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公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:エイドリアン・ライン
出 演:ティム・ロビンス、エリザベス・ペーニャ、ダニー・アイエロ、マット・クレイヴン、マコーレー・カルキン、プルイット・テイラー・ヴィンス、ジェイソン・アレクサンダー、パトリシア・カレンバー、エリック・ラ・サール、ヴィング・レイムス 他
受 賞:【1991年/第19回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】観客賞、おもしろファンタスティック賞
コピー:人は、一日に一歩ずつ “ジェイコブの階段”を登っている。
ニューヨークの郵便局員であるジェイコブは、ベトナム戦争の元帰還兵。ある日、地下鉄の車内で、ベトナムで何者かに刺される夢を見る。それ以降、日常的に奇妙な幻覚に襲われ、夢と現実の境界があいまいになっていき、見慣れた風景に違和感すら感じるようになってきた。同棲相手のジェジーは、そんなジェイコブの症状を意に介さなかったが、不安になった彼はかかりつけの医師に相談にしようと病院に赴く。しかし、医師は既に死亡しており、ジェイコブのカルテすら病院には無いと告げられる。その後、謎の人物に車でひき殺されそうになったり、手相占いで既に死んでいる手相だといわれたり不穏なことが続き、さらに悪夢や幻聴の頻度が増していく。そんな中、ベトナム時代の戦友ポールから会いたいとの知らせが入る。そしてポールも自分と同じように幻覚に悩まされていることを知り…というストーリー。
まあ、タイトルの“ラダー”ってなんやねん…っていう引っかかりを頭の片隅に作りつつ、話が展開する。シナリオの小技だね。ただのノイローゼ帰還兵の心理描写と見せておいて、実は…という展開は、悪くない。いまでこそ、この手の作品が多いので、多くの人が理解できる土壌ができていると思うが、当時は困惑した観客が多かったと思う。
虚々実々の内容にティム・ロビンスの演技が内容にハマりすぎだったり、改めて観返すと、非常に良い出来映え。ちょっと世に出るのが3年早すぎたのかもしれない…と思う作品。
(以下、ネタバレ)
整体師の存在は何を表しているのか…も、一つのポイント。全編にわたってジェイコブを救う存在。あの世界で唯一異質な存在。まあ、天使だよね。謎解きに一つのアクセントで、程よい難解加減。
しかし、最後に「ベトナム戦争における○○の使用をアメリカ政府は認めていない」みたいなテロップが入るんだけど。これが蛇足。というか、このせいで名作から滑り落ちていると思う。政治的な話がよろしくないといいたいわけではなく、せっかく虚実入り混じった世界をうまく描き、それこそ『シックス・センス』並みのオチで終わることができたのに。薬云々なんか、どうでもいい。悲しい、切ない…となった観客の気持ちを、政府への怒りに誘導しようという意図に思えて不快になった。
これを単なる“夢オチ”という人がいるのだが、それは不当な評価。死ぬ間際、一瞬の走馬灯。ただ、その走馬灯は現実の過去を思い出すだけのものではなかった…ということ。だが、そういう指摘に至る人が出てくる理由の一つも、このテロップのせいだと思う。雰囲気を壊している。
まあ、この最後を除いて非常に良い出来だと思う。ビデオレンタルの時代に観て依頼だけど、以前よりも面白く感じた。
公開国:日本
時 間:98分
監 督:鈴木則文
出 演:菅原文太、愛川欽也、夏純子、中島ゆたか、佐藤允、春川ますみ、夏夕介 他
11トントラックの運転手・星桃次郎、通称“一番星”は、家を持たず、お金をつぎ込んでデコレーションした愛するトラックで生活をしている。同業者で未亡人のモナリザお京は、そんな桃次郎を気にかけて何かと焼いている。桃次郎の相棒は4.5トントラック運転手の松下金造、通称“ヤモメのジョナサン。彼は、安アパートに妻と子供7人の大所帯だ。ある日、桃次郎は、東北のドライブ・インで新顔店員の洋子に一目ぼれ。桃次郎は、ストリップ小屋で拾って舎弟にした千吉を使って、花を渡して告白しようとするが、千吉はモナリザお京に告白してしまい、密かに桃次郎に恋心を抱いていたお京は舞い上がってしまう。そんな中、西日本一を自称する“関門のドラゴン”こと竜崎勝が、桃次郎にレース勝負を挑んできた。意気揚々と迎え撃つ桃次郎だったが、千吉に足を引っ張られ負けてしまい…というストーリー。
冒頭のエロシーンで掴みはOK。まあ、そういう掴みを喜ぶ客層相手の作品だから、大した内容じゃなかろうとおもってたら、どうしてどうして。
いや、正確に言えば、内容の程度はお察しの通りだが、シナリオの構成が、スゴい。ウマい。正直、驚いた。
モナリザお京の話、捨て子の話、洋子の話、ジョナサンと警察の話…これら複数のエピソードのすべてに、綺麗な起承転結だけでなくカタルシスがあり、且つ五月雨式に重なっている。作品全体を通してクライマックスが連続攻撃でやってくるという構成になっているのだ。
鈴木則文監督によるシナリオだが、ラストのイメージから逆算して無駄なく登場人物を配している。当たり前のことなのだが、案外これがしっかりできている脚本家は少ない。とにかく、入魂、入魂また入魂。推敲を重ねたであろう様子が滲み出ていて、感服然りである。
強烈なキャラクターの桃次郎だが、実は各エピソードの狂言回しになっているというのも秀逸。寅さんに通じるペーソスを感じさせつつ、明確にブルーカラーを主人公に据えており、観客層を絞っているのもウマイ。ヤクザまがいではあるがあくまで労働者。そして、バカだけど国家権力には楯突くという、全共闘世代のシンパシーをくすぐるキャラクター。コンセプトの勝利か。そりゃ、シリーズ化もするだろう。
とはいえ、万人ウケうる作品でなない点は、覆りようがない。それでも、ハズレたと感じることは少ないと思う。軽くお薦め。
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:今敏
出 演:江守徹、梅垣義明、岡本綾、飯塚昭三、加藤精三、石丸博也、槐柳二、屋良有作、寺瀬今日子、大塚明夫、小山力也、こおろぎさとみ、柴田理恵、矢原加奈子、犬山犬子、山寺宏一 他
コピー:私の「名づけ親<ゴッドファーザー>」は3人のホームレスでした──。
クリスマスの夜、一人の捨て子をめぐって東京に《奇跡》が起こる。
東京・新宿。元競輪選手のギンちゃん、元ドラッグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキのホームレス3人は、クリスマスの夜にゴミ置き場の中から赤ん坊を拾う。ギンちゃんとミユキは、すぐに警察へ届けようと言ったが、母親願望の強いハナちゃんは、勝手に“清子”と名前を付けてかわいがりはじめる。結局、ハナちゃんに押し切られて、三人は自分たちで清子の親探しをすることに。しかし、手がかりは清子と一緒に置かれていたスナックの名刺と数枚の写真だけで…というストーリー。
