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image0433.png公開年:2001年 
公開国:イタリア
時 間:99分
監 督:ナンニ・モレッティ
出 演:ナンニ・モレッティ、ラウラ・モランテ、ジャスミン・トリンカ、ジュゼッペ・サンフェリーチェ、シルヴィオ・オルランド、クラウディア・デラ・セタ、ステファノ・アコルシ、ソフィア・ヴィジリア 他
受 賞:【2001年/第54回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ナンニ・モレッティ)
コピー:生きているときは、開けてはいけないドアでした。


神科医のジョバンニは、妻パオラ、娘のイレーネ、息子のアンドレアと4人暮らし。ある日、アンドレアが海の事故で亡くなってしまう。ジョバンニは、事故の日、息子とジョギングをしようとしたところを急患の往診に出てしまったことを悔やみ、自分を責め、遂には仕事もやめてしまう。家族はいつまでも悲しみに沈み続け、崩壊寸前に。そんなある日、息子のガールフレンドから、息子宛にの手紙が届く。パオラはそのガールフレンドとの接触を試みるが…というストーリー。

なにやら妙に意味深なコピーだが、別に息子の部屋にはたいした秘密はない。それどころか映画の見所とはまったく無関係で、集客のためだけに奇を衒っているという、実にタチの悪いコピー。非常に不快。

ご覧のとおりパルム・ドール作品で、ネット上の感想を読めば、そりゃあ高い評価ばかり。でもあえて言わせてもらう。つまんないよ。これは。なんの予備情報も無しに本作を観ることがでいるならば、アリなのかもしれないけれど、DVDのパッケージを見れば、息子が死ぬことは丸わかりなので、死ぬまでが長い長い。本当に才能のある監督ならば、この程度のあらすじがわかったとしても、それなりに飽きさせない+αがあるはず。ワタシは耐えられずに一度、観るのをやめてしまったくらい。この監督の才能を評価する声が多いけれど、緻密な計算の結果、この雰囲気ができあがっているようには見えない。ラッキーパンチのポテンヒットに、ワタシには見えるけれど。

百歩譲って好意的に観るとしよう。
かけがえのないものを失ったことに対して、どんなにつらくても前に進まなければいけないことは、実は、家族全員が理解している。理解はしているけれど、この喪失感を乗り越えるためには、一つ何かが必要。それはなにか。喪失したのは形のある息子だけではない。息子に何かをしてあげる自分達の姿も喪失したのだ。でももう、葬られた息子には何もしてあげようがない。息子に死やその理由にいくら執着しても、息子の部屋を整理しても。そこに息子に関わりのあった人物が。彼女にできるだけ施すことで、前へ歩みだすためのエンジンの種火になる…。そういう感じかな。

だけど、感性が合わないとしか言いようがない。世の評判は高いが、ワタシはお薦めしない。

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image0456.png公開年:2000年 
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:ロン・ハワード
出 演:ジム・キャリー、ジェフリー・タンバー、クリスティーン・バランスキー、モリー・シャノン、アンソニー・ホプキンス、ジョシュ・ライアン・エヴァンス、フランキー・レイ、ミンディ・スターリング、テイラー・モンセン、ビル・アーウィン、T・J・サイン 他
受 賞:【2000年/第73回アカデミー賞】メイクアップ賞(リック・ベイカー、Gail Rowell-Ryan)
【2000年/第54回英国アカデミー賞】メイクアップ&ヘアー賞
【2001年/第10回MTVムービー・アワード】悪役賞(ジム・キャリー)
コピー:気をつけなさい この冬は…

クリスマスを愛する街フーヴィル。街中がクリスマス気分で大騒ぎとなる中、ただ一人だけクリスマスを嫌う、山で犬と暮らすひねくれ者グリンチ。眼下のフーヴィルの人々がクリスマスの到来に浮かれているのが気に入らず、何とかしてクリスマスを盗んで人々をがっかりさせてやろうと計略を巡らせる。フーヴィルに住む娘のシンディはそんなグリンチのことが気になっていたが、ある日、地下室でグリンチに出会い…というストーリー。

なぜ本作を観たかというと、最近見た映画の中で、グリンチのアニメを子供がTVで見ているシーンがあったから(どの映画だったかなあ…)。いずれにせよロン・ハワード作品の中では異質な存在。

同じくクリスマスを扱った、子供向け作品といえば、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』だが、たしかに特異なキャラの主人公が、意図的か確信犯かの違いはあれど、クリスマスを盗もうとするプロットはほぼ一緒。アメリカでは国民的に親しまれているキャラクターで、元は大ベストセラーの絵本らしいけれど、日本ではさっぱりかと。アメリカでは、年間興行成績第一位になるほどだたらしいけど、絵本やらアニメやら子供のころから慣れ親しんだベースがあってこそだろう。
こういうおとぎ話の映画化って日本人には理解できないことも多くて、日本の子供のウケはよくないと思われる。グリンチやフーヴィルの人々のキャラは確かにユニークかもしれないが、『ナイトメアー~』と比べれば、毒もダークな部分もなく、どうも心をくすぐらない。

それでも、イジメられたことが原因でひねくれてしまったグリンチと子供の交流がどう展開するかな?イジメたやつらにどうやって復讐するのかな?と、いくらか前半は期待させるが、急激に失速。結局は、悪役のグリンチもクリスマスに感化され心変わりし、ハッピーエンド。迫害される者が、クリスマスに心洗われ、最後に自首しちゃうって、何がなんだか理解できない。勧善懲悪は微塵もなく、“許し”でおしまいという極めて宗教的なオチにうんざり。

