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image0208.png公開年:2006年 
公開国:韓国
時 間:116分
監 督:キム・ヨンファ
出 演:キム・アジュン、チュ・ジンモ、イム・ヒョンシク、イ・ハヌイ、イ・ウォンジョン、キム・ヨンゴン、ソン・ドンイル、ソ・ユン、キム・ヒョンスク、パク・フィスン、パク・ノシク、イ・ボムス、リュ・スンス  他
コピー:整形、OK?過去と脂肪を捨て、愛を手に入れられるのか?



歌の上手いカンナは歌手を夢みて音楽界に入るが、身長169cmで体重95kgの彼女はスターになることはできず、今はスター歌手アミの舞台裏で声をあてる仕事をしていた。そんなある日、秘かに心を寄せていたプロデューサー・サンジュンの言葉に傷付き、全身整形して生まれ変わることを決意する。1年後、美しく生まれ変わったハンナは韓国系アメリカ人ジェニーとして、念願の歌手としてデビューすることになるのだが…というストーリー。

日本のマンガが原作なのだが、聞き及んでいるストーリーとちょっと内容は異なるような…。容姿のよろしくない人でも中身がよければ…っていう綺麗事をいうのは簡単だけど、美人の中身はやっぱり美人だったり、ブサイクな人の心はやっぱりブサイクだったりしちゃうのよね…とか、ちょっとシニカルというかイタいというか、そういう切り口から人間性というものを描いたコメディだと思っていたのだが。本作は超デブでブサイクな女性が美人に整形して、すったもんだがあるというタダのドタバタ。これ、ホントに日本のマンガでドラマにもなったアレが原作なのか?

悪いわけではないのだが、話の深みが全然ない。それに加えて、不愉快とまでは言わないけれど、なんか引っかかる。
たしかに原作はブサイクな人の社会的な扱いとか、いじめられる様子を描いているのは事実だけど、なんだかんだいって日本の場合、どれだけブサイクでも職業的に認められていれば、社会的に貶められるようなことはない。でも、本作を観ていると、韓国では、ブサイクな女性というのは美人の女性にへりくだったりご機嫌をとったりするのが普通の状態で、見た目の差はどうやっても補うことができないという社会ルールがあるようにみえるのだが(気のせいか?)。もしかして韓国ってそういう国?

その他にも、ボケてる父親だとか睡眠薬自殺未遂だとか、コメディのノリを削ぐようなエグい要素を放り込んでくる。韓国って弱者というかマイノリティというか、そういう人たちを心の底で本気で見下したりはしていないだろうか。なんか、ムズムズと嫌悪感がしてくるのだが、考えすぎか?

結局、こういうテーマにもかかわらずメッセージ性が皆無なので、最後も尻すぼみ。なんとなくテキトーにまとめた感じで終了。それでも、まあまあのドタバタと主演女優のキュートさで、そこそこ観れはする。これも、昨日の『リアル鬼ごっこ』と同様に、数本のビールをかっくらって観れば楽しめると思う。

#太った特殊メイクの質がイマイチとか、歌のクチパクが合ってなくて興醒めとか、高須クリニックの人の吹替えは、公開時は話題作りとしてよかったんだろうけど、DVD化の時は変えたほうがよかったんじゃないかなとか、難点はいくらでもあるのだが、まあ、それを直したところで…ってところかな。

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image0146.png公開年:2008年 
公開国:日本
時 間:128分
監 督:中田秀夫
出 演:松山ケンイチ、工藤夕貴、福田麻由子、南原清隆、平泉成、福田響志、正名僕蔵、金井勇太、佐藤めぐみ、石橋蓮司、藤村俊二、鶴見辰吾、高嶋政伸 他
コピー:もう、誰も失いたくない──L、最期の23日間。




夜神月との最終決戦にて、自分の命とワタリの死という代償を負って終止符を打ったLは、残りの時間を世界中の難事件を解決することに費やしていた。その頃、謎の病原菌に襲われたタイの村が焼き尽くされ消滅。そして、その村の唯一の生き残りの少年が、ワタリ宛ての贈り物としてLの元にやってくる。その病原菌には、“人類削減計画”を掲げる環境保護団体ブルーシップが関わっているとみて、捜査を開始するLだったが…というストーリー。

観た。というか観てしまった…という表現が正しいか。まあ、見る前から判っていたがどうでもいい作品である。

原作者がこれでもかまわないっていうんなら別にいいんじゃなかろうか。『デス・ノート』が大好きでイメージが壊れたと感じて許せない人は、ユメだったと忘却すればいいだけの話だし。スピンオフっていえば格好がいいかもしれないけど、悪く言えば『デス・ノート』と松ケン人気に乗っかっただけの低予算作品。つまらないデキになったとしても、まあしょうがないよね…ってな具合で、始めっからハードルが下がりまくっているのだから、作り手も言い訳しやすいし、観る側も自分を納得させやすい。スタッフも案外自由気ままでできて楽しかったんじゃなかろうか。過剰に期待する人もいないだろうし、そういう意味では害のない映画なのかも。

で、思いっきりハードルが下がっていたせいなのか、意外にもそれなりに仕上がっているように感じる。くだらない脚本だと評する人がいるけれど、私はそこまでヒドいとは思わない。別にグイグイと話に引き込まれてしまうような良作というわけではないけれど、それなりにウマい仕事をしたな…と感じる。上から目線で失礼なことを承知で言うが、この脚本家はそこそこ賢く、広くて穴のない知識をお持ちのようだ。アリものってことに加えて、色々条件がついてる場合に、ものすごく力を発揮する脚本家なのかもしれない。オリジナルなクリエイティブさには欠けるのかもしれないが、ビジネス脚本家としては、かなり能力が高いのではないかと。

