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image1700.png公開年:1998年
公開国:アメリカ、デンマーク
時 間:133分
監 督:ビレ・アウグスト
出 演:リーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュ、ユマ・サーマン、クレア・デインズ、ハンス・マシソン、リーネ・ブリュノルフソン、ピーター・ヴォーン 他





窃盗の罪で19年の刑期を終えて仮出獄したジャン・バルジャンは、行く先々で宿泊を断られ、屋外で寝ていたところ教会の司教に救われる。しかし、教会の銀食器を盗み、憲兵に捕まってしまう。翌朝、憲兵たちはバルジャンを教会につれていき、銀食器がここから盗まれたことを確認しようとしたが、司教は「銀器は私が与えたものだ」と言い、さらに銀の燭台もバルジャンに渡してしまう。司教の慈悲深さに心を打たれたバルジャンは、改心を決意するのだった。その9年後、彼はヴィゴーの工場主兼市長として、尊敬を集める存在になっていた。しかし、新任の警察署長ジャベールに正体を見破られてしまい…というストーリー。

私の記憶にあるレ・ミゼラブルは、「まんが世界昔ばなし」とか小学校の図書館の本のレベルで、単なる改心した正直者のお話だった。フランス王政打倒!(六月暴動)なんてのは無かったので、ものすごく新鮮だった(というか、ここ大事だよね)。

盛りだくさんのエピソードをきれいにまとめているのだが、そんなレベルをはるかに超えて名作でしょう、これは。
原作では、結婚した娘夫婦のくだりから、ジャン・バルジャンの死まで描かれるが、本作はそこまで到達せず。でも、ここで切ったこと自体が出色。テーマは“真の自由”だから、そこまでで充分。あそこで切るからこそ、王政からの自由を掲げる六月暴動との対比が生きる。

難点は、ジャヴェールの死。“法”というものに絶対的な信頼を置いているのだ!という描写がすこし不足しており、単に感情面で偏執的になっているだけに見えるのが難点。自分が不利益を被っても法に従うという部分(表現されていないわけではないんだけど)を、もう少し厚くすれば、ラストもすっきり納得できたかも。そうすれば、ジャン・バルジャンの最後の微笑の意味も変わってきたかもしれない。

さりげなくユマ・サーマンの演技がよろしい。あんまりガリガリじゃなくって、あんまり死にそうには見えないけれど、世の中ガリガリになる病気だけじゃないし、工場勤務していたことを考えれば、筋肉質な腕も、それはそれでリアルかと。

何の受賞歴もないけれど、これは予想外のデキだった。赦しって何、心の開放って何…と、素直に考えることができた、お薦めの一本。




負けるな日本

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image1699.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:125分
監 督:デヴィッド・スレイド
出 演:クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナー、アシュリー・グリーン、ジャクソン・ラスボーン、ニッキー・リード、ケラン・ラッツ、ピーター・ファシネリ、エリザベス・リーサー、ダコタ・ファニング、キャメロン・ブライト、ダニエル・クドモア、チャーリー・ビューリー、ブライス・ダラス・ハワード、グザヴィエル・サミュエル、ジョデル・フェルランド、チャスク・スペンサー、アレックス・メラズ、ブロンソン・ペルティエ、キオワ・ゴードン、タイソン・ハウスマン、ジュリア・ジョーンズ、ブーブー・スチュワート、ティンセル・コーリー、ジャスティン・チョン 他
ノミネート:【2011年/第20回MTVムービー・アワード】作品賞、男優賞(ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナー)、女優賞(クリステン・スチュワート)、キス・シーン賞(ロバート・パティンソン&クリステン・スチュワート、クリステン・スチュワート&テイラー・ロートナー)、格闘シーン賞(ロバート・パティンソン vs. ブライス・ダラス・ハワード&グザヴィエル・サミュエル)
コピー:戦う、愛のために──

高校卒業が間近となったベラは、エドワードからプロポーズを受け、一刻も早くヴァンパイアに生まれ変わりたいと願いはじめる。しかしエドワードは、ベラにできるだけ人間として生きてほしいと考え、結婚を延期すべきだと主張する。そんな中、シアトル市街では、死者や行方不明者が続出する事件が発生。それらは、ヴァンパイアにされたばかりの“ニューボーン”と呼ばれる集団の仕業だった。そして、そのニューボーンがベラの命を狙いにやって来るという未来を予知したカレンファミリーは、オオカミ族と手を組んで、ニューボーン迎撃体制を整える。さらに、かつてエドワードに恋人を殺されたヴァンパイア・ヴィクトリアも復讐に現われ…というストーリー。

1作目で少女マンガ的な恋愛バンパイア映画を展開し、出色のデキだったのだが、2作目で早々に劣化してがっかり。普通ならアウトなのだが、オチを知らないまま観るのを止めてしまうのもどうかと思い、とりあえずレンタルしてみた。エドワード役の男の子は成長しきってしまって、透き通るような美少年っぷりは消えうせ、ただのエラの張った白いお兄さんに。ヒロインのベラ役の子もいまいち美しくなく、複数の男の子が熱を上げるほどとは思えず。当然、観ているおっさんもピンとこない。
どう考えてもジェイコブの方が、相手としてはふさわしいわけで、アメリカのギャルたちもそんな感覚で、ああだこうだ言いながら観ているのかねえ。
#ヒロイン親子の会話がなかなか気持ち悪くて、アメリカ家庭の変な感じがよく伝わってくる。

ヒロインの優柔不断っぷりは、少女マンガやレディコミのレベルを超越して、もう訳がわからないところまで到達。ただただドロドロ状態を存続させることに終始しているのが明らかで、こりゃあ、きちんとオチを付ける気なんてねえな…と予測していたら、案の定そのとおりになった。
で、本当に終わる気配がなく、続編つくるきマンマン。続いたとしても、大戦争でもおこって完全終結!っていう展開にでもならない限り、私はもう観ないわよ(笑)

オオカミさん達との合同トレーニングがはじまり、1作目のヴァンパイア一家の野球レクのようなオモシロシーンが展開されるのかと期待したのだが、オオカミさんたちは様子を観ているだけだった。残念。ただ、人間の敵としか映っていなくていまいちシンパシーを感じにくかったカレンファミリーが、その過去(どうしてヴァンパイアになっちゃのか?とか)が明かされたことによって、すこしおもしろみが増してきたのは、よかったかもしれない(恋のゆくえだけじゃなく、一家の将来がどうなっちゃうのかという観点で)。でも、これは2作目からやっておくべきだったろうね。
この3作目では、何でいがみ合っているのかわからなくなってくるほど、両族が理性的に仲良くしている。今後は、オオカミVSヴァンパイアではなく、カレンファミリー側と非カレンファミリーみたいな対立軸で展開してく布石かなと(おそらく、オオカミ側から寝返るのも出てくるんだろう)。
#ただ、オオカミとバンパイア以外の種族を出すのはやめてほしい。フランケンみたいのがでてきたら怪物くんになっちゃうからね。

