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imageX0017.png公開年:1996年 
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:ウェス・クレイヴン
出 演:ドリュー・バリモア、ネーヴ・キャンベル、スキート・ウールリッチ、ローズ・マッゴーワン、コートニー・コックス、デヴィッド・アークエット、ジェイミー・ケネディ、マシュー・リラード、ケヴィン・パトリック・ウォールズ、W・アール・ブラウン、ヘンリー・ウィンクラー、リーヴ・シュレイバー、リンダ・ブレア、ウェス・クレイヴン 他
受 賞:【1997年/第6回MTVムービー・アワード】作品賞


カリフォルニアの田舎町で、女子高校生ケイシーが不気味な電話を受け取った後、その恋人と共に惨殺。過去にも同様の事件が発生しており、町は恐怖に包まれる。その後、被害者と同級生のシドニーもその電話を受け取り、マスクを被った人物に襲われたが、偶然やってきた恋人ビリーに助けられる。しかし、ビリーは犯人として疑われ逮捕。ところが、またもやシドニーに犯人から電話がかかってきて…というストーリー。

それこそ、ひと時代を築いたヒット作なんだけど、初見。

正直、ヒドいデキで、なんでこれがヒットしたのか不思議な気分になる。観終わって、一番記憶に残っているのが冒頭のドリュー・バリモアってのもね。
すごく奇妙に映ったのは、カメラワークがすべてコメディーのそれである点。また、映画オタクのキャラが語る“法則”が特徴的で、この“メタ”な視点が、本作の全てを貫いているといってもよい。達観しているがごときこの視線は、他にはないノリといえる。
メタ化してるってことは客観的な冷めた視点ともいえるわけで、観客が我にかえってもおかしくないハズなのだが、なんだかんだいって最後まで飽きずに観せているのは、ものすごい事件だと思う。ちょっと衝撃といってよいかも。

他の要素は本当にダメダメ。肝心の犯人も陳腐極まりなくて、消去法で考えると、けっこう絞れてくるし。それに、刺しあいして工作する件も意味不明。他の工作を終えてから、自分たちは最後でしょ。普通ならポンコツ映画だって評価しておしまいなのに、そうならないこの勢いって何なんだろう。サム・ライミとはちょっと毛色の違う、不思議なこだわりの成せる業なのか。

純粋な作品としてはまったく評価できないのだが、観終わった後の頭がおかしくなってしまいそうなこの奇妙な感覚、なんだろう。混乱しつつも、軽くお薦めしておきたい作品。

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image1453.png公開年:2008年 
公開国:フランス
時 間:103分
監 督:オリヴィエ・メガトン
出 演:ジェイソン・ステイサム、ナタリア・ルダコーワ、フランソワ・ベルレアン、ロバート・ネッパー、ジェローン・クラッベ、アレックス・コボルド、ヤン・サンベール、エリック・エブアニー、デヴィッド・カンメノ、シルヴィオ・シマック、デヴィッド・アトラッキ、セーム・シュルト 他
コピー:手首に罠、依頼品は赤い代物


ある日、フランク家に車が突っ込んでくる。ドライバーは、フランクが断った仕事を代わりに引き受けた知り合いのマルコム。救急車を呼んでマルコムを搬送したが、その直後に救急車が爆発。実は、マルコムと同乗していた女の腕には特殊な腕輪型爆弾が装着されており、車から離れると爆発する仕組み。すると、フランクは何者かに襲われ気絶し、ジョンソンという男の元に連れて行かれる。フランクの腕にも同じ爆弾が仕掛けられ、トランクに入った“赤い代物”という品物を指示通りに届けるように命令される。仕方なく、赤毛の女ヴァレンティーナを助手席に乗せ、搬送を始めるのだったが…というストーリー。

1も2もどんな内容だったか覚えていないけど、前作の内容なんかまったく押さえておく必要はない。

車から離れられないっていうことで、面白いアクションが展開できているのは事実なんだけど、特殊な爆弾っていう仕掛けもってこないと、ストーリーが作れないという時点で、シリーズとしては限界なんだな…とも思う。
事件のベースである誘拐事件もよくわからない。廃棄物を引き取らせたいから無理にでも契約させるって、もっとらしいのだが、実はかなり変。とりあえずドラム缶にしまっておけるレベルの廃棄物なんだから、不法投棄すりゃいいじゃねえか。悪者なのに、そのくらいのこともできないのか?そう考えると、けっこう馬鹿馬鹿しく思えてくる。もう、あまりストーリーを練る気すらないのかな…と。

また、ヒロインがいまいち魅力に欠けており、くっついちゃう展開が好みではない。ツンデレでじゃじゃ馬キャラなのに、ここまでピンとこないのも珍しい。いっそのことぶん殴ってくれたほうが、すっきりすると思ったほど。

運び屋さんなのでカーアクションが前面のお話なのだが、私はぜんぜん車に興味がなくってワクワクしないのだが、ジェイソン・ステイサムのアクションで充分満足できたのが救い。普段から体を鍛えておかんといかんなぁ~こりゃって思わせるくらい、いい動き。色々な小道具の使い方も面白かった。セーム・シュルトもよくがんばりましたな(笑)。

まあ、シリーズ的には最後だと思うので、こんな感じでいいのかな…と。可もなく不可もなく、“こんなもんでしょ”と誰でも思うレベル。まさに“まあまあ”。極めて軽い作品。