とはいえ、南原清隆はあくまで南原清隆だし、福田麻由子は芯のある女の子を意図してのキャスティングなのかもしれないが表情の端々が気色悪いし、工藤夕貴はパっとしないし(決して役のせいではなく、B級だと割り切って針を振り切る術を知らないんだろう)。プロデュース面での難点を挙げればキリがない。製作者がズラッとクレジットされている、ありがちなバカプロデュースである。
それでも、“しょ~もないなぁ”と思わせつつ最後までそれなりに魅せる中田監督は、いいビジネス監督なんだと思う。ビジネス監督にビジネス脚本家。ビジネスとしてそれなりに成功させたのだから、ワーナーも資本とかした意味があったというもの。一般企業の事業部のように、定められた予算を達成することに執心したサラリーマン的作品であり、優秀なサラリーマンではあるが優秀な芸術家かどうかは別という、まあ今の時代には必要な人たちなのかも…と思わせる作品である。よって、あえてお薦めすることもないが、観ると危険だと警報を発令するようこともない…そういうレベルである(さすがに“拾い物”とまではいえない)。

#サスペンス…とか、カテゴライズすること自体、無意味に思える。

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image1540.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:87分
監 督:ジェームズ・ウォン
出 演:ジャスティン・チャットウィン、エミー・ロッサム、ジェームズ・マースターズ、ジェイミー・チャン、田村英里子、パク・ジュンヒョン、チョウ・ユンファ、ランダル・ダク・キム、アーニー・ハドソン、シェヴォン・カークシー 他




自分の武道の能力を隠して高校生活をおくる孫悟空だったが、誕生日の夜、一緒に暮らす祖父・悟天が何者かに殺害され、さらに、家に隠してあったドラゴンボールも奪われてしまう。同じくドラゴンボールを奪われたという天才少女ブルマと出会い、2人は協力してドラゴンボール探すことになるが、まず、悟天の生前の言いつけに従い、「ピッコロが戻ってきた」というメッセージを伝えるために亀仙人を探すのだったが…というストーリー。

昨日の『AKIRA』同様、海外における日本アニメの代表格といえばドラゴンボールということで、本作を鑑賞。

『AKIRA』で原作者・大友克洋が監督をやったのは原作のイメージを損ねないためだと思うが(もちろん本人がやりたかったのだろうが)、本作では原作者の鳥山明は製作総指揮として名を連ねているもの、参加している理由は大きく異なると思われる。おそらく、鳥山明はイメージを損なわれることにはあまり執着がなく、むしろドラゴンボールを世界の公共財として自由に扱ってもらうことをよしと考えており、むしろ自分では思いもよらない発展のしかたに期待をしたものと思われる。もちろん著作権を放棄するわけはないものの、最低限のタガをハメるためだけに参加しており、よっぽどヒドくならなければ、あとはクリエイターの方にお任せしますというスタンスなのだろう。この姿勢は評価したい。ただ、“EVOLUTION”として、あくまで実写化したものは進化系なのだということは明記してほしいということである。
しかしそれが“進化”だったのかむやみな“発散”だったのか。結果として、興行収入が振るわなかったのは(特に日本では)、原作とイメージが違ったからではなく、純粋につまらないからである。

年齢設定をはじめ、根本的なキャラクターの性格も完全に異質なものになってしまったのは、仕方がない。アメリカで実写化すると決まった時点で、あきらめなかればいけない点である。逆に、原作どおりに作ったら、それはそれで陳腐なコスプレ映画になってしまい、後世のお笑い種になっていたに違いない。大体にして、実写化する意味がない(アニメで十分っていう文句のオンパレードになるにきまっている)。
では、なんで面白くないのか。少年ジャンプの基本である“努力”“友情”“勝利”が完全に存在しないからである。悟天からの修行はもちろん、亀仙人からの修行もさほどハードでもなければユニークでもない。本作中に“努力”による成長はみられず、実は大猿なので、元々覚醒さえすればめちゃくちゃ強いという設定である。クリリンに相当する人物も登場せず、ヤムチャと悟空が心を通わすこともないため“友情”というファクターは皆無である。で、それらの過程を経ることもなく、ラスボスと対戦して勝ちはするものの、それは少年漫画でえられる“勝利”のカタルシスではないのだ。つまり、肝心な要素がすべてかけているということ。

なんで、それらを欠いた物足りない状態なのに、90分未満なのか。製作陣がドラゴンボールのツボを理解できていないのか、作っているうちに何がなんだかわからなくなって迷走してしまったかのどちらかである。さらに三部作を予定してるので、シナリオに締まりがない。ピッコロとの対決なんて、何を愉しめばいいのかわからないくらいあっさりと終わり、ボールもあっさり集まり、陳腐な願いごとでオチとなる。そして、普通に布団で寝るピッコロの馬鹿らしさ。せめて技術的にはハイクオリティなものを期待するのだが、なぜかCGが安っぽいというオマケ付き。
本作の製作いよって『AKIRA』の実写版の製作が止まったという噂もあるが、もし本当なら、実に罪な作品である。

個人的には続編は作らなくてよいと思われる。いや、むしろ、つらっと何も無かったように、別のスタッフで“DRAGONBALL TRANSFER”とか作ってしまう図太さを見せてほしいとは思うが…。とにかく、娯楽作品としても、今一歩どころか今三歩くらいで、お薦めはしかねる。

#田村英里子の努力はわかるのだが、逆に英語さえ喋れれば、日本俳優のニーズは相当あるということの裏づけともいえる。ラストに登場の関めぐみも、しっかり英語を覚えて続編ではがっちり登場できればいいのにね。それから、主題歌は浜崎あゆみより、TM Revolutionのほうがよかったと思うよ。

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image1504.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:130分
監 督:佐藤東弥
出 演:藤原竜也、天海祐希、香川照之、山本太郎、光石研、松山ケンイチ、松尾スズキ、佐藤慶 他
コピー:考えろ、裏をかけ。そして未来を手に入れろ。




その日暮らしに近いバイト生活をおくる伊藤カイジ、26歳。彼のもとにある日、遠藤と名乗る金融会社の社長が訪れ、カイジが連帯保証人になっていた友人が夜逃げしたため、その借金の返済をするよう求めてきた。借金総額は利息を含め202万円。支払能力の無いカイジに対して、遠藤は一夜にして大金を手にする方法があると提案する。それは、豪華客船エスポワール号に乗ること。何が行われるのかわからないまま、意を決して乗船すると、カイジと同様に借金を背負った男たちが大勢集められていた。そこでは、消費者金融帝愛グループによる、勝ち続ければ一攫千金、負ければ過酷な強制労働が待つというゲームが繰り広げられるのだったが…というストーリー。

