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image1910.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:ジョン・ファヴロー
出 演:ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド、サム・ロックウェル、アダム・ビーチ、ポール・ダノ、ノア・リンガー、アビゲイル・スペンサー、バック・テイラー、クランシー・ブラウン、クリス・ブラウニング、アナ・デ・ラ・レゲラ、キース・キャラダイン、ブレンダン・ウェイン、トビー・ハス、ウォルトン・ゴギンズ、デヴィッド・オハラ、フリオ・セサール・セディージョ 他
コピー:人類の運命を握る記憶を失くした男 その正体 敵か味方か


1873年、アリゾナ。男は、砂漠の真ん中で下着一枚で目を覚ますが、自分が何者なのかも一切わからない。左腕には観たこともない金属製の腕輪がついており、どうやっても外れない。とりあえず、襲ってきた追い剥ぎを逆に殺して服と馬を奪い、とある町までたどり着く。そこは牧場主ダラーハイドという男が支配する町。男は、ダラーハイドの息子パーシーといざこざをおこすが、易々と手玉に取る。その様子をみていた保安官は、男が指名手配中の無法者ジェイク・ロネガンであることに気づき逮捕。保安官がジェイクを護送しようとすると、ダラーハイドが一緒に逮捕されていた息子とダラーハイドの金貨を盗んだジェイクの引渡しを要求。触即発の睨み合いとなる。しかしそのとき、謎の飛行物体の集団が町に襲いかかり、謎の兵器で町を破壊し、保安官とパーシー、バーテンの妻などが捕獲されてしまう。するとジェイクの左腕にあった腕輪から光線が発射され、飛行物体を撃墜してしまう。ジェイクの腕輪で敵を倒せることを知った町の男達は、ジェイクと協力し誘拐された人々を救いだそうと、捜索隊を結成するのだったが…というストーリー。

自分は何者だ?という謎解きの面白さ。周りは自分のことを知っているようだが本当なのか?この手にくっついている武器はなんだ?ワケを知っているような女の正体は?そんな疑問が渦巻くなか、ドラ息子が非道な小物っぷりからはじまり、その親父との一触即発の展開、さらに急激に宇宙船とおぼしき勢力とのドンパチがはじまる。この急展開はなかなかおもしろかった。

し・か・し…だ。徐々にそれらの謎が判明していくと、あまりにもありきたりな事実ばかりで拍子抜け。
(以下ネタバレ)

他文明を滅ぼしにくる勢力がいて、いま地球が狙われていて、過去にその勢力に滅ぼされた星の生き残りが地球に加担して、加担してくれる女性と地球人の男が恋仲になる…って、まるっきり『幻魔大戦』だな。あまりに使い古された凡庸なプロット。
西部劇の時代を舞台にしたところで、その凡庸さは補えるものではない。

彼が入手したツールは、相手も持っていそうなものだが、なぜか無双状態。何故、キスで取れるのか。そんな簡単に取れるのなら、もっと早く取って、自分が使えばよかったじゃないか。
姿を自由に変えることができる異星人。最後、玉砕しなければならない理由もよくわからない。頭をつかえばもっといろんなことができると思うのだが。オーバーテクノロジーの無駄遣いも甚だしい。

結局、人はなんで生かされていたのか。何故、金が必要なのか。色々、腑に落ちない。

子供がもらったナイフでエイリアンを倒すくだりは、成長物語として意味を成しているだろうか。ドラ息子の毒気が抜けた…というくだりは、おもしろいだろうか。シナリオとしても稚拙。

DVDパッケージのデザインをみると、ちょっぴりコメディな感じもあるのかな?と思ったが、そういう要素は皆無。というか、ダニエル・クレイグ+ハリソン・フォードでは、その辺は期待しても無理なのかもしれない。
そろそろ、“スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮!!”と謳い文句がついたらハズレだと認識して間違いない時代が到来した…と思ってよさそうだな。ほぼ駄作。

 

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公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:ジョセフ・ラスナック
出 演:クレイグ・ビアーコ、アーミン・ミューラー=スタール、グレッチェン・モル、ヴィンセント・ドノフリオ、デニス・ヘイズバート、スティーヴ・シュブ、ジェレミー・ロバーツ、リフ・ハットン、レオン・リッピー 他




1999年。ソフトウェア企業の開発者ホールは、コンピュータ内に1937年のロサンゼルスを模したヴァーチャルな世界を構築しようとしていた。ある朝、彼が目覚めると部屋のは血まみれのシャツがあり、前日の記憶も曖昧に。そこに、彼の上司であるフラー社長が何者かに殺害されたと連絡が入り、アリバイが立証できなかったホールは容疑者になってしまう。犯行時間の記憶が無いことから、もしかすると自分がやったのかもしれないという疑いを拭いきれず、混乱するホール。身の潔白を証明しようと、事件を追っていくと、フラーが開発中のヴァーチャル世界に、頻繁に出入りしていたことを突き止める。そこに秘密があると確信したホールは、引き止める同僚の制止を振り切って、システムに侵入し…というストーリー。

『マトリックス』も1999年で、同じテーマで同年公開じゃ勝負にならなかったろう。でも、本作自体のデキは決して悪くないのよ。逆に考えれば、なんで『マトリックス』がウケて、本作がダメだったのか。いい研究材料だと思う。
世界観や哲学的な問答については、むしろ『マトリックス』のほうが難解。当時は付いていけないという思う人がいたくらい。本作は、“テレビゲーム”のようなバーチャルな世界に精神が入り込める…という判りやすさがある。

『マトリックス』には、アドレナリンが出るような戦闘シーンや、驚愕のビジュアル表現。本作のビジュアル表現といえば、“世界の果て”のフレームワーク画像程度。単なる予算の差とはいえないほどのセンスの差が横たわっている。

本作は、時間制限といういい材料があったのにウマく活用できなかったのがイタい。クライマックスで、“主人公”がいなくなってしまうのもイタい。結果的に、自分の旦那が気にくわなくなったから中身を入れ替えた…と見えてしまうのに、めでたしめでたしとしてしまう気持ち悪さもイタい。
#“13F”っていう設定自体、生きてないしな。
「俺たちのことを放っておいてくれ」は、一見、名セリフのように聞こえるが、他にもこの世界の正体を知ってしまった人間がいるという事実と、その刑事が“放っておいて”もらうための行動を取っていないという、若干の矛盾を感じる。始めから気付いていたのか、途中から気付いたのかも判然としない。もっと、「ああ、あの刑事の行動は、わかっていたからなんだな…」という、気付きが盛り込めればよかったのだが…。