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image1360.png公開年:2008年 
公開国:カナダ、ブラジル、日本
時 間:121分
監 督:フェルナンド・メイレレス
出 演:ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、アリシー・ブラガ、伊勢谷友介、木村佳乃、ドン・マッケラー、モーリー・チェイキン、ミッチェル・ナイ、ダニー・グローヴァー、ガエル・ガルシア・ベルナル 他
ノミネート:【2008年/第61回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(フェルナンド・メイレレス)
コピー:全世界、失明。


車を運転中の日本人男性が突然視力を失う。目の前が真っ白になるという奇妙な症状だったが、検査をしても眼球に異常はない。その後、同様の患者が各地で続出。感染症の疑いが深まり、政府は緊急隔離を指令し、発症者を片っ端からかつて精神病院だった隔離病棟へと強制収容していく。最初の患者を診た眼科医も結局失明して隔離病棟送りとなるが、妻は自分も失明したフリをして夫に付き添い…というストーリー。

結果からいうと、かなり納得いかないというか、不快に感じるレベルの作品。
以降、不満の感情にまかせてネタバレ連発になると思うの、ご注意を。

一人だけ目が見える人間がいるというのがポイントなのだが、書籍の場合は意味はあるだろう。その目を通じて文章にするほうが演出上の効果があって都合がいいから。でも、映画の場合は画像で伝わるのだから存在の必要性はものすごく薄い。そこは原作と違えても、設定や演出を変えないとおかしなことになるとは、思わなかったのだろうか。

大体にして、目が見える人間が一人いたとして、何か問題もあるのだろうか?空気感染らしいのだから、「あいつ目が見えているみたいだぞ!」ってばれたからって施設から出されるだろうか。そうはならないだろう。かえって、その人も一緒に隔離して面倒を見させたほうが都合がいいにきまっている。何で、隠さなければいけないのか、ただただ滑稽でならない。
そう考えると、防護服を着た保護者をつける選択肢を早々に政府が放棄している理由がさっぱり理解できず、リアリティが皆無である。本気で封じ込めたいのなら、軍隊に監視させるよりも、介護者をつけた人間に管理させるほうがいいにきまっているのに。盲目の人間だけを放り込む意味があるのとは思えない。そして、なんで施設は、精神病院なのだ?精神病院じゃないといけない理由や、そのメリットがあるとでも?意味不明だ。

また、あの状況で、“見える”ということは銃器なんかよりも強力な武器である。あんな悲惨な状況になる前に、どうとでも対処できる決まっているのに、眼科医の妻は何もしない。そんなこと有り得ないだろう。馬鹿らしい。
それに、病棟での状況は、ラース・フォントリアー作品が思い出されるが、とても足元に及ばない。やっぱり、本当に心が壊れかかっている人(ホメ言葉のつもりですよ)のえぐり方には敵わないよ。陳腐ですらある。

原作はノーベル文学賞受賞者によるものらしく、噂によればけっこう原作に忠実とのこと。現代人は偉そうなことをいっているが、一皮向ければ野獣とかわらん…といいたいのか、それとも、マルクスのモデル化による社会学的な説明をまねているのか、はたまた、サルトルばりのニヒリズムを気取っているのか。とにかく作風が気に喰わない。きっと原作者の性格がにじみ出ているに違いない。前時代のカビがはえた老人の説教にしか聞こえず、腹立たしくなるばかりだし、諸々のディテールが陳腐するぎる。ノーベル文学賞受賞者だろうが、はっきりいってしまうが、ツメが甘すぎる。
#これをノミネートするカンヌ映画祭のエセアーチスト気取りには、苦笑いしか出ない。

キャスティング的にも難点が。ジュリアン・ムーアが出てきて、やっぱりそういうシーンがあって、結局、脱ぎ専門女優扱い。そして、木村佳乃はヌードNGなのは明白。キャスティングで演出が見えてくるというのもどうなんだか。

で、最後は、“次は私だ”で終わるのだが、なんでそう思うのか意味がわからない。バカ映画だな。こりゃ。本当ならジュリアン・ムーアとダニー・グローヴァー、ハリウッド俳優と日本人が競演しているわけだから、もっと押してもいいはずなんだけど、この内容じゃ押せないわ。いろんな部分・段階で、少しずつ間違いを重ねて、いったい何の料理なんだかわからなくなったって感じ。もちろんお薦めしない。

#ここまで、酷評するのって久々かも。

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今日でやっと2000アクセス(長年書いてるのにね)。でもありがとう。
たまには、くだらないことでもいいから、映画の感想とかコメントくれるとうれしいです。

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image1250.png公開年:1985年 
公開国:アメリカ、イギリス、ノルウェー
時 間:125分
監 督:ヒュー・ハドソン
出 演:アル・パチーノ、ナスターシャ・キンスキー、ドナルド・サザーランド、ジョーン・プロウライト、デイヴ・キング、スティーヴン・バーコフ、ジョン・ウェルズ、アニー・レノックス、デクスター・フレッチャー、シド・オーウェン、リチャード・オブライエン、ポール・ブルック、フェリシティ・ディーン、ロビー・コルトレーン、グレアム・グリーン 他
ノミネート:【1985年/第6回ラジー賞】ワースト作品賞、ワースト主演男優賞(アル・パチーノ)、ワースト監督賞(ヒュー・ハドソン)、ワースト音楽賞(ジョン・コリリアーノ)

1776年。トムとその息子ネッドは、毛皮を売るためにニューヨークを訪れる。ニューヨークではイギリスからの独立の気運が高まっており、彼らはの船は独立軍に接収されてしまう。船の代金を求めて交渉していると、その最中にネッドが独立軍に入隊してしまい、仕方がなくトムも入隊し同行するハメに。その後、ルックリン郊外での戦闘のさ中、トムは、デイジーという裕福な商家の娘から施しを受ける。彼女は、独立派に心酔していており…というストーリー。

