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image1976.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:82分
監 督:ルーベン・フライシャー
出 演:ジェシー・アイゼンバーグ、アジズ・アンサリ、ダニー・マクブライド、ニック・スウォードソン、マイケル・ペーニャ、レッド・ウォード、ディルシャッド・ヴァザリア、ビアンカ・カジリッチ、エリザベス・ライト・シャピロ 他





宅配ピザの配達員として働くニックは、どれだけ飛ばしても30分で配達できそうもない注文を受ける店に、いつも不満タラタラ。そんなある日、とあるところにピザを配達すると、ゴリラのマスクをかぶった二人組に襲われ、体に爆弾付きのベストを着せられてしまう。彼らの正体は、定職にも就かずふらふらと怠惰な生活を送っている男、ドウェインとトラヴィス。ドウェインは、宝くじで大金を手に入れた父親が自分に一銭もよこさないことに腹を立て、父親を殺し遺産を手に入れることを計画する。しかし、自分で殺すことはできないので、殺し屋を雇う。しかし、その報酬として10万ドルを要求されてしまう。そこで、銀行強盗をして調達することを思いつくが、自分でやるのイヤ。そこで、宅配ピザ屋に無理やり銀行強盗させるために、爆弾付きベストを着せたのだ。ドウェインは、いつでも監視しているので、不振な動きをしたらリモコンで爆破するぞと脅し、銀行強盗を強要して解放。ニックは、助けを求めて親友チェットに助けを求めにいくのだったが、彼らはチェットの妹のことで喧嘩をして絶交中で…というストーリー。

『ゾンビランド』の監督。『ゾンビランド』は、お下劣なキャラクターとゾンビ映画への愛が相まって、なかなかの良作だったが…。

別に何が悪いというわけではないのだが、ピザ配達人が無理やり銀行強盗をさせられるというプロットを聞いて膨らませていったら、誰が作ってもこうなるだろうな…という感じ。友人のインド系のチェットの騒がしさが鼻につくし、下品な台詞もヒネリも何にもなくただ下品なだけで、『ゾンビランド』のような輝きがない。

どうして警察に駆け込んだり、銀行などで、こういう境遇なんです誰か助けてください…と言わないのだろう…と観客に思わせたら、この作品はアウトなので、そう思わせないことに腐心しているのが、よくわかる。かといって、巧みな仕掛けがあるわけではなく、常に監視しているぞ!という脅しを、馬鹿でヘタレな二人が正直に信じた…ということ、そして、トラヴィスの工作能力がマジでハンパなく、爆弾も火炎放射器も作れるという事実、その二点でなんとか持ちこたえた感じ。悪いプロットではないのに、コメディとしていまいち弾けきれていないのは、そういうおっかなびっくりな演出が、足枷になっているのではなかろうか。とにかく平板なのだ。肝心の銀行強盗も、中途半端な笑いばかり差し込んで盛り上がらないし。

(ネタバレ)
ラストは、殺し屋も加わって、三つ巴のドタバタになるのだが、そこでも、やはりクライマックス感はない。いまいち殺し屋のキャラが生きていないしのが一因かな。

で、最後は見事にジャケットを脱ぎ、生命の危機から解放されるわけだが、なぜか金を強奪して逃走してしまう。金、返さないでいいのかよ!? 好きで銀行強盗をやったわけでもないのに、その金を返却せずに逃げるリスクを追う意味とは?たしかにピザ屋もやめたし、代用教員もどうでもよくなっちゃったのかもしれないけど、それで済むわけないじゃん。コメディ作品のオチとしては、なんともスッキリしない。

エンドロール後に後日談として、ドウェインが日焼けサロン(?)を開業したCM映像が流れるのだが(父親は死んでない)、どうせならば、そこでニックとチェットが逮捕された映像も差し込めばよかったと思う。そうすれば、案外、続編の製作が決まったかもよ。

ドタバタ作品とは、整理に整理を重ねた末に、ドタバタにみせているのであって、放り込んでそれなりに面白ければいいというものではない…。そんな言葉が頭をよぎった。凡作かな。

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image1988.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:ティム・バートン
出 演:ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ヘレナ・ボナム=カーター、エヴァ・グリーン、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジョニー・リー・ミラー、クロエ・グレース・モレッツ、ベラ・ヒースコート、ガリー・マクグラス、イヴァン・ケイ、スザンナ・カッペラーロ、クリストファー・リー、アリス・クーパー、ウィリアム・ホープ 他



200年前、リバプールからアメリカに移住したコリンズ家は、水産加工業で財を成し、町の名前になるほどの名士となった。成長した息子のバーナバス・コリンズは、コリンウッド荘園の所有者となり、裕福な暮らしを謳歌していた。プレイボーイだった彼は、使用人のアンジェリークと深い仲になりながらも、彼女を無碍に振ってしまう。実は彼女の正体は魔女で、バーナバスの両親を呪い殺してしまうのだが、一時は悲しむものの、その後も彼のプレイボーイぶりは変わることなく、美しい娘と恋に落ちる。そんな彼を見てますます怒り心頭のアンジェリークは、更なる呪いでコリンズをヴァンパイアに変え、生き埋めにしてしまうのだった。それから200年たった1972年。彼はふとしたことで墓から開放され、コリンウッド荘園に向かう。しかし、コリンズ家はすっかり没落してしまい、爪に火を灯すような貧しい生活をしており…というストーリー。

ここ数年のティム・バートン作品は正直ひいき目で観ていた。大好きだったことのティム・バートンはいなくなっていた。しかし冒頭から、生臭そうな魚、かぼちゃ、岬の木、青白い空間。もう、あのことのバートン臭が漂っているではないか。バートン臭は女性キャラにも感じられる。支配欲の強い美女、薄幸で清楚な乙女、とっつきにくが親近感のあるおてんば娘。まさにバートン作品の女性類型。そして、嫁(籍は入ってないけど)の扱いがぞんざいなのは、昨今の傾向(いい意味で)。
#ちょっと女性キャラが多すぎな気はするけど。

