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公開年:1999年
公開国:日本
時 間:118分
監 督:森田芳光
出 演:内野聖陽、大竹しのぶ、西村雅彦、小林薫、桂憲一、田中美里、町田康、伊藤克信、菅原大吉、佐藤恒治、小林トシ江、友里千賀子、鷲尾真知子、石橋蓮司 他
ノミネート:【1999年/第23回日本アカデミー賞】助演男優賞(西村雅彦)





金沢にある昭和生命保険北陸支社に勤める若槻慎二は、契約者の菰田重徳の妻・幸子から、保険の説明のために来て欲しいと呼ばれる。家に行くと幸子は留守で、重徳に家に招かれる。なんと、招かれた居間の隣室で、子供・和也の首吊り死体を発見してしまう。和也も保険に加入していたため、重徳と幸子は保険を請求。本社での審査が長引いていたため、支払いまでに時間がかかったのだが、その間、重徳と幸子は何度も若槻の会社に押しかける続けた。その後、保険は支払われることになったのだが、二人の異常な態度を不審に感じた若槻は、独自で調査を開始する。すると、重徳が障害給付金を得る為に自分の指を落としていたり、二人の周囲で不審な死亡事件が立て続けに発生していたことがわかり…というストーリー。

和歌山毒物カレー事件が1998年だから、それを意識して製作されているのだろうか(原作は事件より前に発表されている)。ちなみに、和歌山毒物カレー事件の犯人宅には原作本があったという噂を聞いたことがある。事実なら、原作に触発されて事件が発生し、事件を念頭に置きながら本作が製作されるという、奇妙なループができていることに。
#今となっては、現実の事件のほうが強烈極まりないけどね。

細かいディテールが醸し出す“それっぽさ”がハンパない。古めの家屋。北陸という絶妙な舞台の距離感。エセ愛犬家。演出的にどこまで踏み込んでいいのか(和歌山毒物カレー事件を彷彿とさせる演出をどこまでやっていいのか)を、探っているようにも私には見える。その探り探りアクセルをふかしているような感じが、妙な雰囲気を醸し出す結果に。他の猟奇サスペンス作品には無い、珍妙な空気が流れている。

大竹しのぶがとても美しい。公開当時は全然ピンとこなかったのだが、今みるとものすごく魅力的に見える。逆に、西村雅彦の演技はちょっとヤリすぎ。その他、犯罪心理学の助教授とかの演技もヤリすぎだし。
森田芳光の演出がバブル臭がプンプン。インパクトプリンタの音を流用した効果音。片足を引きずった刑事。黄色。ボーリング。不安感を煽ろうとする演出が、ことごとく見え透いている感じ。話の中のアイコンとして際立たせるため、キャラを立たせる意図はわかるんだけど、このころの演出は、本当にダサいと思う。これを、作品の方向性をわかりやすく観客に示していると捉えるか、ホラー・サスペンスのカウンターとしてベタベタな演出とか、コメディチックな演出を挟んでいるのだと好意的に捉えるかは、人それぞれかな。
#事件の状況を知ってると思うのだが、それでもボーリングに誘う鬼畜上司。なんか若槻に恨みでもあるんか?

佳境のシーン。警察が来たので逃げるのだが、逃げるシーンも映像として表現していないし、その直後の救出されるシーンも端折っている。いわずもがな…なのかもしれないが、幸子が、焦りもせず、逃げ時は今と判断して淡々と逃げる様子は、なかなか恐怖を募らせてくれたと思う。逆に、最後にチャックしめる演出は、評価するけど。

鼻につく演出はスルーしよう。そうすればとても優秀なサスペンス(ってか、それは原作の出来がいいってことか)。
#なんか、今なら韓国とかが好きそうな題材とか演出だな…と思ったら、韓国でリメイクされてた(見つけたときは笑った)。

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公開年:1993年
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:ハロルド・ライミ
出 演:ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル、クリス・エリオット、スティーヴン・トボロウスキー、ブライアン・ドイル=マーレイ、マリタ・ゲラーティ、ロビン・デューク、マイケル・シャノン 他
受 賞:【1993年/第47回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(ハロルド・ライミス、ダニー・ルービン)
【2006年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品


テレビの人気天気予報官フィルは、プロデューサーのリタとカメラマンのラリーと共に、パンクスタウニーという町に取材に訪れた。毎年この町では、2月2日に冬眠から覚めたグラウンドホッグというリスの一種が、春の訪れと天候を占うという行事が行われるのだ。しかし、こんな田舎町の取材にフィルはうんざりで、文句を言ってばかり。放送当日も、ホテルの従業員に悪態をつき、町で偶然であった高校時代の同級生にもイラつき、中継でもそっけなく終了。さっさと町から出ようとするが、天気は崩れないと予報していたのに、突然の吹雪が町を襲う。周辺道路が閉鎖され、電話も不通になってしまい、仕方なく一泊延長することになる。翌朝目覚めると、ラジオから昨日と同じ放送が流れ、ホテルの従業員が同じ言葉をかけてきて…というストーリー。

神のいたずらなのか、起きるとまた同じ朝を迎える男。こういうテイストの作品の主人公は、性格破綻者であることが大半だが、本作のフィルもクソ人間。とにかく性格が悪い。同じ一日を繰り返しても、やることなすことクソ行動。

確実に繰り返されるのがわかったら、儲け話とか悪巧みに使えそうだな…なんて思っちゃうけど、実際、いつこのループが終わるかわからないし、“永遠”なのかも…とか考え始めたら、そんな小さな世事なんかどうでもよくなっちゃうよね。そんな苦痛が彼を苦しめ続ける。

こんな繰り返しがイヤになってしまって、とうとう自殺をすることを選択する。しかし、また朝目覚める。なんか設定ルールを逸脱しちゃってるような感じがしないでもないけど、まあ、そうしないと話が続かないからしょうがない。
そこまで到達すると、何でもかんでも悪態をついていた自分がこだわっていたものが、ものすごくどうでもよくなってしまう。辛いんだけど、自分の意思ではどうにもならないんだから、開き直っちゃって、もしかして楽しみ始めてる?前向きでちょっとうらやましくなっちゃうくらい。うんざりするほど繰り返しながら、変わっていく彼の姿は非常に愉しい。いかにも、大人の童話っていう作品。

このお話、もの凄いどんでん返し級のオチがないと、まとまらない。さて、この大風呂敷をどうかたづけるのか!?!?…と思ってたら、身近な彼女に対する自分の思いに気付くという、スケールの小さい方向に。いやいや、そういう小さいことこそ、人生において大事なことなのですよ!ということか。あぁ、そういえば邦題は“恋は~”じゃないか。