『ナイトメアー~』の終わり方だって決してよろしいわけではないが、本作はどうにも是認しかねる。まちがっても子供が飽きずに観つづけられる内容ではないし、かといって大人がノスタルジーに浸れる作品でもなく、お薦めできる要素なし。

#ちなみに、ナレーションはアンソニー・ホプキンスだが、日本語吹替えのナレーションのデキはクソなので、子供が観るのでなければ、オリジナル音声のほうがよいかも。こういうコメディーで字幕を追うことを薦めなければいけないってのも…。

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image1283.png公開年:1998年 
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:スティーヴン・ソダーバーグ
出 演:ジョージ・クルーニー、ジェニファー・ロペス、ヴィング・レイムス、ドン・チードル、デニス・ファリナ、アルバート・ブルックス、キャサリン・キーナー、イザイア・ワシントン、スティーヴ・ザーン、ルイス・ガスマン、ナンシー・アレン、キース・ロネカー、ヴィオラ・デイヴィス、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン 他
受 賞:【1998年/第33回全米批評家協会賞】作品賞、監督賞(スティーヴン・ソダーバーグ)、脚本賞(スコット・フランク)
コピー:全米マスコミがベタ賞(ボ)メ!“もしあの時”立ち止まっていれば… “もしあの時”って そう何度も起こる事じゃない

銃を使わない手口の銀行強盗常習犯のジャックは、逃走車の故障で運悪く逮捕され収監される。ジャックは、脱獄した後、刑務所内で知り合った株屋のリプリーが自宅に隠し持つダイヤモンドの原石を盗み、それを元手に足を洗おうと決めた。ところが、相棒のバディの手引きで脱獄を試みるさなか、たまたま刑務所に立ち寄ったFBI捜査官カレンと出くわす。脱獄を阻止しようとする彼女はバディに拘束され、ジャックと共に車のトランクに押し込められ逃走に付き合うはめに。二人は車のトランクで会話するうちお互いに好意を抱き始める…というストーリー。

先日の実験的作品『フル・フロンタル』や『イギリスから来た男』『ソラリス』『オーシャンズ』シリーズ、『さらば、ベルリン』『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』と、製作総指揮も入れれば『コンフェッション』『インソムニア』『シリアナ』『アイム・ノット・ゼア』『フィクサー』等々、振り返ってみると、ここ1・2年は、彼が携わっている作品を一番多く観ている。彼の作品群を眺めると、よく言えばバラエティに富んでいると言えるけど、独自のカラーが薄いと言えるかも。

で、本作は、しゃれた雰囲気を前面に押し出そうとしている作品。でも、ソダーバーグ流のスタイリッシュなのかもしれないが、ストップモーションとか時制の組み換えとか、正直なところグッとくるような好みの演出は少ない。決して新しい作品ではないので、手法の目新しさをとやかくいうのはフェアじゃないかもしれないけれど、それを差し引いてもさほど格好よいとは思えない。

ストーリーも同様にイマイチ。主役キャラ二人は、銀行強盗常習犯でまったく社会に適合できない男と、FBI職員のクセに銀行強盗と交際していた過去のせいで閑職にある女。観ている側がシンパシーを感じられる線を越えていて、共感しにくい。
車のトランクの中の密着シーンとか、ホテルのロビーでのすれ違いとか、二人の恋愛にまつわるシーンも、さほどグっとこなくてアクセントになっているともいえず、緩急がなく単調な展開。
ただ、主役2人の演技が非常に魅力的なので、陳腐なストーリー展開なのに、なんとか観ることができる状態。なんで、ここまで評価が高いのか理由がわからない(受賞こそ多くないがノミネートはたくさん)。

マイケル・キートンがでてきたところで、なにやら『ジャッキー・ブラウン』が頭をよぎったのだが、原作者が同じだった。ということは、おのシーンはお遊びシーンということか(大してニヤリともできない、トホホな演出かも)。

でも、『フル・フロンタル』の時にも書いたけど、なんか現場の雰囲気のよさが伝わってくるのが不思議なんだよね。ソダーバーグは雰囲気作りがお得意な方なんでしょう。俳優やスタッフが決定したら、自分は雰囲気作りに徹して、みんなプロなんだからお任せする…そんなスタイルなのかも。

本作に関しては、面白いと思う人は1割程度だろう。お薦めはしない。

#『インフォーマント!』をレンタルしたので、近いうちにこちらを観ることにする。そういえば『セックスと嘘とビデオテープ』『グレイズ・アナトミー』『スキゾポリス』を見ていないので、トライしてみたい(なんだかんだ文句いうくせに、期待してみちゃうんだなぁ…。

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image1513.png公開年:2007年 
公開国:イギリス
時 間:108分
監 督:スティーヴン・ウォーカー
ノミネート:【2008年/第14回全米批評家協会賞】ドキュメンタリー賞)
コピー:世界一いかしたロックンロール・コーラス隊。





1982年に誕生してから、指揮者のボブ・シルマンに率いられ、ロックンロールなパフォーマンスで、全米だけでなく欧州ツアーも成功させた“ヤング@ハート”。老いや死にに直面しながらも歌に情熱を注ぐ、年1回のコンサートまでの6週間の様子に密着したドキュメント。

じいさんばあさんが、ロックを歌っているだけといってしまえばそれまでなのだが、理由はよくわからないが、なぜか心に沁みてくる。決して、彼らはロックに興味があるわけでもなく、ボブの選曲に従っているだけなのだが、そのちょっとしたやらされてる感もいい効果を生んでいる。日本の老人だったら、自分が若い頃に歌った曲をうたっちゃうもんな。それこそ実社会からの乖離に繋がっちゃう。ロックをすんなり受け入れちゃうアメリカの老人の社会性というか柔軟性は素晴らしいと思う(まあ、アメリカ老人の全部がこうじゃないとは思うけど)。