タイトルのレボリューションは、もちろん革命の意味。われわれはアメリカ独立“戦争”と呼ぶが、彼らは、アメリカ独立革命と呼ぶ。フランス革命と同様の自由を勝ち取った革命なのだ!と認識しているから。だから本作のタイトルはレボリューション。

アメリカ人にとって非常に重要な戦争でありながら、この戦争をテーマ扱った映画というのは多くない。本作と『パトリオット』ぐらいではないかな。南北戦争が舞台の映画はたくさんあるけどね。でも、本作を観て、何で映画として扱われることが少ないかが理解できる。それは、ドラマチックな事件もあまりないし、ヒーロー的な軍人もいないから。そして、結局、その勝利を得た重要なポイントは、他国フランスの支援があったということで、自分で勝ち取ったというカタルシスが皆無だから。

では、その薄い舞台を、ドラマ性で補えているか?というと、残念ながらできていない。何で裕福な家の娘がその身を危険にさらしてまで革命派に加担するのか、その理由は描かれていない。そして、そんなおぼこ娘が、くたびれて小汚い子持ちのオヤジの何が良くて恋に落ちるのか、さっぱりピンとこない。そして、最後は、ドラマチックを超えて単なるご都合主義としか思えない再会には、「何それ?」という思いしか湧いてこない。

ただ、同時のアメリカでの人々の様子や、戦争の仕方。ネイティブアメリカンとイギリスの関係など、社会科の資料的には、すごく興味深い作品だと思う。王政からの自由は勝ち取ったけれど、結局は別の支配者が現れる。いやいや、それでも自分で勝ち取った自由は尊いと彼らは思うわけである。アメリカ人の自由に対する基本的な考え方もよくわかると思う。

まあ、いずれにせよ、よほど世界史的な興味でもない限り、観る必要のない作品。大作然としているが、シナリオはポンコツだと思うので、お薦めしない。

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image1438.png公開年:2007年 
公開国:韓国
時 間:125分
監 督:ウォン・シニョン
出 演:キム・ユンジン、キム・ミスク、パク・ヒスン、チャン・ハンソン、チェ・ミョンス、チョン・ドンファン、ヤン・ジヌ、オ・グァンノク、イ・ラヘ、イ・ジョンホン、オク・ジヨン、チョ・ドッキョン 他




無罪を勝ち取り続け、勝率9割以上を誇る有名弁護士のユ・ジヨン。私生活では8歳の娘と2人暮らしのシングルマザー。ある日、娘が何者かに誘拐され、翌週に二審が開かれる殺人事件の裁判の弁護を引き受け、無罪を勝ち取れという指示が。しかし、事件の状況からみて、どう考えても無罪にできる要素はない。しかし、選択の余地もなく、旧友のキム刑事の力を借りて、事件の再検証を開始するのだが…というストーリー。

いきなりネタバレ注意。

観始めるとすぐに、デビッド・フィンチャー?と思わせる演出がグイグイ。ん?だからタイトルも“セブン”が付いてるわけ?最後の殺しのシーンもなんか『ソウ』みたいだぞ。この監督はハリウッド映画が好きなんだね。ウマく真似ているよ。
でも格好悪い。インスパイアとパクりの差が判っていないのかな。観ていて「ああ、この人はデビッド・フィンチャーが好きなんだな」とニヤりとできるのがインスパイヤ、リスペクトであって、何かムカっとくるのがパクり。この映画は後者だね。先日『テコンV』を観たからかもしれないけど、なんか韓国不審になりそうだ。

でも、引っ張るだけ引っ張った末の事件の真相がTVのサスペンスドラマレベルだったりする割には、かなり魅せたと思う。パクりのセンスが悪いだけで、この監督の基本的な能力は非常に高い。緊迫感やスピード感の表現力はピカイチ。

ここまでできたら、最後にもう一段階ブラッシュアップしてほしかったと思う。まず、こういうオチにするなら、子供をあんな危険な形で返却する意味はまったくない。そこでも『セブン』のラストをダブらせたかったのだろうが、固執しすぎなのだ(もうちょっと自分のオリジナル性に自信をもってほしい)。
また、そこまでして自分の手で始末したいというモチベーションがあるなら、火をつけることを選択するのはおかしい。火をつけるという行為は若干距離感があって、自分で手を下そうとする場合に、選択する殺害方法とは思えない。
それに、録音したテープでどんでん返しするなら、証拠主義を振りかざして雄弁に立ち回る意味もあまりない。逆にちょっと滑稽。また、母親が有名弁護士の顔を知らないのも、ちょっと不自然でオチに気付く人はそこで気付く。
それから、“7日”に固執する意味が途中から無くなっている。だって、公判の日程が未決定だったりするんだもん。マザーグースの詩のアイデアを思いついてしまって捨てることができなかったのだろう。

映画というのは、ひととおり出来上がった段階で、苦労したとかはじめに思いついからとか、そういう感情は脇に寄せておいて、全体の流れを阻害する部分は、ズバっときる勇気がなければいけない。いや、むしろそれが映画監督の仕事でしょう。“削ぐ”ことを覚えたら、この監督はきっと無敵状態になるだろう。