同じく日テレ系の映画であった『DEATH NOTE』と同じく少年漫画誌の連載作品だが、『カイジ』に女子人気があるとは思えず(笑)。ギャンブル部分がメインの作品にに捉えられがちだが、それはあくまで調味料であって、根本は人生論である本作。そういう勝負ゴトみたいな究極的な人生論に女性の心が震えるものなのか。どれだけ集客できるのかかなり疑問だった。そこは、藤原竜也やらマツケンやら天海祐希を配置して、補完を試みたのだろうが、いかがなものか…。加えて、福本伸行原作作品は、一勝負が終了するまでがキャプテン翼ばりに長い。おまけに、晩年の横山光輝ばりに、同じようなアングルのコマが続いたり、長い台詞で説明しようとしたりで、単行本でまとめて一気通貫で見ないと、よくわからないことも多い。別にマンガ版批判をしたいわけではないのだが、これを2時間程度の映画にするのは、なかなか技術が必要なところ。
さらに、福本伸行といえば、①ざわざわ…、②絵がぐにょ~ん、③雄叫び、と、特徴的な表現満載だが、それらがどう表現されているか、お手並み拝見という感じで観始めた。

藤原竜也の芝居で鍛えられた演技は、普通の映画だったら鬱陶しくて仕様がなかっただろうが、本作ではまあまあ許容範囲。「③雄叫び」はそれなりにクリア。利根川役の香川照之のキレた演技も、興醒めさせることのない、よい演技(それにしても、日本映画は香川照之に頼りすぎじゃねぇか?)。各ゲームのギミックも、セットや小道具の造型も非常に味があってよろしい。
しかし、あとは悪い点ばかりが目につく。プロモーション的に女性を出さねばいけない事情が先にあったためか、脚本がボケまくり。利根川と遠藤の嫌悪関係がしっかり表現しきれていないため、単に勝ち目がありそうだからというだけでカイジに賭けるという、重いリスクを負うリアリティがまるで理解できない。佐藤慶が怪演する兵藤だが、見た目も演技も問題ないのだが、本作ではただ出ているだけ。ギャンブルには深く関わらない。シナリオの構成の問題なのか、続編を考えて残したのか。単なる金主というだけで、終わらせてしまったのはもったいない。前にもいったが、たいして力量もないくせに、続編をチラチラ伺っているようではいい作品にはなり得ない。

「①ざわざわ…」は、作れっていわれりゃあ誰でもそう作るだろうなってレベルで、芸がなかった。原作を知っている人なら誰もがそこに注目するのは明白なのに、なんで「そうくるかぁ!」って思わせるところまで注力しないのか。やる気がないのかセンスがないのか…。「②絵がぐにょ~ん」に関してはそういうシーン自体なし(あれ?もしかして『アカギ』にはあるけど、元々『カイジ』には無かった?)。

と、難点ばかりを並べたが、結果としてはそれなりに愉しめてしまった。それもこれもすべて原作パワーのおかげ。幸いにも、どうこねくりまわしても福本伸行のアクは取り除きようがなかったってことだね(よほど、次の映画のネタにこまらない限り、続編はないと思う)。Vシネマを観てるつもりなら、かなり得した気分になると思う。何にも観るものがみつからない、まあまあアリかもしれない。

#女性は、これをおもしろいと感じるのかどうか興味がある(面白いと思うなら、どこが?)

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image1477.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:132分
監 督:山崎貴
出 演:草なぎ剛、新垣結衣、大沢たかお、夏川結衣、筒井道隆、武井証、吹越満、斉藤由貴、吉武怜朗、波岡一喜、菅田俊、織本順吉、油井昌由樹、綾田俊樹、矢柴俊博、飯田基祐、香川京子、小澤征悦、中村敦夫 他




臆病な少年・真一は、町外れクヌギの木の根元から自分が書いたと思しき古い手紙を掘り当てると、突然気を失い、戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこは天正2年の合戦のさなか。真一は、小国・春日の国の武将“鬼の井尻”こと井尻又兵衛の窮地を図らずも救ってしまう。真一を連れ城へと戻った又兵衛は、少年の面倒を見るように命じられ、はじめは困惑しながらも次第に心を通わせていく。そんな又兵衛は、幼い頃から一緒に育った春日の姫・廉姫に想いを寄せていたが、ある日、大国の大名・大倉井高虎と廉姫との婚姻話が持ち上がる。それは小国の春日にとって願ってもない申し出だったのだが…というストーリー。

言わずもがな、アニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を原作とした作品である。前にも書いたが、日本映画ベスト10とはいわずベスト3を挙げろと言われたら、ワタシは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を絶対に入れる。だって、なんかしらないけど、何度観ても100%泣けてくるんだもの。

と、いうことで、本作の製作がプレスで報じられた時、「もう、ヘタなことをして汚してくれるなよ…」とイヤな思いになったのを記憶している。公開前の宣伝TV番組で監督がCGのデキについて自慢げに話をしていたのを観て、観にいく気が完全に失せ、やっと今、観るに至る。

『ALWAYS 三丁目の夕日』の監督で、町並みのCGが高く評価されたので天狗になってるのはわからなくもないが、それほどのデキではないでしょう。以外に都市や下町の町並みの場合、細かい構造物が多いのでごまかせるけれど、戦国時代だと自然や城などパーツの広く大きいものが多く、テクスチャ処理の出来がすべてなのだが、イマ一歩でCGだなと判ってしまう。
CGで成功しているのは、『ラスト・サムライ』でも観られた兵士の増量の部分で、これはウマク仕上がっている。しかしその戦闘シーンも、CGの技巧におぼれてしまったのか、アングルやカット割りが凡庸で迫力がまったくない。全然、目が惹き付けられないし飽きてくる。こういう技術というのは、なんでもできるようになると逆につまらないデキになってしまうんだな。いろいろな制約をなんとか超えようとする、その努力の先にすばらしいものがあるのだ。こういう技術の進歩のワナにはまってしまうのって、クリエイターとして恥ずかしいことなのかも。