なんでこんなのが興業収入3億ドル超えしちゃうのか甚だ疑問なんだけど、若者の間のブームなんてそんなものだろうね。アメリカはヴァンパイアブームで、耳を尖らせる整形するアホもいるらしいし。
まあ、次を観るかどうかは、あらすじとか評判を聞いてからかな。とりあえず、現段階ではお薦めしない(いい大人のみなさんには特にね)。




負けるな日本

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image1698.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:ケヴィン・スミス
出 演:ブルース・ウィリス、トレイシー・モーガン、アダム・ブロディ、ケヴィン・ポラック、ギレルモ・ディアス、ショーン・ウィリアム・スコット、アナ・デ・ラ・レゲラ、ジェイソン・リー、ミシェル・トラクテンバーグ、フランシー・スウィフト、ラシダ・ジョーンズ、コリー・フェルナンデス、スージー・エスマン、フアン・カルロス・エルナンデス 他



ニューヨーク市警の刑事モンローとホッジスは、捜査中の不手際で停職処分になってしまう。だが、モンローには別れた妻との間にもうすぐ結婚式をあげる予定の最愛の一人娘がおり、停職になったことは秘密したい。しかも、元妻の再婚相手は金持ちで式費用の提供を持ちかけてくる。そんないけすかない奴の手を借りたくないモンローは、大切にしていたプレミア物のベースボールカードを泣く泣く手放すことに。ところが、換金前にカードを強奪されてしまっため、停職中にもかかわらずポールと共に犯人を追うハメ」に。一方のポールは特に証拠もないのに妻の浮気を疑っており捜査にまるで身が入らない。そんな二人は、行く先々でトラブルに巻き込まれてしまい…というストーリー。

ブルース・ウィリス主演作ながら、こんなの公開されてたっけ?状態。ちゃんと日本でも公開されていたようだけど、まったく知らないってことは…もしかしてダメダメ?このケヴィン・スミス監督という人の作品を観たこともなく、ちょっと予想がつかないまま、なんとなくレンタルしてみた。

最近のブルース・ウィリスはどんな作品でも見た目がまったく変わらない。丸ハゲなので年齢不詳的だし、演技にも差がないことが多い。完全シリアスキャラか飄々としたコメディ要素のあるキャラのいずれか。本作のキャラは『RED』と違いがなく、既視感は否なめず、新鮮味に欠ける。
一方のトレイシー・モーガンのキャラクターはなかなかユニークで悪くない。しかし、私生活はそれなりに充実しているくせに、極端な心配性という設定が、今ひとつマッチしていない印象。

トレイシー・モーガンが大ボケで、ブルース・ウィリスがツッコミのバディ物か?といわれるとそうではなくって、大ボケと小ボケのコンビ物。そうなってくると、コンビ合わせて相当のボケをやらないと成立しないのだが、そこまで振り切れてはいない(いかにもアメリカ的な笑いだな…とは思うが)。だから、私生活でうまくいっていない寂しい男と、私生活はうまくいっているのに満足できていない男という対立軸も、いまいち生きてこない。

高額な野球カードが登場した瞬間、「ああ、多分、奪われちゃうとかして、お金は入手できないんだろうな…」とか、奥さんのビデオのくだりでは「浮気の件はたぶん勘違いなんだろうな…」とか、想像できてしまう。
下ネタとか小汚い下品ネタも、いまいちレベルが低くて、わざとなのか本気でこのレベルなのかよくわかないのも、観ていてつらい。
カードのくだりも浮気のくだりも、大概の人が抱くであろう想像を裏切ってくれれば、おもしろかったと思うのだが、1ミリたりともはずれない。こんな感じだから、マフィアの女の扱い方も練りきれず、効果的に使うことができていなかった。

まあ、そももこれも、ブルース・ウィリス主演なんだから、メジャー作品レベルで然るべき…いう先入観でハードルが上がっているせいではある。それを取っ払えば、究極的に凡作だとは思うが、はじめからこの線を狙っているような気もしないではなく
許容範囲だと思う。特にお薦めはしないけど、暇つぶしにはなる作品。本当に何もすることが無い時、限定だけど。





負けるな日本

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image1697.png公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:87分
監 督:ルーベン・フライシャー
出 演:ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーン、アンバー・ハード、ビル・マーレイ 他
ノミネート:【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】コメディ映画賞
【2010年/第19回MTVムービー・アワード】恐怖演技賞(ジェシー・アイゼンバーグ)、トンデモ・シーン賞(ビル・マーレイ)
コピー:目指せ、奴らのいない夢の遊園地へ 32のルールを駆使して生き残れ!!

ある日、世界は新型ウイルスに冒される。感染した人間は次々とゾンビになり、世界はゾンビで溢れかえってします。そんな中、テキサス州に暮らす大学生コロンバスは、独自に編み出した“32のルール”を実践してなんとか生き延びていた。逃げ回る中、ゾンビ退治に執念を燃やすタフガイ・タラハシーと出会い、彼と行動を共にすることに。さらに、詐欺で生計を立てていたウィチタとリトルロックの姉妹が合流。“ゾンビがいない夢の土地”という噂される、ロス郊外にある遊園地“パシフィックランド”を目指すのだが…というストーリー。

一見、くだらねないトンデモ作品かと思うのだが、実は侮れない作品。ゾンビもので、この飄々としたテイストって過去になかったと思う。

ゾンビ映画にカテゴライズされるだろうが、実ははそれは単なる味付けであって、青春ラブ&ロードムービーという切り口。かつてのゾンビ映画におけるゾンビは、“大衆消費社会”の投影だったりしたわけだが、本作でのゾンビは“社会の目”って感じかな。時代はかわったと言うか、価値観の変化みたいなものを感じさせてくれる。