ちなみに『バニラ・スカイ』が2001年。こういう哲学的というか認識論的な視が流行だった時期なのかも。こういう話を思いついただけで、その人は仏教徒である。ただ3作いずれも、今見ている世界が虚像であって、リアルな世界が別にある…というところまでしか到達できていないが、“空”の理論からすれば、そのリアルな世界だって、リアルか否かは証明できないんだぜ?というところまでいけば、すばらしい。

ちょっと批判的に聞こえるかもしれないけど、“地味におもしろい”、そういうレベルの作品。

 

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image1154.png公開年:1977年
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:スティーヴン・スピルバーグ
出 演:リチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォー、テリー・ガー、メリンダ・ディロン、ボブ・バラバン、ケリー・ギャフィ、ランス・ヘンリクセン、ロバーツ・ブロッサム、カール・ウェザース 他
受 賞:【1977年/第50回アカデミー賞】撮影賞(ヴィルモス・ジグモンド)、特別業績賞(ベン・バート:音響効果に対して)
【1978年/第32回英国アカデミー賞】プロダクションデザイン賞
【2007年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
コピー:We are not alone.宇宙にいるのはわれわれだけではない。

真新しい状態の大戦時代の戦闘機が突如砂漠に出現したり、民間航空機が未確認飛行物体とニアミスするなど、奇妙な事件が頻発する。同じ頃、インディアナ州の田舎町で大停電が発生。電気技師ロイは調査のために車を走らせていると、猛烈な光と激しい振動に襲われるのだった。その後、この光の正体に取り付かれたロイは、仕事も手につかなくなり、とうとう会社をクビになってしまい、挙句の果てに妻と子供にまで逃げられてしまう。その後、自分の頭に浮かぶ“山”のイメージに従い模型をつくるようになり、それが、ワイオミング州にあるデビルズ・タワーであることに気付き…というストーリー。

私なんかがごちゃごちゃ解説する必要もないくらい有名な作品だけど、案外、観ていない人は多いわなぁ。
でも、その有名具合とシナリオのデキは反比例している。UFOが襲来→どうやら接触しようとしているらしい→コンタクト。基本はそれだけ。ストーリーの起伏はあまりない。転換ポイントは、ロイが自分のノイローゼ(イライラ)の理由に気付いて行動に移すところくらいだろう。
ほとんど、宇宙人との遭遇話なんだけど、一応、主人公ロイは家族との絆を失い、ジリアンは息子との絆を取り戻すっていう、人間ドラマも並行してる。でも、そっちは全然描ききれていなくて、ものすごく弱いんだよね。この中身の無さが、実際に宇宙人と接触する前の心構えのためにアメリカ政府が作らせた作品だ!なんていう噂に繋がるわけだ。

宇宙人さんからの通信らしいけど、さて何だろう。そこで一人の男が「おれは本当は地図屋なんだ!」ふむふむ、それで?「これは緯度と経度だ!(キリッ)」う~~~~ん。
緯度は許せるけど経度ってさぁ、人間が決めた子午線を基点にした角度じゃん。宇宙人ってば地球人の地図持ってるのかよ~~~って思ったら、ちょっとアホらしくなっちゃった。
まあ、ラストで、拉致されてた(!?)人間がいっぱい開放されるから、その人たちから情報は得ていたってことなんだろうけど、それがわかるまで、最後まで興醒めしっぱなしだったよ。どうよ、この演出。私は失敗演出だと思うけどねぇ。

「音階言語をレクチャーしているらしい」「パターンを解析したからコンピュータに切り替える!(キリッ!)」その割には、同じことを繰り返しているだけで、地球人側からは何の意思も伝えられていないどころか、何を伝えてきたのかもわかってないし。
ってか、緯度・経度の情報を人間から得たとすれば、なんらかの方法で人間とコンタクトする術があるってことじゃねーの?それどころか、ロイとつれていきたいんなら、直接ロイのところでさらっていきゃいいじゃん。他の人はさらってるんだから。

あまりにツッコミどころが満載すぎるんだけど、きっとこの理不尽さが“未知”なんだな。宇宙人の思考を簡単に地球人が理解できるわけがないんだよな…。そういうことにしておこう(って思いたいけど、そんなこといったらなんでもありだよなぁ)。

悪い言い方をすれば“リアルな技術を誇示したかった”“作りたいものを思いっきり作った”それ以上でもそれ以下でもない作品だな。

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image1195.png公開年:1971年
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:スタンリー・キューブリック
出 演:マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー、アドリエンヌ・コリ、ウォーレン・クラーク、マイケル・ベイツ、エイドリアン・コリ、オーブリー・スミス、マイケル・ベイツ、マルコム・マクドウェル、パトリック・マギー 他
受 賞:【1971年/第37回NY批評家協会賞】作品賞、監督賞(スタンリー・キューブリック)
コピー:レープと超暴力とベートーベンだけにすべてのエネルギーを費やす恐るべき若者たち!


社会秩序は乱れ、夜な夜な少年ギャングの群れが横行して治安は悪化の一途を辿っている近未来のロンドン。ベートーベンを愛する15歳のアレックスをリーダーとする少年4人組ドルーグは、その夜も街で暴れ廻っていた。手始めにゴミのように溢れるホームレスの老人を袋叩きに。その後、ライバルの非行少年グループの一団が、1人の女性をレイプしようとしてるところを襲撃し、相手のリーダを病院送りにする。さらに、盗んだスポーツカーを暴走させて郊外へ。作家の邸宅に覆面を付けて押し入り、『雨に唄えば』を歌いながら家中を破壊しながら作家の妻をレイプする。その後、グループの主導権を巡り仲間といざこざを起こすが、その夜仲間と共に金持ちが住む一軒家へ強盗に入る。アレックスは住人の老婦人を撲殺するが、昼間のいさかいが原因で仲間から裏切られ、ついに投獄させられてしまう…というストーリー。

おぞましい暴力描写が、それほど、ぞましいと感じられないくらい、昨今の作品(というか今の時代)が追いついてしまったのかなと。で、その感覚があながち間違いではないな…と。

本作の中で、アレックスは狂った振る舞いを重ねた末、逮捕され、人権無視の人体実験をされはするけれど、実は、彼の根の部分は何一つ変化していない。変化したのは、彼の家族やかつての仲間、そして社会体制。
この作品をみた印象が時代によって変わるのは、まさに作中でアレックスにおこったことと同じことを、観客が長い時代の移り変わりを経て体験しているからなんだな…と。この作品が、時代を超えて、人々の印象に残り続けているのは、そういう理由なんだと思う。キューブリックがそこまで計算していたか否かはわからないけれど、何度かこの作品は観ているが、観客の立場や経験値が変化すると、それに伴って印象がガラっと変わる作品。

