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image2193.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:ウェス・アンダーソン
出 演:ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、ジェイソン・シュワルツマン、ボブ・バラバン、ジャレッド・ギルマン、カーラ・ヘイワード 他
ノミネート:【2012年/第85回アカデミー賞】脚本賞(ロマン・コッポラ、ウェス・アンダーソン)
【2012年/第65回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ウェス・アンダーソン)
【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]
【2012年/第66回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(ロマン・コッポラ、ウェス・アンダーソン)
【2012年/第28回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、監督賞(ウェス・アンダーソン)、助演男優賞(ブルース・ウィリス)、脚本賞(ロマン・コッポラ、ウェス・アンダーソン)、撮影賞(ロバート・イェーマン)
【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】作品賞、アンサンブル演技賞、若手俳優賞(カーラ・ヘイワード)、オリジナル脚本賞(ロマン・コッポラ、ウェス・アンダーソン)、音楽賞(アレクサンドル・デスプラ))
【2013年/第22回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(ジャレッド・ギルマン、カーラ・ヘイワード)
コピー:恋をしに出かけよう! ふたりだけの秘密の場所へ――。

1965年、アメリカのニューイングランド沖に浮かぶニューペンザンス島。厳しい両親とうっとおしい3人の弟と暮らしている12歳のスージー。同級生とも家族ともうまく付き合えない彼女は、本を読んで自分の世界に浸ること。そして、双眼鏡を通して世界を見ること。そんなある日、双眼鏡で外を見ていると、母とシャープ警部が密会しているのを目撃していします。一方、ボーイスカウトに所属している、同じく12歳のサムは、ウォード隊長に手紙を残しキャンプを脱走する。実は、スージーとサムは、1年前に演劇鑑賞の舞台で知り合い、その後文通を続け、愛をはぐくんでいた。そして駆け落ちの計画を練り、今回実行にうつしたのだった。二人は草原でおちあい、“3.25海里 潮流口”を目指し愛の逃避行へ。そして、二人が“ムーンライズ・キングダム”と名づけた美しい入り江にキャンプをはり、楽しく過ごすのだった。翌朝、二人がいなくなったことい気付いた大人たちは、あわてて捜索をはじめるのだったが…というストーリー。
またまた、ブルース・ウィリス登場。金に困っているのか?余命宣告でも受けたの?なんでもかんでも出すぎだろう。

悪口に聞こえちゃうかもしれないけど、本当にいかにもウェス・アンダーソンっていう作品で、だれかがウェス・アンダーソンのパロディ作品を作ってもこうなるんじゃないか…っていうくらい、お決まりの要素で溢れている。もしかすると、ウェス・アンダーソンを好きな人じゃないと、ちょっと、うっとしく感じてしまうかも…と心配になるくらい。

両親を亡くし、里子として預けられているサム。ボーイスカウトのウォード隊長やシャープ警部はそんな事情が気付かなかったくらい、周囲の大人には普通に見えていたんだけど、実際はボーイスカウトでもいじめられているし、家でもいじめられている。まあちょっと変わってるとは思うけど、おかしいのは、周囲の方に感じるけど、里親は他の子(というか実子)のいうことを真に受けて、もうサムの面倒は見ないと宣言する(ヒドイ)。
スージーの家庭環境も、なかなか面倒くさい両親のもとで抑圧されてるんだけど、こっちの方は本人に著しい問題がある。簡単にキレて暴力を振るうので停学になっちゃうほど。その臭いを感じ取ったのか、サムはスージーに一目で惹かれ、すぐにスージーも同様に。異端者同士のシンパシー。

最近は、『ダージリン急行』(2007)『ファンタスティック Mr.FOX』(2009)と、置きにいったといか小洒落た感じにまとめにいったという感じがあったが、本作は、『天才マックスの世界』(1998)や『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001) 『ライフ・アクアティック』(2004)のころに戻った感じ。この3作品が好きなのでうれしいかぎり。

はじめは小さな愛の逃避行だったが、狭い島の人々に与える影響は小さくなく、この騒動は、閉塞した島でまかり通っていたおかしな状況を揺すっていく。そして、人の奥底の愛情や連帯感みたいなものを思い出しはじめる。もちろん二人が結婚にいたるわけはなく、以前のような平穏に戻っていくが、同じようにみえても、愛が溢れた世界はまるで違うものになっている。

まあ、安定のウェス・アンダーソン節ですわ。
#フレンチキスの誤解は解消されるでしょう。

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image2139.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:デニス・リー
出 演:マイケル・シーン、トニ・コレット、ジェイソン・スペヴァック、サマンサ・ワインスタイン、フランク・ムーア、アーロン・エイブラムス 他






祖父スタンと母パトリシアと共に暮らす少年ヘンリーは、生まれてすぐに会話をするようになった天才少年。彼は一度聞いたことをすべて記憶してしまう。同じ年齢の子と一緒に教育を受けることは困難で登校を拒否されることもしばしば。憤慨したパトリシアは10歳のヘンリーに強引に大学受験させると、大学側はヘンリーの能力に驚愕し、多額の奨学金を与え入学を認める。しかし、ヘンリーにはとある悩みがあった。それは、自分の父親が誰なのかパトリシアが語ろうとしないこと。スタンに相談すると、ヘンリーは驚愕の事実を聞かされる。女性の権利向上運動家のパトリシアは、精子バンクを利用して妊娠・出産していたのだ。さらに、同じ精子から生まれた姉まで存在することをスタンは調べてくれた。それを聞いたヘンリーは、遺伝子上の父と姉に会ってみたいを考えるのだったが…というストーリー。

ジュリア・ロバーツが製作総指揮に名を連ねている作品。なかなか良い作品だと思うんだけど、日本未公開なのが不思議。たしかに目立った俳優は出ていないし派手な内容でもないが、単館上映すらないとは…。

明らかに周囲の子とは異なる能力を持ってしまった故に苦労する少年ヘンリー。しかし、その賢さ故か、表立ってヘコむこともないしグレることもない。そんな彼が、やっとこだわりを見せたのは、遺伝子学上の父が誰かということ。そこから、彼の冒険が始まる。