江守徹のアテレコのデキがよろしい。宣伝目的でタレントを配する野良吹き替え映画とはわけが違う。
一人の捨て子をめぐって、奇跡が雪崩れのように起こる。悪くいえばご都合主義なわけだが、その奇跡が主題なのでそこを非難するのは的外れ。むしろ、その奇跡の波状攻撃を、いかにスムーズにスピード感を持ち、且つ、観客に右フックを喰らわすがごとく視界の外から浴びせるかがポイントで、本作はそれをみごとに達成していると感じる。
元の生活からドロップアウトした3人は、今は擬似家族のような生活をしている。実の家族は、家族だというだけで息苦しいほど距離を詰めてくる。それが当たり前といわんばかりの押し付けというか常識が、彼らにとっては苦しいことだったのかも。だから、この擬似家族は、そこそこの距離を保ちながら成立している。
でも、赤ん坊と親は一心同体。0距離。清子の登場で忌避していた過干渉を思い出す。そして、3人がそれぞれの生い立ちや立場で清子を見ていて、自分のようにはしたくない…って慮るところが、せつなく、悲しく、そして微笑ましい。
見落とされがちだが、“ありえねー”という展開(とくにアクション)が、実に説得力を持った描写に仕上がっているのもよい。最後の“ふわり”も、決して興醒めすることはない。
“清子”は名前を付ける前に誘拐されている。だから、両親は感謝の意を込めて3人に名付け親になってもらおうと申し出る。“ゴッドファーザー(名づけ親)”は、仮に清子と名づけていたことを指しているのかと思ったら実際に…と、最後にスパンッ!とまとめて来た。そして、最後の最後にもう一つ奇跡が…。シナリオがうますぎるよね。
#おそらくミユキは家に戻るだろうが、ギンちゃんとハナちゃんはどうするのか。まあ、そこは語らぬが華だわな。
後の『パプリカ』なんかはいまいちで、必ずしも全部アタリってわけじゃないんだけど、今敏監督は飛びぬけた力量を持っていたと思う。本当に夭逝したことを残念に思う。
お財布に余裕があったら、Blu-rayを買っても損じゃないと思う作品。アニメも実写も含めて、歴代邦画ベスト15に入る作品だと私は本気で思う。お薦め。
公開国:フランス
時 間:84分
監 督:ミッシェル・オスロ
出 演:坂本真綾、逢笠恵祐、金尾哲夫、西島秀俊 他
夜の古い映画館で、好奇心旺盛な少年と少女、初老の映写技師が紡ぐ5つお話。
【狼男】中世ヨーロッパ。姉妹が一人の騎士を愛するが、騎士は姉を選び結婚することに。しかし、騎士は満月の下で苦しみだす。そして「自分は狼男だ」と告白する。それを聞いた姉は、夫婦の間に隠し事は無用だと、騎士を狼男に変身させる。すると突然、狼に襲われたと姉が騒ぎだしたため騎士は森へ逃走。さらに、姉は狼の討伐隊を森に送りこむ。狼がかわいそうだと思った妹は、一人で森に入ると、そこの狼が現れ…。
【ティ・ジャンと瓜ふたつ姫】カリブ海の島。ある青年が、たまたま死者の国に迷い込んでしまう。死者の国には美しい“瓜ふたつ姫”がいると聞き、見てみたいと考える。しかし、そのためには、巨大な蜂、マングース、イグアナという怪物たちをやりすごさなければいけないという。死者の国で出会った老人が教えてくれた手段は、いずれも怪物たちを傷つけるもので、かわいそうに思った青年は別の手段を考えて、それらを突破していく…。
【黄金の都と選ばれし者】古代アステカの黄金の都。黄金にあふれた豊かな国を訪れた一人の少年。しかし国中が人々が暗い顔をしていることに気付く。理由を尋ねると、年に4回、美しい娘が都を護る怪物の生贄になるとのこと。そんなことはおかしいと、少年は生贄をささげるとの時、怪物に対峙するのだったが…。
【タムタム少年】アフリカ。太鼓が好きだが、村中の人々から役立たず扱いされ、太鼓を叩くことがゆるされない少年がいた。そこで、村はずれにいる太鼓の達人に師事。技を極めた少年は、叩くと聞いた人々が踊りだす魔法の太鼓をもらい、村に帰還する。すると、村は他の部族の高原を受ける。少年は太鼓を使って、攻めてきた戦士を躍らせて撃退するのだったが…
【嘘をつかなかった若者】チベット。言葉を話す王の愛馬を預かっている若者がいた。その若者は“決して嘘を就つかない”と噂される人柄で、王から絶大な信頼を得ていた。隣国の王がその噂を聞き、とある賭けを申し出る。私は若者に嘘をつかせてみせる。お互いの領地の半分を賭けよう…と。若者を信頼している王は、隣国の王の申し出を受ける。すると、隣国の王の娘は、身分を偽って若者に接近し、自分に恋するようにしむけ…。
【鹿になった娘と建築家の息子】中世ヨーロッパ。とある娘は建築家の息子と恋におちていたが、暴虐な魔術師に目を付けられ、無理やり結婚させられる。諦めきれない建築家の息子は、結婚指揮の途中に、娘を奪い去る。父が建物に施した仕掛けで一旦は逃げるものの、結局魔術師に魔法をかけられて、娘は鹿に変えられてしまう。建築家の息子は、その魔法を解こうと、妖精に助けを求めるが…。
『夜のとばりの物語-醒めない夢-』を誤って先に観てしまったため、すぐにでも本DVDをレンタルしたかったのだが、行き着けのレンタル屋に2枚あるのだが、ず~~~~っと借りられっぱなし。この作品、そんなに人気があるのか…??。
さすがに先にチョイスされてDVD化された6本だけあって、『-醒めない夢-』のお話たちよりキレのある話が多く、正直おもしろかった。毎回、アジアを題材にしたエピソードがあるのだが、今回はチベットのお話がそれ。ただ、全然チベットな雰囲気じゃなかったのが残念。
ただ、シュールな終わり方をするお話が多かったと思う。『狼男』は「狼でも私は愛します!(キリッ)」みたいな台詞で、スパッとおしまい。周りの人は「………」みたいな感じ。姉はとっちめられるわけでもなく。
『瓜ふたつ姫』も、「久々に恋人に会いたくなったなー、じゃねー」で、周りはポカーンみたいな。なんなんでしょね、このノリ。勧善懲悪的な話に簡単にできるのに、今回は避けているような気がする。効果のほどは微妙だけど。
ただ、あまりにもクレイジーなお話が一つあって、これだけは納得がいかないい。それは『嘘をつかなかった若者』。隣国の王の娘が領地を乗っ取るために、純朴な男を色香でだまくらかすの。自分にメロメロになったな…と思ったら、「うう、苦しい…」とか演技しはじめて、「しゃべるウマの心臓を食べれば治る」とか言うわけ。悩んだ若者はウマに相談。ウマは若者のために自殺する。若者は親友の死にショックを受けつつもウマの心臓を料理して娘のところに持っていったら、娘はいないわけ。王から預かっていた馬が死んでしまったけど、若者は王に正直に言えるか?って展開に。結局、若者は正直に顛末を話す。そのせいで、王は隣国の王との賭けに勝って領地の半分を入手。さらに、あの娘が登場しまあ正直ね…と、結ばれる。ふぁっつ?!?!自分をだまくらかして、ウマを死に追いやった娘の顔をみたら、その場で殴りかかるだろ。なに、普通に結ばれとんねん。
おまけに、しゃべるウマは死んだけど、歌う馬との間に子供ができてるのよ…とか抜かしやがる。だからなんだ。関係ねーだろ。死ねや!(これが普通の感覚でしょ)。もう、気違い&気違いですわ。