若者は、親や学校も含めて社会に抑圧されていると考え、反抗する。しかし、親の立場になればわかるだろうが、それは抑圧でもなんでもない。牙を剥かれたから剥きかえしただけ。つまりガチンコ勝負してるだけ。刑務所長が、悪に痛めつけられた国家が、殴り返しても当然っていう理屈に、至極納得しちゃう。今回はそっち方面に目が向いたな。

正直、初めて観たときは、あまり性的な暴力描写に耐性が無くって、脳がトルチョック制裁に耐えるだけで精一杯って感じだった。アレックスが唄う『雨に唄えば』を聞いて、フラッシュバックする作家のおっさんの顔が、すごいわ。それにしても、近未来設定なことを忘れちゃうよね。実は初見の時は、気付いてなかった。よくわからないけど、人民は労働から解放されて、生活の心配をすることがなくなった世界らしいよ(ホームレースはいるけどね)。

時代を跨いでも色褪せない何かがあるキューブリックの傑作。その“何か”が簡単にわかるようでわからない。かといって、アート作品ぶってるわけもないのがいい。

#ポップな美術センスについては、今、一周廻ってものすごくいい感じに。あの作家の家をみると、すごくリフォームしたくなる。
 

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image0803.png公開年:1995年
公開国:アメリカ
時 間:130分
監 督:テリー・ギリアム
出 演:ブルース・ウィリス、マデリーン・ストー、ブラッド・ピット、クリストファー・プラマー、ジョン・セダ、H・マイケル・ウォールズ、ボブ・アドリアン、サイモン・ジョーンズ、ジョセフ・メリト、デヴィッド・モース、キャロル・フローレンス、フランク・ゴーシン、リサ・ゲイ・ハミルトン、ブルース・カークパトリック、マット・ロス、クリストファー・メローニ、ケヴィン・シグペン、ジョセフ・マッケナ 他
受 賞:【1995年/第53回】ゴールデン・グローブ】助演男優賞(ブラッド・ピット)
コピー:み・ん・な・消・え・る

謎のウィルスによって全人類の99%が死滅し、生き残った人類が地下に住むことを余儀なくされている世界。2035年、人間たちはその原因を探るために、タイムマシンでジェームズ・コールという囚人を過去に送り出す。謎へのヒントは、ウィルスを散布したとされる“12モンキーズ”と名乗る団体名のみ。しかし、1996年に行く予定だったコールは、タイムマシンの誤動作によって1990年に到着してしまう。挙動のおかしな彼は、精神病院送りとなり、、患者仲間のジェフリーと医師キャサリンと出会う。キャサリンはコールを妄想を見ていると診断するのだが…というストーリー。

完動しているタイムマシンとはとても思えないアナログのギミックに、まともな知識を持っているのか甚だ怪しい科学者たち。ウイルスで滅亡しかかっている未来世界の様子は、まさにテリー・ギリアム節が満開。対して過去世界のパートはハリウッド映画然としていて、テリー・ギリアムとハリウッドが一番きれいに融合した作品だと思う。

タイムマシンネタっていうのは諸刃の剣で、自由自在に過去に戻れるんなら、どうにもなるじゃないか…とか、よーく考えると矛盾してないか?とか、観客を興ざめさせる要素にもなりかねない。本作だって、冷静になればつっこみどころは多いかも。だって、最後の空港に、別の仲間が駆けつけることができたわけだから、もう一回チャレンジすりゃいいじゃんってことになる。まあ、このタイムマシンの挙動込み込みで、運命は一本線ってオチなんだと思うけど、あのポンコツなタイムマシンの様子なんかを見せられると、なんかそういうパラドックス的なところに思索を巡らす気が失せるんだよね。そういうこと考えるのって野暮な気がして、純粋に世界観を愉しむべきなんじゃね?と。で、ブルース・ウィリスの演技もあまりにも人間臭くてね。そのおかげで、けっこう骨太なSFなのに、純粋にサスペンスとしてハラハラを愉しめる。
ブルース・ウィリスにブラッド・ピットと、こんな風にメジャーどころを堂々と配役すると、取ってつけたようになって浮いちゃう場合も多いけど、もう、精神病院でイっちゃってる彼らが秀逸すぎて、作風にがっちりマッチ(しすぎ)。

結局は任務失敗…とか、タイトルの“12モンキーズ”がスカし…とか、謎解きや伏線の回収は色々あるけれど、観るたびに新しい気付きがある。結構、画面が伝える情報量が多くて、観客が一度に捉えるきれる以上のものがそこにあるね(決してわかりにくわけではない)。名作の証拠。何度みても納得のおもしろさ。

#レイトン教授の音楽ってどこかで聴いたことがあるなぁ…と思ってたんだけど、本作の音楽だったな。うん。

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image1828.png公開年:2010年
公開国:イギリス、アメリカ
時 間:118分
監 督:マーク・ロマネク
出 演:キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ、シャーロット・ランプリング、イゾベル・ミークル=スモール、チャーリー・ロウ、エラ・パーネル、サリー・ホーキンス、デヴィッド・スターン、ナタリー・リシャール、アンドレア・ライズブロー、ドーナル・グリーソン 他
ノミネート:【2010年/第26回インディペンデント・スピリット賞】撮影賞(アダム・キンメル)
コピー:この命は、誰かのために。この心は、わたしのために。


郊外にある寄宿学校ヘールシャム。そこは、自然に囲まれた環境で一般の世界からは完全に隔絶されていた。そんな中で、幼い頃からずっと一緒に育ってきたキャシー、ルース、トミーは、仲良く成長していったが、彼らにはその出生に秘密があった。彼らは、ヘールシャムを卒業すると、とある農場のコテージで共同生活を送ることに。初めて接する外界に戸惑いながらも喜びを感じてい3人だったが、ルースとトミーが恋中になたことで、彼らの関係も終わりを迎えてしまい…というストーリー。

日本からイギリスに帰化した人が原作者とのこと。その人のことも知らないし原作も読んでいない。

まず、1952年にすごい治療法があみだされて、1967年には人類の平均寿命が100歳を超えた…という説明から本作は始まる。たった15年で世界の平均寿命が100歳を超えるってどういうこと?15年なんだから最大でも15歳しか延びようがないんじゃね?1952年時点で85歳だったとでも? などと馬鹿なことを言うつもりは無い。平均余命計算っていうのは、その年に死んだ人の割合を年齢別に集計していって、今年産まれた0歳の子供が何歳まで生きられるのか…っていう感じで集計していくものらしいから(数学も統計も不得意なのでスマン)。

