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公開年:1959年
公開国:日本
時 間:105分
監 督:市川崑
出 演:船越英二、ミッキー・カーティス、滝沢修、浜口喜博、石黒達也、稲葉義男、星ひかる、月田昌也、杉田康、佐野浅夫、中條静夫、伊達信、伊藤光一、浜村純、潮万太郎、飛田喜佐夫、大川修、此木透、夏木章、竹内哲郎、早川雄三、志保京助、守田学、津田駿二 他
受 賞:【1959年/第10回ブルーリボン賞】撮影賞(小林節雄)



フィリピン戦線のレイテ島。田村一等兵は上官から病院に行くことを命ぜられたが、その程度では入院できないと医者から追い返されてしまう。戻った田村は、その旨を上官に伝えるが、再び病院に行けと追い出されてしまう。隊の食糧はすでに底をついていており、田村のような労働力にならない隊員は、ただの厄介者なのだ。どこにも行くところがない田村が病院の傍の林に行くと、田村と同様に入院を断れらた兵隊は、何人も横たわっていた。彼らに合流したものの、翌日、病院が爆撃を受けて壊滅。再び田村は一人で荒野を彷徨うことに。海に近いひとけのない村に立ち寄った田村が民家を物色していると、そこに男女が入ってくる。恐怖から女の方を銃殺してしまった田村は、民家から塩を奪って逃走。罪悪感から銃を捨てて丸腰で山中を歩いていると、芋畑を発見。そこで別隊所属の3人の兵士と出会うのだったが…というストーリー。

戦地の悲惨な状況を目の当たりにする一兵卒の主人公の行動…という『ビルマの竪琴』と似たようなシチュエーション。こういう作品って“反戦映画”って紹介されることが多いけど、戦争の悲惨さを描いたら反戦映画って短絡的だなと、いつも思う。悲惨で極限的な舞台設定でドラマを作りたいだけっていうのはイカンのか?と。

市川崑に反戦の心が無かったなんていう気はないけど、映画の舞台として良かったから扱っているだけだと、私は思うよ。金田一耕助シリーズだって、終戦間もない設定だから面白い(ちょっと設定が後になる病院坂とかはおもしろくないじゃん)。

田村が女を銃殺した村に教会があったことから、キリスト教信仰にまつわるテーマを指摘する人もいる。しかし、人間が人間たりえる最低ラインを死守しようと必死になっている田村の姿の、そのギリギリの先に宗教的な視点が見え隠れするだけで、別にキリスト教の宗教観を表現しているわけではないと思う。永松のカリバニズムとキリスト教が対峙しやすいという側面もあるだろうが、いずれにせよ、本作は一つの宗教観で収まりがつく内容でもないし、逆に言えば宗教観を持ち出すような観方をするのは無粋で、純粋にホラーやサスペンスとして観るほうが、監督の意にかなっている気がしないでもない。実際、私はそういう観方で愉しめた。
私の市川崑観を押し付ける気はないけど、裏を考えずに素直に観るべき監督だと思うんだよね。

白黒ながらも、暑さがむんむん伝わってくる画。南方なのに全然ウェット感がない。実際は雨も降るしジャングルだし小川も流れてる。でも、テーマ故なのか、ものすごく乾いている感覚に襲われる。観ていて苦しくなる画ってすごい。

船越英二はまあ彼だとわかるが、ミッキー・カーティスは全然いまの面影がない。二人とも演技はうまくない。特に本作の船越英二はダイコンくさいけど、なんかそのダイコン芝居が、極限な感じをうまく涵養しているような。その他の脇役の演技がしっかりしているだけに、逆に際立つのだ。これも含めて市川演出だとしたら、それはすごい。

決して楽しい作品ではないけれど、映画史に残る良作だと思う。

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