“NO MUSIC, NO LIFE.”を地で行く作品で、楽しいから歌う!ただそれだけ。こうありたい。
私が老人になったら、これをやりたい…、と強く思うが、その時にキビしいボブのような存在がいてくれるかどうか。いなけりゃディストーション付きのギターをかき鳴らして、一人で歌うことにしよう(それはそれでボケたと思われるか…)。

若干、モタつくシーンもあるけれど、ドキュメンタリーなので大目にみよう。日々の生活の瑣末なことでイライラ・クヨクヨしているときは、本作を観ると気が晴れるかも。軽くお薦めする。

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image1483.png公開年:2008年 
公開国:イスラエル、フランス、ドイツ、アメリカ
時 間:90分
監 督:アリー・フォルマン
出 演:アリー・フォルマン 他
受 賞:【2008年/第43回全米批評家協会賞】作品賞
【2008年/第34回LA批評家協会賞】アニメーション賞
【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】外国語映画賞
【2008年/第21回ヨーロッパ映画賞】音楽賞(マックス・リヒター)
【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】外国語映画賞
【2008年/第34回セザール賞】外国映画賞(アリ・フォルマン)
コピー:過去が、語り始める

フォルマン監督は、再会した旧友がレバノン内戦での経験と関連すると思われる悪夢に悩まされていることを聞き、なぜか自分が戦争中のできことを思い出せないことに気付く。友人の心理学者から、記憶を取り戻すために、同時期に従軍していた戦友から話を聞くよう勧められ、彼らを訪ね歩くフォルマン。彼らと重ねた会話によって、自分の記憶に迫っていく…というストーリー。

アニメ自体のキレイさが評価されているようだが、『スキャナー・ダークリー』とさほど変わりはない。海外コミックにコンピューター彩色という手法が加われば、丁寧につくればこのような感じになるのは、当然の帰結かと。申し訳ないが、技法的に特筆して評価すべき点はない。

本作は、1982年に発生した、親イスラエル派のキリスト教マロン派の右派民兵ファラジストがパレスチナ難民を大量虐殺した事件(実話)がベースになっており、実際にアリ・フォルマンが経験したことが元になっている。そして、アリ・フォルマンが事件の記憶を喪失していたというのも事実らしい(らしいとしか言いようがない)。状況的には、ベイルート郊外のパレスチナ難民キャンプをイスラエル軍が包囲する中で行われた虐殺なので、イスラエルも一緒に虐殺したに等しい。

記憶を無くすほど凄惨な出来事であったというのは判った。で、それを映画にすることで、何を伝えたいのだろうか。
監督はあの時のことを思い出したい…と、あの時はこうだった、そこにいた、だ、とにかくべらべらしゃべり続ける。画面から目をはずしていても、とにかく状況やら感情やらべらべらとしゃべり続けるので、別に画面を見ていなくても内容は理解できる。ますます映画にする意味がわからない。

で、結局、自分もあの虐殺に関わっていたのだという(だれもが想像したとおりの)オチになる。思い出した瞬間から実写という技法も、さほどセンスがいいともいえないし、効果もない。

事件のときは、殺るか殺られるかの極限状態だったし、虐殺があまりにショックで記憶を失くしてしまったんだ。イスラエル人は、あの難民虐殺事件を悔いているんだ。この映画はその贖罪のために作ったのだ…とでもいうことだろうか。私には陳腐な言い訳にしか見えない。こんな映画をつくるくらいなら、一言“ごめんなさい”と誤ったほうがよっぽどよい。自分の先祖がやったという距離感なら、こういう手法はわからないでもない。でも当事者なんでしょ?

この映画を観たからといって、多くのイスラエルは良識のある人々なのだなぁ…と私は決して思わない。世の人は、この映画の何を賞賛しているのか。懺悔するのはよいだろう。お互い苦しみ続ける中で許すことは一つの進展になるとは思う。だけど、懺悔したからといって、今度は、逆に褒めて持ち上げなければいけないのか?そこは、そっとしておくのが、良識のある行動だと思うが、賞賛までするのはやりすぎじゃないかな。私も人を殺したら、真っ先に懺悔しよう。そうしたらみんな褒めてくれるんだよね。いつこら、こんなアホな世の中になったのか。むなしい。

監督が悔やんでいること、謝罪の気持ちがあること、については、作品の全体から読み取れというかもしれない。しかし、本作については、最後に、その気持ちを推測させるのではなく言葉で表現すべきだと思う。まだ、芸術作品にしてしまえるほど、冷静になれる事件ではない。よって、最終的に“だから何?”という言葉しか、私の心には残らなかった(なんと言われようが、そうなのだから仕方が無い)。

未だ、世の中ではこういう事件がおこっていると、気を引き締めることはできるが、それ以上の意味も効能もない。お薦めはしない。

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image1214.png公開年:2002年 
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:スティーブン・ソダーバーグ
出 演:ジュリア・ロバーツ、デヴィッド・ドゥカヴニー、キャサリン・キーナー、メアリー・マコーマック、ニッキー・カット、メアリー・マコーマック 他
コピー:ロサンゼルス、ハリウッド。裸(フル・フロンタル)の心を抱えて 誰もが少し誰かと つながっている



ビバリーヒルズの高級ホテルで映画プロデューサー、ガスの40歳の誕生パーティーが開かれる。そのパーティーに招かれる者や招かれない者、それぞれの一日が始まる。リストラ宣告がもっぱらの仕事の人事部長リーは、雑誌ライターで脚本家の夫カールに離婚を告げる置き手紙を残して出勤。その手紙にも彼女の浮気にも気付かないカールは雑誌社を解雇される。リーの愛人は映画スターのカルヴィン。彼は、人気女優のフランチェスカと映画を撮影中。一方、劇作家のアーサーは、今夜が初日だというのにセリフが入っていないヒトラー役の俳優に悩まされつつも、ネットで知り合ったリーの妹のマッサージ師リンダとのデートに気もそぞろ。そのリンダがホテルの一室を訪ねると、大物映画プロデューサーのガスが待っており…。

