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公開年:1993年
公開国:オーストラリア
時 間:121分
監 督:ジェーン・カンピオン
出 演:ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキン、ケリー・ウォーカー、ジュヌヴィエーヴ・レモン、タンジア・ベイカー、イアン・ミューン、ホリ・アヒペーン 他
受 賞:【1993年/第66回アカデミー賞】主演女優賞(ホリー・ハンター)、助演女優賞(アンナ・パキン)、脚本賞(ジェーン・カンピオン)
【1993年/第46回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ジェーン・カンピオン)、女優賞(ホリー・ハンター)
【1993年/第28回全米批評家協会賞】主演女優賞(ホリー・ハンター)、脚本賞(ジェーン・カンピオン)
【1993年/第60回NY批評家協会賞】女優賞(ホリー・ハンター)、監督賞(ジェーン・カンピオン)、脚本賞(ジェーン・カンピオン)
【1993年/第19回LA批評家協会賞】女優賞(ホリー・ハンター)、助演女優賞(アンナ・パキン)、監督賞(ジェーン・カンピオン)、脚本賞(ジェーン・カンピオン)、撮影賞(スチュアート・ドライバーグ)
【1993年/第51回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](ホリー・ハンター)
【1993年/第47回英国アカデミー賞】主演女優賞(ホリー・ハンター)、プロダクションデザイン賞、衣装デザイン賞
【1993年/第9回インディペンデント・スピリット賞】外国映画賞
【1993年/第19回セザール賞】外国映画賞(ジェーン・カンピオン)

19世紀半ばのスコットランド。口がきけない未亡人のエイダは、ニュージーランドの入植者スチュワートに嫁ぐために、幼い娘フローラと一台のピアノと共に旅立つ。ピアノはエイダが感情を表現する唯一の道具であり、彼女の分身ともいえる物。長い船旅を経てニュージーランドに到着するも、スチュアートは迎えにきておらず、エイダとフローラは海岸で一夜をすごす。日が昇るとスチュアートが現地人の人足を引き連れてやってきたが、ピアノは重すぎるので置いていくという。エイダは強行に反発するが聞き入れてもらえない。ピアノと離れることができないエイダは、毎日のように娘と一緒に、ピアノを弾くために海岸を訪れる。そんな彼女の姿を眺めていたスチュワートの友人で、マオリ族と一緒に生活してすっかり同化している白人のベインズ。彼は、スチュアートに対して、自分の土地とピアノを交換しようと持ちかける。ベインズはピアノを自宅に運ぶが、それに激昂するエイダ。ベインズは、黒鍵の数だけピアノの弾き方を教えてくれれば、ピアノを返却するという。仕方なく受諾し、レッスンを開始するエイダだったが…というストーリー。

本作のサントラCDを持っている。というか、本作でマイケル・ナイマンにハマって他作のサントラも何枚か買ったほど。DVDの時代になって、さあて改めて観てみようなんて思ったのだが、なんとレンタルしていない。少なくともここ15年は間違いなく存在しなかった。『シリアルママ』『アダムス・ファミリー』なんかど同じく、いろんな事情でレンタルがされていなかった。もういい加減にせいや!と、ネットオークションで買おう探したが、これがなかなか高い(かといって1000円以上出すほどの情熱はない)。ここにきってやっとTSUTAYAがレンタルを開始。えらいぞTSUTAYA。

本作公開の後、日本でも『失楽園』ブームみたいな“不倫”ブームがおこったけど、そういう下卑たムーブメントとは圧倒的に地平の違いを感じる。

ホリー・ハンター演じるエイダは口がきけないのだが、口が利けないことで世事と一線を画すことが許されており、そのおかげで一児の母親でありながらひたすらピュアでいることが許されている。ピュア=心がきれいだと純粋だとかいうことではなく、直情的、本能に忠実…という方が近い感じ。
彼女のコミュニケーション面の問題を埋める役割もしている娘フローラは、逆に社交性が発達しており、ほぼ幼児であるにもかかわらず、時に大人のように振舞う。そのため、場面によっては大人と子供が逆転したような箇所もある。

登場人物のユニークさというか変態っぷりはなかかなのもの。

結婚とはいえ、ニュージーランドで本国と同じような生活はできるはずもなく、エイダは厄介払いで嫁に出されたようなもの。スチュワート側だってお手伝いと性処理の相手を調達したようなもので、根本的にまともな人間関係が構築できるスタート地点にいない。それでもなんとかなると思っているスチュワートの鈍感さ。ベインズはピアノを家に運べたのに、スチュワートは運ばない。どれだけ費用がかかるのかしらないが、迎えた新妻の大事な物を簡単に放棄するように命じる男に、魅力を感じるわけがない。

じゃあ、そのベインズはどうかというと、まあ変態オヤジですわ。レッスンを口実に触るは、脱がすわ。ピアノが大事だからといって、それを受け入れるエイダもエイダなのだが、まあそこは理解できなくはない。しかし、一線を越えるところはほぼレイプ状態で、その後、すっかりベインズになびいてしまうという展開。というか、ピアノなんかおかまいなしに欲情しまくて、鼻息を荒くしてベインズの家に突進する始末。さすがの娘もそりゃおかしいんじゃね?となるのだが、それでも止まらない。

2人の関係に気付きはじめてベインズの家に様子を見に行くスチュワート。ことがおっぱじまったら、コラーって乗り込めばいいのに、壁の隙間やら床下からずっとのぞいているという変態っぷり。じゃあ、それを許すのか?っていえば、そんなこともなく、最終的にが激昂してエイダの指を手斧で切っちゃうという気違いっぷり。まあ、恥をかいたっていう思いはわからんでもないが、もっとやりようがあるだろう。こういう展開になると、変態おやじだとおもっていたベインズが、えらくまともに見えてくるから不思議。

こういう話の流れだけおうと、変態メロドラマみたいだけど、ポイントポイントで感情を表現する象徴的な場面が美しく差し挟まれているのが本作の特徴。それこそが、本作の芸術性。最後のあれだけ大事にしていたピアノを沈めようと決心するくだりや、その後に海に引きずりこまれる流れなど、彼女の変化をエピソードでうまく表現していると思う。
義指をつけてピアノを弾いたときのコツコツという音が、特に印象的だった。これまで自分の感情をピアノで表現してきた彼女だが、以後、彼女のピアノの音にはあの義指の音が必ず付いている。あの音は、彼女が人として成長するために必要だった傷を覆うかさぶたであって、その傷跡を含めて“人間”だっていう象徴になっている。うまいよね。

こういう不倫物は基本的に興味ないんだけど、それでも美しかった、観てよかったと思えるのだからよっぽどの名作。お薦め。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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