①ひ弱でナヨナヨしたオタク引きこもりの大学生。現実社会に対して一歩踏み出すことに躊躇している。まさに“非リア充”。
②ゾンビを殺すことだけに生きがいを感じている粗暴なゾンビハンター。でもそれは、家庭での悲しいできごとが原因。他人から見ればなんてことのない物に執着しているのにも、やっぱり理由が…。
③人を信じることができなくなった、ちょっとビッチな娘。でも心を開きたいと思ってはいる。でもやはり環境がそれを許さないし、染み付いた行動パターンはなかなか変えられない。
④不遇な家庭環境ながら今に家庭を“正”として受け止めるしかない少女。だがその心は恵まれた子供よりも案外純真。

一見マイノリティと思われるかもしれないが、今の実社会において多数になりつつある人たち…ってこと。そしてゾンビは“リア充”。いや、「リア充のほうがノーマル」ていう社会通念上の価値観みたいなものの投影かな。
そして、本作を観てどう感じたか。おもしろいとか、なんか彼らにシンパシーを感じた人は、四人のキャラクターと同様の立場にいるってこと。私は完全に後者。
だから本作は、単なるホラーテイストのコメディなどではない。日本でいうところの『電車男』とかそっちの部類のお話…、と私は感じたわけ。
それでも、過去のゾンビ映画のパロディというかオマージュみたいな部分はふんだんにあり、かつ“32のルール”なんていう、完全に恋愛コメディテイストが自然に絡み合うという、このセンスの良さ。

なんで、こんな映画が一時的とはいえ全米興収№1になれるんだよって思った人は多いだろうが、私は納得。日本の配給会社が、この点を紹介しきれず、単なるゾンビコメディとしか認識できなかったのが、日本ではイマイチだった原因。

ただ、その答えが、“新しい家族の形”“新しい幸せの形”っていうこの提示が正しいか否かって点には、ひっかりを覚える。ひっかかりを覚えるだけに、これで終わるんじゃなくて、続編でもういっかい答えを探してみてもいいんじゃない?って気になるのだ。
とにかくお薦めの作品。印象にまどわされず是非。





負けるな日本

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image1696.png公開年:2005年
公開国:カナダ、アイルランド
時 間:88分
監 督:マイク・スカリオン 
出 演:アンディ・カーティス、ブレンダン・デンプシー、ショーン・エレバート、ジョン・ディレイニー、ジェイミー・ベルトン、ラリー・オースティン、ジェリー・シャナハン 他





傷害事件で服役していたマフィアの一員ロニーが出所した。服役中に失墜した地位を挽回するためには、早急に多額の資金調達が必要と考えた彼は、服役の原因をつくった男から聞いた、とある大富豪の情報を元に作戦を考える。その作戦とは、大富豪の屋敷の警備係の男が訪れるパブがあり、潜入するための情報を聞きだして金庫の金を盗むというもの。早速ロニーは、その街外れの小さなパブを乗っ取るのだが…というストーリー。

見知らぬタイトル発見と思い、何気にレンタルしてみたが、案の定、日本未公開作品。せめて掘り出し物でありますようにという願いは、残念ながらかなわず。

あらすじを書いていてアホらしくなってしまったのだが、大富豪の警備係を取り込む作戦は良しとしても、別にパブまで手に入れる必然性はなかろう。大富豪の家の前で見張ってりゃいいじゃんか。どうせ強要するんだもの。
カナダからわざわざ従妹を呼ばねばならない理由は?従妹がそこまでやるモチベーションは何か?親族の絆か?
感じの悪いマフィアのボスのキャラも、その側近のキャラクターが何も生きていない。パブの兄弟の行動は結構ストーリー展開上、役に立っていない。

はじめはロニー目線でスタートしていたのに、急にパブの娘の目線に変わり、半分すぎると一体どういう目線で本作を観ていいのか訳がわからなくなる。繰り広げられているやり取りを、まるで亡霊のように傍で見ている気分にさせるべきだと思うのだが、そういう考慮は一切ないらしい。
おまけに最後のオチだが、一瞬だけ登場した人物が重要で、それ誰だっけ?状態。観も蓋もなければ、溜飲が下がる顛末でもない。結局窃盗は失敗しているにも関わらず金はなくなっているわけで、罪をロニーに着せられたわけではない。どう考えても運転手は容疑者になるだろうし、調べれば従兄弟の素性もすぐバレるだろう。最後の浜辺のシーンは、粋な演出のつもりだろうけど、吐き気がするようなドヤ顔状態。本当に中学生が書いたみたいなシナリオ。
ちなみに、ロイヤル・ストレート・フラッシュなシーンは一切出てこない。一体なにを指しての邦題なのか意味不明。

おまけに、ガイ・リッチーやらタランティーノばりの、スタイリッシュな映画を目指しているらしいのだが、元々そういう才能がないらしく、冒頭から5分の1くらいで力尽き、かっこつけた演出は消えてなくなる。
おまけに家庭用ビデオで撮ったのではないか?と思いたくなるほど雑な画質やライティング。まるで、大学の映画学科や映画学校の卒業記念作品に、何人かプロの協力得てつくりましたよ…レベル。
ああ、もう書くのもイヤになった。はい、注意報発令。時間の無駄。観るな。



負けるな日本

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image1693.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:141分
監 督:三池崇史
出 演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、古田新太、高岡蒼甫、六角精児、波岡一喜、石垣佑磨、近藤公園、窪田正孝、伊原剛志、松方弘樹、吹石一恵、谷村美月、斎藤工、阿部進之介、上杉祥三、斎藤歩、井上肇、治田敦、高川裕也、辰巳ヒロシ、桜井明美、茂手木桜子、神楽坂恵、内野聖陽、光石研、岸部一徳、平幹二朗、松本幸四郎、稲垣吾郎、市村正親 他
受 賞:【2010年/第34回日本アカデミー賞】撮影賞(北信康)、照明賞(渡部嘉)、美術賞(林田裕至)、録音賞(中村淳)
コピー:命を、燃やせ。

将軍の異母弟で明石藩主の松平斉韶は、その領地において悪逆非道の限りを尽くし民や家臣を苦しめていた。家老間宮図書はそれを諌めるためために切腹憤死したが、将軍の配慮によって斉韶はお咎めなしとなる。それどころか、来春に斉韶が幕府の老中に就任することが決まっており、その人事を知る老中・土井利位は、密かに斉韶を討ち取ることを決意。かねてより良く知る御目付・島田新左衛門を呼び出し、暗殺の密命を下す。新左衛門は、甥の新六郎をはじめ十一人の腕に覚えある男たちを召集。後に加わる山の民・木賀小弥太を含む総勢十三人の暗殺部隊を組織し、参勤交代帰国途上の中山道落合宿にて斉韶を討つことにした。しかし、斉韶の腹心・鬼頭半兵衛もまたその動きを察知し、その守りを堅め…というストーリー。

