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公開年:1998年
公開国:フランス
時 間:80分
監 督:フランシス・ヴェベール
出 演:ジャック・ヴィルレ、ティエリー・レルミット、カトリーヌ・フロ、ダニエル・プレヴォスト、フランシス・ユステール、アレクサンドラ・ヴァンダヌート 他
受 賞:【1998年/第24回セザール賞】主演男優賞(ジャック・ヴィルレ)、助演男優賞(ダニエル・プレヴォスト)、脚本賞(フランシス・ヴェベール)




パリ在住で、出版業を営むブロシャンは、毎週友人たちとディナーパーティを催していた。しかし、そのパーティはただの食事会ではなく、仲間の間では“奇人たちの晩餐会”と称されていた。友人たちは持ち回りで、市井の変わり者を連れてきて、晩餐会で彼らの趣味や日々の生活などを好きなだけ語らせる。その奇行や変人ぶりをひそかに嘲笑するという、なんとも趣味の悪い会なのだ。そして今回はブロシャンが見つけてきた税務局勤めのフランソワ・ピニョンという男が招待される番だ。彼はマッチ棒の工作に熱中している不細工な小男だ。しかし、ブロシャンは晩餐会当日にぎっくり腰になって動けなくなってしまう。おまけに、夫の悪趣味さに辟易した妻クリスティーヌは家を出て行ってしまう。そこに、自分の趣味に興味を持ってもらったとウキウキのピニョンが、約束通りやってきて…というストーリー。

フランスのコメディって、イヤミが過ぎるとか、ヒネてるのとかが多いかな。逆に微笑ましいタイプのもあるね。その両極端だと思う。いわゆるコント的なのは、あったとしても面白くないのが大半。国民性の違いといわれればそれまでだけど、見下したり小バカにしたノリが多い。

本作のプロットも、変な人をわざわざ見つけてきては小バカにするという物なんだけど、"笑い”の質としては、そういう感じではない。むしろ、そういう上から目線の人間を逆に馬鹿にするテーマ。そして、純粋なドタバタコメディ。ドタバタといっても本当にドタバタ動くのではなくて珍騒動って感じ。

ピニョンがブロシャンの家に着くまでは、ちょっと作為がすぎるなぁ…という印象で期待薄だったのだが、彼らが二人きりになった瞬間から、馬鹿にしていた奇人に翻弄されまくるという、逆転の構図が繰り広げられる。もちろんピニョンは自分が馬鹿にされているなんて微塵も気づいていないし、ブロシャンとしてもそれに気付かれるわけにはいかない。とっとと帰ってほしいんだけど、ブロシャンに手伝ってもらわないとままならない。やることをやってもらってとっとと帰ってもらいたいんだけど、その度にピニョンがやらかして、ズブズブはまっていく。ぎっくり腰であまり動けないってのがすごく効いている。

ずっと2人芝居というわけじゃなく、ブロシャンの元恋敵や愛人、ピニョンの同僚、もちろんブロシャンの妻も登場するが、無駄に登場してわちゃわちゃするんじゃなく適度なペースで登場するのでごちゃごちゃしていない。そして全員が全員、ピニョンにやられちゃう。

フランスのコメディで、ニヤリじゃなくて普通に笑ったのは本作が始めてかもしれない。ピニョンは馬鹿にされて気の毒だなぁ~と理性では思うんだけど、一方で「こいつマジのアホじゃ~」って本気で笑った。酢をいれたらうまくなってる…とか、このレベルの小ネタも、個人的に好きだわ。

最後、自分が馬鹿にされていたことにやっとピニョンは気付く。ちょっと切ないんだけど、いい味になってる。本当にお薦め。コメディ映画としては、世界中の10指に入れてもいいレベルかもしれない。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:マイケル・ホフマン
出 演:コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、トム・コートネイ、スタンリー・トゥッチ、アンナ・スケラーン、伊川東吾、ジェラード・ホラン 他
コピー:なぜ、盗めない!?





イギリスの美術鑑定士ハリーは、メディア王で億万長者のシャバンダーに雇われていたが、人を人とも思わない横柄な態度をとり、自分を無能呼ばわりするジャバンダーに復讐しようと考える。ジャバンダーがモネの名画“積みわら、夏の終わり”を探していることを知った彼は、贋作をつかった詐欺をひらめく。まず、贋作の名人で知人の退役軍人ネルソン少佐に積みわらの贋作を作らせる。そして、入手経路に真実味を加えるために、ひとつのストーリを考える。かつて積みわらを所持していたのがナチスのゲーリングで、その別荘を攻撃したのはパットン将軍だった。そこでパットン将軍の部下の孫娘であるPJという女性を探し出し、その家から発見されたということに。PJも詐欺の仲間に引き入れて、成功の暁には報酬を山分けする約束をする。しかし、慎重なシャバンダーは、そんなところから積みわらが出てくるわけはないと、まったく信用しない。なんとかPJとシャバンダーを面談させるところまで持っていったのだが、奔放なカウガールであるPJは、ハリーの指示をすっかり無視。さらにシャバンダーがPJに熱を上げ始めたり、別の鑑定士を呼んだりと、計画はあらぬ方向に進み始め…というストーリー。

コーエン兄弟の脚本なのでもちろん大好物のハズ。でも、監督作品ではないし、『泥棒貴族』という往年の名作のリメイク…ということで、ちょと鑑賞は後回しになっていた。元の『泥棒貴族』を知らない。やっぱりコーエン兄弟作品は、独特なプロットや構成が魅力だと思うので、リメイクで力を発揮できるのか?という懸念が。

『英国王のスピーチ』でオスカーをはじめ様々な賞に輝いたコリン・ファースが主演。ひとつ極めてしまった後なので、こういう肩の力を抜いた仕事を…ってことなのかもしれない。けれど、意外と本作は難しかったと思う。
コリン・ファースの演技に文句はないのだが、さすがのコーエン兄弟でも、いわゆる“コメディー”は難しいんだなと。笑わせようとしているポイントはわかったけれど笑えなかった。おそらく日本人にはピンとこない笑い。
PJを誘うときのバーでの妄想。妄想でした…という演出、おもしろくない。ホテルの外壁をチャップリンばりにわたっていくシーン。ズボンがひらひら。ご婦人の部屋に入り込み何食わぬ顔をして切り抜けるハリー。まあ、その辺はいいのだが、ご婦人のおなら、PJの部屋でシャバンダーに見つからないようにすったもんだ…、ホテルの従業員とのやりとり、堂々とパンツ一丁でご帰宅…、ああ笑わせようとしてるんだな…という部分があまり笑えない。そうか、コーエン兄弟にも弱点があるんだな…というか、その辺は日本人と相性悪いんだな…と。過去作品では、シチュエーション的にニヤっとできる“笑い”が盛りだくさんなんだけどね。

