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image0186.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:112分  
監 督:ラッセ・ハルストレム
出 演:ヒース・レジャー、シエナ・ミラー、ジェレミー・アイアンズ、オリヴァー・プラット、レナ・オリン、オミッド・ジャリリ、 チャーリー・コックス、ナタリー・ドーマー、スティーヴン・グリーフ、ケン・ストット、ヘレン・マックロリー、リー・ローソン、ティム・マキナニー、フィル・デイヴィス 他
受 賞:【2000年/第58回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](ジョージ・クルーニー)
コピー:恋愛至上主義 100万もの恋か、ただひとつの愛か・・・

18世紀のヴェネチア。どんな女性も虜にしてしまう究極のプレイボーイ、カサノバは、修道女との逢引が役人に見つかり逮捕されるも、総督の計らいでなんとか無罪放免。しかし、総督の保護の条件は結婚して身を固めること。さっそく富豪の娘ヴィクトリアを口説き落とし婚約を取り付けるが、そんな彼の前に、男勝りの剣の腕前と知性を兼ね備えるフランチェスカが現われ、彼女に対する恋の炎がを燃え上がってしまう…というストーリー。

ギロチンが人名だっていうのと同じで、カサノバって実際の女たらしの名前なのね…っていうトリビア的なハナシは脇に置いておいて…。

実は、ハルストレム監督作品ということは、観終わってから気付いたのだが…。とても場面場面の展開がスムーズでムダがない。職人芸ともいえる編集(だと私は思う)。もし自分が映画を作ることがあるならば、本作の編集を参考にしたい。ジゴロの話などに興味なんて微塵も無いので、簡単に飽きてしまいそうなものだが、そうならなかったのは、この編集のおかげである。

ルネサンス時代、マキャベリの『君主論』の舞台、そして本作の18世紀もそうだが、都市国家の集まった、イタリアという土地は、今の国家の感覚からするとわかりにくいのだが、そういうことは一切知らずとも、本作は楽しめる(当時のイタリア半島は、教会というタガの中に都市国家が集まっていて、さらに自由を主張する民衆とのカウンターバランスの元に成立しているとでも、認識しておけばいいんじゃないかな)。

作品の質としては、はじめの「気球でふわり」が全体のノリを象徴している。重めのテイスト作品が多い監督なので、あえてこういう舞台喜劇みたいなノリに挑戦してみたのかもしれない。しかし、“パブリッツォの看板”とか、“デブ専の母親”とか、すこし都合よすぎる場面も多い。彼なりにわざと娯楽作品の方向に軸を倒している様子が伺える…と好意的に受け取っておこう(結果として『恋におちたシェイクスピア』みたいなノリになってしまい、男装シーンで若干既視感すら覚えるというマイナス面も生じているのだが…)。

ストーリーは進むにつれて尻上がりにボルテージがあがり、ラストは急速にギア比がアップ。非常におもしろい展開だが、やっぱり“家族”の話になってしまうところがハルストレム監督らしい(もし彼の作品だと知っていたら、読めていたかもしれないので、気付かずに観てよかった)。ネタバレなのであまり言わないでおくが、回想しているのは実は…という着想もとても面白い。

結論からいうと、観る前の「まあ、多分、こんなもんなんだろうな…」という漠然とした予想は、いい意味で裏切られた。あまり期待しないで、ハードルを下げて気楽に観ると、ちょっとした拾い物と感じられるに違いないので、軽くお薦めしておく。

#それにしても、ヒース・レジャーはもったいない。
 

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