本作はアッパレ!戦国を実写にしよう…という発想がスタートではなく、『ラスト・サムライ』に負けない時代劇を日本でもつくろう…というのが先で、後からアッパレ!戦国をひっぱってきたと聞いた。アッパレ!戦国ファンとしては、後付で持ってこられて、いささか心外なのだが…。
ストーリーは、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』からクレヨンしんちゃんの設定を抜いて、整えただけである。ある意味、元映画の良いところはそのまま残っている。話の流れもそのまんま。そのおかげで、泣けるシーンもそのまんま。受賞歴が皆無なのだが、これは賞を与えにくい。だって、面白い部分は、すべて『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』にあるんだもの。
#いや、正直、本作で涙出てきましたよ。でも、それは元アニメにある要素で…だから。
原恵一監督は、アッパレを作るときに、頭の中にあった設定や演出を、“クレヨンしんちゃん”ゆえに泣く泣く捨てたことが多かったと思う。それが実写では制約がなくなったので、色々盛り込めたはずなんだけど、マイナーチェンジ程度の加味していないのも、残念。車がデカいオフロード車になっていたり、主人公がいじめられっこだったり、又兵衛の面倒を見ている夫婦に子供が一人生き残っていたり…諸々の加えた部分は、ま~~~~~ったく生きていない。リメイクの意味がないかな。

それに、夏川結衣、吹越満の演技が妙にに浮いていて違和感がある。本作についてはこの2名はアウト。

最終的には特段お薦めする必要のない作品。だって、元アニメを観ればそれでいいんだもの。注意報としては元アニメを観る前に本作を観ることはやめよう…ってこと。私アニメとか観ないから…とか文句をいうんなら、本作は別に観なくていい。おそらく、元アニメを観ていない人には大したこと無い映画に映るだろうから。

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image1481.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:120分
監 督:是枝裕和
出 演:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里、丸山智己、奈良木未羽、柄本佑、寺島進、山中崇、ペ・ジョンミョン、桜井聖、オダギリジョー、富司純子 他
受 賞:【2009年/第19回日本映画プロフェッショナル大賞】主演女優賞(ぺ・ドゥナ)、ベスト10第3位
コピー:私は「心」を持ってしまいました。持ってはいけない「心」を持ってしまいました。
あなたの息で、私の カラダを 満たして…

ファミレスで働く冴えない中年・秀雄は、空気人形のラブドールとの生活が唯一のやすらぎ。ある朝、その空気人形は心を持ってしまい、秀雄が仕事に出かけると外の世界へ。やがてレンタルビデオ店で、店員の純一とめぐり会いひと目惚れ。以来、その店でアルバイトをするようになり、純一や店長から色々なことを学んでいく空気人形だったが…というストーリー。

本作を観る前に原作を読んでおきたかったのだが、本屋を数件巡ったが発見できず。原作が短編マンガなのは知っていたので、それをどう膨らませたのか?というの点は、評価する上で大事だと思ったからなのだが、かといってネットで購入するほどのこだわりでもなかったので、諦めておとなしく鑑賞。

PG15+なので、まちがってもお子様に見せてはいけない作品…というのはラブドールという性的な要素のせいか…とおもったが、最後まで観ればそれだけが理由でないことは明白。
性の道具としてのエグいギミックを除けば、大人のファンタジーを言い切っても、まったく過言ではない。ペ・ドゥナの透き通るような表情や細かい演技がそれを実現している。この雰囲気とこの演技力を併せ持っている俳優さんは、ちょっと日本ではいないでしょう。日本アカデミー賞は彼女のあげたかったなと、個人的には思う次第。

それにしても画質というかカメラワークが素晴らしいなぁ…と感心していたのだが、リー・ピンビンという台湾のカメラマンだそうで。ちょっと勉強不足で彼のこれれまで撮った作品を観たことは無いのだが、対象物とその他の構造物の間の空気を意識させてくれるというか、ある意味緊張感の漂う画になっており、とても感心。日本のカメラマンさんたちのは申し訳ないけれど、韓国や台湾のカメラマンさんに劣っている場合が多いなと、やはり思うのである。

まあ、その大人のファンタジーも終盤になると、のっぴきならない緊張感に押し流されちゃうんだけど。
ストーリー的には、細かい抑揚は多々あれど、基本的にそうそうドラスティックに展開するわけではないので、語りすぎるとネタバレになってしまう。だからほどほどにするけれど、2箇所で吐き気を感じるシーンがある。気持ち悪いという単純な感覚ではなく、胃がすり潰されるような、エグさとせつなさの混合した不思議な感覚。

一つ目は、秀雄が別の人形を愛でるのを見て、空気人形が嫉妬ともやきもちともつかない文句を言うシーン。性の道具としての扱いを嫌がっていながら、いざ自分がお払い箱になった時に彼女が見せた感情。嫌悪と愛着と惰性という理性ではとても整理できない感情のまだら模様が、ものすごく吐き気をもよおした。
二つ目は、純一が空気を抜いてみたいを言った時。それまでは、なにかが欠けた登場人物たちの中で、そこそこまともだった彼が、その一言を発した瞬間に、幼児体験での死と性の混在が未整理なまま大人になった人格であることが、白日となるシーン。もちろんその後の悲劇に繋がるわけだが、このセリフをいった時点で、あの結末になるのは決まっていたようなもの。エロスとタナトス。空気人形もエロスとタナトスに共感してしまい、その共感故の行為が、例の行為に繋がる。私には決して純一が死に抗おうとしているようには見えなかったのだが、おそらくその見方は正しいのではないかな。その微妙な感じを演じられる今の若手俳優は、たしかにARATAくらいかも。いいキャスティングである。

まあ、哲学の臭い漂う業田義家の原作と、死から生を浮き彫りにする是枝監督の合体だから、このデキになるのはもっともなこと。私は満足のいく内容だったと感じているけど、いかんせん体力がないと、負けちゃいそうな感じかな。変なアドバイスだけど、体調の悪い時とか、心がやられてるときは、観ないことをお薦めする。彼氏や彼女と一緒に観るのもお薦めしない。でも、観て。途中で空気人形に共感するかもしれないけど、観終わると、なぜか自分の中にある“生”を感じられる映画。