自殺する直前に、歌う馬と子作りに励んでいるウマを想像すると、それはそれでシュール。
ちょっとドンデモな領域に足を踏み込んでいる気はするけど、文句も含めて面白かったので、軽くお薦め。
公開国:アメリカ
時 間:91分
監 督:クレイグ・モス
出 演:ダニー・トレホ、ロン・パールマン、チャールズ・S・ダットン、ジョイフル・ドレーク、シャリム・オルティス、パトリック・ファビアン 、ジョン・ダフィ、ハリソン・ペイジ、リチャード・リール、アンディ・ダヴォリ、パトリシア・ドゥ・レオン、ジリアン・マーレイ、クレイグ・シェイファー、クリス・スペンサー、ジェニファー・ブランク、フランク・マハラジ、ウィンター・アヴェ・ゾーリ 他
フランク・ベガはベトナム戦争からの帰還兵。国のために尽くしたはずなのに、社会に受け入れられることはなく、細々とホットドッグ屋で稼ぐ日々だ。ある日、バスの中で老人が2人の不良に絡まれている場面に遭遇、係わり合いにはなりたくなかったが、しかたなく不良共をノックアウトし老人を救った。その様子がYoutubeに流されると、フランクは一躍時の人となる。世の中も捨てたもんじゃないな…と生きる気力が出てきた矢先、母親が他界。母の住んでいた家を相続し、そこに引越し。犬とだけでは広すぎる家に、親友のクロンダイルも住まわせることに。そんなある日、タバコを買いにいったクロンダイルが何者かに襲われて命を奪われてしまう。親友を無くしたフランクは深く悲しみ、警察に犯人を早急に逮捕するように依頼するが、一向にまともな捜査をしてくれる気配がない。フランクは苛立ち、とうとう、自分で犯人を見つけようと行動を起こす。そんな中、ふとクロンダイルが生前にフラッシュメモリーがどうのこうの言っていたことを思い出し…というストーリー。
本作を一言で表すとすれば、“ジジィが暴れる話”それに尽きる。チンピラに絡まれた初老のおじさんが逆に撃退して、その映像がYoutubeにアップされて話題に…ということが、実際にあったらしく、その騒動を元に、この作品が作られたとのこと。確かにありそうなお話。昨今のアメリカではアーリア系のチンピラがエラく煙たがられている様子だ。色んな映画によく登場する。
ベトナムの退役軍人なんていう古臭いネタではあるけれど、真の英雄が評価されず、人の上前を掠めて大金持ちになったようなヤツばかりがチヤホヤされエラそうにしている社会に、みんながうんざりしているんだろう。アメリカン・ドリームってのは、一発のマグレ当たりのことを指しているんじゃないはずだけど。
で、社会からさんざん疎外され続けたフランクだったが、Youtubeをきっかけに生きる意味を見つけていく。マイノリティの気持ちはもちろん、日々の生活で鬱屈とした思いを抱えている人の心をがっちりとつかむ。そして友情と復讐に燃える…という熱くてわかりやすい要素。いくら軍人あがりだからって、ジジィ強すぎる。それも泥臭く強い(これがいい)。さらにちょっとしたロマンス。ダニー・トレホのこの手の作品は、エロ要素が多すぎて邪魔だったが、本作は丁度いい。親友の復讐、社会悪との対峙、ロマンスの3つがうまく廻っているシナリオだね。
どこをどう見ても低予算なのは間違いないが、むしろそれが味になっている。やっとダニー・トレホが主役として生きている作品が登場した。続編と作っていいんじゃなかろうか。お薦め。
公開国:日本
時 間:120分
監 督:クァク・ジェヨン
出 演:綾瀬はるか、小出恵介、桐谷健太、田口浩正、遠藤憲一、小日向文世、竹中直人、吉行和子、吉高由里子、斉藤歩 他
コピー:ねぇ、ジロー。あなたと過ごした大切な一日。私は、何度生まれ変わってもあなたに恋をするよ。
誕生日を祝ってくれる友人もいない大学生のジローは、自分への二十歳の誕生日プレゼントを買うためにデパートを訪れると、ボディスーツのような不思議な風体の美女を見かける。彼女は、売り物の服や靴を着たまま店外に出ていく。その後、ジローが一人で食事をしているところに、何故かその美女が押しかけてきて、自分も誕生日だという彼女と一緒に食事をする。不思議な言動を繰り返しジローを振り回す彼女だったが、刺激的な楽しい誕生日を一緒に過ごすことで、ジローは彼女に惹かれていくのだった。しかし、彼女は突然ジローの目の前から消えてしまう。その1年後の誕生日に、あの時の彼女が現れる。再びレストランで一緒に食事をしていると、一人の客が突然銃を乱射。ジローは撃たれそうになるが彼女に助けられる。ジローが彼女の怪力に驚いていると、彼女は彼に事実を告げるのだった。彼女は、未来のジローが自分を救うために送り込んだサイボーグだったのだ…。
どうでもいいが、“サイボーグ”の定義くらい押さえておくべきではないかな。ロボットでしょ、本作のコレは。タイトルのおさまりとかを考えてのことだとは思うけど、“機械の心”が一つのポイントになっているのだから、これはイカン。サイボーグは普通に心を持っているのだから、そぐわない。いやサイボーグってのは、そのロボットのことじゃなくて、後の奴の…っていい訳しそうだけど、あれは生身だから。
クァク・ジェヨンというのは、『猟奇的な彼女』とかの監督。要するに、粗暴なロボット彼女に振り回される…という“彼女シリーズ”のひとつということなんだろう。まあ、その部分については、綾瀬はるかの魅力のおかげだけでなんとか成立している(彼女が出演する映画の中で、一番、美しく描かれているのは間違いない)。
しかし、内容は完全にタイムリープ物で、どっぷりとSF。タイムリープ物として優秀な『LOOPER/ルーパー』を観た後なので、どうしても、本作の稚拙さが目立つ。
(以下、ネタバレ)
過去を修正して大怪我をするはずの自分を救ってしまったが、時間はそれを元に戻そうとするので、きっとこれから大怪我するような事件に遭遇する!っていうのは、結構秀逸なギミック。だけど、これ『ファイナル・デスティネーション』のパクり。
一回めに登場した彼女が、次年に登場した彼女と同一と思わせておいて、実は…という仕掛けは悪くないのだが、彼女に似ている女性が登場しスクラップを入手した後、なぜかその記憶を取り込むという暴挙に走る。記憶を覗くだけならまだしも、記憶を取り込んでしまえば、元の人間としてのアイデンティティは崩壊してしまうだろう。自分が経験していない記憶に振り回されるという気味の悪い所業。そして、そんな気持ちの悪い生物と、主人公が結ばれました、めでたしめでたし…って、今、眼前で破壊された彼女を嘆いているのに、似ている人間が登場したからって、素直に受け入れられるかね。“見た目”だけよけりゃそれでいいのかよ…、なにか韓国人の醜さを見せられたようだ。そんな行為に、あこがれやシンパシーを感じられるわけものなく、深く考えれば考えるほど吐き気がしてくる。
で、この一連の終盤のくだりは『アンドリューNDR114』のようなテイストでまとめられている。『アンドリューNDR114』では、技術進歩が進むだけ進んでしまって、生体部品によってロボットと人間の区別がつかなくなる。本作は、ロボットそっくりな人間が、ロボットの記憶を人間に取り込んでしまって…という展開。エピローグとしての語り口が良く似ている。