エログロ&バイオレンス映画の旗手ながら、『ヤッターマン』や最近では『忍たま乱太郎』などのアニメの実写化と、“職業監督”を着実にこなす仕事人。そうやってスタッフ達に飯を喰わせ続けているのだと考えると、ただただ立派としか言いようが無い。だから、たまに本作のような、自分の趣味を自由に盛り込める作品に出会ったときくらい好き勝手にさせてあげてもいいじゃないか…という気になる。

1960年代の作品のリメイクらしい。ただリメイク作品とはいえ、本来三池監督がやりたかった部類の作品なんだと思う。その証拠に、本作におけるエログロ描写の容赦なさは、永井豪の『バイオレンスジャック』並(そういえば、永井豪とセンスが似てるかもしれん)。本来こういう表現が本職の人だから、嬉々としてやってるのが目に浮かぶ(おそらくオリジナルにはこの描写はないはず)。PG-12になってるけど、ちょっと中学生には見せたくないレベルなんだけどなぁ…(トラウマになっちゃう子いると思うよ)。
岸部一徳の例のシーンなど本当に必要なのか否か甚だ疑問なのだが、これを入れるのが普通っていう感覚の監督だからね。そういう意味では、昨日の『アウトレイジ』よりも振り切れているかもしれない。
観ていて力の入るシーンがたくさんあって、純粋に楽しめるチャンバラ映画に仕上がっているのでお薦めしたい。

ただ、自由にやりすぎて、役所広司が締めていなかったら、『SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ』の二の舞になっていたんじゃないかとゾッとする面もある。
それにいくらなんでも小弥太が生きてるのは無理があるだろう。私は、新六郎も実は死んでいて、最後に自分の死体に躓いて…みたいなオチを予測していたのに、そうじゃなかったみたい。

新境地を開いたといわれる稲垣吾郎だが、確かにしっかりと狂人を演じてはいる。しかし、他作でも使ってみようという気になるかは微妙なところ。どうせ、他の役でも代わり映えのない演技に違いないし、逆にこの役のイメージがダブって使いにくい(本作で先にキャスティングしたもの勝ちってことだ)。
それに対して、いつもシュッとしたキャスティングばかりの伊勢谷友介は、こういう汚れた役のほうがマッチすることが判明し、仕事が増えること請け合いだろう。

また、CGを極力使わなかったのは結構なことなのだが、逆に部分的に使用した箇所が目立ってしまったのはちょっと残念かも。照明や美術などアナログな部分のデキがすごくよかっただけにね。

#オリジナルを観てみたくなった(レンタルしてるかな?)




負けるな日本

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image1695.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:109分
監 督:北野武
出 演:ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、小日向文世、北村総一朗、塚本高史、板谷由夏、中野英雄、杉本哲太、石橋蓮司、國村隼、三浦友和、坂田聡、森永健司、三浦誠己、柄本時生、新田純一、渡来敏之、岩寺真志、小村裕次郎、大原研二、田崎敏路、野中隆光、小須田康人、塚本幸男、島津健太郎、岸端正浩、清水ヨシト、藤原慎祐、藤井貴規、平塚真介、真田幹也、上田勝臣、奥原邦彦、山本将利、菊池康弘、西田隆維、大野慶太、外川貴博、江藤純、戯武尊、内田恵司、川又シュウキ、飛田敦史、芹沢礼多、内野智、瀧川英次、井澤崇行、金原泰成、鈴木雄一郎、柴崎真人、辻つとむ、貴山侑哉、樋渡真司、太田浩介、マキタスポーツ、ケンタエリザベス3世、黒田大輔、藤田正則、鷲津秀人、しいなえいひ、こばやしあきこ、渡辺奈緒子、三原伊織奈、中村純子、棚橋幸代、星野美穂、水上莉枝子 他
受 賞:【2010年/第53回ブルーリボン賞】助演男優賞(石橋蓮司「今度は愛妻家」に対しても)
【2010年/第20回日本映画プロフェッショナル大賞】ベスト10(第9位)
コピー:全員悪人

関東一円を勢力範囲に置く巨大暴力団・山王会。若頭の加藤は、傘下の池元組と村瀬組が兄弟盃を交わして親密にしていることを快く思わず、組長の池元に村瀬組を締めるように命じる。村瀬との関係を壊したくない池元は、対立しているように見せておけば何とかなると軽く考え、配下の大友組に適当に村瀬組とモメ事をおこすように指示。小さな組ながらも武闘派の大友組は、さっそく村瀬組に仕掛け、痛めつけることに成功。しかし、その程度では満足しない山王会は、村瀬組へのさらなる粛清を望み、池元がそのすべてを大友組に丸投げしたことから抗争がエスカレートしてしまい…というストーリー。

アートを匂わすのをあえて排除している点に、非常に好感が持てる。キタノブルーに代表されるヨーロッパで高く評価される様式美が、私はあまり好きではない。置きにいったストライクみたいで何かか鼻に付くんだもの。だから『アキレスと亀』や本作のように奇行・暴力のオンパレードな偏った作品ほど、ほとばしりのようなものが感じられて好みなのだ。暴れるチェーンソーを持たされてるみたいな感覚で、振り回されてる感が心地よい。

ヤクザ(というか暴力団)だって会社と変わらない世界だと思う。ビジネスのルールもあれば、上司・部下の命令体系だってあるわけで、サラリーマンと大差ないじゃない。身勝手な上層部によって使い捨てされる理不尽な展開は、いまの段階世代のアホに迷惑掛けられてる下の世代なら、共感できるだろう。
だけど、今のカタギには、本気のギラギラした闘志とか、筋の通らないことに対する義憤とかが無いよね。暴力の波状攻撃だっておまえら真剣にやれよ!、怒っていいんだぜ!っていう北野武のメッセージなのかな…と。

ただ、コピーの”全員悪人”の看板に偽りあり…というか、大使館のおっさんが悪人になりきれていないのが唯一の不満。だって、カタギの皆さんにはご迷惑をかけない、ヤクザとヤクザによるファンタジーでしょ。アホな国会議員が東京にカジノ特区をつくろうとしているのはヤクザと一緒だよね…と揶揄したかったのだろうけど、そこは徹底して欲しかったかな。