でもね……(以下ネタバレ注意)

この画期的な治療法って、クローンをつかって移植をするってだけのことなのよ。クローンの成長はものすごく早いとかそういうことじゃないの。だったら1952年に始めたからって、使えるところにまで成長するまでに時間がかかるんだから15年間でそんなに平均寿命が延びるわけないじゃん。それまでは普通に人は死ぬでしょ。大体にして、いくら管理してるっていったって、ただのクローンなんだからクローンが死ぬ確率だって相当あるんだし。

いや、クローンは複数いるんだ…って好意的に考えたとしても、現行人口の数倍の人間をどうやって養うんだよ。まさか、「劇中でなにか白い飲み物飲んでたでしょ。あれは高栄養で病気にもかかりにくいんだよ~」ってか?じゃあ、人間もそれ飲めよ!って話になるわな(笑)。
クローンだから臓器の拒否反応は無いとしても、手術のミスやら回復がうまくいかない場合もあるし、大体にして事故や災害や戦争での死亡者だって、平均余命の計算には含まれるんだから、100歳超えは無理あるわ。

それに、特別な教育を施しているようにも見えないので、彼らが何で理不尽な運命に全く抗おうとしないのか…が理解できない。説明不足。だから、全然、話に入り込めない。はじめの方こそ、この子供たちは何なのか?ってことで、興味を持って観ることができるが、ネタばらしが終わった後は、微塵もおもしろくない。同じ仲間から“介護人”を調達するのはわかるけど、そういう運命を持った人と一般社会で共存していることも、そういう人たちを“人間”と見なさずにコミュニケーションをとっていること等々、リアリティを感じない要素のオンパレード。

先日の『アジャストメント』と同じなのだが、SF要素が放棄されると、突然、恋愛要素やせつなさ演出で溢れてくる。いや、溢れてくるというか誤魔化してくる。昔のグリコのキャラメルのオマケじゃないんだから、男の子むけと女の子むけを無理に分ける必要はない。SF要素と恋愛要素やせつない要素は共存できる。
では、そういう破綻したディテールなんか気にならないほど、3人の人間模様はおもしろいのか?っていわれるとそうでもないところが、また虚しい。

最後の「私たちと提供を受ける者の違いは…」と疑問を投げかけて終わるのだが、これって、「リッチな人と貧乏人、どちらも同じ人間なのに、なんでこうも違うんだー」ってのと同レベルの叫びに聞こえてきて、なんかいまいちしっくりこなかったりする。
駄作というつもりはない。だけど“愚作”だと思う。もしかすると、恋愛ものが好きな人は愉しめるのかもしれないが、SF映画がお好みの人は、間違いなくイラっとくるはず。

#キーラに見えんかった。

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image1848.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:106分
監 督:ジョージ・ノルフィ
出 演:マット・デイモン、エミリー・ブラント、アンソニー・マッキー、ジョン・スラッテリー、マイケル・ケリー、テレンス・スタンプ、ローレンス・レリッツ、スティーヴ・ソーレソン、フローレンス・カストリナー、フィリス・マクブライド、ナタリー・カーター、チャック・スカーボロー、ジョン・スチュワート、マイケル・ブルームバーグ、ジェームズ・カーヴィル 他
コピー:操作された《運命》に、逆らえ。


有望な若手政治家デヴィッドは、いつも肝心なところで感情を抑えきれないことが玉に瑕。上院議員に立候補した今回も、このままいけば当選確実というところで、パブで尻を丸出しにするという馬鹿な行動をとってしまい、そのせいで落選してしまう。自分が嫌になりながらも落選演説に望もうというそのとき、会場で美しい女性エリースと出会い心惹かれてしまう。その時は連絡先も聞かずに別れたが、その後、偶然バスで再会。しかし、彼女との仲が深まりそうになった途端、デヴィッドは突如出現した黒ずくめの男たちに拉致されてしまう。彼らは“運命調整局”員を名乗り、人々があらかじめ定められた運命から逸脱しないよう監視・調整を行っているという。そして、デヴィッドが本来出会うはずのないエリースと関係することを阻止しようとする…というストーリー。

なんか『マイノリティ・リポート』みたいなノリだな…と思っていたら、原作者が同じだった(フィリップ・K・ディック)。基本的に彼が原作の映画は好きなものが多い。『ブレードランナー』『トータル・リコール』『スキャナー・ダークリー』とかね。

何がおこっているのか先が読めない展開。謎の男たちがデヴィッドの周りで何をやっているのかさっぱり見えない。彼らが“調整員”なるものだということが判っても、彼らの目的は見えない。彼らが何で二人を引き離そうとしていることが判っても、なんでそうするのかは見えない。まるでたまねぎの皮を剥くように、剥いても剥いても次が見えない。非情に興味深い巧みなプロットである。
さあて、これからどうなるか…(以下、ネタバレ注意)。

この巧みさに輪をかけて、そのままクライマックスに向かうことを期待したのだが、終盤になるとSF要素の面白さは薄まって、ウェットなラブロマンス要素で溢れてくる。これを愉しめるかどうかは、好み次第。もちろん、私が求めた展開とは違う。

調整員さんたちは、空間を曲げたり(どこでもドア状態)と、なんでもあり状態なのに、なんで、一人の人間ごときに一喜一憂するのか。結局、彼らの究極的な目的は何も明かされず終い。そりゃあ、“神の遍在”を匂わせてしまったら、彼らの目的を明かすことは不可能。それを説明するということは、神の存在意義を語ることになってしまうからね。神の御意思なぞ、説明しようものなら教会から大目玉を喰らってしまうわ。
大いなる神を恐れ多く思い、ありがたく思う方々にはそれでいいのかもしれないが、キリスト教徒でもない私にゃあ、消化不良以外のなにものでもない。大方の人は、私と同じだろう。

もっとSF直球で勝負してほしかった(『マトリックス』のスピンオフ作品とでも思えば、愉しんで観られるかもしれんけど)。せっかく面白くなりそうなSFが、神の御名の前に萎んでしまった残念な作品。監督の力量の問題かもしれない。残念だったしお薦めもしないが、極めて凡庸ではあれ、決して悪い作品ではない。