そして、コメディの主人公でありながら、あっさりと何の罪も無い市民を惨殺する、容赦無さ。そうそう、このモラルの境界線が人外なノリが、魅力なのだ。

この手のバートン作品は、最後はうやむやのドタバタで終わる傾向が強かった。でも、本作は、きっと『マーズ・アタック』のようにいい感じで終わってくれるはず! だって、ばあちゃんがいるからね…なんて思っていたら、突然、狼娘が登場!思わず「説明、説明!」と叫んでしまうほど唐突(一応、説明はしてくれたけど)。なかなか弾けてくれたので良しとしたいところだが、その分、ばあさんは全然活躍しなかったのはちょっぴり不満(笑)。

200年の世界のズレみたいなものにスポットを当てたコメディにもできただろうし、没落した一族を盛り返す逆転劇のにもできただろう。また、センチメンタルさを強調して『シザーハンズ』や『ビッグフィッシュ』、はたまた『コープスブライド』のようにウェットな作品にもできただろう。しかし、結果的にいずれにも寄せるなかった。軽妙で飄々としたノリを維持し続けてくれたことで、昔の雰囲気を復活させつつも、過去のいずれの作品とも違う雰囲気に仕上がっている点を評価したい。

ああ、あの頃の、ティム・バートンが帰ってきてくれたな。家庭が安定して、好きなものをただただ作品にぶつけていた頃に戻れているんだなと、嬉しくなった。
#はじめ、クロエたんだってわからなかったな。成長著しい。

 

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image1967.png公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:ジャレッド・ヘス
出 演:ジョン・ヘダー、エフレン・ラミレッツ、ジョン・グライス、アーロン・ルーエル、ディードリック・ベーダー、ティナ・マジョリーノ、サンディ・マーティン、ヘイリー・ダフ、トレヴァー・スナー、ションドレラ・エイヴリー、エミリー・ティンドール 他
受 賞:【2005年/第14回MTVムービー・アワード】作品賞、音楽シーン賞(ジョン・ヘダー)、ブレイクスルー演技賞[男優](ジョン・ヘダー)


アイダホの田舎町。祖母と惹きこもりぎみの兄キップと3人暮らししているナポレオン・ダイナマイトは、ルックスが悪く、冴えない性格のため、変人扱いされイジメられる学校生活を送っている。ある日、祖母がバイク事故で入院してしまう。兄はチャットに夢中で役立たずだし、祖母の指示でやってきた叔父リコモも高圧的な態度でナポレオンを罵るばかりで、ストレスは募るばかり。そんな中、メキシコ人のペドロ転校してきて友達になるが、突然生徒会長に立候補すると言い出したため、ナポレオンも応援することになったのだが…というストーリー。

いうまでもないが、邦題の『バス男』は、『電車男』が流行っていたからつけただけ。本作でバスが出てくるのは、冒頭で主人公が登校する時に乗っているシーンと、兄が恋人と旅立つときに出てくるだけ。バスはストーリーの主筋とは無関係。ナポレオンの立ち姿の後ろにバスが堂々とコラージュされているDVDジャケット画像は、客をナメた仕事だと思う。この邦題をつけた会社は、映画の神の罰が当たることだろう。

内容は、ウェス・アンダーソンの『天才マックスの世界』に近い感じか。ただ主人公は目立った才能はない上に、キモいというか愚鈍である。周囲の人間も愚鈍な人間ばかり。学校でイジメられているといっても、イジメている方も、ただの田舎の乱暴物というだけ。どこを見渡しても、町中パっとした人がいない。向上心というものが皆無な町なのだ。イケてると思われている人ですら、実にダサい。
とにかく、エッジの効いた部分がない印象。

そんなところに、見た目はナポレオンと同様に愚鈍極まりないメキシコ系のペドロがやってくる。しかし、彼は、いきなり生徒会長になろうという向上心を示すわけだ。じゃあ、それに奮起して、ナポレオンたちは彼を必死に応援するのか?たしかに応援はするが、援護になってるんだかどうかわからないような…。

口コミで話題になり全米でヒットしたとのことだが、そんなレベルの内容ではない。日本で未公開なのも理解できる。そんなグダグダというかダラダラというか、ピリッとしない展開の繰り返しが、なぜか心地よい。そんな愚鈍な彼らに対して、「まあ、自分もそんな時あるしな…」という同情というか共感が湧いてくるのが不思議。
もう、最後のダンスなんか、逆転劇とかじゃなくて、煙に巻かれた気分になる。

この監督が意図したかどうかはわからないが、この珍妙なノリは一見に値すると思う。この作品の後に『ナチョ・リブレ 覆面の神様』の脚本・監督を手掛けたが、本作のような空気感が作れていなかったところをみると、偶然なんだろうな。

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image1960.png公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:ハロルド・ライミス
出 演:ジャック・ブラック、マイケル・セラ、オリヴァー・プラット、デヴィッド・クロス、ハンク・アザリア、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ヴィニー・ジョーンズ、ジュノー・テンプル、オリヴィア・ワイルド、ジューン・ダイアン・ラファエル、ザンダー・バークレイ、ジア・カリデス、デヴィッド・パスクエジ、ハロルド・ライミス、カイル・ガス、ビル・ヘイダー、マシュー・ウィリグ 他



太古の時代。狩猟は苦手な上に果実の摘み取りすらできないくせに、口ばかり達者なゼドと、賢いけれど気が弱すぎる友人のオーは、村ではのけ者になっている。もちろん、村の女性からも相手にされない。ゼドは村人を見返してやろうと、絶対に手をだしてはいけないと言い伝えられている“禁断の果実”を食べてしまう。しかし、そのことでとうとう村を追放に。オーもゼドについてくハメになり、冒険がはじまる。狭い村の周辺が世界のすべてだと思っていた彼らは、広大な世界を目の当たりにして興奮。その道中、喧嘩をするカインとアベルという兄弟に出会い…というストーリー。

