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公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:134分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、トニー・キゴロギ、パトリック・モフォケン、マット・スターン、ジュリアン・ルイス・ジョーンズ、アッジョア・アンドー、マルグリット・ウィートリー、レレティ・クマロ、パトリック・リスター、ペニー・ダウニー 他
ノミネート:【2009年/第82回アカデミー賞】主演男優賞(モーガン・フリーマン)、助演男優賞(マット・デイモン)
【2009年/第67回ゴールデン・グローブ】男優賞[ドラマ](モーガン・フリーマン)、助演男優賞(マット・デイモン)、監督賞(クリント・イーストウッド)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】作品賞、主演男優賞(モーガン・フリーマン)、助演男優賞(マット・デイモン)、監督賞(クリント・イーストウッド)
コピー:ひとつの願いが、ほんとうに世界を変えた物語
南ア。1990年、27年間投獄されていたネルソン・マンデラが釈放され、その4年後の南ア初の全国民参加による総選挙にて大統領に就任する。しかし、アパルトヘイトは撤廃されたものの、白人と黒人の対立と経済格差は依然として存在し続けた。国民の統合こそが南アの未来であると確信する大統領は、1995年に南アで初開催されるラグビーW杯を和解と融和のチャンスと考えた。国際的な非難のために長らく国際試合に出ることができず弱小化した代表チームのキャプテン・フランソワを官邸に招き、国民の統合のためにW杯で優勝を目指すよう訴えかける。難しいとは思いつつも、大統領の信念に心打たれたフランソワは優勝目指してチームを引っ張っていくと決めるのだったが…というストーリー。
実話とはいえ、あまりにも出来過ぎなため、逆に映画にするには憚られるところなのだが、そこはクリント・イーストウッド。よくまとめあげたと思う。これまで、いくつもの心動かされる作品を世に送り出してきた彼だが、アクの強い作品ばかりだったのも事実。しかし、本作はめずらしくストレートな感動作である。彼も老いて丸くなったか?と穿った見方をしてしまいそうだが、色々満足がいくまでやリ尽くした先の達観の域ということだろう。
これまでノーベル平和賞を受賞した人物の中で、マザー・テレサとネルソン・マンデラは別格である。もうしわけないが、何も成していないのに受賞しておめおめと受け取ってしまったオバマなんか、ハナクソみたいなものである。マンデラの人生は、その身におこった出来事を並べていくだけでも、充分ものすごい映画ができあがり感動するのは必至なのだが、それを単純にやらなかった点も評価したい。
マザー・テレサとネルソン・マンデラの共通点は“赦し”だろう。自分を投獄し続けた白人には決して復讐しようとはせず、彼らを赦し寛容にも受けれようとする。それは、国家運営上のポーズではなく、その怒りに端を発する行動が何も生まないこと、意味のないことであることを、悟っている故であるのが(私にはそう見えるけど)、またすごいところである。
こういう“赦し”の行為こそ、国際紛争の解決の基盤となるもので、加害者側にとっても被害者側にとっても、これ以上の未来を切り開く術はない。しかし、だからといって、加害者側はもちろん他者が、被害者に対して「いい加減、赦せよ」といっても、そうはならないのが難しいところ。あくまで被害者側が、自分の恨みの心の先に何も無いことに気づかない限り発生しない。これは、狂い死にしそうになるくらい本気で恨み、なぜその恨みゆえに自分が苦しむのか?と、とことん考えつくさないかぎり到達し得ない。中途半端に何となく雰囲気で恨んでいるようでは、絶対にその境地にはたどり着かない。中国や韓国にそれを臨むのは無理なんだよなぁ。
また、加えて残念なのは、南アの人々が、マンデラの言っていることをイマイチ理解できていなさそうなところである。南アも日本と同様、基本的にキリスト教社会ではない。赦しにくわえて、労働がただの食い扶持を稼ぐ行為ではなく、他者への施し、そして職業が職業であるというだけで、無条件に素晴らしいという価値観が醸成されれば、元々それなりに資源のある国なのだから、大化けするに違いないのだが、サッカーのW杯では、残念なことに最悪の治安を世界に発信することになってしまった。マンデラに続く精神の闘士は現れていないのかもしれない。
とにかく、彼の強い精神力と、やるべきだと思うなら迷わずやるという行動力と、その苦労ゆえに重く響く言葉の数々に感服しきりである。W杯の優勝なんかは、私にとってはオマケみたいなものだった。マンデラの業績を決して汚すことなく、且つ内容がわかっていても心揺さぶられる作品。お薦めする。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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