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公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:マイケル・ムーア
出 演:マイケル・ムーア 他
受 賞:【2007年/第19回放送映画批評家協会賞】ドキュメンタリー賞
コピー:常軌を逸しているアメリカのドキュメント。
「シッコ」は笑いの要素が殆どないマイケル・ムーア作品
それだけ切迫した“悲しい実情”なのです
先進国の中では唯一、公的な国民皆保険制度を持たないアメリカ。国民の健康保険の大半は民間の保険会社に委ねられているが、高い保険料のために約4700万人が無保険。しかし、営利を追求する保険会社のせいで、加入者の方こそ被害をこうむっているのだ、という主張をマイケル・ムーアが展開。そんなアメリカの医療制度の問題点を、他国との比較や、医療の現場で生じている事例を紹介しながら、白日の下にさらす…という内容。
アメリカ人は、自国アメリカに対する愛や誇りはあるかもしれないけれど、同じ国民に対して愛など持っていないのがよくわかる。だけど、アメリカがクソ国家であることや、自由を笠に着た姑息な詐欺師集団であることをいまさら指摘しても何の意味もない。
私から見れば、カナダやイギリスのように自己負担が皆無なのだって、制度維持のためにはいささか無理があると思うし(だって税は高いんだから)、イギリスやフランスのホームドクター制度だって功罪があるように見える。キューバのように国全体の生産性が医療制度の基盤になっていると、国の調子がいいときは大丈夫だがコケれば制度すべてが疲弊してしまう。もちろん日本も同様で、ご存知のとおり医者の報酬は減り、医者の数は減る一方。どの国にも完璧な医療制度なんてないのだ。しかし、ムーア監督にすらそれが見えないほど、アメリカの制度がクソだってことである。
#まあ、私的には案外日本の制度がいいところで落ち着いている気がするんだけど。
それにしても、こんな状態だったら、闇の医療ネットワークができそうなもんなんだけど、それもないんだねぇ。不思議だなぁ。
しかし、病気にビクビクして暮らすことが、どれだけぞっとすることか。いや、アメリカ人は能天気なのか、著しく想像力がないかのどちらかだろう。粗野で乱暴な行動をする子供はいつも怪我だらけ。鈍い子なんかよりも寿命は短い。なにをいいたいのかは判るよね?アメリカという国家の寿命(少なくとも健康でいられる寿命)は、さほど長くないということ。人が人を喰う国は、100年もたない。おそらくアメリカは建国300年を迎えることはないだろう(だって、柔軟性がなさすぎるんだもの)。一番のアメリカの病気は、相互愛が欠落していることだが、その次は、社会主義が何かをしらずに社会主義が悪だと思い込んでいる人間ばかりだということね…。
#本作のラストで、アメリカも変われると、希望的なメッセージがあるが、多分無理。
この映画のおかげかどうかはわからないが、アメリカは国民皆保険制度の導入に向かうことになった。もちろんいまさら導入したってなかなか状況は改善しない。ただ、我々は気をつけなければいけない。アメリカを筆頭に奴らは、自国が失敗し、他国が成功している場合、別の作戦を弄して失敗するように仕向け、バランスをとろうとする不思議なロジックを持っているから。アメリカが日本に対して何をしてくるか。おそらく経済的に日本が不利になるような状況(つまり税収が減るような状況)になっても、一切ノータッチを決め込むだろう。要するに、今後、円高が進んでも彼らはダンマリを決め込むし、日本からの輸入にもっともらしい理由をつけて関税をあげる(WTOにもロビー活動をすると思われる)ってこと。そして敵の敵は味方理論で、韓国を優遇し始めるだろう(予言)。
閑話休題。
マイケル・ムーアは変質した。カンヌをとる前は、奇を衒ったり扇情的な演出をしたり、時には失礼極まりない下品な手法を多用した。そして、私はそんな彼が大嫌いだった。本作では、そういう無茶っぷりが無くなってお行儀がよくなったのだが、意に反して映画が面白くなくなってしまった…というか、すでに映画ではないように思えてきた。これは、単なるレポートだと思う。
さすがに、『華氏911』に比べると、パンチも浅いのだが、勉強にはなるので軽くお薦めはしておく。でも、これは映画ではない。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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