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公開年:1970年
公開国:フランス
時 間:103分
監 督:ジョエル・セリア
出 演:カトリーヌ・ヴァジュネール、ジャンヌ・グーピル、ベルナール・デラン、ミシェル・ロバン、ジェラール・ダリュー、マルク・デュディコール、ヴェロニク・シルヴェール 他
コピー:地獄でも、天国でもいい、未知の世界が見たいの!悪の楽しさにしびれ 罪を生きがいにし 15才の少女ふたりは 身体に火をつけた
修道院・寄宿学校に通うアンヌとロールは、修道院での禁断の書に耽溺し、消燈の時間が来ると懐中電灯の光で悪の日記を綴る。ふたりはバカンスを利用し、牧童を誘惑したり、庭番の小鳥を殺害したり、思うがままに残酷な行為を繰り返していくが、二人の行為はエスカレートし…というストーリー。
フランスでは、その反宗教的で淫靡な内容から上映禁止となって、アメリカと日本とのみで上映されたとのことで、この宣伝文句に興味を抱いてDVDを借りてみた。
1970年の作品なので、少女のヌードだとか小動物殺しだとかの描写(当時のことだから実際に殺してるんじゃなろうか)があって、たしかに問題のある作品だと思うのだが、それだけの理由で上映禁止になるか?それよりも、なんとも言えない吐き気がするような不快感、原因不明の邪悪さが漂うのだが、明確な理由はわからないけれど、無理やりにでも適当な理由をみつけて封印してしまいたい気持ちになったのでは無かろうか。
作中の彼女たちの行動が徐々にエスカレートする様子、それも小動物虐待や弱者攻撃、小さなな窃盗や破壊攻撃に始まって放火…と、この流れは、シリアルキラーが生まれる過程に極めて近いことが興味深く、当時にしてはツボにハマッたというか、妙にリアルな作品だなと思い、色々調べてみると、さもありなん。
この作品は、アン・ペリーというイギリスの女性の小説家(現在でも活躍しているらしい)が、子供の時に実際に犯した殺人事件がモチーフになっているらしい。ピーター・ジャクソンが『乙女の祈り』という映画にしているんだって。知らなかった(借りてみようかな)。そういえば、シャーリーズ・セロン主演の『モンスター』も、レズビアン要素があったな(こちらも実話ベース)。この共通点は興味深い。
そう考えると、反カトリック要素なんかは、表向きの目くらましにしか思えない。決して娯楽作品もホラー作品でもなく、人間の邪悪さを表現した映画としては、白眉の作品だと思う。ただし、実際に一線を越えてしまってから、その邪悪な空気は消え去って、常軌のレールの上を歩き始める。おそらく、それは、モチーフになった事件とは異なる、要するに完全なる作り話になるからではなかろうか。かろうじて最後の激しい演出で踏みとどまっているが(コピーのとおりなので伏せる必要もないのだが)、あやうく世紀の珍作になりかけだったといえる。
多かれ少なかれヤラれてしまうので、元気なときに観るべし。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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