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image2053.png公開年:1989年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:マイケル・レーマン
出 演: ウィノナ・ライダー、クリスチャン・スレイター、シャナン・ドハティ、リザンナ・フォーク、キム・ウォーカー、ペネロープ・ミルフォード、レネ・エステヴェス 他
受 賞:【1989年/第5回インディペンデント・スピリット賞】新人作品賞(マイケル・レーマン、デニーズ・ディ・ノヴィ)
コピー:バッグの中身は殺人道具--女子高生エリート・グループ「ヘザース」とは…?



ベロニカが通う学校には、“ヘザー”というファーストネームを持つお嬢様だけが集まった“ヘザース”という3人組がいた。なぜかそのヘザースに執拗にいじめられ続けるベロニカは、そんな生活にうんざりしていた。ベロニカには他人の筆跡を真似るという特技があったが、ヘザースはそれを利用して、フットボールチームのリーダー、カートの筆跡で偽のラブレターを書かせ、デブのマーサにその手紙を渡し、反応を愉しむという下品なことをやっていた。転校生のJ.Dは、そんなヘザースの様子を遠くで眺めている。カートと友人ラムは、J.Dの言動が気に喰わず彼に脅しを掛けるが、J.Dはすっと銃を取り出し発砲するのだった。空砲だったために事なきを得たが、ベロニカはそんなJ.Dの破天荒さに関心を持ち、ほどなく二人は結ばれることに。そんな中、ベロニカはヘザースの一人チャンドラーに、大学生のパーティに誘われる。しかし、気分が悪くなったベロニカは嘔吐して退場。そんなベロニカをチャンドラーは罵るのだった。ベロニカのチャンドラーに対する憎くしみの吐露をきいたJ.Dは、殺してしまえばいいと軽く発言。ベロニカは冗談だと思っていたのだが…というストーリー。

ちょいエロ有り、いじめ問題有り、友情有りの、学園グローイングアップムービーみたいなものかと思っていたが、あるポイントを境に急展開。サイコ・サスペンス要素が沸いてくる。これはユニーク。

(以下、少しネタバレ)
確かに他の生徒とは異質な感じはするが、冒頭では、浮ついた他の生徒よりもマトモに見えたJ.D。情緒は不安定かもしれないが、知的なベロニカにはむしろお似合いだと思って観ていたのに、まさかJ.Dはサイコ野郎だとは思いもよらず、ちょっと驚き。

ちょっとおしいのは、コメディチックな部分とサスペンス要素が喧嘩して、全体の勢いを相殺してしまっている点だ。J.Dの自殺に見せかける手口は決して巧みではなく、普通に捜査がなされるなら簡単にバレるレベル。だって、彼らは指紋すら満足に拭き取っていないんだもの。同じクラスの生徒ばかりが次々自殺していくことに、街の人々は不信感を抱くことは無く、それどころか自分の子供の死なのに、むしろその死に様を恥じて、早く葬式もなにもかも終わってしまえばいいというような態度で、一向にベロニカやベJ.Dに捜査の手が近づく気配もない。ホモカップルに偽装するくだりも同様。ちょっとやりすぎて興醒めするレベル。

一方、J.Dの犯行がエスカレートする様子の描かれ方は雑。彼がなんでそういう性格傾向になったかを事細かに説明する必要はないかもしれないが、彼が本物のサイコキラーであることを、もっと恐怖に感じられるような表現にして欲しかった。そして、ベロニカを巧みに巧みに自陣に引き入れ、逃げられないように真綿で首を絞めるように苦しめていく様をもっとうまく描けていれば、最後の対決シーンはもっと盛り上がったに違いない。

とはいえ、このコメディとサスペンスを綺麗に融合させつつ、話を盛り上げていくのは、よほどのシュールさと、殺人をアバンギャルドに描ける画力を兼ね備えた監督じゃないと難しいのかもしれない。この監督、後に『ハドソン・ホーク』の監督をやっていて、決して力が無いわけじゃない。
とてもおもしろいプロットの作品なので、有名どころの監督がブラッシュアップしてリメイクすると面白いかもしれないな。

 

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image0367.png公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:82分
監 督:ダグラス・シュルツ
出 演:クリスティーナ・シェルドン、ジョン・ベネット、ジェフ・ボーガー、リジー・ラッセル、アレックス・サフィ、クリストファー・ミラー、ジョン・クーリガン、マーク・C・シュワルツ 他





妊娠中の妻を亡くし落胆していた警官のガブリエル。ある日、犯人を追跡中に、突然何者かに頭を殴打され気を失ってしまう。意識を取り戻すと、町に人気が無くなっており、まるでゴーストタウンのようになっていた。誰かいないか探しながら、なぜこんなことになってしまったのか原因を探るガブリエル。無人のバスのラジオから、何者かの攻撃を受けて人々が突然失踪する事件が続発していることを告げるニュースが流れ、やがてそのニュースも途切れてしまった。呆然としているガブリエルは、黒い人影を発見。それを追いかけて小学校に入ったガブリエルは、一人の神父に出会う。神父は、小学校の地下にある隠しトンネルから教会に脱出しようと提案する。学校ないを捜索していると、殴打された影響か死んだ妻の幻覚が見えるようになり、苦しむガブリエル。そこに、謎の謎の黒人少年が現れ…というストーリー。

“地球で最後の男”というから、主人公以外誰も出てこないのかと思ったが、神父やら黒人さんやらすぐに出てくる。だって、原題は“DARK HEAVEN”で、最後だとかそんなこと一言も言ってないからね。何か別の作品と混同させてレンタルさせようと考えたのかも知れんけど、邦題をつけた人間は、実際に作品を観たのか?と疑いたくなるレベルである。

TVムービーの模様で、予算はかなり安いように見える。冒頭、街中だれもない…という街の俯瞰映像にで、上部を車が横切る。おそらくチェックミスだと思う。ブラウン管テレビの画面の枠に隠れて見えなかったのだろう。その程度のクオリティの作品なのだ。

目覚めると人々がいなくなっている…という設定は、予算的な制約の中、いいチョイスだと思う。しかし、残念なことに、随所に差し込まれるフラッシュバック映像の中で、主人公に何があったのか、早々と想像がついてしまう。

唯一まともなミスリードといえば、黙示録の内容と街におこった現象を絡めた部分か。本当にこの世が終末を迎えたのでは?という方向性を感じさせようとしているのだろう。でも、黙示録の細かい内容なんか、あんま知らんしね。ピンとこない人が多かろう。
天使なのか悪魔なのかわからんが、天上人みたいのがバトルを繰り広げるのだが、いくら低予算だといっても、その造形のショボさはいただけない。