パッケージ画像を見ると、『フリントストーン』みたいな原始人のドタバタ映画かと思うけど、旧約聖書のパロディだった。原題の“YEAR ONE”は、西暦1年を指しているわけじゃないだろう。いくらアメリカ人が馬鹿でも、キリストの誕生した年(厳密には違うけど)に、カインとアベルだの、ソドムとゴモラだの、そんなエピソードが繰り広げられるわけないし。気さえ惹ければいいと、変な先入観を与えるような邦題の付け方は感心しない。

聖書に詳しくない人でも、何となくわかる話が元ネタなので、ついていける。『ザ・マペッツ』の時とは違い、きちんとジャック・ブラックらしい仕事をしている。下品ネタ、シモネタのオンパレード。はじめて牛は引く車にのって乗り物酔いしてゲロを吐いたりとか、割礼ネタやホモネタも連発で、ムダにPG指定をくらいそうな内容…っていうか、日本未公開だけどね。
マイケル・セラのチェリーボーイ役は似合いすぎ。

で、旧約聖書をパロったところまではよかったのだが、宗教ネタの限界なのか、踏み込みが甘くて、揶揄するところまではいっていない。悪ノリ不足。前半は、短めのセクションをトントンとテンポよく場面転換させて、飽きないのだが、ソドムに到着して以降は、トーンダウン。オチをどういう風につけようか模索しているうちにグダグダになった印象。結局、禁断の実の効果がなんだったのか、良く判らない。そのへんをうまく、オチに繋げられれば効果的だったのだが。

凡作だけど、これがジャックブラックの真の姿かと。キライじゃない。

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image1938.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:104分
監 督:ブレット・ラトナー
出 演:ベン・スティラー、エディ・マーフィ、ケイシー・アフレック、アラン・アルダ、マシュー・ブロデリック、マイケル・ペーニャ、ティア・レオーニ、ガボレイ・シディベ、ジャド・ハーシュ、スティーヴン・マッキンレー・ヘンダー、ジェリコ・イヴァネク、ロバート・ダウニー、ニナ・アリアンダ 他



マンハッタンにある“ザ・タワー”は、成功した企業家やセレブだけが住む超高級マンション。そこは、マネージャーのジョシュら一流のスタッフが、リッチな居住者の快適な日常生活をサポートしていた。そんなある日、ザ・タワー最上階のペントハウスに暮らす大富豪アーサーが、証券詐欺でFBIに逮捕されてしまう。ジョシュは、スタッフ全員の年金をアーサーに預託していたことから真っ青に。友人のように付き合っていたアーサーにそのことを問い詰めると、投資にはリスクが伴うものだと悪びれる様子もなかったことから、普段は温厚なジョシュもブチ切れ。アーサーの大事にしていたスポーツカーをゴルフクラブでめちゃくちゃに破壊して、マンションを解雇されてしまう。スタッフたちの老後の生活を台無しにしてしまった負い目から、ジョシュは、アーサーが部屋に隠しているらしい2000万ドルを強奪しようと、一緒に解雇されたスタッフたちと一緒に犯罪チームを結成する。そして、近所に住む泥棒のスライドを助っ人に計画を練っていくのだが…というストーリー。

ベン・スティラーにエディ・マーフィというキャスティングなもんで、直球のコメディかと思ったら、あからさまにチョケた笑いは無し。各キャラクターはいたってまじめに不慣れな“強盗団”を遂行しようとする。シチュエーションコメディって感じ。

リーマンショックなどの強者はより強者に、弱者は奴隷になっていく、“自由”を標榜しつつ奴隷製造機となった自由主義経済、そして他人の金を右から左へ動かすだけでリッチになれるという、謎の貴族を生む仕組み。これらを揶揄することからはじまり、奴隷となってしまった彼らが、反骨精神を発揮するという作品。よくわかわからない経済が生んだ“疎外”に翻弄され苦しむ庶民が、溜飲を下げるための作品ともいえる。

散々、日本がデフレになったことを馬鹿にし続けたアメリカが、数十年遅れて日本と同じ政策を採ることになった事実。日本の経済が経済の基本からはずれていると見下している欧州が、ユーロ圏という経済圏を無理に構築したことから疲弊していっている様子を、みんなはどう見るだろう。日本がすばらしいなどという気はさらさらないが、欧米は所詮植民地時代から何も変わっていない、醜い思考の持ち主なんだと私は見る。
まあ、投資家のアーサーを完全な悪役として描けているという点で、ストーリーの渦が明確な作品となっている。

(ネタバレ注意)
単に、前の職場、前に住んでいたところに忍び込むだけの地味なストーリーで終わるのかと思ったが、無理やり差し込んだっぽいけど、最上階のペントハウスから車を出すという、お尻がひゅ~んとなる演出を差し込んできた。純粋にドキドキできた演出だと思う。

各キャストがしっかりと役割を果たしているのも好感が持てる。特にエディ・マーフィは、天狗になっているのか、シリアスな役でも本来のコメディな役でも、我をはって浮きまくっていたが、本作はしっかりと分をわきまえた仕事っぷり。久々に“役”者としての彼を観た気がする。
かといってただの脇役ではなく、裏切り計画を疎外するという役回りで、持ち前の口八丁手八丁キャラも披露。しっかりと持ち前の好さも発揮できたと思う。

ラストの、自分ひとりだけが罪をかぶり、アーサーに年金を預けてしまった心の重荷、そして職場の仲間たちの生活を取り戻してやることができたことからの安堵感の表情で終わるのも悪くない。収監時のおびえたアーサーの表情と、ジョシュの満足げな表情との対比も、ベタベタな演出だとは思うけれど、エセ経済競セレブたちを罵倒し溜飲を下げるという、映画の目的を達していると思う。し

