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image2009.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:87分
監 督:山崎貴、八木竜一
出 演:香取慎吾、山寺宏一、阿部サダヲ、YOU、加藤清史郎、FROGMAN、新堂結菜 他
コピー:どこまでも、きみのともだち
霧に隠された海の向こうには、不思議なもののけの棲む島があった――。




“もののけ”が住むと恐れられ、近づくことが禁じられた島。ある日、母の病のために島のキノコを取ろうと少年・竹市が上陸する。その船に紛れて、弟の幼児コタケもやってきてしまう。たくさんのキノコが生えている森を見つけ、夢中で採っていると、二人の前に、赤鬼と青鬼が出現。竹市は無理やり船に乗せられて島から追い出されてしまう。しかし、小さなコタケを見落として、島に残してしまう。島に住むもののけたちは、人間を恐れてひっそりと暮らしていたので、コタケの姿をみてパニックに。島の長老はコタケを人質にすることを思いつき、赤鬼ナキと青鬼グンジョーにコタケの面倒を見ることを命じる。人間が大嫌いなナキは、小さなコタケと喧嘩ばかりだったが、だんだんコタケに対して愛情が沸き始め…というストーリー。

違和感はあったけど、香取慎吾のアフレコは悪くはなかった。どうしても香取慎吾の顔が浮かんでしまうのがどうにも邪魔だったけどね…。阿部サダヲやYOU、必要だったかな。プロモーションの一環だとしても、効果はあったのかな。そういう宣伝の仕方って、本当に有効かどうか考えた方がいいよね。

名作『泣いた赤おに』が原作なわけだけど、絵本のほうは90分近く引っ張れるほど長いストーリーではない。だから、伸ばすために色々工夫しているわけだ。
赤鬼は人間と仲良くなりたいという設定なので、相手の人間を用意しよう。ファミリー向け映画だから子供だな。鬼は人間から嫌われている設定だけど、普段から接触しているのも変だから、孤島とかにいることにして、子供はそこに迷い込むことにしよう…とか、色々考えたんだろうね。悪く言う気はないけど、まあ、無理やり伸ばせば、普通こうなるかなって線の出来映えだと思う。
もっとドラスティックに冒険してもよかったとは思うけど、まあまあ、うまくまとめたと思う。

原作では、青鬼の行動が心に響くわけだ。それも、サラりと平然とやってのける青鬼。そこにシビれる、あこがれる!ってところ。でも、本作では、グンジョーの母親らしい目撃情報があったこととか、ナキが他のもののけから嫌われいるから放っておけないから島に残ってるだとか、グンジョーが旅に出る理由ができちゃってるのがダメだよね。そういう理屈とか説明なしに、サラりと赤鬼のためにやるから、得もいわれぬ感情が読者に沸いてくるんだ。人間は青鬼を悪い鬼だと思い続けるんだよな。赤鬼はそれでもいいのかな。いや、本当のことを告白しても青鬼は喜ばないよな…とか、シンプルなお話なのに、頭のなかグルグルしちゃう。
『ごんぎつね』もそうだけど、読んだあとの独特の心持ちが名作たる所以。でも、残念ながらその感情は、本作を観ても沸いてこなかったな。子供には難しい? いやいや、子供をみくびっちゃだめだよ。充分、子供には受け止める能力はあるよね。

この作品の公開時に、浦沢直樹が絵を描いた『泣いた赤おに』の絵本が出版されていた。久々に読んで、完成度の高さに舌を巻いた。本作も面白くなかったわけじゃないけど、個人的には原作絵本の完璧さを際立たせただけだったかな。

#CGは良いとも悪いとも評価できない。はじめの竹市が出てくるシーンは、ちょっとヒドいなと思ったけど、極端に頭でっかちなキャラ設定のせいだと思うし、結果的にすぐに馴れた。

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image2003.png公開年:2012年  
公開国:日本
時 間:120分  
監 督:沖浦啓之
出 演:美山加恋、優香、西田敏行、坂口芳貞、谷育子、山寺宏一、チョー、小川剛生、藤井晧太、橋本佳月  他
コピー:気がつけば、私、ひとりじゃなかった。




父を事故で亡くしたももと母いく子は、東京からいく子が住んでいた瀬戸内の港町“汐島”に引っ越してくる。ももは、父と喧嘩をして仲直りをしないまま、父が急死してしまったことを悔やんでいた。そして、父の机から見つけた“ももへ”とだけ記された手紙のを見つけ、父がその先、何を書こうとしていたのか気掛かりでならなかった。いく子は、島で明るく元気に振舞い、ヘルパーの資格を取るために勉強に励んでいたが、ももは島の生活にも馴染めず、周りの人ともなかなか打ち解けられずにいた。そんなある日、ももの目の前に、イワ、カワ、マメという名の3匹の妖怪が現れ、ももの家に居付いてしまう。食欲旺盛でいたずらなかりしている妖怪たちに困り果てる桃だったが、徐々に仲良くなっていき…というストーリー。

ちょっと昔の江口寿史を思い出させるキャラだか、リアルでもないしかわいいともいえず、特に魅力が高いわけではない。でも、原画のデッサンは非常にしっかりしていて、稚拙な絵が気になって興醒めするということは無かった。ただ、妖怪(特にイワとカワ)は、すごく動きのあるキャラのくせに、不自然なところが散見された。胴体のひねりというかねじれをうまく表現してくれたら、違和感はなかったと思う。胴体が固体みたいなのね。

島の風景がとにかくすばらしい。おそらくしっかりとロケハンとやって、撮り貯めたいい角度の写真を厳選して使用しているのだろう。画の切り取り方が実にすばらしい。『八日目の蝉』と同じ風景がそこにあった。
夏休みに田舎に転校してくるところは『千と千尋の神隠し』だし、母親を救うために妖怪と奔走するのは『となりのトトロ』だし、どうしてもジブリ作品が頭をよぎってしまうけど、結論からいうと、ものすごくよくまとまっており、愉しめた作品だった。

若干、苦言を言わせてもらうと、ラストシーンへの入り方が雑だということ。郵便局員がちょっとアホなのは設定だとしても、バイクで今治に行って、どうするつもりだったのか。そして、今治に着いて、実際どうなったというのやら。結局、台風が収まるまで、医者は来ようがないんだから、橋を越えて助けに行く意味があったのか? 病人を運んだわけでもないし、電話が不通になっているわけでもないんだぜ? それに、妖怪たちの助け方が直球すぎてどうもね。島の妖怪たちは、見守り妖怪たちと同じ種族ではないのだから、すんなり協力してくれたことは釈然としない。この肝心のラストのくだりに整合性があれば、文句なしだったと思う。
だれか、これ変じゃないすか? 『となりのトトロ』的な盛り上がりを狙いすぎて、スベってないすか? っていうスタッフはいなかったのかな。
また、男の同級生の妹も妖怪が見えるという設定が生きていない。ラストのドタバタでうまいこと使えばよかったのに。

