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image1809.png公開年:2010年
公開国:イギリス、オーストラリア
時 間:118分
監 督:トム・フーパー
出 演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター、ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビ、ジェニファー・イーリー、マイケル・ガンボン、ロバート・ポータル、エイドリアン・スカーボロー、アンドリュー・ヘイヴィル、ロジャー・ハモンド、パトリック・ライカート、クレア・ブルーム、イヴ・ベスト 他
受 賞:【2010年/第83回アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(コリン・ファース)、監督賞(トム・フーパー)、脚本賞(デヴィッド・サイドラー)
【2010年/第45回全米批評家協会賞】助演男優賞(ジェフリー・ラッシュ)
【2010年/第77回NY批評家協会賞】男優賞(ジェフリー・ラッシュ)
【2010年/第36回LA批評家協会賞】男優賞(ジェフリー・ラッシュ)
【2010年/第68回ゴールデン・グローブ】男優賞[ドラマ](コリン・ファース)
【2010年/第64回英国アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(コリン・ファース)、助演男優賞(ジェフリー・ラッシュ)、助演女優賞(ヘレナ・ボナム=カーター)、オリジナル脚本賞(デヴィッド・サイドラー)、作曲賞(アレクサンドル・デスプラ)、英国作品賞
【2011年/第24回ヨーロッパ映画賞】男優賞(コリン・ファース)、編集賞(タリク・アンウォー)、観客賞(トム・フーパー)
【2010年/第26回インディペンデント・スピリット賞】外国映画賞(トム・フーパー)
【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】主演男優賞(コリン・ファース)、オリジナル脚本賞(デヴィッド・サイドラー)
コピー:英国史上、もっとも内気な王。

英国王の次男次男ジョージ6世は、吃音というコンプレックスを抱えている。そのため、幼い頃から人前に出ること嫌がり、内向的な性格となってしまった。とはいえ、王室の一員としての役目を果たさねばならないため、吃音を克服しようと、これまで何度も治療を受けたのだが、一向に改善する様子は見られなかった。そんな夫のために、妻エリザベスがが見つけたのは、スピーチ矯正の専門家という看板を掲げるオーストラリア人ライオネル。彼は、たとえ王子であっても、患者と医者が対等な態度で接することを条件に治療を請け負う。その風変わりな治療法は、時に王子の怒りを買うこともあったが、継続されてていった。そんなある日、父王の退位後に即位した兄エドワード8世が、王室が認めない女性と結婚をするために、突如王位を返上してしまう。王位の継承など望んでいなかったジョージは困惑してしまい…というストーリー。

今のエリザベス女王のお父さんのお話。コピーには“内気”とあるけど、そうではないでしょ。どちらかといえばナイーブという表現が近いのでは。吃音という症状は、その生い立ち・原因を聞くと、フロイトが診たら小躍りして喜びそうな症例だ。王室なんだからもっと王子の生活くらいしっかり監視してやれよ…と思うのだが、まあ、とにかく、そんな状態になるの仕方がないな…と。

殺すだ死ぬだ…でもなく、惚れた腫れた…でもなく、飛んだり跳ねたり…でもなく、お涙頂戴でもない。そういう要素が一切皆無の映画が存在するだけでも素晴らしいと思うのに、ここまで観ている者の心を繋ぎとめるのだから。
おっさんがドモリを治療しているだけなので、こじんまりとした印象に感じられても仕方がないかもしれない。しかし、ナチス禍が吹き荒れる世界という大きな波と、王族とはいえ一人の男の吃音治療というプライベートな事柄のコントラストが実におもしろい。そして、それらは否応なしに絡み合う。

そのシチュエーションの妙を際立たせているのが、ジェフリー・ラッシュ演じるライオネルのキャラクター。実際にこういう人物だったかは知らないけれど、治療士としての信念だけではなく、愛すべき隣人のためになら自分の立場が危うくなってもかまわないという、主従関係とも単なる友人関係とも異なる稀有な感情が、非情にうまく表現できている。

本人は決して王になどなりたくないというナイーブさと同時に、家族や民への愛も持ち合わせる、アンビバレントでありながら胆力を兼ね備えた王子を演じきったコリン・ファースも見事だが、兄のエドワード8世の放蕩っぷりを見事に演じたガイ・ピアースも褒めたい。こういう王族のスキャンダルもしっかりと描けるイギリスが羨ましい。オープンな王族が必ずしも好ましいとは思わないけれど、こういう卑近なネタが完全にタブー状態の日本の皇室が、いいとも思えない。50年くらい経過すれば、日本でもこのくらいオープンに表現しても、問題ない空気を寛容してもらいたいものだ。
#まあ、イギリスの場合、性的に逸脱していない男系の人を探すほうが難しいけどね。“善良王”なんて称されるジョージ6世の方が珍しい。

クライマックスはジョージが原稿を読むだけなのに、何、この盛り上がり。それもひとえに、ジョージ6世とライオネルの人物像、それぞれの弱さが魅力的に表現できているから。そしてそれぞれが、身近な人のために、他人からみれば小さな障害物だが、それを一生懸命越えようと真摯に向き合っているのが伝わり、私たちも思わず応援してしまうからに他ならない。ドラスティックさ皆無の展開ながら、受賞のオンパレードなのも肯ける。

きれいにまとまりすぎの感じはするが、文句なしの名作。イギリス王室の、映画界への貢献が実にうらやましい。
 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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