『世にも奇妙な物語』の一遍だとしても、評価されないレベル。とにかく、もっとオチが判らないような構成にしないと話にならない。

 

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image2122.png公開年:2012年
公開国:日本
時 間:129分
監 督:三池崇史
出 演: 伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大、水野絵梨奈、KENTA、山田孝之、平岳大、吹越満、磯村洋祐、宮里駿、武田一馬、荒井敦史、中島広稀、鈴木龍之介、横山涼、竹内寿、西井幸人、藤原薫、堀越光貴、米本来輝、永瀬匡、工藤阿須加、岸田タツヤ、秋山遊楽、尾関陸、小島藤子、林さくら、神崎れな、夏居瑠奈、秋月成美、藤井武美、山本愛莉、綾乃美花、松岡茉優、塚田帆南、菅野莉央、山崎紘菜、伊藤沙莉、藤本七海、岸井ゆきの、山谷花純、三浦透子、兼尾瑞穂、宇治清高、岩松了、篠井英介、小島聖、滝藤賢一、矢島健一、山中崇、橋本一郎、山口馬木也、眞野裕子、坂東工、池谷のぶえ、岩原明生、森下サトシ、酒巻誉洋、尾崎舞、大門真紀、貴志祐介 他
コピー:まるで出席をとるみたいに、先生はみんなを殺し続けたんだ。

高校の英語教師・爽やかな見た目の蓮実聖司は、生徒から“ハスミン”と呼ばれる人気者。同僚教師やPTAからの信頼も篤く、模範的な教師だ。しかし彼の正体は、他人への共感能力を持たないサイコパスで、自分にとって都合の悪い状況になればその人間を殺害することも厭わない。殺害した後も、その知力と行動力で巧みに隠蔽し、学校を都合のいいように支配していた。文化祭前日、蓮実は邪魔になった女子生徒を自殺にみせかけて始末したが、別の女子生徒が現場に立ち入り、このままではすべてが露呈してしまう状況に。とっさにその生徒も殺害した蓮見だったが、隠しきれないと考えた彼は、文化祭の準備で学校に泊り込んでいた生徒全員を殺すことに決める。それを同僚教師の仕業に見せかけて…というストーリー。

まあ、AKBの大島優子がこの映画を嫌いだとか何とか言ったことで話題になっていた作品だが、そりゃ、この映画を好きだという方が頭がおかしい。犯罪史に残るシリアルキラーの分析はいくらでもある。幼少期の経験がどうしたこうした。こういう傾向を持つ人間はそうしたこうした。でも、そう分析しようが、そういう人間と対峙した時に、常識を持ってして対処できる人間はそういない。
常人がサイコキラーの思考を理解できるわけないんだから、無理にでも野生の王国でも観るような感覚でみないといけない。

アメリカでサイコ・キラーとして成長し、そこではピンチを味わっているという設定が面白い。
周到なように見えて、けっこう杜撰。まあ、実際のシリアルキラーなんかも、スポっと注意力が欠落することもあるので、かえってリアルである。表面の生活が豪奢で、実際の生活では郊外のボロ小屋に住んでいる。実際、ここまで極端な二重生活のサイコ・キラーの事例は聞いたことがないけど(私の勉強不足か)、フィクションとしては面白い。

殺人のパートナに対して、その死に対する美学が異なるが故に殺害に至るわけだが、正直、その点は判りにくい(というか、どういうロジックなのかピンとこない。私シリアルキラーじゃないので(笑))。
これらの、“サイコキラーの育て方”的なシーンのすべてが、回想シーンなので、緊迫感には欠けるのも残念。

ほころびからの、惨劇というなの饗宴。自分の犯行が明るみに出そうになり、追い詰められているんだけれど、サイコ・キラーにとっては満漢全席という、この振幅。

三池監督は脚本も手掛けているが、彼の大好物分野であることは間違いない。アニメやゲーム物の映画化で、職人的に稼ぎ、本作のような心の底から愉しめる作品に入魂する。変態なんだか真人間なんだかよくわからないけど、そういう建設的に狂気を発揮するところも、本作に通じる。「東大?to die?」これが、原作にあるセリフなのかどうかわからないけど、このセリフこそ三池監督のセンスのすべてが集約されているといえる。

正直、本作の一番の見所である惨殺シーンは、予想通りというか、意外と刺激が少なく、そのせいで不快さだけが滓として残ってしまった感じ。そして、なにが一番、本作で驚いたかって、“TO BE CONTINUE”。原作を読んだわけじゃないので続きがあるお話なのかどうか知らないが、これでそれなりに綺麗に終わってるんじゃないのかな?

いくら心神耗弱で無罪を勝ち取れる可能性があるからといって、すぐに娑婆に出られるわけでもない。アメリカでも多重人格者が、人格統合の後に普通に生活する例はある。もし続編を作るとしても、15年くらい経って、治療が終了したと判断されてから出てくる…という展開しか思いつかない。それまで、出所後の再開までを楽しみにして…。
でもそれだと、最後に死んでいた子が動いたシーンの使い方がわかんないんだよなぁ。やっぱ蛇足じゃないのかなぁ…続けるのは…。

#おそらく、瞳孔に表情が出ないように黒いコンタクトレンズをしていると思うんだけど、ちょっと不自然すぎるかな…。

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image2119.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:ベン・アフレック
出 演: ベン・アフレック、ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン、ヴィクター・ガーバー、テイト・ドノヴァン、クレア・デュヴァル、スクート・マクネイリー、ケリー・ビシェ、クリストファー・デナム、カイル・チャンドラー、クリス・メッシーナ、タイタス・ウェリヴァー、シェイラ・ヴァンド、マイケル・パークス、ロリー・コクレイン、ジェリコ・イヴァネク、キース・ザラバッカ、ボブ・ガントン、リチャード・カインド、リチャード・ディレイン、オミッド・アブタヒ、ペイジ・レオン、マット・ノーラン、J・R・カシア、ロブ・ブラウンスタイン、デヴィッド・サリヴァン、ジョン・ボイド、スコット・アンソニー・リート、エイドリアン・バーボー、リンゼイ・ギンター、テイラー・シリング クリスティーン・メンデス、ジェイミー・マクシェーン、マシュー・グレイヴ、クリストファー・スタンリー、フィリップ・ベイカー・ホール 他
受 賞:【2012年/第85回アカデミー賞】作品賞、 脚色賞(クリス・テリオ)、編集賞(ウィリアム・ゴールデンバーグ)
 【2012年/第38回LA批評家協会賞】脚本賞(クリス・テリオ)
【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、監督賞(ベン・アフレック)
【2012年/第66回英国アカデミー賞】作品賞、監督賞(ベン・アフレック)、編集賞(ウィリアム・ゴールデンバーグ)
 【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】作品賞、監督賞(ベン・アフレック)
 【2012年/第38回セザール賞】外国映画賞(ベン・アフレック)
コピー:この《実話》は、フィクションよりも大胆