笑いがダメなら、本筋である詐欺の部分でドキドキハラハラと驚かせてくれればいいのだが、とにかく中盤以降も詐欺師としてポンコツぷりばかり見せられる。というか、根本的にハリーが本職の詐欺師なのか、シャバンダー憎しで詐欺を思いついたポンコツ素人なのかが、判然としないのが敗因だと思う。
ちょっとネタバレしちゃうけど、実は前者で、そういうポンコツも含めて作戦なのですよ…というドンデン。でも、ああ振り返ってみると全部計画どおりだったのかぁ…という感じじゃない。持ち金がなくなって小銭を集めるところとか、後から考えてもプロっぽくないし。イヤ、プロでもそういうヘタを打つことはあるでしょ…とか、プロでもPJみたいな奔放な子には振り回されちゃうんだよ…というオモシロ場面だよ!ってことなのかもしれないけど、それがいまいちピンとこないんだな。

もしかすると、この脚本でも監督の演出次第では何とかなったのかもしれないなぁ。この監督さん、前に『終着駅 トルストイ最後の旅』を撮ってた人。演出が冗長で、コメディ向きじゃないんだよねぇ。つまんないのはコーエン兄弟のせいじゃないかも(いや、そう信じたい)。

それらを補うように魅力的なのがキャメロン・ディアス。ある意味、今回の計画のキャスティングボードを握っている人物なのだが、別に成功しなくてもいいかな…というゆるさと奔放さを兼ね備えた自由なキャラ。ハリーもシャバンダーも惚れ込んでしまう展開なのだが、年を重ねても年齢相応の魅力を爆発させているキャメロン・ディアスの説得力がすごい。若干寸胴ぎみなのだが、逆にそれが魅力的に映るほど。

なんとか彼女に救われた本作だけど、これは『泥棒貴族』を観て、比べなきゃだな。

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公開年:2011年
公開国:イタリア
時 間:105分
監 督:ナンニ・モレッティ
出 演:ミシェル・ピッコリ、イエルジー・スチュエル、レナート・スカルパ、ナンニ・モレッティ、マルゲリータ・ブイ、フランコ・グラツィオージ、カミーロ・ミッリ、ダリオ・カンタレッリ、ロベルト・ノービレ、ジャンルカ・ゴビ 他
ノミネート:2011年/第64回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ナンニ・モレッティ)
【2011年/第24回ヨーロッパ映画賞】男優賞(ミシェル・ピッコリ)、プロダクションデザイン賞(パオラ・ビザーリ)
コピー:神さま、なぜ、私なんですか?

ローマ法王が逝去。次の法王を決めるため、各国から枢機卿が集結し、システィーナ礼拝堂にてコンクラーベが開催される。選出方法は無記名投票による他選で行われるが、誰もが法王という重責を背負うことを嫌い、自分は選ばれたくないと考えていた。下馬評で本命視されていた枢機卿たちの得票が規定票数に達しないまま、時間だけが過ぎていった。そして幾度目かの投票にて、まったく予想もされていなかった無名のメルヴィル枢機卿が、運命の悪戯のごとく多数の票を集め新法王となってしまう。その結果に一番おどろいたのはメルヴィル本人。すでに聖ペドロ広場は新法王の就任を祝う人々であふれかえっていたが、パニック状態になたメルヴィルは、スピーチ直前にしり込みして引っ込んでしまう。困り果てた法王庁の報道官は、規則を曲げて外部から心理カウンセラーをこっそり礼拝堂につれてきて、メルヴィルの心を平穏にしようとするが、一向に効果が出ない。新法王が決定したにもかかわらず、数日経ってもスピーチが行われない異例の事態の中、背に腹は変えられない報道官たちは、さらに規則を曲げて、外部のセラピストに診察してもらおうと、メルヴィルをバチカンの外に連れ出すのだったが…というストーリー。

そうそう頻繁にコンクラーベなんか見られるものじゃないと思っていたのだが、2005年、2013年と二回も見ることができた。おまけにベネディクト16世は生前退位という稀有な例。本作は、この二例をモチーフにしているわけではなく、あくまで架空の設定。コンクラーベの様子は、外部に公開されることはないから、本作の描写は予想ってことだろう。
本来は選挙が終われば枢機卿は開放されるのだが、新法王が逃げまわっており、さらにそれを隠蔽しなくてはいけないから、ずーっと缶詰に。健康器具を持ち込んだり、不眠症の苦痛を大量の薬でごまかしたり、やり過ごすために趣味に興じたりと、枢機卿たちの俗っぽい部分がしつこくしつこく描かれる。極めつけはバレーボール大会。組み分けに文句をいう者や、子供っぽい態度をとる者多数。一緒に礼拝堂に缶詰になっている精神科医から見れば、彼らは異常な人々に見える。こまった人に手を差し伸べる聖職の方々のはずなのに、手を差し伸べられないといけない人々。

ちょっと露骨なカトリック批判なのかな…とも思うが、カトリック教会による性的虐待が問題になっている昨今、まあそんなもんだろう…という説得力がハンパない。教会は、それ以外にお金のスキャンダルなども抱えている。それなのにシスティーナ礼拝堂の前には、腐るほどの狂信的な信者が押し寄せている状態。むしろ、新法王になりたい!なれる!と思うほうが異常なのではないだろうか。

抜け出したメルヴィル枢機卿は、これまでの自分の人生をこれでよかったのか…と振り返る。そして、自分は人々のために何ができるのか…と。メルヴィルの苦悩はすごくよくわかる。しかし一方で、メルヴィル自体が、一般人が経験するようなことをあまり経験していないことも描かれている。教会の指導者がそれでいいのか?それで人を救えるのか?という単純な疑問が沸いてこよう。