この脚本、ちょっとパクり…というか、他の映画のギミックとかテイストをそのまま使いすぎだよね。
どうせアイドル映画だろ…と、期待していなかったが、そこまでヒドくはなかったかな…というレベル。
#作中で、綾瀬はるかのアゴが成長しているような気がするのは気のせいか?…
公開国:アメリカ
時 間:79分
監 督:ジェームズ・フランコ
出 演:ヘンリー・カヴィル、ブルース・ウィリス、シガーニー・ウィーヴァー、ベロニカ・エチェーギ、ロシュディ・ゼム、オスカル・ハエナダ、ジェームズ・フランコ、マット・ベル、ウィルマー・カルデロン、トリップ・ホープ、ヴィンス・ジョリヴェット、ロビン・コーエン、リチャード・ポートナウ、ジャロッド・バンチ、チャリティ・シェイ、デヴィッド・ギャレット、マーニー・シェルトン、ステイシー・ミラー 他
ニューヨークで暮らす兄弟アダムとマックスは、二人共IQを持って生まれた。弟マックスのほうが飛び級するほどの天才肌だったが、その分社会性に欠けていた。その後、勤勉な兄アダムは医者になったが、弟マックスはマジメに学業に励むことがなく、ドラッグの売買に手を染めて、本人もドラッグに溺れる日々を過ごしていた。ある日、マックスは、ドラッグの取引相手とトラブルをおこし、街にいることが出来なくなってしまう。そこでマックスは、ドラッグはやめて真っ当に生きると約束し、西海岸のアダムの家に置いてもらうことに。適当に選んだコンピュータ会社に就職し、それなりに調子よくやっていたが、同僚にドラッグを薦められたことをきっかけに、再びドラッグに手を出してしまう。その後は歯止めが利かなくなり、会社の同僚を巻き込んでドラッグ三昧に日々に舞い戻ってしまう。そして、それがアダムにばれてしまい、家を追い出されてしまい…というストーリー。
まず、ジャケットの画像とタイトルを見たら誰でも、ドンパチありのガンアクション映画だと思うだろう。残念ながら、そういう内容ではない。まず、狼は出てこないし、狼に比喩されるような人物もでてこない。そしてチンピラの小競り合いくらいはあるが、誰一人として激闘なんかしやしない。むしろ、激闘どころか堕落の極みである。
特に、ジャケット画像の“サスペンスアクションムービー!”という煽り文句は、完全に詐欺であり犯罪行為である。JAROは元より公正取引委員会や消費者庁に告発してよいレベル。誰か英語の達者な人は、ジェームズ・フランコ監督や製作会社に、こんな扱いをされていますよ!と何とかして伝えるべき。毀損があまりにもひどすぎる。正直、この詐欺行為によって、まともに作品を観ることが困難になった。このDVDの発売元は、買った人やレンタルした人が求めれば、代金を返還する必要があると思う。それほどヒドい。
で、実際のストーリーは…と。最後に「兄に送る…」みたいな文字が入るので、もしかすると監督か脚本家の実体験がベースなのかもしれんが、そこはよくわからん。
兄もなかなか賢いのだが、弟は勉強をしている様子なんかまったくないのに、自分よりもテストの成績はよい。元々社会性や道徳心に欠けていたのかもしれないが、自分はデキるので、努力なんかしなくてもどうにでもなると思い込んでいるのが敗因。そんな調子だから学校にいくことなんかバカバカしくなっちゃって、目先の快楽に溺れまくり。ドラッグ売買に手を染めるだけでなく、客を騙してボロ儲けを目論む。そしてその客とトラブルになってしまう(死んだのか怪我をさせただけなのかは、いまいち不明)。
本当に賢いなら、世の中には自分ではコントロールできないことが山ほどあることに気付くのだが、あくまで記憶力や計算力に長けているだけで、弟マックスはアホなのね。神童、神童っていわれていた子がマトモに成長したのをみたことがない。
兄アダムは、そんなマックスを文句を言いながらも弟だからとフォローする。何が腹立つって、兄アダムが手を差し伸べてやっているのに、おとなしく言うことを聞いているのは、自分が困ったている時だけ(こういう人は、世の中に結構存在する)。やさしい兄になんて罰当たりな!って、思いたいところなんだけど、この兄貴もなんか気持ち悪くて、なんかいまいち同情しきれない。両親にかわいがってもらえなかった嫉みみたいなものが心に染み付いているせいなのか、何かひねくれているし、人から認められたいという欲求が強すぎてイタい人。
(以下ネタバレ)
結局、マックスは薬でヘタこいて懲役を喰らう。そのおかげで薬からは遠ざかることができるのだが、その一方でアダムが日々のプレッシャーから病院の薬物に手を出してしまい、兄弟がクロスフェードで壊れていく。
あのマジメな兄が!と驚くマックスだったが、ペナルティを受けた兄を今度は彼が励ます。おお、兄弟ってやっぱり兄弟なんだな…と、一瞬騙されて感動しそうになったが、そういう低いレベルで兄弟のシンパシーを感じあってるのを観て、素直に感動できるかいな。
“自分はデキる”と信じて邁進できるのはいいことだが、デキる自分と実際の自分の乖離が苦痛になって、反社会的な行為でその溝を埋めるような生き方は不毛極まりない…という教訓。まあ、それほど面白いお話ではないね。
公開国:日本
時 間:78分
監 督:(演出)藪下泰司
出 演:森繁久彌、宮城まり子
受 賞:【1958年/第9回ブルーリボン賞】特別賞
宗の時代の中国。西湖のほとりに住む許仙は、不思議な少女・少青に御殿へ導かれ、美しい娘・白娘に引会わされる。許仙は一目で恋におちたが、実は、白娘の正体は許仙が子供のころに可愛がっていた白蛇の精で、少青は魚の精だった。その頃、高僧・法海は、人間の若者が白蛇の精と恋におちたことを法力で知り、彼を何とか救おうと考えた。一方、許仙の飼っていたパンダとミミと少青は、許仙と白娘が結ばれたことを知り大喜び。御殿に飾られていた木彫りの竜で遊んでいるうちに、その竜が彼らを乗せたまま空へ舞い上がり、そのまま国の宝物殿に落ちてしまう。少青はそこにあった二つの宝石を祝いの品として持ち帰ってしまうが、そのために許仙は窃盗の罪を負い、遠方の蘇州に流され労役に就かされる。しかし、許仙の体にまとわりつく白娘の妖気が夜な夜な白蛇となって現れたため、他の労役者から気味悪がれ追放されてしまう。その足で蘇州の街外れの古塔で待つ白娘の元へ向かうが、法海は許仙を救おうと白娘に法術戦を挑み…というストーリー。
日本発の初のカラー長編アニメ。昭和33年なので終戦からひと回りで、ここまでできるようになるのは、素直に凄い。凄い情熱。
中国の民話なので、ストーリー的なオリジナリティはほぼなく、本作の価値はそこに無い。着目すべきは動画の技術。ディズニーに追いつけという気概からか、とにかく動画のがんばりがスゴイ。実際の人物の動きをトレースして原画をつくっていた模様で、ディズニーと同様な手法を取り入れてる。ヌルヌルとよく動いている。