1979年11月4日、イランの過激派は、圧政を敷いた前国王パーレビがアメリカに保護されたことを知り、アメリカ大使館を占拠。海兵隊員とその家族を人質にとり、前国王の身柄引き渡しを要求する。その際、6人の職員がカナダ大使館に脱出。脱出時に職員の写真つきの全名簿はシュレッダーにかけたものの、イラン側は復元を試みており、もし名簿が足りなければ、職員の数が合わないことが発覚し、周辺の捜索が始まることは必至。そして、見つかれば処刑は免れない。この絶望的な状況に、国務省はCIAに援助を要請し、CIAの人質奪還の専門家トニー・メンデスが召集される。彼は、架空の映画企画をでっち上げ、隠れている6人をロケハンに来たカナダの映画クルーに仕立て上げて出国させるというアイデアを思いつく。さっそく特殊メイクの第一人者ジョン・チェンバースや、大物プロデューサーのレスターらの協力を得て、ボツ脚本の中からイランの砂漠が舞台になりそうなSF冒険映画『アルゴ』を見つけ出す。そして、その映画が偽者だと疑われないように、事務所を立ち上げて製作記者発表を盛大に行うのだったが…というストーリー。

実話ベースの作品は何だかんだいって、実話であること自体が盛り上がりを疎外する要素になってしまい、尻すぼみになるのが大半。でも本作は違った。あまりにも事件自体が荒唐無稽で、フィクションの作為的な盛り上げなんかを平気で超えている。そして、それが最近まで極秘だったという事実が生む、目新しさと緊張感。
電話に出られるかどうか?! 空港のゲートを通過できるか否か?! 飛行機は領空を越えることができるか否か?!はっきりいってベタベタな演出。でも事実なんだから、これでいいのだ。ヘタなサスペンスよりもハラハラできた。映画バカが真剣に協力したっていうシチュエーションも、映画好きとしてはたまらない。

純粋にこの事件がおもしろい…というのはもちろんだとして、リベラル派のベン・アフレックが、カーター時代のこのエピソードを選んだ理由は、ちょっと測りかねる。カーターは民主党だが、この出来事を彼の手柄だといいたいのか?それはないだろう。彼の中東政策の大半は失敗し、むしろ、この事件のきっかけを作ったのはカーターだといってよい。おまけに国内経済もボロボロに。歴代の無能大統領を挙げろを言われたたら、けっこうな順位で登場する人物だと思う。
#北朝鮮問題などに特使として顔を出すが、正直何の役にもたっていない(というか、邪魔な気がする)。
カーターはCIAの予算を大幅に削減していたのに、結局CIAに助けられちゃう。滑稽極まりないが、そんな無能が再選されるわけもなく、レーガンに座を奪われる。
#それにしてもよくカナダは面倒な役を受けたと思うわ。

今でも、イランとアメリカの関係は悪いと思うが、こんなに直球でイランの人々を直情的で愚かな人々と描いてよいのかどうか、そっちはそっちでハラハラする。バザールでカナダ人だといっているのに、白人と見るや罵倒しつづけて止まることのないじいさん。まるで猿の惑星に紛れ込んだみたいだった。

そこにジョン・グッドマンを持ってくるかぁ…安易なキャスティングだな…と思っていたが、エンドロールを見たらものすごく似てた(笑)。それどころか、脱出した6人もそっくりだった。

とにかく愉しんだ。久々に是非観るべき作品!と手放しでお薦めできる作品。

 

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image1213.png公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:スティーブン・ソダーバーグ
出 演: テレンス・スタンプ、レスリー・アン・ウォーレン、ピーター・フォンダ、ルイス・ガズマン、バリー・ニューマン、ジョー・ダレッサンドロ、ニッキー・カット、ルイス・ガズマン 他
ノミネート:【1999年/第15回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、監督賞(スティーヴン・ソダーバーグ)、主演男優賞(テレンス・スタンプ)、助演男優賞(ルイス・ガスマン)、脚本賞(レム・ドブス)
コピー:娘が死んだ理由<わけ>を教えてくれ。


9年の刑期を終えて出所した男ウィルソンは、一人娘のステイシーがロスサンゼルスで事故死したという手紙を受け取る。死因が納得いかないウィルソンは、手紙の差出人で娘の知り合いだったエドを訪ねるが、彼も事故死だったと語る。どうしても納得いかないウィルソンは、一人で娘と係わり合いのあった人物を洗い、大物音楽プロデューサーのテリーと関係があることをつきとめる。また、麻薬取引も関係していることを知り…というストーリー。

冒頭の15分くらいは、謎の男が娘の死の真相を、異常なまでの執着で追求する緊張感の溢れる展開だった。なぜ、そこまで事故死ではないという確信があるのだろう。父親とはいうが、なんでここまでできるのだろう。どうも堅気の人間じゃなさそう…と、謎に溢れたキャラクターが相まって、興味が大変膨らんでいった。

しかし、随所にフラッシュバック的な編集が多用されるが、多用されすぎて実にうっとおしく、飽き飽きする。
さらに、かなり早い段階で、娘が大物プロデューサと付き合っていることがわかり、また、麻薬取引が絡んでいることがわかる。途中で麻薬取締官が登場し、話が大きくなっていくのかと思ったが、ただ、麻薬取引が絡んでいることを追加説明した以上に何もなかった。

結局、何か新たな事実はなく、犯罪者の父と娘の距離感をノスタルジックかつウェットに演出しただけ。正直、その娘との思い出も、あまりうまく描けていないと思う。で、展開的には冒頭で明らかになった事象以外に、何一つ存在しないストーリーだった。
ラストのイギリスへ向かう機内でのセリフだが、何一つニヒルでもなく格好良くもない。無骨ながらダサかっこいいとか、そういう感じでもない。犯罪者として強烈な狂暴さを見せたわけでもなく、アクションも老いかけのジジィだったし。執念からどんどん汚れていく様が描かれていないから、私には渋い男には映らなかったんだと思う。