“休日”なんていうお気楽な邦題なんかつけるから、『ローマの休日』みたいに法王がこっそり抜け出して、ドタバタでも繰り広げるコメディなのかと思ったら、そんなのんきな内容じゃない。(一応コメディにカテゴライズしておくけど、かなりシニカル。
そして、なかなか強烈なオチが待っている。カトリック教会の状況を知らなかったり、あまり深く考えないで観ていると、このオチの強烈さがわからないかもしれない。え?これ許されるの?ちょっとこれ大丈夫?と、少し不安になったくらいだ。

カトリック批判というか、宗教組織の存在自体を批判しているオチ。人間を救うことを標榜している団体が人間から乖離していることを、痛快に皮肉った作品だと思う。ドラスティックな改革が行われない限り、カトリックはゆるやかな終焉に向かうのだろうな…とまで考えさせられる作品だった。ちょっとお薦め。

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公開年:1993年
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:ハロルド・ライミ
出 演:ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル、クリス・エリオット、スティーヴン・トボロウスキー、ブライアン・ドイル=マーレイ、マリタ・ゲラーティ、ロビン・デューク、マイケル・シャノン 他
受 賞:【1993年/第47回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(ハロルド・ライミス、ダニー・ルービン)
【2006年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品


テレビの人気天気予報官フィルは、プロデューサーのリタとカメラマンのラリーと共に、パンクスタウニーという町に取材に訪れた。毎年この町では、2月2日に冬眠から覚めたグラウンドホッグというリスの一種が、春の訪れと天候を占うという行事が行われるのだ。しかし、こんな田舎町の取材にフィルはうんざりで、文句を言ってばかり。放送当日も、ホテルの従業員に悪態をつき、町で偶然であった高校時代の同級生にもイラつき、中継でもそっけなく終了。さっさと町から出ようとするが、天気は崩れないと予報していたのに、突然の吹雪が町を襲う。周辺道路が閉鎖され、電話も不通になってしまい、仕方なく一泊延長することになる。翌朝目覚めると、ラジオから昨日と同じ放送が流れ、ホテルの従業員が同じ言葉をかけてきて…というストーリー。

神のいたずらなのか、起きるとまた同じ朝を迎える男。こういうテイストの作品の主人公は、性格破綻者であることが大半だが、本作のフィルもクソ人間。とにかく性格が悪い。同じ一日を繰り返しても、やることなすことクソ行動。

確実に繰り返されるのがわかったら、儲け話とか悪巧みに使えそうだな…なんて思っちゃうけど、実際、いつこのループが終わるかわからないし、“永遠”なのかも…とか考え始めたら、そんな小さな世事なんかどうでもよくなっちゃうよね。そんな苦痛が彼を苦しめ続ける。

こんな繰り返しがイヤになってしまって、とうとう自殺をすることを選択する。しかし、また朝目覚める。なんか設定ルールを逸脱しちゃってるような感じがしないでもないけど、まあ、そうしないと話が続かないからしょうがない。
そこまで到達すると、何でもかんでも悪態をついていた自分がこだわっていたものが、ものすごくどうでもよくなってしまう。辛いんだけど、自分の意思ではどうにもならないんだから、開き直っちゃって、もしかして楽しみ始めてる?前向きでちょっとうらやましくなっちゃうくらい。うんざりするほど繰り返しながら、変わっていく彼の姿は非常に愉しい。いかにも、大人の童話っていう作品。

このお話、もの凄いどんでん返し級のオチがないと、まとまらない。さて、この大風呂敷をどうかたづけるのか!?!?…と思ってたら、身近な彼女に対する自分の思いに気付くという、スケールの小さい方向に。いやいや、そういう小さいことこそ、人生において大事なことなのですよ!ということか。あぁ、そういえば邦題は“恋は~”じゃないか。

これが本当の未来で、正しい道に修正されたってことかな。ただ、私、性格ちょっと悪いのね。ハッピーエンドとかいらんのや、基本ハッピーエンドでも、少しヒネろや!なんて思っちゃった。素直な心の人が観るととっても愉しめるだろうね。

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公開年:1986年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:ジョン・ヒューズ
出 演:マシュー・ブロデリック、アラン・ラック、ミア・サラ、ジェニファー・グレイ、ジェフリー・ジョーンズ、ヴァージニア・ケイパーズ、クリスティ・スワンソン、リチャード・エドソン、チャーリー・シーン、マックス・パーリック 他
ノミネート:【1986年/第44回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](マシュー・ブロデリック)



サボりの常習犯である高校生のフェリス。その日はテストだったが仮病でズル休みして、遊びに行くことに。姉ジニーは、そんな見え見えのウソに騙される両親に呆れると共に、自分には厳しくあたることを腹立たしく感じていた。休んでばかりで出席日数不足で卒業ができなくなりそうなものだが、フェリスは会社のコンピュータをハッキングして欠席日数のデータを改竄していたのだ。それに気付いたルーニー校長は激怒し、フェリスがズル休みしている証拠を掴み、留年させてやろうと躍起になるのだった。そんなことはつゆ知らず、病欠中の親友キャメロンを誘って、彼の父親が大事にしているフェラーリに乗って出発。さらに学校に親族が死んだとウソの電話をかけて、ガールフレンドのスローアンを呼び出すことにも成功。3人は、街に繰り出すのだったが…というストーリー。

フランス映画の邦題みたいな格好良さだが、高校生がサボって冒険する一日を描いたコメディで、サボりの常習だから、別に“突然”でもなんでもなくて、内容とはマッチしていない、何となくな題名。

悪い内容ではないのだが、好みではない…これに尽きる。この監督さんは、その後、『大災難P.T.A.』『ホーム・アローン』『34丁目の奇跡』を手掛けており、どちらかと言えば大好物の部類なのだが、本作はいまいちズレている。

まず、観客にメタ目線を向ける演出が好みではない。いや、この手法がNGというよりも、中途半端。心の声の表現ならば、もっとはっきりと効果的に使えばよい。
弟は何でもウマイことやって、私はまったく相手にされない…っていう姉ジニーのポジションもピンとこない。何なのか?本当にフェリスは好き勝手し放題。ちょっとしたピンチはあるのだが、基本的にすべてが都合よくまわっていく。この主人公の姿は面白いだろうか? むしろ頭から最後まで何の変化も無いフェリスは“背景”であって、真の主人公はジニーとキャメロンにすべきだと思う。しかし、ジニーとキャメロンにはスポットを当てきれていない。キャメロンが親離れを決意するとか、ジニーがボーイフレンドを見つけて開眼する…とか、その程度では描写が不足。もっと先まで描くべきだったと思う。ジョン・ヒューズは、何を見せるべきなのか、誤ったと思う。
別の例をあげれば、『トムとジェリー』のジェリーが無双すぎるようなものだ。10分ならおもしろいかもしれないが、それ以上は飽きる。せめて、最後はスローアンからフラれてしまって、そこから調子がくるって大ピンチになる…なんていう展開にするところだが、微塵もなし。

