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公開年:2004年
公開国:フランス
時 間:110分
監 督:オリヴィエ・マルシャル
出 演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、アンドレ・デュソリエ、ヴァレリア・ゴリノ、ロシュディ・ゼム、ダニエル・デュヴァル、ミレーヌ・ドモンジョ、フランシス・ルノー、カトリーヌ・マルシャル、ソレーヌ・ビアシュ、オーロル・オートゥイユ、オリヴィエ・マルシャル、アラン・フィグラルツ 他
ノミネート:【2004年/第30回セザール賞】作品賞、監督賞(オリヴィエ・マルシャル)、主演男優賞(ダニエル・オートゥイユ)、助演男優賞(アンドレ・デュソリエ)、助演女優賞(ミレーヌ・ドモンジョ)、脚本賞(ジュリアン・ラプノー、フランク・マンキューソ、オリヴィエ・マルシャル)、音響賞(Pierre Mertens、Francois Maurel、Sylvain Lasseur、Joel Rangon)、編集賞(Achde)
コピー:かつて親友だった 同じ女を愛した 今はただ敵と呼ぶのか…
──実話に基づく、激しくも切ない宿命の物語──
パリ警視庁の2人の警視、レオ・ヴリンクスとドニ・クラン。親友だった2人は、かつて同じ女性カミーユを愛していたが、彼女はレオと結婚し、それ以来、友人関係は破綻。今は、次期長官候補としてライバル関係にある。レオは、ある男との取引で現金輸送車強盗犯のアジトの情報を入手し、一網打尽にすべく作戦を展開する。ところが、出世を焦るドニの無謀な行動により、作戦は失敗。ドニはその失敗の責任を追及されたが、ある裏情報を基にレオを密告し、自分は無罪放免、レオを刑務所送りにすることに成功するのだが…というストーリー。
こんな重々しい刑事ドラマは久々だと感じたのと同時に、フランスの刑事のガラの悪さといかタチの悪さというか、とても市民を守ってくれなさそうな風体・態度で、本当にこんなんだったらフランスなんかいきたくないぞ…と思った。
って、観終わってから調べてみたら、監督は元警官で、共同脚本の人も元刑事。そして、かなりアレンジしているけど、この事件のベースは実話なんだって!いやいやいや、こんなに警察機構が腐ってるなら、とても安心してパリになんかいけないから。本当に恐ろしい国だわ。
まあ、その真偽はさておき、演技も映像も音楽も渋い渋い。重い重い。ベタベタな演出かもしれないけど、観ていて本気で悪役を憎く感じるほど、情が動く。それほど入り込んで観れる作品。
その渋さを台無しにしないように、配給会社も真剣になったのか、すばらしくデキの良い邦題。原題が“オルフェーヴル河岸36番地”なんて味も素っ気もないモノ。そこで“あるいは裏切りという名の犬”。だって刑事だから犬だもの。登場人物の全員が、何かを裏切っているもの。“あるいは”なんてヨーロッパっぽ感じが出てるもの。もう、内容ともズレていないし雰囲気もよく反映してるし、100点の邦題でしょう。
主人公のレオが、主役とはいえ脱法しまくり(娼婦を殴った奴をシメたり、ハメられたとはいえ犯罪行為を見逃すことと引き換えに情報を入手したり)なところが、薄っぺらな勧善懲悪を超えた重さに一役買っている。いや、誰でも生きていく上で、多かれ少なかれ何かを裏切ってるよ。なーんて、普段はお気楽なワタシでも、ハードボイルドチックなことを考えちゃうような、しぶい作品。
とはいえ、最後は不満…というかピリっとしない。
(ネタバレ注意)
実のところ、ドニは権力を握ろうがなんだろうが、本質は弱くて小っちゃい人間で、常に自分の所業の報いに怯えながら生きている。だから、殺さずに苦しめるのが一番いいはず。確かに演出上の仕掛けはあるので、工夫をしているのはわかるのだが、殺さずに社会的に窮地に立たされるとか、生き地獄を味あわせてもらいたかったかな。そのくらいじゃないとバランスが取れない。そのせいか、殺されたの見ても溜飲がさがることはなく、なんかあっさり死ねてよかったじゃん…て思っちゃったくらい。
そして、レオはもう脱法することもなく、誰も裏切らない…のはいいんだけど、本当に誰も何も裏切らないもんだから、ふわっと終わってしまう。
まあ、最後の不満はご愛嬌だ。この減点があったとしても、悠々A評価作品。未見の方は是非お薦め。どちらかといえば男の子向け作品かな。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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