#サラリーマンはどの世界でも小物だのぉ…。





負けるな日本
 

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image1853.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:106分
監 督:ルパート・ワイアット
出 演:ジェームズ・フランコ、フリーダ・ピント、ジョン・リスゴー、ブライアン・コックス、トム・フェルトン、アンディ・サーキス、デヴィッド・オイェロウォ、タイラー・ラビーン、ジェイミー・ハリス、デヴィッド・ヒューレット、タイ・オルソン、マディソン・ベル、マケンナ・ジョイ、カリン・コノヴァル、テリー・ノタリー、リチャード・ライディングス 他
受 賞:【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】視覚効果賞
コピー:これは人類への警鐘

サンフランシスコの製薬会社でアルツハイマー治療の研究をするウィル。新薬の実験でチンパンジーの知能が驚異的に向上したことから、人間への治験の許可を得ようとするが、そのチンパンジーが突如暴れだして警備員に射殺される事件が発生してしまい、プロジェクト自体が中止になってしまう。しかし、射殺されたチンパンジーは妊娠中で、赤ん坊はなんとか一命を取り留める。発見されれば会社から処分を命じられることから、ウィルは自宅に持ち帰り育てることに。そのチンパンジーはシーザーと名付けられたが、並外れた知性を発揮し、手話でコミュニケーションをとれるまでになる。成長したシーザーはある日、ウィルの父を助けようとして隣人とトラブルを起こしてしまい、類人猿保護施設に収容されることになる…というストーリー。

『猿の惑星』のビギニングエプソードとしては4作目の『猿の惑星・征服』がそれにあたるわけだが、まあ、それはそれということで、まったく別次元・別解釈で製作されたお話。だからといって、前シリーズを無視しているわけではなく、『猿の惑星・征服』で人間に反乱する猿のお名前はシーザーだし、行方不明になった宇宙船の名前もイカルスだし、“STOP”だったし、明確な繋がりが示唆される。でも、『猿の惑星・征服』では、犬や猫が死ぬ病気が蔓延して猿がペットの主流になってるとか、そういうSFシチュエーションだったりする。また猿の反乱は人種対立の投影だった。細かいパーツは揃えてきたけど、大筋の話は再構築した…というのが正しいかな。
#ティム・バートンによるリメイク版は黒歴史扱いなのか? ティム・バートン好きとしては、擁護してあげたいところなんだけど、ちょっと…なデキだったからなぁ。

まあ、この辺の“繋がり”部分については、知らない人には「はぁ?」なわけだが、この作品を評価したいのは、そんなことを知らなくても、充分に愉しめる仕上がりになっているという点である。はじめは主人公たち人間側の視点で鑑賞していたものが、いつのまにかシーザをはじめ猿目線で観ているということ。そして、最後は猿の気持ちになって、一緒にカタルシスを覚える。いつのまにか観客の心を誘導し、パラダイム・シフトしていることに気付かせずに且つ愉しませるという、優秀なシナリオだと思う。

その後の話にどう繋がっていくか? ばかりに注力していたら、絶対につまらなくなったと思う。そこを、一旦忘れたことのようにして、疾走感のあるシナリオに構築できたのが、勝因だろう。
CGの違和感の無さは今や当たり前の域に達しているけれど、ここまで個々の猿の感情を表現できると、もう特殊メイクやマペットの出番はないのかもしれれない(若干、アクションの動きが滑らかすぎる点は、これからの技術課題だと思うけど)。
うまくまとまった良作だと思う。類人猿には効かず人間にだけ重篤な症状が出る病原菌の存在を最後に匂わす。続編への布石と捉えることももちろんできるが、仮に続編がなくても、ああこのまま人間が滅びていくのかもな…と余韻を残すだけでも充分な効果はある。

先にも書いたが、前シリーズの各作品は、社会状況のなんらかの投影なわけだが、では本作は何か。
科学の暴走という、古臭いテーマが見えるのだが、この部分が日本人にとってはいまいち不満な要素かもしれないなと思っている。何故、日本人にとっては…と表現するかというと、日本人には単なるSFにしか映らないけど、カトリックからすれば“神の領域”を犯すとんでもない所業だと思われていると思うのだ。なんてったってマジめに進化論を否定するレベルだもの。主人公の彼女がその点を連呼し続けることからもわかる。そういう共和党的な価値観と、無神論的な思想の相克が入り乱れた空気の中を、渦中の猿が疾走していく、そんなイメージ。新作料金で観ても後悔はしないと思う。米アカデミー賞とか、賞レースからは総スカンに近いけど、気にすんな。

#マルフォイ…、、、、、。しばらく小悪人役の需要はつづくんじゃないかな。滲み出る小物臭いがハンパない。ある意味才能だと思う。




負けるな日本

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image1823.png公開年:2010年
公開国:イギリス
時 間:94分
監 督:ギャレス・エドワーズ
出 演:スクート・マクネイリー、ホイットニー・エイブル 他
ノミネート:【2010年/第64回英国アカデミー賞】新人賞(ギャレス・エドワーズ)
コピー:国境まであと125km――




2009年、地球外生命体のサンプルを持ち帰ったNASAの探査機がメキシコ上空で爆発。地球外生命体がメキシコの北半分で大繁殖してしまい隔離される事態に。それから6年後、アメリカ軍とメキシコ軍による封じ込め作成が展開るも事態が悪化の一途を辿る中、現地で取材を続けるカメラマンのコールダーに、契約している新聞社から命令が下る。社長令嬢のサマンサが、現在メキシコに滞在中で、メキシコ国内に足止めされているため、彼女を無事アメリカ行きのフェリーに乗せろという。何とかフェリー乗り場に到達するものの…というストーリー。

地球外生命体が落ちてきて居付いちゃった…という“if”もののSF。原因はNASAだし、メキシコ封鎖をしてるのもアメリカだし、何かアメリカのオレ様ぶり、独善っぷりに不満でもあるのか?。何の隠喩なんだか私には伝わってこなかった。

モンスターが話の中心だと思ったのだが、あんまり出てこない。出てきても、タコと虫の中間みたいなデザインで、ノロくてユルい『スターシップ・トゥルーパーズ』みたいな感じ。確かに人は襲われるのだが、それほど迫力もなくて恐怖も感じない。

どうせ船には乗れないんでしょ?で陸路を行くんでしょ?と見え見えの展開はつらいなぁ…と。そこを裏切ってユニークな展開を期待したのだが、予想通りの展開。且つそこ至るまでけっこう長い。ため息が出る。
その前に、こんなムチャクチャな事態なのに、社長令嬢がなんでメキシコに入国したのか、できたのか。なんで、北上しか帰国の方法がないのか、南米に行ってから空路という選択肢がないのか。何なら、ブラジルまで南下して、ヨーロッパ経由じゃなぜいけないのか。何らかの理由でそれができないとしても、危険地帯を抜けるくらいなら、南米に退避していたほうが安全だろうに。不思議な話である。
その後も、金品を渡して旅を続けたり、人がいなくなった施設や町をスルスルと通過したりすだけ。さほど困難でもなくて、ダラダラした緊張感のない90分。最後の10分になって主人公たちはやっと直接攻撃を受ける(遅っせー)。