細かい描写の面では、明確に宗代という設定なのに、清の風俗が混入していたり、レッサーパンダのミミが、とてもレッサーパンダとは思えないキツネのような風貌だったり(資料不足かと)。冒頭の粘土アニメみたいなのはいかにも、文部省推薦的な臭いを漂わせていたり。その辺はご愛嬌。
ただ、冷静に考えると、物の怪の色香にやられてしまう男の話で、それも昔飼っていた蛇との色恋ときたもんだ。文部省推薦の子供向け作品の内容としては、いかがなものかと(笑)。この主題を、二人を支援する動物たちの健気さや、高僧とのバトルのおもしろさで包み隠しているわけだ。高僧も決して悪気があるわけではなくて、良かれと思ってやっている両陣営が、共倒れになってしまうのでは?!というのが、ハラハラポイントである。
最後はもちろん、すったもんだの末のハッピー・エンドになるわけだが、別にパンダもミミもついていってもいいんじゃないだろうか(なんなら少青だって)。根本的に、白娘は晴れて人間になったわけだし、別に普通に暮らしていいんじゃないかねぇ。
正直、ストーリー的にはもうちょっと工夫が欲しかったところだし、やっぱり国産初のカラーアニメだ!って気合を入れるなら、オリジナルな話にしてほしかった。当時もそういう声が大きかったのか、東映の次回長編アニメは『少年猿飛佐助』で、その後『西遊記』→『安寿と厨子王丸』と、中華と日本が交互に続く。『桃太郎 海の神兵』みたいなプロパガンダ映画を連想させるのを避けたかったのか、単に中国かぶれがいたのはよくわからんけど。
あと森繁久彌と宮城まり子だけに声をやらせる意味は、結果的になかった。これは失敗。森繁久彌はまだしも宮城まり子が声色を分けられていないし、根本的にアニメ声優に向いていない。
まあ歴史的な意味を考えると、そんな注文をつけるべきじゃないんだけど、そういう注文をつけたくなるレベルに達してる…ということだね。
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:スティーヴン・ソダーバーグ
出 演:ジーナ・カラーノ、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、ビル・パクストン、チャニング・テイタム、マチュー・カソヴィッツ、マイケル・アンガラノ、アントニオ・バンデラス、マイケル・ダグラス、エディ・J・フェルナンデス 他
ノミネート:【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】アクション映画女優賞(ジーナ・カラーノ)
スペイン、バルセロナ。民間軍事企業の経営者ケネスは、米国政府とスペイン政府関係者から、フリーの女性スパイ、マロリー・ケインを指名した人質救出作戦の依頼を受ける。依頼を受けたマロリーはバルセロナに入り、同業者のアーロンらと協力して仕事を完遂。救出したジャーナリストのジャンをスペイン側に引き渡す。マロリーがサンディエゴの自宅に戻ると、そこに何故かケネスが現れ、MI-6からの任務を受けるよう強要してくる。その依頼は、同業者のポールと新婚夫婦になりすまし、スチューダーというフランス人に接触するというもの。不審に感じながらも依頼を受けたマロリーは、任務を遂行しながら現地やポールの所持品を調査。すると、ホテルの一室にバルセロナのミッションで救出したジャンの死体を発見。その手にはマロリーのブローチが握られており、何者かがマロリーの犯行に偽装しようとしていた…というストーリー。
工作員が自分をハメた人物を探り出して復讐する…というシナリオが実にありきたりで、謎もシンプル。本当にソダーバーグの作品か?と疑いたくなる。
その反面、主人公マロリーを演じるで女優さんのアクションシーンが、観ているだけでアドレナリンが出まくりになるほど、素晴らしすぎる。
特に、廊下の壁などを利用した狭い場所でのアクションがすばらしい。体のキレと、打撃の重さが伝わってくるムーブで、本当に当ててるんじゃないか?と思うほど。三角締めや腕折りは本当に効いていそう。タイ映画のようなマンガ的な演技ではなく、リアルで泥臭い格闘を観せるってことに徹していて、好感が持てる。コマギレ編集も少なくて、動きをしっかり見ていただきましょうという姿勢。
10回に1回くらい「その動き必要か?」っていうムーブもあるが、まあ、そこはご愛嬌。ビルの階段を逃走するときに、傘を一本もって上がっていくのだが、わざわざずっと持っていたのに結局使わないという場面があったりして、ソダーバーグがそれほど入魂していないのがよくわかる(笑)。
とはいえ、主演女優のお顔がそれほど魅力的じゃない。もしかするとスタントやボディダブルのお仕事をしていた人だったりするのかな? なんて思って観ていたが、どうやら格闘家さんらしい。不美人というわけではないのだが、さすがに主役をはれるほどの花はない。
ユアン・マクレガーやらアントニオ・バンデラスなど主役級の俳優さんで固めているが、彼らもそれほど入魂している様子は感じられず、(実際はそんあことないと思うが手抜き感が滲む。もうちょっと、強烈な悪役がいれば、素人女優も際立ったと思うのだが。
結局、観ていてテンションがあがったのは、格闘シーンだけといってよい。カーアクションもガンアクションも迫力がない。気の抜けかけた炭酸水のような作品。
公開国:日本
時 間:137分
監 督:西川美和
出 演:松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、安藤玉恵、江原由夏、木村多江、やべきょうすけ、大堀こういち、中村靖日、山中崇、村岡希美、猫背椿、倉科カナ、佐藤和太、栗原瞳、原扶貴子、森富士夫、柏村栄行、栗本有規、ヤン・イクチュン、伊勢谷友介、古舘寛治、小林勝也、香川照之、笑福亭鶴瓶 他
ノミネート:【2012年/第36回日本アカデミー賞】主演女優賞(松たか子)
コピー:人間最大の謎は、男と女
東京の片隅で小料理屋を営む板前の貫也とその妻、里子。小さいながらも、いつも常連客で賑わっている店は、5周年を迎える。そんなある日、調理場からの失火で店は全焼。二人は全てを失ってしまう。もう一度やり直そうと前向きな里子はラーメン屋のアルバイトを始める。貫也も知り合いのツテで板場で働き始めるが、自分の店で思うようにやってきて、ここにきて他所のしきたりに従えるはずもなく、モメごとをおこして辞めてしまう。そして、次第にやる気をなくし、酒に溺れる毎日に。そんなある日、店の常連だった玲子と、駅のホームでばったり遭遇。酔った勢いで玲子の部屋で一夜を共にしてしまう。愛人に手切れ金を渡され落ち込んでいた玲子は、貫也の話を聞いて、貰った手切れ金をすっかり渡してしまう。大金に浮かれた貫也は、小走りで帰宅するが、浮気はすぐに里子にバレてしまう。激怒してもらってきた金を焼いてしまおうかというその時、もしかすると、夫には女にとことん同情される才能があるのではないかと気付き…というストーリー。
冒頭の迂遠なカットの連続で、挫けてしまう。正直、2回ほど観るのを中断した。後々、貫也に騙される女性の様子を描いているのはわかるが、それ必要だろうか?