即座に続編を作るのもどうかなと思うけど、このままインテリヤクザが生き残って、泥まみれになった奴が馬鹿をみるオチで終わらせるのは忍びないと考えたのではなかろうか。

ラストのぼんやり具合は否めないけど、快作だと思う。キタノ作品に興味のない私でも良いと思ったので、軽くお薦め。



負けるな日本

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image1691.png公開年:1978年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ランダル・クレイザー
出 演:ジョン・トラヴォルタ、オリヴィア・ニュートン=ジョン、ジェフ・コナウェイ、ストッカード・チャニング、バリー・パール、イヴ・アーデン、ジョーン・ブロンデル、ディディ・コーン、ダイナ・マノフ、フランキー・アヴァロン、アリス・ゴーストリー 他
ノミネート:【1978年/第51回アカデミー賞】歌曲賞(ジョン・ファーラー:作詞・作曲『愛すれど悲し』 Hopelessly Devoted to You)


サマー・バケーションで知り合いたちまち恋に落ちたダニーとサンディ。しかし、サンディはオーストラリアに帰らねばならず、ひと夏の恋は終わったように思われた。しかし突然、サンディの父がアメリカに転勤になり、ダニーと同じ高校に通うことに。二人は突然の再会を喜んだが、ダニーはリーゼントに皮ジャンという格好の不良グループのリーダーで、あまりの印象の違いに驚いてしまうサンディ。さらに、不良仲間の手前、つれない素振りをするダニーにサンディは怒ってしまい…というストーリー。

『サタデー・ナイト・フィーバー』のようなノリを期待していたのだが、どちらかといえば『ハイスクール・ミュージカル』に近かった。バカンス先で出会った相手が、何故か突然転校してきちゃって、あらこれって運命かしら…なんていうノリ。こういうのが好物な人もいるだろうが、私は全然受け付けない性質。このベタベタを逆手にとってわざと楽しんでいるならいいのだが、マジメにやられちゃうとね…。

本作が製作されたのは『サタデー・ナイト・フィーバー』の翌年で、トラヴォルタは24歳くらい。オリヴィア・ニュートン=ジョンなんか30歳くらいのはず。周りのキャラだってどう見てもオッチャン・オバチャンばっか。ミュージカル舞台ならわかるけど、映画となるといささか高校生を演じるには無理がある。趣味の悪いコスプレかって感じ。

ストーリーも極めてお気楽。性欲でギラギラしている生徒たちが、ほとばしる衝動をあちこちにぶつけるストーリー。とはいえ、ままごとのような背伸びの範囲を超えないので、なんか逆にほのぼのさせられてしまう青春ドラマ。大きな困難を克服するような展開もないし、鑑賞後のすっきり感も薄い。どうも全体的に置きにいった感がしてしょうがない。

何から何まで洗練されていないのだが(悪く言えばダサさ満開なのだが)、特に私にとって一番致命的に感じられたのは、ダンスの躍動感がイマイチな点。ストーリーが緩い分、踊りでしっかり魅せないといけない所だと思うのだが…。

『ヘアスプレー』の5分の1くらいの満足度。お薦めしない。すまぬ、本当に好みじゃない。



負けるな日本
 

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image1694.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:133分
監 督:トラン・アン・ユン
出 演:松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子、柄本時生、糸井重里、細野晴臣、高橋幸宏、玉山鉄二 他
受 賞:【2010年/第20回日本映画プロフェッショナル大賞】新人奨励賞(水原希子)
コピー:深く愛すること。強く生きること。



親友キズキが突然自殺をしてしまい、深い悲しみに暮れるワタナベ。その悲しみから立ち直れないまま東京の大学に進学し、神戸から離れる。ある日、ワタナベはキズキの恋人だった直子と東京で偶然に再会し、そのまま交流を持つようになる。キズキを失った哀しみを共有する二人の心は徐々に近づいていったが、それに比例するように、直子は精神の状態を崩していく。やがてその症状は加速し、ついに直子は京都の療養所に入所することになってしまう。直子との面会が認められず疎遠になるなか、ワタナベは同じ大学の生徒で明るく積極的な緑という女性と出会う。直子とは正反対の性格の緑と交流を重ねつつ、一方で直子の症状が心配でしょうがないワタナベ。ある日、ようやく直子との面会が許され、京都へと向かうワタナベだったが…というストーリ-。

原作は読んだことが無い。それどころか村上春樹の作品を一作たりとも読んだことが無い。なので、本作のデキの良い部分が、原作のおかげなのかトラン・アン・ユン監督のおかげなのかは判断はつかない。

味のある雰囲気と、遅れて去来する独特な余韻の心地よさがすばらしい。ヨーロッパとアジアの風が融合したような空気感が画面から溢れてくる。フランス在住のベトナム人監督だから…って言ってしまうのは簡単だけど、だから出せるというものでもなかろう。
画角の切り取り方にセンスを感じるし、大胆ともいえる割り切った編集が大変よろしい。説明的な部分や煩わしく感じさせる部分は極力排除できており、ものすごくセンスを感じる。この編集をやっているのがマリオ・バティステルとクレジットされている人。日本人ではないようだが、詳細なプロフィールは不明。ちょっと覚えておきたい。

時代は1960年代後半。世界中の空気が核実験由来の放射性物質で溢れていた時代。だからその時代の人は少しクレイジーなの?だから団塊の世代の半分は救いようの無いアホなの?…という冗談はさておき。今よりも、「こうある“べき”」というもっともらしい理屈があれば、暴力が正当化される時代で(暴力といってもフィジカル面だけにあらず)、まあ、はっきりいって何か狂っているように見える時代。そしてその狂った様子になにか魅力を感じなくも無い時代。
まあ、金があれば何でもできると言い放っていたポンコツが時代の寵児なっていた頃よりは、はるかに味のある時代だったのかもしれない。

まあ、心理学的というか生態学的というか、幼少から兄弟のように育った男女が性的に結ばれない例はけっこうあるし、満たされない状態(または満たしてあげることができなかった状態)から、さらに過度な喪失感や、自分に理由があるようなないようなショックな出来事が重なれば、整理ができずに精神を病んでしまうのは、当然の帰結。
トラウマにならないように転地して生活するのはいい手立てだったのに、思い出させるような人間と接触してしまえば、揺り戻しで症状が悪化するのも自然。理詰めで考えれば、ワタナベと直子は距離を置くべきなのだが、やめられない止まらない。若さゆえ、愛ゆえ、人間ゆえ、ああ人の業の深さよ。しかも、それが他者への共感という、人間として絶対に持つべき要素に端を発しているところが、せつない。