ただ、後の作品の萌芽がはっきり見て取れる。ルーニー校長がフェリスの家に侵入しようとするすったもんだは、『ホーム・アローン』の以外の何者でない。フェリスはなんでもうまくいってしまうが、それの完全に間逆が『大災難P.T.A.』だ。
後の作品のこと考えれば、好意的に観ることはできなくはない…が、やはり好みじゃないかな。
#最後の、校長がスクールバスに乗るシーンも、いまいちオチていないし。

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公開年:1994年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:ケヴィン・スミス
出 演:ブライアン・オハローラン、マリリン・ギリオッティ、リサ・スプーノアー、ジェフ・アンダーソン、ケヴィン・スミス、ジェイソン・ミューズ、スコット・モシャー、スコット・シャッフォ、アル・バーコウィッツ 他
受 賞:【1994年/第47回カンヌ国際映画祭】ユース賞[海外作品](ケヴィン・スミス)

  
  

ニュージャージー州のコンビニエンス・ストア“クイックストップ”で働く青年ダンテ・ヒックス。21歳の彼は、とある出来事でやる気を無くし、大学を休学している。ある日、休みのはずなのに、朝6時から店長の電話で叩き起こされ、休みを返上して働くハメに。その日は、友人たちと丸一日ホッケーをするはずだったのに。おまけに、その日はまるで厄日のようで、禁煙団体が抗議に訪れたり、恋人ベロニカの性癖を知ってしまったり、高校時代の恋人ケイトリンの婚約記事を見つけてしまったり、友人の葬式でエラいことになったり、子供にタバコを売った容疑をかけられて罰金を命ぜられたり…。隣のレンタルビデオ店で働くランダルは、何度も店を抜け出して遊びにきては大騒ぎをする始末。すっかり疲れきったところに、結婚するという記事が載った昔の恋人が店にやってきて…というストーリー。

ちょっと変な言い方かもしれないけど、映画のデビュー作ってこんな感じで撮ればいいんだよな…ていうお手本のような作品。店員の卑近な日常を題材にして、うまく膨らませているシナリオだ。決して痛快でもないし、問題作でもないし、コメディなのに大爆笑させられるわけでもないが、気負いすぎずに一本作り上げるというのが大事なんだと思う。
#リュック・ベッソンは、同じような長編デビュー作を白黒作品で撮ったわけだが(『最後の戦い』)、あれは非凡すぎて参考にならない。
たいした役者も使えないし、予算も技術も無いわけだから、シナリオとアングルと編集で勝負しなくてはならない。無い無いづくしを克服していく先に輝きが出現すれば、監督としてやっていける芽があるのかもしれない。

ダンテと客たちのやりとりが、軽妙で生き生きしているので飽きない。まあ、最後の山場として一人ご臨終しちゃうのだが、だからといって何が盛り上がるわけでもなけりゃ、教訓めいたことがあるわけじゃない。最後のランダルとの大喧嘩だって、“知るか、テメェが悪いんだろ”って言ってるだけだしね。

ただ、この監督さんの作品は、あまり見かけまへんな(笑)。『世界で一番パパが好き!』『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』くらいかな知っているのは。とはいえ、なかなか侮れない作品…ということで。

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公開年:2000年
公開国:アメリカ
時 間:83分
監 督:ダニー・レイナー
出 演:アシュトン・カッチャー、ショーン・W・スコット チェスター、ジェニファー・ガーナー、マーラ・ソコロフ、デヴィッド・ハーマン、クリスティ・スワンソン、チャーリー・オコンネル、ロバート・クレンデニン、ハル・スパークス 他
ノミネート:【2014年/第23回MTVムービー・アワード】ブレイクスルー演技賞[男優](アシュトン・カッチャー)



ジェシーとチェスターは、目覚ると前夜の記憶がスッポリ無い。一生懸命思い出そうとするが、まったく思い出せない。何故か部屋の冷蔵庫や棚にはプリンがぎっしり詰まっているが、やはり思い出せない。とりあえずプリンを食べていると、彼らの恋人である双子のワンダとウィルマから電話が掛かってくる。えらくご立腹で、どうやら彼女たちに渡すはずのプレゼントを渡しそびれている模様。ちゃんと渡してくれたら“おスペ”を貰えるとのこと。“おスペ”が何だかよくわからないが、たぶん良いものに違いないので、急いで家を出るが、ジェシーの車が見当たらない。プレゼントは車にあるにちがいない。昨夜の記憶を辿ろうと、持っていたストリップ劇場のマッチを頼りにその店を訪れる。すると、店のストリッパーは彼らのことを知っていた。やはりこの店に来ていたのだ…と思ったら、ニューハーフの店だった。おまけに、彼らから大金を預かってそのまま逃げてしまったらしく、返却を迫られる。その場は返す約束をして逃げ出したが、次はセクシーなエイリアン集団に“装置”の在り処を問い詰められ…というストーリー。

目覚めたら記憶がなくて、前日のことを手掛かりを伝いながら思い出していくが、ドタバタがエスカレートし…というのは『ハングオーバー!』と一緒。もちろんこっちのほうが古いけど。とにかく、何だかよくわからないし、かといってのっぴきならないピンチが襲ってくるわけでもないユルユルさ。

監督が中途半端に日本好きなんだろう。他のハリウッド映画同様に、トンデモ日本が散りばめられているが、一切悪気がないというのが逆にタチが悪い。なんで壁にウルトラマンネオスのポスターが?

