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image0403.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:トッド・ロビンソン
出 演:ジョン・トラヴォルタ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ジャレッド・レトー、サルマ・ハエック、スコット・カーン、アリス・クリーグ、ローラ・ダーン、マイケル・ガストン、ブルース・マックヴィッティ、ダン・バード、アンドリュー・ホイーラー、ダグマーラ・ドミンスク、ジョン・ドーマン、ベイリー・マディソン、エレン・トラヴォルタ、ジェイソン・グレイ=スタンフォード 他
コピー:アメリカ犯罪史上、最も悪辣な連続殺人犯:動機は孤独──これは実話
激しい嫉妬で殺して愛す。

1940年代、レイ・フェルナンデスは、新聞の恋人募集欄“ロンリーハート・クラブ”を利用する手口で、戦争未亡人や中年独身女性を狙い結婚詐欺を繰り返していた。ある日、次のターゲット、マーサ・ベックに近いたが、彼女が裕福ではないことがわかりあっさりと手を引く。彼は、次の詐欺の犯行でドジを踏んでしまうが、突然その現場に現れたマーサに危機を救われる。マーサはレイにシンパシーを感じ、追いかけていたのだ。これをきかっけに、マーサはレイの妹役になり、一緒に詐欺を行うようになるが、次第に詐欺相手の女性に強い嫉妬心を抱くようになり、ついには相手女性を殺害してその資産を奪うという手口に変わっていくのだった。一方、女性の自殺現場の検証にあたったロビンソン刑事は、犯罪の臭いに気付き捜査をはじめるが…というストーリー。

昨今、クライム物における異常犯罪者を心理学的に紐解いていく手法は、多く扱われており、心理学を勉強しなくてもシリアルキラーの特徴・行動・種別くらいは知っている人は多い。世の中、にわか犯罪心理学者でいっぱいだ。

そういう状況なのに、本作では、犯人二人の心理状態、特にマーサのシリアルキラーとしての掘り下げが薄い。もちろん当時、プロファイリングなんてものは存在しないのだから、刑事たちがそういう観点で捜査しないのは当然だが、もう少し工夫をしてほしかった。子供の時に性的虐待を加えられていたとか、実際の性行為にはおよばないとか、そういう描写を入れていることから、製作側も考えていないわけではないことは判るのだが、現在の視点で分析して、多少フィクションになったとしても独自の描写・解釈をいれてよかったと思う。男女コンビとはいえ、女性のシリアルキラーはめずらしいのだから。

この踏み込みの甘さは、実話ベースで、その枠をはみ出すことに躊躇したからだろう。さらに言えば、製作総指揮として10人が名を連ね、且つたいしてキャリアのない監督というのを見ると、私の大嫌いな“船頭多くして船山に登る”という状況が容易に想像できる。

正直、レイとマーサの事件にケリをつけることが、ロビンソン刑事自身の過去にケリをつけることに繋がるロジックがよくわからない。刑事を辞めることはなんとなく理解できても、愛人と息子と3人で生活することになる道理がよくわからない。単に、ハードな仕事がいやになっただけ、家族を大事にしたくなっただけ、それだけのことに思え、変に事件の内容に絡めようとする安易さに若干イラっとくる。

芸術作品を、合議で決める手法には、本当にうんざりする。しかし、サルマ・ハエックのクレイジーな演技と、この現実の事件として奇異性が、愚作になるところ凡作まで持ち直してくれている(だから、コピーも実話であることを前面に出さないわけにはいかなったのである)。

クライム物のTVシリーズ中の一つを観た…くらいの感覚ならば充分満足できる作品である。私は、とてもよい題材を大人数でこね回して、マズイ料理に仕上げてしまったことに対して不満なだけである。

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