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image1499.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:107分
監 督:大岡俊彦
出 演:深澤嵐、ともさかりえ、萩原聖人、モト冬樹、蓮佛美沙子、柄本時生、江口のりこ、上村響、村中龍人、中村凛太郎、白川裕大、窪田傑之、宮本愛子、山田スミ子、西原理恵子、たくませいこ、ちすん、いとう麻見、ニタ・ニコルソン、峯のぼる、西山季陽、中谷潔一、上松勝寿、北代一也、大木瞳美、池松壮亮、岡村隆史、吉行和子、蒼井  他
コピー:わすれないでね好きだと必ず帰ってこられるの。


小学生のヨシオのそばには、ヨシオにしか見えない不思議な“いけちゃん”がいつも一緒にいる。いじめにあったり、お父さんが死んだり、つらいときはいつでもいけちゃんに励まされ、ひとつひとつ乗り越えながら少しずつ成長していくのだったが…というストーリー。

西原理恵子の同名原作が話題になったとき、どんな内容なのかな?と思って、平積みになった原作本を立ち読みしたのだが、その時、実はさっぱり意味がわからなく購入に至らなかった。ようするにいけちゃんの正体がまったくわからなかったのね(さささっと立ち読みしたせいかもしれないけど)。
まあ、ネタバレになっちゃうので、もちろん言わないけれど、今回観て理解できたよ。
西原理恵子の他のマンガと同じように、貧乏生活とか乱暴だったり自堕落だったり不貞だったりする登場人物にまつわるエピソードが続くので、こんな大人のファンタジー要素が盛り込まれているなんて、思いもよらなかったんだろうな。

まあ、原作を読んで理解できてなかった私が言うのもなんなんだけど、これは映画にする意味はなかったかな。決して原作のイメージを壊しているとか、雰囲気がおかしくなっちゃったとか、そういうことはなくって本来は褒められてもいいくらいなんだけど、元々そんなに分量の多い内容でもないから1時間もあれば読める程度だしね。どう探しても映画にする意味って見つからないのね。話題になった原作で、かつ“映画にできそう”って、だそれだけで企画が通っちゃったんだね。

逆に、原作を超えた部分が一瞬たりともないということで、西原理恵子はニヤリとしてたりするかもしれないけれど。

原作の内容を知っている人は、観る意味はまったくない。かといって、読んだことがない人が観ても、可もなく不可もない。ふわっとさらっと終わる作品。もし原作の噂を聞いて(“泣ける”とか聞いて)興味をもった人は、映画じゃなくて原作を読むべし。

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image1490.png公開年:2009年
公開国:日本
時 間:120分
監 督:崔洋一
出 演:松山ケンイチ、小雪、伊藤英明、大後寿々花、イーキン・チェン、金井勇太、芦名星、土屋アンナ、イ・ハソン、山本浩司、PANTA、佐藤浩市、小林薫 他
コピー:生き抜け!




17世紀の日本。最下層・非人の子として生まれたカムイにとって、強くなることだけが生き抜く手段。忍びとなったカムイだったが、やがて自由を求めて抜忍となり、追っ手からの逃亡生活が続く。ある日、カムイは漁師の半兵衛を助けた縁で、彼の家に身を寄せることになったが、半兵衛の妻スガルには自らも抜忍だった過去が。彼女がカムイに警戒心を募らせるのと対照的に半兵衛の娘サヤカはカムイに行為を寄せる。そんな漁村での生活が、カムイの心に平穏をもたらすのだったが…。

カムイ伝は読んだことがあるが、カムイ外伝は読んだことなく、原作との乖離具合や再現性についてはよくわからないのでコメントできない。

こういう内容だから特撮は必須なのだが、肝心の忍術のCG表現はショボい。というか、絵コンテが平面的というか空間的な幅が感じられないのがその原因だろう。
とはいえ、すべての特撮がダメなわけではない、はじめのほうの馬関係の特撮はよくできていて、それはスゴい。こういう行き届いていない状況をみると、やはり低予算だったのかな…と。とりあえずなんとかまとめたものの、すべてのCGにこだわれるだけのリソースがなかったということなんだろうね。

加えて、ライティングがよろしくない。暗いシーンは本当にただ真っ暗で、もうすこし物体のエッジがわかるようなライティングにできなかったものか…。さらに、暗いシーンと明るいCGシーンの統一感もいまいち。

マツケン以外のキャスティングにも難あり。大後寿々花は、良く言えば直情的な演技といえるけれど悪く言えば一本調子(鈴木杏と同じような成長過程をたどっているのかな。顔の骨格が)。土屋アンナは、『どろろ』でも似たような役をやっていたので既視感が。なぜ似たような役を重ねるのか、そういう仕事選びのセンスがよくわからない。
小雪はとても見映えがするのに、あいかわらず演技はパッとしない。いいかげん上達してもよさそうなものなのだが、毎度毎度、どんな役でも同じ感じ。一度、どこかの劇団なんかで鍛えてもらったほうがいいんじゃなかろうか。

さらに中盤から、くだらない演出が富に増えてくる。例えば、水のはいった樽で水を飲ませようとするが入ってないという演出。弟の様子で水が残っていないことはわかるだろうし、そうでなくても持っただけで入ってないことはわかるだろう。こういう三文芝居は、監督の責任。崔監督って、たまにTVでお見受けすると、偉そうなことおっしゃってますけど、本職はずいぶん杜撰ね。

さらに、意外な落とし穴。なんで抜け忍がそこまで執拗に追われる存在なのか、そんなこと説明しなくても当たり前だと製作側も疑問にすら思っていないようなのだが、その説明がないおかげで、なんでそこまでシリアスの闘っているのかよくわからず、いまいちふわっとした感じになっている。原作は漫画なのでそういう説明は不要だけど、映画の場合は、もう少しなんとかしないとダメ。

