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imageX0057.Png公開年:1961年
公開国:日本
時 間:88分
監 督:渋谷実
出 演:笠智衆、岩下志麻、淡島千景、川津祐介、高峰三枝子、乙羽信子、北林谷栄、三木のり平 他





奈良の大学の数学教授・尾関は、研究者として世界的に有名だが、数学以外のことにはまったく無頓着で、周囲の人々からは奇人と思われている。妻の節子との結婚生活は30年にもなる。娘の登紀子は市役所に勤務しており、現在同じ職場の佐竹と縁談話が進行中。登紀子も佐竹も両想いで結婚には前向きだが、老舗の墨屋で体面に固執する佐竹の家は、変わり者の父親であることと、養女で実の親の顔を知らないという登紀子の生い立ちから、快く思っていない。登紀子も、はたして父が、嫁ぐことを許してくれるのか気がかりで、奈良の大仏様に願掛けする毎日で…というストーリー。

世界的数学者って何の研究してるのかわからん。けど、世事に頓着が無く浮世離れしたキャラってことで十分。こんな50年も前に、風変わりな数学者の映画なんてのがあったんだね。ほのぼの『ビューティフル・マインド』って感じ。

舗装もしていない戦後間もない奈良の街並みが、新鮮。だけど、それほど雰囲気や空気感は変わっていない。闇雲に文化財を保護するのもどうかと思ったけど、がんばって残すのも悪くないってことか。
#奈良県民は大仏殿の拝観って無料なの?

娘の恋人の佐竹とやりとりや、勲章を盗みに入った泥棒を逆に慮ってしまう様子など、実に滑稽で微笑ましい。たまにイラっとするのも実にいい味で、共感できる。言っても仕様がないことは言わないっていう姿勢が、時には周囲の人をイライラさせる(それが、妻をキッチンドランカーにしている原因だったりもする)。
“好人好日”ってのは、良い人のところには良い日々が訪れる…とかそう意味かな。このタイトルにふさわしい人格を体現しているのが、この尾関という教授。彼は主人公っていうより“妖精”だね。彼の人物像は完成していて変化がないから、主人公は娘であり淡島千景演じる妻だと思う。

その娘を演じる岩下志摩は口角の上がり方が絶妙で、とってもキュート。でも、本作の彼女はなんか歯の色がきれいじゃない。逆にそれが時代を感じさせてリアルだったりする。
彼女は出生の秘密を知ったところで、大号泣するのだが、何であそこまで泣くのか。元々はどっかのお嬢様で事情があって…なんて可能性を想像していたのかな。戦後の状況お考えたら、そんなことまずありえんとおもうんだけど。
その場面で、数学者が人生における偶然を説くんだよね。それも面白い。その発言に、いっさい忌憚が無い。天衣無縫のこの男のいうことがいちいち腑に落ちて、憧れるすら覚える。

最後に、勲章をなくしたことを謝罪しろという元軍人。昔はこんな狂人だらけだったんだろうな。まあ、いまでも老害馬鹿はウヨウヨいるけどさ。教授と対極にいる人物を出すことで、日本国民の思想の幅を表現してるわな。

まったく知らなかった監督の作品だけど、当たりだった。ほっこりした気持ちになれた一作。お薦め。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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