プリンの謎、そして大金の行方。最後まで観ても、なんで見ず知らずの若者二人に大金を預けたのか、意味不明だった。テキトーすぎるよ。
プチプチでできた服をきた宇宙オタク。「ゾルダン!」ってのが彼らの合言葉。邦題はそれなんだけど、題名にするほどの重要さは皆無。さらに本物の宇宙人美女集団が登場したと思えば、男2人の宇宙人も登場。なにやら多連続変形体っていう装置を寄こせとのこと。和訳がアホなのかもしれんけど、もう、その装置名でポケットに入っていたルービックキューブがそれなんでしょ?ってわかっちゃうのもバカバカしい。ダチョウとか思いつきだよなぁ…。

それでも、各陣営が一同に介して多連続変形体を巡ってラストバトル。記憶が無いながらも、機転(?)で宇宙を救うことに。同時にプリンの伏線も見事(?)に回収。結局、ニューハーフの金のくだりって不要なんじゃね?という所を、同じロッカーに入っていた物で強引に繋げるという、外無双ばりの荒業シナリオ。でも、結局“おスペ”がなんだかはわからんのじゃ。

こんなに幼稚でくだらない内容なのに、「すげーだろ!」って胸をはられちゃった感じ。でも、観て損したとは思わなかったなぁ。日本でも、こういうノリのアイドル映画をつくればいいのにね。アリだと思うよ。いかにもエロそうなジャケット画像だけど、そんなこともないし、意外にダレも損しない内容だと思うよ。

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公開年:2001年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:ジェイ・チャンドラセカール
出 演:ジェイ・チャンドラセカール、ケヴィン・ヘファーナン、スティーヴ・レミー、エリック・ストルハンスク、ポール・ソーター、 ブライアン・コックス、ジム・ガフィガン 他







アメリカの地方都市ブロークン・リザード。ハイウェイ・パトロールのソーン、ロッド・ファーバ、マック、ラビット、フォスターは、ドライブ中の人々へイタズラを仕掛けてばかりで、まともに働いていない。そのくせ、捜査権争いで地元警察といつも小競り合いしている。そんなある日、市の予算削減を理由に、ハイウェイ・パトロールの廃止が通達される。存続させるためには、一発逆転で大手柄をあげるしかない。すると、たまたま取り調べた車のなかから、大量のマリファナを発見。これは巨大な密売組織に繋がっていると踏んだ彼らは、捜査を開始するのだが、犬猿の仲の市警は捜査協力や情報提供どころか、そんな組織の存在自体を否定し…というストーリー。

まあまあ、とにかくハイウェイ・パトロールたちの行動のくだらなさは、稚拙極まりない。愛嬌があるとか、権力者をギャフンといわせるとか、その手のイタズラではなく、純粋に目先の愉しさのための暇つぶし以上の何者でもない。

隊長はともかう、部下の4人のキャラクターに、あまり特徴を出せていない。一応、リーダー格の中東っぽい顔の人と、市警の女警官といい仲になる人と、本物のクソバカと、3人は区別がつく程度のキャラ付けをされてはいるのだが、『ポリスアカデミー』なんかと比べると弱い(もう一人は思い出せないくらいだし)。

防弾パンツのくだりが、あまりにもあり得ないうえに、長々やったわりには、その後のストーリーには関係ない。ここから判るように、一応、大筋のプロットだけが存在しており、あとはすべて思いつきだということだ。

その思いつきがつまらないか否か。前半はクッソつまらない(というかどこに向かっているのかさっぱりわからない)のだが、後半になって話の方向性が見えてくると、そこそこおもしろくなってくる。女警官との恋のゆくえと和解、クソ馬鹿のでくの坊の使い方とか、それなりにエピソードが多重化してきて、なんとか愉しめるレベルに。

おそらくキャリアの浅い脚本家だとは思うのだが、密売組織の正体に強引なオチをつけてなぎ倒していた(全然、密売組織自体を膨らます気がない)。冒頭に出てきた3人の若者が、やけにしっかり描写されていたのに、全然出てこないと思っていたら、エピローグ要員だった。まあ、がっかり展開から、やっぱり誰でもそう考えるわな…という落としどころだろう。あのエピローグで、なんとかまとまった感じ。レンタル料金100円なら、ギリギリ許せる範囲(返却する日の天気が悪かったら微妙なレベル)。

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公開年:1977年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:ジョージ・ロイ・ヒル
出 演:ポール・ニューマン、マイケル・オントキーン、ジェニファー・ウォーレン、メリンダ・ディロン、ストローザー・マーティン、リンゼイ・クローズ、スウージー・カーツ、キャスリン・ウォーカー、ポール・ドゥーリイ 他
コピー:氷のジャングルで 何が起こったか…… この顔(つら)をじっくり ご覧ください! 〈殺しの斧〉を突き倒せ! 〈離れ牛〉を蹴りあげろ! 奴らをみんな入れ歯にして 監獄にぶち込め!



悩ませていたが、いくら選手を鼓舞しても効果なし。そんな中、スポンサーである街の工場が不況の煽りで閉鎖されることが発覚。レジとチームメイトのネッドはチームの解散を覚悟したが、なぜかマネージャーのジョーはまったくの無名選手である、ジャック、スティーブ、ジェフの3兄弟をスカウトしてくる。3人は全員が眼鏡にくせ毛で、幼稚で粗野な行動をとるためとても試合には出せない。当然、連敗街道まっしぐら。一方、ネッドは別居中の妻との復縁が絶望的となり、同じく妻と別居中のネッドも関係が改善する兆しが見えない。そんな中、次の対戦相手のとある情報を酒場で知ったレジ。自暴自棄となったレジは、試合中に相手のゴールキーパーに「お前の女房はレズビアン」だと囁きかけると激昂し乱闘に。その勢いでチーフスはシーズン初勝利を手にする。それ以降、チーフスは暴力的なプレーが売りのチームに変貌。試合に出た3兄弟は持ち前の粗暴さを発揮してファンの心を掴む。連日血みどろのプレーを繰り広げ勝利を物にするチーフスは大人気となるが、フェアプレーは信条のネッドは、この状況に満足できず…というストーリー。

はじめに反則技の説明をするインタビューシーンから始まる。いまいちホッケーのルールを知らない私からするとありがたい説明だし、この作品がラフプレーが鍵になるストーリーだということを示唆する、うまい演出だと思う。

