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image1425.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:94分
監 督:木村祐一
出 演:倍賞美津子、青木崇高、板倉俊之、木村祐一、西方凌、三浦誠己、宇梶剛士、村上淳、段田安則、泉谷しげる、中田ボタン、ハイヒールリンゴ、板尾創路、新食感ハシモト、キムラ緑子、安藤玉恵、橋本拓弥、加藤虎ノ介、遠藤憲一 他
コピー:お金は神か、紙切れか。



昭和25年。大津シンゴは、ふるさとの山村にて、元軍人の戸浦らを集め、発行されたばかりの新千円札のニセ札製造を持ちかける。しかし、印刷機を購入するには多額の資金が必要だということが判明したため、小学校に務めるかつて自分の教師だった佐田かげ子に参加を促す。犯罪に荷担するなどもってのほかと拒否するが、知的障害を持つ息子や本の一つも買えない生徒の状況を考え、ついに荷担を決める。やがて戸浦をリーダーにして、実行部隊のメンバーが揃い、かげ子は大津とともに印刷機購入の資金集めを担当するのだが…というストーリー。

やりとりが不自然だったりクサく感じられたり、不要なカットが残っていたり(目標のお金が貯まりました!って会議の場面での板倉俊之の含みのある顔とかね)、初監督ということなので、大目に見てあげたいと思っている。脳内で想像したときにはウマく描けていても、実際に形にしてみると何かヘンってことは往々にしてある。芸術なんてそれとの戦いといってもいい。それを繰り返すことでウマくなっていくのだから。自分が映画をつくれっていわれて、一発目でここまでできるかは疑問だもの…って、厳しい気持ちになれないのは、プロレベルに達していないと無意識に感じているからかもしれない。それはそれで悲しい作品かも。

ただ、脚本に関しては、より救いようがないかもしれない。極秘裏に遂行するということが前提なのに、仲間になるであろう確度の低い先生を引き込み、拒否されるとそのまま帰ろうとする意味がわからない。村人に信用のある人だからというチョイス理由はわかるけれど、正義を振りかざして計画を破綻させるかもしれないのに。そして先生が参加するもっともな動機がさっぱりわからない。本などを買ってあげたいということじゃなくって、バレて捕まったとしてもそれでもいいんだ!と決意するまでの根拠が希薄なのだ。だって、ニセ札で購入したことがわかれば買った本は接収される可能性だって低くないんだし、村人にばら撒いたニセ札なんかまちがいなく回収されるんだし。そのリスクをおかしても、それに賭けるだけ困窮しているという描写も不足している。さらに、最後、かげ子の取り分の使い道は結局わからなかったって、状況ですぐわかるんだから、リアリティなさすぎでしょ(やるなら、警察はわかってたけど、あえて…みたいな描写を入れないとさ)。

最後の裁判でのかげ子のセリフも、ものすごく気に喰わない。「国家がお金の価値を決めるですよね」。お金の価値は市場が決めるんでしょ。「わかったことがあります。お札は結局タダの紙切れ」って、お札はタダの紙切れではなく、労働に対する価値を証明するものでしょ(厳密にはそれだけじゃないけど)。それを否定することは労働を否定することと同じである。もしこれが映画を介して伝えたいメッセージだとしたら、この脚本家たちは何か大きな勘違いをしているのではなかろうか。お金はただの媒体であって、お金自体に価値があるものではないということが理解できていたら、こんなはずかしい脚本は書けないだろう。仮に、このセリフを言わせたいなら、それ以上に国家が人の労働や財産(命を含む)をないがしろにしているでしょ!という指摘を、うまいこと盛り込まないといけないのだ。それを盛り込めるだけの力量が無い上に、論理的に自分の考えが未整理で、おそらく根本的に考え方に誤りがあるので、この有様なんだと思う。

キム兄は、パートナーを間違えたと思う。もうしわけないが、他者には薦められない。ただ、もう一度、監督をするチャンスが彼にめぐってくることは祈る。その時は、いい仕事仲間を見つけて欲しい。化けないとは言い切れない何かはあるような気もするので。でも、本作はお薦めしない。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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