仮にモンスターは単なるシチュエーションで、彼らの恋愛的な心情に焦点を当てたかった…と捉えても、決められたレールにしっくりきていない逃亡女と、子供に会えない男との間に、なにか我々が目を見張るべき成長や変化があったとは思えない。
ネット上での評判がそれほど悪くないのが、逆に不思議。私は飛び抜けて駄作だと思う。監督や脚本家、映画会社に、一体何を観せたかったのか、説明してほしいレベル。『クローバーフィールド/HAKAISHA』の12分の1くらいの満足度しかなかった。




負けるな日本

 

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image1819.png公開年:1983年
公開国:カナダ
時 間:103分
監 督:デヴィッド・クローネンバーグ
出 演:クリストファー・ウォーケン、ブルック・アダムス、マーティン・シーン、ニコラス・キャンベル、トム・スケリット、アンソニー・ザーブ、ハーバート・ロム、コリーン・デューハースト、ショーン・サリヴァン、ジャッキー・バロウズ、ゲザ・コヴァックス、ロバータ・ウェイス、ラモン・エステヴェス 他
受 賞:【1984年/第12回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】批評家賞、黄金のアンテナ賞、ヒッチコック・サスペンス映画賞

教師のジョニーは、恋愛関係にある同僚のサラの家から帰宅する途中で、自動車事故に巻き込まれてしまう。一命はとりとめたものの昏睡状態となる。5年後、彼は昏睡から目覚める。幸いにも大きな後遺症はなかったのだが、昏睡中にサラは別の男と結婚しており、子供までいることに、大きなショックを受ける。そんな中、看護士がジョニーに触れたときに、看護士の家が火事になっているビジョンが浮かぶ。彼は、事故の影響により、手に触れた人の過去や未来の出来事を知覚できるという能力を身に付けてしまったのだ…というストーリー。

実にスティーヴン・キング原作らしい内容だし、クローネンバーグらしいジメっとした質感がいい感じ(他作品で観られるグロさは無いけどね)。キング原作の超能力モノのSF作品で一番いいデキかもしれない(というか、純ホラーかヒューマニズム系意外は失敗映画ばかりだけどね)。

(以下、ネタバレ注意)
クリストファー・ウォーケン演じる主人公ジョニーは、事故に逢って5年も昏睡状態で、目覚めたのはいいけれど、愛しい恋人は別の誰かと結婚しちゃってるし、もちろん体は萎えちゃってまともに動けない状態。

そんな彼は、まず未来や過去が見えるようになる。でも、その能力のおかげで人助けもできるけど、インチキ超能力者と罵られることにもなる。すっかり嫌気がさしてしまい、ひっそり暮らそうとするんだけど、昏睡中に発生していた連続殺人事件の調査を依頼される。人の役に立つならば…と、引き受ける。基本、すんごくイイ人なのね。

で、現場で事件当時のビジョンが浮かび、真犯人を突き止め、大捕物に(なかなか緊迫感があってよい)。「うん、色々大変だったけど、きっとこうやって人の役にたつ運命だったのね…」てな感じで、この流れで進むのかと思いきや、そうはならない。

やはり、能力に嫌気がさして、またもやひっそりと暮らそうとするのだが、またしても元カノの影が追いかけてくる。もう、いい加減、ひっそり暮らさせてやれよ…と思うのだが、ストーリーは、なんで彼はその能力を与えられたのか?というところに焦点が当たっていく。

(さらにネタバレ注意)
やはり、このストーリーの一番のポイントは、未来が見えた彼にとっては正義の行動でも、周囲の人からは単なるテロリストにしか見えないよね…っていうところ。だけど、主人公は、満足して死んでいく。自分が汚名を着せられても、将来的に愛すべき人たちは救われるんだもの。
世の中に実在するテロリストって、絶対に信じて疑わないで行動しているわけで、もしかして彼らも、未来のビジョンを見て、同じように行動してたりして…っていう、きわめて不謹慎ながらもSF的な冷めた着眼点が秀逸。そして、このラストのテーマにすぐ行かずに、切ない主人公に男泣きしちゃうような話が並行しているのが、実に巧み。

あまり有名な作品ではないけれど、秀作SFでとても愉しめた。お薦め。




負けるな日本

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image1818.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:J・J・エイブラムス
出 演:ジョエル・コートニー、エル・ファニング、カイル・チャンドラー、ライリー・グリフィス、ライアン・リー、ガブリエル・バッソ、ザック・ミルズ、ロン・エルダード、ノア・エメリッヒ、ジェシカ・タック、ジョエル・マッキノン・ミラー、グリン・ターマン、リチャード・T・ジョーンズ、アマンダ・フォアマン、デヴィッド・ギャラガー、ブレット・ライス、ブルース・グリーンウッド、デイル・ディッキー、ジャック・アクセルロッド、ダン・カステラネタ、トム・クイン、マイケル・ヒッチコック、テリ・クラーク、アマンダ・ミカルカ、ボー・ナップ、ケイティ・ロウズ、トーマス・F・ダフィ、マルコ・サンチェス、ブリット・フラトモ、ベン・ギャビン、ジェームズ・ハーバート、ジェイド・グリフィス 他
ノミネート:【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】若手俳優賞(エル・ファニング)、視覚効果賞、音響賞、アクション映画賞
コピー: 僕たちは、ひとりじゃない。

1979年、オハイオ州の小さな町。不慮の事故で母を亡くしたジョーは、副保安官の父と二人暮し。ジョーは友達のチャールズたちと8ミリ映画の撮影に夢中で、その日も深夜に家を抜け出し、撮影のために駅に向かっていた。しかし、撮影中に列車の脱線事故に巻き込まれる。ジョーたちは運良く怪我も無かったが、列車は大破し荷物は散乱。列車事故は車の衝突によるものだったが、その車は学校の理科の先生が運転しており、虫の息の先生はジョーたちに、今見たことは誰にもいわず、ここから早く逃げろという。ほどなくして軍が到着したため、ジョーたちは一目散に逃げる。その後、町では不可解な事件が頻発し…というストーリー。