あと、たいした話ではないが、空(屋根裏部屋)で母親が盗品を見つけるくだりは、主人公の心が病んでいて、かまってほしいがために窃盗に走ってしまったのだ…、だから3人の妖怪は主人公の妄想…という捉えかたができてしまう。そういう解釈の余地を残すべきではなかったと思う。地味に引く。

ラストで、イワが書いた文字は見えているのに、マメが書いた文字は消えていて、父の文字が書いてある。どゆこと?もしかしてマメが父の化身だった?とかいう余地を残してしまうのだが、さすがにそれは違うよな。こういう、ミスリードでもなんでもない不要な解釈ができてしまう描写多い。こういう部分こそブラッシュアップする必要があるのだが。

あと、島でヘルパーの仕事が成立するのかどうかはわからんし、いくらなんでもお母さん39歳にしては若すぎ。

色々文句をいったが、決してこの作品がおもしろくないといっているのではない。ものすごく愉しめた良い作品だったので、もっと最期のツメをしっかりしてほしかった。そういう思いが募っただけである。
#美山加恋の声優仕事は悪くなかった。案外、この手の仕事で続けていけるかもしれん。

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image1978.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:95分
監 督:宮崎吾朗
出 演:長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之 他
受 賞:【2010年/第35回日本アカデミー賞】アニメーション作品賞
コピー:上を向いて歩こう



翌年に東京オリンピックを控えた1963年の横浜。海の近くの丘に建つ“コクリコ荘”で、大学助教授の母と妹と暮らしている16歳の松崎海。母親はコクリコ荘の切り盛りもしているが、現在は渡米中で、海が代行している。海は、あわただしい朝食の準備の中でも、なくなった父から教わった信号旗を掲げることは欠かさない。今、海が通う高校では、文化部部室棟の通称“カルチェラタン”の取り壊しを巡って学生たちによる反対運動が起こっていた。そんな運動などに興味のない海だったが、反対メンバーの一人である新聞部の部長・風間俊と出会い心を寄せ始め、次第に騒動に巻き込まれていく…というストーリー。

鳴り物入りで『ゲド戦記』の監督をやって、一発退場になるくらいのヘタをやらかしてしまった宮崎吾朗監督。なんといっても、ジブリのラインナップを身内が汚してしまうという、あるまじき所業。もう監督をすることはないだろうと思っていたけど、まわりのおじいさんたちはチャンスの手を差し伸べたか。

そういう釈然としない思いはあったが、結果的には大変おもしろく仕上がっていた。『耳をすませば』とかそういうジブリの恋愛系は興味なかったのだが、愉しめた。
好意を寄せる男女が実は兄弟なのでは?という流れと、寮存続で一丸となる流れで、観客が考えすぎないようにうまく意識を散らし、疾走感も作り出したのは評価したい。
“カルチェラタン”のくだりは原作にないオリジナルストーリーらしい。これがなかったら、兄弟疑惑の話だけになっちゃったわけで、そう考えると、このプロットを考えた人を高く評価せざるを得ない。これが宮崎駿によるものなのか丹羽圭子によるものなのか、それとも宮崎吾朗なのかは、不明。

ただ、TSUTAYAの無料雑誌みたいなヤツに乗っていたインタビュー記事に、宮崎吾朗監督が、父親の書いたシナリオが気に喰わなかったから遠慮なく手を加えてやったわ…みたいなことが書いてあって、何、こいつ調子こいてるんだ…と。そういうことは、ヒットする前に言えや、ヘタレが(笑)。小物臭満開の発言をしていて笑えた。やはり、ボンボンはボンボンなのかな。偶然うまくいった感が満載である。

多くの人が思っただろうが、このストーリーは韓国ドラマである。あり得ない展開だ、ワンパターンだといわれる韓国ドラマを観ている主婦たちが、それを観ている理由は、昔の少女マンガのノリを懐古的に愉しんでいるだけなのだが、まさに原作の少女漫画がその時代のものということ。で、本作の原作は実際に少女漫画なわけで、元々日本にあったものを日本でやりゃ、そりゃあ面白いでしょ…という戦略だったのか?これが意図的ならたいしたものなのだが、やっぱり偶然な気もする。

海の父親は朝鮮戦争で死んだという設定で、まるで日本が朝鮮戦争に参加したみたいに誤解されたかも。不自然に説明するのを避けたんだろうけど、これは、うまく説明する努力はしたほうがいいケース。LSTというキーワードが出てくるけれど、LSTが戦車揚陸艦であることは判らないし、それが第二次世界大戦後にアメリカ軍が日本に貸与していた物だということも判らない。そして、アメリカ軍の後方支援として輸送や機雷除去を行っていたことも、一般の人は良く判らないから、ポカーン状態である。
掃海で死んだのか輸送死んだのかすらよくわからない。掃海隊として死んだのなら任務上のチョンボだし、輸送で死んだのならかなりかわいそうだし、解釈によって印象が変わってしまう。
今だったら集団自衛権がどうしたこした、憲法違反ダーと、問題になること必至の出来事が、戦後のどさくさでおこなわれていた経緯や背景がわからないと、海の父の死のむなしさとか、出自が判らない状況の不安など、薄くなっちゃうと思う。

説明しないという点でいうと、“コクリコ”が何なのかも説明しない。いや、調べりゃフランス語のひなげしの意味ってことはわかるんだけど、下宿屋の名前につけるのはわかるが、タイトルにあるように坂の名前になってるのがわからん。劇中で、あの坂がコクリコ坂と呼ばれてる場面はないし。それに、主人公の海はなんでメルなのかもよくわからんし。舞台が横浜なのも、東京の理事長のところにいくまで、よくわからなかったし(私は、その帰り道に桜木町駅がでてきて、はじめて理解した)。
まあ、説明的なセリフで、客にメタな視点を沸かせて、冷めさせたくないのはわかるんだけど、その置いてきぼり感が心地よいといえるほどには達していないところが、残念。
1963年の関東で生きていたわけではないから、あの描写が正しいかどうかはわからない。ただ、一生懸命、考証したんだろうけど、違和感が満載なのはなぜか。東京オリンピックの1年前にしては、ちょっと古臭くはないだろうか。オリンピックの1年前の神田があんな狭くてごちゃごちゃか?

