忍者ブログ
[316]  [315]  [314]  [313]  [312]  [311]  [310]  [309]  [308]  [307]  [306
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

image0101.png公開年:2003年 
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ジョエル・シューマカー
出 演:ケイト・ブランシェット、ジェラルド・マクソーレイ、バリー・バーンズ、キアラン・ハインズ、ブレンダ フリッカー、ジェラルド・マクソーリー、サイモン・オドリスコール、コリン・ファレル 他
ノミネート:【2003年/第61回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](ケイト・ブランシェット)
コピー:ひとりの記者として、子供の未来のために―― ひとりの母親として、愛する家族のために――
1996年、アイルランド・ダブリン――これは生きて愛して戦った、ひとりの女性記者の記録である…

1994年、夫とひとり息子とともに幸せに暮らしていたジャーナリストのヴェロニカ。彼女は、子どもたちにまで蔓延している麻薬問題に憤りを覚え取材を開始。様々な情報源をたどって調査をすすめるが、核心へと迫れば迫るほど、彼女にこの件から手を引くように犯罪組織は圧力をかけてくる。それも取材をやめない彼女に対して、組織は彼女の家族を脅迫のネタにしてくる…というストーリー。

社会悪に立ちはだかったジャーナリストで、その燃え尽きた命が社会を変えていったという事実について、批判する点など何一つない。

だが、私は色々な観点から、あまり本作を面白いとは思わなかった。まず、ケイト・ブランシェットがちっとも魅力的に見えない。私はケイト・ブランシェットを好きだし、彼女がこういう題材を好むのもなんとなく理解する。そして最後の写真のヴェロニカ本人の写真と似せているのもわかるし、演技も素晴らしい。でも、私がケイト・ブランシェットを好きだという要素は自分でもわからないのだが、本作の彼女はその要素が削除されている模様。一切、魅力を感じなかった。

冒頭で、犯罪組織に立ち向かう女性記者が殺されるというオチがわかる。欧米では周知の事件なのだろうから、もったいぶった演出はイヤがられるかもしれないので、こういう演出になるのはわかる。でも、よく知らない人や時間が経過して事件を忘却した人にとっては、逆効果なネタバレ演出でしかない。別編集のDVDを出してもよいかも。また、ジェリー・ブラッカイマー製作だけど、この事件を映画化したい!っていう意志ではなくって、映画化権を他に買われちゃってヒットされるのはイヤっていうのがにじみ出ているようにも見える。

そして、一番感じたのは、ヴェロニカ・ゲリンの偉業とは裏腹に、彼女本人にまったく好感がもてないこと。純粋に記者としても家族としても母親としても女性としても尊敬できない部分が多数。犯罪組織に立ち向かうジャーナリストに品性を求めるつもりはないが、いささか脱法というかルール無視というか、特に議員とのコネ利用して役所から情報を引き出すのや、取材の現場に警察とカメラマンがこっそり同行しているなんて、観ていてあまり気分のいいものではない。目的のためなら何をやってもいいという、ジャーナリストの姿勢は、言論の自由の暴走かと。暴走したのだから、別の暴走(犯罪組織の行動)と交錯して、このような結末になるのもいたしかたない。結局、出所のわからない資産を没収できるように憲法は改正された、めでたしめでたしというけれど、今度は政府のさじ加減で国民の資産を没収できる権限を与えてしまったわけで、これはけっこうおそろしい話。別の方法はなかったのかと。
若干失礼な見方かもしれないが、アイルランドの人々が彼女の死後に麻薬密売組織に対する反対運動を活発にしたけれど、これは、ゲリンの勇気に呼応して人々が目覚めた!っていうのとはちょっと違うように思える。もう、真剣に対峙しないといけない状況に、ゲリンにそうもっていかれた…というニュアンスが正しいのではないだろうか(まあ、そういう風にもっていくというのも、ジャーナリストの役目だから、間違いではないんだけど)。

そりゃあ、悪が滅びていく様子は、観ていて気が晴れる。でも、それはこの事件の顛末の魅力であって、映画の魅力ではない。多分、映画にしなくてもバラエティTV番組なんかで再現VTR的に紹介しても同じ感動を得られるだろう。要するに映画にすることで、+αされた点は無さそうだと思えるってことである。

よく、タイムマシンで戻れるならどんな偉人に会いたいですか?っていうアンケートがあるよね。ヴェロニカ・ゲリンを見ると、その偉業と人間性って必ずしもマッチしてないことがわかって、おそらくタイムマシンで戻って実際にあったら、いけ好かないクソ野郎だったていう例はいっぱいなんだろうなと(笑)。エジソンなんか、ぶん殴りたくなるようなイヤなヤツだろうねぇ。ドクター中松みたいに、その業績と本人に対する尊敬は別だからねえ。ヘレン・ケラーとか織田信長とか聖徳太子とかさ。あ、聖徳太子は実在の人物ではないだろうけど(私見)。

多分、「結構感動したよ~」って人はたくさんいるはずなんだけど、私は特にお薦めしないな。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
リンク
カウンター
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[04/28 ETCマンツーマン英会話]
[10/07 絶太]
最新トラックバック
Copyright © 2009-2014 クボタカユキ All rights reserved.
忍者ブログ [PR]