なにかが噛み合っておらず、エンストしかけてガクンガクンしながら、走ってるような印象。なにかしっくりこない作品。

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image2115.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:88分
監 督:ジョナサン・リン
出 演:レスリー・アン・ウォーレン、ティム・カリー、アイリーン・ブレナン、マデリーン・カーン、クリストファー・ロイド、マイケル・マッキーン、コリーン・キャンプ、マーティン・マル、リー・ヴィング 他




1954年、ニュー・イングランドにあるとある大邸宅に、6人のゲストが招待される。執事ワズワースはゲストに偽名を付け、お互いの身元を明かさないまま屋敷に招き入れる。お互いに警戒する中、パーティが始まり、遅れて主人の席にミスター・ボディがやってくる。そして、彼らの秘密が執事から明かされる。6人の正体は、上院議員ピーコック夫人、未亡人のホワイト夫人、精神料医プラム教授、官僚グリーン氏、マスタード大佐、女性の斡旋業をしているスカーレット。そして、6人の共通点は、全員がミスター・ボディに恐喝されていたということ。それを知った6人は一斉にミスター・ボディに襲い掛かる。その瞬間、屋敷が停電。電源が復旧すると、そこにはミスター・ボディの死体が横たわっており…というストーリー。

DVDのメニューで、3つのエンディングがあることが判る。3つを全部観るモードと、ランダムでどれかが選択されるモード。なんだこりゃ?と誰でも思うだろう。この作品の元ネタがボードゲームで、誰が犯人かはゲームの展開で変わるので、それを映画でも引き継いでいるとのこと。『逆転裁判』のようなゲームの映画化というのは多々あるが、ボードゲームの展開までも作品に持ち込んだ例は、他に無いだろう。かなりの珍作である。

執事役はティム・カリー。『ホームアローン2』でホテルの接客係を演じていた、ちょっと外斜視ぎみで鼻の下の長い俳優さん。彼がこのお話をすべて引き回しているといってよい。彼がドタバタの中心。

私は、その趣向の意味が理解できないまま、3つのエンディングを全部観るモードを選択。普通に謎解きを行いめでたしめでたし…となったところで、“こんな終わり方はどう?”的な感じで別のオチが始まる。それがもう一度。トリックは基本的に同じなのだが、動機が大きく異なるという感じかな。

たが、冷静に考えれば、誰でも犯人にできるということ。それまでの話はどうとでもなるレベルの内容をいうことを意味しており、まともな謎解きが存在しないということになる。私は素直に、犯人は誰なのかな?と色々考えていたが、まったく決め手を掴めずにいた。結局、追加で登場した人物もすべてが恐喝する側かされる側。ちょっとした疑わしいヒントもすべて投げっぱなし。そりゃそうだ、どうにでもなるように作られているんだもん。そしてオチを観て、なんじゃそら…と。誰が犯人なのかと真剣に観ていた人は、がっかりすること必至である。

趣向だけで、肝心の内容がいいかげんな作品。そのオチになっても、それまでのストーリーがすべて無駄になっていないと感じるほど、作りこんでいればカルトムービーとして歴史に残ったかもしれない。

 

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image2105.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:92分
監 督:ジム・シェリダン
出 演:ダニエル・クレイグ、ナオミ・ワッツ、レイチェル・ワイズ、マートン・ソーカス、イライアス・コティーズ、ジェーン・アレクサンダー、テイラー・ギア、クレア・アスティン・ギア、レイチェル・フォックス、サラ・ガドン、グレゴリー・スミス 他
コピー:そこには、今でも幸せな家族が暮らしているはずだった。



優秀な編集者のウィルは、かねてからの夢だった小説化になるために出版社を辞め、ニューヨークの郊外に購入した新居に引っ越し、妻ビーと二人の娘たちとの生活を始める。しかし、引っ越した早々、家の周囲を怪しい人影がうろついたり、娘が幽霊を目撃したといいはじめたり、おかしな出来事が続き、妻も娘もすっかり怯えてしまう。ある夜、ウィルが地下室の物音を不審に思って近づくと、若者たちが侵入しミサを行っているのを発見。若者たちは逃げるが、一人の少女を捕まえ事情を聞くと、5年前にこの家で惨殺事件が起きていたことを聞かされる。その事件の犯人は家族の父親で、精神疾患により不起訴となっているらしい。ウィルは早速、その犯人の情報を得ようと地元警察に接触するが、まったく相手にしてもらえず…というストーリー。

ちょっとでも解説してしまうと、すぐにネタバレになってしまう。個人的には結構アリな作品なのだが、おそらく世間一般的には、“まあまあ”の烙印を押されるに違いない。

(以下ネタバレ注意)

 


自分がその逮捕された殺人犯だったのだが、記憶がない…ってのは、いささか無理があるなと感じてしまう(シーンが進むとそれほど無理な展開ではないとは思うのだが、明かされたときは「おいおい!」って思っちゃう)。嫁も子供も妄想でした。一応、『シックスセンス』的に、答え合わせをすると、確かに妻と娘が他の人間と接触しているシーンはない。整合性は取れている。
#これらのシーンが、妄想なのか、過去の実際のシーンなのか、どちらとも取れる描写なので、ピリっとしていない。シーンとしての緻密さに欠けており、インパクトに欠ける。そのため、評価が低くなっているのかも。

出版社を退職するシーンからして妄想というになるわけだが、ここまで荒唐無稽な展開に倒すのなら、あとは、メーターを振り切るくらい、ガンガンやってくれればよろしい。さて、どこまでいけるか。宇宙人とか霊の仕業でした…という以外なら、何をやってもよい。

『シックスセンス』のように最後の最後までタネ明かしをひっぱらなかったのは救い。それだとさすがに興ざめしたと思う。

これ、夫が犯人ということにされて、発狂。その後はその無念と誤解を晴らすために行動…という素人でも考え付く内容だったらイヤだな…と思っていたら、ドンピシャだった。この読めなくもない展開も、評価が低い原因かも。
ただ、単なる犯罪者の妄想ではなく、これまでのすべてが、思い出すためのロールプレイだというところが、他の“犯人は自分でした”系の作品とは一線を画していると思う。行動の根幹に家族愛が感じられ、終盤は共感とせつなさが湧いてくる。病院にいた時の記憶を覚えていたら、事件の核心に迫ることは出来なかったわけだから、ある意味、執念で自分の記憶を忘却していたとも考えられる。
事実がわかっても、家に戻って妄想を続けるところは、なかなか新鮮だった。

①自分がその犯人でした。②単なる妄想ではなく忘却することに意味がありました。③真の犯人との対決。この三段構成は、きれいにまとめあげるのはなかなか難しい。個人的にはこのくらい、これでもかと盛り込んだ脚本家の執念を褒めてあげたい。