重量挙げの人はパっと見は男性みたいだし、風俗の人は最初ソープで再登場のときはデリヘルだから同じ人だとすぐに繋がらない。両者とも地味な顔立ちだから、印象薄いし。後から出てきて「わー、あの人かー」っていう驚きや感動があるだろうか。普通の感覚ならカットするところだろう。監督のせいなのか編集のせいなのかはよくわからんけど。
とにかく話の本題である結婚詐欺の流れになるまでが、迂遠なの。
一番釈然としないのは、里子が結婚詐欺を思いつく場面。札束を燃やそうとするときにふと思いつく。思いつくのはいい。確かにそういう才能があるのかも?!と気付くのは不自然ではない。でも、才能に気付くということと、それをやらせようという感情に至ることとは、別問題ではなかろうか。よっぽど愛想が尽きたか、恨みの気持ちが増したか、かなり悪魔的な感情が沸かないと、それなりに愛していたであろう夫に、別の女性と夜を共にする生活を強要させるまでには至らないと思うのだが…。
一回の浮気だろうが不快で許せなくなるのはわかる。でもそこまで、極端に振れる境目が、全然わからなかった。浮気が数回続いたというなら判るが、一回の浮気だけで結婚詐欺がバンバン成功するに違いない!と確信できるその違和感よ。
自分がこんな大したことのない男にずっと尽くしているのは、玲子が金を渡したのと同じ感情が発露なんじゃねーの?という考えに至ったのなら理解できなくもない。でも、そこに気付いて愕然とした…、プツッと切れてしまった…っていう瞬間は伝わってこない。
仮にそれに気付いたならば、このままじゃいけないと思い、別れよう…って考えにも至ると思うが、それは選択肢にあがらない。“割れ鍋に綴じ蓋”とか“愛憎”だといえばそれまでだが、しっくりはこない。
そこで、私はふと思う。女性には、これがピンとくるのかしら? どうなんだろう。
このターニングポイントさえ、スパっと描けていたら、文句なしのコメディだったと思うのだ。本作は、コメディをコメディとして描かない“スタイル”なだけで、立派なコメディ。ただ、頭でも書いたけど、ちょっとテンポが悪いから、そうは見えないだけ。
なんだかんだで、結婚詐欺が波に乗ってしまうくだりは、なかなか面白く、その間の松たか子の演技がユニークで愉しめる。本当に軌道に乗ってしまうことへの戸惑い。“店”が目的だったけど、実は、店自体は幸せに至る手段だったことに薄々気付き始める。じゃあ、真の目的である幸せな生活は? 結婚詐欺なんかやっていたら子供なんか作れない、むしろ幸せから遠ざかっている。ところが、ブレーキの踏み時のはずなのに、逆にアクセルを踏んでしまう自分への戸惑い。
西川美和監督作品は、結局、いつも警察に追われるような内容ばかり。最後の金の返却って何か意味があるんだろうか…。穴を掘って埋めて…みたいな行為に近い。人間は所詮、遺伝子の呪縛から逃れられない…というような、諦めの運命説みたいなものが漂う。もうちょっと肩の力を抜いて作れば、監督自身の人としての地金みたいな部分が滲み出なくていいと思うな。
田中麗奈が調査を依頼した笑福亭鶴瓶の役は、法律の話をしていたから弁護士なのかと思ったけど刺青してるし、興信所なの?ヤクザなの? それとも刺青のある弁護士をディスってるの? スッと理解できまへんでした。
#鈴木砂羽が演技してるの初めて見た。
公開国:アメリカ
時 間:122分
監 督:シドニー・ポラック
出 演:ロバート・ミッチャム、高倉健、ブライアン・キース、岸恵子、ハーブ・エデルマン、リチャード・ジョーダン、ジェームズ繁田、岡田英次 他
コピー:すさみきった現代。ストレンジャーが 愛で まもり通した花一輪に 日本任侠の心が燃えた! 全世界の注目をあびて《巨匠》が描く娯楽超大作!
アメリカの海運会社を経営するタナーの娘が、日本のヤクザ組織・東野組に誘拐された。東野とタナーが交わした武器売買契約をタナーが履行しなかったためだ。タナーは、第二次大戦後に進駐軍兵士として一緒に日本に滞在していた旧友のハリー・キルマーに相談。ハリーは、日本にいる田中健というヤクザの幹部に貸しがあり、彼に協力を依頼すれば、問題を解決できるかもしれないと告げる。元々はタナーの不備が発端だったため、乗り気ではないハリーだったが、タナーの部下のダスティと共に仕方なく訪日する。東京に到着したハリーは、田中英子という女性が経営するバー“キルマー・ハウス”を訪れる。英子はハリーの日本滞在時の愛人で、バーは帰国の際に彼女に贈った店だった。英子から健が京都にいることを聞いたハリーは、すぐに京都に行き事情を説明するが、健は既にヤクザの世界から足を洗っており…というストーリー。
もう、タイトルからして直球すぎて如何なものか…と思ってしまったのだが、内容もタイトルに負けていなかった。
当時のアメリカ人にとってすれば、日本の文化・風習だけでもアメージングなことばかりだっただろうに、それに加えて任侠世界の感覚やしきたりを理解しなければ話が進まない。だから、とにかく至る所で説明、説明 and 説明。誤解されてしまうと厄介なので、説明的な台詞もとにかく丁寧だったりする。
東京や京都でロケされていて、当時の街並みがものすごく味わい深い。新宿の様子なんか、臭いが伝わってきそう(パチンコ屋のトイレが臭そう)。なぜかJCBの看板が目立つのがおもしろい(UCの看板もあるので別にスポンサーといわけでもないだろう)。1970年代の頭には、すっかりクレジットカードが定着しているのね。
シドニー・ポラックの手腕なのか否か、アメリカ映画にありがちな“トンデモ”な日本描写が、この作品には極めて少ない(異論があるのは承知)。違和感が強いのは、花子役のクリスチナ・コクボのカタコトな日本語くらいじゃなかろうか(教師設定なのにカタコトはないわな。ここは吹き替えでよかっただろう)。
足を洗ったヤクザが、京都で剣道を教えているのが変?私は別に変だとは思わないな。もう遠い昔の日本だから、私の頭の中で“別世界”という判断をしているせいかもしれないけれど。
#ハリー、東京⇔京都の移動 ごくろうさん…。
(以下、ネタバレ含む)
同じ女を愛した男というシンパシーで、通じる二人の男。必死の目にあって復員したのに、毛唐の愛人になっている妻。しかし、その毛唐がいなければ、売春婦にでもならない限り娘共々生き抜くことはできなかっただろう。命あっての物種。これも運命、身分を兄と偽って身を引けば丸く治まる。なんとも息苦しいが、そういう時代ということで。
本当はプラマイゼロで、もうハリーに義理なんか無いんじゃないの?と思うのだが、それを隠している以上、表面的には義理があることになってしまうという難しい状況。高倉健はそういう微妙な感じや、やるしかない…そういう運命なんだ…と達観した気持ちをうまく表現していたと思う。
そんな事情だから英子もおいそれとハリーと結婚なんかできなかった。じゃあ、すっぱりと縁を切りゃあいいと思うのだが、そうしていないところをみると、英子は元々シモがだらしない女だということになるのだが、それはご愛嬌。
そんなことも露知らず、田中健は自分に義理があるだとか上から目線だったことに、とてつもなく恥ずかしくなってくる。
ヤクザ、ヤクザというけれど、単に社会からドロップアウトした無法者とは違うのよ。マフィアとは違うのよ。男と男が義理を通せば、それが任侠なのよ。それは外国人だって同じことだよ…と、そこで最後にハリーがやっちゃうのがなかなかのインパクト。もちろん、実際はそんなに簡単には切れないんだろうけど、ハリーが失神しそうになってるのが、なかなかリアル。でもさすがに、そこまで美化しちゃいけないと思うのよ。兄貴分の目を盗んで、ささっとエンコを詰めちゃうのなんて、見方を変えれば滑稽だものね。