生まれてすぐに言葉を話す…という突飛すぎる設定は不要だったかもしれない。幼児で高等数学を解するくらいでストーリーは十分成立したと思う。ただ、何でも記憶するだけで論理的な思考ができるわけでもないし、創造力が高いわけではないので、あまり記憶力に特化した設定にするのは、無理があったかもしれない(そういう子は大抵サバンなので、日常生活に支障をきたしているのがほとんどだ)。

無駄な演出があるせいでボヤけているのも認める。例えば、ヘンリーとスタンのスペイン語の会話を立ち聞きし、こつこつ訳すが、途中までしか立ち聞きしておらず、スタンが父親の存在をヘンリーに教えたと勘違いするくだりがあるが、それ必要か?とか。
また、良く考えると、ちょっとわかりにくい部分も。ヘンリーは、同じ精子から生まれた子がいるという情報から、オハラ博士に辿り着いたのだから、オハラとヘンリーが親子なら、自動的にオードリーとヘンリーは姉弟なのでは?とか思う。まあ、オードリーは、オハラの精子から生まれたのか、グンターの子なのか、判然としないから調べたんだな…と、考えるとわかるんだけど、一瞬あれ?となる。
なんでパトリシアまでDNA検査してるわけ?彼女とヘンリーの親子関係は確実でしょ?

大人なんて大きな子供。子供の時についた心の傷は、大人になってもそのままで、大人らしくあれと思っているから、そのギャップに苦しむ。登場人物全員が、心の傷で形作られたキャラばっかりなのが良い。賢いけれど無垢なヘンリーは、とてもまともな大人とは思えないスタンと一番ウマが合う。だって二人とも、自分がどんなもんかわかっていて、嘘がないからね。むしろ、他の年長者は、自分の心の傷を覆い隠して、私は大人でございますと偽って生きているんだもの。

パトリシアもオハラも、少しずつ自分の中に傷があることを認識しはじめ、彼らは変化していく。このデニス・リーという監督が脚本も書いているんだけど、正直、穴のある脚本だし、演出も迂遠な部分を整理できていないと思う(カナダに逃げた兄のくだりとかも、あまりうまく消化できていないよね)。でも、そこはキャリアが浅いと思って大目に見てあげるべき。人って、いつでも成長できるチャンスがあるんだ。ちょっとしたきっかけで踏み出すことができるんだ。やさしくなることができるんだ…という、主題は十分に伝わってきた。

あえてお薦めしようと思う。もしかすると、今後、いい作品を生む監督になるような気がする。エピローグに少しセンスを感じるんだよね。

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image2128.png公開年:1979年
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:カール・ライナー
出 演:スティーヴ・マーティン、バーナデット・ピータース、キャトリン・アダムズ、メイベル・キング、リチャード・ワード、カール・ゴットリーブ、モーリス・エヴァンス、ディック・アンソニー・ウィリアムズ、ビル・メイシー、M・エメット・ウォルシュ、ディック・オニール、ヘレナ・キャロル、レン・ウッズ、ペペ・セルナ、ソニー・テリー、ブラウニー・マッギー、ジャッキー・メイソン、ドミンゴ・アンブリッツ、リチャード・フォロンジー、レニー・モンタナ 他


捨て子だったネービンは、心優しい黒人農夫の家に引き取られ育てられていたが、二十歳の誕生日に実子でないことを知らされる。家族のことは愛していたが、自分で人生を切り開く時が来たと悟ったネービンは、ヒッチハイクの旅に出る。トイレを借りたガス・スタンドで、1日1ドル10セントで住み込みの条件で雇われ、初めて就職をする。世間知らずの彼は、しばしば奇妙な行動をとったが、強盗相手に奮闘したり、なかなか忙しい日々を過ごしていた。そして、実家への仕送りも忘れない。そんなある日、すぐにずり落ちる眼鏡をかけていたスタンリーという中年男がやってくる。その眼鏡をネービンがずり落ちないように改造したやると大喜び。パテントを取って、儲けがでたら山分けだと言って去っていった。おかしな客ばかりだ。さらに、なぜかネービンを殺そうと撃ってくる男が出現。ネービンは彼から逃亡するが、旅芸人のトレーラーに逃げ込み、そのまま一座に加わってしまう。その一座で、オートバイスタント芸をやっている粗暴な行動の女性パティと知り合うのだったが…というストーリー。

こういう、わらしべ長者的でコメディチックな作品は、結構アメリカ作品に多い。ただ、コメディ要素のバランスが難しい模様。結局は人生自体を面白く観せたいので、笑いも悲しみも絶望も愛も、バランス良くしないといけない。本作は、笑い(それも荒唐無稽な展開と小ネタ)が多く、愛の部分がちょっと下卑ている(ネービンに無垢さが感じられない)。パティやマリーとの恋愛や、家族愛もたくさんあるじゃないかと思うだろうが、ちょっと打算的で“アガペー”的な要素が足りなすぎる。家族の愛も何か淡々としていてドライだ。そのせいか、ネービンがそれほど周囲から愛されているように見えない。

スティーブ・マーティン演じるネービンが、知能に問題がありそうな行動や喋り方なもので、私の中で、無意識に『フォレストガンプ』と比較していた。だって原題の“JERK”は、バカとかアホの意味だし。そのせいで、自然とハードルが上がっていた模様。

黒人農家の中、一人だけ踊りのノリが違うとか、民族差みたいなネタを面白いと感じるかどうか。日本人にはピンとこないとは思うが、『サボテン・ブラザース』『大災難P.T.A.』『花嫁のパパ』のスティーブ・マーティンのノリが好きな人には、全然アリかと(なんていったって主演デビュー作だし)。

アメリカ産のエグい色と味のお菓子を食べてる感覚に近いね。悪くはないんだけど、吹き替え音声で軽い気持ちで観たいところ。残念ながら字幕版しかない。

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image2143.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ウディ・アレン
出 演:オーウェン・ウィルソン、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、マイケル・シーン、ニナ・アリアンダ、カート・フラー、トム・ヒドルストン、ミミ・ケネディ、アリソン・ピル、レア・セドゥ、コリー・ストール、デヴィッド・ロウ 他
受 賞:【2011年/第84回アカデミー賞】脚本賞(ウディ・アレン)
【2011年/第69回ゴールデン・グローブ】脚本賞(ウディ・アレン )
【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】オリジナル脚本賞(ウディ・アレン)
コピー:真夜中のパリに魔法がかかる

