく間にゲットー中に流れ出し、ジェイコブがラジオを持っているという嘘までも広まる。ラジオを持っていることがナチスに伝われば重罪に処されるのだが、ジェイコブの話が広まってから自殺する者がいなくなったことから、彼は、危険も顧みず、解放近しという嘘のニュースを伝え続け、ユダヤ人に生きる希望を芽生えさせていこうとする…というストーリー。
第二次大戦下のポーランド・ユダヤ人・ゲットー、これがテーマの映画はワンサカあるので、食傷ぎみという人も多いだろう。しかし、設定としては究極的に重いのに、よくもここまですっきり・さっぱりまとめ上げたものだと感心する。殺戮・迫害という状況は変わらないのだが、実にコミカルに進行し、他のゲットー映画とは、一味違う。ラストもそこそこの清涼感。受賞歴こそないが、そこそこの秀作といってよい(重いテーマを軽妙に仕上げられているのは、ロビン・ウイリアムスの力量によるところも大きいか)。
ストーリー以外でも、厳格な一神教のくせになにやらコックリさん的なことをやっていたり、だれかがイヤな発言をした時にみんなで唾を吐いて穢れを祓うみたいな行動をしたり、なにやら日本人にも共通する行動をとるので、なかなか面白いと感じるところがあった。
難点をいえば、テンポに緩急がないために、中盤あたりで若干疲れてくる(というか飽きてくる)。もうすこしメリハリを利かせるために、別のエピソードを入れるべきだったろう。そこが秀作と言い切れない、正面切ってお薦めできない理由ではある。ただ、最近、ガッカリな映画が続いていたせいか、本作でも充分満足した。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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