これが本当の未来で、正しい道に修正されたってことかな。ただ、私、性格ちょっと悪いのね。ハッピーエンドとかいらんのや、基本ハッピーエンドでも、少しヒネろや!なんて思っちゃった。素直な心の人が観るととっても愉しめるだろうね。

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公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:92分
監 督:ジョン・アーヴィン
出 演:ン・エルダード、ザック・オース、ティモシー・オリファント、フランク・ホエーリー、ディラン・ブルーノ、マーティン・ドノヴァン、ダン・ファターマン、ドワイト・ヨーカム、ボビー・カナヴェイル 他






第2次世界大戦末期。ノルマンディに上陸した連合軍はパリを解放。クリスマスまでにドイツに侵攻して大戦を終結するのでは?という楽観ムードが漂いはじめた。しかし、ドイツ・ベルギー国境にドイツ軍は、国境付近に広がるヒュルトゲンの森に“ジークフリート線”という防御ラインを築き、徹底防戦の構えを見せる。深い森林に大量の地雷が置かれ、容赦ない砲撃が繰り返され、アメリカ軍が必死に攻め込むものの大苦戦を強いられる。ホッジス将軍率いるアメリカ第1軍の第28歩兵連隊もマニング一等兵一人を残し全滅してしまう。上官は、マニング一等兵が生き残ったのは、彼が判断力や行動力に優れているからだ…と判断し、彼を軍曹に昇格させ、まったく戦争経験のない補充兵で構成される小隊を率いさせようとする。しかし、マニングは、戦争自体にすっかり覚めてしまっており…というストーリー。

軍事マニアじゃないので、“ヒュルトゲンの森の戦い”もよく知らない。アメリカ的には重要なポイントなんだろうけど、おそらくアメリカ人の教育レベルだと、一般アメリカ人も知らん人が大半なんだろうな。まあ、いずれにせよ、こんな大変な苦労をしてきとるんやで!ワシらは!っていう、アメリカ人向けの作品ですな。

HBOは『デクスター』とか、『セックス・アンド・ザ・シティ』とか『ザ・ソプラノズ』とか、ドラマの質は高いよね。古いTVムービーだけど、本作もものすごく出来が良い。エキストラをCGで足すとかできない時代。調べたらアメリカ軍、ロシア軍、ハンガリー軍が全面協力してて、大量のエキストラを投入しているらしい。先頭シーンもそりゃリアルだわ。これだけTVドラマにこれだけ金をかけるって、素直にすごいと思う。

ストーリーは、一人の兵士マニング(おそらく志願兵で元々職業軍人ではなさそう)が、瀕死の同僚兵士を背負って、敵の追撃から逃げているシーンからはじまる。しかし、もうこの怪我の状態じゃ無理…、このまま背負って逃げてたら自分も見つかっちゃう…って判断して、置いていくことに。「置いていかないでくれ…」っていううめき声。どうせ苦しんで死ぬなら、いっそのこと…ってことで、マニングは同僚を銃殺といういきなりの鬱展開。

なんとか帰還して、で、マニング本人ももうやってらんない!って除隊を申し出るんだけど、上官は認めてくれない。一人生き残るってことは、才能と運があるに違いないっていうんだけど、単に兵士が少ないでしょ?アンタ適当なこと言ってるんじゃね?って感じ。
おまけに昇進させるとか、もう現場はカオス状態。マニングはどんどん病んでいく。

さらに部下は新兵さん。少し前の自分の立場と同じやつらだな…と思うとかわいそうに感じるんだけど、情をかけてる場合じゃないし、そんな気分でもない。淡々と彼らが死なないように指示するんだけど、必要なことしかいわないから、気を使っても好かれないという…。

隊列全体も疲弊しているから、突撃する以外の戦術的バリエーションがない。することがなくなって、いよいよ明日総攻撃しまっせー!ってことになるが、俺は国に還りたいんだっての!ってことで、もっと意味のあることとするわ…と、独自行動をすることを決意する。さて、どうなるか…。

観てるこっちも鬱になるような展開で、戦争なんざうんざりだ!っていう作品なんだけど、戦争が始まったら勝たないとダメだな…とも思うし、アメリカは物量で凌ぎきっただけなんだな…とも思う。淡々と戦況を描いていて、製作側の「こういう意図を感じ取ってほしい…」という押し付け意図が薄いおかげで、素直に没頭できた作品。

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公開年:1990年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:クリント・イーストウッド、チャーリー・シーン、ラウル・ジュリア、ソニア・ブラガ、ララ・フリン・ボイル、トム・スケリット、ペペ・セルナ、マルコ・ロドリゲス、ピート・ランドール、ドナ・ミッチェル、ザンダー・バークレイ、トニー・プラナ、デヴィッド・シェリル、ハル・ウィリアムズ、ロイド・ネルソン、ジョエル・ポリス、ポール・ベン=ヴィクター、ロバータ・ヴァスケス 他
コピー:とんでもない奴とパートナーになってしまった…。


強引な捜査でおなじみのロス市警のベテラン刑事ニック・パロヴスキーは、高級車ばかりを狙う窃盗団を捜査していた。そんな彼は、新人警官デイヴィッド・アッカーマンはとのコンビを命じられる。デイヴィッドは上流階級生まれだったが、子供の頃に弟をビルの屋上から転落死させてしまい、その罪の意識に苛まされ続け、自分を痛めつけるように自分を厳しい環境に追いやり、父に反発して警官の道に進んだのだ。窃盗団のボスとして浮かび上がったのは、ストロムという男。しかし、捜査をすすめようとしても、経験不足のデイヴィッドは、ことごとくニックの足を引っ張り続ける。そんなデイヴィッドに捜査のイロハを教え込むニック。そんな中、ストロムは資金繰りに困窮し、カジノ強盗をして金を調達し、そのまま国外逃亡をしようと画策していた。その動きを察知した二人だったが…というストーリー。

いまでこそ、チャーリー・シーンといえばトンデモ人間の代名詞だけど、当時はそんなことはなかったはず。そんな彼が『ダーティ・ハリー』のクリント・イーストウッドが監督でダブル主演のバディ物ときたもんだ。そりゃあ期待しちゃう。でも、なんかショボいんだなぁ、これが。

証拠の保全という概念がすらない刑事。そりゃあむちゃくちゃな話になっちゃう。でも無意味に痛快なのは間違いない。映画なんてのはこの程度のノリでいい。おまけに悪役だって、たかだか高級車窃盗団のボスという小物である。期待しすぎてはいけないし、実際、期待させるような導入部でもない。