今、地上派で放送されることは間違いなくないであろう、色々と総合して珍作と言い切ってよい本作だが、雰囲気といい人物描写といい、全編に緊迫感を維持し続けた作品だと思う。あまりに予想外で、思わず「おもしれ~」って口に出してしまったよ。
#パンナムのカバン欲しい…
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:マブルク・エル・メクリ
出 演:ヘンリー・カヴィル、ブルース・ウィリス、シガーニー・ウィーヴァー、ベロニカ・エチェーギ、ロシュディ・ゼム、オスカル・ハエナダ、ジョゼフ・マウル、キャロライン・グッドオール、ラフィ・ガヴロン、エマ・ハミルトン 他
コピー:自分だけ、知らない――
アメリカ人青年ウィル・ショーは、自分の会社がトラブル続きでバカンスどころでは無かったが、休暇中の家族と会うためスペインへとやって来る。空港に迎えに来たのは、大使館関係の仕事をしている厳格な父マーティン。父とは、長年うまくいっておらず、気まずい再会。その後、母、弟、弟の恋人らと合流。一家揃ってのディナーを久々に愉しむはずだったが、そこにウィルの会社が倒産したとの電話が入る。ウィルはショックで粗暴な言動をしてしまい、ディナーの雰囲気は台無しになってしまう。翌日、気まずい雰囲気のまま、家族でクルージングを愉しむことに。ちょっとしたトラブルで、ウィルが街に買出しに行くことになり、用事を済ませて海に戻ると船が見当たらない。やっと船を見つけるが、中に家族の姿はなく、荒らされた様子が。ウィルは、地元警察に飛び込み捜索を依頼するが、なぜか警官たちから身柄を拘束されそうになり、逃げようとすると襲撃を受ける事態に。すると突然、父マーティンが現れ、ウィルを窮地から救うのだった。家族全員が武装集団に連れ去られたと語るマーティンは、自分がCIAの工作員であると告白しはじめ…というストーリー。
スペインの街並みなリゾートはいい雰囲気だったが、肝心のプロットがありきたりすぎで、どうにも。
①一般人が自分の父親のせいで騒動に巻き込まれてしまい
②ヒントを頼りに展開し
③大きな組織とドンパチする
という企画会議で思いついた内容を、そのまま具現化しただけ…みたいな作品。もう一捻り欲しい。結局、こんなあり様になった原因である“情報”とやらが何なのかを一切明かす気なく、且つそれで謎解きサスペンスをする気も無いことに、結構早い段階で気づいてしまう。その“情報”についてミステリー要素を噛ませれば、すこしは厚い話になったと思うのだが…。
(一応、ネタバレ注意…としておく)
ブルース・ウィリスがあっさり拉致されてしまい、「お!?意外な展開」と思いきや、やっぱりあっさり再登場。そして、やっぱり工作員(笑)。ただ、その後あっさりとご退場。きっとまた復活するんでしょ~?と思わせておいて、最後まで出さなかった点は評価する(もしかすると、本作が当たれば、続編での復活…という目論みがあったかもしれん)。
で、その後を引き継いだのがシガーニー・ウィーヴァー。悪役を演じることは少なくないが、『穴/HOLE』を思い出させてくれる飄々さとエキセントリックが共存した役柄が良い。というか似合ってる。彼女がいなければ、本作は完全崩壊していただろう。
ウィルの奮闘の過程で、一人のスペイン美人と遭遇。ロマンス展開が普通だが、実は異母兄妹とか。アレ?もしかすると、シリアスに見せておいて実はコメディ作品にしたかったのか?という疑いもあるが、それならそれで踏み込みが甘いといわざるを得ない。
CIAとモサド、敵か味方か? どっちも敵か? みたいな展開にもなるが、さすがにモサドを出すと、一切笑えなくなる…というかちょっと冷める。それに、最後のモサドに救われるという流れ。まるでモサドが正義の味方みたいで、さすがにこれは如何なものかと思う。
なんとか救出された家族と、愛人の娘とご対面というシーンで、おしまい。夫は死んでしまったけれど、家族が増えたよ!みたいな感じ? なんか気持ち悪くもある。
これ、もっと直球コメディにしたほうが良かったと思うよ。そしたら続編もあったかも。続編では、つらっとブルース・ウィリスが生きていて家族から責められるとか、あの時は拉致から解放されて異常な心理状態だっただけで、よく考えたらなんで愛人の娘と和気あいあいせなイカンねん!と改めてモメはじめたりとか。
可も無く不可もなく…と評価してあげたいところだが、逆に無理して観なくてもいい作品だともいえるわけで…。
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:ライアン・ジョンソン
出 演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ポール・ダノ、ノア・セガン、パイパー・ペラーボ、ジェフ・ダニエルズ、ピアース・ガニォン、シュイ・チン、ギャレット・ディラハント、ニック・ゴメス、トレイシー・トムズ、フランク・ブレナン 他
受 賞:【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】SF/ホラー映画賞
コピー:任務:未来から来る犯罪者を消せ 標的:30年後の自分
2074年にタイムマシンが開発されるが、すぐにその使用が禁じられた。しかし、犯罪組織は、タイムマシンを利用して殺人を行っている。未来の人々は体内にマイクロマシンを仕込まれて、人を殺そうとすると動きを制止されてしまい、殺人を犯すことができなくなっている。そこで、タイムマシンを悪用し、殺したい人物を過去に送り、待ち構えている処刑人に始末させているのだ。処刑人と未来の犯罪組織との間には約束事があり、もし処刑人が30年後にも生きていた場合は、ターゲットと同様に過去に送り込まれ、未来の自分を殺すことになる。その時ターゲットの体には金塊が巻かれており、それを合図に処刑人の役目は終了。その後、大金を元手に自由に余生を送ることができるのだ。その行為は“ループを閉じる”と称され、そのため処刑人は“ルーパー”と呼ばれていた。2044年。腕利きのルーパー、ジョーの前に標的として現われたのは、30年後の自分。通常、顔がわからないように布が被せてあるのだが、それが無く、未来の自分であることに気づいてしまい、一瞬殺すの躊躇ってしまう。その隙をついて未来のジョーは逃走してしまい…というストーリー。
ブルース・ウィリスってけっこうタイムスリップしてるよね。『12モンキーズ』『キッド』。
冒頭の説明が過ぎる気がするけれど、“ルーパー”という特異な存在を把握させるためには致し方がない。いや、ヘタをすれば意味不明に陥りそうな複雑さを、スッと説明してくれており、むしろウマいと評価すべきか。
ドロップアウトした若者がスカウトされ、無頼でありながら刹那的な運命を受入れていく。デカダンな空気が相まって、独特な空気を生んでいる。
タイムスリップのお話なのに、なぜか“KT”なる超能力が登場。なんだこりゃ?と注視するものの、そのギミックはしばらく放置。いつ話に絡んでくるのか身構えていたら、そこに気が向いたお陰で、タイムスリップ物にありがちな、矛盾で興醒めさせられる…ということが回避できた。
だって、冷静に考えたら本作にだっておかしい部分は散見される。ルーパーを管理するために未来から一人送り込まれてきているのだが、そいつはジョーに、俺が拾ってやったから今がある、恩に着ろ…みたいなことを言う。でも、未来から来てるんだから、ジョーがルーパーになるのは確実で、彼がやったことは“見つけた”だけ。
また、30年後も生きていれば、ループが閉じられるが、そうじゃなきゃどうなるんだ?銀の価値なんざ60~70分の1くらいなので、銀の延べ棒で得られる報酬なんか知れてるような気がする(結構な生活ができている意味がちょっとわからん)が、ずっとこの生活を続けるのか?いや、絶対に30年後も生きている奴だけが選ばれてるに決まっているのでは?
