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image0740.png公開年:2002年 
公開国:日本
時 間:129分
監 督:山田洋次
出 演:真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、大杉漣、吹越満、伊藤未希、橋口恵莉奈、深浦加奈子、神戸浩、草村礼子、嵐圭史、中村梅雀、赤塚真人、佐藤正宏、桜井センリ、北山雅康、尾美としのり、中村信二郎、田中泯、岸恵子、丹波哲郎 他
受 賞:【2002年/第26回日本アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(真田広之)、主演女優賞(宮沢りえ)、助演男優賞(田中泯、小林稔侍)、監督賞(山田洋次)、脚本賞(山田洋次、朝間義隆)、音楽賞(冨田勲)、撮影賞(長沼六男)、照明賞(中岡源権)、美術賞(出川三男、西岡善信)、録音賞(岸田和美)、編集賞(石井巌)、新人俳優賞(田中泯)
【2002年/第45回ブルーリボン賞】作品賞、助演女優賞(宮沢りえ)
コピー:ただ、愛する人のために。
ある日、「人を殺してこい。」というのが上司の命令でした。
心に、お帰りなさい。

庄内・海坂藩の下級武士、井口清兵衛。労咳で妻を亡くし、現在は娘2人と痴呆の母を養っている。妻の治療費や葬儀代で作った借金のために生活は苦しく、仕事が終わるとすぐに帰宅し家事と内職の日々。同僚との付き合いを頑なに断り帰宅するため“たそがれ”と揶揄されている。ある日、清兵衛は幼馴染みの朋江が、夫の酒乱が原因で離縁していたことを知るが、酔った元夫・甲田が朋江の実家に押しかけていたところに居合わせ、成り行きで果し合いをすることになってしまい…というストーリー。

日本人のサラリーマンの悲哀みたいなものを時代劇で表現したってことなんだろうけど、そういう意味ではちょっと直球すぎるかも。海外公開もされたみたいだけど、直球すぎてピンとこなかったかもしれない。

2002年っていう時代に製作されたことは意味があったと思う。どこかの浅はかで下品男の発言象徴されるように、“世の中にカネで買えないものなんてない”的な意見に、相当数の人々が賛同する世の中で、この貧乏下級武士のスタンスは非常に光るものがあったし、そんな意見がおかしいだろ!って言葉で反論する以上の力をもっていたと思う。そして、日本が明治維新を経てこれだけ強固な教育基盤を持てた一番の理由は、下級武士のおかげという歴史的事実。

資本主義の基本は、“他人のためになる施しをして正統な対価をもらうこと”で、何が人のためになるのかを必死で考えることである。しかし、“他人が金を払ってくれるものを売って金を稼ぐ”ために、金が稼げることを探すっていう行為と、表面上はほぼイコールになる…、この極めてトリッキーな構図が資本主義発展のエンジンになった。何がトリッキーかって、拝金主義の愚かな行為が、他者のための行為に転換されたように見えるのだから(私は常々言っているニアリーイコール論。資本主義が発展した理由である)。

直球すぎるとはいえども、訴えたいことが明確であることと、加えて丁寧なつくりが非常に好感が持てる。世の中には、会社での出世ことが人生のすべてではない、やりがいのある仕事こそ本分だと思っているサラリーマンが多数いるし、ちょっと意味は異なるけれど、昨今の草食系といわれる若者にも、共感を与えるかもしれない。

おおむね難も無く愉しめたのだが、小さい難点が3点だけある。

1点目。前半に、朋江が出戻りして甲田とモメる流れと、藩のお家騒動の流れと、2つの話があるのだが、この2つが直列つなぎになっている(つまり一つのエピソードが終わった後に、もう一つが流れる)のだ。これらはある程度、並列で流すべきだった。それの何がいけないかというと、観ている側が一つの話に集中してしまうので、先読みできてしまうから。簡単に言うと、複数の話を並行で流して、観ている側の気を散らせ!そういうこと。

2点目。次女が成長した後とおぼしきナレーションが入るのだが、結論から言うと宜しくない。なぜなら、今展開しているストーリーがすでに終わった話であることが印象付けられて、リアルタイムで展開している緊張感が削がれるから。こういう演出をするのだから、思い出話する大きな意味があってしかるべきなのだが、最後で家族の顛末を語るだけで、効果なし。ナレーションはなかったほうが絶対によい。それに最後の墓のあるシーンはどこなんだろう。あんな田舎にまで線路が到達していたと?発展した明治を印象付ける意図とは思うが、ちょっとリアリティが無いような…。

3点目。藩命で余五善右衛門という武士と死合うことになるわけだが、その相手について。中盤で清兵衛の仕事場に余五が訪れ名乗るのだが、役者の滑舌がわるくて名前が聞き取りにくい。そのせいで、藩命をうけた時に武士の名前が出てきた時に、あの武士のことか…とピンとこない人が多かったに違いない。だから、余五が訪れた直後に同僚がやってきて「あれは御馬廻役の余五善右衛門ではないか。こんなところに何の用向きであろう…」などというシーンを加えて、名前を印象付けるべきだたろう。

まあ、そういう気になる点はあれど、よくできた作品だと思う。そこそこお薦め。
生活のために藩命を受けて命を懸けるあたり、福島原発の作業員とダブるのだけれど、今どこの局が放映権を持っているのか知らないが、日テレでもTBSでもいいから、もしこれをサラっとTV放映するセンスがあったら、大いに褒めてあげよう。CM料欲しさに東電寄りの論調になってると穿った見方をされているTV局も、その誹りも少しは軽減するのでは?





負けるな日本

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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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