会話の小ネタや、変態チックな性描写シーンとかがちょくちょくはさまれているのだが、観終わって考えると、クリント・イーストウッドは“半コメディ”みたいな作品を作りたかったんだと思う。だから、ストーリーもちょっとマヌケな臭いが漂う展開になっている。
でも、クリント・イーストウッド演じるロートル刑事ががつかまって人質になって、おまけに敵の女キャラに好き放題になれちゃうのだが、この役がまったくクリント・イーストウッドに似合ってなさすぎて、ちょっと興ざめしてしまう。
クリント・イーストウッドらしい、笑いのはさみ方…って擁護してあげたいんだけど、やっぱりつまらない。

逆にキャラにばっちりマッチしているチャーリー・シーンなのだが、こっちは、キャラの行動がクレイジーすぎて興ざめ。本当に意味不明な無頼っぷりで、ヒいてしまうほど。後は闇雲に突撃するだけ…という展開なのに、わざわざ親に金の無心したりする。これが、実に意味不明。“俺が金を出させたんだ!”って威張ったところで、ニックと友情が目覚めるわけはないだろう。ストーリー上、意味あるのだろうか? 馬鹿げたシナリオだと思うし、キャラ設定の練りもあまいと思う。
最後だって、逮捕するでもなく、ただ殺すだけ。中途半端なハジケっぷり。

凡作と駄作の間を行ったり来たり転んだりしてる作品。
#暗いシーンばかりで観にくいのも難点。

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公開年:1991年
公開国:アメリカ
時 間:106分
監 督:マイク・ニコルズ
出 演:ハリソン・フォード、アネット・ベニング、ビル・ナン、ミッキー・アレン、ドナルド・モファット、ナンシー・マーチャンド 、レベッカ・ミラー、ジェームズ・レブホーン 他
コピー:失くした過去と真実の愛を求めて ヘンリーの心のさすらいは始まった…




ニューヨークの敏腕弁護士ヘンリー・ターナーは、その日も、失態のせいで患者に告訴された大病院の弁護をして勝訴。そんな仕事は絶好調の彼だったが、一方で、多忙のために妻と娘との関係はうまくいっていなかった。そんなある日、煙草を切らしたので近所の店に買いにいったところ、偶然にも強盗に遭遇し、狙撃されてしまう。病院に搬送され何とか一命を取り留めたものの、彼は記憶喪失になり、妻子のことすら思い出すことができず、おまけに手足に麻痺が残ってしまった。自分が何者かすらわからない不安の中、頑なに心を閉ざすヘンリーだったが、トレーナーのブラッドレーの明るい人柄に助けられ、リハビリを続ける。そして、妻子のことが思い出せないまま、妻サラと娘レイチェルの待つ家に戻ることとなった。ヘンリーが自分達のことを覚えていないだけでなく、仕事にも復帰できずに生活が困窮していく中、二人は強い失望を感じるが、かつての彼とはまったく違う純粋で優しさ溢れる姿に、幸せを感じはじめ…というストーリー。

冷静に観察すると、ハリソン・フォードの演技がヘタというわけでないのだが、ハンソロが、障碍者になってもいまいちピンとこない感じ。これは、あまり“色”の付いていない役者か、もっとコワモテで悪い印象の役者をアサインすべきだったのかも。彼では、はじめから印象が良すぎるもの。

事実を知っていながら、依頼者の勝利のために事実を覆い隠す、ある意味“悪徳”弁護士。特段、事故前の彼が特別にイヤな人間だったというと、パワフルで仕事熱心な人という印象しか無くて、弁護士の業務を考えると正常な。だけど、やっぱり一般人の感覚からすれば悪徳以外の何者でもない。そんな有能な悪魔がすべてを剥ぎ取られ、本来の人間性のみで行動する。

もちろん周囲は、社会的なポジションこそ“彼”であると捉えているわけだし、“悪魔”の彼の友人なわけだから、当然“悪魔”。「私たち友達なのよ…」と真実を聞きだしておきながら、「他では話さないことをお薦めするわ…」って、友達の鬼畜っぷりがスゴい。
反面、記憶を失ってからヘンリーが心を通わせるようになった人々の善良さが、彼の本性の美しさを証明する演出。

とはいえ、弁護士事務所の雇い主は、そんな彼を仕事に復帰させる。もちろん使い物にはならないのは承知で。すごい温情。しかし、その恩を仇で返すヘンリー。自分の過去の所業を知って、病院のミスの証拠を原告に渡してしまう。人間としては良いのかもしれないけど、良かろうが悪かろうが、過去の自分がやってしまったことなので、それはそれとして受け止めるべき事案。
この行いを、正しいと思えるか否かが、分かれ目だろう。あえて判断の分かれる行動を入れるという演出なのか、単に心を入れ替えた人間の善行として入れた演出なのか、ちょっと微妙なところ(後者なら、ちょっと浅はかな演出かも)。

その後、妻の秘密のすったもんだを経て、最後は、子供の未来を考えた行動をとるという展開。まあ、家庭内の問題なので、それはそれでいいんだけど、さっきの会社に対する背任行為をごまかしているような感じがしないでもない。

ただ、単純なお涙頂戴ではない点は評価したい。まあまあの内容。でも、邦題はNG。

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公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ルーク・グリーンフィールド
出 演:エリシャ・カスバート、エミール・ハーシュ、ティモシー・オリファント、ジェームズ・レマー、クリス・マークエット、ポール・ダノ、ティモシー・ボトムズ、オリヴィア・ワイルド 他
ノミネート:【2005年/第14回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(エミール・ハーシュ、エリシャ・カスバート)、ブレイクスルー演技賞[女優](エリシャ・カスバート)


ガり勉男子高校生マシューは勉強以外はまったくパっとしないが、彼の夢はアメリカ大統領。生徒会長の彼は、カンボジアにいるサムヤンという男子をアメリカ留学させるために、費用2万5千ドルの寄付を募るなど、奉仕活動にも熱心。すでにジョージタウン大学に合格しており、今は、奨学生選考のスピーチ作りに注力していた。しかし、こんな地味な学生生活のまま卒業してしまっていいのか悩んでいた。そんなある日、隣家に美しい女の子ダニエルが引っ越してきて、マシューは一目惚れ。彼女は屈託の無い明るさと奔放さでダニエルに接してくるので、マシューへの思いはどんどんヒートアップしていく。しばらくして、マシューの親友が入手したアダルトビデオを観せられ、それにダニエルが出演しているのを発見。彼女は人気ポルノ女優“アテナ”であることを知る。悶々とするマシューは、親友の後押しでダニエルをモーテルに誘うことを決意。しかし、普通の友人として自分を見てくれていたマシューが豹変したことに傷ついたダニエルは、彼を拒絶しそのまま距離を置くことになってしまう。心を入れ替えて、もう一度友達としてやり直そうと彼女の家を訪れたマシューだったが、そこにAVプロデューサーでかつてダニエルと恋人関係にあったケリーという男が現れ…というストーリー。