ハリウッドで脚本家としてそれなりに成功しているギルだったが、いわゆるハリウッド的な娯楽作品のシナリオ執筆では満足感を得ることが出来ずにいた。彼は元々なりたいと思っていた小説家になるために、執筆を始めたが、納得いく出来にはほど遠かった。そんな中、婚約者のイネズの父のパリ出張に、夫婦で帯同することに。かねてから憧れだったパリの地に胸躍らせたギルは、シナリオの仕事を辞めてパリに移住をしたいと主張するが、今の安定したリッチな生活を捨てることなど、お嬢様育ちのイネズが許すはずもない。そんな二人の前に、イネズの男友達ポールが現れる。ギルはパリを夫婦で満喫したかったのに、イネズはポールたちと遊びたいといい始め、すっかり興醒め。インテリぶって見下すような態度のポールと行動を共にしたいと思うはずもなく、一人で夜中のパリを歩いてホテルに帰ろうとするが、すっかり迷ってしまい、途方に暮れて道端に座り込んでしまう。すると、そこに一台の年代物のプジョーが現われ、誘われるままにギルは乗り込んでしまう。連れて行かれたのはパーティ中の古めかしい社交クラブ。なんとそこには、フィッツジェラルド夫妻やジャン・コクトー、ヘミングウェイといった偉人たちが。彼は、1920年代のパリに迷い込んでしまったことを知り…というストーリー。

自分が崇拝する芸術家たちがいる時代にタイムスリップするという、荒唐無稽な設定。ヘミングウェイ、フイッツジェラルド、ピカソ、ゴーギャン、ゴヤ、ダリ。ちょっとフィッツジェラルドやアドリアナが良く判らなくてピンとこなかったんだけど、他がメジャーすぎるのでセーフ。

(以下ネタバレ)
1920年の世界でいい仲になったアドリアナと二人で、さらに過去世界に迷い込む。そこでアドリアナが過去の世界を賛美する様を見て、自分自身に対する満たされない気持ちの根源が、ただ自分が周囲のせいにしてだけだということに気づかされる。現実が虚しいと嘆き、ノスタルジーに縛られて生きていること、そのこと自体のほうがよっぽど虚しいと。

また、妻の浮気を、ヘミングウェイに指摘される場面。このタイムスリップ世界自体、実はギルの脳内世界だったのでした…というオチにすることもできたが、そうじゃなくてよかった。ギルを調べていた探偵も、中世に放り込まれるところで、ファンタジー色をキープ。おかげで、名作古典落語を聴いているような、心地の良い作品に仕上がっている。
ウディ・アレンがこんなSFチックな展開を放り込んでくるとは思いもよらず、ちょっと面食らった。老人が撮った作品とは思えないほど、新鮮な目線。チャカチャカしていない、落ち着いたカメラワークが、それに安定感を加えて、磐石。

ハリウッドでライターとして成功している彼は、何故か小説化になることにこだわる。なんでか。レジェンド達の助言で小説が仕上がっていくにつれ、現状生活で自分が見ないようにしていることが、顕在化してくる。つまり小説=自分の姿であると。
いつも自分を小馬鹿にしつづける妻に、深い考えも無くしたがっていたギルだったが、だんだんと何かが見えてくる。妻の不貞が発覚すれば普通は激昂するだろうし、相手の男も含めて、とっちめてやりたいと思うのが普通。観ている人の半分は、それを期待したかもしれない。少なくとも妻の両親には事実を明らかにしてギャフンと言わせてやりたいと思う人は多かったはず。
でも、そうはならない。自分がうまくいかないのは周囲のせいだと思っていた自分が間違いだったことに気付いたギルは、環境が悪いなら自分が変われば良い。変わった自分をこの環境が拒絶するのであれば、出て行けばよい。そのロジックを素直に受け止められる人間になったのだ。

正直、古いアレン作品は、私にとってそれほどピンとくるものではなかったが、本作は愉しめた。そして、いつも直球コメディばっかりのオーウェン・ウィルソンだが、ここまでアレン作品にハマるとは意外。お薦めする。

 

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image2130.png公開年:1984年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー
出 演:ヴァル・キルマー、ルーシー・ガタリッジ、オマー・シャリフ、クリストファー・ヴィリアーズ、ジェレミー・ケンプ、ピーター・カッシング 他





東ドイツ政府は、国威高揚のために国際フェスティバルを開催。アメリカからは人気ロック歌手のニック・リヴァースを招聘する。しかしこのイベントは、ストレック将軍による陰謀の一環。世界の目がフェスティバルに向いた隙を突いて、西ドイツに侵攻し第三帝国を復興させようというのだ。彼らは密かに著名な科学者を捕らえて、兵器の開発・製造もさせている。その科学者の一人であるフラモンド博士には、一人娘ヒラリーがいるが、彼女も父の消息を追って東ドイツに潜入していた。ニックは、バレー鑑賞の際に、ヒラリーが何者かに教われている所を救出。その際に、襲ってきた男を突き落としてしまったために、投獄されてしまうのだったが…というストーリー。

プロットは意外に悪くない。共産圏のイベントに正体されるロックスター。冷戦時代とはいえ、芸能人は案外行っちゃうだろう。はじめは陰謀に巻き込まれる展開で、やがてパルチザン物になっていく。
このストーリー設定は、コメディとの相性は良いはず。しかし、ディテールが滅茶苦茶すぎるのと、ギャグのレベルが寒すぎるのがいただけない。前半は、スタンドアップコメディアンのネタを延々と観せられている感じ。後半は、『モンティ・パイソン』のパクりを観せられている感じ。まあ、半分は下ネタですわ。
あまりに小ネタを連発しすぎるので、将軍たちの目的とか、いま何が話の争点になっているのかとか、よくわからなくなるくらい。