はっきり言っちゃっていいのかどうかわからないが、これは単なる実験映画でしょう。そういい切っていい。映画学校の生徒に、群像劇というのはどういうものですか?と聞かれたらこの映画を見せればいいと思うが、典型的な群像劇ではあるが、おもしろいか否かはそれとは別である。
大抵、群像劇というのは、多くの糸が展開が進むごとに1・2本の糸に撚られていくものだが、本作は最後にできあがるのが“縄のれん”みたいなもの。失敗しているわけではなく、元々ソダーバーグにそれらを集約するつもりは見受けられないのだ。ストーリー自体も特段の盛り上がりも、はっとさせられるような場面があるわけでもなく、悪くいえば思いついたシチュエーションを詰め込んだだけ、そんな感じ。

#こういうもものを作るのが許されるとは、ソダーバーグは巨匠扱いなのね。

民生用カメラでの撮影も実験の一つかと。ジュリア・ロバーツが2キャラ演じていてややこしいのも、ただややこしいだけで特段の効果がない。本当に思いつきで実験しているよう。しかし、撮影現場の和気あいあいな感じが、なぜだか伝わってくるのが不思議である。

実験的な変わった映画とか、不親切な難解さを好む人は観るとよい。娯楽も感動も考えされらるものもない。それを承知の上ならばどうぞ。ワタシは二度とみないし、知り合いには薦めない。
#まあ、そりゃあ賞とは無縁だろうさ。

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image1311.png公開年:2007年 
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:ビリー・レイ
出 演:クリス・クーパー、ライアン・フィリップ、ローラ・リニー、デニス・ヘイスバート、カロリン・ダヴァーナス、ゲイリー・コール、キャスリーン・クインラン、ブルース・デイヴィソン 他
コピー:職業…FBI捜査官
罪状…二重スパイ
史上最悪の裏切り者、逮捕までの二ヶ月間。

捜査官への昇進を目指す若きFBI捜査官エリックは、上司のケイトから、ベテラン捜査官ロバート・ハンセンの監視を命じられる。彼の性的倒錯行動を監視し逐一報告しろという指示だったが、いくら行動を共にしても、何一つ不審な点は見つからない。そんな任務に不満を感じたオニールがケイトを問い詰めると、ハンセンにはロシアに協力するスパイの容疑がかけられていることを告げられる…というストーリー。

アメリカでは重大事件だったので周知だったかもしれないが、日本で記憶残っている人は少ないはず。それなのに、“BREACH”という原題に『アメリカを売った男』という邦題をつけちゃうバカさ加減。
3分の1近くまで、捜査の真の理由はわからない状態で、捜査しているつもりが利用されているのがおもしろいのだが、邦題とコピーのせいで丸わかりで、観も蓋もない。『死ぬまでにしたい10のこと』くらいバカな邦題である。さほど評価の高くない映画だったようので、とりあえず集客できりゃなんでもよかったのか。タチの悪い日本の配給会社め。

映画の内容としては、『フェイク』を同じようなプロット。まあ、そりゃあ事件の種類に違いこそあれ、両方ともFBI捜査官による騙し捜査なのだから、捜査手法がダブるのは当然か。バレるバレないのドキドキ感も『フェイク』と同様だが、さすがに、FBI内部の出来事なので、緊迫感は劣る。警戒されて捜査が頓挫しても、命が危険にさらされるわけでもなかろうし、どうであと数年で定年だし、その気になれば闇に葬ってしまえばいいのだし。
それにしても、既視感がバリバリすぎる。笑ってしまうのは、FBI捜査官の妻は、揃いも揃ってアホなのか?という点。FBIで捜査をしてるんだから家族に仕事の内容が言えない時があることくらい承知の上だろうと思うのだが。アメリカ人と日本人の職業観の違いだろうか。

一つ、慧眼だなと思うには、自分が廻りの人間にとって役に立つ存在でありたいという欲求が、犯行動機足りえるという点かな。

とはいえ、200円くらいのレンタル料金なら、まあまあ許せるかな?くらいのデキ。受賞がないのは、至極妥当。お薦めはしないが、どうしても暇つぶしにDVDを観たいなら、許せる範囲かも。

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image0185.png公開年:2002年 
公開国:フィンランド、ドイツ、フランス
時 間:97分
監 督:アキ・カウリスマキ
出 演:カティ・オウティネン、マルッキィ・ペルトラ、マルック ペルトラ、アンニッキ・タハティ、ユハニ・ニユミラ、カイヤ・パリカネン、ユハニ・ニエメラ、カイヤ・バカリネン 他
受 賞:【2002年/第55回カンヌ国際映画祭】審査員特別グランプリ(アキ・カウリスマキ)、女優賞(カティ・オウティネン)
【2003年/第38回全米批評家協会賞】外国語映画賞(アキ・カウリスマキ)
コピー:人生は前にしか進まない

ヘルシンキを訪れた一人の男が、公園のベンチで突然暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負う。彼は病院で奇跡的に意識を取り戻すが、一切の記憶を失っていた。身分証もなく自分の正体がわからぬ彼に、コンテナで暮らす一家が手を差し伸べ、彼らと共に穏やかな生活を送り始める。ある日、救世軍の炊き出しを貰いに行くと、そこで救世軍の女性イルマと出会い、好意を抱くのだが…というストーリー。