そして相変わらず、“ちょっとカメラ、寄りすぎ”っていう絵が多い。これは、『ゲド戦記』でも同じだったが、直っていない。いや、妙な不安感が生まれるのは事実なので、それを狙っているのかも…なんて好意的に観ようとしたけど、やっぱり違う気がする。
もう一度言うが、そういう違和感が“カルチェラタン”のくだりで払拭されている。これをを考え出した人が、本作のMVP。脚色賞を与えたい。観て損はない快作。

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image1996.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:109分
監 督:片山一良
出 演:花澤香菜、森川智之、仙台エリ、大原さやか、矢島晶子、乃村健次、三木眞一郎、磯部勉、廣田行生、川澄綾子、久野美咲、藤田圭宣 他
コピー:願えば奇跡は────必ず。




ある日、致死率100%の謎の石化病、通称『メドゥーサ』が世界中に蔓延。人々はその恐怖に恐れ慄く。そんな時、化学メーカーのヴィナスゲイトは、治療法が確立されるまで発病者をコールドスリープする方法を提唱。しかし、コールドスリープ装置の収容人数は160人までで、資格者を世界中から選抜することに。資格者に選ばれた少女カスミは、古城の地下に建設された施設“Alice”で深い眠りにつく。やがて、資格者たちが目覚めると、施設内は巨大ないばらと謎の怪物だらけになっており…というストーリー。

偶然だが、昨日の『キラー・エリート』とSAS繋がりだった。
原作のマンガを知らないから、うまくまとまっているかとか、そういうことはよくわからん。

ヒットしたという噂は聞かないので、それほどの興収ではなかったのだろう。でも、日本アニメでこういう作品が製作できるのだ…というのは、大きな意味があるはずで、“萌え”とかキャラクターものに偏執する日本アニメ業界(ゲーム業界も同じだけど)に、希望の光を当てるもの…のはずなのだが、それほどヒットしなかったというのが、業界というか市場の現状ということなんだろう。

一般の人が“アニメ”に抱いているイメージとは乖離していて、『アイデンティティー』とかそういうハリウッド作品が好きな人は、大好物。何故、彼らが生き残っているのか? とかは似ているよね。原作者は、そういうハリウッド作品が好きで、多分に意識しているのだろう。あやうく夢オチになりそうな勢いだったし、なんとなく予想のつく展開ではあったが、よく練られていて好感が持てた。子供がゲーム好きで、その知識通りのモンスターやダンジョンになっているところなども、微妙にミスリードになっている(意図的か偶然かはわからないけど)。同好の志だな…って感じがした。

ただ、個人的には、若い女性がぐにょぐにょと変体して異形の物になるいうパターンがキライなので、オチだけは気に入っていない。私は、仮面ライダーは大好きだけど『仮面ライダー THE NEXT』の敵のディテールは大嫌いで、それと一緒。おまけに、分離体だった…というのも気に喰わない。
(ネタバレ)
いくら双子でも、記憶や意識のコピーはできないと思う。そのオチが判明してから、主人公の自我がまがい物としか思えず、共感が薄れてしまった。彼女の自我を保つ、演出上の工夫が欲しかった。
また、バスなどにCGを使っているけど、原画に使用するのはかまわないが、CGによる着色の陰影が作品全体の質感から浮きまくっていて興醒めする。特に、いかにもアニメアニメしている、主人公や女子供キャラとの雰囲気の乖離が甚だしい。そのあたりの、ビジュアル的に世界観を構築するという部分で、難点が見られる。

しかし、それ以外は、非常に愉しめて、一気に観終わった感じ。サイコサスペンス的あハリウッド映画がお好みの人は、先入観を持たずに是非観て欲しい。旧作のレンタル料金なら絶対に損をしたとは思わないはず。お薦め。日本アニメが、こういう路線で利益を出せるようになると未来はあると思う。

#安藤賢司って、SICとかの原型師の人かしら。彼のデザイン画はたしかに画集を出たら欲しいってくらい味があるからね。いいオファーだったと思う。ちょっと『エイリアン』へのオマージュが過ぎた感はあるけど。

 

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image0460.png公開年:1992年
公開国:日本
時 間:93分
監 督:宮崎駿
出 演:森山周一郎、加藤登紀子、岡村明美、大塚明夫、桂三枝、上條恒彦、関弘子、阪修、田中信夫、野本礼三、島香裕、藤本譲松尾銀三、矢田稔、辻村真人、大森章督、古本新之輔、森山祐嗣、松岡章夫、佐藤広純、種田文子、井上大輔、佐藤ユリ、沢海陽子、喜田あゆみ、遠藤勝代 他
コピー:カッコイイとは、こういうことさ。



第一次大戦時のイタリア。空賊を退治しその賞金で暮らすポルコは、元空軍のパイロットだった彼は、とあることがきっかけで、魔法で豚の姿になっている。敵対する空賊マンマユート団から女学校の生徒を救出した日の夜、幼馴染のジーナが経営するホテルアドリアーノへ行ったポルコは、そこでアメリカ人パイロット・カーチスと出会う。空賊の頭目達は、邪魔なポルコを倒すためにカーチスを用心棒として雇う相談をしていたのだった。次日、カーチスはエンジンが不調でうまく飛べないポルコを待ち伏せし撃墜。何とか一命はとりとめたポルコは、大破した機体をミラノに運び、馴染みのピッコロ社に修理を依頼。しかし、修理を担当するのは、ピッコロの孫で17歳の少女フィオだと聞かされ…というストーリー。

何度もTV放映は観ているし、家族が観ているのを横で観ていたりはしたのだが、毎回ながら観で、頭に残っていなかったので、改めて鑑賞。空賊なんて造語がでてくるから、英語ではどう表現したのかしら…と思っていたのだが、オープニングの各国語の説明テロップを見ると、ただのFrying Piratesだった。つまんね。

「どうやったらあなたにかかった魔法がとけるのかしら…」
主人公がなんで豚なのか…っていうところは非常に重要なはずなのだが、ムダに説明せずにひっかかりを残すことは効果的。おいてきぼり感が心地よい。結局、最後まで何なのかはわからない。自分で魔法をかけたのかかけられたのかもわからない。

銀行での窓口のオヤジとの会話、飛行機工場の子供との会話…等々、いちいちセリフはをキメてくる。正直、豚仲間としては、とてもシンパシーを感じるわ(笑)。
ただ、自分のおかれている状況は、自分のせいじゃなく他人のせいだ、政府のせいだ…と言っているように聞こえて、ちょっと鼻につく。全共闘世代のくだらない主張と紙一重。軍政下っていうことで何となく誤魔化されちゃうけど、根本的に国家になびくのは悪って言っている。深く考えると、ニヒリズムやアナーキズムが漂ってきて共感できなくなるので、単に、前の戦争でいやな思いをしたことを表現しただけで、深い意味はないんだ…と無理やり納得することにした。

