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0c25c321.png公開年:2002年
公開国:アメリカ
時 間:140分
監 督:マーク・フォスター
出 演:ビリー・ボブ・ソーントン、ハリー・ベリー、ピーター・ボイル、ヒース・レジャー、ショーン・コムズ、モス・デフ、マーカス・ライル・ブラウン、ミロ・アディカ、ウィル・ロコス 他
受 賞:【2001年/第74回アカデミー賞】主演女優賞(ハル・ベリー)
 【2002年/第52回ベルリン国際映画祭】銀熊賞:女優賞(ハル・ベリー)
 【2002年/第26回日本アカデミー賞】外国作品賞
コピー:たかが愛の、代用品。

ジョージア州の州立刑務所に勤務するハンク。かつて自分の父もここに勤務しており、今、息子ソニーも勤務し始め、親子三代看守の一家である。ハンクが引き継いだの職業だけでなく、黒人差別主義も引き継いでいたが、ソニーは心優しい男で親たちの考え方に疑問を感じていた。そんな中、黒人の死刑囚ローレンス・マスグローヴに対する刑が執行されることに。ハンクとソニーが執行の任務に就いたが、慣れないソニーは取り乱してしまい、満足に職務を遂行することができなかった。これに激昂したハンクは、ソニーを強く叱責。家に帰ってもソニーを許すことができず、彼を追い出そうとするが、ソニーが逆襲しハンクに銃を向ける。ソニーは父親に自分を愛しているかと尋ねるが、ハンクは無情にも愛していないと応える。すると、ソニーは自分は愛していると告げ、そのまま自分の胸に発砲し自殺してしまう…というストーリー。

ヒース・レジャー演じるソニーが早々にお亡くなりになる。早逝した今、改めて観るとちょっとぞっとするシーンだったりする。

ハンクは、単に高圧的な男というわけではない。ハンクの父が、何をやってもハンクを褒めることなく育てた結果、ハンクは人を悪く評価するようになってしまっており、また、子供の褒め方がわからない人間になってしまっている。また、常に怒られ否定され続けたため、何をしても身の入らない人間になってしまっている。いやいや、彼は刑務所で責任を持った仕事についているじゃないか。その責任感ゆえに息子を攻め立てていたのでは?と思うかもしれないが、それは、彼の父が“男”とは男らしい仕事に就いていることだと刷り込んでいるためである。
人間としての本来の下地は責任やストレスを感じることは大嫌いなはずなのに、刷り込まれた社会性ゆえに正反対な人間を演じなくてはいけない。そのアンビバレントな状況を長く続けているが故に、仕事場では高いストレスを感じ続け、高圧的な人間になっていしまっているのだ。それが証拠に仕事をやめてしまった彼の、邪気の消えた姿よ。とても別人とは思えないほどで、いかに看守という職業に就いていることや、家族の中で男らしく振舞うことが、彼に影響を及ぼしていたか判るというものである。

せめて息子が同じ職場でなければよかったのだが、まあ、そこが南部社会らしいシチュエーション。息子は息子で、父(というか親)の愛を渇望していたながらも家庭ではそれを得ることができなかったため、“職業”という緩衝材がれば、仕事を通せば父の愛を得られるだろうとかんがえ、同じ職場に入ったのだろう。私はそう考える。しかし、祖父、父と受け継がれた負の遺産はそう簡単には消えない。父はついぞ息子に愛を傾けることは無かった。目の前で息子が自殺したというのに淡々としたハンクの様子が、そら恐ろしく見えるのだが、愛を感じたことが無いのだから人並みの悲しみが彼を襲うことはないのである。

肉欲の愛が、家族への愛と同じというつもりはないが、レティシアとの関わりによって“人”に対する愛を始めて知る。はじめは、おなじく息子を亡くしたシンパシーからだったかもしれないが、そのとまどいは「これが愛だ」という確信に変わるわけだ。
#そこまで激しすぎるセックスシーンが必要かどうかは、10年ぶりに観たいまでも疑問だが、まあ、これが無ければ話題になることもなかったし、ハル・ベリーが色々受賞することもなかっただろう。

じゃあ、ハンクと売春婦やダイナーの女との関係と、レティシアとの違いは何か。それは案外、“期待されること”なのかもしれない。自分の父親から求められることがなかったものであり、それに気づき、父の呪縛を解くわけだ。

そして、特徴的な場面といえばやっぱりラストだろうね。どう考えても二人の関係は壊れそうなのに、ただアイスクリームを買ってきた彼の様子を見ただけでなんとなく、まとまってしまうという、この奇妙な感覚。プラスチックのスプーンがなんとなく、彼の幼児性というか、子供のころからストップしたままの何かを象徴しているようである。見た目はおっさんだが、ハンクを見つめるレティシアのまなざしの半分は、息子を見つめるそれであるようにも見える。

展開の予測を微妙にはずしてくる、うまいシナリオだと思うし、人生に疲れきった残ったぼろ布同士の愛が、なぜか綺麗に見えるという、大人の作品。これも、時間を経てから観なおすと、味わいが増す。
#しかし、今観ても、コピーの“たかが愛の、代用品。”という意味がわからない。理解できないのは、私の愛の修行が足りないからか?(笑)

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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