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image1909.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:マルコム・ヴェンヴィル
出 演:キアヌ・リーヴス、ヴェラ・ファーミガ、ジェームズ・カーン、ピーター・ストーメア、ジュディ・グリア、ダニー・ホック、カリー・グレアム、デヴィッド・コスタビル、フィッシャー・スティーヴンス、ビル・デューク 他
コピー:信じたら、だまされる。



ハイウェイの料金所で働くヘンリーは、ごく平凡な毎日を繰り返すだけの日々を繰り返していた。そんなある日、高校時代の同級生に騙され、知らぬ間に銀行強盗の一味にされた上に、自分だけが逮捕されてしまう。しかし、ヘンリーは仲間の名前を一切証言せず、そのせいで収監されてしまう。つまらない毎日から逃れたいという気持ちがあったせいなのか、子供を作ろうと執拗にせがむ妻にうんざりしていたせいなのか、つらいはずに監獄生活が、不思議と苦痛に感じないのだった。1年後、仮出所したヘンリーは、逮捕の舞台となった銀行へと向かう。ふらふらと銀行に近づいていくと、路上で車にはねられてしまう。幸い大事には至らなかったが、その車を運転していたジュリーという女優と顔見知りなる。彼女はは銀行の横にある劇場でチェーホフの“桜の園”の稽古中。ヘンリーは、ふとしたことから、銀行とその劇場が古い地下道で繋がっていることを知り、本当に銀行強盗をすることを思いつく…というストーリー。

実際の内容と邦題の乖離が甚だしい。“フェイク”って何を指しているのやら。ものすごう犯罪サスペンスのようなDVDパッケージもいかがなものかと思う。そして“信じたら、だまされる”というコピーがひどい。もしかして観ていないんじゃないかと思うほど的外れ。誰が付けたかしらないが、もし配給会社の人とかなら、もう業界を去ったほうがいい。センスが無さすぎ。

ネット上でこの作品の色々な評価をみるとけっこう散々なんだけど、私の評価は高い。

キアヌ・リーヴスが公園のベンチでぼーっとしている写真が話題になったが、それを踏まえての配役なのか、現在の生活に虚無感を感じている男の役が実にぴったり。
彼は普通に幸せな生活さえ送れていればそれでいいと思っている。でも、能動的に自分が他者に影響を及ぼすことを避けている。子供お作ろうとしないのも、将来に不安があるとかそういうことではない。いや、なんで躊躇するのか自分でもよくはわかっていないのかも。でも、こんなの自分じゃないと思っていて、変えるきっかけはほしいとは思っている。でも能動的に何かは決してしない。だから、何かに巻き込まれたら流されることしかしない。ソフトな自暴自棄みたいなもんだ。

この主人公のスタンスが実に共感しやすい。今の生活が気に喰わないからって、世のサラリーマンたちは仕事お投げ出したり生活をリセットしたりはできない。いや、そんなことも望んではない。でも、なにか違う…という思いが頭の片隅を支配して離れない。そんなことがあるはずだ。

で、彼はただ自分の前を流れる潮流にただ流されてみることを選択する。その結果、銀行強盗にされてしまうが、普通なら私は知らない、これこれこういう流れで、車に乗せられただけだ…と言えば済む話である。妻だってソフトボールに参加させられるくだりを知っているわけだし証言はしてくれるだろう。でも彼は黙秘と貫く。妻に何かをしてもらうことを静かに拒否する。結果、彼女と距離を置くこともできるし、退屈な生活ともおさらばできる。でも、やっていない犯罪を認めることはない。

そんな彼が仮出所した後、どう変わるのか。彼は犯罪をしようと刑務所で同部屋だったおっさんを仮出所させる。そのおっさんは、はじめは乗り気じゃなかったが、乗りかかった船、トントンと計画を進めていく。でも、ヘンリーはやっぱりどこかズレていて、犯罪をしたいという気持ちとは違う様子。自分を変えるツールぐらいにしか思っていないんじゃないかというフシ。だから、簡単に女優のジュリーに計画を話しちゃう。

計画のためには仲間が必要になって、元妻と結婚してしまった銀行強盗仲間だった男が参加したり、ヘンリーをはじめに捕まえたガードマンが参加してきたり。穴を掘る場所を確保するためにヘンリーが役者になってみたりと、状況は混沌としてくる。そして、その劇は、彼らの犯罪計画や、ヘンリーとジュリーの間の事柄と微妙にシンクロして…と。笑わそうとはしていないが、立派なコメディだと思う。
女優だって同部屋だったおさんだって、今の自分から変化しようとしているのもおもしろい。

で、この作品がなんで評価されないか、それは最後の最後が息切れしてまったく締りがないからである。ヘンリーは何故舞台に戻ったのか。観終わって冷静に考えれば、彼女と一緒に逃走するつもりなんだろう…と、それしかないということになるのだが、観ている最中はちょっとわからなくて変な感じ。
その、混乱の元は、押しかけてきて仲間になったもう一人の銀行強盗を縛って地下に置いてきたことに起因する。まず、ヘンリーは、フロリダのグレープフルーツのことを言って降車して劇場に向かう。その発言が、後から行く…なのか、おっさん幸せにな…なのかはわかりにくい。また、おっさんと一緒に逃走する元妻と結婚したアホ男は元妻を捨てるの?ともわかりにくい。だって、金をもらってそのまま暮らしても、地下に残してきた男が証言したらパーだもの。それはヘンリーとジュリーも同じで、もう一緒に逃走しないと、絶対に捕まるのだから。黒人ガードマンだってそうだ。

はっきりいうと、、おっさんが縛った男を殺す演出にすべきだったと私は考える。作風を合わないから止めたんだとは思うが、そうすれば、もっといろんな解釈がなりたつ作品になったと思うし、けっこうカルトな人気を博することもできたと思う。

本当に、最後の最後だけで失敗している作品。でも、とにかくトータル的には、笑わせない笑いを極めた作品だと思う。ジャケットのサスペンス臭やアクション臭で忌避することがないように、是非レンタルして観てほしい。犯罪・マフィアにカテゴライズしたが、正面きってコメディとカテゴライズするのも変だし、単にドラマとするのも変。そのくらい掴み所の無い魅力の作品で、私は好き。お薦め。

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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