ダメチームがのし上がっていく展開は、アメリカ映画ではお馴染みだが、あまりにバカバカしい上に、ジリ貧な状況すぎて、一週廻って微笑ましく思えるほど。マイナーリーグとはいえプロなのだが、セミプロ状態。そんなレベルなら、チームが無くなるなら、年貢の納め時ってことで転職でもしたほうがマシなんじゃないかと思うのだが、まともに働く気よりも薄給なプレイヤーのほうがマシってなくらいの、ダメ人間の集まりなのだ。
新加入の3兄弟に至っては、人格破綻者といってよいハチャメチャぶりで、ホッケー以外になにが出来るのか?ってレベル。いや、そのホッケーもまともじゃないっつーね。

レジはなんとかチームに付加価値をつけて、どこか買ってもらおうと、姑息な手ながらも画策する(何のアテもないハッタリ)。このまま普通にプレーしていたって、何が残るわけじゃない。なりふり構わず、あらゆる手を使って、敵チームを貶めていく。そりゃ実力のないチームなんだから相手を貶めるしかない。

何故か苦肉の策のラフプレー殺法が功を奏すのだが、その結果、はたしてチームは売れるのか? 結構、肝心な部分だと思うのだが、その辺はうやむやな状態でお話は終わる。その辺を消化不良に感じた人は多かったのだろう。だから続編ができたんだろうな。

綺麗なプレーをしたいネッドとはもちろん意見が合わなくなる。妻の問題でもレジとネッドは反目することに。さてさて、この二人の間は修復されるのか。それぞれの夫婦関係は? その顛末も、リーグ戦の結末も、すべてが馬鹿馬鹿しい。だけど、チョケてはおらず、マジメに馬鹿馬鹿しい。それどころか、お下品なのに爽やかに感じるところに好感が持てる。お気軽に鑑賞できた良作だった。

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公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:121分
監 督:アダム・マッケイ
出 演:ウィル・フェレル、サシャ・バロン・コーエン、ジョン・C・ライリー、ゲイリー・コール、マイケル・クラーク・ダンカン、レスリー・ビブ、ジェーン・リンチ、エイミー・アダムス、アンディ・リクター、モリー・シャノン、グレッグ・ジャーマン、デヴィッド・ケックナー、イアン・ロバーツ、ジェイク・ジョンソン、エルヴィス・コステロ、モス・デフ 他
受 賞:【2007年/第16回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(ウィル・フェレル、サシャ・バロン・コーエン)


父親のリースが酒とドラッグに溺れて家を出て行き、それ以来、母親の育てられたリッキー・ボビー。幼い頃かスピードに取り付かれていた彼は、人気カーレース“NASCAR”の参加チームの一員だったが、ひょんなことから、ドライバーとして参戦するきっかけを得る。そのチャンスを得ると、瞬く間に才能を開花させてドライバーの頂点に君臨。子供の頃からの親友カルもドライバーにして、コンビプレーで敵無し状態に。莫大な収入を得て、豪奢な生活を送る日々だった。そんなある日、F1レーサーのフランス人、ジャン・ジラールがNASCARに参戦してくることに。強力なライバルの登場に苛立ちを隠せないリッキーは、過剰な対抗心からレース中に大クラッシュしてしまう。依頼、スピードに対する恐怖を抱いてしまい、参戦は不可能になってしまう。収入が激減しただけでなく、何と妻までカルに寝取られる始末。とうとうピザのアルバイトをするまでに成り下がってしまうのだったが…というストーリー。

不幸な生い立ちながら、ワンチャンスを物にして成り上がるというサクセスストーリーかと思いきや、調子こいて、とんでもないクソ野郎にという展開。ウィル・フェレルがそれを演じると、コメディのラインを超えて、本当に不快に映る。スゴいんだかスゴくないんだか。いまいち日本でウケないのは、そういう部分だと思う。個人的には嫌いではないけど(正直、彼のギャグは嫌いじゃない)。

で、彼にフランス人ドライバーのライバルが登場して、大ピンチになるのだが、相変わらずクソ人間っぷりで、応援したい気にはならない。かといってフランス人ドライバーも応援したいキャラじゃない。別にゲイだからってわけじゃない。性格がクソなの。で、だれのことも応援したくない内容のお話を、愉しめるか?って話。このお話全体が、俯瞰で眺めると状況がおもしろいな~ていう演出をしている訳じゃないから、シラけるんだよね。前半で観客の心を掴むのに失敗していると思う。
こんなにくだらない内容なのに、レースシーンはものすごくお金がかかっているのが良くわかる(でも、客に「もったいねーなぁ」って思わせちゃだめだよね)。

そのままフランス人と揉め続ける構図なのかとおもったら、焦点は相棒に移っちゃう。フランス人ドライバーをあまりうまく使えていないシナリオだと思う。
一番腹立つのが、リッキーのクソガキどもなんだけど、もう救いようのないレベルで、これ、どうやってオチつけるんだろ…って感じ。このままクソ作品で終わるのかと思いきや、それなりにまとめてくる。アメリカ映画界の脚本テクニックってすごいわ…と、その点については、素直に感心する。

クソガキのくだりも、父親のくだりも、最後の盛り返しはスゴいかったと思う(サシャ・バロン・コーエンの使い方はちょっともったいない気gするけど)。なんで脚本家はもっと前半でこの力を発揮できなかったのか。脚本には、ウィル・フェレルと監督のアダム・マッケイがクレジットされている。どっちかが書いた脚本を、見かねてどっちかがテコ入れしたって感じなのかな。

まあ、安定の日本未公開…というレベル。

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公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:リアム・リンチ
出 演:ジャック・ブラック、カイル・ガス、JR・リード、ロニー・ジェイムス・ディオ、ポール・F・トンプキンス、トロイ・ジェンティル、ネッド・ベラミー、フレッド・アーミセン、エイミー・ポーラー、ティム・ロビンス、デイヴ・グロール、ベン・スティラー、ミート・ローフ、コリン・ハンクス、エイミー・アダムス、ジョン・C・ライリー 他
コピー:目指すはロックで“成り上がり”