フィオがポルコにくっついて隠れ家の島に行くと、空賊たちが待ち構えてる。フルボッコにされるはずが、フィオの機転で言いくるめて、カーチスとの再バトルになるという流れ。フィオの機転っていうよりも、フィオという女神様にメロメロになって男どもが、いいくるめられるという流れ。これがあまり好きじゃない。根本的に、女性を神格化して、強引になぎ倒すような流れがどうにもね。
戦闘機を作るシーンでは、市井の女性たちががんばるわけだが、これは女性のやみくもな神格化とは異なり、真の女性の力を表現しており、非常に楽しかった。
ジャンヌ・ダルク的な女性の行動を否定すると、初期の宮崎アニメなんか成立しないっていわれるかもしれないけど、ちょっと本作は、とってつけたように露骨に感じるし、無理がある展開だと思う。おそらく、毎回、このあたりでうんざりして、観るのを止めているんだと思う。でも、単に、男は真の女の力を見ていない大馬鹿物なんだよってことを表現しているだけだ…と無理やり納得することにした。

まあ、そのような、好みじゃない部分を我慢して乗り切ったら、ものすごく面白かった。どうせ、たいしたオチにはできないのは、途中から見えていたし、その後どうなったかは別の話…的なボカしで終わらせるのも、キライじゃない。
子供はピンとこないかもしれないけど、タイトルからコピーから、子供は相手にしてないわよ臭は漂わせているわけで、お子ちゃまへの義理は通しているので問題なし。

とにかく、宮崎駿の意図とか、そういうものが頭をよぎっても排除して鑑賞すべき。そうすれば、快作が待っている。
#桂三枝の声優仕事がなかなかよい。

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image0927.png公開年:2004年
公開国:日本
時 間:119分
監 督:宮崎駿
出 演:倍賞千恵子、木村拓哉、美輪明宏、我修院達也、神木隆之介、伊崎充則、大泉洋、大塚明夫、原田大二郎、加藤治子 他
受 賞:【2004年/第61回ヴェネチア国際映画祭】オゼッラ・ドゥオロ賞(スタジオジブリ)
【2005年/第72回NY批評家協会賞】アニメーション賞
【2005年/第31回LA批評家協会賞】音楽賞(久石譲)
コピー:ふたりが暮らした。

父の遺した帽子店を切り盛りする18歳の少女ソフィーは、戦争の気配漂う町で、見知らぬ青年に出会う。その青年は、町外れの動く城とともにやって来た魔法使いハウルだった。ソフィーは、噂とは違い優しいハイルに心を奪われる。しかし、その夜、彼女は、突如現れた荒野の魔女に呪いをかけられて90歳の老婆にされてしまう。呪いがかけられたことを喋ることも封じられていたため、ソフィーは家を出ることに。やがて人里離れた荒野に、ハウルが暮らす大きな動く城を発見し潜り込む。そこで、住み込みの掃除婦として働くことにするのだったが…というストーリー。

どうしても寝ちゃって、最後まできちんと観たことが無い作品。ソフィがハウルと出会って一旦別れるあたりで早々と寝ちゃう。もう、色んな人が指摘しているとは思うが、倍賞千恵子が若い子の声で興醒めするのだとどうひっくり返しえも老婆のの声にしか聞こえない。無理があるすぎる。その後は、階段のくだりで寝ちゃう。
それに、風呂場を掃除されて子供のように取り乱すハウルの演技。木村拓哉は力不足。一気に興醒め。

ソフィが老婆になった謎を解く方法、カルシファーが開放される方法、この二つの謎を徐々に解いていくのがおもしろいと思うのだが、前者はうやむやのまま若返り、後者は取って付けたように解決される。寝ている間は魔法が解けるという意味もわからない。そういう設定といわれればそれまでだが、別にストーリー上、重要とは思えない。その後、ハウルへの恋のバロメータが上がれば若返るっていう設定になってるんだし。

なんで、荒地の魔女のかけた魔法なのに、ソフィのハウルに対する恋のバロメータと若さがリンクするのか意味不明。つまり、荒地の魔女は、ハウルとソフィの恋の手助けをしたってこと?何で?そうすると心臓が手に入るから?いや、なんで心臓欲しいわけ?彼女の行動の目的がわからない。荒地の魔女とは一体何なのか描ききれていないってことなんだよね。

カルシファーと分裂した出来事が一体なんなのかもよくわからない。カルシファーはハウルの心?でもハウルに戻っても消滅しない。それどころか、前と同じように存在してるし。

ソフィの母親を使ったサリマンの策とかも、意味があったとは思えない。老婆の姿なのにすぐに娘と判別した母親。さすが実の家族…と思わせておいて、実はサリマンの策だったから…???実の家族よりも血は繋がっていなくても心が通っていれば家族だよ…ってこと?家族を前面に出すのなら、マルクルがなんでハウルの所にいるのか生い立ちを描くべきなのではないか。

おまけに、戦争と大イベントがこれら謎解きとリンクしていない。最後に突然王子が登場すると、サリマンは戦争を終結する気になる。もっともらしいけど意味は不明。

宮崎駿には、伝えたいことがあったのだろうがうまく表現できていない。伝わらないとわかったら、娯楽に徹するべきだったろう。この転換ができなくなったということは、宮崎駿のエンターテイナーの部分が老いたのだと思う。

食い物がうまそうとか、飛行船のデザインとか、ナウシカ時代の良さが滲み出ていたけど、このストーリーとはアンマッチだったかも。興行成績はやたらよかったらしいけど、これは“はだかの王様”だよ。わけわからん!ってみんな素直に声を上げたほうがいい。まともな物語の体裁をなしていないと思う。

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image0881.png公開年:2002年
公開国:日本
時 間:100分
監 督:森田宏幸
出 演:池脇千鶴、袴田吉彦、前田亜季、山田孝之、佐藤仁美、佐戸井けん太、濱田マリ、渡辺哲、斎藤洋介、岡江久美子、丹波哲郎、田中敦子、宮本充、長克巳、塚本景子、白鳥由里、香月弥生、駒村多恵、本名陽子、鈴井貴之、大泉洋、安田顕、岸祐二、中村俊洋、清水敏孝、青木誠、江川大輔、新垣樽助、よのひかり 他
コピー:猫の国。それは、自分の時間を生きられないやつの行くところ。
猫になっても、いいんじゃないッ?
路地のむこうは、猫の国でした。