いくら冷戦当時だからって、なんで東ドイツの国際文化イベントごときで、世界の目が釘付けになるのか。むしろ警備が厳しくなるのが普通だろう。また、1980年代にナチス復興をめざす将軍が存在するという設定も、微妙すぎる。イギリスの諜報部員とかもでてくるのだが、何だかわかりにくい。というか、思いついたネタは全部入れてしまえ!的なノリなんだろう。

DVDジャケット映像に、変な柄のウシが出ている、確かに本作一番の迷場面がこのウシのシーンかも(出てくるのは一頭?だけど)。というか、記憶に残るのはこのウシだけかもしれない…。

これ、ヴァル・キルマーの映画デビュー作なんじゃないかなぁ。今はブクブク太っちゃってる彼だけど、一頃は美男俳優の一人。でも本作の彼、なんかバカっぽいし、エセ美男臭さがプンプン。本当は、美男役なんかどうでもよくって色んな役柄を演じたい、本格派志向の人なんだと思う。

もう一度言うが、ギャグのセンスさせマトモだったら、間違いなく良作コメディ。

 

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image2131.png公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:88分
監 督:アキヴァ・シェイファー
出 演:アンディ・サムバーグ、アイラ・フィッシャー、ヨーマ・タコンヌ、ビル・ヘイダー、ダニー・マクブライド、シシー・スペイセク、イアン・マクシェーン、クリス・パーネル、ウィル・アーネット、ブリタニー・ティップレディ、ブリット・アーヴィン 他





死んだ実父が有名なバイク・スタントマンのニーブルの助手だったことから、自分も同じ道を志しているロッド。彼は現在、母と継父フランク、そして違父弟と暮らしながら、地道に努力をしているがスタントの腕はまったく上達しない。フランクは口だけで何一つ成し遂げられないロッドを見下しており、ロッドはそんなフランクにいつか自分を認めさせようと、喧嘩を挑むがいつも返り討ちにあっていた。そんなある日、フランクが持病の心臓病を悪化させ、移植手術をしなければ生きながらえるのは難しい状態であることを知る。いつもはフランクに悪態をついているロッドだったが、死んでしまっては自分を認めさせることもできないと考え、ニーブルの持つバス飛び越えスタントの記録を破って賞金を手にし、その金をフランクの手術費に充てようと思い立つ。まずはそのイベントの開催費用を貯めるために、悪友や憧れの女の子デニーズの協力を得て、スタントのアルバイトを始めるのだったが…というストーリー。

脚本のパム・ブラディは『チーム★アメリカ/ワールドポリス』でメジャーデビューしている人なので、本作のノリもなんとなく判るだろう。そう、ゲロとか下ネタとか芸能ネタとかが、ちりばめられている。
ただ、容姿も冴えないどんくさい男が、一人前の男として認めてもらえるように、バカはバカなりにもがくお話で、『バス男』にテイストは近いが、キャラクターはスカしたところが一切無く、根がまっすぐなため、共感しやすいし、ストーリーの方向性も明確なので、それなりにうまくまとまっていると思う。

バカを繰り返している前半は、結構退屈で、これ以上小ネタに付き合うのもつらくなって来たな…というところで、義父が倒れる。本気で義父を憎んでいるように見えるロッドが、手術費用を調達しよと真剣になるのだが、ロッドが言うように、どうしても倒したい相手に死なれては倒せないというのが本心なのか、父を二回も失うのがいやなのか、実のところよくわからなかった。
(少しネタバレ)
そこに、一つのターニングポイントである、実は父はスタントマンではなかった…という秘密が明かされる。あまりのショックに、スタントの道を諦めてしまうロッド。それは、義父のためのお金集めも諦めるということを意味する。ショックなのはわかるのだが、義父の命よりも自分の夢のほうが重要であることを意味している。
そうなると、最後に運良くイベントを開くに至るものの、義父のためなのか自分の為にやってるのか、ちょっとふわっとしてしまい、ストーリー上あまり効果的に働いていないのが残念。
スタントっていうのは、単なる自分の夢なんじゃなくて、“他人に夢を見させるもの”…という価値観の転換がなされ、その究極の“他人の夢”が義父の施手術費用だ…という流れを、太く印象付ける必要があったと思う。

後半はテンポがよくて、さらっと観ることができたが、もう少し熱くなれるように、ロッドの心情をうまく描けていたら良い作品になったと思う。めげずに続けてはいるが、けっして熱くはない…、この感覚がこの作品を貫いていると思う。凡作。

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image2132.png公開年:2002年
公開国:アメリカ
時 間:82分
監 督:スティーヴ・オーデカーク
出 演:スティーヴ・オーデカーク、ロン・フェイ、レオ・リー、ジェニファー・タン、ジョン・B・キム 他
コピー:闘え!舌先にファイターの証を持つ“選ばれし者”よ!!






とある村に“選ばれし者”が生誕する。その噂を嗅ぎ付けた悪のカンフーマスター・イテテ師は、“選ばれし者”を滅ぼすために、家族もろとも焼き討ちされてしまう。新生児の“選ばれし者”は、イテテとの攻防の末、辛くも脱出。その後、ネズミに育てられ、立派な青年へと成長する。彼が“選ばれし者”と呼ばれる所以は、天性のクンフーファイターだけに授けられるベロンチョ(舌先の顔)を持っているからだ。やがて彼は、タン師匠の下で修行に励み、なぜかベティと名前を変えたイテテ師との宿命の対決を目指すのだった…というストーリー。

昨日の『デス・トゥ・スムーチー』が珍作なら、本作は何だ?奇作か?「一体、何をやってるのだ?俺は何を観せられているのだ?……」これが正直な感想。

古臭いカンフー作品を模したコメディなのかと思ったが、不釣合いなぐらいにCGや特撮を多様。でも、本当のカンフー映画を彷彿させる雰囲気で、こんなクソくだらない作品なくせに、なんてクオリティが高いのだ?!と思っていた。
エンドロールを観てびっくり。本作は『ドラゴン修行房』という過去作品に手を加えて作られているのだ。手を加えているっていっても、その改修具合はハンパなくて、別撮りした主人公をはじめ役者の顔の部分を合成しているのだ。そのシームレス具合は異常で、私、そんな合成をしているなんて微塵も感じなかったよ(『ベンジャミン・バトン』並みにすごいんじゃね?)。何なのこの技術の無駄遣い!!
で、この主人公、監督自身が演じており、全部の役者の吹き替えもこの監督一人でやってるんだって!!何なの、この労力の無駄遣い!!
犬の声の音声などを、わざと映像をはずしてみるなど、昔の映画の雰囲気をつくったり。何なの!!この、無駄な雰囲気作りのセンス!!
これだけ、無駄なパワーを炸裂させているのに、結局、選ばれし者の証である“舌先の顔”について、何だったのかはよくわからず。何なの!!この、いい加減さ!!
そして、主役のスティーヴ・オーデカークの体ができあがっている!!何なの、この無駄な筋肉のキレ!!