母親が死んだ経験や、好きな女の子の父親が本当は死ぬはずだったこと。最後に主人公のジョー少年がエイリアンと心を通わすことができたのは、こういう心が痛むような経験をしたからだよ…、ってことなのかもしれないけど、まったく無関係に感じた。

アリスの家族とは付き合うな!と引き裂かれてしまいながらも、引き裂かれたモヤモヤや反発なんかを経ることなく、彼女はエイリアンに捕まってしまう。いつのまにやら町中大騒ぎになり、結局、両家族は和解したようなしなかったようなうやむや状態。デブの男の子も「俺もアリスのことが好きだ!」とか宣言しちゃうけど、その流れも生きていない。

エイリアンとやらの正体は、終盤までチラっとしかみえない。敵の正体がわからないまま話は進むのだが、勿体ぶった意味はあったのか?出てくるエイリアンの行動の意味もよくわからなかった。人質として人をさらったのか?いや、エイリアンは自力でキューブを回収したんじゃないのか?ん?ん?何か少年達の助力によって解決したの?ただなだめただけじゃね?すべてがうやむやだ。

結局は、『グーニーズ』の子供たちが、グロい風体だけど中身は『E.T.』のエイリアンと接触する話。エイリアンのデザインにも何の新規性も感じない。『クローバーフィールド』の突飛さやインパクトの欠片も見られない。同じ監督か?と思う。
かろうじてスピルバーグっぽさは感じるが、“ぽさ”の域は出ない。終盤にむかっての盛り上がりとか、話の集約とかが無い。

宇宙からやってきた生物が地球に降りてきちゃって地球は大騒ぎさ!っていう設定は、たまたま、昨日観た『スペースバンパイア』と同じ。だけど、圧倒的に『スペースバンパイア』のほうが愉しめた。
まだ、レンタルビデオ屋では、新作扱いだと思うが、旧作になってからで十分(なんなら観なくても、何の損でもない)。凡作中の凡作。

エンドロールに流れる、彼らが撮った映画が一番おもしろそうに思えるという、体たらく。いや、もしかして、本編と思っていたほうがメイキングで、エンドロールのやつが本編なのか?そういう洒落なら認める。



負けるな日本

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image1803.png公開年:1985年
公開国:イギリス
時 間:102分
監 督:トビー・フーパー
出 演:スティーヴ・レイルズバック、マチルダ・メイ、ピーター・ファース、フランク・フィンレイ、パトリック・スチュワート、マイケル・ゴサード、ニコラス・ボール、オーブリー・モリス、ナンシー・ポール、ジョン・ハラム 他




ハレー彗星探査する宇宙船チャールズ号。研究者たちは彗星の傍に人口の構造物らしきものを発見し、潜入を試みる。驚くことに、中には男2人と女1人の人間が安置されていた。研究者たちは彼らを宇宙船に運びいれ、地球に持ち帰り研究をすることに。しかし、その後チャールズ号からの通信は途絶えてしまう。その後、別の宇宙船がチャールズ号を発見し捜索すると、内部は火災をおこした痕跡があり乗組員は死亡していたが、回収した眠る男女は無傷。そのまま地球に運搬するのだが…というストーリー。

宇宙で謎の生き物を発見して地球にもってきちゃったら、さあ大変。SF映画としてはありがちすぎるほどありがちな展開。誰しもが、どっかで観たことあるような話だな…と思うはず。
後の作品の『ノイズ』や『スピーシーズ』だって似たようなプロットだし、それこそ『エイリアン』だって地球に持ち帰る前の攻防だというだけで、異世界からのアブナい生き物という括り。『スピーシーズ』にいたっては女性の裸の扱いまでそっくりだけど。

ただ、この作品には不思議な魅力がある。
普通、SFというのはそれなりの理詰めの説明が必須だと思うのだが、「何か、わけわかんね」という部分が多い。例えば、精気を吸われた人が、一定時間が経過すると発作をおこすという流れ。どういう理屈なのかさっぱりわからない。これは、始めに死んだと思わせておいて、実は生きていてびっくり…という、展開上の緩急をつけることが優先されている結果であって、その事象がどうのこうのというものではない。

あげくの果てに、バンパイアは過去にやってきた奴らのことだ!なんてのは、おもしろいんだけど、それならば昔も同様の大感染がおこったわけで、そのときはどうしたんだ?って疑問がわく(同じように退治したんですよ…っていわれても、それはちょっと無理だったんじゃね?って思う)。これは、いかにもSFチックな内容なのに、それを際立たせるように、ハレー彗星だとか、ドラキュラやこうもり男とか、わざと古めかしい要素を配置する。雰囲気作りを優先させた結果である。

特殊メイクとSFXがショボいと思う人もいるかもしれないが、精気を吸われながらも生きている状態なんて、この世には存在しないわけだから、どう表現したってかまわないわけで、そこは技術の使いどころの妙だと思う。血が空中によっていって人の形になっていく表現など、それほど高度な技術でもないだろうが、効果は抜群だと思う。当時のできる技術をとことん使用するのはもちろん、それをどこで使うのか?によって技術の限界をなるべく感じさせないというセンスはすばらしいと思う。これによって、現在でも鑑賞に堪えるモノになっているのである。

で、結果として、観終わって満足(というか、古い作品なのに案外いけるじゃん!って感じ)なのに、あまり頭の中に残っているものは少ない。そう、テーマがどうのこうのじゃないの。究極的にトビー・フーパーという監督が“観せる”“魅せる”という能力に長けている結果なのである(原作の力ではない)。
しかし、人間生活の中で、リフレッシュ、ストレス解消、という使命が映画にあるのであれば、必ずしも高尚なテーマや穴のない論理や世界観が、必ずも求められるわけではない。おもしろかったけど何も残らないという作品って、実は映画の本領なんじゃないかとすら、思える気がする。

何も考えたくない、小難しい話なんか頭が受け付けなさそう…そんな時には最適な作品。お薦めしたいのだが、字幕版しかないのが残念。




負けるな日本

 

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image0642.png公開年:1983年
公開国:アメリカ
時 間:136分
監 督:リチャード・マーカンド
出 演:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ、ビリー・ディー・ウィリアムズ、ピーター・メイヒュー、アレック・ギネス、フランク・オズ、デヴィッド・プラウズ、ケニー・ベイカー、ワーウィック・デイヴィス、イアン・マクディアミッド、セバスチャン・ショウ、ジェームズ・アール・ジョーンズ 他
受 賞:【1983年/第56回アカデミー賞】特別業績賞[視覚効果](Richard Edlund、Dennis Muren、Ken Ralston、Phil Tippett)
【1983年/第37回英国アカデミー賞】特殊視覚効果賞