まあ、“世にも奇妙な物語”の豪華版だと思えば、ものすごく愉しめる。

 

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image2061.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:119分
監 督:ブラッド・ファーマン
出 演:マシュー・マコノヒー、マリサ・トメイ、ライアン・フィリップ、ジョシュ・ルーカス、ジョン・レグイザモ、マイケル・ペーニャ、フランシス・フィッシャー、ボブ・ガントン、ブライアン・クランストン、ウィリアム・H・メイシー、トレイス・アドキンス、ミカエラ・コンリン、マルガリータ・レヴィエヴァ、ペル・ジェームズ、シェー・ウィガム、キャサリン・メーニッヒ、マイケル・パレ、マッケンジー・アラジェムス 他
コピー:なぜ、はめられたのか?
 それは、過去の殺人事件から始まった――。
 オフィスは高級車(リンカーン)。腕は一級。離婚歴アリ、子持ちのちょいワル弁護士。

ミック・ハラーは、黒塗りの高級車リンカーン・コンチネンタルを事務所代わりにして、いくつもの仕事をこなしている敏腕弁護士。強引な手法で司法取引を利用して軽い刑で収めるのが得意の戦法で、麻薬の売人や娼婦などの依頼を受けるため、検察からは忌み嫌われている。検事の元妻と娘とは、別れてからも良好な関係と保っている。そんなある日、資産家の御曹司ルイスが、娼婦に暴行したという容疑をかけられ、その弁護をしてほしいという依頼が舞い込む。いつも通りに司法取引をまとめるだけの仕事と考えていたが、ルイスは、被害者は自分の資産目当てに事件をでっち上げていると無実を主張し頑なに司法取引を拒むのだった。さらに、調査員であり親友である探偵フランクに調査を依頼すると、被害者が実は娼婦だということがわかる。これを証拠として、検事に起訴の取り下げるよう持ちかけるが、現場にはルイスの持ち物と思しきナイフが見つかっており、起訴を取り下げる気はないと告げられる。さらに、ルイスが加害者である可能性が次々と浮上し…というストーリー。

リンカーンを前面に出す意味がさっぱりわからん。だって、設定上はリンカーンを“事務所代わり”にして…となっているが、別に事務所になんかしていないんだもん。確かに仕事の依頼を車に乗ってるときに受けるシーンはあったけど、べつに事務所ってわけじゃないし。そのせいで、黒人運転手がいまいち使いきれていない(最後に取って付けたように小間使いさせているけど)。その辺はちょっと企画倒れ。でも難点はそこくらい。
#役者陣もパっとしないが、劇中のキャラクターにはとてもマッチしているので悪くないし。

冒頭はいけ好かないスカした弁護士野郎の、ダーティ且つ軽妙な日常を描いた作品としてスタート。金のために動く悪徳弁護士として検察側から忌み嫌われる彼。実際に大麻を裁く組織に便宜を図ったり。しかし、とある金持ちの息子が巻き込まれた事件の弁護を依頼され、いつも通りの豪腕・敏腕を発揮しようとするが何かいつもと勝手が違う。そして、イニシアチブを取っていると思いきや、すっかりサイコ野郎の手玉に取られていたいたことに気付く。単に落とし穴に嵌っただけなんてレベルではなく、巧妙で執拗なまでにがんじがらめに。なぜミックが仕事を依頼されたのか。このサイコ野郎の型の嵌め方が、実に周到で、しっかりと練られていてすばらしい。

この難局をどう乗り切るか…だけなら凡作なのだが、この時点で、タダの悪徳弁護士が利用され、自業自得に陥っただけ…としないのが良いポイント。嵌められたことに対してだけ彼は苦悩するのではない。弁護士としての地位を脅かされるから苦悩するのでもない。悪徳弁護士と思いきや、彼には彼なりの主義があり、その絶対にゆずれない主義を自らの至らなさで壊してしまったことに対する恐怖を感じているのだ。で、別れた妻も、苦悩する彼の本心を聞いて、ちょっと彼に対する見方が変わるのをうまく表現してたりする。

穴のない仕掛けと感情とのリンク。そして、主人公の対する共感を徐々に感じさせていく展開。これこそ、アメリカ映画界においてシナリオ技術が確立されている証拠。様々なスクールで学問のレベルまで高められており、これがあってこそ映画ビジネスの下支えとなっている。アメリカと日本の映画界の違いをまざまざと見せつけられた気がした。

あまり、ネタばらしはしたくない。是非観て欲しい作品。これはもっと評価されていい作品だし、続編を作って欲しいと思うくらいだ。

拍手[0回]

image2043.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出 演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、クリスティナ・ヘンドリックス、ロン・パールマン、オスカー・アイザック、アルバート・ブルックス 他
受 賞:【2011年/第64回カンヌ国際映画祭】監督賞(ニコラス・ウィンディング・レフン)
 【2011年/第46回全米批評家協会賞】助演男優賞(アルバート・ブルックス)
 【2011年/第78回NY批評家協会賞】助演男優賞(アルバート・ブルックス)
 【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】アクション映画賞
コピー:疾走する純愛――

自動車修理工場で働く男は、昼は映画のカースタントマンとして活躍する一方、夜が強盗の逃走を手伝う仕事も請け負っていた。家族も友人もいない孤独な彼だたが、同じアパートに暮らす人妻アイリーンと出会い、人目で恋に落ちる。彼女の夫スタンダードが服役中で、今は息子と二人暮らし。口下手ながらも徐々に距離を縮めていく二人だったが、そんなある日、服役していたアイリーンの夫スタンダードが出所してくることに。アイリーンもドライバーに心を寄せてはいたが、更生を誓う夫の姿を見て再び家族として暮らしていくことを決断する。しかし、スタンダードは服役中に用心棒代として多額の借金をしており、その代償として強盗の手助けをするよう強要されていた。再びアイリーンと息子が不幸になることを見かねたドライバーは、スタンダードが請け負った強盗計画を手伝うことを決める…というストーリー。

冒頭の強盗の逃走を手伝う様子を観て、先日観た『ザ・ドライバー』のリメイクかと本気で思った。また、冒頭の強盗の次に、スタントのシーンになり、さらに自動車工場で働くシーンになったので、昔は強盗だったけど嫌気がさして、スタントマンと工場勤務をしてるんだな…と。自動車工場の親父も、ある時ふらっとやってきて雇ったと言っていたし。しかし、調べてみると、逃がし屋は継続していて三足のわらじを履いている設定だとか。わかりにくいし、足を洗ったのに、アイリーンと息子のために戻る決断をする…という方がプロットとしてはおもしろいと思うのだが。
それこそ『ザ・ドライバー』の主人公のその後…といった感じだったらよかったのい。