ちなみに吹き替えは西村雅彦がやっており、悪くない出来映えなのだが、なぜかワンパイというキャラクターだけ、別の人が吹き替えしてる。なんでやらなかったのか…。なんで中途半端なのか…。

私なら、まったく同じ内容を、台詞や吹き替えを別の声優や芸人にやらせて、月曜から金曜の深夜に連続放送する企画を出す。なんなら、24時間テレビの裏で、5本連続放送してもいいくらいだ。

 

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image1099.png公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:J・トッド・アンダースン
出 演:マイケル・ラパポート、マイケル・ジェッター、ジョン・キャロル・リンチ、アリヤ・バレイキス、レイチェル・リー・クック、マーティン・フェレロ、ジョー・グリファシ、ジョン・スラッテリー、ピーター・トームケ、ナンシー・プランク 他
コピー:復讐するは、最強の骨にあり。




薬剤師になることを強制する父を対立し、家を出ていたエディ。レスリング奨学生で大学に進み、整体師になる夢のため勉強と続け、卒業後は昼はインターンの整体師、夜は人体模型柄のスーツを着たプロレスラーとして働きながら、独立開業をめざしてがんばっていた。インターン先で伴侶も見つけ、もうすぐ出産を迎えようという頃、開業を決心。父との関係を修復すべく、故郷の父が経営する薬局の向かいで開業することに。父はそんな息子を暖かく受け入れ、幸福なスタートをむかえると思われた矢先、エドワードが街に出かけた隙に、父の薬局に地上げ屋が訪れ、銃を乱射して両親と妻を撃ち殺してしまう。事件現場を目撃したエドワードは、心に傷を負ってしまい…というストーリー。

#コメディではないように思うが…
イーサン・コーエンが共同脚本で参加しているシナリオにアドバイスするなど、非常におこがましい話ではあるが、ちょっとしたバランス感覚を加味するだけで、名作になっただろうと思う。

両親と妻の殺害現場を見たため、頭がおかしくなってしまった…という展開が弱い。ここは、犯行現場にギリギリ駆けつけて、致命傷でないながらも頭部を撃たれるとか、頭を強打するとか、明確な演出が必要だった。どの程度正気が残っているのかがイマイチよくわからないから、その後のエドワードの狂いっぷりが把握できず、応援しにくい。
また、地上げ屋とエドワードが現場で顔合わせすることで、エドワードは敵を明確にできるし、地上げ屋側も後から息子の存在を知り、もしかしてこいつが復讐しにきてるのか?というふわっとした対立軸にはならなかっただろう。むしろ、犯行直後から、顔を見られたエドワードを、警察と並行して捜索するほうが面白いと思う。

後、ご都合主義かもしれないが、罪のない人には怪我を負わせる程度で、殺害に至る下品な犯罪者やチンピラであるということを、はっきりさせること。これを鑑賞者にはっきり意識させることで、殺すべきでない人を殺してしまわないか、ハラハラ度が増す。

ここまで整理してあげると、ラストの心神耗弱による減刑…という流れは極めて自然になり、腑に落ちると思う。その他、マイナーな俳優陣なのに魅力的に描けていたり、インパクトがありながらもコメディにならないギリギリの死に方など、好感が持てる箇所が盛りだくさん。あと一歩で良作になる作品。

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image2144.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:80分
監 督:クレイグ・モス
出 演: キャスリン・フィオーレ、フリップ・シュルツ、オリヴィア・アレクサンダー 他






郊外の街に越してきたデイナ&アーロン夫婦と子供たち。上の娘はアーロンの連れ子で、パンクな髪型にピアスとタトゥーをしまくった容姿。デイナとは折り合いが悪く、今後の生活にいまいち不安があったが、心機一転、新しい土地で生活を始めることとなった。ところが、引越ししてすぐに、アーロンの顔に落書きがされていたり、家の中がめちゃめちゃになるなどの、怪現象が発生。彼らは、家中にカメラを設置して、その原因を突き止めようと考える。そうして、撮影されたビデオには、霊体と思しき何かによる所業が克明に記録されており…というストーリー。

ベース…というかほぼ全編『パラノーマル・アクティビティ』のパロディで、そこに、色々な映画の小ネタをまぶしている感じ。
タイトルに“ドラゴン・タトゥー”を冠しているがリズベットには全然似ていないし、ジャケット画像にある“リンカーン”も、隣にそういう人が住んでいるというだけで、ストーリー上、たくさん出てくるわけでもなければ、面白いわけでもない。

『ダークナイト ライジング』のベインが出てくるが、なんかそれっぽい人が出て、なんかほざくだけ。『ブラック・スワン』ネタも同様。『ゴースト ニューヨークの幻』は思いつきレベル。『エクソシスト』も同様。
自分たちがあまりにつまらないことをやっていることを恥じているのか、下ネタを頻発するものの、一線を超えた下品さのため、さらに空気が悪くなる始末。

こういうパロディムービーは、山のようにある。当たり作品は少なくて、直情的で下品なものが大半。だから、別に期待なんか微塵もしていなかったが、ここまでヒドい作品は、お目にかかったことが無い。