JBはロックが大好きな少年だったが、敬虔なクリスチャンで厳格な父親は「ロックは悪魔の音楽」だといって固く禁じていた。JBは、ロックの神と崇めるディオから「ハリウッドを目指せ」と啓示を受け(たと思い)、ハリウッドを目指しs家を飛び出しすのだった。とはいえハリウッドの場所すら知らず飛び出したため、長年アメリカ全土を放浪することとなち、とうとう本場ハリウッドに到達したことには、はすっかり大人になっていた。JBは該当でギターを弾くおじさんのKGと出会う。KGのギターの腕前にほれ込んだJBは、一緒にバンドを組もうと持ちかけるが拒否される。その夜、JBが街角のベンチで寝ていると、『時計じかけのオレンジ』の扮装をした男達に袋叩きにされてしまうが、それを通りかかったKGが救うのだった。その後、すったもんだの末、二人はロック・ユニット“テネイシャスD”を結成する。ある日、音楽雑誌を観ていると、ロックスターが同じピックを持っていることに気付き…というストーリー。

冒頭の子役がジャック・ブラックに似すぎで笑える。掴みはOK。
小学生くらいの男の子が家出して放浪した末に、すっかり大人になってやっとハリウッドに到着とか、色々意味がわからない(高校生くらいの年齢だっていうならわからんでもないが)。だけど、全編を通してこういうノリの作品なの。ツッコミを入れる気は、早々に放棄することになる(良い意味でも悪い意味でも)。

自分はロックの世界で生きる、絶対に成功する…と、根拠のない確信によって行動原則が貫かれている。“自分はすごいロックスターだ”という勘違いではなく、そうなれるという前向きな勘違いなので、気持ちがいいちゃ気持ちがいい。

上のあらすじで“すったもんだの末”と簡単に書いたが、ユニット結成のミソはその部分に詰まっていて、KGが自らを実は有名な音楽関係者と偽ってJBを騙す、バレる、よくわからんけど仲直りする…という、かなりこねくり回した内容になっている。正直、文字でおこしてしまうと意味がわかんない展開だったりする。

で、そうやって腹ボテなおっさん二人が、ロック魂を発露してく様子が綴られていくなら、さぞや面白かったのだろうが、“成功するためには、伝説にピックが必要”っていう物のせいにしちゃう展開になる。これを良しとするかどうか。その伝説ってのが比喩とかではなく、本当に悪魔の所業という、ファンタジーになっていく。まあ、物に頼っちゃだめよ…っていうオチにはなるんだけど、教訓めかした流れに面白さがあるわけではない。

さらに、KG役の人が、二人でロックスターを目指し始めた途端、つまらないキャラクターになっていく。ほぼ、後半は反目してばかりなので、一緒におもしろいことをするという流れも少なくなっていく。

脚本家も飽きてきたのか、終盤のシナリオはかなり雑。赤外線解除のスイッチが、赤外線の先にある意味が不明とか(閉じ込められた時用っていう解釈もできなくないけど、あれだけ赤外線が密集してたら、綺麗に閉じ込められる方が稀だし)。そういう雑なノリはわざとなのかもしれないんだけど、わざとに見えないんだよ。

要所要所で、ロック・ミュージカルな演出が挟まれるのだが、作品を通して統一感があるのはコレ。この要素ももっと多くして全面に出していけばよかったと思うのだが。

ちょこちょこクスりとできたが、そこまでの作品。ちょっとギターを買いたくなったけどね。

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公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:ジェフ・シェイファー
出 演:スコット・ミシュロウィック、ジェイコブ・ピッツ、クリスティン・クルック、ミシェル・トラクテンバーグ、マット・デイモン、ジェシカ・ボース、ヴィニー・ジョーンズ、トラヴィス・ウェスター 他






卒業式の日に彼女にフラれたスコット。ドイツ語の科目の手伝いをしてもらって以来のメル友のドイツ人マイクへ、グチのメールを送信すると、同情したマイクから「慰めにアメリカに行く」という返信が。とっさに「オレはゲイじゃない!」と返信してしまう。ところが、弟からの指摘で、実は“マイク”はドイツ語読みでは“ミーカ”で女の子であることが判明。あわてて謝罪メールをするものの、既にメールはブロックされてしまっていた。なんでも相談できる友達を失ったことと、実は女の子だった勿体なさが相まって、居ても立ってもいられくなったスコットは、友人のクーパーと一緒に、彼女が住むベルリンへ向かうことを決める。予算が少ない彼らは、安い便を使って一旦ロンドンに入り、そこから陸路でベルリンへ向かうのだったが、さっそくフーリガンに絡まれてしまい…というストーリー。

メールをブロックされたって、別の人のアドレスからメールすりゃいいだけだろ…って。旅の始まりがそんなマヌケな演出から始まるのが残念なのだが、結果的には、悪くない作品だった。

若者の性がテーマで、裸祭りでモザイクもなしという映像的には過激な作品なんだけど、トータル的には全然エロく感じなくて、不思議とライトなコメディにうまくまとまっている。
日本人の私からしたら、性の奔放具合は、アメリカもヨーロッパも変わりないだろ!って思うけど、作中「ヨーロッパの大胆なセックスに嫌気が差した人間が、アメリカに移住してきたのだ」みたいなセリフがある。アメリカ人は自分たちの国をつまらないと自覚している模様。興味深い。

ロードムービーとしてもなかなか優秀。目的地にたどり着けなくなる原因として、フーリガンやら、頭のネジが外れたトラック運ちゃんとかが出てくるんだけど、魅力的に描かれている。特にフーリガンの兄ちゃんはいい味だった。随所にちりばめられたギャグも、日本人でも十分理解できるセンスで好感が持てた。

終盤に向かい、舞台がイタリアになるあたりで、休息にギャグのパワーが落ちる。サンマルコの鐘のくだりとか、いくらなんでもそれはない…って感じ。安易でつまらなかった。冒頭のメールブロックの件と、この件だけが残念な点かな。

青春ギャグ&ロードムービーとしては、ちょうど良い頃合い。いや、完成度は高いと言い切ってしまって良いと思う。いいセンスの監督だと思うのだが、その後パっとした活躍がないのが不思議。軽くお薦めしたい作品。

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公開年:2008年
公開国:アメリカ、ドイツ
時 間:101分
監 督:デヴィッド・ウェイン
出 演:ショーン・ウィリアム・スコット、ポール・ラッド、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジェーン・リンチ、ボビー・J・トンプソン、エリザベス・バンクス、ケン・チョン、ケン・マリーノ、ケリー・ケニー 他
ノミネート:【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】コメディ映画賞
【2009年/第18回MTVムービー・アワード】ブレイクスルー演技賞[男優](ボビー・J・トンプソン)