パッケージ画像を見ると、直球のエロ話のように思えるだろうが、これがそうではない。若いころ楽しんでおけばよかったなぁ…と、おっさんが鬱になること必至の作品なのだが、“楽しむ”とはエロの方向だとは限らない。
確かに前半は、好きになった女性がポルノ女優ですったもんだ…という青春コメディちっくな展開。後半もそのままだったら、かなりつまらなかっただろうが、エロ青春モノのテイストは完全に崩れる。立派なグローイングアップムービーであり、一発逆転のスリル溢れる“してやったり”作品に変貌する。

たいして長い話じゃないのに、エピソードの盛りだくさんな感じがハンパない。特に、終盤のケリーとマシューの攻防と、それに絡んで“ポルノ王”ヒューゴをどうやって使うのかという展開が秀逸だと思う。ケリーとヒューゴの因縁設定もうまく活用できているし、奨学金の選考会の失敗や、サムヤンの留学基金の詐取、プロムの舞台をどう活用するかという要素をすべてうまく絡めている。
終盤、肝心のダニエルのことを忘れちゃったような流れになるが、撮影でほかの女優と関係を持っちゃうの??というハラハラ展開を差し込んで、流れを呼び戻すなど、本当にこのシナリオは巧みだと思う。プロットだけ眺めると、“一発逆転”の内容はかなり強引なんだけど、それを感じさせない。

本作は、日本未公開なのだが、決しておもしろくないからではないと思う。単純なエロコメディだったら宣伝しやすかっただろうけど、逆にそうじゃないから売りにくくなってしまったのだろう。本当に、イメージだけで侮ってはいけない作品。是非ともお薦めしたい作品だ。

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公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:アンドリュー・デイヴィス
出 演:マイケル・ダグラス、グウィネス・パルトロー、ヴィゴ・モーテンセン、デヴィッド・スーシェ、コンスタンス・タワーズ、サリタ・チョウドリー、マイケル・P・モラ 他
コピー:愛さえも殺しの道具。
今、ヒッチコックの完全犯罪サスペンスを越える--




アメリカ大使の側近として勤務しているエミリーは、実業家のスティーヴンの妻。エミリー自身も莫大な財産を持っており、裕福な生活を送っていたのだが、夫に対する愛情が無くなってしまい、今は無名の画家であるデイヴィッドと逢引を重ねていた。しかし、スティーヴンは二人の関係を知っていた。それどころか、デイヴィッドの身辺調査を行い、彼が前科者であるだけでなく、露見していない犯罪歴があることまで突き止めていた。そしてエミリーに近づいた理由が、財産目当てあることも。別れるように脅すと思いきや、なんとスティーヴンは50万ドルの報酬でエミリーの殺害を依頼するのだった。実は、スティーヴンは破産寸前まで追い込まれており、彼女の財産を狙っていたのだ。デイヴィッドは余罪が露見することを恐れて受諾。スティーヴンはアリバイ作りのためにカードクラブに出かけ、その最中にデビッドを自宅に忍び込ませ、妻を殺害させようと計画。しかし、エミリーは家に押し入った男を逆に殺してしまうのだった。帰宅したスティーヴンは、エミリーが無事であることだけでなく、押し入った男がデイヴィッドではないことに驚く。デイヴィッドも自分で手を下すことができずに、他人に依頼していたのだった…というストーリー。

経済的に困窮し妻を殺して財産をせしめようという夫。財産を持っている人妻をたらしこんで金を引っ張り出そうというクソ男。旦那の正体を知ってるだぁなんだとほざきながら、浮気相手の正体には微塵も気付かないという無能な妻。いいねぇ、メインの登場人物が全員クソ人間っていう作品。

グウィネス・パルトローは人の良い役柄も多いし、個人的に好きな部類の役者なので、このクソ妻の配役がいまいちしっくりこなかったのだが、その違和感に逆にイラっとさせられる。そこまで計算されたキャスティングかは不明だが。
エミリーは夫を騙していて、ある意味キャスティングボートは自分が握っている…くらいのことを思っているが、筒抜けの無能。とにかく、このクソ妻なら殺されてもいいな…と思わせてくれるし、実家の母親の態度とか見ると、やっぱりクソだな、死んでもいいな…とさらに思う。

デイヴィッドは、金持ち年増女をたらしこむのはお得意のようだが、今回は、単に殺すのに躊躇しただけなのか、ちょっと情が沸いているのか微妙な線。でも、金をめぐっての丁々発止はやっぱり犯罪者っぷりを発揮。スティーヴンの言いなりにさせられそうなところを、イニシアチブを取り返そうとする。この緩いんだか抜け目ないんだかわからない、微妙なキャラクターをヴィゴ・モーテンセンがうまく演じていると思う。

そう考えると、メインの3人がイニシアチブの取り合いをしている展開。そして客は誰が“負け”るのかを期待して観るわけだが、これは人によって異なるんだろう(その人の性格が出ると思う)。私は、なぜか首謀者スティーヴンを応援したくなってしまった。

難点を言えば、ちょっとダサい演出が散見される。たとえば、誰かがいった台詞を後でリフレインさせて印象つけているのだが、カッコウつけた演出のつもりが、かなりダサダサだったりする。
鋭そうで無能な刑事もいい味付けではあるが、逆にいえば、彼が無能じゃないと、このお話はケリがつかないわけで、結構シナリオ上都合のよいキャラ。

マイケル・ダグラスが安っぽいとか、オチがスッキリしないとか、苦言はどんどん並べられるけど、意外とテンポも良かったし、佳作だと思う(元のヒッチコック版は観たことがないのが、功を奏しているのかも)。

ただ、もう何が“ダイヤルM”なんだか、まったくもって意味不明。ダイヤル電話じゃねーし。オリジナル邦題に引っ張られる意味あるかね…。とは思うのだが、原題の“PERFECT MURDER”も、別に完璧な殺人ってわけでもないしね。いずれにせよピリっとしないタイトルなんだよなぁ、コレ。