昨日の『ヴェラ・ドレイク』と同様、場面の繋ぎ方に非常に特徴のある作品。観ていただければわかるのだが、場面の切り替わり直前に、見得を切ったような演技とか、突然中空を見つめてスタスタと動いたりとか(ジョジョ第三部のラストのコマみたい)、とにかくキメようとするのが実に面白い。こういう書き方をしちゃうとコミカルな映画かと誤解されるかもしれないが、そうではなく、実の味のある表現。
随所随所のセリフもかっこいいのが多く、「俺がうつ伏せに死んでいたら仰向けにしてくれればそれでいい」とか「バカだなあ」とか、とにかく、ワンシーンのどこかでキメようキメようとする。

記憶を失くした男の話なんて、けっこう凡庸だとは思うが、これら演出の波状攻撃と、コピーにあるように、とにかく前に前に展開するのが小気味良い。記憶を失くしたからこそ発揮される裸の人間性。実にステキ。
#めずらしく、うまいことつけたコピーである。

気付く人も多いかと思うが、主演のマルック・ペルトラは、『かもめ食堂』にちらりと出ている。本作でも、離婚が判明して新たな門出…という時に入るレストランが日本レストランで、箸で寿司を食べ、バックには日本の歌が流れる(ホノルル~♪、、、(笑))。フィンランドと日本の文化交流だね(そうか?)。

中年男女(それも十人並みの容姿)の恋愛なんてちょっと気持ち悪いと思うかもしれないが、ものすごく味のある、映画らしい映画なので、是非是非観て欲しい。強くお薦め。

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image0100.png公開年:2004年 
公開国:イギリス、フランス、ニュージーランド
時 間:124分
監 督:マイク・リー
出 演:イメルダ・スタウントン、フィル・デイビス、ジム・ブロードベント、ピーター・ワイト、ヘザー・クラニー、ダニエル・メイズ、アレックス・ケリー、サリー・ホーキンス、エディ・マーサン、ルース・シーン、ヘレン・コーカー、マーティン・サヴェッジ、アラン・コーデュナー、レスリー・シャープ、ジム・ブロードベント、フェネラ・ウールガー、リチャード・グレアム、シネイド・マシューズ、サンドラ・ヴォー 他
受 賞:【2004年/第61回ヴェネチア国際映画祭】金獅子賞(マイク・リー)、女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第39回全米批評家協会賞】主演女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第71回NY批評家協会賞】女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第30回LA批評家協会賞】女優賞(イメルダ・スタウントン)
【2004年/第58回英国アカデミー賞】主演女優賞(イメルダ・スタウントン)、監督賞[デヴィッド・リーン賞](マイク・リー)、衣装デザイン賞(ジャクリーヌ・デュラン)、衣装デザイン賞(ジャクリーヌ・デュラン)
【2004年/第17回ヨーロッパ映画賞】女優賞(イメルダ・スタウントン)
コピー:すべてを赦す。それが、愛
ヴェラ・ドレイク、彼女には誰にも言えない秘密があった。

1950年、ロンドン。夫と2人の子どもとの貧しい生活を送る主婦ヴェラ。家政婦として働きながら、近所で困っている人がいれば、甲斐甲斐しく世話をするほどの彼女には、家族にすら打ち明けられないある秘密がある。彼女は望まない妊娠で困っている女性たちに、堕胎の手助けをしていたのだ。しかし、ある日、処置をした若い娘の容態が急変し…というストーリー。

とにかく、重い重い内容で、息が詰まるようなのだが、びっくりするくらいスムーズに感じる。ヘタな監督ならば、とても苦しくて観ていられなかったに違いない。それは、場面の繋ぎや編集がものすごくうまいおかげ。増長な台詞や演技を極力排除していて、ダラダラと続ける必要はない所はスパっと切って、後は観ている側の想像にまかせている。妙技の域。
イメルダ・スタウントンが多くの受賞をしていて、確かし、役ではなく、まるで本物のヴェラを観ている気に、誰もがなったに違いない。しかし、ワタシ個人としては、監督のマイク・リーや編集のジム・クラークの方を強く評価したい。いくらイメルダ・スタウントンの演技がすごくても、彼らの力なくしては、彼女の演技も生きはしなかっただろうから。是非この編集の技を味わって欲しい。稀に見る職人技だと思う。

ストーリーの話に移る。

欧米社会、特にキリスト教社会では中絶問題は社会的に重大なファクターである。もちろん日本だとて諸手を挙げて肯定されることはないが、キリスト教社会では、その重みはまるで違う。
困っている人がいるからと、深く考えずに惰性で堕胎している彼女は、ただの浅はかなおばさんに見えなくもない。たしかに泣き崩れる彼女は困った人の為だったと言っているし、代金ももらっていないし、自分は悪かったと宣言もしている。でも、彼女は完全なる確信犯。警察に見つかるまでは、微塵も自分の行いを悪いと思っていなかったと思う。捕まった当初は子供には知られたくないと繰り返し、ある意味自分の行いの重さよりも、自分勝手な価値観を振り回していることからも、それが伺える。

しかし、刑務所のほかの受刑者との会話で、他の受刑者が出所した後にも同じ行いを(おそらく商売として)繰り返していることを知り、そして自分の行いが、表面的には同じ行為であることを認識する。その悪魔的な罪の重さと、天使のような無垢さの共存。そんな彼女が刑務所の中をふらふらと歩く姿に、なんとも言えぬ答えのない鉛のような重さを感じる。でも、最終的に、観る側に考えさせる、ある意味投げっぱなしの終わり方をしており、よくいえば考える余白を残しているといえるが、中絶問題の是非を正面切って問いたいののか?といわれると、そうではないのかも…と思わせる。
それよりも、最後の固まった家族の食卓の長回しが象徴するように、家族が突然犯罪者となってしまったら、残された家族は?という視点のほうが強いのかもしれない。