飲料メーカーの営業マン、仕事に一切ヤル気なしの男ダニーと能天気なエロ男ホイーラー。親友同士の二人は、コンビを組んで、学校を中心に栄養ドリンクの営業活動をする毎日。ある日、ダニーは弁護士をやっている恋人から同棲解消を言い渡され、いつも以上にやる気を失ってしまう。とある学校での営業活動を終えると、社用車が駐車違反でレッカーされそうになっている。説明しても一切耳を貸さない警察とレッカー車の運転手に腹を立て、強引に車を取り返そうとするが、事故を起こし逮捕されてしまう。禁固刑が下されそうになるが、元恋人のおかげで150時間の社会奉仕で許されることに。しかし、その内容は、問題児の更生を手助けする施設で子供の面倒をみることだった。ダニーは、中世の騎士になりきって戦闘ごっこをするゲームにハマリすぎて日常でも騎士のつもりでいる少年オージーの担当に。ホイーラは、口が悪くて生意気で性に異常に関心をもっている少年ロニーの担当になる。なんとか150日をやりすごそうと考えていた二人だったが、予想以上の問題児で…というストーリー。

悪い設定ではないし、理解できないわけではないのだが、このような、実刑か社会奉仕を選ぶというシステムが日本では少ないし、ましてや、そうい社会奉仕活動を民間施設にまかせちゃうという発想が日本にはないので、いまいちリアリティは感じない。
個人主義のくせに、子供の教育を社会に丸投げしる親の姿勢が、とても腹立たしく感じられる。途中で、二人がドジを踏んだということで、施設を追い出されるのだが、どうかんがえても二人の子供の親の教育環境がおかしいのが問題。執行猶予を付ける条件として、かなりヘビーな社会奉仕を義務付ける制度は、日本でも導入させるべきだというのが持論なのだが、本作のような施設まかせの状態は好ましくないと思うし、現場のさじ加減ひとつで収監されてしまうような隷属関係を簡単に生むような状況にはすべきでないと…。
#まあ、作品の内容とは無関係(気になっただけ)。閑話休題。

一応バディものなんだけど、大人の二人が反目しあったり協力したり…というすったもんだがメインじゃなくて、それぞれが別の子供とコンビを組んで、各々が成長していくという構成なのが面白い。各コンビが打ち解けていく過程は、なかなかほっこりさせもらえたと思う。
でも、ヘタをすれば、バラバラなストーリーのまま、まとまらずに終わる危険を孕んだプロットだと思う。しかし、最後は中世騎士ごっこでなんとか集約(かなり強引だけど)。まとまったのは“KISS”のおかげといえなくもないけど。
#施設の校長が、もう一つうまく使いきれていない印象。敵役でもないし、味方でもないし、ネタ要員としてのただのエロおばさんでもないし、役割が中途半端かも。

王様役のケン・チョンは、『ハングオーバー』シリーズのミスター・チャウの人ですわ。倒錯気味のクソ人間をやらせたらピカ一だけど、今後まともな役をやるのは難しいよなぁ(笑)。いっそ、シリアルキラー役とかかね。

笑いとほっこりの合わせ技で及第点…って感じだけど、エロネタがえげつないので、家族でみるのは要注意。

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公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:スティーヴ・ピンク
出 演:ジョン・キューザック、ロブ・コードリー、クレイグ・ロビンソン、クラーク・デューク、クリスピン・グローヴァー、リジー・キャプラン、チェヴィー・チェイス、セバスチャン・スタン、リンジー・フォンセカ、チャーリー・マクダーモット、コレット・ウォルフ、クリスタル・ロウ、ジェシカ・パレ、ケリー・スチュワート 他



恋人との同棲を解消したアダム、妻に浮気をされたニック、自殺未遂をしたルーの3人は、若いころから友人同士だったが、いまではすっかり悩める中年。3人は、アダムの甥でオタク青年のジェイコブを加えて、気晴らしに思い出の地である山奥のスキーリゾートに出かけることに。ホテルの部屋に備え付けられているジェットバスで、大酒をくらって一晩中大騒ぎした4人は、翌朝目が醒めると、24年前の1984年にタイムスリップしており…というストーリー。

日本未公開作品。ダメ人間がタイムスリップして、自分の人生を見つめ直し、変えようというお話。まあ、ありきたりの筋だね。おもしろくないわけではないのだが、1800円とって上映するレベルではないわな。

「きっとこれは、ジェットバスタイムマシンだ…」というセリフを言って、カメラ目線。こっち見んなって(笑)。そういうノリの作品だ。

タイムスリップしたあと、お互いは中年の姿に見えるのに、周囲に人からは昔の姿に見えている…とか、過去に存在しない未来人のジェイコブはそのまま見えている…という、極めてご都合主義的な演出上のルールについては、目をつぶろう。

頭から、未来を変えようという目的で行動するわけではなく、はじめは未来を変えないように過去と同じような展開を甘んじて受けるという規則で行動する彼ら。よくあるタイムスリップ映画のルールに縛られているのか、未来を変えちゃダメだ!っていう恐怖感すら覚えてるのね。自分の人生なんてクソだと思っているくせに、未来の自分は変える気がないという、微妙な感覚がおもしろかった。変えちゃだめだ!って行動しているのに、微妙にズレちゃう。だけど結局同じ方向性になっちゃう…っていう展開も愉快。うん。ここまではそこそこおもしろいの。

でも、あることをきっかけに、もういいや…変えちゃう!ってことになってしまう。描写は下品だし、記憶にはないことなんだからそいつが父親っていうのは理論的に変だし、どうも辻褄があわない流れに。
どうせクソみたいな未来なんだから変えちゃえ!ってノリだったんだけど、なぜか過去と同じ結果になっちゃうっていう流れの方がよかった気もするけど、それだとジェイコブの扱いが難しくなっちゃんだよね。キャラ構成がストーリーをおもしろくするのを阻害している感じがする。

で、最終的にかなり思い切ったオチが待っている。未来に戻った彼らは面食らうのだが、とてもうれしそう。記憶もないのにその状態になってうれしいかな? っていうか生活できるかな? 私には、全然、ハッピーエンドに見えないし、皮肉が利いてるようにも見えなかったし。色々、首を傾げることが散らばってる作品だった。
愉しい要素は結構あったんだけど、同じ量くらいマイナス要素もあって、プラマイゼロの凡作ってところ。

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プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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