普通の女子高校生・吉岡ハルは、ある日、車に惹かれそうになった猫を間一髪で助ける。ところが、救った猫が突然直立してお辞儀をし、丁寧にお礼の言葉を言うではないか。その日の夜に猫の国の王の行列が訪れ、猫の王子を助けたお礼にいいことがおこると告げて去っていく。夢かと思ったが、目覚めると、家のまわりが猫じゃらしだらけになったり、マタタビやネズミといった、猫なら大喜びしそうなプレゼントが届けられる。そんなお礼はいらないと、猫の使者に文句をいうと、ならば猫の国へご招待致しますという。そんなことをされては大変と思っていると、どこからともなく「猫の事務所にいきなさい」という声が聞こえる。その声のとおりに猫の事務所を探しに行くと…というストーリー。

絵柄が少女漫画チックでそれまでの作品とは趣が異なる。『耳をすませば』のスピンオフと考えれば、近藤喜文キャラっぽいのでよさそうなものだが、固定されつつあったジブリのイメージを払拭したかったのか。それとも、近藤さんが本作の頃にはお亡くなりになっていたので、似たものにするのが憚られたのか。
いずれにせよ『千と千尋の神隠し』の直後で、その勢いで劇場に足を運んだ人は、肩透かしをくらった感じだったろう。まあ、私のことなんだけど。

完全に声優が普通の役者さんばっかり。ジブリは声優を専業にしている人じゃなく、TV露出の多い役者やタレントをつかったり、ポンっと新人を持ってきたりすることは多いけど、ここまで露骨にTVドラマの仕事が多い人間ばかりを使うのは始めてかも。池脇千鶴など気合が入りすぎなのか演じすぎて、いささかうっとおしい。『千と千尋の神隠し』の時もそうだったけど、端役とはいえ、鈴井貴之・大泉洋・安田顕と水曜どうでしょうチームがなんで入りこめているのかもよくわからん。
唯一いい仕事をしているのは、『大霊界』以降、バラエティでマジボケ要員としてイジられるだけになった丹波哲郎。びっくりするくらいの出来映え。

とはいえ、それらを独特の雰囲気を受け止めて割り切ってしまえば、軽いファンタジーとして十分に楽しめる。案外、名作になれる素養はあったと思うのだが、そうならなかった理由はけっこう明白。それは、キャラクターの行動の動機付けが希薄なので、ストーリーの幹が細くなってるから。
例えば、バロンはなんでハルを助けようと思ったのか。ユキちゃんがハルを助けたい理由はある(過去のお礼)。しかし、バロンがそれを手助けする理由はない。猫の国王に恨みがあるとか、親友のムタがいわれのない罪で猫の国から狙われているとか、そんな理由でもかまわない(むしろ猫の国に悪さをしたのはムタさんのほうだし)。猫の事務所に来れたってことは、ハルに正当性があるんだろう…という、釈然としない理由だけが原動力というのが、つまらない。

まあ、時間も短めだし、ジブリであることを忘れれば、良作なのかもしれない。
#どちらかといえば、犬派だからピンとこないだけか?
 

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image1920.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:107分
監 督:増井壮一
出 演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、玄田哲章、小桜エツ子、愛河里花子、櫻井智、堀内賢雄、なかじままり、龍田直樹、隈本吉成、木村雅史、倉田雅世、那須めぐみ、筈見純、足立友、真堂圭、井上喜久子、川浪葉子、大西健晴、田中一成、阪口周平、浦山迅、乃村健次、村上信五、大倉忠義、山野史人 他
コピー:父ちゃん 母ちゃん。実はオラ、スパイです。


ある日、しんのすけの前に、スノモノ・レモンという7歳の少女が現れる。彼女は、“君をアクションスパイに任命する、正義のために一緒に戦おう”というしんのすけ宛てのアクション仮面からのメッセージを携えていた。アクション仮面からの呼びかけですっかりその気になったしんのすけは、スパイになる決心をする。トレーニングを完遂するとアクション仮面に会えるというレモンの言葉を信じて、レモンのスパイ訓練についていくしんちゃん。やがて、アクション仮面から「ヘーデルナ王国の悪の博士から正義のカプセルを奪還せよ」との指令が届き…というストーリー。

めずらしくタレントを声優にしたプロモーションをしていないな…と思ったら関ジャニ∞が出てるのか。わかりにくいし効果も薄い。

大枠では騙されていても、能動的でマイペースなのが、いつもの映画のしんちゃんなのだが、本作ではずっと騙され続ける。半分以上進んでも、ただ騙され続ける。多少の奇行は見せるが、一緒に行動するレモンという女の子の言いなり。いつもなら、自分を捕らえた悪人なんかを翻弄しちゃうんだけど、そういう面白みがない。

家族ごと外国の捉えられる展開は、過去の作品でも多かったが、今回は家族を一緒に連れて行く理由も希薄。というか惰性。こどもが喜ぶとでも思ったのか“おなら”押し。対立する二つの国の様子もさほど面白くないし、おなら兵器で世界を征服するという話が、おもしろくない。
レモンを助けようというしんちゃんの心意気や心境の変化がいまいち描けていないので、共感できない。

敵のボスキャラの女性二人が、しんちゃん映画史上、一番つまらない。最後に敵を倒すギミックもおもしろくなく、ただただ下品な印象しか残らない。敵が卑劣なヤツだ…という印象もなければ、実は同情すべきいいヤツだ…という展開でもない。ただただ小物。やっつけたカタルシスもないし、レモンの親のくだりもモヤモヤっとして片付けられてしまう。

こうなったら、残るは家族愛だな…ってことになるのだが、その要素は極めて薄い。じゃあ、友情路線で…といっても、風間くんたちは早々に退場しているので、時すでに遅し。

歴代シリーズの中で、一番つまらないかもしれない。増井壮一という監督さんは映画ははじめて。脚本はこぐれ京という人だが、この人もはじめて。これまでとはポスターとかDVDジャケットのイメージをガラッと変えて、心機一転を図ったんだろうけど、従来の作品の劣化コピーでしかない。とにかくシナリオのデキが悪すぎる。子供は途中で飽きただろうな。 

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image1827.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:116分
監 督:新海誠
出 演:金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、日高里菜、竹内順子、折笠富美子 他
コピー:それは、”さよなら”を言うための旅




幼い頃に父を亡くし、看護士の母と二人暮しの明日菜。忙しい母の代わりに家事をする傍ら、秘密基地で過ごしたり、父が遺した鉱石ラジオを聞いたりする日々。ある時、そのラジオから不思議な歌のような声が聞こえ、それが忘れられない明日菜。そんなある日、謎の巨大生物が彼女の前に出現し、襲われそうになるが、“アガルタ”という場所からきたというシュンと名乗る少年が彼女を救う。二人は再開を約束するが、彼は現れず、数日後シュンは遺体で発見される。シュンが死んだ現実を受け止められない明日菜は、新任教員のモリサキから地下世界にまつわる神話を聞き、強く興味を惹かれるが…というストーリー。