でも、別に30年前ぴったりにしか、タイムスリップできないわけじゃないよね。コンスタントに狙ったときに送りこめるはず。あれ?じゃあ、なんでループを閉じる必要があるの?根本的に“ルーパー”である意味あるの?ってか、ループを閉じずに逃げられても、そんなに影響ないんじゃない?などなど、本作のシナリオは、そういう粗から目を逸らせてくれるので、一切気にならない。とにかくウマい。
人の愛を知らないジョー。そして人の愛を知った30年後のジョー。同じジョーだがまったくの別人である。一分一秒ごとに、人間は変化して別人になっていくに等しい…ともいえる。単なるウェットな感情だけでなく、ちょっと哲学的な臭いがするのも良い。
最後はちょっとあっさりな気がするけれど、何でレインメーカーがループを閉じようと思ったのだろう…と考えを及ばすと、このオチでよかったと感じる。自分の母を殺したルーパーを全滅させようと思ったのか? それとも、違う生き方ができたであろうと考え、過去を変えようとしたのか? まあ、このオチがレインメーカーの望むものだったとすれば、後者だよね。
満足した。2012年の作品の中で、一番巧みなシナリオだと思う。
公開国:アメリカ
時 間:86分
監 督:ジミー・ヘイワード、スティーヴ・マーティノ
出 演:ジム・キャリー ホートン、スティーヴ・カレル、キャロル・バーネット、ウィル・アーネット、アイラ・フィッシャー、エイミー・ポーラー、セス・ローゲン、ジョシュ・フリッター、ジェイミー・プレスリー、ラウラ・オルティス、ジョナ・ヒル、ダン・フォグラー、ジェシー・マッカートニー 他
コピー:こりみたいに小さくたって、ひとはひとだ。
ジャングルヌールに住む象のホートンは、風に乗って耳元とかすめたホコリの中から、助けを求める声を聞く。他の動物たちにそのことを話ても嘲笑されるだけだった。実は、ホコリの中には、超極小の生き物“ダレダーレ”の国があったのだ。ダレダーレ国のあるホコリは、これまでヒマワリの花の上に固着していたが、突然の突風により空中に放り出されてしまったのだ。そのせいでダレダーレ国では大嵐や地震が発生。助けを求めたダレダーレたちの悲鳴が、ホートンの耳に届いたのだった。ホートンはそのホコリをクローバーの花で受け止め、仲間たちがバカにするのもお構いなしに、ホコリへ話し掛ける。すると、ホートンの声はダレダーレの国の市長の耳に届く。市長は、外の大きな世界からホートンが話しかけていることを知って驚くが、それを市民に説明しても嘲笑されるだけ。ホコリの中にたくさんの人が住んでいることを知ったホートンは、ヌール山の頂上の割れ目なら彼らは安全にくらせるだろうと考え、山頂目指して旅立つのだったが…というストーリー。
表面的には、ホコリの中に小さな国があるとかバカなこと言ってんじゃねえ!と嘲笑される象と、そんな空の彼方にデカい生き物がいるなんてあり得ねえ!と気違い扱いされる市長が、お互いを信じてがんばるというストーリー。マヌケな両者のがんばりが微笑ましいお話で、もちろん子供向けの作品なんだが、ホートンとカンガルーの母親の対立軸構図が地味にエグいお話だと思う。
パッと見だと、見えないものを信じるホートンがカトリックで、見えるもの以外は信じられないというカンガルーの母親が無神論者に感じる。しかし、実際の行動様式は間逆。
カンガルーの母親は、アホなことを言っているホートンを社会を乱す種とレッテル貼りして、住人たちを扇動して村八分的に追い詰めていく。アメリカ南部で、進化論を唱えた教師を、地域で追い詰めていった流れに酷似。巧みにファンダメンタリスト批判になっている…と私には映る。
さらに、カンガルーの母親は、ホートンが大事に守っている花の破棄をハゲタカ(?)に依頼する。反社会組織に仕事を依頼する行為で、簡単に言えば、PTAの会長が地元にある暴力団事務所の下部組織の組長に、気に喰わない母親に嫌がらせを依頼するようなレベル。
『グリンチ』と同じ原作者らしいので、人間の奥底の歪みのようなものを表現するのが味になっているのはわかるだが、このカンガルーの母親の行動には、はっきりいって引かざるを得ない。
ラストはすったもんだで大団円になるのだが、最後まで動物たちが、カンガルーの母親の扇動にのせられ続けるのが怖い。上っ面の扇動に簡単に簡単に騙され、自分の考えというものが一切ない。何、この衆愚政治。
そして、ホートンが信じてもらえる決め手になるのが、カンガルーの子供の勇気。ただそれだけ。ダレダーレ国民が団結して大きな声を出せたから…ということになっているが、そんなことをしなくてもホートンの耳には届いていたわけで、声量の問題ではないのは明らか。じゃあ、彼らの耳に届かない理由は何か? それを考えると、大人たちの先入観がまず変わることはなく、子供たちに託すしかないという諦めに見えて、実に怖い。
これは、アメリカ社会の滅びを予言した作品かと。大げさかもしれないけど、進化論を完全否定して、この世が生まれたのは6000年くらい前で、人間と恐竜は共存していた!と、本気で子供に教え込んでいるような国は、アメリカだけだからね(南部だけど)。で、そいつらが支持する政党が共和党。二大政党のどっちになっても終わってるんだから、アメリカは終わってるんだろう。
いやー、アニメと内容の振幅が大きすぎるもんだから、素直に楽しめないわ、この作品。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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