#いずれにせよ、この日本の配給会社は付けたコピーはずれているかな。

いずれにせよ、作品として、観ている側に思想やモラルの押し付けは何も無い。しかし、もう一度言うが、あまりのストーリー展開と演技のうまさのせいで、まるで実世界を覗いているような気分となる。重い題材ゆえに避ける人もいるとは思うし、何度も繰り返し観られる作品ではないが(そういう私もその一人だったが)、強くお薦めする。
 

拍手[0回]

image1510.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:122分
監 督:アレックス・プロヤス
出 演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン、ベン・メンデルソーン、ナディア・タウンゼンド、D・G・マロニー、アラン・ホップグッド、エイドリアン・ピカリング、タマラ・ドネラン、トラヴィス・ウェイト 他
コピー:地球消滅 その時、人類は何を残せるだろうか。



MITの宇宙物理学者ジョン。その息子ケイレブが通う小学校では、50年前に埋められたタイムカプセルを掘り起こし、当時の生徒たちが埋めた未来を予想した絵を在校生に配った。ところが、ケイレブには数字の羅列だけが書かれた紙が配られる。ジョンは、その数列に意味があるのではないかと興味を抱き始め調べ始めると、彼の妻が亡くなった2年前のホテル火災の日付や犠牲者数があることに気付き、さらに過去に起きた大惨事の日付と死者数に一致していると気づく。その中には未来の日付も書かれており、その予想通りに大惨事が現実のものに。ジョンは、さらなる大惨事を食い止めるべく、引き続き数列の謎の解明を試みるのだが…というストーリー。

久々に最低の映画かも。公開当時けっこう話題になっていたと思うが、まったく理解できん。
好意的に捉えれば、9.11以降の不安感を表現した内容といえるけれど、だからといって不安を煽ればそれで成立するわけでもありまい。
ノリとしては『サイン』と『アンブレイカブル』と『地球が静止する日』のミックスといったところか。地球外生命体、予定説、終末論。キリスト教文化圏で育った人間でなければ、これに恐怖を感じることはないだろう。

話の根本である数字の羅列は未来を予測した預言書という扱いだが、これはキリスト教の予定説、つまりこの世でおこることはすべて、神によってあらかじめ定められているという考え方。宇宙人的生命体に選出されることは“やりなおし”と表現されており、すべて神の予定だと。子供二人は、アダムとイブ。プロテスタント的視点で展開されているのかと思いきや、彼らを連れて行く宇宙人的な人たちの人数は4人(4騎士)ということで黙示録的なカトリック要素。あまり宗派的なこだわりはないらしい。そして麦の茂る天国のイメージ。まあワタシのようなキリスト教に詳しくない人間でもわかるような、単純なイメージのオンパレード。でもね、まあ映画だから何を表現してもかまわないけど、神を万能の宇宙人としてしまうと、一昔前にはやったトンデモ書籍と同じレベルで、「だから何?」としか言いようがない。教義への冒涜かな(まあ、キリスト教徒でもなんでもない私がそんなこという必要はないんだけど)。

こんなオチなら、ゲッターロボ號のオチのほうがまだマシだとワタシは思うね(知ってる人、少ないか)。

飛行機や地下鉄の事故のCGは非常に見事だし、うっとしい娘の母親の行動にイライラしてたら殺してくれたりと、主筋と関係ない部分のデキは大変よろしい。逆にこれがなければ観る価値のない映画だといえる。それなら、はっきりとアトラクション映画として極めてみようという『2012』のほうが好感が持てる。

CGなどのアクションシーンの良さで、なんとか『地球が静止する日』と同じレベルに到達した作品。その程度。話にヒネリも深みもないくせに、ドヤ顔されたみたいな、ダサい作品なので、観る必要なし。

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image0901.png公開年:2002年 
公開国:フランス
時 間:80分
監 督:ロバート・レッドフォード
出 演:ジャン=クロード・ドンダ、ミシェル・ロバン、モニカ・ヴィエガ 他
受 賞:【2003年/第76回アカデミー賞】長編アニメ賞、歌曲賞(ブノワ・シャレ、シルヴァン・ショメ“The Triplets of Belleville”)
コピー:ベルヴィルへ、ようこそ!



戦後間もないフランス。父母を失った孫のシャンピオン元気づけようと、おばあちゃんは色々努力したが、まったく効果なし。そんなある日、シャンピオンが自転車に興味を示していることを気付いたおばあちゃんは、自転車を買い与える。シャンピオンは自転車を愛し、やがて一流の自転車選手になるため、おばあちゃんと二人三脚で厳しいトレーニングまでになる。そしてついにシャンピオンはツール・ド・フランスに出場するまでに成長。ところがレース途中でシャンピオンは何者かによって誘拐されてしまい、おばあちゃんは孫の奪回を試みる…というストーリー。

ちょっとジャンル分けが難しくて、とりあえずドラマにカテゴライズしておいたけど、ちょっと微妙。

実は、以前、一度レンタルして観たことがあるんだけど、そのときはジブリライブラリーとして発売されたってことだけで、ストーリーなどについて何の予備知識も無く観た。冒頭の緩い展開で、眠くなってしまってそのまま断念したことがある。