あらすじをちょっと読んだだけでも、まとまりがないのがわかるでしょ。絵柄の方もまとまりが無くて、風景写真をトレースしたような背景なんだけど、人物は味の無いいかにもアニメチックな作画。
鉱石ラジオの石はありえないキラキラ具合で、ネコともリスとも付かない謎の生物。あきらかにSFチックなノリでスタートするのだが、町や家の様子は昭和50代の感じで、よく掴めない。どうやら現実の世界とは違う架空の世界の出来事らしいのだが…。

それにしても、変なシーンの連打が続く。
死体に縛ってあったスカーフが何で明日菜のものとわかるのか(購買で買えるようなものなんだから名前は刺繍されてはいなかろうに)。
帰ってきた娘を抱きしめる母親。心配していたなら捜せばいいじゃないか。濡れてもいないから、家にいたんだろうね。
芋を毒抜きするために水に晒さなければ…といいつつ、次のカットでは丸ごと食べている。
etc…

アガルタの住人達の言い草がまた、くだらない。平穏に暮らしていたアガルタは地上世界から蹂躙され、文明を奪われたために、今は貧しいのだそうだ。地上世界と隔離できているんだから、それなら地下の文明は復活できるだろうに、我々は地上の人たちからいいようにされ力つきちゃって、できないんだって。バカ左翼思想と一緒。これがファンタジーと結びついたら、バカバカしくて目も当てられない。
#まあ、唯一の救いは、シンが、アガルタの衰退の原因が「どうせ…」と諦めたからから、ニヒリズムのせいだ(私の意訳ね)と指摘する部分か。

劣化ナウシカみたいな世界観、劣化もののけ姫みたいな動物、劣化ゲド戦記みたいなキャラ。ケツァルトなんか劣化巨神兵みたいだし、水の中を進む男の子と女の子の描写なんて千と千尋の神隠し、シャクナビマーラとやらはラピュタみたい。
本作はタダの劣化宮崎。新海誠に宮崎駿的なものを期待している人はいないわけで、いろんな意味で裏切っており、実にみっともない作品。今後もこんな作品をつくるようなら、筆を折ったほうがいい。
至る所、全方位的に、気色悪い部分が散見される作品。まったくお薦めしない。駄作(ゲド戦記未満)。

#で、タイトルの星を追っているのは誰?っていうか“星”って何よ?わけわかんね。




負けるな日本

 

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image1386.png公開年:2008年
公開国:日本
時 間:101分
監 督:宮崎駿
出 演:山口智子、長嶋一茂、天海祐希、所ジョージ、土井洋輝、奈良柚莉愛、柊瑠美、矢野顕子、吉行和子、奈良岡朋子、左時枝、平岡映美、大橋のぞみ、竹口安芸子、山本与志恵、片岡富枝、佐々木睦、羽鳥慎一、山本道子、金沢映子、齋藤志郎、石住昭彦、田中明生、脇田茂、つかもと景子、山本郁子 他
受 賞:【2008年/第32回日本アカデミー賞】音楽賞(久石譲)、アニメーション作品賞
コピー: 生まれてきてよかった。

海辺の崖の上にある一軒家に暮らす宗介。ある朝、海辺で瓶にはまっていた魚を助け、ポニョと名付ける。宗介もポニョもお互いを大好きになる。ところが、ポニョは、人間をやめて海の住人になっている父フジモトによって海に連れ戻されてしまう。どうしても宗介に会いたいポニョは、人間になる決意をして、フジモトが貯めていた“生命の水”を海に撒き散らし、ポニョの妹たちのつくった大津波に乗って宗介の所を目指す…というストーリー。

アニメーションの技術はいかにも宮崎アニメらしく、美しく魅力的な味わい。古代の海洋生物の魅力はハンパない。宮崎アニメとはベストマッチだね。しかし、ストーリーは…。

名前で家族を呼びあう違和感。なんなのかね、気持ち悪い(ちょっと昔に、こういう“仲の良い親子”像を勘違いしたヤツらっていたけどね)。そういう部分も含めて始めはバタバタした展開で、まとまりがないのだが、40分経過したくらいからやっと落ち着いて見られる感じに。
#海水魚を水道水で飼おうとする子供が現れないことを祈る(笑)。

始めから、物分かりのよいまるで大人のような宗介。ポニョは宗介に会うために変化を遂げるが、宗介は最後まで何も変わらない。大きな冒険も、決断も、成長もしない。これが主人公といえるか?変化のない子供、成長のない子供など、気持ち悪くはないだろうか。まるで『ブリキの太鼓』の成長を止めた子供をみたいじゃないか。
#“名付け”をしたという行がは、彼が大人であることを意味するような気もするし。

こんなことなら、老人ホームの偏屈ばあさんの心の変化にスポットを当てて、彼女を主人公にしたほうがよっぽどマシではなかったろうか。宗介は成長ののびしろのない老人が自分を投影した姿に見えなくもない。この気持ち悪さが本作を支配する違和感のすべてだと思う。

震災後にみると、ちょっとグっとくる言葉が端々にあるのは事実だ(予言めいてはいるが偶然)。大いなる自然を仰々しい表現を用いずに感じさせてくれたのは評価したい。
しかし、海の中のファンタジーの世界と、地上の現実の世界が全然かみ合っていないし(コントラストとしても魅力がない)、穿った観方をすると、デボン紀まで戻った世界はある意味再生したわけで、あの津波で一回リセットさらたわけだ(ナウシカ的にいえば)。あの、海中ドームの様子なんか、みんな“死んだ”と捉えられなくもないな(震災後には言いにくいんだけど)。そう考えると、主人公は宗介じゃなくて“自然”なのかもね。

やはり、もう『千と千尋の神隠し』のキレを期待しちゃダメななんだろうね。凡作と切って捨てるようなレベルでは決して無いけど、何度も観ようとは思うような良作とは決していえない作品。
#所ジョージと山ちゃんのキャスティングは反対がいいような気がするんだけどな。



負けるな日本

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image1781.png公開年:2009年
公開国:日本
時 間:96分
監 督:しぎのあきら
出 演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、林珠緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、後藤邑子、山本高広、折笠愛、高城元気、小田敏充、東龍一、福崎正之、瀬那歩美、那須めぐみ、足立友、納谷六朗、高田由美、富沢美智恵、三石琴乃、鈴木れい子、玉川紗己子、郷里大輔、茶風林、楠見尚己、大西健晴、伊倉一恵、星野千寿子、むたあきこ、山寺宏一、ジェロ 他
コピー:解き放て、おバカ本能 しんのすけの雄叫びは人類を救えるか?
いま、母子(おやこ)の絆が試される!