カンヌ等々、なかなかの受賞暦だが、個人的にはピンとこない。やはり直前に『ザ・ドライバー』を観ちゃったのがよくなかったんだと思う。『ザ・ドライバー』よりもカーアクションは劣るし、主人公の寡黙さやミステリアスさも落ちる。
唯一勝っているのはバイオレンス要素だけである。正直、そういうエグい展開になるとは思っていなかった。闘争中のショットガンで吹っ飛ぶ血肉といった激しい描写だけでなく、エレベーターの中で、アイリーンと殺し屋とドライバーの3人になり、彼女の前で鬼になる瞬間など、心理描写も悪くない。

オチも、大金などには目もくれず、アイリーンと息子を守るためだけに行動する。最終的に大金には手をつけず消える。金が残っていればマフィアが彼女たちを追うことはないだろうという考えだろう。

しかし、ロン・パールマン演じるニーノを海岸で殺すシーンだが、殺すんならあんなマスクいらないんじゃないかと思う。マスクをかぶる意味は、マスクをしてはげ頭の男が犯人だとミスリードするためだと思う。そう考えると犯人が別人だということを判らせるためにニーノは殺さずにおくほうがいい。あれ?もしかして殺してないのか?でも、アイリーンの面は割れてるし、そんなことをする意味があるのか?わからん。
結局、最後の死闘だって素顔だったしなぁ…。スタントマンという設定は、あのマスクのためだけに存在するのだが、不要だったのではなかろうか。

ジャケットとかオープニングの、ネオンのようなピンクとか紫の映像に、一体どんな意味があったのか。ストーリーとも無関係だし、内容と雰囲気が違いすぎて、どういう効果を狙ったのか不明。さらに、生きてまーすという終わり方にも、どういう意図があったのか。

アイリーンが命をかけてまで守ろうと思えるほどいい女に思えなかったという点も、いまいちノリきれなかった原因だと思う。
#やっぱり、カンヌで評価されるような作品は、私と相性が悪い。

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image2074.png公開年:1981年
公開国:アメリカ
時 間:125分
監 督:ボブ・ラフェルソン
出 演:ジャック・ニコルソン、ジェシカ・ラング、ジョン・コリコス、マイケル・ラーナー、ジョン・P・ライアン、アンジェリカ・ヒューストン、ウィリアム・トレイラー、トーマス・ヒル、ジョン・ヴァン・ネス、ブライアン・ファレル、ブライオン・ジェームズ、クリストファー・ロイド、アルバート・ヘンダーソン 他




1930年代のカリフォルニア。パパダキスというギリシア人が経営するガソリン・スタンド兼レストランに、フランクという男が立ち寄る。フランクは、たまたま居合わせた無関係の男と同伴であるように装い、その男に置き去りにされた上に財布まで持っていかれたと主張し、タダ飯にありつく。パパダキスは、車の修理工が必要だったので、工員だと名乗ったフランクに留まって働いてもらいたかったのだが、当然フランクは固辞。しかし、キッチンで働く美しいパパダキスの妻の姿を見て翻意し、この店で下働きすることするのだった。数日後、パパダキスが出かけた隙に、フランクはコーラを襲う。初めは抵抗していたコーラだったが、元々、夫に嫌気が指していたこともあり、そのまま関係と継続するのだった。その後、駆け落ちしようとするがうまくいかず、とうとう夫を殺害しようという考えが浮かび…というストーリー。

初見。突然の過剰なエロ描写で焦る。だって会社の昼休みに観てたんだもん。さすがに消したわ。

未来を見出せない男女が、元々持ち合わせている欲望も爆発させつつ、現状から脱出しようともがくお話。でも、仮に観客に浮気願望とか現状への不満あったとしても、この二人に共感を抱くことはないだろう。フランクは後に明かされるが暴力犯罪で懲役をくらっていた男。コーラは、なんでこんな男に惹かれるのか理解しがたい。あまりに浅はかで世間知らずすぎる。

ただ、破滅していくのか、どうやって転落していくのか、その様子を観るのは非常に面白い。二人がお互いに牙を剥く展開もあるし、ダブル・ジョバティとかまで持ち出して、こじれにこじれさせる。

しかし、ジャック・ニコルソンは、ちょっとイービルに演じすぎた。無頼な生き方をしてきたけれど、普通の人間が持っている孤独への苦痛などというものも持っているんだよ…というところが描けていない。だから、エンディングがあっけなく感じてしまうのだ。
一人になった侘びしさを漂わせたかったのかもしれないが、似ても焼いても食えないようなキャラクターにしか映らないので、いまいちピンとこなかった。コーラが実家に帰ったときにだまって去った理由も、コーラとの関係に未来を見出せなかったからなのか、孤独にたえられなかったから、サーカス女に近づいていったのか、どちらか判らない。

郵便配達は一切登場しない。このタイトルになった逸話は結構知られているところだが、知らない人は一切知らない。いつ郵便配達が出てくるのか、それとも何かの隠喩なのか…と、気になってしまうのが普通だろう。何かあるのだろう…と、ラストに近づけば近づくほど、気になってしまい、話に集中できなくなる。あまりいい効果は生んでいない。

サーカスの女が、なんで山猫をいおいていったのかよくわからんし、そのままベッドにおいておくのもどうかと思う。そして、その後、山猫をどうしたのか(その辺に逃がしたのか?)

異論はあるのを承知で言うが、ジャック・ニコルソンの演技が良くない。というか、キャラの内面を演じきっていない。好みの作品に非ず。

 

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image2067.png公開年:2011年
公開国:中国
時 間:97分
監 督:デイヤン・エン
出 演:ケヴィン・スペイシー、ダニエル・ウー、コン・ベイビー、ピーター・ストーメア、ヤン・ニー、ケネス・ツァン 他





両親の事故死や妻の流産を経て、リーと妻との関係は冷め切っていた。おまけに会社では、不正の隠蔽に加担させられ良心の呵責でストレスが溜まる一方。精神的に追い込まれた彼は、自殺を図るが、偶然訪ねてきた隣の部屋に住んでいるという西洋人チャックに救われ、一命を取り留める。その後、リーが追い詰められる度にチャックが現れ、親身になってリーの相談相手となり、少しづつリーの心に明るさがもどってくる。そして、チャックは、仕事上の問題や妻との関係を修復するためのステップとして“世直し”を提案する。リーは手作りのコスチュームを着込み、市民へ奉仕するために、街にくりだすのだったが…というストーリー。