もうここまでくると、ワタナベと直子の間にあるものが、愛なのかどうかも怪しくなってくる。いや、それを通り越して愛って何なのか。きっと原作は、そういうことを読者に考えさせるから、評価されているんだろうね(とかいいつつ、原作を読む気がない。ここまで読書しない私もどうかと思うけど)。

本作に対する私の満足度は高い。日本人監督だったら、原作をレイプしたとブーイングがおこったのではないかとゾッとするが、そんな心配ご無用の仕上がり。誰がトラン・アン・ユンをつれてきたのかは知らないけど、その人がMVP。お薦め。

菊地凛子の女子大生って無理がありすぎ…って思ったけれど、病んだキャラクターとしては、グッジョブだった。この人、『バベル』でもそうだったけど“病んだ女”のアイコンになりつつあるな。だって普通の役だとパッとしないんだもの。
一方、一部で評価の高い水原希子。個人的には、つたないにもほどがある印象。日本人監督だったらもう少し演技を付けてしまっただろうけど、逆に若さゆえの脆さの表現には繋がっていて、怪我の功名くさい部分が大きい。評価は次回作という所か。




負けるな日本

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image1690.png公開年:1975年
公開国:アメリカ
時 間:126分
監 督:シドニー・ルメット
出 演:アル・パチーノ、ジョン・カザール、チャールズ・ダーニング、ジェームズ・ブロデリック、クリス・サランドン、ペニー・アレン、キャロル・ケイン、サリー・ボイヤー、ランス・ヘンリクセン 他
受 賞:【1975年/第48回アカデミー賞】脚本賞(フランク・ピアソン)
【1975年/第1回LA批評家協会賞】作品賞、男優賞(アル・パチーノ)、監督賞(シドニー・ルメット)
【1975年/第29回英国アカデミー賞】主演男優賞(アル・パチーノ)、編集賞
コピー:暑い夏の昼下り 全米の注視をうけて演じられた-- あまりにも突飛な事件……だがそれはまぎれもない事実だった! 

真夏のブルックリン。小さな銀行に3人組の強盗が押し入るが、彼らの手口はグダグダで、犯行はまったくスムーズに進まない。おまけに早々に仲間の一人が怖気づいて逃走する始末。残ったソニーとサルは、金庫を開けたものの移送された後で金はわずかしかなく、さらに手間取っているうちに、銀行の様子がおかしいことに気付かれたのか、あっというまに大量の警官隊やマスコミに包囲されてしまう。彼らは、残った人質を取って篭城するしか手段がなくなってしまう。しかし、篭城が続き、警察とソニーたちの膠着状態が長引くについて、何故かあつまった野次馬たちからヒーロー扱いされて…というストーリー。

『十二人の怒れる男』『オリエント急行殺人事件』『デストラップ・死の罠』『その土曜日、7時58分』。私が今まで観たルメット作品はこんなところかな。基本的に大ハズレの無い打率の高い監督だと思う。

狼って誰のことを指してるの?って思った人は多かったのでは。アル・パチーノ演じるソニーは狼って感じじゃないし、仲間のサルだってマッドドッグって感じではない。原題の“Dog Day”はうだるような暑い日を意味するらしい。だから犬とも狼とも無関係。狼なんていうからハードなギャングっぽいものを想像したのだけれど、コミカルというかニューシネマ的というか、印象の違いが甚だしすぎる。この邦題は良くないよ。警察に包囲されちゃってから、人質の行員に「だから、カネ持って早く出て行けと言ったのに」なんて説教されるレベルの強盗のお話なんだもの。

予測していた内容とは違ったが、観すすめるうちにグイグイと引き込まれる作品。小さな銀行だけでストーリが展開していく閉塞間がよい。役者陣の丁々発止のやりとりの緊迫感がハンパないのだが、アドリブがものすごく多いらしい。こういう作品は役者冥利に尽きるんだろう。端役までが何か爪あとを残してやろうとギラギラしているのが、そのまま作品のパワーになっている感じ。もちろん一番ギラギラしてるのは若きパチーノだけどね。
キャラクター描写も秀逸。緊張感がある中で、間抜けな行動が繰り広げられるのは愉しいが、元々不幸な人生を過ごしてきた彼らが、さらに絶望的になっていく様子は、観ていて切なくなってくるほど。

アドリブが多いといいつつ、ストーリーにはまったく無駄が無いと言ってよい。これはルメットの力が大きい。自分が政府や社会に不満があると、反社会的人間を祭り上げてしまう大衆心理。そういう奇妙な空間に響きわたるマイノリティの叫び。1975年とは思えない新しさも感じる。個人的な趣味とは少し外れるので傑作とは言わないが、充分に良作・快作だといえる。お薦めする。

ああ、ちなみに本作は実際の事件を扱った作品。ソニーは20年の刑なので、とっくにソニーはシャバに出ているんだろうね。
でも、いくらモチーフになったからといって、配収の一部が犯人さんに手渡されるのって変じゃね?公になった事件を扱っただけであって、それに著作権や肖像権って発生するかね。やっぱりアメリカってクレイジーな気がする。

#なにか、聞き覚えのある作品名だと思っていたら、『ソードフィッシュ』の中でトラヴォルタが演じるキャラクターが絶賛していたヤツだ。久々に観るかな。




負けるな日本

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image1304.png公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:テリー・ジョージ
出 演:ホアキン・フェニックス、マーク・ラファロ、ジェニファー・コネリー、ミラ・ソルヴィノ、エル・ファニング、エディ・アルダーソン、ショーン・カーリー、コーデル・クライド、アントニー・コローネ、ゲイリー・コーン、ジョン・スラッテリー 他
コピー:あの日、あの場所で、すべてが変わった。
突然の事故で最愛の息子を失った家族。調査を依頼した弁護士は、ひき逃げ犯人その人だった……。

大学教授のイーサンは、妻グレースと2人の子どもジョシュとエマの4人家族。平穏な日々を送っていたが、ある夜、息子ジョシュがイーサンの目の前でひき逃げにあってしまい、命を落としてしまう。ひき逃げをしたのは同じ町に住む弁護士のドワイト。息子ルーカスを約束の時間までに門元妻ルースのもとに送り返そうと焦っていたのだ。その時に轢いた子供が死んだことを知り、罪の意識に苛まれながらも、子供との関係や仕事まで失うことに躊躇して自首できずにいると、なかなか進展を見せない捜査に業を煮やしたイーサンは、独自に事故調査を進めようと、ドワイトが勤務する弁護士事務所に依頼へやってきて…というストーリー。

