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image1275.png公開年:2007年 
公開国:ドイツ、ロシア、カザフスタン、モンゴル
時 間:125分
監 督:セルゲイ・ボドロフ
出 演:浅野忠信、スン・ホンレイ、アマデュ・ママダコフ、クーラン・チュラン 他
ノミネート:【2007年/第80回アカデミー賞】外国語映画賞
【2007年/第21回ヨーロッパ映画賞】撮影賞(セルゲイ・トロフィモフ)
【2007年/第14回放送映画批評家協会賞】外国語映画
コピー:闘って、生きた。
守るべきは、この愛しきもの

12世紀のモンゴル。キヤト族の頭領イェスゲイの長子テムジン。9歳の時、他部族の娘ボルテと出会い婚約するも、その帰路にイェスゲイが他部族に毒殺されると、部下のタルグタイの裏切りにより家財を奪われ放浪の身となり、さらに命を狙われ続けることとなる。そんな逃走の中、凍てつく池に落ちたテムジンは、少年ジャムカに助けられ、2人は盟友(アンダ)の誓いを交わす…というストーリー。

『蒼き狼 チンギス・ハーン』とは大違い。好感が持てる点が多々ある。
『蒼き狼 チンギス・ハーン』で鼻についた中華目線はもちろんなし。ある時点で囚われの身になったテムジンが回想する形式で話は進むのだが、そう言うと『蒼き狼 チンギス・ハーン』と同じく一人称目線じゃないかというかもしれないけれど、そうではない。自分の回想とはいえ客観的な目線で展開するし、後の中華的価値観でモンゴルの風習を野蛮だと思ったり、大人(タイジン)ぶって説教臭いことを吐いて言動不一致になったりはしない。

歴史書によってまちまちだったり食い違うところは、おもいきってばっさりと扱わなかったり、逆に謎の期間は、大胆にフィクションにしてみたり(だからといって歴史的にむちゃくちゃだってわけじゃない)と、歴史劇としてはものすごく評価できる。
口伝のためものすごくあいまいな、出自にまつわるところは扱っていないし、文書によって扱ったり扱わなかったりの(私的にはおそらく創作と思われる)弟を殺害して母に叱責されるシーンもなし(その経験から同族は殺さないと誓ったなんて、後の行動と矛盾するんだよね)。メルキトにさらわれて妊娠したボルテについて悩む部分もなし。本作では、メルキトの子か自分の子か微妙…というのではなく、“誰の子だろうとまったく気にしなかった説”を採用しているのもよいと思う。
大胆なフィクションだなぁと思うのは、西夏に奴隷として囚われたというくだり。ジャムカとの激突は、明確に敗北したという記述はないのだが(状況的に敗北だと思うが)、敗北後に西夏あたりを放浪していた時期は、文献的には空白。それを逆手にとって奴隷になっていたと大胆に創作している。さらにその間にボルテは商人の愛人になり、その間に一子もうけた末にテムジンを救出。明らかに他人の子だけどあっさりとまるごとと受け入れる。ボルテがそんな行動をしたのも、そんな出自の娘がいたことも聞いたこともないんだけど、“妙技”だと私は思う。識者と脚本家がかなり練ったと予想する。とにかく現代人の常識・モラルでは受け入れがたい(理解しがたい)行動様式もそのまま表現しようという姿勢がよい。

実際に囚われてばっかりの人生だったテムジン。映画にする場合、かっちょわるいのであまり表現することがないんだけど、本作ではしつこいくらいに囚われる(笑)のもよし。
風俗的には『集史』の挿絵と現在のモンゴルの衣装の折衷した感じで、事実か否かはさておき、違和感はない。浅野忠信は、恰幅のいいテムジン像じゃなく『集史』の挿絵にある細身のイメージで、こちらもあり。

若干微妙なのは、ストーリーを集約するために、ラストの史実をかなりはっしょっている点。西夏時代にテムジン勢力は急拡大するんだけど、なぜ急拡大するのかっていう部分。本作では神だのみと掟を定めるシーンの後、その信念の元に大勢力が集まったとなってる。ここはジャムカの人望の無さに嫌気がさしてテムジン側に人が流れたり、テムジンよりも権力のあった別のハーン(オン・カン)との関係や、金(中国の王朝ね)との関係とか色々あるんだけど、あえてジャムカとの対立軸だけ残してあとは捨象している。

総じて、歴史ドラマとしてかなりおもしろく観れるのでお薦めする。余計なことを考えずに(というか考えることが無駄に思えるような生い立ちで)一心に目的にむかって進んでいく、本当の狼みたいに研ぎ澄まされた人格を浅野忠信はうまく演じていると思う。

#ボルテ役の人は民族色強すぎですかな…。
 

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