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公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:トッド・フィールド
出 演:ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリー、ノア・エメリッヒ、グレッグ・エデルマン、フィリス・サマーヴィル、ジェーン・アダムス、セイディー・ゴールドスタイン、タイ・シンプキンス、レイモンド・J・バリー、メアリー・B・マッキャン、トリニ・アルヴァラード、サラ・バクストン、トム・ペロッタ、ヘレン・ケアリー、マーシャ・ディートライン 他
受 賞:【2006年/第73回NY批評家協会賞】助演男優賞(ジャッキー・アール・ヘイリー)
コピー:心の中で、大人と子供が揺れている。幸せ探しの物語。

ボストン郊外の閑静な住宅街ウッドワード・コート。ビジネスマンの夫と3歳の娘と、ここに引っ越してきて間もない主婦サラ・ピアースは、“公園デビュー”するものの他の主婦連中といまいち馴染めずにいた。そんな主婦たちの話題の的となっていたのが、公園に息子をつれて訪れる一人の男性。彼女たちは彼を“プロム・キング”と読んでいた。彼の名はブラッド・アダムソンといい、ドキュメンタリー作家として成功している妻キャシーと暮らし、司法試験合格を目指しながら主夫をしているのだ。主婦連中たちは、サラに彼に話かけて連絡先を聞き出すようにけしかける。くだらないと思いつつも主婦連中たちを驚かせてやろうと、ブラッドとハグをしてキスをするように頼んで実行。その様子に驚いた主婦たちは慌てて公園から立ち去るのだった。しかし、はじめは単にふざけただけだったのに、両者はお互いのことが気になって仕方がなくなってしまうのだった。そんな中、性犯罪で服役していたロニー・マゴーヴィーという男が街に戻ってくることがわかり、街は騒然となり…というストーリー。

アメリカのリベラル層にウケの良さそうな作品の常連になりつつあるケイト・ウィンスレット。『おとなのけんか』『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』『ホリデイ』と、既存の夫婦関係、男女関係の形に不満を抱き、はみだしていく役柄が多い。一線を越えたら、歯止めが利かない激しさを見せるキャラクターばかりで、すこし食傷気味かも。ただ、微妙にだらしないボディと野暮ったさを漂わせても不快にならないという、絶妙な容姿が功を奏している。

はっきりいって不倫のお話なので、不快に感じて当然のはずなのに、頭ごなしに否定できないなにかが、このストーリーにはある。決して不倫肯定ではないし、こういう状況ならそうなっても仕方がないという、安易な擁護でもない。あの夫なら、イヤになっても仕方がないと思う反面、だからといって、他の妻子持ちの男に走っていいわけがないとも思う。適当に折り合いをつけるか、はっきり決着をつけるか…が正しいわけだが、とりあえず刹那的な関係と続ける。いい大人だけど、子供の行動。

相手のブラッドも、弁護士を目指して主婦しているんだけど、本人は本心ではやる気がない。でも、妻に養ってもらっている以上そんなことはいえない。で、勉強のために図書館にいってるはずなのに、ボーっと若者がスケボーやってるのを眺めていたりする。そんな無駄な時間を費やすくらいなら、はっきり妻にいって別の仕事も見つけるなり何なりするべき。でもそうしない。子供の行動。

そういう、子供な大人の話だけならば、なんてことのないストーリーなんだけど、その不倫話と平行して、任務中に誤って子供を殺害してしまった元警官のラリーが、性犯罪者ロニーに執着していく姿が描かれる。こっちは結構ヘビーでエグくて、過ちと償いについて焦点が当たっている。対立関係なのに、両者とも、。自分と社会との間に横たわる乖離と、どう折り合いをつけるべきなのかという問題を抱えている。
さらに両者の間に、ロニーの母親が絡んで、不穏な未来を予期させる。

母親はそんなロニーでも何とかなると信じている。しかし、ロニーがプールにいくと、そこにいた子供たちが全員プールから出てしまうというシーン。一応法的にはセーフなのでそこまで町ぐるみで忌避しなくても…と思うけど、間違いなく子供を観察するためにゴーグルとシュノーケルと持ってプールに突入しているロニーにはヒく。もう、彼の性的嗜好は抑えることは不可能。
一方、自分が死んだ後、この息子はやっていけないことを理解している。だから、お見合いさせようとする。もちろん子供にしか興味のないロニーはノリ気じゃない。ところが相手の女性がちょっと心を病んでいる感じ。なんで病んじゃってるのかな?その理由が判ると、ロニーのスイッチが入ってしまう。相手女性は幼い頃に性的暴行を受けていたのだ。すると、帰りの車で女性を見ながら自慰行為をする。もう救いようがない。このシーンで、猛烈な絶望感を覚えてしまった。どんな人間でも生きる価値があると彼の母はそう思っているであろうが、そんな建前はガツーンと破壊されてしまう。

ラスト、サラは逃避行のために約束の場所に。ブラッドも約束の場所に向かうが、なぜかスケボーしちゃう。なんでや。男は目先の興味に流される子供だということか。
サラは夫と再構築するのは困難だろうし、彼女が本当に求めているのは実はブラッドというわけでではない(別にブラッドじゃなくてもよいという意)。はたして、その後の彼女はどうなるのか?そこは描かれない。

一方のロニーは劇的行動に走る。それをこれまでの反感を超えてラリーが救出する。はたしてラリーは、実は二人に共通点があったことに気づいたのか。それもはっきりとは描かれない。

正直にいうと、何が言いたい作品なのか私にはピンときていない。でも、社会と折り合いを付けたくても付けられない苦悩みたいなものに、シンパシーを感じる作品ではあった。悪くない。ちょっとお薦め。
#サラのナレーションは不要。

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公開年:1995年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:エイミー・ヘッカリング
出 演:アリシア・シルヴァーストーン、ステイシー・ダッシュ、ブリタニー・マーフィ、ポール・ラッド、ダン・ヘダヤ、ジェレミー・シスト、ウォーレス・ショーン、トゥインク・カプラン、ジュリー・ブラウン、カール・ゴットリーブ 他
受 賞:【1995年/第30回全米批評家協会賞】脚本賞(エイミー・ヘッカリング)
【1996年/第5回MTVムービー・アワード】女優賞(アリシア・シルヴァーストーン)、魅惑的な女優賞(アリシア・シルヴァーストーン)