DVDジャケットの画像を見ると、『キック・アス』や『スーパー!』の二番煎じ、三番煎じとしか思えない。ただ、ケヴィン・スペイシーが出演していて、且つ中国映画ってどういうことだ…と。普通に考えれば、話題作になって然るべきなのに、それほどでもないのは何故か…と。ダメもとでの興味、それだけでレンタル。

ケヴィン・スペイシーが出ているくらいだから、もっと洗練されているのかと思ったが、状況説明のシーンなんかは、いかにも中国圏的編集。はっきりいって構成はダサい。かろうじてカメラワークが、ハリウッド然としているので、田舎臭くはない。これが救い。

(以下、ネタバレ)
そのまま、素人ヒーローとしての活躍を描くと思わせておいて、『シックス・センス』や『ファイト・クラブ』的な展開に。これが、まったく判らない演出になっていれば文句はないのだが、どうひっくり返しても予想がつくので、インパクトがない。妻が部分的に妄想だってことは誰でも気付いているのに(というか誰でも判るようにしているとしか思えないのに)、レストランのシーンで謎解き的に明かされても、ぜんぜん驚けない。

ちょうど半分が過ぎたあたりで、妄想だということに主人公が気付くのだが、『ビューティフル・マインド』くらい、前半はしっかり観客を騙して欲しい。そう、この作品は『ビューティフル・マインド』の構成をお手本にすべきなのだ。後半は、妄想との闘い、妻との間の問題、会社での出来事など、話の軸があちこちに飛んでズレまくり。ハッキリと方向性を定めるべきだった。八方丸く収めようとするから、ボケるのだ。ここまでやらかしているなら、痛みを伴わないオチなど、味わいもなにも生まれるはずがな。
街で豆腐屋を襲撃するくだりにいたっては、なんであそこまで不正な製品だと確信したのか意味不明なので、観ている側が一切共感できず、作品から心が離れてしまう。せめて、錯誤するのも仕方がない理由を演出すべきだった。

「実は守護天使なんだ」的な台詞があるのだが、本当に守護天使という設定なら、もっとそれを有効に生かすべき。それも単なる妄想の一部だというなら、エンドロール前のあれは要らないだろう。

中盤以降、非常に芸のない演出を見せられた。ハジけた設定のはずなのに、“マネごと”感満載で突き抜けた演出が一切ない。凡作といいたいところだが、片足が駄作エリアに落ちている。そりゃあ、日本未公開になるはずだわ。
#製作費の大半がケヴィン・スペイシーのギャラなのでは?

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image2073.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:143分
監 督:ゲイリー・ロス
出 演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、レニー・クラヴィッツ、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド、ウェス・ベントリー、トビー・ジョーンズ、アレクサンダー・ルドウィグ、イザベル・ファーマン、アマンドラ・ステンバーグ、ウィロウ・シールズ、ポーラ・マルコムソン、レヴェン・ランビン、ジャック・クエイド 他
受 賞:【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】アクション映画女優賞(ジェニファー・ローレンス)
 【2012年/第21回MTVムービー・アワード】男優賞(ジョシュ・ハッチャーソン)、女優賞(ジェニファー・ローレンス)、格闘シーン賞(ジェニファー・ローレンス&ジョシュ・ハッチャーソン vs アレクサンダー・ルドウィグ)、役作り賞(エリザベス・バンクス)
コピー:生存率1/24 それは究極のサバイバル。戦うことでしか、生き残れないのか――?

独裁国家パネムは、首都のキャピトルと1それに隷属する12の貧困地区から構成されている。この国では、地域の反乱を抑止する目的で、毎年12地区から12~18歳の男女一人づつを選出し、24人が最後の一人になるまで戦わせるサバイバル・コンテスト“ハンガー・ゲーム”を開催していた。ハンガー・ゲームは全国に生中継され、キャピトルの住民にとっては最大の娯楽となっていた。プレイヤー抽選会が開催された第12地区からは、2歳の少女プリムローズが選ばれてしまうが、姉のカットニスが身代わりで志願、男子には同級生ピータ・メラークが選出される。選手たちはキャピトルに集められ、教育係ヘイミッチの指導の下、厳しいトレーニングに打ち込み、いよいよ、開戦の日を迎え…というストーリー。

公開前は散々『バトルロワイヤル』のパクりじゃねーかって言われていたけど、実際観てみると、そんな文句をいう気は失せる。たしかに、国家権力が子供を最後の一人になるまで戦わせる、それも自然環境の中で、そしてリアルタイムで中継されていうっていう設定はそのまんまなのは事実。

でも、そういう社会のできごとなんです…っていう、プレーヤーも社会もそれを受け入れてしまっている前提になってしまっているので、それが異常だという感覚は消えてしまう。平たくいえば、ただのSFサスペンスになっているということ。
SFだっていうなら、そういう目線でみてやろうじゃないか…と思うわけだが、隷属する地区の産業がものすごく発達はしているのだが搾取されていて貧しい…っていう設定なら腑に落ちるが、極めて零細。反乱をさせないようになだめることが必要なら、労働力として価値がないと辻褄が合わないのだが、いったい中央のキャピトルはどうやって繁栄を維持しているのかさっぱりわからない。世界のバランスが悪説得力に欠ける。

これから争うことになる選手同士が豪奢な訓練場で一緒に訓練したり、選手インタビューの番組があったりと、アメリカでありがちなリアリティ番組のノリに。クソおもしろくない。弓の達人という設定でありながら、それほど弓で活躍はしないし(というか、直接の殺害はしない)。隣人愛や勇気なんかの差込み方が、教科書的で気持ち悪い。
黒人の少女と仲良くなる展開で、後で裏切られたり、戦わないといけなくなるんだろうな…と思っていたら、都合よく別の人間に殺されるし。ルールをころころ変えるわ、大型犬みたいな動物をけしかけてみるわ、ラストに向かうにつれて、行き当たりばったりのグダグダ展開。両方死んだら困るでしょ…が、ぜんぜんトンチが効いているとは思えないし、ゲームとして中途半端な終わり方。途中で勃発した反乱もうやむやで収束するし、勝者二人は結局は権力者を恐れて、主張を殺して地元に返るだけ。なんのカタルシスもなく、消化不良。
闘いはまだ半ば…みたいな空気を醸しだして、まさか続編作る気とか?やめたほうがいいんじゃね?

