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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:172分
監 督:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー
出 演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェームズ・ダーシー、ジョウ・シュン、キース・デヴィッド、デヴィッド・ジャーシー、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント 他
受 賞:【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】メイクアップ賞
 【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】音楽賞(ラインホルト・ハイル、ジョニー・クリメック、トム・ティクヴァ)
コピー:いま、<人生の謎>が解けようとしている。

1849年、南太平洋。妻の父から奴隷売買を託された弁護士ユーイングは、旅の途中で寄生虫に侵され、医師ヘンリー・グースの治療を受けるが一向に回復しない。そんな彼の元に密航した黒人奴隷が近づき…。1936年、スコットランド。ユーイングの航海日誌を愛読する作曲家フロビシャー。同性愛者であることが発覚し父親に勘当された彼は、作曲家エアズに採譜者に採用される。才能の枯れていたエアズはフロビシャーの曲を自分の成果として発表する。はじめはそれに甘んじていたフロビシャーだったが、自分の入魂作“クラウド アトラス六重奏”をエアズが自分の物にしようとし…。1973年、サンフランシスコ。女性ジャーナリストのルイサは、とある物理学者から人命に関わる原発の報告書を託されたことで、殺し屋から命を狙われることに…。2012年、ロンドン。自分の著書を酷評した評論家を殺害した作家ホギンズは、収監されるもカルト的な人気を博す。おかげで出版元のカベンディッシュは大儲けするが、ホギンズの弟たちに恐喝されるハメに。カベンディッシュは兄に相談すると、一時的にとある施設に隠れることを勧められ…。2144年、ネオ・ソウル。人間は遺伝子操作で複製人間と作り労働させていた。複製人間ソンミ451は、カベンディッシュ原作の映画を観て自我に目覚めてしまう。革命軍チャンとであった彼女は、反乱軍に身を投じるが…。文明崩壊から100年以上たった頃。ソンミが女神として崇められる土地に、進化した人間コミュニティからやって来た一人の女が舞い降り…というストーリー。

1849年、弁護士ユーイングの奴隷売買の話。もちろん黒人差別。
1936年、同性愛者フロビシャーの作曲家の話。同性愛者差別。音楽家フロビシャーはユーイングの航海日誌を愛読。彼が作曲するのが「クラウド アトラス六重奏」で本作のタイトル。
1970年代アメリカのジャーナリストの話。移民差別。フロビシャーの恋の相手シックススミスが物理学者になっていて、とある秘密を女性ジャーナリストに渡そうとする。この二つの話だけは人物で直接繋がっている。
2012年のロンドン。編集者のお話。老人差別。この話だけが、ちょっと異質な気がする。
でも、『ソイレントグリーン』についてのカベンディッシュのセリフ。ちょっとした映画ファン向けの小ネタかと思ったが、がっちりとネオソウルの話に繋がる。
2144年のネオソウル。複製人間ソンミが差別される。ソンミはカベンディッシュ原作の映画を観る。
すっかり文明が荒廃した未来。そのソンミが土着宗教の神となっている。

6つのエピソードが、こんな感じで大きく繋がっていくだけでなく、各々を交互に、ちょっとしたセリフの共通点でフラッシュバック的に編集されている。これが、けたたましいほど前後する。各時代の役者が一緒なので、いくら特殊メイクで印象を変えているといっても、同じ役者の挙動で繋がれると、なかなか混乱する。この表現で輪廻転生を表現しているのかな?とも思ったが、観進めていくうちに、そこに執着はしていない気がしてきた。『マトリックス』も極めて仏教的なテーマが根底にある気がしていたが、2、3と進んで、掻き消えたのと一緒で、仏教ネタを深めるほど、彼らに造詣も思いいれも無いんだと思う。

6つのエピソードはすべて差別というキーワードで貫かれる。不寛容なんていう言葉は不似合い。直球で理不尽な差別がテーマだと思う。これらが入り乱れるので、長いのは仕方が無い。はじめの20分くらいは、ずっと混乱しっぱなしだが、何とかついていこうという気力は維持させてくれるのが救い。さすが、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟。ネオソウルの様子など、実に良い出来映え。
あ。兄ラリーは『スピード・レーサー』の後に性転換しているから、ウォシャウスキー姉弟だ。ウォシャウスキー姉弟としてははじめての監督作品のはず。別に原作があるとしても、脚本はラナ・ウォシャウスキーがメインで携わっているので、そういう、先入観を除いて観ろといわれても無理。自分の経験が深く反映されているのは間違いないだろう。
そう考えると、最後のザックリー老人のシーンは、差別の歴史の答えになっているだろうか。答えがボケている…というか、明確な答えは製作陣も持っていなかったように思われても仕方が無いというか…。これが、本作の評価のすべてな気がしてならない。

ペ・ドゥナは、アメリカ進出ということで、気合をいれてメンテナンスしちゃったのか、鼻筋がちょっと不自然に。まあ、合成人間の気色悪さはうまく表現できている。白人女性、中米系女性と特殊メイクでがんばったけど、ペ・ドゥナだとまったく判らなければ無意味だから、どうしても微妙になってしまうのはし方が無いか。
でも、白人役者たちが、蒙古ひだの特殊メイクをして、はい、未来のソウルの姿でございます~って、韓国人は怒らんのかい?
ヌードも濡れ場もあった本作だが、『空気人形』を観てのオファーだろうね。堂々とした演技だったので、今後もオファーはあるだろう。チャン・ツィイーの二の舞にならないようにがんばって欲しい(無理かもしれんけど…)。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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