弁護士の父と二人暮らしのシェールは、ファッション、エステ、デート、パーティとリッチな生活を満喫。パパに買ってもらったジープを無免許運転するなど、ズレた感覚の持ち主だけど、音楽も車も食事も付き合う相手も、本当に自分にふさわしいかを吟味することか大事だと考える彼女は、根は意外と真面目だ。そんな彼女の趣味は、身の回りにいるパッとしない人を変身させること。中年独身のホール先生とガイスト先生をくっつけたり、ダサい転校生タイにおしゃれに仕立てて、クラスのリーダー格エルトンとくっつけようとしたり(でも、エルトンがシェールが好きなことが判明し失敗)。一方、そんなシェールを密かに愛しているのが、元義兄のジョシュ。父と再婚した女性の連れ子で、弁護士を目指している彼は、離婚後も度々遊びに来ている。彼の思いにまったく気付かないシェールは、転校生のクリスチャンに一目ぼれしてしまう。ジョシュは気が気ではないが…というストーリー。

はっきりいって、あまり内容はない。

金持ちで世間知らずで浮世離れした主人公。おまけに人の話を聞かないし、思い込みは強いし、施しのつもりでダサい人たちに手を差し伸べるが、見下し感が満載で、はっきりいって感じが悪い。欲求には忠実で、成績を上げるために教師と取引したり、無免許運転したり、違法・脱法行為も散見される。そんな彼女に共感できるわけもなく、むしろ痛い目にあえばいいのに…という感情が沸いてくるほど。
アリシア・シルヴァーストーンという女優さんのことがかわいいと感じられれば、もっと面白く観ることができたのかもしれないが、個人的にピンとこなかった。

ところが、中盤を過ぎると、なぜか応援する感情がチョロっと沸きはじめるから不思議。何となく、“もう、しょうがねぇバカ女だなぁ…"って感じで。
ズレてはいるけれど、実はクソまじめ。一般人があたりまえに備えている頭のネジのどこかがハズレているだけで、物事の本質を見極めようとする姿勢で行動は貫かれている。だから、そんな生活をしているからさぞや性に奔放かと思いきや、まったくクリーン。単なる“無能な”お嬢様ではなかった。
そんな彼女が、良かれとと思ってやったこと、手をさしのべたことが、すべて裏目の結果となってしまう。何もかもうまくいかなくて、自分が存在する世界というものを見つめなおすのだが、果たして何を見つけるのか…

まとめあげるのは意外に難しい構成だと思うが、しっかりまとまっている脚本。その点は評価したい。苦悩の果てに見つけたのが、実は身近な人こそ自分に最適な相手だと気付く…というのが、ちょっとくだらない気がするけれど、まあ大目に見たい(もうちょっと高尚な別の視点が欲しかったところだ)。

公開から20年近く経過しているが、一周回って、逆に新しく感じた作品。
#CLUELESSの意味がピンとくる日本人は多くないので、今からでもうまい邦題をつけたほうがいいのかもしれない。

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公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:ジョン・ヒューズ
出 演:エミリオ・エステヴェス、モリー・リングウォルド、アリー・シーディ、ジャド・ネルソン、アンソニー・マイケル・ホール、ポール・グリーソン、ジョン・カペロス 他






休日である土曜日に登校されられた5人の高校生。問題行動ばかりで学校中の嫌われ者ジョン、レスリングの選手アンドリュー、美人で人気者のクレア、ガリ勉のブライアン、ネクラでおかしな行動をするアリソン。ヴァーノン先生は彼らを図書室に集め、“自分は何者か?”というテーマで、夕方の4時までに作文を書けと命じる。彼らはそれぞれ問題を起こして懲罰を受けているのだ。5人はそんな作文は無意味だと抵抗する。特にジョンは、いたずらをしたり他の生徒にちょっかいを出してばかり。そんなジョンをアンドリューとクレアは嫌悪するのだった。そのまま昼食の時間になり、各自持ってきた弁当を食べる中、ジョンは自分のロッカーに隠してあるマリファナをみんなで吸わないかと誘う。4人は誘いにのってロッカーまでいくのだったが、教室に戻る途中で先に見つかりそうになり…というストーリー。

休日の学校という閉じた空間でのお話なのだが、“自分探しの旅”になってるのが評価できる。普段は絶対に関わることのない、まったくタイプの違う5人。はじめは反目か無視か…という距離感。互いに興味もないし、上っ面だけでこの時間を切り抜ければ、それでいいと考えている。

しかし、そんな距離感をジョンが壊していく。もちろん、いつもように嫌われていくジョン。教師からも明確にターゲットにされ、一人だけ浮きまくる。しかし、マリファナを取りにいった後から、変化がおこる。教室に戻るために、ジョンが囮になって他の4人を助けたのだ。

それに恩を感じて仲良くなりました…なんてことはないが、それからは、お互いを探り始める。しかし、若さ故、その探り合いは、剥き身の短刀で、グサグサと相手の心に切りつけていく感じ。怒り、涙して、全然無関係だともっていたあいつが、こんな悩みを抱えていたんだな…と。
#マリファナを吸って、皆の心が開放されました…っていうのは、ちょっと問題があるかもしれないけど。

一方、先生も、子供時代を忘れてしまった今の状態を、用務員さんに指摘されて省みることに。もうちょっとこっちのやりとりを膨らませてほしかったなと思うくらい、身につまされる。

甘くて、ほろ苦い、胸がキュントなるような本当に良質な青春映画。若いときに出会っていたら、良い影響を受けただろうな…と思う。こういう、一場面を切り取ったような内容を、作品にまとめあげるのって、すごい能力だと思う。その後、『フェリスはある朝突然に』『大災難P.T.A.』を脚本・監督し、『ホーム・アローン』『34丁目の奇跡』を脚本・製作するジョン・ヒューズ。さすが。
#っていうほど、会心の作品ってわけじゃないけどね。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:132分
監 督:J・J・エイブラムス
出 演:クリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・チョー、サイモン・ペッグ、カール・アーバン、ピーター・ウェラー、アリス・イヴ、ブルース・グリーンウッド、アントン・イェルチン、ノエル・クラーク、ナズニーン・コントラクター、アマンダ・フォアマン、ディープ・ロイ、クリス・ヘムズワース、ジェニファー・モリソン、レナード・ニモイ、アイシャ・ハインズ、ジャック・ローファー、リー・レハーマン、スコット・ローレンス 他
ノミネート:2013年/第86回アカデミー賞】視覚効果賞(Pat Tubach、ロジャー・ガイエット、Burt Dalton、ベン・グロスマン)
【2013年/第67回英国アカデミー賞】(Pat Tubach、ロジャー・ガイエット、Burt Dalton、ベン・グロスマン)
【2013年/第19回放送映画批評家協会賞】視覚効果賞、アクション映画賞、SF/ホラー映画賞
【2014年/第23回MTVムービー・アワード】悪役賞(ベネディクト・カンバーバッチ)、フェイバリット・キャラクター賞(ベネディクト・カンバーバッチ)
コピー:人類最大の弱点は、愛だ。