かし、この映画は妙に評価が低い。その理由はただ一つ、明確だと思う。肝心の車の隠し場所が、おもしろくないからである。
FBIがホテルを血眼になって探している…と。もちろんアーサーの住居は真剣に探すだろうさ。当然、そこも探してしかるべきだろう。なんで見つからなかったのか、さっぱりわからない。そんな隠し場所でしたり顔されてもさ。この一点だけが、すべての良さを帳消しにするくらい、究極的につまらない。
これが無ければ、秀作だったと思う。残念。というか、そこだけ別なアイデアにして撮りなおよ…とすら思う。
それから“ペントハウス”っていう邦題が安っぽいね。それこそ、セレブによる小ネタのコメディーが繰り広げられる印象。そんなことはなくて、車の隠し場所以外は、とても愉しめたので、是非レンタルして観てほしい。

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image0720.png公開年:1987年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:ジョン・ヒューズ
出 演:スティーブ・マーティン、ジョン・キャンディ、ライラ・ロビンス、マイケル・マッキーン、ケビン・ベーコン、マイケル・マッキーン、ディラン・ベイカー、ダイアナ・ダグラス 他




広告会社の重役ニールは、感謝祭を家族と一緒に過ごす約束をしている。仕事が終わり大急ぎでニューヨークから自宅のあるシカゴへ向かう。しかし大渋滞でタクシーを止めるに一苦労。やっと捕まえたのに、ちょっとした隙にタクシーを横取りされてしまう。それでも何とか空港に辿り付くが、飛行機は大雪のために大遅延。しばらくして搭乗することができたが、せっかくファーストクラスを予約していたのに、ダブルブッキングでエコノミーに乗ることに。ところが隣の席には、さきほどタクシーを横取りした男が。彼はデルというカーテンリングを売るサラリーマンだったが、足は臭いは巨体で寄りかかってくるは散々のフライトに。おまけにシカゴ行きだった飛行機は大雪のためにウイチタに途中着陸してしまう。仕方なく一泊しようとするが、どこに電話しても満室で途方に暮れるニール。そこにデルがやってきて、知り合いのモーテルに案内してくれるという。しかしモーテルに到着すると、満室でダブルべッドの部屋は一つしか空いていないいう。しかたなく同泊するのだが…というストーリー。

年齢がバレるけど、この作品、私が住んでいた地域では、『月の輝く夜に』と同時上映だった記憶が。でも、MGMとパラマウントだから、私の勘違いかな。とにかく目当てで観にいった作品よりも、楽しめた作品で、ずっと記憶に残っている。

典型的なロードムービー。もうデルは悪魔の使者並みで、とにかく冒頭はイライラさせられる。我々の身の廻りにもこういうイライラするやついるけどね。さらに、ちょっとしたやさしさに流されると、その後には必ず数倍の悪魔のビッグウェーブがやってくる。どうしても帰りたいのに、焦れば焦るほど目的地が遠くなっていく感じ。たまにこういう夢見ることあるわぁ。

このデルを演じるジョン・キャンディは、3年後に製作された『ホーム・アローン』で、家に戻ろうとするお母さんを途中で乗っけるポルカバンドの一員だったよね。それ観たときはニヤリとしたよ。絶対、本作をわかった上でキャスティングしてるよ。

PTAなんてタイトルがついているから、まあ列車の次は車なんだろうな…と予想がついたり、けっこうベタベタなんだけど、これでもかこれでもかと打たれ続けてもんだから、疲弊しすぎて笑えてくるし、デルを責めてもどうしようもないところまで到達しちゃう。そして、このイライラと、最後のウォーミング具合のギャップがスゴイ。
(ネタバレ)
妻とは離婚したのかなぁ…くらいに思っていたけど死んでいて、それどころか、妻がいないなら家も必要がないってことで、ホームレス状態なわけ。そりゃ足も臭くなる。そんな生活でそこまで太るか?と思うが、まあ、三食外食だったらアメリカならあり得るか。
ほっとした最後の電車の中で、いままでの苦労がフラッシュバックしてくる。辛かったしイライラしたけど、今となっては笑い話か…、あれ、そういえばデルのやつ変なこといってたな…と。そして居ても立ってもいられず駅に戻る。そして、散々足掻いてでも戻りたかった家に“友達”を招く。
この旅を通して、無駄なくスマートに生きることを是としていた二ールは寛容さを身に付け、そしてますます家族への愛を深める。一方のデールは、ニールにしてしまったことを省みて、判っていながらも“前向き”という美名で誤魔化してきた自分の性格の欠点を見つめなおす。そして、ニールの家族を見るデルの目には、妻を失った喪失感から一歩踏み出す勇気が生まれる気配を感じる。

劇中では、あいさつしたらすぐ帰るなんていってたけど、泊まっていったんだろう。そして、なんだかんだいって、今後も付き合いは続くんだろうな…と想像させて終了する。
久々に観なおしたけど、やっぱり古典的ではあるけれど愉しめる一作。お薦めしたい。

#やっぱり冒頭のあれはケヴィン・ベーコンだったか…。

 

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image1944.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:ジェイソン・ライトマン
出 演:シャーリーズ・セロン、パットン・オズワルト、パトリック・ウィルソン、エリザベス・リーサー、コレット・ウォルフ、ジル・アイケンベリー、リチャード・ベキンス、メアリー・ベス・ハート、ルイーザ・クラウゼ、ヘティエンヌ・パーク、J・K・シモンズ 他
受 賞:【2011年/第69回ゴールデン・グローブ】女優賞[コメディ/ミュージカル](シャーリーズ・セロン)
【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】主演女優賞(シャーリーズ・セロン)、助演男優賞(パットン・オズワルト)、オリジナル脚本賞(ディアブロ・コディ)
コピー:あなたは、ワタシを、笑えない。

都会のミネアポリスで、ヤングアダルト向け小説のゴーストライターをやっている37歳のバツイチ女性メイビス。
ゴーストライターとはいえ、それなりにリッチな生活をおくっている。そんな彼女の元に、赤ちゃんの誕生パーティへの招待メールが届く。そのメールは元彼バディからだったが、それを見て衝動的に故郷の田舎町マーキュリーに帰ってしまうメイビス。彼女は、バディは運命の相手であり、再会すれば元通りの関係になれると信じて疑っておらず…というストーリー。