今回改めて観ると、あることに気付く。DSソフトのレイトン教授シリーズに美術デザインがそっくり!。というかそのまま。
まさかレイトン教授シリーズってシルヴァン・ショメがデザイン?とおもって調べたが、まったくノータッチ。レイトン教授の美術デザインは日本人だった。おそらくリスペクトというかオマージュというか、とても影響をうけているってことなんだけど、ここまでってアリ?
背景(とくに構造物のデザインや配色)とか、人物デザインとかそのままじゃん。レイトンにあってシルヴァン・ショメにないのは、かわいいキャラクターくらいかな。いくらなんでも、ここまでだとシルヴァン・ショメに適正なお金をお支払いしたほうがよろしいのではないかと。

先入観を持たずに観たほうがよいケースが多いかと思うが、本作については、ある程度あらすじは知ってからのほうがよいという、めずらしい作品。知らずに観始めると、おばあさんと孫のほんわかストーリーかと勘違いしてしまい、眠くなっちゃう。誘拐→犯罪組織への潜入→奪還という実はハードなストーリである。はじめから知っていたらおもしろくないのでは?と思うかもしれないが、本作はそういうことを楽しむものではない。“雰囲気”を味わうものだから。その雰囲気は、さっきから何度もいっているように、レイトン教授シリーズのよい部分。
今の日本のアニメの“かわいい”とか“クール”という美名に隠れた、味のない作品とは違い、旨みが盛りだくさん。“いい味”、これ一本勝負といってもいい。

レイトン教授をプレイして、あの雰囲気が好きになったかたは楽しめるでしょう。でも子供向けではないです。かわいげは皆無で、むしろ気持ち悪いくらい。
#オチの意味はよくわかりません。
 

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image0436.png公開年:1994年 
公開国:アメリカ
時 間:133分
監 督:ロバート・レッドフォード
出 演:ジョン・タートゥーロ、ロブ・モロー、レイフ・ファインズ、ポール・スコフィールド、デヴィッド・ペイマー、ハンク・アザリア、クリストファー・マクドナルド、マーティン・スコセッシ、バリー・レヴィンソン、エリザベス・ウィルソン、ウィリアム・フィクトナー、キャリスタ・フロックハート、ミラ・ソルヴィノ、ジェフリー・ノードリング、アラン・リッチ 他
受 賞:【1994年/第61回NY批評家協会賞】作品賞
【1994年/第48回英国アカデミー賞】脚色賞(ポール・アタナシオ)
コピー:70年代、ウォーターゲート。60年代、ケネディ暗殺。そして、50年代には、クイズショウ。それは、全米を震撼させた、3大スキャンダル。

NBCの高視聴率クイズ番組“21”。解答者のステンペルは、この番組が生み出したスターで、労働者階級の元GIのユダヤ系男性。しかし、よれよれのシャツに冴えない髪型というスタイルは、番組プロデューサーのエンライトによるもので、普通の人間がクイズで勝ち抜き大金を手にするというアメリカンドリームの演出であった。しかし、その人気にも翳りが見えはじめたため、次に視聴者が求めるのは、見映えのよいヒーロー像だと考えたエンライトは、次のヒーローに大学の講師ヴァン・ドーレンを据えるべく、ステンペルにわざと負けるように強要する…というストーリー。

いままで、何気にチャンネルをひねると放送していたりして、途中から観たりすることはあったが、一気通貫で観たことがなかったので、このたび改めてレンタル。

有名な事件だし、散々ドキュメント的なバラエティー番組で再現フィルムのように何度も紹介されているので、知っている人も多いはず。展開はバレバレだから、すぐに飽きちゃうと思いきや、面白い仕上がり。地味ではあるが、小気味良いテンポ。
エンドロールまで進んで、ロバート・レッドフォード監督であることに気付く。他のレッドフォード作品とは趣が違うように思えるが、まあ、言われてみれば、彼の政治的心象(共和党批判的な?)がいくらか反映されているように感じなくもない。しかし、いずれにしろ、きめ細かい演出が功を奏している良作である。

ただ、1994年当時、レッドフォードはこの映画を通して何を言いたかったのか、よくはわからない。エンターテイメントのあり方なのか、大衆の愚かさなのか、それとも。
(以下ネタバレ)
なんとも割り切れないのは、この事件の顛末として、TV局とスポンサーはお咎めなしで決着している点である(NBCはいまでも普通に運営されている)。日本だったら、放送法違反で免許停止なんていう展開になる可能性が高いが、アメリカではそういう規制がない模様だ。報道で事件を捏造するのは犯罪だが、娯楽というのは元々演出があってしかるべきもので、本件だってその演出の範疇にすぎない。大体にして、大衆は大喜びし、スポンサー企業は売り上げを伸ばし、TV局も出演者も大金を得て、だれも損をしていないじゃないか…。そういう理論らしい。
まあ、この映画だけでアメリカのすべてを語るつもりはないが、アメリカに改めて幻滅させられる映画である。本筋の事件だけじゃなく、レッドフォードによる細かい演出で垣間見える、有色人種差別や社会的階級格差が乗り越えられない(乗り越えさせない)壁として厳然と存在する社会。なにがアメリカンドリームなんだか。歯並び一つで人生が違うと“脅迫”されるような社会にはうんざりさせられる。
ワタシ個人的には、アメリカなんかに生まれなくて本当に神様ありがとうといいたくなる映画だった。それはそれとして、映画の物語の運び方は秀逸なので、もし未見ならば軽くお薦めする。

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image0600.png公開年:2002年 
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:トム・デイ
出 演:ロバート・デ・ニーロ、エディ・マーフィ、レネ・ルッソ、ペドロ・ダミアン、エディ・マーフィー、モス・デフ、ケン・ハドソン・キャンベル、フランキー・フェイソン、ウィリアム・シャトナー、ネストール・セラノ、ドレナ・デ・ニーロ、リンダ・ハート、T・J・クロス、ジュダ・フリードランダー、カディーム・ハーディソン 他
ノミネート:【2002年/第23回ラジー賞】ワースト・スクリーン・カップル賞(エディ・マーフィ、ロバート・デ・ニーロ)
コピー:ロス市警史上最悪の危険物。この先カメラはお断り!