コインランドリーで、何気に置いてあった漫画を読んでる感覚なら許せるかな。無理して新作料金とかで借りるようなものではないよ。とても入魂の作品とは思えない。

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image1471.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:155分  
監 督:堤幸彦
出 演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、平愛梨、藤木直人、石塚英彦、宮迫博之、佐々木蔵之介、山寺宏一、古田新太、高橋幸宏、佐野史郎、森山未來、小池栄子、木南晴夏、ARATA、六平直政、福田麻由子、竹内都子、竹中直人、石橋保、光石研、片瀬那奈、津田寛治、手塚とおる、田鍋謙一郎、サーマート・セーンサンギアム、チェン・チャオロン、田中健、西山潤、澤畠流星、松元環季、小倉史也、安西壱哉、黒羽洸成、森山拓哉、吉井克斗、、清水歩輝、矢野太一、藤原薫、山田清貴、乙黒勇希、上原陸、吉田海夕、安彦統賀、佐藤涼平、高嶋政伸、田村淳、神木隆之介、遠藤賢司、研ナオコ、北村総一朗、左右田一平、岡田義徳、河原さぶ、大河内浩、吉田照美、ダイアモンド☆ユカイ、MCU、原口あきまさ、武蔵、斎藤工、武内享、多田木亮佑、載寧龍二、高野八誠、藤田玲、永田彬、真野裕子、宮川俊二、中西学、スーパーストロングマシン、広田亮平、丸山智己、西辻正樹、田辺修斗、石橋蓮司、中村嘉葎雄、黒木瞳 他
コピー:もうひとつの 結末。もうひとりのともだち。

西暦2017年にあたる“ともだち暦3年”、世界は“ともだち”に支配されており、殺人ウィルス蔓延のため、東京は壁で分断されている。秘密基地の仲間たちは“ともだち”から逃れ、地下でレジスタンス活動を繰り広げているが、カンナは、ひときわ過激な“氷の女王一派”を組織し武装蜂起を計画中。突然“ともだち”は8月20日に人類が滅亡すると宣言するが、そんな中、死んだと思われていたケンジが姿を現わし、東京へ向け行動を開始する…というストーリー。

MONSTERこそしっかり読んでいたが、おなじ浦沢作品である20世紀少年には、手を出さずにいた。連載雑誌のをちょこちょこのぞいてはいたが、こまぎれの週間連載ではわかりにくかったのだ。流れが大事な話なので、ある程度一気通貫で読まないとね。かなり後になって、改めて全巻購入して(古本だけど)一気読み。MONSTER以上に楽しんだ。
その後、映画化決定で、キャストが発表されて、まあ、その似てるっぷりにはおもわず笑っちゃうほどだったが、結局、劇場にはいかなかった。私の中では漫画版で完結しているし、演者が似ている件は劇場にいかなくてもわかるし、足を運ぶモチベーションが沸くまでにはならなかったのだ。

その後、DVDのレンタルが開始されると借り、日テレで放送される補足版みたいなものも律儀に観て、なるほどなるほど…一生懸命原作のクオリティを壊さないように腐心してるなぁ…と。でも、さすがに2作目『最後の希望』では、制作側も危機感を募らせたのはなかろうか。破綻の匂いがした。原作をなぞれてはいるが、1本の映画として、山場の緩急に気をつかっているとはとても思えない。正直、純粋な映画としては、つまらないのだ。穿った見方かもしれないが、結局、興行的な失敗だけをおそれて、煽れるところは煽れるだけ煽ってみました…と、お偉方への報告のための演出って感じがした。
さらに、最終章まで原作上は結構な数のエピソードが残っている。元々ボトルピン的なエピソードは少なく、単に抜けばいいというものではない。結局、最終章では、浦沢直樹が、脚本監修ではなく、脚本にクレジットされなくてはいけないほど、漫画版とは“別モノ”というスタンスで、ストーリーの調整が行われたということだ。

で、ネタバレなので、未見の人は、以下、読まないように。

原作でも非常にわかりにくかった“カツマタ”君の存在。映画版のほうがすっきりはしているので好感は持てなくも無い。でも、いくらなんでも、クラスメイトのフクベエが死んだことを、別のクラスメイトが死んだと、全員が記憶違いをする…というのは、無理がありすぎである。ここはもうちょっと工夫しようよ…と肩をやさしく叩いてあげたい(苦労して考えたとは思うので)。同様に万丈目の扱いも大きく変更。こちらは、ちょっとご都合主義がすぎるし、最後の台詞も陳腐で、センスがない。
極めつけは、ライブであの歌を歌っちゃうんだぁ…ってところ。歌わないで終わらせるっていうパターンでは、映画として成立させるのは難しかったか。

で、エンドロールの後が、漫画版でいうところの“21世紀”少年にあたる部分なわけだが、まあ、原作の区分けを尊重した構成なんだろうが、これは、きちんとエンドロール前に組み込んだほうがよかったでしょう(私の編集センスなら、このようにはしない)。こんなんでおわっちゃうの?からの揺り戻し効果を狙ったんだけど、失敗しているね。
私ならスタッフロールは、オープニングで出してしまい。ラストは“おしまい”でスパーンと終わらせる。黒澤映画やカリオストロの城のエンドが一番効果的でしょう。

原作つきの映画のデキがよろしくない場合、原作は原作、映画は映画で割り切ることで心は落ち着くのだけれど、本作で原作者ががっちり噛んでしまったのでちょっと複雑ですな。まあ、『1』『2』までみた人はどうぞ。未見の人は、別に手をださなくていいのかもね。

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image1431.png公開年:2009年  
公開国:日本
時 間:130分  
監 督:岩本仁志
出 演:玉木宏、山田孝之、山本裕典、山下リオ、風間トオル、デヴィッド・スターズィック、鶴見辰吾、林泰文、中村育二、半海一晃、品川徹、石田ゆり子、石橋凌 他
コピー:世界を変えるのは、破壊か、祈りか。