『ホテル・ルワンダ』の監督なので、本作もまるで実話ベースなのかしら…と思うほど現実感のある仕上がり。
事故直後とその後の展開で、キャラクターの心持ちが変遷するというか入れ替わる様子が面白い。また、それがニ軸ある。
一つは妻エマと夫イーサン。始めは妻エマが精神的ダメージを大きく受け、家事すら手につかないのだが、残された娘を大事に育てることこそ指名と感じ着実に立ち直ろうとする。反対に夫イーサンは、泣き崩れる妻をフォローして何とか家族を崩壊させないために平静を保っているのだが、見えないところで事故に対する納得のいかない思いを追求するうちに、次第に家族を維持していこうという気持ちが優先されなくなってくる。そして、いつしか妻と夫の心持ちは入れ替わっていく。

もう一方の軸は被害者の父イーサンと加害者のドワイト。初めは納得の行かない息子の死に直面したイーサンに同情できるのだが、だんだんと暴走して周囲に悪影響を及ぼしてく様子に、見ている側も「おいおい」という気持ちが膨らみ、彼への共感が薄れていく。一方のドワイトは、自らの素行の悪さから離婚している男で、息子と離れたくないという思いだけでひき逃げから逃げ廻っており、非常に腹立たしい。しかし、自首しようと心に決めるものの、状況的にうまく噛み合わずそれができず、そうこうしている間に、何とか今後息子が受けるであろうダメージを軽減するためにできることをしてやろうという思いが伝わってきて、悪い奴だとわかってはいつつも共感度は増していく。
#火の鳥 鳳凰編みたいだね

演者のチョイスも非常によくて、真面目につくられている作品。逆にもうちょっと過度な演出をしてもいいんじゃないか?って思うくらいなのだが、これは昨今の映画が、ドラスティックすぎたり、奇を衒いすぎたりするので、相対的にそう感じるだけであって、むしろあるべき映画の姿なのかもしれない。テリー・ジョージという名前、覚えていたほうがいいかな…と。佳作。軽くお薦めする。



負けるな日本

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image1688.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:94分
監 督:米林宏昌
出 演:志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林、羽鳥慎一、吉野正弘 他
受 賞:【2010年/第34回日本アカデミー賞】アニメーション作品賞
コピー:人間に見られてはいけいない。

郊外のある広い屋敷の床下にひっそりと住む小人の三人家族。父ポッドと母ホミリーと14歳の娘アリエッティ。生活に必要なものは人間たちから拝借する“借りぐらし”。彼らは人間を恐れていて、姿を見られたら、そこから引っ越さなければならないという掟がある。ある夏の日、屋敷に病気療養のために12歳の少年・翔がやってくるが、アリエッティは彼に姿を見られてしまい…というストーリー。

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。観ながら、何度も何度もその問いが頭に浮かぶ。

なんでお父さんの頭巾というかマスクみたいなものは『風の谷のナウシカ』にでてきそうなデザインなのかな。
なんで猫は『猫の恩返し』みたいな漫画チックで、狸は『平成たぬき合戦ぽんぽこ』のリアル狸みたいなのかな。
『ゲド戦記』の時にも言ったけど、他のジブリ作品の要素を取り込んで、ジブリ作品ですよって主張する必要はまったくない。むしろ他のジブリ作品と似ている要素があったら、積極的に排除しなくてはいけないんじゃないのかね。米林さん、あなたは監督なんだからあなたの作品をつくればよろしい。せっかくそのチャンスを与えられたのに、一生懸命ジブリ作品を作っているよね。そういうスタンスでクリエイティブな事ができるとは思えないんだけど。

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。

なんで猫と狸は同じ動物なのにタッチが違うのかな。
なんでカマドウマは漫画チックで、スピラーのもってるコオロギの足はリアルなのかな。
なんで水の表面張力で小人さんたちの小ささを表現しているくせに、葉っぱの厚さは薄っぺらだったり(もっと厚さがあると思うな)、小物を大きさとの対比には気をつかっていなかったり(あんなちいさなサラミのおつまみはないだろう)、こだわりが中途半端なのかな。
CCDカメラでもつかって、小人の世界ってどうなんだろうって、観察してみればよかったじゃない。ものすごく違和感を感じるんだけど、作っていて気にならなかったんだろうか。とにかく全然わくわくしないのよ。

近藤喜文さんだったらどうなったかな…。

本作の唯一の悪役として登場するお手伝いのおばさん。はっきりいって狂人だよね。行動や思考の根拠がまったくもって意味不明で理不尽で、はっきりいって“引く”わ。
それに最後だけ物わかりが良くなるおばあさん。キャラに一貫性がないわ。

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。

お手伝いさんが、証拠を見せようと床下の戸を開けたら、家はなくなっていて…って、あれは誰が片付けたわけ?そんなまったく形跡すらない状態に誰ができたわけ?都合よすぎじゃない。
スピラー登場で「他にも小人がいたんだー」って、都合よすぎじゃない?いままで見つからなかったことが、逆にリアリティ無いよね。
あの髪留めの洗濯バサミって何さ。あんな製品あるか?

近藤喜文さんだったらどうしたかな…。

途中の音楽にボーカルがあるのが邪魔。
CMの仕事とか声の仕事を多くやってる人を声優にしちゃだめ。聞き覚えがありすぎて顔が浮かぶ。三浦友和と樹木希林と羽鳥慎一ね。
コンピュータ彩色が薄っぺらで平板な印象。

もういいわ。『ゲド戦記』と同じカテゴリ。これで、米林監督に少女に対する性癖ともいえる思い入れがあれば…はっきり言っちゃうと、米林監督は駿監督ほど真性のロリコンじゃねえから、ほとばしる何かが無いってこと。

#っていうか、泥棒一家が狂人に追い出される話だよね。


負けるな日本

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image1689.png公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ドロール・ゾレフ
出 演:サイモン・ベイカー、パス・ベガ、マイケル・デロレンツォ、クロエ・モレッツ、ケン・ダヴィティアン、クレア・フォーラニ、マーク・ロルストン、ゲディ・ワタナベ、メリンダ・ペイジ・ハミルトン、ベニート・マルティネス 他
コピー:今日、弟が殺された。オレの目の前で──



メキシコとの国境の町に住むジャックは、11歳の娘トビーと後妻との三人暮らし。ある日トビーがサッカーの練習中に行方をくらましてしまう。ジャックと妻はTVで協力を求め、FBIも介入するが、捜査はなかなか進展しない。性犯罪歴のある男や不審なメキシコ人などが容疑者として挙がるが、いずれも犯人では無かった。FBIは並行してジャックへの怨恨の線も考慮し、ジャックや前妻の身辺を捜査しようとする。しかし、前妻の死亡記録はどこにも存在せず、それどころかジャックが前妻をどこに埋葬したかも覚えていないと言いはじめたことを不審に思い…というストーリー。