カスカベ市ふたば町では、新町長の四膳守によるエコロジー活動が盛んになっていた。そんなある日、ふたば幼稚園の課外授業で川原でゴミ拾いしているときに、謎のアタッシュケースを発見し、その中に入っていた緑色のドリンクを持ち帰る。その夜、冷蔵庫にいれていたそのドリンクをひろしとみさえが飲んでしまう。すると翌日、ひろしは鶏、みさえは豹に変身してしまう。そのドリンクを作ったのは四膳守。彼の正体は、過激な環境保全組織“SKBE(スケッベ)”のリーダーで、人類を動物に変えることで環境破壊を食い止めようという「人類動物化計画」を推進していたのだ…というストーリー。

『超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』の一本前の作品。律儀に借りてみた。

同じしぎのあきら監督作品の『超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』よりもこっちのほうがまとまっているし、映画としての流れもある。SKBEっていう悪役組織の名前や、組織の目的とかその時に流行ってるものをディスっちゃう感じや、しんのすけたちの関わり方なんかが、『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』『爆発!温泉わくわく大決戦』時代に回帰したって感じ。個人的には『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』くらいまで戻ってほしいんだけど、ちょっと戻りすぎかな。興収があがらず辟易していた時代に戻っちゃった。だから、既視感があって新鮮味には欠ける。

市の中にある“町”って地域の名前でしょ。町会長くらいならわかるんだけど、町長なんかが存在する?まず、そこから設定の練りこみが浅い。
仰々しくカスカベの地下にある地底世界の設定を持ち出してきたが、結局、地下から戻ってみたら住民が動物になっていました…っていう時間稼ぎに使われただけ。別にアジトに閉じ込められていただけで済むハナシで設定が全然生きていない。
その他にも、組織の№2格のキャラクターに味がないとか、やはり原恵一には一枚も二枚を劣るのは、致し方ないのか。
#ジェロにも意外性は無いし、山ちゃんに声優をやってもらったのもなんか役不足な感じ。色々チグハグだわ(まあ、それは監督の責任ではないだろうけど)。

でも、原恵一のノリを継承できる監督さんなんだろうな…という予感はするし、抜擢された理由もなんとなくわかる(センスは感じる)。生意気なことを言ってもうしわけないが、もっといろんな映画をご覧になって、2時間のストーリーというものがどういう上げ下げで進むのか…とか、意図的なミスリード以外の無駄をどう省くべきなのか…というテクニックが身に付いたら、名作を生んでくれるのはないか。

しかし、本作については、オチが最悪で、この一点だけで駄作確定って言ってよいほど。逆に観てちょうだいよって言いたくなるほど、悪いオチ。こればっかりは擁護のしようがない。





負けるな日本

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image1782.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:99分
監 督:しぎのあきら
出 演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、釘宮理恵、内海賢二、白石涼子、神田朱未、近藤春菜、黒沢かずこ、はるな愛、いとうあさこ、椿鬼奴、玄田哲章、茶風林、石井康嗣、あおきさやか、大西健晴、倉田雅世、楠見尚己、菅原淳一、笹島かほる、いのくちゆか、小田敏充、中田隼人、東龍一、神奈延年 他
コピー:未来も愛もその手でつかめ!

ある日、公園で遊んでいるしんのすけたちすかべ防衛隊の前に、タイムマシンで時を越えてやってきたタミコという女性が出現。彼女は、しんのすけの未来の婚約者だと名乗り、未来世界で大人のしんのすけがネオトキオ”の支配者・金有増蔵に捕まってしまい、救出するためには5歳のしんのすけの手助けが必要だというのだ。半信半疑ながら、しんのすけたちはタミコと一緒に未来の春日部にタイムトリップするが、未来の世界は、地球に衝突した隕石の影響で、一日中太陽の出ない世界だった…というストーリー。

『爆発!温泉わくわく大決戦』『嵐を呼ぶジャングル』『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』と徐々に光を増し、『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』で、とうとうアニメの範疇を越え、日本映画史の中に燦然と輝くレベルに達した劇場版のクレヨンしんちゃん。しかし、直後の『嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード』で、早々に陰りが見え(私は劇場で観たけれど空回りしていたね)、その後は回を重ねる度にクオリティは堕ちる一方。
それでも、ムトウユージ監督時代は、レンタルとはいえなんとか見続けていたのだが、『ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者』でとうとう三行半。観るのを止めてしまった。それと同時に、TV放送も一切観なくなった。

本作はなかなか興収もよかったということで、レンタル料金も安くなっていたので、久々に借りてみた。
#まあ、観ていない『オタケべ!カスカベ野生王国』もチェックしてみるかな。
それにしても、クレヨンしんちゃんの映画に出てくる女の子は、だんだんかわいくなくなっていくのは、どういうことなのか、不思議極まりない。

TV放送を観なくなった間に出てきたしぎのあきらのいう監督さん。この人の特徴なのかシナリオのせいなのか、小ネタを繰り返すのはいいんだけれど、ブツ切れになっている感じ。TVシリーズの短いエピソードを作らせたら、ものすごくウマいんだろうなと思うが、良い感じで動き始めたノリが、かならず15分くらいでしぼむ。99分程度なのに、疾走感が皆無で2時間くらい観た感じ。

大筋の話の展開を、小ネタで繋ぐのも止めたほうがいい。例えばぼ~ちゃんロボのくだりだけど、これは小ネタでありおまけ的なエピソード。しかし、ぼ~ちゃんロボが出てこないとこの話は絶対に進まない。小ネタは所詮小ネタであり、シナリオの太い幹は、しっかりとメインキャラで繋ぐべき。

それに、子供が観る映画なのだから、だれかの心が成長しないとダメ。タミコが途中で迷ったりすることはあるけれど、それは周囲を慮ってのことであり、成長ではない。心の弱かった人が強い心を勝ち取るとかね。そう考えると、本当にクローズアップしなければいけなかったのは(主役にしなければいけなかったのは)、長いものに巻かれた大人の風間くん、やさぐれてる大人のネネちゃん、夢を失った大人のマサオくんだろう。彼らが子供のころの夢を取り戻すプロセスに強くスポットを当てるべきだった。残念ながら、そこはしんちゃんを助けに向かうだけで、さらっと流される。
そこに気付けば、なかなかの名作になったと思うんだけどねぇ。この、監督も脚本家もまだまだよのぉ~(オレ生意気)。

まあ、大人がわざわざ借りて観るほどのクオリティではないかな。子供をつれて一緒にみた大人が、飽きないレベルには達していると思うけど、いくら子供映画だからといって、そこを目指しちゃダメだよね。

#タレント(今回は女芸人さんたち)を使うのは、プロモーション的な理由もあって許容するけれど、絵を見ても声を聞いても、誰がやってるかよくわからんようなら、意味がないんじゃないかな…と。