もしかすると、この監督は大化けするかもしれない。そこそこ不満はあるんだけど、あえてお薦めしようと思う。たぶん同好の人な気がするので、ちょっと応援したいような…。

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image0116.png公開年:1997年 
公開国:イラン
時 間:88分
監 督:マジッド・マジディ
出 演:ミル・ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ、アミル・ナージ 他
受 賞:【1997年/モントリオール世界映画祭】最優秀作品賞受賞含む4部門を受賞
コピー:ぼくは走る、あたたかい笑顔を届けたくて




アリは買い物の途中で、修理が終わった妹ザーラの靴を失くしてしまう。貧しい家庭のため、失くしたことを親に言えず、兄の靴を順番に履くことに。先に妹が運動靴を履いて登校し、その下校途中で待ちあわせて靴とサンダルを交換し、アリが履いて登校する。それを続けていたある日、小学生のマラソン大会が行われることに。3等の賞品は運動靴だったので、アリは妹のために3等を狙うのだが…というストーリー。

10年そこそこ前の作品でありながら、日本の戦後まもなく…みたいなテーマと風合いの作品。父ちゃんは、昭和のダメ父ちゃんみたい。
舞台がが現代だとわからないほど貧しく(後半で、リッチな町並みが出てくるので、貧富の差が激しいだけだってことがわかるのだが)、且つ、妹の学校が終わってから兄の学校の時間という、イランの制度自体もよくわからなかったりする。まあ、そのあたりは、そういうものだということで、軽く流して観よう。

イラン映画ということで、宗教的にも政治的にもちょっとバイアスがかかった目線で観ていたのだが、子供のいじらしさですべてが吹っ飛んだ。こんな子供の悩みなんて今の日本に存在しないだろうなと思うし、欧米諸国を含め、こういう作品を今つくるのは逆に難しいだろうとも思う。
また、貧しいから物質にこだわらず心を大事に!って思いがちだけど、貧しい故に靴というモノにひたすらこだわってしまうところが逆に興味深い。人間の業みたいなものが感じられる。

国情的に、自由に映画をつくることが難しいと思われ、政治色をわざと薄めているのかな?と感じられる部分も多々あったが、その制限ゆえに純な作品が生まれたという面もあるように思える。無言で表現するシーンも多く、子供の演技のがんばりもさることながら、伝えたいことをストレート且つ巧みに表現している所に好感がもてる。やぼったい作品だが、しっかり惹きつけてくれた作品。こういう作品は基本的に好みではないのだが、そんな私でも愉しめたのだから、好きな人はかなりグっとくるに違いない。お薦めする。騙されたとおもってはじめの15分を乗り切れば、誰でも引き込まれると思う。

#邦題にもってくるほど“金魚が重要かどうかはよくわからんけど。

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image1608.png公開年:1994年 
公開国:オーストラリア
時 間:103分
監 督:ステファン・エリオット
出 演:テレンス・スタンプ、ヒューゴ・ウィーヴィング、ガイ・ピアース、ビル・ハンター、サラ・チャドウィック、マーク・ホームズ、ジュリア・コーテス 他
受 賞:【1994年/第67回アカデミー賞】衣装デザイン賞(LIZZY GARDINER、TIM CHAPPEL)
【1994年/第48回英国アカデミー賞】衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞


シドニーに住むドラッグ・クイーンのミッチは、アリススプリングスのカジノでのステージのオファーを受け、二人の友達バーナデットとフェリシアと共に1台のバス“プリシラ号”に乗って、砂漠を横断するの3000キロの旅に出るのだった。しかし、道中、行く先々で様々ないやがらせにあって…というストーリー。

荒唐無稽なシナリオと思うかもしれないが、必然性や整合性もしっかりしているし、ロードムービーのツボはしっかり抑えており、好感がもてる作品。そりゃあ、あれだけ衣装や小道具があればバスじゃなきゃ無理だし、嫁があんな状態ならジジィも修理要員にかこつけてくっついてくるだろう。意外と不自然さは無い。
途中のモタモタしがちな箇所も、彼らの底抜けに前向きな行動で、なぎ倒すようにストーリーを成立させていて、パワーを感じる。
3人の俳優陣の演技も、完全に吹っ切れていてデキがよろしく、受賞歴がまったくないのが不思議なくらい(特に、1994年のゴールデン・グローブ男優賞[コメディ/ミュージカル]は、テレンス・スタンプはノミネートまでで、ヒュー・グラントが受賞しているのだが、そうかぁ?って感じ)。

ただ、個人的に好みじゃない部分が2点。
物わかりの良い子供の双肩に大団円のすべてを担わせるのはいかがなものか。子供がらみですったもんだされるのも好みじゃないが、あんまりにもすんなり受け止められるのもどうかと思う。
もう一つは、私の好きな『キンキーブーツ』と比べると、ステージのクオリティがなんとも…。まあ、10年以上あとの作品だし、そこを比較するはフェアじゃないのはわかってはいるのだが、なんで、あんなに踊りのキレがいまいちなのか。どうも、観ている側のアドレナリンが出てこない。もうちょいなんとかならなかったか。

#あと、女性ランナーの件は蛇足だと思う。

また、この映画の話題になると、例の日本人らしきキャラクターのことが挙がるが、その点については無視していいだろう(オーストラリア人の対日感情や知識なんて、あんなもんだから)。

個人的には受け付けない部分もあるけど、とにかく現実をうけとめて前向きに生きていこうとする姿勢をみると、「これでいいんだよ」「悩んでも結局何もかわらないなら、悩まずやればいんだよ」って、そんな気にさせてくれる作品。ちょっと人間関係でイヤなことがあったら元気がもらえるかもしれないので、軽くお勧めしたい。

