忍者ブログ
[1043]  [1042]  [1041]  [1040]  [1039]  [1038]  [1037]  [1036]  [1035]  [1034]  [1033
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

image1903.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:126分
監 督:グレッグ・モットーラ
出 演:市川海老蔵、瑛太、満島ひかり、竹中直人、青木崇高、新井浩文、波岡一喜、天野義久、大門伍朗、平岳大、笹野高史、中村梅雀、 役所広司 他
ノミネート:【2011年/第64回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(三池崇史)
【2011年/第35回日本アカデミー賞】助演女優賞(満島ひかり)、美術賞(林田裕至)
コピー:いのちを懸けて、問う――
なぜ男は、切腹を願い出たのか――。世界を圧倒した衝撃の超大作。

関が原の合戦の後。戦国の世は終わり、天下泰平の徳川の天下となる。その裏で、豊臣方をはじめとする御家取り潰しが相次ぎ、仕官先を失った浪人たちであふれることになった。浪人たちが裕福な大名屋敷を訪れ、切腹のための場所を提供してほしいを願い出て、困惑する屋敷の者から金銭をせしめるという“狂言切腹”が流行するまでに。そんなある日、名門・井伊家の玄関先に切腹を願い出る津雲半四郎と名乗る浪人が現われる。井伊家家老・斎藤勘解由は、彼に事情を聞く際に、数ヶ月前にも千々岩求女という浪人が同じようにやってきたことを告げ、その時の様子を半四郎に聞かせるのだったが…というストーリー。

とにかく“狂言切腹”に注目したとこが非常におもしろい(まあ、そういう原作があって、過去に映画化済ではあるが)。

二人の男が狂言切腹を申し出る。どうやら二人目の男は思うところあって来ているようにも見える。さてなんでこんな奇妙なことになっているのか?この男は何をしたいのか?そして出勤してこない三人の武士には何がおこったのか。その何故を振り返る形で謎が明かされていく構成もよい。求女の遺体が届けられたあたりまでは、非常におもしろかったと思う。

三池崇史は、どうしても市川海老蔵と満島ひかりを使いたかったんだろう。それは判る。でも、いくらなんでも市川海老蔵と満島ひかりが親子なのは無理がある。確かに時間が経過したテロップは入った。でも、あの男の子と女の子が、瑛太と満島ひかりだとピンとくるまで、すこし時間がかかった。とにかく、市川海老蔵が全然老けたように見えないし、そんな年齢にはまったく見えない。自然なライティングを心がけているせいか、全体的に薄暗い画像なので、老けメイクをしたところで判りはしない。もう、“老い”は演技で表現するしかないのだ。特段演技が下手というわけじゃないのだが、実年齢を超えるほどうまく演技はできていない。残念ながら力不足。

まあ、そこは、ほどなく理解できるので良しとしよう。しかし、シナリオ的にラスト30分がとんちんかん。
#孫が死ぬまでの回想シーンが長すぎるし、あの役に竹中直人は不要…とか、そういう指摘がすべて吹っ飛ぶくらい。

半四郎は、求女の切腹の願い出が、狂言だとわかったんだから、追い詰めたおまえらが悪いといっている。逆切れも甚だしくないだろうか。孫も死んだ、娘も死んだ。だからって逆切れして乗り込むなんてまともな思考じゃない。武士の世、江戸中期以降とかならわからんでもないが、関が原の直後だ。そんな時代に、武士が切腹を願い出たら、それを尊重することが責められることか?狂言切腹をするような武士を汚らわしいものと考えて何がいけないか?

私は、役所広司演じる斎藤勘解由の怒りが理解できたし、求女を浅ましいと見た。求女の事情もわかるが、人を騙すような手段を用いて、結果として失敗したんだから、自分の失策である。
昨今の不況とか、下級武士を現代サラリーマンになぞらえたのかもしれないが、その視点は陳腐でつまらない。それこそ蟹工船のような抑圧された階層のあわれをダシにして、富裕層を非難する陳腐な階級闘争にしか見えない。よく、昔の植民地主義が悪という人がいるが(まあ60歳前後の人たちなんだか)、昔の事柄は昔のルールで評価されるべきであって、その見方は実に馬鹿馬鹿しい。

武士の体面がどうのこうのいうのなら、曲げを取られた武士たちが出勤しないのはおかしいじゃないか!という理屈をこねるのだが、体面が悪いから出勤しないのであって、別に理論に不整合はないと思うのだが。とにかく考えて欲しい。どうしても井伊家を責めたいのであれば、もっと彼らに非道な行いをさせればいいのである。例えば、始めは普通に頭を下げてきたのに、狂言切腹でもしろと促したのがあの三人だとか。

自分で望んた切腹をさせてやって、すべて望みどおりお膳立てしてやったのに、「空気読めよ!」ってあとからその親がやってきて、刃物を振り回すなんて、狂気の沙汰というか理不尽すぎて、逆に戸惑ってしまう。これがクレイジーニッポンか、あのハラキリか!と、海外の人は困惑と異星人を見るような目を向けたことだろう。パルム・ドールにノミネートされているが、良く判らないものをもっともらしくありがたがるという、いつものカンヌにはぴったりの作品だったろう。

三池崇史は、貧富の差や階級闘争みたいなものにスポット当てたいのではなくて、“世のあはれ”みたいなものを表現したかったのかもしれないが、求女側へのお涙頂戴的な展開の枠は超えられていない。
とにかく、まさか逆切れで終わることはなかろうと思っていて、どういうおもしろい理屈をもってくるのかとても期待していたのだが、まさか布団叩きおばさん(通称:騒音おばさん)の映像を見たときと同じ感覚になろうとは。
突然バンジージャンプをさせられたような気分を味わいたいなら、レンタルしてみるとよいだろう。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
リンク
カウンター
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
最新コメント
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[04/28 ETCマンツーマン英会話]
[10/07 絶太]
最新トラックバック
Copyright © 2009-2014 クボタカユキ All rights reserved.
忍者ブログ [PR]