映画というのは、誰かが企画して、プロデューサーが人を集め、シナリオを書き、監督やスタッフ・キャストがそれを形にしていき、編集し、配給する。そういう数ヶ月に及ぶプロセスを経るわけで、ポイント ポイントで、チェックや再考が行われるはずだ。そういうチェックをすり抜けて、こんなクソみたいな映画が世に出るということが信じられない。携わった人間がすべてクソだったのだろうか?この地球上でそんなことがあり得るのだろうか?
むしろ、どういう過程を経て、この作品ができあがっていったのか、なぜこうなったのかを、検証するドキュメンタリー映画を作ったほうが面白いはず。人間の愚かさを学術的に検証する、有意義な作品になることだろう。

久々に注意報発令。料金がタダだとしても、観るべきじゃない作品。私が人身御供になったのだから、皆様は間違っても観て時間を無駄にしないことをないことを強く願う。交差点の定点カメラの映像を4時間見ていたほうが、まだマシ。今後アメリカは、この作品に携わった人間を、ショービジネスに携わらせてはいけないと思う。そして、日本の入管は、この作品に携わった人間を、入国させてはいけないと思う。

 

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 image2123.png 公開年:2001年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ブレンダン・マロイ、エメット・マロイ
出 演: ジェイソン・ロンドン、リー・メジャース、A・J・クック、ヴィクトリア・シルヴステット、ライオ田原、ウィリー・ガーソン、ザック・ガリフィナーキス、デヴィッド・デンマン、デヴィッド・ケックナー、フレックス・アレクサンダー、デレク・ハミルトン 他
コピー:偶スノーボード・パークと愛する人を守るため、ボーダー達の熱い闘いが、今、始まる。




アラスカの山岳地帯になる小さな街ブル・マウンテン。リックと仲間達は、そこでスノーボードに明け暮れる毎日を過ごしている。しかし、リックは2ヵ月前バカンスに行ったメキシコのリゾートで出会い、3週間だけ付き合ったアンナ子のことが忘れられず、次の恋に踏み出すことができずにいた。そんなある日、街のオーナーが心臓発作で急逝。リゾート開発業者のメイジャーが街の買い手として名乗りを上げ、リゾート地として再スタートさせるために、どんどん街を変貌させていくのだった。リックたちもメイジャーの下で働くことになったが、街の変貌ぶりに違和感を覚え、不満を抱くようになる。そんな中、メイジャーの二人の娘がやって来くるのだが、そのうちの一人があのアンナだった…というストーリー。

スノーボードをやっているか、酒を飲んで悪ふざけをしているかの毎日を繰り返している若者集団。元々、パンツをズリ下げ、半ケツ・酩酊状態で、スキーを楽しんだ伝説の老人“パパ”が、先住民をだまくらかして手に入れた山。その精神を脈々と受け継いでいる彼らはある意味、正当な後継者といえる。彼らがどうやって食い扶持を稼いでいるのか疑問だけど(ホテルで働いているのはわかるけど、まともな給料を貰えるような働きぶりには見えない)、まあ、とにかく楽しいそうではある。

ジャケットを見る限り、陳腐なおふざけB級映画に思えるのだが、キャラクター設定が案外細かく、かつメリハリがあるので、なかなか面白い。みんなバカなんだけど、バカはバカなりに特徴があって、バカのハーモニーはなかなか観ごたえがある。なぜこの手のおふざけコメディのアメリカ映画には、髭面で下品なキャラクターが必ずでてくるのかは不明だが、彼の破天荒というかアスペルガー症候群ぎみの浮きまくったキャラが、一番、いい味を出している。

主人公リックの恋愛がらみの話と、山の存亡のストーリーの二重構造。ただ、新オーナーの娘が例の忘れられない娘…という設定は良しとしても、リックもアンナも、あれは過去のことと割り切ってみたり、距離を縮めてみたりと、どういう方向にしたいのか観ていてもよくわからず、中途半端。後だしで車椅子の現在の彼氏を出して、さらにグダグダになった印象。セスナで飛んでいくところは、一つの山場のはずなのだが、全然盛り上がらない
一方の山の存亡ストーリーは、ラストに新オーナーを襲撃する展開に。彼の手法が気に喰わないから反抗するのはわかる。でも、単に彼を追い出しても、経済的な問題は解消するわけではない。なんか、そちらも解決できるような、オチにしないといけないのではなかろうか。各娘とも母親が違うという設定なのだから、地味に娘も結構な資産を持っていて、娘が父親に愛想を付かして且つリックの仲間とくっつくことで、彼女が資金を出す算段がつく…とか、考えれば色々、展開させる方法はあったろう。

まあ、シナリオの稚拙さを補う方法を考えればキリが無いのだが、最後までバカを通せたことで、それなりに飽きずに観ることはできた。及第点ギリギリ。100円レンタルなら、まあギリギリ許せる範囲。
#エンドロールのNGシーンはセンスがない…。

 

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 image0364.png 公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:トレイ・パーカー
出 演: トレイ・パーカー、マット・ストーン、クリステン・ミラー、マササ、ダラン・ノリス、フィル・ヘンドリー、モーリス・ラマルシュ 他
ノミネート:【2005年/第14回MTVムービー・アワード】アクション・シーン賞(テロリストの襲撃)
コピー:アメリカ フ★★ク イェー!




世界の平和を乱すテロリストに対抗するため、国際警備組織“チーム・アメリカ”結成された。彼らは、今日もマシンガンを手に、憎きテロリストたちを手段を選ばず殺しまくる。そんな調子なので、多くの人々から“平和を守ると称して破壊行為を繰り返しているだけだ”と指摘されるが、お構いなし。ある日、とある国の独裁者がテロリストに大量破壊兵器を売りさばこうとしているという情報を掴む。それに対抗するために、リーダーのスポッツウッドは、ブロードウェイのスター俳優ゲイリーをスカウトし、おとり捜査をさせることを発案する。スターの夢を諦めきれないゲイリーは一度はその要請を断るが、自分の演技の才能を世界平和のために生かすべきだと考え直し、チームに参加。元アメフト選手のジョー、マーシャルアーツの達人クリス、心理学専攻のリサ、心霊能力のあるサラたちと共に、武器ディーラーの隠れ家への潜入作戦を遂行するのだったが…というストーリー。

間違っても人形劇だからって、子供に観せてはいけない。観せたら気まずくなるとかそんなレベルではなく、純粋にR-18だから。残酷表現ゆえにR-18なんじゃなく、性的表現においてR-18だから。詳細は自分で観て判断してくれたまえ。