手塚治虫原作のピカレスク・コミックを実写映画化。政府が闇に葬った虐殺事件の生き残りである2人の青年が、復讐に身を投じる…というストーリー。

本作を観る前に、ご丁寧に原作を斜め読み(手塚治虫全集持ってる)。

映画化が発表されたときに、結城と賀来の同性愛設定は削除というのを聞いて、こりゃ失敗するな…と思っていた。なぜなら、賀来は神父なのに①犯罪に加担してしまう苦痛②復讐者としての苦痛③同性愛者としての苦痛の三重苦を背負っているのだが、その重要な一つが無くなってしまうからである。神父が同性愛者というのが、映画にしにくいという事情は理解できるのだが、本作の主な特徴でもあるので、これを除いてしまうと、もうMWではなくなってしまうに等しいかも。はっきり表現しなくても、ちょっとあやしいくらいの場面を入れておけばよかったと思う。賀来を看病するシーンでそれっぽくなりそうなところがあったので、もうちょっと踏み込めばよかったかも。
同性愛部分がないことで、結城の女らしい設定はなくなり、結果として、女装部分はなくなり歌舞伎役者の家柄という設定も無くなった。映画っていうのは、なんでもかんでも説明しないといけないわけではない。臭わしたり、そういう設定だから…と投げっぱなしにしたっていいのだよ(偉そうにね)。

ただ、ストーリー上のポイントや場面設定はけっこう原作通りにおさえていて、その点はちょっとおどろいたのだが、まあ、色々な要素を省いて、その残りの部分をつなげれば、こうなるか…と。でも、いろいろ省いたわりには、2時間以上あって長いのは気に喰わない。ムダに長いシーンがあって(冒頭のタイは特にムダ)、もっとすっきりできたはず。そういうシーンを入れるくらいなら、結城が犯罪に対して益々何も感じなくなってエスカレートしていき、賀来と対立構造になる点は、もうすこし盛り込んでもよかっただだろう。船から落として「おもちゃを落とした」程度では、不満足だ。

原作では議員の娘は惨殺され復讐がなされるのだが、映画では未遂の状態。なにやら、続編の可能性もあるかな?と色気づいたのか、まだまだこれから的な終わり方をしているのが、少し格好悪い。そこは劇的(か陰湿)な方法で、殺して、ばつっと終わるべきである。最後も姿を見せる必要はない(最後のflumpoolの曲も、場面にマッチしていなくてダサい使われ方。ちょっとかわいそう)。

決してデキはよくないが、原作を穢したとまでは思わない。私は手塚ファンだけど、原作MWの後半は、さほどいいデキとは思っていない。突然同じ顔の兄が出てくるなんてご都合主義もいいところだしね(そんなんで、最後ニヤリとされてもねぇ…)。映画化も色々難しい点があったと思うが、それをナントカまとめた手腕は、評価してもよいかもしれない。CGもなかなかよくできていて違和感はないし。
でも、どうもテレビドラマを見ているようで、映画を観た気にならない。それはカット割と編集かな。もうすこし大作映画のパクりをしてでも、映画らしさって何なのか研究して、こだわったほうがよかったかもしれない。凡作といって片付ける気はないが、お金をかけたテレビスペシャルドラマだと思ってみればよいと思う。特別お薦めはしない。

最後に。私はあまり演者をけなすことはないのだが、玉木宏の演技は平坦すぎる。ここは常軌を逸したクレイジーなキャラクターを演じれるチャンスだったのだから、もうすこし特異な役作りをしてもらいたかったものだ。お茶漬けを喰い始めても別におかしくないというようでは、如何ともしがたい。

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image1413.png公開年:2008年  
公開国:香港、フランス
時 間:91分  
監 督:クリス・ナオン
出 演:チョン・ジヒョン、アリソン・ミラー、小雪、リーアム・カニンガム、JJ・フェイルド、倉田保昭、コリン・サーモン、マイケル・バーン、マシエラ・ルーシャ、ラリー・ラム 他
コピー:斬り開く──私の運命




image1048.png公開年:2000年  
公開国:日本 
時 間:48分  
監 督:北久保弘之
出 演:工藤夕貴、中村佐恵美、ジョー・ロマーサ 他
コピー:斬る――それが少女の宿命





Production I.G製作の日本アニメ『BLOOD THE LAST VAMPIRE』を、『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン主演で実写映画化。
戦国時代、大量に流された人の血によって力を得た種族“オニ”。以来、400年以上にわたって人類との戦いが続いている。ベトナム戦争のさなか、人間社会でうごめくオニを倒すために、横田基地にひとりの少女がやってくる…というストーリー。

設定はほぼ同じ。
本作の特徴的な点は、1960年代の東京が舞台という点。実写版も日本人のチェックが行われているのか、ありがちなヘンテコ漢字の看板などはなし。陰謀や因習がリアリティを持っている小汚い日本がそこにある。とてもいい雰囲気のこの世界観が、私は好きである。

実写版の導入部は、ぴったりアニメの焼きなおし。
元のアニメが、登場して2・3匹と戦って去るという程度のパイロットフィルムみたいなものだったので、短い元アニメを2時間程度に膨らませるために、何を付け加えてくるかが、ポイント。
しかし残念ながら、ストーリーだけではなく、よけいな“設定”が付け加えられて、ちょっと興醒めなのである。以下は、ネタバレである。

アニメでは、主人公の正体は“オリジナル”としか語られていないが、実写版では“オニ”とのハーフで、なぜか血をごくごく。おまけに、“オニ”の親玉の娘で、どうやら戦国時代から生き続けている模様。まあ、日本側の了承済とは思うが、正直、ありがちでつまらん。
どうしても最後にオチをつけなくては、、と考えたら、こうなってしまうのだろうが、こういう作品は、雰囲気を楽しむ作品だと思うので、決着を付けずに投げっぱなしくらいで終わったほうが、いい感じなると思うのだがね…。
結局、あってもなくていいような、未消化のラストに終わっているし。

ストーリー以外にも悪い点として、クリーチャーデザインのデキが非常に悪い。最悪といってもよい。少なくとも、羽根が肩甲骨から生える西洋悪魔的なデザインだけは避けるべきだったと思うのだが…。
ただ、意外によかったというか、怪我の功名だとは思うのだが、おそらく予算が無くて、クリーチャーのアクションCGがカクカクして薄っぺらなのだが、それが、写真をコラージュしてアニメをつくったような効果になっており、おもしろかった。CG予算のないときは、ポップアート的な手法を加味するといい味がでるということで、勉強になった。
もうひとつ。将軍の娘は、なんで血を飲ますと、主人公が復活することがわかったのだろうか。それを示唆するシーンなどあったろうか?