ロス市警のベテラン刑事ミッチは、麻薬密売組織に潜入捜査していたが、その現場を偶然目撃したパトロール警官トレイが、目立ちたい一心で介入。おまけにTV局まで呼んでしまい、現場をむちゃくちゃにしてしまう。憤慨したミッチは、銃を乱射して取材カメラを破壊。TV局は刑事の密着番組に出演することを条件に、訴訟を取り下げると提案。警察上層部もそれを承諾し、ミッチに出演命令を下すが、ミッチの相棒役に選ばれたのはあのトレイだった…というストーリー。

まあ、超ライトなコメディだから…と割り切って、それ以上のモノを期待しなければ、イラっとすることもない。でも、デ・ニーロとエディ・マーフィのW主演だと、普通は期待するけどね。ようするに、楽しめるかどうかは、どれだけ早く割り切れるかにかかっているわけだ。

色々な批判はあるんだけど、やっぱり一番の戦犯はエディ・マーフィなんだろう。彼のパフォーマンスからは“凋落”の二文字しか浮かんでこない。ジャッキー・チェンが全盛期ほど動けなくっても、それはそれでなんとなく成立してしまうけれど、全盛期のようにマシンガントークをするものの、ことごとく浮きまくってスベリまくる彼は、もう痛々しいだけ。
W主演の両方を立てようとして、脚本のフォーカスがぶれまくっていて、両方の存在が薄くなっているのも、つまらなさに拍車をかけている。レネ・ルッソも他の映画でみたような感じで、いまいち。
しかしまあエンドロールで流れるNGシーン集まで、つまんないって、どんだけ笑いのセンスが無いんだ…って感じ。

#若手のイキのいい黒人俳優にして、デ・ニーロに比重をおけばよかったんじゃないかな。

こういうアクション・コメディは字幕を追うと楽しめないので、]絶対に吹き替え音声で観るのだが、本作の日本語
吹き替えはイマイチ。よく聞くキャリアのある声優さんたちなんだけど、マッチしていないのだ。
もう一度言うけど、一切、何にも期待しないで観れば、それなりの及第点コメディ。もちろん薦めはしないけど。

#犬だけはとにかくかわいい。

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image0092.png公開年:2004年 
公開国:アメリカ
時 間:132分
監 督:スティーブン・ソマーズ
出 演:ヒュー・ジャックマン、ケイト・ベッキンセール、リチャード・ロクスバーグ、デヴィッド・ウェンハム、シュラー・ヘンズリー、ウィル・ケンプ、エレナ・アナヤ、シルヴィア・コロカ、ジョジー・マラン、ケヴィン・J・オコナー、アラン・アームストロング、トム・フィッシャー、サミュエル・ウェスト、ロビー・コルトレーン、スティーヴン・H・フィッシャー 他
コピー:まだ見ぬ世界が、牙をむく。


19世紀。バチカンの命を受け、世にはびこる怪物を退治するヴァン・ヘルシング。次のミッションは邪悪なパワーで世界征服を企むドラキュラ伯爵の抹殺。武器発明のエキスパートである修道僧カールを相棒にトランシルバニアへ向かう。その地で、代々ドラキュラと闘い続けるヴァレリアス一族の末裔アナ王女と出会い、共にドラキュラの抹殺に立ち上がる…というストーリー。

TV放映を観ていたのだが、記憶にあるシーンがガンガンカットされているような気がしたので、途中で観るのを止めて、犬の散歩へ。改めてDVDで鑑賞。やはりかなりのシーンがカットされていた。
まあ、結構涼しい映像なので、夏向きといえば夏向きか。

ヒュー・ジャックマンは非常に格好がよいのだが、ヴァン・ヘルシング自体のキャラがいまいち立っていない。正体が大天使ガブリエルだっていわれても、だったらそりゃあ圧倒的に強いだろうさ…って思うし、それは臭わせる程度にしないとダメなんじゃなかろうか。何かチグハグで魅力に欠ける。ヒュー・ジャックマンが次作に出なかったのも、なんとなく頷ける。
ケイト・ベッキンセールも『アンダーワールド』の1作目と2作目の間に、似たようなキャラの本作にでちゃうという、別に他に仕事がなかったわけでもないのに、どうも理解に苦しむ。

『ハムナプトラ』のソマーズ監督ということで、本作もCGバリバリなんだが、どうにもクリーチャーが薄っぺらい。ハイド氏とかドラキュラの取り巻きの女とか。かなり予算を投入したんだろうとは思うけど、実に安っぽい。
しかし、私は『リーグ・オブ・レジェンド』よりは本作のほうが好きである。その理由は、2つ。特殊メイク系の仕上がりやデザインがものすごくよい(フランケンとか)。そして、今回、偶然、ヘッドホンを使って音声を聞いたのだが、ものすごく背景の音がよい。森のざわめきなんかかなりリアルで、騙されたと思ってヘッドホンで聞いて欲しい。吹替え音声のほうもデキがよい。

で、最終的には、アクション映画のくせに、最後のファイトもいまいち工夫がなく、盛り上がりに欠ける。成仏(っていったら怒られるか)しておしまいってのも、いまいち。次作もつくるぞ!って臭いをプンプンさせているのに、結局ヒュー・ジャックマンは出てくれなかったんだよなあ、って思うとなんか気恥ずかしい感じすらする。
とはいえ諸々のウィークポイントがある割には、及第点のデキ。未見ならば観て損したと思うことは無かろう。

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プロフィール
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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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