西暦2259年。艦長ジェームス・T・カーク率いるUSSエンタープライズは、惑星ニビルを探査中にその星が大噴火の危機に瀕していることを知る。星の住民を救うために、火山を冷却するが、冷却装置を設置にいった副艦長スポックが事故によって取り残される事態に。救出に向かえば、星の住民にエンタープライズ号を見られてしまい、調査対象の生活に影響を与えてはいけないという規則を犯すこととなる。しかし、カークはスポックを救い、地球に帰還。その重大な違反の責任を問われ、艦長を解任されてしまう。一方その頃、ロンドンで爆破事件が発生。首謀者はスターフリートの隊員、ジョン・ハリソン。その対応のため、全艦長・副艦長会議が召集されるが、その会場もハリソンに攻撃されてしまう。その後ハリソンはクリンゴン人が支配する惑星クロノスに逃亡。この緊急事態に、エンタープライズ艦長に復帰したカークは、新型爆弾を搭載して、惑星クロノスに向かうのだったが…というストーリー。

冒頭、映像の美しさと反比例して、何をやってるんだかさっぱりわからなくなってしまったが残念だった。地元民の文化に干渉してはいけない…何となく判るけど、変装して地元民の中にいった理由がわらん。変な巻物を奪ってたのとか。それが調査なの?星がピンチとその潜入に繋がりはあるの?火山がどうのこうのじゃなくて、盗賊まがいのことしてるの?わかんないなぁ…。

私、トレッキーじゃないし、TVシリーズも観てない。前作も2009年だから4年前だし、全然覚えてないわ。
一番混乱したのは、若いスポックが、老け顔のスポックを呼び出して相談するシーン。前作で、未来からスポックが来てバルカンの復興をしているっていう内容だったね。まだいるわけだ。微かに覚えてる。これは、覚えてない人が多いでしょ。冒頭に前作のあらすじとか4、5分くつけたほうがよかったと思う。
#タイムマシン&パラレルワールドを一作目でやっちゃう罪は小さくないかな…。ヘビーなファンだとそう思わないのかもしれないけど。

また、ハリソンの行動の動機が、話が進むにつれて一枚一枚明らかになっていくのだが、判明する陰謀が、後付け&後付けに感じられてしまう。

まあ、悪いところはこれ点くらいだ。若いクルーたちの滾る感情が弾ける青春アクション物。はじめから最後まで、友情を軸に話が展開してるしね。
コアをガンガン蹴ってたけど、全然直りそうもない角度で蹴ってた。そういう細かさにこだわっていないので、SF要素はあまり感じない。

疾走感、観客を置いてきぼりしない状況説明の巧みさ、ドキドキハラハラのさじ加減。スケールが大きくなりすぎても、興ざめさせない。本当にうまいJ・J・エイブラムス。万能血液とかなんの意味があるんだ?と思ったけど、きちんと伏線になっていたし(とってつけた感はあるけど)。
愉しかった。軽くお勧め。

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公開年:2001年
公開国:フランス
時 間:82分
監 督:カンタン・デュピュー
出 演:スティーヴン・スピネラ、ロキサーヌ・メスキダ、ジャック・プロトニック、ウィングス・ハウザー 他
コピー:この殺人タイヤに気をつけろ!






砂漠に捨てられた1本のタイヤに命が宿る。はじめはヨロヨロと砂漠を動くだけだったが、ゴミなどの小さな障害物を踏み潰す喜びを覚える。やがてタイヤは、自分に物を破壊する念力があることに気づき、障害物や小動物を破裂させていくのだった。やがて人が住む地域に近づいていったタイヤは、ドライバーの頭を破裂させる。とうとう殺人タイヤとなってしまた彼の暴走は止まらない。しかし、そんなタイヤの目の前に一人の美女が通りかかると、一目ぼれしてしまう。一方、そんなタイヤの行動を、遠くから眺めるツアー客の一団がおり…というストーリー。

冒頭に登場する警察官が、様々な映画作品の登場人物の行動を例にとって、それらに理由はない…と講釈をたれる。いやいや、理由あるやろ。何いってんだこの警官。ETの色が茶色なのだって、深い意味はないかもしれんけど、なんで茶色かは設定上理由はあるだろ(というか、理由はつけられるだろ)。
なんで、この警察官がトランクに入ってるのか理由なんか無いといいたいのかな。

このノリ。カンヌで話題に…という触れ込み。もう、イヤな予感しかしない。でも、先に褒められるところは褒めておこう。タイヤの動きはCGでもなさそうだし、どうやって撮ってるのかなぁ?って素直に関心する。この技術はすごい。そのおかげで、おそらくただ転がしたり、立てかけただけのシーンも、なぜかトボトボと進んでいたり、じーっと何かを見つめているように見えたりする。記憶や自我の目覚めの表現はうまくできている。人間の子供も小動物を殺したりするから、凶暴化しているプロセスも案外リアルだと思う。でも、褒められるのはこれだけ。

ヒチコックの『鳥』とか、スピルバーグの『激突!』なんかと同じ切り口で、これらの亜種だと思う。でも、タイヤに魂が宿るという設定は、昨日の『ウォーム・ボディーズ』と同じくらい、このアイデアだけで勝利したも同然っていうくらいの慧眼だと思う。

でも、シュールな展開を繰り広げようとして、大失敗している。ストレンジな状況をつくっているのはわかるのだが、シュールをこじらせて、意味不明に。

なんのツアーなのか結局わからない。客観的なメタ視点を象徴する存在として登場させているのかな?と思ったが、しっくりこない。さらに、ツアコンはなんで、客を殺そうとしているのかもわからない。警察官とつるんでいるのか?いや、つるんでいるとしてもその目的は? 単なるシリアルキラーなのか?
なんで自分が用意した毒入りの食事を食べるの?そこは笑うところなの?
途中で、警察官は胸に二発の銃弾を受ける。「この世界は現実ではない」とかなんとか。でも、現実。でも、彼は死なない。どういうこと?
「理由はない」と説明したでしょ?そういう作品ってことだよ!といわれそうだが、結果的につまらなかったら元も子もないし。

はじめは“理由はない”と突き放しておいて、ラストで、全部の疑問が繋がって解決しちゃうような理由を理路整然とつきつけて終了したら傑作になってたのになぁ。

三輪車になったら、つまんなくねえか?と思っていたら、他のタイヤも動き始めるとか、つまらなさの上塗り。ラスト5分の蛇足感がハンパない。最高のヒラメキを具現化した作品だが、無能なクリエイターに、ひらめきをあたえた神の悪戯としか思えない作品。やはり、カンヌが注目するような作品はクソ…という方程式が正しいように思えてきた。
#ロビタばりに自殺でもしてくれよ。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ジョナサン・レヴィン
出 演:ニコラス・ホルト、テリーサ・パーマー、ロブ・コードリー、デイヴ・フランコ、アナリー・ティプトン、コリー・ハードリクト、ジョン・マルコヴィッチ 他
コピー:世界の終わりに、恋が襲ってきた。