始終コメディタッチで綴られているのだが、メイビスの行動とそれに至る彼女の精神状態がかなり深刻。『JUNI/ジュノ』の監督さんなんだけど、妊娠という深刻な状況をコメディタッチで綴っていたのと同様。
クレイジーな女性をシャーリーズ・セロンは見事に演じているが、役柄の突飛さが目立って薄れてしまったのかもしれないが、もっと彼女の演技は評価されてもよいと思う。
ムダ毛処理にヌーブラ、厚化粧、でも家ではキティちゃんのTシャツ。40歳前後の女性の生態を赤裸々に見せているのも面白い。

前半は、都会にかぶれて虚勢を張っているメイビスと対比して、地に足が付いた田舎の人…という構図だったのだが、後半になると田舎町の住人の方がちょっとおかしいんじゃないか…と思えてくる。そして、あのオチ(どういうオチかは観てくだされ)。

見下していた田舎の人々から、逆に同情されていたという、とても堪えられないシチュエーション。彼女の行動の理由に納得できる一方で、私には、町の人々の同情心っていうのが、ものすごく醜く感じられた。型にはめたりレッテルを貼らないと、人間を認識できない狭小な思考。それは、良い評価の場合だけでなく、迫害する場合も同じなのだ。かつてゲイとレッテル貼りさられ暴行を受け障害者になってしまったマットと、自分は同じカテゴリだということに気付いてしまう。

ラストの彼女の様子を観て、何が言いたいわけ?という人は多いと思うが私は好き。これも人生に迷った人間の再生の物語。他者との上下関係でしか社会を見ることができなかった彼女が、自分の絶対価値を見つける…と言いたいところだけど、人間そんなに簡単に開眼できない。何をどうひっくり返したって、人間は生きていくしかない、開き直っちゃえばいいんだって!っていう流れ。ますます自己中になって、なんでもおかまいなしのオバチャンになっちゃいそうだけど、これでいいだと思う。説教臭い人間らしさとは違う、リアルな人間らしさだと思う。

とても愉しめた一作。『JUNI/ジュノ』を面白く感じた人は間違いなくOKなので是非観てほしい。

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image1925.png公開年:2011年
公開国:フランス、ドイツ、ポーランド
時 間:79分
監 督:ロマン・ポランスキー
出 演:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー 他
コピー:顔で笑って、心に殺意。




ニューヨーク、ブルックリン。11歳のザッカリー・カウワンが同級生のイーサン・ロングストリートの顔を棒で殴り、前歯を折る怪我を負わせてしまう。彼らの両親は和解の話し合いをするために、ロングストリートに集まることに。はじめは、お互いに平和的に振舞っていたが、相手の仔細な振る舞いに対するひっかかりが蓄積され、不協和音が響きはじめる。やがてお互いの本性がむき出しになり、それぞれの夫婦間の問題まで露呈されていき、話し合いの場は混沌としはじめ…というストーリー。

未だアメリカから逃亡中にポランスキーの作品。別にいいんだけど、ポランスキー、何作ってるんだろ…って感じで、ちょっとこれまで手掛けた作風とは異なる印象。
舞台はニューヨークなんだけど、ヨーロッパ製。最後まで一室で繰り広げられ、演者は4人だけ。おそらく元は舞台劇だと思う。

子供を持ったことがある人なら、こういう問題には巻き込まれたことがある人は多いと思うので、共感しやすいだろう。でも、あまりに身近にありがちなシチュエーションな上に、とにかく4人の演技がうまいもんだから、共感を通り越して苦痛に感じてくるほどである。中でも、ジョディ・フォスターがいかにもなキャラクターすぎ。

子供に無関心な父親、表面だけは熱心であろうとする母親、子育てとは無関係なポリシーを振りかざす母親、迎合してばかりで中身の無い父親…、どこにでもいそうな大人像。子供のため…という美名は早々に剥がれ落ち、当初の目的は簡単に吹き飛び、お互いの人間性に対する攻撃が始まる。

それどころか、始めは両家の対立だったのに、いつのまにか四つ巴の争いに。さらに、場面場面で2対2、3対1と展開し、まさに混沌とした状態に。この争いの末に、逆に親友になっちゃうんじゃないのか?くらいに言葉の応戦が続くのだが、そんな友情が目覚める様子は生まれない。

さて、この争いの行方はどうなるか。昨日の『未来を生きる君たちへ』と同じく、子供の喧嘩から怪我をする…という流れなんだけど、切り口でこうも違うものか…と。でも、これも間違いなく人間の争いとはどういうものか…というのを如実に表している。『未来を生きる君たちへ』だけでなくこちらも見て欲しい一作かな。

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image1935.png公開年:2011年
公開国:イギリス
時 間:101分
監 督:レイ・グリグス
出 演:ローワン・アトキンソン、ジリアン・アンダーソン、ドミニク・ウェスト、ロザムンド・パイク、ダニエル・カルーヤ、ピク・セン・リム、リチャード・シフ、伊川東吾、ティム・マキナニー、ウィリアムズ・ベル、スティーヴン・キャンベル・ムーア、イアン・ショウ 他
コピー:どんな作戦[ミッション]もすべて不可能にする男[スパイ]!!