コメディではあるが、反テロ、反米的を前面に出してスタートするので、そういうメッセージ性を絡めてくるのかと思いきや、あっという間に単なるお下劣ムービーに転げ落ちていく。
マイケル・ベイを直球でバカにし、メタ視点で映画業界を揶揄したかと思いきや、アメリカの傲慢をバカにし始める。全方位的に攻撃するのかと思いきや、ブッシュ非難をはじめとする共和党批判に、アレック・ボールドウィンたち俳優たちを馬鹿にする民主党批判と、バランスを考えて攻撃しているところがあざとい。

ちょっと誰かをバカにするのも飽きてきたな…と思ったら、ゲロ噴出に倒錯セックスと、より下劣に。いやいや、やりすぎだろとニヤニヤしていると、北朝鮮に矛先を変える。観客にあまり考えさせる暇を与えない手法は評価できる。

お気に入りのキャラは、人の心が読める隊員のサラ。「私の心がゲイリーに惹かれているのがわかるわ…」と全然スピリチュアルな能力じゃねーし。くだらない。

アメリカのお下劣映画といえば『サウスパーク/無修正映画版』っていうのがあるけど、主張や思想がありそうでまったくない本作のほうが、くだらなさと無意味さという点では間違いなく上だろう。

日々の仕事に疲れたら、観てみるといい映画。くだらないことで悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなると思う。

 

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image0998.png公開年:2001年
公開国:アメリカ、フランス
時 間:147分
監 督:ミシェル・ゴンドリー
出 演: ティム・ロビンス、パトリシア・アークエット、リス・エヴァンズ、ミランダ・オットー、ロージー・ペレス、メアリー・ケイ・プレイス、ロバート・フォスター 他
コピー:自分を猿だと思い込んでいる男×宇宙イチ毛深い女×ネズミにテーブル・マナーを教える博士



異常に毛深い体質の女性ライラは普通の生活ができず、見世物小屋などで稼いでいたが、そんな生き方に嫌気がさして、人間社会から逃避して森で自然と共に暮らす。その体験を本にして多額の印税を得ることができたが、性的に男性を求める欲求を抑えることができず、都会生活に戻って全身脱毛を試みる。ライラは全身脱毛の施術師から一人の男性を紹介される。その男はマナーに異常な執着を示すネイサン博士。礼儀こそ人間と獣を別ける文明社会の基本と信じて疑わない人間で、ねずみにテーブルマナーを学ばせる研究に没頭している。二人はある日、森にデートにでかけたが、そこで幼いころから類人猿として育てられた男に遭遇。自分の研究に最適な対象をみつけたネイサンは、彼を“人間”に教育するために研究室に連れて行き、パフと名づける。次第に上品なマナーと知識を覚え、紳士に教育されていくパフ。一方、ネイサンはライラと結婚したが、助手のガブリエルの誘惑に、心が揺らいでおり…というストーリー。

脚本は『マルコヴィッチの穴』のチャーリー・カウフマン。
容姿が獣のようでありながら精神は人間の女。容姿は人間だが、獣として育てられた男。マナーという人間の行動に価値を見出し執着する男。この三者の奇異な行動と通して“人間らしさ”とはなにかを浮き彫りするお話。荒唐無稽ではあるけど、コメディに分類していいかは少々疑問。

この奇異な設定だけでなく、三者とも作中で変化を遂げる。この点はさすがチャーリー・カウフマン。シナリオとは人間の変化を表現するもの…という鉄則ははずさない。
ライラは人間社会にうんざりして自然で生活するが結局人間社会に戻る。しかし、再度目覚めて自然に帰る。さらにラストでは、罪を背負って人間の醜さを主張し、獣としての清さを守った彼女は、皮肉にも人間の規範の象徴である刑務所に入る。この作品の中で一番振幅の激しいキャラクター。
#あんなに体毛生えてきたらツラいよな…って思うだろうけど、実際いるからなぁ。
ネイサンは文明的人間の象徴だが、その生い立ちは苛烈な躾によって偏執的にマナーにこだわるようになってしまった男。そんな彼が、性欲というもっとも生物らしい欲求に振り回される。その精神の醜さは獣にも劣る男。
パフは、類人猿として成長し、あとから人間の行動規範を押し付けられる。彼も目覚めて自然に帰るが、ラストでは人間社会の虜になってしまう。ライラとは別の形で。人間の汚さに完全にまみれながらも、自由を教授する結果に。

ラストは好みが分かれるところだろう。もう少し、インパクトのある展開を望む向きは多いかもしれない。ネイサンの殺害までガブリエルの策略とするか否かが…、それがシナリオとして得策か否か、不自然ではないか…色々考えるとことではある。

獣としての姿が人間の本質、それが自然の姿だ!いや、人間の本質って、小汚い姿のそれだから…。いろいろ価値観を変遷させられる作品である。まあ、人間の生活=不自然…みたいな原始生活こそ理想みたいな価値観へのアンチテーゼにはなっているだろな。それなりに長く文明社会を築いてきたのだから、ある意味それが自然なんだろう。動物は自分のことを自然とも不自然とも思っていない。省みることこそ不自然。でも省みることができる能力こそ人間特有の者。ということは不自然こそ人間。もう禅問答みたいだよね。
まあ、人は醜い。それはそれとして素直に受け入れろ!そういう作品かな。他のチャーリー・カウフマン作品と比べると小粒かもしれないが、良作。

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image2116.png公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:85分
監 督:マイク・ジャッジ
出 演:ルーク・ウィルソン、マーヤ・ルドルフ、ダックス・シェパード、テリー・アラン・クルーズ、アンソニー・“シトリック”・カンポス、デヴィッド・ハーマン、ジャスティン・ロング、トーマス・ヘイデン・チャーチ、パトリック・フィスクラー、アンドリュー・ウィルソン、ヘザー・カフカ 他