『キック・アス』のクロエ・モレッツに、米ドラマ『メンタリスト』主演のサイモン・ベイカーと、どちらかといえば旬な二人をジャケットにドーンと配しているわりに、日本劇場未公開作品だったりする。
最近はなんでコレが未公開?日本の配給会社おかしーんじゃないの?なんて作品が多々あるが、本作については確かに問題アリだった。問題アリアリなので、多くは言及しないでおこう。

様子が気持ちの悪い町で小児誘拐が発生し、犯人は一体誰?という流れと、ジャックの死んだ妻の記録がないところからはじまり、ジャックの記録までないことが明るみに出て、はてこの主人公は何者?という流れ。この二つの潮流ができるところまでは、雰囲気作りも緊張感の煽り方もなかなか良いと思う。しかし、その潮流を絡め始めるとなにやら変な感じに。

根本的に、その後の謎解きというか、事件の真の原因や犯人がどうにもこうにも腑に落ちない。
(かなりネタバレぎみ。注意)
色々、策を弄しすぎて、訳がわからなくなってしまったのではなかろうか。ヘンテコな宗教が絡んできて、ジャックまで呪いを始めちゃうあたりで、ごちゃごちゃしはじめ、最後のどんでんがえし(のつもり)も、しっくりこない。
大体にして、そんなややこしい復讐方法を選択しなくてはいけない理由がわからないし、そんなに憎んでいるなら、めんどくさいことをせずに殺しちまえばいいだけに思える(メキシコなんだし、相手の経歴は架空なんだし)。ましてや憎い相手に日々抱かれる苦痛を良しとする感覚もわからない。
彼らの施した霊的な何かについても、振り返って考えても、怖いって感じがない。「恨み晴らさでおくべきか~」っていう感情が、変な方向に進んでしまっていて、結局は情念みたいなものから乖離してしまっているせいだ。
振り返ってプロットの不自然さを整理すべきだったろう。駄作だと思う。もちろんお薦めしない。

#そして、クロエ・モレッツに関しては、でかでかとジャケットにアップにするほど活躍も登場もしない。いまいちかわいく撮れていないので、クロエちゃんファンもイマイチだと感じるのではないかな。



負けるな日本

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image1686.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:119分
監 督:ミシェル・ゴンドリー
出 演:セス・ローゲン、ジェイ・チョウ、キャメロン・ディアス、クリストフ・ヴァルツ、エドワード・ジェームズ・オルモス、デヴィッド・ハーバー、トム・ウィルキンソン、エドワード・ファーロング、ジェイミー・ハリス、チャド・コールマン、ジョシュア・チャンドラー・エレンバーグ、アナリー・ティプトン、テイラー・コール、ロバート・クロットワーシー、マイケル・ホールデン、ジェームズ・フランコ、アイリーン・ホワイト 他
ノミネート:【2011年/第20回MTVムービー・アワード】ブレイクアウト・スター賞(ジェイ・チョウ)、悪役賞(クリストフ・ヴァルツ)
コピー:俺たちが、悪を刺す!

新聞社創業者の息子であるブリットは、幼いころに母親を亡くし、父によって厳格に育てられたが、その反動で放蕩息子に成長してしまう。ある日、父が蜂に刺され急死してしまい急遽社長に就任。その後、父の運転手だったカトーから、父とカトーが秘密裏に数々のハイテクマシンを発明していたことを聞き驚愕するブリット。突然、正義に目覚めた(?)ブリットは、父の意志を継いで街の悪を一層することを決意。緑色のスーツとマスクに身を包み“グリーン・ホーネット”と名乗り活動を始める。さらに、単なる正義の味方よりも悪人を装った方が注目を集めやすいと考えたブリットは、新聞社の記事を利用してグリーン・ホーネッが悪者であることを吹聴するのだった。そしてハイテク機能満載の愛車“ブラック・ビューティー”で夜の街へ繰り出し、悪党退治に勤しむ二人だったのだが…というストーリー。

昨日の“RED”から“GREEN”へ。
TV版の『グリーン・ホーネット』のことをまったく知らない。なので、中国人の“カトー”って何の冗談だよ!って言いたくなったのだが、まあオリジナルがそうだから、しょうがないんだろう。昔はブルース・リーが演じていたそうで、それを知っている人は楽しめたのかしらね。

『バットマン』の主人公が能天気バカだったら…、そして、執事のじいさんがカンフーの達人だったら…っていうドリフのコント的な感覚で鑑賞させてもらった。昨今の、能力インフレ状態なアメコミヒーローの映画化がオンパレードな状態を考えると、こういう等身大ヒーロー映画はアリだとは思う。しかし、残念ながら生身ヒーローの味わいという点では、完全に『キック・アス』のほうが上。いや、『キック・アス』と比べてしまうと、本作には味が無いと感じるくらい差があるかも。

影でがんばってるのにぜんぜん報われないどころか、迫害されてんじゃねーのか?ってくらい扱われ方がひどいカトー。打って変わって自分勝手で人非人な主人公。方向性としては悪くないけれど、今一歩コメディーになりきれておらず、不快感が拭いきれていないのが敗因か。こういうのって、主人公に共感できる要素がないと、ノリきれない。心に傷もなく悪びれもせずに好き放題のお坊ちゃま。出自がよろしくないものの運動能力も高く、科学も工作能力も天才的な若者。この二人にシンパシーを感じるか?といわれると否だろう。これも敗因。金“だけ”はある、知恵“だけ”はある。でも社会的には全然認められていないミジメな人。そんな二人ががんばってますよ!っていう泥臭さを強調しないとダメなんじゃないのかな。私はそう思う。
いや、そんな熱いノリはまっぴらごめんで、軽く仕上げようとしているんだよ!と言うかもしれないが、製作側に飄々としたセンスがないんだろう、心地よい軽さには程遠い。

肝心の主役二人よりも、悪役のクリストフ・ヴァルツのほうが生き生きしていて魅力的に映ったかも。そして、くずれかかったキャメロン・ディアスも逆に良い感じ。それ以外は至極“普通”の作品。残念ながら続編はないと思う。ヒーロー物としては「そんなのもあったね…」と、このまま忘れ去られる作品かと。


負けるな日本

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プロフィール
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クボタカユキ
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映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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