負けるな日本

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image1741.png公開年:2009年
公開国:日本
時 間:90分
監 督:FROGMAN
出 演:FROGMAN、川村ゆきえ、もう中学生、板東英二、堂真理子 他






鷹の爪団のメンバーたちが夏休みから帰宅すると、秘密基地が何者かの手で荒らされており、さらにレオナルド博士が誘拐されたことがが発覚。その頃、国連ではアメリカ合衆国の新大統領オババが“核兵器の放棄”を宣言。世界中の大国や軍需産業を中心に動揺が世界中に広がった。鷹の爪団は、アメリカのとある軍需企業がレオナルド博士を誘拐したと踏んで、潜入を試みるのだが…というストーリー。

映画第一弾は“勢い”。第二段は“惰性”。もう、続編は無かろう…と思うほどまとまりがなかったが、見事に(?)第三弾も製作された(まあ、四弾目もあるのだが…)。一生懸命あらすじを書こうと試みるが、大した内容はなかったりする。とはいえ、過去作品よりは格段とストーリー性が増しており、前作よりは書きやすい。

話をとっ散らかすのは相変わらずお上手だか、きちんとオチをつけることが相変わらずできていない。まあ、これも平常運転なのだが、せめてプロメテウス宮殿のくだりは、なんとか生かせよ…と。それに、最後のモンスターからの復活のくだりの意味がよくわからんし(レオナルド君なの?そうじゃないの?)。ストーリー性が増した分、総裁や吉田君のキャラ頼りの部分は比較的小さくなっており、個々のくだらないギャグはパワーが落ちていたりもする。結局、どこかの要素が向上すれば、別がグレードダウンするという、まるでおもしろさに総量規制でもかけられているのかと、言いたくなる状態。
そういう観点でいうと、本作が総じてまあまあだった分、コフィちゃんがつまらなくなったのも、同じ原因かと。

後は、前回同様に、スポンサーを募って制作費に当てて、劇中で露骨に宣伝するという手法で、スポンサー探しゲームと化している。このノリがあと何回続けられるかは疑問だが、これがなかったら、40分と見続けられないのも事実だったりする(こんな演出はマトモな映画じゃできねえよなぁ…)。
#ただ、粉飾してました⇒赤字ゲージ、、、のくだりはつまらんわ。

まあ、『ロッキー・ホラーショー』みたいにマニアが劇場で大騒ぎするような、ジャンルの映画なんじゃないかな。日本人は映画館で大騒ぎしないけど、コアファン限定でそういう大騒ぎ上映イベントなんかを主要都市でやるべきなんだろうな。スポンサーの商品とか配ってさ(もしかして、やってる?)

100円でレンタルしたので何の不満もなし。通常運転。でも、ヒゲと嬉野はいらん。そういう内輪方向のノリは自滅への地雷だぞ。もちろん、特段お薦めはしない。あまりにヒマで、キーボードの掃除くらいしかすることねえな…って時に見る作品。




負けるな日本

 

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image1688.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:94分
監 督:米林宏昌
出 演:志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林、羽鳥慎一、吉野正弘 他
受 賞:【2010年/第34回日本アカデミー賞】アニメーション作品賞
コピー:人間に見られてはいけいない。

郊外のある広い屋敷の床下にひっそりと住む小人の三人家族。父ポッドと母ホミリーと14歳の娘アリエッティ。生活に必要なものは人間たちから拝借する“借りぐらし”。彼らは人間を恐れていて、姿を見られたら、そこから引っ越さなければならないという掟がある。ある夏の日、屋敷に病気療養のために12歳の少年・翔がやってくるが、アリエッティは彼に姿を見られてしまい…というストーリー。

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。観ながら、何度も何度もその問いが頭に浮かぶ。

なんでお父さんの頭巾というかマスクみたいなものは『風の谷のナウシカ』にでてきそうなデザインなのかな。
なんで猫は『猫の恩返し』みたいな漫画チックで、狸は『平成たぬき合戦ぽんぽこ』のリアル狸みたいなのかな。
『ゲド戦記』の時にも言ったけど、他のジブリ作品の要素を取り込んで、ジブリ作品ですよって主張する必要はまったくない。むしろ他のジブリ作品と似ている要素があったら、積極的に排除しなくてはいけないんじゃないのかね。米林さん、あなたは監督なんだからあなたの作品をつくればよろしい。せっかくそのチャンスを与えられたのに、一生懸命ジブリ作品を作っているよね。そういうスタンスでクリエイティブな事ができるとは思えないんだけど。

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。

なんで猫と狸は同じ動物なのにタッチが違うのかな。
なんでカマドウマは漫画チックで、スピラーのもってるコオロギの足はリアルなのかな。
なんで水の表面張力で小人さんたちの小ささを表現しているくせに、葉っぱの厚さは薄っぺらだったり(もっと厚さがあると思うな)、小物を大きさとの対比には気をつかっていなかったり(あんなちいさなサラミのおつまみはないだろう)、こだわりが中途半端なのかな。
CCDカメラでもつかって、小人の世界ってどうなんだろうって、観察してみればよかったじゃない。ものすごく違和感を感じるんだけど、作っていて気にならなかったんだろうか。とにかく全然わくわくしないのよ。

近藤喜文さんだったらどうなったかな…。

本作の唯一の悪役として登場するお手伝いのおばさん。はっきりいって狂人だよね。行動や思考の根拠がまったくもって意味不明で理不尽で、はっきりいって“引く”わ。
それに最後だけ物わかりが良くなるおばあさん。キャラに一貫性がないわ。

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。

お手伝いさんが、証拠を見せようと床下の戸を開けたら、家はなくなっていて…って、あれは誰が片付けたわけ?そんなまったく形跡すらない状態に誰ができたわけ?都合よすぎじゃない。
スピラー登場で「他にも小人がいたんだー」って、都合よすぎじゃない?いままで見つからなかったことが、逆にリアリティ無いよね。
あの髪留めの洗濯バサミって何さ。あんな製品あるか?

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。

途中の音楽にボーカルがあるのが邪魔。
CMの仕事とか声の仕事を多くやってる人を声優にしちゃだめ。聞き覚えがありすぎて顔が浮かぶ。三浦友和と樹木希林と羽鳥慎一ね。
コンピュータ彩色が薄っぺらで平板な印象。

もういいわ。『ゲド戦記』と同じカテゴリ。これで、米林監督に少女に対する性癖ともいえる思い入れがあれば…はっきり言っちゃうと、米林監督は駿監督ほど真性のロリコンじゃねえから、ほとばしる何かが無いってこと。

#っていうか、泥棒一家が狂人に追い出される話だよね。


負けるな日本

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クボタカユキ
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男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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