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image1604.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:ジョー・ライト
出 演:ジェイミー・フォックス、ロバート・ダウニー・Jr、キャサリン・キーナー、トム・ホランダー、リサゲイ・ハミルトン、スティーヴン・ルート、レイチェル・ハリス、アンジェラ・フェザーストーン、ジャスティン・マーティン、ネルサン・エリス 他
コピー:奏で続ければ、いつかきっと誰かに届く。



LAタイムズの記者スティーヴ・ロペスは仕事にも生活にも行き詰りを感じていた。そんなある日、弦の足りないバイオリンで奏でるホームレスの男ナサニエル・エアーズと出会う。ナサニエルがかつて名門ジュリアード音楽院に通っていたと知り、なぜ彼がホームレス生活をしているのか興味を抱き、取材を開始する。そして、少しずつ彼の生い立ちを調べ、記事にしていくと、彼のコラムは大きな反響を呼ぶようになる。そして、付き合いを重ねるうちに、次第にナサニエルをなんとか救済したいと思い始めるのだが…というストーリー。

正直、映画にするには難しいテーマだと思う。そして、観終わっても、問題解決はもとより示唆すら与えてもらった感じがしない。実話だから、“だってそうなんだもん…”で済ましちゃってるけれど、ものすごい重いテーマなだけに、若干無責任に感じられなくも無い。

日本も同様で、手を差し伸べなければならないホームレスは多数おり、はたから見ていると「手を差し伸べなきゃダメだ!」と言いたくなるのだが、実際手を差し伸べると、本作のような状態になる。日本のとある大学の研究で、日本のホームレスの相当数に軽重の差はあれ精神的な障害があるという結果があった。実際、本人たちもそれに気付かず、なんでうまくいかないのか理解できずに、ホームレスを続けているケースが多いらしい。しかし、障害を認めるのは難しいし、往々にして社会性の資質に問題がある場合も多い。差し伸べた手は払いのけられることが多く、そうそう簡単ではない。
#大抵は、音楽の才能なんか無いわけで、こんなドラマティックな展開はまず無いわけだから、もっと悲しい状況。

それでも根気よく手を差し伸べ続ける人はいるが、続けるためにはそれなりのさじ加減があって、素人からみると「あの人の対応は冷たい」だ、「事務的だ」とかそういう批判になったりして、またまた難しい。とにかく、本作から何の解決のヒントも見えてこないので、どよーんとする気持ちになるだけだった。正直、記者とホームレスの友情物語とは、私には受け止められなかった。

技術的な面でも苦言を。編集がヘタ(編集者のせいか、脚本のせいかは不明)。過去の回想シーンと現代のシーンの繋ぎ方が雑。もうちょっとストーリーにうまいこと絡めてられないものか。一つ褒めると、共感覚の表現がおもしろかった(音を色で表現するところね)。

実話の壁が重すぎた作品。卒なくまとまってはいるが、肝心のテーマがあまりにも不完全燃焼。お薦めしない。

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image1620.png公開年:1976年 
公開国:韓国
時 間:80分
監 督:キム・チョンギ
出 演:キム・ボミ、キム・ボヨン、キム・ヨンチャン 他






テコンドーの世界チャンピオンになったキム・フンだったが、科学者だった父が“赤い帝国”と呼ばれる組織に殺害されてしまう。フンは、世界征服を企む赤い帝国の野望を阻止するために、父が地球防衛のために残した巨大ロボット“テコンV”の操縦士となるのだった…というストーリー。

かねてから韓国のトンデモアニメと話題だったものの、見る術がなかった本作が、いよいよDVDリリースされたので、さっそくレンタルしてみた。まあ、これ以上、あらすじをしっかり書く気にすらならないレベルなんだけど。

ネット上では、ガンダムに登場するアッガイやビグロをパクったロボットや、アムロそっくりのキャラが出てくると話題だったので期待していたのだが、本DVDにそれらは登場しない。おそらく続編に登場するものと思われる。その厚顔無恥なみっともなさをビール片手に鑑賞しようとおもったのだが、拍子抜け。
とはいえ、キャラは川崎のぼるやタツノコプロ調、ロボットは永井豪風でマジンガーZのパイルダーのギミックなんかそのまんま。冒頭などに登場する動物たちはチップとデールなどのディズニーキャラで丸写し。パクリ作品としての本領は充分発揮してくれている。

まあ、だからといって、そんなパクリ具合に目くじらをたてる気はない。別に他国の作品をインスパイアすることなどよくあることだし、それこそ数十年前ならパクりまがいなことなど、どの国でもやってる。永井豪だって本作を観たって笑って許すに違いない。日本側は鼻で笑っておしまいのレベルなので、正直どうでもいい。

でも、テコンVにまつわる韓国政府の扱いは、後々禍根を残すことになるだろうな。でも、それは日本と韓国に間ではなく、韓国内で。問題は、未だにこれを完全なオリジナルであり、且つ国産ロボットアニメ第一号だと、持ち上げ続ける韓国政府の姿勢である。いまやインターネットの時代。マジンガーZのあからさまなパクりであることは誰にでもわかるし、それを他国作品を観ることを政策として禁じていた時代に、自国の作品だとして国民に見せていた事実。ある意味、国民を騙すようなことをしているのに、臆面もなく、未だに自国産だといい続ける恥ずかしさ。さらに、現代において、こういうパクり作品の実物大を作ろうという計画が臆面もなく持ち上がり、それが遂行されるセンスの悪さ。さらに実写映画化の話まである。