近未来。感染するとゾンビになるウイルスが蔓延。人間はゾンビに捕食されるか、捕食を免れても噛まれればゾンビになってしまい、世界はゾンビで溢れる有様。生き残った人間は壁を築いて、その中で身を潜めて暮らしている。ゾンビは意識もなく反射的に人間を襲っていると思いきや、中には感情や思考能力が少し残っているものがいた。その一人であるRが、いつものとおり人間を食べに出かけると、物資調達に来ていた若い人間の集団に出くわす。その中の一人の女の子・ジュリーを見て恋に堕ちてしまう。しかし、ゾンビの本能に逆らうことができず、一人の男の脳を食べてしまう。すると、その男とジュリーの思い出が、まるで自分の記憶のように入り込んでくるのだった。Rはジュリーを守りながら、自分の住処に連れて行くが、ジュリーは食べられまいとして必死に抵抗をする。しかし、Rが自分に危害を加えないこと、そして少しながらもコミュニケーションをとることが可能であることを知り、徐々に警戒心を解いていくのだった。そうするうちにRの中である変化が生じ…というストーリー。

ゾンビなんだけど、冷静な意識が残っている。人間の脳を食べると、記憶を取り込むことができて、人間の感覚が思い出せてとっても快感。もう、このアイデアだけで勝利したも同然だと思う。ゾンビがゾンビの事情と気持ちを淡々と語る流れはシュール極まりない。

恋人の記憶を“喰った”もんだから、彼女に対しても彼氏のように愛でる態度が取れる。ジュリーとしては、周囲がゾンビだらけなんだから、もう従うしかない。展開としては、意外と不自然さを感じない。

ゾンビ映画だけど、完全にロマンス作品。『トワイライト』シリーズと、ターゲット層は同じだと思うけど、シュールな設定の割には、人間の本質を見つめるような視点もあったりして、高い年齢層にも十分受け入れられる内容になっていると思う。そして、確かに恋愛してるんだけど、何ゆえゾンビだから性欲はないわけだ。結果的にプラトニックラブになっているのがよい。そうか、ジュリー、受け入れちゃうかーっていう、若さ故のピュアさに、ちょっぴり心動いてしまう私がいた。

あんまり父親が納得しちゃう展開は好きじゃないけど、女の子向けだろうから、仕方ないかな。でも、ゾンビ物のオチで、ここまでほっこりさせてくれるなんて、他にはないわなぁ。

ニコラス・ホルトの演技はウマいんかどうか判断できないけど、特異なキャラクターにマッチしてるかな。きちんと状況を見極めているしっかり者のジュリーの友達テリーサがいい味を出している。
#プリティウーマンの悪ノリ…。

予想外に良かった。家族と観ても、全然害のないゾンビモノ・ロマンスモノってそうそう無い。基本的に悪人が出てこないし、過剰なスプラッタシーンでイヤな気分になることもない。だからといって毒のない無難な出来映えってわけでもないのがすごい。万人にお薦めしたい作品
#本当、アメリカ人て爆破解体好きやなぁ。

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公開年:2012年
公開国:日本
時 間:108分
監 督:杉井ギサブロー、(アニメーション演出)江口摩吏介、(アニメーション監督)前田庸生
出 演:小栗旬、忽那汐里、佐々木蔵之介、林家正蔵、林隆三、草刈民代、柄本明 他






イーハトーヴの森に住む木樵の息子ブドリ。両親と妹ネリと幸せに暮らしていたが、冷害が森を襲い食料を入手することが困難になってしまった。木の根を食べなければならないほど困窮。父は食べ物を探しに森に入り、母もなかなか戻ってこない父を探しにいったが、二人とも帰ってくることは無かった。とうとう食べ物が無くなり意識が遠のく兄妹のところに、“コトリ”という謎の男がやってきてネリをさらっていってしまう。一人ぼっちになたブドリは、生きるために森を出て、その後、てぐす工場てぐす工場や山師・赤ひげの農場で働き、いろいろなことを学んで成長していく。その後、町に出たブドリは、クーボー大博士に出会い、彼の紹介で火山局で技師として働くことに。火山局は噴火被害を軽減するなど、人々の命を守る仕事をしており、ブドリは生きがいを感じるのだった。それから数年が経過。イーハトーブはまたしても深刻な冷害に見舞われ…というストーリー。

妹がさらわれていく様子から、『銀河鉄道の夜』みたいに、悲惨な現実をファンタジックな表現に転換しているのかと思ったが、原作はストレートな童話みたいだ。妹は本当に人身売買されて、すったもんだあって、数年後に再開するという展開である模様。本作では飢饉で死んでしまったとしか思えないし、てぐす工場なんかもこの世ならざる世界の出来事に思える。妹のその後について、あの世の裁判所みたいな夢のシーンがあるが、ストーリー上、まったく不要な存在になってしまったのはちょっと残念だ…というか下手な脚色だと思う。

ますむら・ひろしのネコキャラは、『銀河鉄道の夜』から引き続きだし、悪いとは思わないが、ストーリーとマッチしていたかは疑問だ。赤ひげとか、もうちょっと違うキャラクターがよかったんじゃないかと思う。

声優さんは、柄本明と林家正蔵以外は、誰が誰やらわからないし、そのタレント目当てで観にくる人もいないだろう。無意味なキャスティング。

印象的なのは、雨ニモマケズかな。以外に最後まで読んだことなかったかも。“ソウイフモノニ ワタシハナリタイ”っていう人の役に立ちたいという心意気は、たしかに本作の内容にマッチしている。でも、“ミンナニデクノボートヨバレ”たくはないし、わざわざ呼ばれるような行動はとりたくないわ。

火山局に勤め始めて数年経過…と、一番彼が成長したであろう時期がはしょられる。確かに、雨ニモマケズの内容の通り、人の役に立ちたい一心なのはわかるが、で、死なねばいけない理由はよくわからない。そして、あっさりと死んでしまうのが、好ましい演出とは思えない。あまり良い出来とはいい難い作品。

火山から二酸化炭素を放出して、地球を暖かくしよう! “不都合な真実”は嘘っぱちだと断言しているようで、その点はちょっと心地よかったかな。

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プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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