ルーク一行はジャバ・ザ・ハットの宮殿に潜入し、炭素冷凍されたハン・ソロの救出に成功する。その後、修行を継続するために再び惑星ダゴバを訪れたルークは、死の床にあったヨーダから、ダース・ベイダーが父アナキン・スカイウォーカーであること、そしてレイアが妹であることを知らされる。一方、帝国軍は惑星エンドアの軌道上に第2デス・スター建造を進行中。その視察のために皇帝パルパティーンが訪れていることを知った反乱軍は、全勢力によるデス・スター攻撃を計画。同時に、ソロ、ルーク、レイア達は、デス・スターを保護しているシールド発生施設を破壊するために、惑星エンドアに降りる…というストーリー。

元の邦題が“復讐”だったわけだが、ジェダイに復讐という概念がないからとか、そういうこじつけはどうでもよい。単純に“Return”を復讐って訳するほうが、そりゃおかしいわけで、この変更は当然。

エピⅤからその傾向はあったけど、ルークが妙に落ち着いちゃって、あまり主人公然としていない。それに、ジャバのところ→ダゴバ→エンドア→皇帝のところ…と、あっちにいったりこっちにいったりで、ストーリー展開のために都合よく引き回されてる感じ。キャラクターとしては輝きが消えたといってもよいくらいに、生き生きしていない。
むしろ、やんちゃっぷりを相変わらず発揮してくれるソロが主人公っぽくって、感情移入した人が多いだろう。

映像テクニック的な面では、森林のバイクチェイスやクライマックスの戦闘機のドッグファイトなど、エピⅣ~Ⅵの中では一番力が入っていて、さすが!という感じではあるが、あとは終劇に向かって進むのみで、グイグイやればなんとかなるって感じも否めず、人間模様はおざなりになってるってところがある。ストーリー演出上のテクニックに長けた印象を感じない。

人間模様の無さが一番顕著なのは、最大のクライマックスであろう父と子の葛藤が薄く、表現しきれていないこと。皇帝との攻防も間一髪で形勢逆転って流れなんだけど、ベイダーが無表情なだけに、皇帝とルークの攻防を見ているベイダーはなんかシュール。あの無表情の面でありながら、彼の感情が伝わるような演出ができていないのが、どうもね…。頭の悪い犬みたいだよね(笑)。

修正版では、最後の焚き火の向こうに浮かぶアナキンが、若いころの姿に差し替えられているのが違和感バリバリなのだが、ジェダイだった最後の時点の姿ってことで、好意的に解釈しておこう。
それなら、ラストのジェダイの亡霊たちに、ウィンドウやクワイ・ガン・ジンなど、エピⅠ~Ⅲで死んだキャラを加えるのも面白かったかもしれないな。でも、ジェダイに加わったことで、嬉ションしそうなくらいのサミュエル・L・ジャクソンに、さらにサービスするのもしゃくではある。

ただ、よく考えると、エピⅢでできた帝国だけど、20年そこそこで滅びたってことになるよね。短命だね。前漢と後漢の間の新みたい。

お薦めするとかしないとかのレベルじゃなく、Ⅳ・Ⅴを観てⅥをみないなんてありえないでしょ。




負けるな日本

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image0641.png公開年:1980年
公開国:アメリカ
時 間:129分
監 督:アーヴィン・カーシュナー
出 演:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ、ビリー・ディー・ウィリアムズ、デヴィッド・プラウズ、ピーター・メイヒュー、ケニー・ベイカー、フランク・オズ、アレック・ギネス、ジェレミー・ブロック、ケネス・コリー、ジュリアン・グローヴァー、マイケル・シェアード、マイケル・カルヴァー、クライヴ・レヴィル、ジェームズ・アール・ジョーンズ 他
受 賞:【1980年/第53回アカデミー賞】特別業績賞[視覚効果](ブライアン・ジョンソン、リチャード・エドランド、デニス・ミューレン、Bruce Nicholson)、音響賞(Peter Sutton、Bill Varney、Steve Maslow、Gregg Landaker)
【1980年/第34回英国アカデミー賞】作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)
コピー: STAR WARSシリーズ第2弾!

前作の勝利から3年。デス・スターを破壊された帝国軍の猛反撃により、反乱軍は氷の惑星ホスに撤退。ダース・ベイダーは捜索機をホスに大量に放ち、追撃の手を緩めない。そんな中、パトロールを行っていたルークは雪原の怪物ワンパに襲われてしまう。ソロはルークがまだ戻っていないことを知り、危険も顧みずルークの救出に向う。自力でワンパを倒し脱出したルークは、猛吹雪の中で昏倒。遠ざかる意識の中、ベン・ケノービの霊体が現れ、ルークに惑星ダゴバへ行きジェダイ・マスターのヨーダからフォースに学ぶよう告げる…というストーリー。

世間の評判はものすごく良い本作。ルークとソロが分かれて、それぞれのストーリーが展開する構成はおもしろい。ルークはヨーダの元でフォースを学び、一方のソロとレイアは冒険&ロマンス。そんな感じで、世界観がどんどん広がっていくのが愉しい。

今回観たのも、修正版だけど、あまり大きな改修点はない。ルークを襲うワンパのカットがしっかり加わったくらいで、あとは微々たるブラッシュアップ程度だと思う。ヨーダのマペット臭さは、少し解消されているかもしれないが、老いた設定なので、元々気にならないし。
フォースを学ぶには成長しすぎている…とか、ルークがダメならまだ最後の望みがある…等々、昔は“?”だったセリフもエピⅠ~Ⅲを踏まえると腑に落ちる。

ただ、本作は完全に次作が作成されることが前提になっているため、残りのクリフハンガーっぷりがハンパない。「私が父だ」のカミングアウトのインパクトもさることながら、炭素冷凍されたソロはどうなっちゃうのか!!と。さらに、ルークとレイアの関係も匂わしつつ。
今なら、1年も待たずに続編が公開されるが、次のエピソードⅥの公開は3年後だった。こんな終わり方をされて、当時の人たちはよく3年も我慢できたなと、半ば呆れるほどである。もちろん今のようにレンタルビデオチェーンどころかビデオデッキの普及だってまだまだな時代に、よくも忘れられもせずに次作に突入できたものだ(TV放映とかあったのかな)。

個人的には、単体の作品としては不満が残るが、繋ぎの盛り上げ作品としては、充分すぎるくらいに充分な出来映えの作品。“燃える”って意味では、エピⅣ~Ⅵの中で一番かも。即座にエピⅥの鑑賞を開始!である。




負けるな日本

 

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クボタカユキ
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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