このみっともなさを許容するなら、残念ながら韓国民の未来は明るくないだろう。ちょっとわれわれとは、“恥”の感覚が違うとしかいいようがない。こんなはずかしさに韓国民は耐えられるのだな…と、いささか不思議に思える次第である(これを恥と感じる韓国人が多く存在することを祈りたい気持ち。かわいそうすぎる)。
#冒頭の、リマスター作業をした人への謝辞が実にアホらしく聞こえる。

正直、もっとトンデモ映像で楽しめるとおもったのだが、ストーリーもアニメ技術も中途半端で、愉しめなかった。トンデモっぷりは続編で発揮されるのだろうが、それらがリリースされることはさすがに無いだろう。これは、リアルタイムで鑑賞していた韓国民がノスタルジーに浸るためのものである。はっきりいって時間の無駄なのでお薦めしない。

#ちなみに、本DVDにはバカリズムによる吹き替え音声が特典として付いている。後半はものすごくつまらないので、そちらの音声で凌ぐことをお薦めする(まあ、バカリズムも吹き替えやってて途中で飽きた感じになっちゃてるんだけど)。

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image1607.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:ジョン・アヴネット
出 演:ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、カーティス・ジャクソン、カーラ・グギーノ、ジョン・レグイザモ、ドニー・ウォールバーグ、トリルビー・グローヴァー、ブライアン・デネヒー、メリッサ・レオ、アラン・ブルーメンフェルド、オレッグ・タクタロフ、フランク・ジョン・ヒューズ、テリー・セルピコ、アジェイ・ナイデュ、ジョン・セナティエンポ 他



ニューヨーク市警のベテラン刑事タークとルースターは、長年パートナーを組み強い絆で結ばれていた。彼らは数々の犯罪者たちを刑務所送りにしてきたが、多くの悪人が法の網をくぐって社会で悠々と暮らしているという現実に、強い苛立ちを覚えていた。ある日、そのような悪人をターゲットにした連続殺人事件が発生し、その手口から容疑者が警察関係者である可能性が指摘され、タークに疑いの目が向けられ…というストーリー。

『ヒート』の時は、ほとんど一緒の画角におさまってるシーンがないだの、色々いわれていたが、今回はそれをふっとばすようにみっちりタッグを組んでいる作品。もう、ほんとうに頬を寄せるような密着具合で、自然と期待は高まるばかり。特に、アル・パチーノの小汚さはすごく魅力的に映る。しかし…。

色々な伏線やらミスリードのおかげで、誰が犯人だ?どうなっちゃうんだ?とあれやこれやと思いを巡らせながら観ることができたのは事実なのだが、どうも心の底から愉しめたとはいえず、しっくりこない。普通に考えれば、なかなか手の込んだ仕掛けだね…ということになるんだが、この二人を主演にして、そんな姑息な展開が必要か?と、そう思ってしまうのは、あまりにも二人の存在が大きすぎるためか。もっと正面切って、彼らの魅力で渋さや男らしさを見せてくれよ!って気持ちがあったのだが、その欲求は満たされず終い。

やはり、この二人をわざわざ揃えなくてはいけないような話はないと思う。もったいない。諸々のミスリードも空々しく感じられる。特に、性的虐待を受けていたという件は必要だったか否か。サイコキラーなんだか単なる必殺仕事人なんだか、キャラの色づけがイマイチだったと思う。デュープロセスの網をすり抜けた悪人を始末する義の男というキャラのほうが、すっきりしたと思うのだが。

まあ、期待度が高すぎただけのことで、決してつまらない作品というわけではない。及第点には達しているので、その部分はフォローしておこう。特段、お薦めはしないけど。

#それにしても、やる気のない邦題だなぁ…。

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image1612.png公開年:2009年 
公開国:イギリス、アメリカ
時 間:94分
監 督:ジャン=マルク・ヴァレ
出 演:エミリー・ブラント、ルパート・フレンド、ポール・ベタニー、ミランダ・リチャードソン、ジム・ブロードベント、トーマス・クレッチマン、マーク・ストロング、イェスパー・クリステンセン、ハリエット・ウォルター、ジュリアン・グローヴァー、マイケル・マロニー、ミケーラ・ブルックス 他
受 賞:【2009年/第82回アカデミー賞】衣装デザイン賞(サンディ・パウエル)
【2009年/第63回英国アカデミー賞】衣装デザイン賞(サンディ・パウエル)、メイクアップ&ヘアー賞(Jenny Shircore)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】衣装デザイン賞(サンディ・パウエル)
コピー:18歳で即位し、英国を最強の国家に導いた若き女王。その愛と真実の物語。
この国と、あなたを守る。

19世紀イギリス。国王ウィリアム4世には子がなく、姪のヴィクトリアが筆頭の王位継承者であったため、母のケント公夫人は、彼女を厳しい監視下に置く。国王が病に倒れると、彼女を利用して権力を握ろうと、様々な人間が彼女に近づく。ベルギー国王レオポルドの命を受けてヴィクトリアに近づいたアルバートも、当初は夫の座を狙う一人に過ぎなかったが、純粋に彼女に心を奪われてしまった彼は、素直に自分の気持ちを打ち明け、彼女も心を開いていくのだった。そんな中、ついに国王が崩御し、ヴィクトリアはわずか18歳で女王に即位するのだが…というストーリー。