アメリカ国防総省は、極秘で人間の冬眠プログラムを進めていた。その被験者には、平均中の平均的な能力の持ち主である男性ジョーと、売春婦のリタが選ばれた。しかし、実験の終了は1年後の予定だったが、プログラム責任者の汚職が発覚し追放に。同時にプログラム自体も闇に葬られてしまい、実験施設も処分されてしまう。そのまま彼らがカプセルに入ったまま、500年が経過する。 目覚めたジョーが見た未来の世界は、国民の知的レベルが著しく低下しており、経済は崩壊し、自然環境も破壊しつくされていた。元の世界では平均的な男だったジョーは、この世界では大天才。その言動は奇人と見られ、収監されてしまう。何とか脱走したジョーは、この世界にタイムマシンが存在すると聞き、そこを目指して奔走するのだったが…というストーリー。

馬鹿が繁殖していくというアイデアは、おふざけ設定なのに、もの凄く説得力があった。実際、そうなんじゃないかと本気で思えてくるくらい。インテリ層が子供を作るのに何だかんだ理由をつけて躊躇しているのは事実だもの。もちろん、馬鹿の子が馬鹿だという遺伝的な根拠が無いのは明らかなのだが、アメリカの場合、一度底辺に落ちてしまうと、まともな教育機会が与えられることはない環境なので、実にリアリティがある。そして500年後の世界は、ピラッピラのジャージのチンピラ風や、ラッパーまがいのファッションの馬鹿人間で溢れかえった社会。案外、アメリカ中流社会の潜在的な不安を見事に投影しているのかもしれない。
ゴミで溢れかえった社会や、砂漠化した世界など、未来SFとして、至極真っ当な描写なのも、侮れない。
#『エイリアン バスターズ』もそうだったが、COSTCOは恰好の笑いのネタな模様。

尻、股間、中指立てまくりのシーンのオンパレードなので、おそらくアメリカでもR指定だったと思われる。

二度目の逮捕の後、ストーリー的に手詰まりの感があったが、収監時の知能テストの結果のおかげで大統領のスタッフに召還されるという展開は悪くない。あとは、ひたすら悪乗りを繰り返せば良いので、うまい持っていき方だ。
ただ、展開のし易さと引き換えに、冒頭のリアリティを失ってしまったのが残念。なんとかして、地味にリアリティあるじゃん…という質をキープできれば名作になったと思う。

最後のエピローグで、リタの売春を斡旋していた男もカプセルに入っていました…っていうのは、まったく無用。彼がプログラムに参加した理由も思いつかないし、整合性もない。蛇足。

ちょけた邦題で、B級の臭いを前面に漂わせているけど、それなりの快作。

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image2113.png公開年:2007年
公開国:アメリ、ドイツ、イギリス、オランダ
時 間:90分
監 督:フランク・オズ
出 演:マシュー・マクファディン、キーリー・ホーズ、アンディ・ナイマン、ユエン・ブレムナー、デイジー・ドノヴァン、アラン・テュディック、ジェーン・アッシャー、クリス・マーシャル、ルパート・グレイヴス、ピーター・ヴォーン、ピーター・イーガン、ピーター・ディンクレイジ 他
コピー:最期のお別れは、笑って泣いてさようなら


父の葬儀の朝、ハウエルズ家の長男ダニエルは、苛立ちを隠せずにいた。長男として葬儀のスピーチをしなければいけないこと、葬儀当日だというのに引越しの手付金を払えと口うるさい妻、そして、小説家として成功した弟のロバートが久々に帰ってくることが、作家志望の自分には我慢ならなかったのだ。一方、ダニエルの従妹マーサは恋人のサイモンを葬儀の際に父親に紹介し結婚の許しを得ようと考えていたが、頑固な父親が素直に承諾するはずもなく、どうしたものかと頭がいっぱいになっている。道程でマーサの弟トロイを向かえに彼の家に立ち寄るが、緊張しているサイモンに部屋にあったドラッグを安定剤と間違えて飲ませてしまう。車の中でサイモンは徐々に錯乱状態になっていく。参列者が次々と集まってくる中、見覚えの無い謎の男がダニエルの話があると近寄ってくる。そしてその男は、父のある秘密を語り始める…というストーリー。

『お葬式』に比べたら10分の1の出来映え。思いついたコマッタチャンを配置して動かしただけの作品。

クスリで飛んだ人間をなぜ参列させる?奇行の原因がわかった時点で、参列は諦めればよろしい。そこで絶対に父親に紹介しないと困る理由があるわけでもないし、原因をつくった弟を体調が悪いとウソでもついて、交代で車で見張っとけばいいじゃないか。
父親は海外勤務か何かで、滅多に合うことができない上に、葬儀のあとトンボ帰りするとかいう設定にするとか、どうしてもそこで紹介しないといけない理由をつくらないとリアリティがない(それでも、娘の結婚なのだがら、そこでどうしても紹介しないという理由にはならないんだけどね)。

小さい男の恐喝についても、今はお金がないからあとで渡すということにしておき(実際に金はないんだから)、あとで恐喝で警察に相談すればよいだけ。写真をバラまくと脅すわけだが、そんなことをしたら金が取れないんだから、焦る必要もなし。
そういう矛盾を感じさせないために、はじめからあの小さい男の目的が、父親との関係をおおっぴらにすることという設定にすればいい。もしくは、お金ではなくどうしてもとある形見の品が欲しいが、どうしても親族としては渡すことができないもの…とか。
トイレの排便のくだりとか必要かなぁ。あんな矍鑠としたじいさんが声も上げずにただ座ってるとかあり得ないと思うけどなぁ。

で、あの小さい人、どうせ死んでないんだろ?と、10人いたら10人の頭よぎるわけだが、案の定。実にくだらない。下品なドタバタで、“ウィット”な笑いのかけらもない。最後のオチもあり得ん上につまらん。このつまらない内容の上に、エンドロールでNGシーンを流すとか、センス無さすぎ。

観客に違和感を感じさせないように、手を尽くすことがコメディを作る上での礼儀かと。なんなんだこの監督は…と思ったら一昨日観た『おつむて・ん・て・ん・クリニック』の監督じゃねえか(偶然)。この人、笑いのセンス無いなんだなぁ。
#で、SWのヨーダの操演とかやってる人でもある。変な経歴。

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プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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