どれだけ興行収入があろうとも、これは駄作。こういうのを甘やかしてはいかん、そんな気持ちになる作品。

 

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image0931.png公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:114分
監 督:エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー
出 演:アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート、ウィリアム・リー・スコット、エルデン・ヘンソン、メローラ・ウォルターズ、エリック・ストルツ、ローガン・ラーマン、ナサニエル・デヴォー、イーサン・サプリー、カラム・キース・レニー、ケンドール・クロス、キャメロン・ブライト、ジョン・パトリック・アメドリ、ロレーナ・ゲイル 他
コピー:きみを救うため、ぼくは何度でも過去に戻る。
 それは、神にも許されない行為。

小学生のエヴァンは、時おり記憶が欠落してしまう“ブラックアウト”を起こしてしまう。記憶を無くしている時は、問題行動をしていることが多く、心配した母親は精神科へ連れて行く。原因は不明だったが、精神科医は日記をつけさせることを勧める。彼は13歳になったとき、幼馴染ケイリーの兄トミーのおこした出来事が原因で、ケイリーとh離れ離れになることに。別れ際エヴァンは「君を迎えに来る」といったが、時は流れ、結局そのまま出会うことは無く、別々の道を歩むことに。エヴァンは心理学を勉強する大学生になっていたが、あれ以降ブラックアウトを起こしてはいなかった。そんあある日、自分が起こさないこと書いていた日記を発見。懐かしく思い、読んでいると、日記の中の少年時代に逆戻りしてしまい…というストーリー。

二度目の鑑賞。最近、本作を評価する記事を見かけることが多く、内容をほとんど忘れていたので改めて。そんなに良かったかなぁ??と。

バタフライ理論を持ち出しているが、当時流行っていただけのことで、作中では、ドラえもんレベルの過去の改竄による現在の変化が描かれているにすぎない。かすかな動作が一見無関係な所に大きな変化をもたらすという理論とは程遠く、身の回りの出来事以外はほとんど変わりはない。
こういうと反論する人も多いだろうが、根本的にバタフライ理論自体は、検証不可能な理論であって、コンピュータシミュレーションで証明しようとしても、限られた材料の中でそれをやっているだけで、とても科学理論とは言えないと思う。何をどうひっくりかえしても結果は現在のこれ以外にないのだがら。仮に、過去の時点においてああだったならこうなっていただろうなんて、歴史の“if”以上に無意味なことである。よって、これを題材にお話を作ろうとすると、都合のよいタイムマシンを登場させなければならないわけだ。

じゃあ、こういうお話はつまらないか?と聞かれれば、本作はおもしろいと断言できる。ハッキリいってしまえば、科学理論がどうとか「細けーことはどうでもいいんだ」という、なぎ倒すだけの勢いがある。
状況を変えようとしてどツボにはまっていく様子は、グイっと引き込まれる。悲惨な状況に陥っているかつての友人を救うために良かれと思ってやっている“他愛”部分と、自分の望まない展開を回避するためにやっている“エゴ”が入り混じっているところや、父親の行動や自分の無意識でやっていた奇行が、きっちりと伏線にもなっている点も、おもしろい。

最後は、ハッピーエンド方向に傾けておいて、最後の最後で実は…というのが、この手の作品の王道だとは思うが、普通にハッピーエンドにしたことが果たしてよかったか…。この一点が難点でもあり、逆に2、3と続編を作りたくなる“隙”になっているんだと思う。

さすがに名作とまではいえないが、やりたいことがハッキリしている質のよいSFサスペンス。年代を越えて愉しめる良作だと思う。
#観てなかったけど、続編を観てみるかな。

 

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image0996.png公開年:2000年
公開国:アメリカ
時 間:88分
監 督:ビル・イーグルス
出 演:レイチェル・ワイズ、スーザン・リンチ、アイエイン・グリン、イアン・グレン、モーリス・ローヴ、トム・マニオン、イェーン・グレン、モーリス ローブス 他





イギリスのグラスゴー。暴力的な恋人から逃げるため、愛犬プルートを連れて家を出たドロシー。バスを待っていると、突然プルートが走り出し逃げてしまう。それを追いかけていくと、空き地で女性が泥酔した男から暴力を受けている場面に遭遇する。彼女を助けようとしたドロシーは、咄嵯に手近にあった鉄パイプで男を殴り、昏倒させてしまう。ドロシーと暴力を受けていた女性ペチューラは、とりあえずドロシーの部屋に気絶した男ブライアンを運びこむ。吐くと厄介なので、とりあえずバスタブに入れ毛布をかけておくことに。しかし、目を覚ましたブライアンは、よろけてバスルームの床にひどく頭を打ちつけ、そのまま帰らぬ人となってしまう。誰にも気づかれないように死体を隠そうと二人は考えるが…というストーリー。

舞台はイギリスだけどアメリカ映画。何で日本未公開なのかな…。私は結構おもしろい作品だと思う。交際相手の男性から暴力や虐待を受けている二人の女性が、共闘して乗り切っていく様子は、スペイン映画にありそうな感じ。スコットランド最大の都市だが、中途半端な規模の都会なので、雑な雰囲気の作風にマッチしている。ちょっと軽妙すぎるところや、おぶざけが過ぎる箇所が若干あるので嫌われているのかな。レイチェル・ワイズはあまり好きな女優ではないが、黒髪を金髪に染めているのが、少し頭が弱くて男に依存して生きているけど、どこか腹の据わったところのある役柄と、マッチしていると思う。

あちこちに、“これ、伏線ですよ~”っていうシーンがわかりやすく差し込まれる。でも、伏線であることはわかるのだが、その伏線が、彼女たちを利することになるのかピンチにつながるのか、さっぱり見えない。先がわかりそうでわからない、良いシナリオだと思う。途中で出てくる刑事が、欲をかいて身代金騒ぎに便乗して、ますますカオス状態になるのだが、公務員なんかやっていても未来なんか微塵も見えない閉塞したイギリスだからこそ、妙な説得力がある。

まあ、“ビューティフル・クリーチャー”が何を指すのか。ペチューラのことを漠然と指しているんだろうなと思ったが、実にくだらなくて、それをわざわざ伏線にするほどのことかいな…と、そういうシーンがある。どうやってあのボルトを抜いたのか…は、まあ、あの男の子が手伝ったんだろうな。

ラストもそれなりにうまくまとまって悪くない。もう一つ、飛びぬけていれば文句なしといったところ。まあまあの良作だと思う。コメディじゃなくて、彼女たちがどうやってこの苦境を乗り切るのか? という純粋なサスペンスとして観るべきかと。

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プロフィール
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クボタカユキ
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男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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