先に家族が観て、つまらなかったという感想だったので、期待していなかったのだが、何を言うか。なかなか面白かったじゃないか。

前半は、彼女を利用しようという人々と、それを押しのけて自ら運命を切り開こうとする丁々発止の様子が非常に面白い。エミリー・ブラントの顔立ちは、運命を自ら切り開く強さと、愛に生きる女らしさの両方を兼ね備えていて、ぴったりのキャスティングだと思う。ヴィクトリアという名に、名前負けしていない(その反動で、出てくる男どもはヤサ男ばかりなのかな)。

即位後の議会と王室のこじれ具合も面白く、民衆のバカさ加減もよく表現されている。しかし、それら諸々を経て且つ最長の在位期間だった彼女が、いかにしてイギリス史上“最も輝かしい時代”を築いたか…という点は、最後にナレーションで語られておしまい。さすがに、幸せに暮らしましたとさ…という終わり方は、史実なので仕方がないにせよ、やはり物足りないか。単なる理想や理念を超えてウマくやったはずなんだけど、うまくいきすぎてどうがんばってもドラマにはならなかったんだろうね。『エリザベス』や『ブーリン家の姉妹』の血生臭さやエグさはまったく無いので、そのノリを期待しちゃうと拍子抜けするのは仕方が無いか。

ヴィクトリア女王のことをあまり知らなかったせいもあると思うが、結構新鮮に観ることができた。軽くお薦めしておこう。

ところで、製作にスコセッシが名を連ねているのだが、この手の作品に関わるのって珍しくないかな。もしかして、今後、こういう作品を手がけようと思ってるとか?
#それにしても王室モノで美術賞とか衣装デザイン賞とか、このパターンは飽きたね。

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image1613.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:グラント・ヘスロヴ
出 演:ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ジェフ・ブリッジス、ケヴィン・スペイシー、スティーヴン・ラング、ニック・オファーマン、ティム・グリフィン、ワリード・F・ズエイター、ロバート・パトリック、レベッカ・メイダー、スティーヴン・ルート、グレン・モーシャワー、ブラッド・グランバー 他
コピー:ホントに実在した超能力部隊 これで世界は平和になる!


2003年。マイナー新聞記者のボブは、起死回生を狙ってイラク戦争の取材を敢行すべくクウェートへ。そこで偶然にも、かつて取材先で耳にした米陸軍極秘部隊のエスパー兵士リン出会う。ボブはイラクへ向かうというリンに無理やり同行したが、リンは道中、超能力部隊について語り始めるのだった。その“新地球軍”と呼ばれる超能力部隊は、ベトナム帰還兵のビルがニューエイジ思想に影響され創設したもので、愛と平和の精神で戦争を終結させるべく、奇抜な超能力研究に邁進していったという…というストーリー。

千原ジュニアが付けたという“ヤギと男と男と壁と”という邦題は、悪くないセンスだと思う。観始めると結構深い内容に思えてきて、こんなチョケたタイトルとはミスマッチかも…なんて思ったがそれは杞憂で、ジェダイだった人ににジェダイたれと説くような、そういうノリの映画だった。
あんなヒッピーみたいなノリを米軍が真剣に取り入れたとは考えにくいけど、正直どこまで実話なのかさっぱりわからないし。そこは深く引っかかるべきポイントではないようだ。

とにかく、この豪華なキャストと内容のユルさのギャップといったらハンパない。ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ケヴィン・スペイシーなんかチョイ役もいいところである。なんでこんな作品に?と始めは思ったが、次第に理由はあるな…と感じ始める。
全編、チョケ続けてはいるものの、リベラル派の共和党に対するウンザリが染み出しているようだし、アメリカ全体発する「もう疲れたわ…」という声が聞こえてくるようだ。そういう意味で、立派な反戦映画・厭戦映画に思えてならない。

反戦をテーマにした戦争コメディという点で共通する『M★A★S★H』と比較すると、私は本作のほうが好みである。ブッシュのバカがつくったダークサイドをかき消すには、このくらいクレイジーなことでもやらないとバランスが取れないってことだね。現在のアメリカの疲弊具合が伝わってくるようで、興味深い映画だった。軽くお薦めする。

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image1619.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:ノーラ・エフロン
出 演:メリル・ストリープ、エイミー・アダムス、スタンリー・トゥッチ、クリス・メッシーナ、リンダ・エモンド、メアリー・リン・ライスカブ、ジェーン・リンチ、フランシス・スターンハーゲン、ヘレン・ケアリー、ジョーン・ジュリエット・バック、クリスタル・ノエル、ヴァネッサ・フェルリト、ジリアン・バック、ブライアン・エイヴァーズ 他
受 賞:【2009年/第76回NY批評家協会賞】女優賞(メリル・ストリープ)
【2009年/第67回ゴールデン・グローブ】女優賞[コメディ/ミュージカル](メリル・ストリープ)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】主演女優賞(メリル・ストリープ)
コピー:50年の時を越え、2つの人生がキッチンで出遭った。

1949年。パリに赴任したアメリカ外交官ポールとその妻のジュリア・チャイルド。食べることが大好きなジュリアは、フランス料理に魅了され、名門料理学校に通うほどに。やがて、アメリカの主婦向けのフランス料理レシピ本の執筆に情熱を傾けていく。一方、現代のニューヨーク。作家志望ながら、その夢がかなわぬままOL生活を送るジュリー・パウエル。彼女は、ジュリアの524レシピを365日ですべて作り上げるブログを書くことを思いつく。夫の協力もあり、順調に進むかのようにみえたのだが…というストーリー。

11/4に『恋するベーカリー』をレビュしたのだが、実は私が観たかったのは本作だったということに、いまさらながら気づいた。メリル・ストリープ主演の料理モノの作品があったはず…と探していたら、『恋するベーカリー』が先にひっかかってしまったのだな。そして期待はずれだったという…(続けて、似たような料理ネタの作品に主演するなよな)。
そうそう、観たかったのはこっちである。