要人警護に失敗し、諜報機関MI7から離れたジョニー・イングリッシュ。それ以来、チベットの僧院に籠もり、修行に励む日々を繰り返していた。そんな彼に、突然MI7から召集がかかり、新たな上司ペガサスから、中国首相の暗殺計画を阻止せよとのミッションが下る。さっそく新人のタッカーと共に、香港へと向かうイングリッシュだったが…というストーリー。

根本的にローワン・アトキンソンのギャグで微塵も笑ったことが無い上に、前作『ジョニー・イングリッシュ』が死ぬほどつまらなかったわけで、なんで本作を借りる気になったのか…。多分、暑い中、コメディでやり過ごしたかったのと、ロンドンオリンピックのせいだと思う(笑)。気の迷いだよ。

で、やっぱり気の迷いで、いつもどおり微塵も面白くなかった。相変わらず、もっととんでもないことをやってくれるのかと思っていたのに、案外普通のトロいおっさんっていうだけ。『Mr.ビーン』とは違って、中途半端に強い場面もあるけど、ポンコツの場面もあって、キャラが一定していない感じ。
#ローワン・アトキンソンはこんな中途半端なコメディじゃなく、本気の殺人鬼をやるべきなんだよ。

でも、笑えないだけではなく、なにか恐ろしさを覚えた。
別に、中国ネタで笑わせようとしているのが、アジア人蔑視だとかそういうつまらないことを言いたいわけじゃないので、はじめに断っておく。
アジア系のネタが、一体、何がおもしろくてそれをやっているのか微塵もわからないのだ。間違い無くイギリス人は、おもしろいとおもってギャグにしているようなのだが、ツボを慮ることすらできない。もう、差別だとか蔑視だとかそういう次元じゃなく、根本的な認識不足、他文化に対して敬意を払うつもりが始めからない感じ。本気で犬っころを扱うような態度で、扱っているのが滲み出ている。イギリスもたしかに移民政策では失敗している。それはわかるが、それとは無関係なレベルで貶めているような気がしてならない。

話は戻る。ストーリーも、名誉を回復したいとか、愛する人を救いたいとか、強い目的意識がないので、観ていても力が入らない。仮に目的のさじ加減がずれていても一向に構わないのだが(コメディだし)、行動の動機が希薄すぎるので、終始ダラダラした締りの無い話に。よって、問題を解決してもカタルシスなど一切なし。
話の軸がフラフラしているから、ギャグにカウンターバランスが効かずに、腰砕け。中国ババァのてんどんも生きない。
まあ、笑わそうと笑わそうと構えて、逆に笑えないという、笑いのイロハのイもできていない作品。この作品をおもしろいといった人間は、クソつまならない人間だと、いいリトマス試験紙になると思う。でも、これでも前作よりはまだマシなんだぜ。そっちのほうが笑っちゃうだろ。
メシも不味いしコメディも不味いって、イギリスって大丈夫かよ…って感じ。
#“スパイの東芝”って、東芝許したのかよ…。

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image1934.png公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:レイ・グリグス
出 演:ジャスティン・ホウェリン、マイケル・ルーカー、クリスティーン・レイキン、ライアン・マクパートリン、トム・サイズモア、ジョン・ポリト、クリス・オーウェン、サミュエル・ロイド、ダニエル・ハリス 他




スーパーヒーローを気取るエドは、路地で強盗にあっていた女性を救出するが、なぜか無実の男を暴行したと逮捕されてしまう。裁判で、ヒーローとして不適格と判断されたエドは、ヒーローの育成機関に収容されることに。そこでは、ヒーローがトレーニングに励んでいるのだが、彼らの能力はとても正義のために役に立ちそうも無い。そんな時、悪人による強盗事件が発生。犯行現場が訓練所に近かったため彼らに出動命令が下り、急行するのだったが…というストーリー。

もう、始めから世界観がわからない。ヒーローの格好をした男が強盗をビルの数階の窓までブン投げるもんだから、てっきり特殊能力の持ち主だとおもったのだが、どうやらなりきっただけの普通の男だ…とか。スーパーヒーローを捕まえる警官がいて裁判にかけられるとかいうから、そういうスーパーヒーローが遍在する世界なのかを思ったら、まともなヒーローはどこにもいない(傍聴席にヒーローっぽい人は多数いるのだが、それが何なのかよくわからない)。

架空の世界のはずなのだが、スターウォーズやら実際のSF作品のネタが普通に存在する。パロディじゃなくて普通にそういう作品がある前提で会話がなされる。

タイムスリップしたことに何の意味があるのかわからない。飛べるかどうかとタイムスリップは無関係なように思えるので、せっかくの一発逆転シーンなのに、はぁ?となる。

エドがなんでこの一連の事件に巻き込まれたのか…という“実は”の部分は決しておかしな話ではないので、もっときちんと作れば良くなったと思うのだが、作り手が完全にチョケてしまっているのがよろしくない。
過去の自分が消滅してしまうシーンも、本当は「ヒデーッ!」って笑えるシーンのはずなんだけど、キャラが頭っからふざけてしまっているので笑えないんだな。

まあ、とにかく笑いのなんたるかもわかっていないし、ヒーロー物への愛もない。駄作だよね。まあ、ジャケットを見たらそんなことわかるじゃん…ってツッこまれそうだけどさ。暑い夜長に小難しい作品は観たくなかった…タダそれだけ。ツマらなかったら意味ないんだけど。日本未公開なのも頷ける。

 

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image1916.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:104分
監 督:グレッグ・モットーラ
出 演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジェイソン・ベイトマン、クリステン・ウィグ、ビル・ヘイダー、ブライス・ダナー、ジョン・キャロル・リンチ、シガーニー・ウィーヴァー、ミア・ストールラード、ジェフリー・タンバー、デヴィッド・ハウス、ジェーン・リンチ、デヴィッド・ケックナー、ジェシー・プレモンス、セス・ローゲン 他
コピー:ヒッチハイクしてきたのは…なんとエイリアン!?
友情は星を超える!