あと、予告編でなんとなく取って付けたみたいで浮き気味だった小雪だが、本編では意外にマッチしており問題なし。ただ、日本語吹き替えの声が、あまりにも小雪と違っていて、いい雰囲気ぶち壊し。本人に吹き替えさせることは難しかったかもしれないが、せめて似た声質のキャスティングはできなかったものか(、、、というか、小雪クラスなら、格好つけてないで吹き替えしろっての)。

最終的に言うと、アニメ版を観て好感をもった人ならば観て損はないと思うが、そうでなければ別に観なくてよい。凡作である。
それにしても、せっかく日本のアニメなんだから、英語のしゃべれる日本人はいなかったものか。日本の若者達よ。こういうチャンスは絶対あるのだから、がんばってくれないだろうか。

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image1409.png公開年:2008年  
公開国:日本
時 間:111分  
監 督:三池崇史
出 演:櫻井翔、福田沙紀、生瀬勝久、ケンドーコバヤシ、岡本杏理、阿部サダヲ、深田恭子、斎藤歩、ムロツヨシ、松田俊政、三浦誠己、桃生亜希子、太田英明、水谷加奈、柳原哲也、平井善之、山寺宏一、小原乃梨子、たてかべ和也、笹川ひろし、滝口順平、山寺宏一、たかはし智秋 他



ガンちゃんは、父の発案した犬型ロボット、ヤッターワンを完成させ、ガールフレンドの愛ちゃんと共に愛と正義のヒーロー、ヤッターマン1号・2号に変身。4つ全部集めると願いが叶うという伝説のドクロストーンをめぐってドロンジョ、ボヤッキー、トンズラーのドロンボー一味と争奪戦を展開する…というストーリー。

公開中は、たいしたことはなかろうと思い観る気がしなかったのだが、興行成績が大変よろしかったということなので、DVDレンタル開始早々、鑑賞してみた。

負のレビュが続いているので、そろそろお勧めレビュが書きたくなっていたのだが、残念。この映画はヒドいよ。
まず、おもしろくしようと小ネタを連発しているのだが、すべて(本当にすべて)が、笑えるタイミングをハズしている。間が悪いといったほうが正しいか。おそらくクスりと笑わせたいのだろうが、その意図が見えるだけに余計につらい。

別に私はお笑い芸人でもなんでもないので、笑いについて講釈できる立場にはないが、それにしても、笑えるものをわざわざ笑えなくしているとしか思えない。この編集をした人は、笑いのセンスが無いのだろう(勝手な予想だが、ダジャレをいって自分で笑って、自分は面白い人間だと思っているタイプだと思う。そう思いたくなるデキなのだ)。さらに、この編集でOKとした、監督連中も笑いのわからない人たちなのだろう。私なら、「おいおい、ちょっとまて」と絶対に言う(断言する)。
まあ、『妖怪大戦争』のときも、笑いを取るところは、すべっていた。『妖怪大戦争』ではお笑い芸人さんがいっぱい出演していたが、間の悪い編集をするから、すべて笑えなくなっていた。芸人殺しだ。

救いは、キャスティングや統一感のあるデザインなどが、評価できること。ヤッターマンを実写でやるとしたら、100点に近いだろう(まあ、なんでヤッターワンのカラーリングが、赤ら顔でゼンダライオンみたいなのかはよくわからないとか、細かい不満はあるけれど)。大きなマイナス点はほぼない。だから、このクソみたいな編集以外は、とてもよいデキなのだ。
その証拠にエンドロール後に、おまけでくっついている、なんちゃって次回予告は、非常におもしろいではないか。本作で一番おもしろかったのは、このおふざけの予告だ。あれは、別の人がつくったか、アニメの予告編を模して編集したのだろう。テンポがよくおもしろいのだ。全部がピタっとはまっている。
もう、はっきり言ってしまおう。どういう理由をつけてもいいから、別の人(ガイナックスとか銀魂とかつくってる会社とか、アニメ関係がいいだろう)に、再編集を依頼して、別バージョンでリリースしなおしたほうがいい。最高の作品になるに違いない。

別の観点から、もう一つ。
三池崇史監督は、本作や『妖怪大戦争』のような子供がみれる作品もつくるが、基本的にエログロで評価されている人だ(それもけっこうハードな)。海外で書かれた『死ぬまでに観たい映画1001本』をいう本がある。2003年までの映画が取り扱われている本なのだが、その1本に彼の『オーディション』が選ばれている。映画の歴史が始まってからの世界中すべての作品中から選ばれているのだから、その知名度たるや、大したものである。
ジャンルは、サスペンスに分類されていることが多いが、エログロの要素が濃い。『スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ』だって、不必要なくらいエロシーンや、スプラッタ的な演出があったでしょう。もう、そうせずにはいられない人なのだ。この手の映画で評価されているからこそ、吐き気がするようなグロさで、観るだけでうんざりだった『ホステル』のような作品に、カメオ出演の依頼がくるのだ。
私の好みにはまったく合わないセンスなのだが、彼は、女の子を素敵に見せるのはうまいと思う。それも適度ないい線のエロチックさを表現するのが得意だと思う(『妖怪大戦争』の川姫などがいい例)。
ところが、今回はイマイチなのだ。三池監督のせいではないのかもしれないが、深田恭子と福田沙紀は、マスクをすると(特に引きの画になると)、ぜんぜんかわいく見えないのだ。もうちょっとマスクの面積・デザイン等々、原作から多少逸脱してでも、工夫が必要だったのかもしれない。

結果からいうと、深田恭子・櫻井翔・福田沙紀らのファンなら、見てもいいだろうが、そうでもなければ、無理に観なくてよい。どうしても観るならば、早送りで見るといいテンポになって、意外によくなるかもよ。

もう一度いう。編集しなおせ。

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クボタカユキ
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映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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