私は小さいころから、ヒマがあると家にあった料理本をよく読んでいた。料理本はたくさんあったが、母親の料理の腕はよろしくなく、それらのレシピから、なにか目新しい料理が作られることはほぼなかった。それこそあまった食材で色々料理していたのは私のほうで、大体、料理を見れば、なんとなく作り方が想像できていたものである(そして、その後、バイトしながら調理師免許まで取ることに)。その後、料理の世界とはさっぱり縁も無くなって、腕も勘も鈍りに鈍ってしまったのだが…。

料理に執着していく様子や、毎日病的にブログを綴っている点など、ジュリーにものすごくシンパシーを感じてしまった。彼女のブログは、コメントもたくさん、閲覧者もたくさんで、私のブログのように、1日の閲覧者が7人くらいで、コメントも一回も書いてもらえないポンコツブログとは大違いだけどね(最近は与太話でもいいからコメントがほしくなってきたよ)。

特に深い含蓄のある話でもないのだが、なんとなく魅力あふれる映画だった。二つの時代をいったりきたりする演出も、ありがちではあるけれど、異なる部分と共通部分の振り幅の加減が効果的だと思う。途中、赤狩りや共和党批判などが絡められるのだがが、料理とは自由な発想が不可欠な芸術であるということが言いたいのだな…と、勝手に読み取り深く同意した(赤狩りもイラク侵攻も共和党がやらかしたアメリカ史の大汚点だと、こんな映画からも強く感じる)。

残念なのは、最終的にジュリーとジュリアは接触することはおろか、心も通わなかったという点(実話だからしょうがないんだろうけど)。そして、もっと最大の残念ポイントは、肝心の料理がいまいちおいしそうに見えないこと(バターばっかりつかうんじゃねーっての)。食べモノのブツ撮りは日本人が一番うまいかもしれないね。料理の鉄人が未だにアメリカでウケる理由がよくわかる(仕事が美しくないんだわ。彼ら)。
料理にちょっとでも興味のある人は楽しめると思うので軽くお薦め。そうでなければ、多分何にも引っかからないと思う。私は楽しんだ。

#実際、あれだけ作って食べてを繰り返したら、とてつもなく太ると思うけどね。

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image1615.png公開年:1998年 
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ウェス・アンダーソン
出 演:ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、オリヴィア・ウィリアムズ、シーモア・カッセル、ブライアン・コックス、メイソン・ギャンブル、サラ・タナカ、スティーヴン・マッコール、ルーク・ウィルソン、コニー・ニールセン、アンドリュー・ウィルソン 他
受 賞:【1998年/第33回全米批評家協会賞】助演男優賞(ビル・マーレイ)
【1998年/第65回NY批評家協会賞】助演男優賞(ビル・マーレイ)
【1998年/第24回LA批評家協会賞】助演男優賞(ビル・マーレイ)
【1998年/第14回インディペンデント・スピリット賞】監督賞(ウェス・アンダーソン)、助演男優賞(ビル・マーレイ)

私立ラシュモア校に通うマックス15歳のマックス少年は、19ものクラブを主要メンバとして掛け持ちするなど、そのバイタリティを発揮していたが、肝心の学業は疎かとなり落第を繰り返している始末。そんなある日、学校にやってきた女性教師に恋をしてしまい、彼なりの奇妙なアタックが始まり…というストーリー。

ワタクシお気に入りのウェス・アンダーソンの初期作品で、常々是非鑑賞したいと思っていたのだが、近所のレンタルショップには在庫なし。ネットレンタルで何とか入手し鑑賞に至る(それでも、なかなか人気らしくて、すぐに借りられなかった)。

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の3年前の作品であるが、キャラクター設定はもちろん、場面展開や音楽まで、ウェス・アンダーソンらしさは既に確立されている。終盤、グダグダになりかけている気は若干するが、許容範囲だろう。“家族関係”“水生動物”など、後の作品のキーワードとなる要素も、すでに盛り込まれている(というか、彼の頭の中に常にあるんだろう)。数分観れば、彼の作品であることはすぐにわかるほど。ここまで自分らしさを表現できる映画監督って羨ましいとすら思う。

私が彼の作品をすばらしいと思う一番の理由は、その独特のストーリー展開。一言で表せば“私が普段みている夢のよう”、ということ。夢といっても単なるドリームではなくナイトメアって意味。登場人物は能動的に行動しているつもりだが、まわりの状況に絡みつくように影響をうけて、おかしな方向にどんどん進んで、あがき続ける。私がみる夢は本当にこんな感じ。おそらく、鑑賞中の脳波が夢を見ている状態になるんだろう。まさに“夢見心地”なのだ。
強くお薦めする一本ではあるが、受け付けない人にはまったく受け付けない作品であることは指摘しておく。

ビル・マーレイの受賞歴ばかりだが、何で彼だけが評価されているのか甚だ疑問。別に彼の演技が特筆してすばらしいとは思えないのだ。もしかすると、素晴らしい何かを感じ取り評価はしたいのだが、評価するにも何をどう評価してよいのかわからず、かといって無視するのは憚られるので、とりあえず手近な賞を与えてみたって感じではないかと思っている。

#ジェイソン・シュワルツマンはフランシス・コッポラの甥っ子ってことだけど、ってことはニコラス・ケイジとかソフィア・コッポラといとこってこと?すごいタレント一家だなぁ。
 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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