SFオタクのイギリス人のグレアムとクライブは、コミコン・インターナショナルに参加するためアメリカを訪れていた。彼らのもう一つの目的は、アメリカに点在するUFOに関連する土地を巡ること。二人はキャンピングカーをレンタルして各地を巡り始めたが、ネバダ州のエリア51付近を通過したところで、交通事故現場に遭遇。事故現場に近づくと、そこにはなんと本物の宇宙人が。“ポール”と名乗る宇宙人は、60年ほど前に地球に不時着し、アメリカ政府に保護されていたとのこと。グレアムとクライブは、流暢な英語を話すだけでなく、あまりに人間くさいポールに困惑しつつも、故郷に帰りたいという彼の要望を叶えるために協力することに…というストーリー。

政府組織に捕らえられていた宇宙人が脱走。母星に帰るのを心ある地球人が手助けする…というプロットは『E.T.』とまったく一緒。そして、迎えにくるUFOの着陸場所を目指すくだりは『未知との遭遇』と一緒。パクリじゃないよ、パロディでもないよ。間違いなくオマージュだと断言できる、SFへの愛がこの作品にはある。『ファンボーイズ』と同様の心地よさ。
もちろん、シガーニー・ウィーヴァーが出ているのは『エイリアン』繋がりだ。

SFオタクの二人と宇宙人によるロードムービー。オタクといっても日本のオタクとは一味違う。どっちかというと熱狂的なマニアだな。
メインキャラの二人がイギリスからきた旅行者(エイリアン)であることから、エイリアンの3人旅。途中で合流する片目の眼鏡の女性も、父親からの極端な抑圧と教育と持病のせいで、一般の社会から観ると部外者状態。最後にポールが訪れる女性(かつてポールを救出した女性)も、その証言を信じてもらえず村八分で世捨て人状態。旅をする全員がエイリアンなのだ。

そして登場人物全員が、この旅で変化するというシナリオの巧みさが秀逸(ポールは終始一貫して変化しないので、狂言廻しの役割だな)。全員がその心の引っかかりを取り払って解放されていく。その様子が痛快で清々しくすらある。たとえ下ネタのオンパレードだとしてもそう感じる。
政府機関の目を逃れて、宇宙人を合流地点まで連れて行くっていう、ただそれだけのストーリーなのに、ここまで面白くなるのは、この成長物語がすべて成立しているから。そしてその過程にポールという“妖精”がきちんと関与しているから。立派な構成だ。

SFネタのオンパレードなのかと思ったら、進化論を信じないファンダメンタリストをディスってみたり、ブッシュを馬鹿にしてみたり(実際、馬鹿なんだけど)。イギリスからみてもクレイジーとしか思えない、普通ならとても笑えないアメリカの病根を包み隠さず、うまく料理してる。

それに加えて笑いのセンスもほどよい。
フロントガラスに激突した鳥を憐れんでいたら、ポールが手をすり合わせてパワーを出そうと…。「なーんてね」って展開かと思ったのに、本当にその特殊能力を発揮。なんだ普通に生き返らせちゃうのかよ…ってがっかりしてたら、○○ちゃうんだぜ!「死んだ鳥なんて○○るかよ」だって(笑)。やってくれるわ。

全方位的に、小気味よい秀作。強くお薦めしたい一本。大満足。
 

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image0672.png公開年:2004年
公開国:イギリス
時 間:83分
監 督:ロバート・ヴィンス
出 演:クリス・ポッター、リチャード・カインド、エマ・ロバーツ、マイケル・ベイリー・スミス、ミュゼッタ・ヴァンダー、デブラ・ジョー・ラップ、パット・モリタ 他





トップ・エージェントとして大活躍するチンパンジーのミンキーとその相棒マイク。しかし、マイクの妻が急死してしまったため、幼い娘アメリアを育てるためにマイクは引退を決意する。そしてミンキーもサーカスの団員に転職する。10年後、ミンキーはサーカスの大スターに、マイクは保険のセールスマンとして、退屈な日々を過ごしていた。12歳になったアメリアは、天才化学少女に成長。画期的なレーザードリルを発明した功績が認められ、世界有数の科学者であるファーレー博士から科学功労賞を授与されることことになった。しかし、それは彼女の発明に目をつけたファーレー博士の陰謀で、巨大なドリルで地球を掘り進み、マグマのエネルギーを開放しようという目的だったのだ。ファーレーは、彼女を誘拐して日本へ連れ去ってしまうが、それを知ったマイクは、サーカス団のミンキーに助けを求めコンビを再結成する…というストーリー。

B級中のB級って作品なのに、ものすごく頑張っている。日本描写は確かに変なんだけど、出てくる日本語の看板に誤字はないし、ところどころ実際ロケをした様子もあるし、日本への愛情が感じられる。『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』を同じ志向性。
予算は無いけど時間はあるよ!だから、チンパンジーの演技は何テイクも撮れるし、日本語のチェックをする時間もあるよ!そんな感じ。

しかし、後半、息切れしちゃうのだ(笑)。車のナンバープレートの形が変だったり、タクシーが自動ドアじゃなくて屋根にランプがないとか。おしい!って感じ。それに、せっかくおもしろいキャラクターだったサーカスの仲間たちは、前半だけでお役御免になる。
でも、この力尽きていく様子が生暖かく見守れるってのが、本作の良いところ。もう、製作側も開き直っていて、槍ヶ岳に舞台が移ると「カナダに似ている…」っていって、ロケ地がカナダになっちゃう(笑)。

すると、ニッポン要素が不足してくるので、“ミヤギさん”投入。ニンジャマスターなんだけど、別にミンキーに何かを授けるわけではない。というか弱い!!最後はグダグダになるけど、まあそんなもんでしょ…ってところに不時着。なんなら次回作をつくってもいいんじゃね?って感じで終わる。

とにかく、好感が持てるコメディ。

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image1884.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:アダム・マッケイ
出 演:ウィル・フェレル、マーク・ウォールバーグ、エヴァ・メンデス、マイケル・キートン、スティーヴ・クーガン、レイ・スティーヴンソン、サミュエル・L・ジャクソン、ドウェイン・ジョンソン、リンゼイ・スローン、ナタリー・ジー、ロブ・リグル、デイモン・ウェイアンズ・Jr、ボビー・カナヴェイル、デレク・ジーター 他
ノミネート:【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】コメディ映画賞
コピー:誰もがみんな愛に迷っていたあの頃――輝きをくれたのはあなたでした。

ニューヨーク市警では、ド派手な逮捕劇で有名なヒーロー刑事ダンソンとハイスミスが大活躍中。そんな彼らの書類処理を好んでやっているアレン刑事は、捜査するよりも事務仕事が好きで、そんな生活に満足していた。しかし、アレンの相棒テリーは、自分もハイスミスとダンソンのように活躍したと常に焦っていて、自分がそうなれないのはアレンが現場に出ようとしないからだと思っている。とはいえ、そんなテリーも、ワールドシリーズの警護にあたっているときに、誤ってデレク・ジーターの足を撃つという大失態をやらかした過去があり、同僚たちからは、二人まとめて馬鹿にされていた。そんなある日、ダンソンとハイスミスが捜査中の事故で殉職してしまう。
テリーは、彼らの後釜は俺だ!と意気込みアレンを強引に外に連れ出す。しかし、アレンが捜査に向かったのは、ビル建設の足場設置の無申請という地味な事案で…というストーリー。

日本の配給会社は、無理やり“俺たち”はつけないと気がすまないようだ。「ウィル・フェレルには“俺たち~”っしょ!」なんて、別に重要視している日本国民いないし、「“俺たち”?これりゃ観なくちゃ!」なんてワクワクする人もいないから。

これまで散々ウィル・フェレルのコメディ作品を貶してきた私。毎回毎回、ブリーフ一丁で踊ってるようなギャグばっかりだし、面白いでしょ?といわんばかりのドヤ顔されても、日本ではウケないよって。でも、今回は違った。変わり者ではあるけれど下品な行動をほとんど取らない“真顔”キャラクター。むしろ、周囲の人間の行動のほうが異常っていうシチュエーション。本人は自分のことを至極まともな人間だと振舞っている、こういうのが逆に面白い。笑いの鉄則にやっと気付いたかウィル・フェレル(って、彼がシナリオを書いているわけじゃないと思うけど)。
小ネタは他の作品同様に多いんだけど、みんなが真顔でシチュエーションで笑わせようという姿勢がよい。

マーク・ウォールバーグのコメディ自体が珍しいと思うけど、ウィル・フェレルとのコンビだとやたらとハマる。ヘタレ野郎だとおもっていたら、実はリア充だってことが、徐々にわかり始める流れが、ものすご~~~~く面白い。私、にやけっぱなし。冒頭はバディものとしてチグハグなんだけど、その辺りからガッチリ噛み合っていく。
マーク・ウォールバーグが交通課に廻されたあと、そこで充実感を得ちゃうシーンの、脱力感はハンパない(笑)。なんやねん!

ザ・ロックとサミュエル・L・ジャクソンの消えっぷりが気持ちいい。彼らを画面から消して、残るのがウィル・フェレルってなぁ(笑)。マイケル・キートンのショボい上司っぷりも、本当にあんなに衰えてるんだか演技なんだかわからんけど良かった。彼を見たのはすごく久々(はじめ彼だと気付かなかったわ)。

ウィル・フェレルは、この“真顔”路線で、次回作もやってほしい。初めて彼を評価する。お薦めする。

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imageX0040.Png公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ケント・オルターマン
出 演:ウィル・フェレル、ウディ・ハレルソン、アンドレ・ベンジャミン、モーラ・ティアニー、ウィル・アーネット、アンディ・リクター、ロブ・コードリー、デレイ・デイヴィス、ジョシュ・ブラーテン、ピーター・コーネル、ジェイ・フィリップス、ジャッキー・アール・ヘイリー、クリステン・ウィグ、パット・キルベイン、エリア・イングリッシュ、アンドリュー・デイリー 他
コピー:やるときャ、やらなきャ、ダメなのよ!


1976年。『Love Me Sexy』という曲で一発当てた歌手ジャッキー・ムーンは、その儲けでミシガン州を拠点とするバスケチーム『フリント・トロピックス』を買収。オーナーだけでなく監督兼選手としてやりたい放題に振舞っていたが、そのせいでチームは毎年最下位だった。加えて、NBAに対抗して作られた新興リーグABA自体も経営難に苦しんでおり、とうとうNBAに吸収されることが決まってしまう。しかし、吸収といっても、ABAの上位4チームだけがNBAに編入され、残りの弱小チームは強制的に解散させられてしまうことに。チーム消滅の危機に直面したジャッキーは、かつてNBAのチャンピオンチームでプレーしたことのあるモニックスを加入させ、なんとか上位4チームに残ろうとするのだが…というストーリー。

NBAとABAの合併吸収話ってのは事実だし(ナゲッツ、ペイサーズ、スパーズ、ネッツがこの時NBAへ)、スリーポイントシュートってのもABAがルーツらしい。でもアーリーウープがABA発祥なのかは知らない。トロピックスってチームは架空だと思うので、もちろん主人公のジャッキーみたいな人物もフィクションだろう。
それにしても、アメリカってのはおもしろい歴史を色々もってる国だわなぁ。

一発屋歌手がプロバスケチームのオーナー兼監督兼プレーヤーっていう無茶な設定ながら、70年代でましてやコメディ作品なら全然アリかな…という説得力。とてもプロのプレイとは思えないんだが、まあどうでもいいかな…というノリと雰囲気が漲っている。

コメディ作品なんだけど、ハーフタイムのロングシュートが入っちゃうとか、銃に弾が残ってるとか、ビックリするぐらい予想を裏切らない展開で、コメディとして稚拙なのにもほどがある内容。“熊”のテンドンも、それほそ面白くないという。
そのコメディレベルの低さを補うように、スポーツコメディとしての基本をはずさない。そのおかげで、なんとか観られるレベルに。でも、はずしてはいないけど、超えてもいない。スポーツコメディなら、チームメイトのキャラにもうすこしスポットを当てて、感動ポイントとかうるうるポイントとかを作るものだけど、あそういう方向性には持っていく気配はないんだよね。
さらにこれらを補うように、70年代のディスコミュージックが格好よかったりする。
このような引き算と足し算の結果、駄作でもなければ良作でもない、おまけにウィル・フェレルはいつもほど下品じゃないという、ジャスト“普通”という着地点に。

まあ、いずれにせよ、ウィル・フェレルってのは、日本ではウケないわな。小汚いんだもん(笑)。100円レンタルなら、まあ無理やり納得できるレベル。
#SEMI-PROっていう原題はけっこう秀逸だと思うんだけど。

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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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